7月15日(水)に、今国会7回目の参議院憲法審査会が開かれました。

6/24(水)の憲法審で最後の4分間で強行された国民投票法(改憲手続法)改正案の趣旨説明のあと、与野党間対立による国会不正常化の中で、7/1(水)の憲法審査会が無くなり、翌週の7/8(水)は審査会ではなく幹事懇談会となりました。

会期末は7/17(金)だったので、このまま開かれないようにと願っていたのですが、与党の焦りは大きく、8日の幹事懇で決まったのは、15日(水)の憲法審査会の開催と、ここで①国民投票法をめぐる諸課題についての各会派の意見表明と、②衆議院提出の改憲手続法改正案の「採決」までやるということでした。
しかも開催時刻は、「党首討論」その他で夕方~夜になるかもしれないとのことで前々日夕方まで「未定」のまま。こんな混乱状態の中で「合間を縫って憲法審査会を入れる」とは! 自民党はいつも「憲法審査会は政局を離れ、国民のための憲法論議を真摯に進める場でなければならない」(衆院憲法審筆頭幹事:新藤義孝議員)などと言っていましたが、心にもないことを言っていたことがあらわになりました。

さらに15日当日になって「国会延長」が確定したらしく、直前になって「①だけやって、②の採決は無し」となったのです。②をやりきるために国会を延長したと言っても過言ではありません。他にも国旗損壊処罰法案や皇室典範改定案などの強行も狙われ、傍聴席で、高市政権による国会の私物化、戦争国会に「ふざけるな―!!」と怒り心頭でした。

結果、この日の憲法審査会は16時10分開会(いつもは13時開会)。改憲手続法に関する8会派の意見表明がなされただけで、いつもよりも短く約1時間で「終了」となりました。
参院憲法審

「附帯決議」軽視の自民と維新

意見表明の中で、衆議院で採決され参議院に送られてきた改憲手続法改正案については、自民党・国民民主党・日本維新の会・公明党は、そろって「投票環境の整備であり、速やかに成立を」と主張しました。立憲民主党は賛成・反対を明示せず「附則第4条第2項」の国民投票の公平公正の確保(広告、資金、インターネット規制)の議論、その法改正なくして改憲発議はできない」と強調。日本共産党とれいわ新選組は「反対」を表明しました。

その他の各会派の発言要旨は以下のとおりです。

自民党(岩本剛人議員)
これまでの憲法審査会での審議では、与野党答弁者により、検討条項の下でも法制的に憲法本体の議論や憲法改正の発議が可能との共通理解がなされているところであるが、…憲法改正国民投票法のための投票環境整備と公職選挙法が規定するそれとの間に差異がある状況を1日も早く解消させることが求められている。
また、国民投票では広報協議会の役割が重要であり、その議論を進めていかねばならない。そのためにも両院合同審査会の規定整備もやっていく必要がある。

国民民主党(原田秀一議員)
一定規模の以上の有料ネット広告は、資金の差によって発信力が大きく左右されるので、適切な法的規制が必要。政党等による有料ネット広告を制限する場合には、国民が正確な情報に接する機会を確保するため、広報協議会によるインターネット広報や賛否双方に公平な利便を提供する仕組みと一体で検討する必要がある。外国主体や匿名資金による関与の排除などを規制に盛り込むべきである。
偽情報への対策も急務。広報協議会も民間ファクトチェック機関との連携など検討すべきだ。

日本維新の会(柴田巧議員)
附則4条2項の検討については、広報協議会の規程、広報協の活動面を定める放送・新聞広告等の実施規程など大半は事務的・技術的なものであり、いつまでも議論するのではなく、憲法審査会事務局・法制局に原案を作成してもらい成案を得るべきだ。
インターネットなどの発展により課題は次から次と起きている。全ての課題について合意を得て、国民投票法を改正するのを待ち、憲法改正案を発議できないままでいるとすれば、かえって国民による主権行使の権利、機会を奪うことになりかねない。

公明党(原田大二郎議員)
2021年改正法の附則4条2項は「3年を目途に」内容を検討し、必要な法制上の措置その他の措置を講ずることを求めている。すでにその時期が過ぎており、今回の衆議院からの改正案にも附帯決議で同様の措置を講ずるよう求められている。 この法定の検討結果、課題を次の段階として着実に進めていかなければならない。
国民投票広報協議会は、賛否の政治的主張や価値判断の審議を裁定する機関となってはならず、客観的に確認できる公的事実を迅速に発信する中核となるべきだ。

参政党(安達悠司議員)
改憲手続法の部分改正だけでなく、憲法を一から作り直す全面改正という選択肢をきちんと確保してほしい。
改憲手続法にも国民投票運動の演説妨害禁止や処罰規定が必要だ。またインターネットの有料広告の規制や、投票期間内の国民投票運動のルールの見直し、投票率をあげるための取り組みも必要。
広報協議会は、憲法改正の要旨の作成、新旧対照表、その他参考になるべき事項に関する分かりやすい説明などを、広報の文書の作成、広報のための放送や新聞広告を作成する権限がある。中立公平に運営されなければならない。

「附則第4条第2項」内容の法改正必須と訴える立憲

立憲民主党(田島麻衣子議員)
国民の十分な理解のないまま憲法改正に向けた手続きの整備を拙速に進める動きに、私たちは抗議する。
本改正案で引き続き残された附則第4条第2項イ、ロ、ハは今も法的な拘束力を持つ法規範であり、法律事項として法改正が必要な内容である。また憲法改正国民投票における公平公正の確保は国民主権原理からの要請である。
よって、附則第4条第2項の検討条項は、その実現においては法改正を必須と定め、それらがなされるまで改憲発議を行うことはできない趣旨の条文である。
国民投票法制定された2007年から20年近くを経て、AIやインターネット広告の激増など、環境が大きく変化した今、投票の自由と投票の公正公平のバランスを回復するためには法改正が必要だ。

根本的な欠陥法=改憲手続法は必要ない!

日本共産党(山添拓議員)
*改憲手続法は、改憲案の承認要件となる過半数を有効投票総数の過半数という最も低いハードルにした上、最低投票率制度を規定していない。投票率によっては、有権者の1割台や2割台の賛成で憲法を変えてしまいかねない。
*人事院規則など、それ自体合憲性が問われる公務員の政治的行為禁止規定により公務員の意見表明を制限し、公務員や教育者の国民投票運動については地位利用を口実に制限しており、主権者である国民の自由な運動を不当に抑え込む内容となっている。
*資金力の多寡によって広告量が左右される。
*無料の広告枠を扱う広報協議会も改憲派に有利な仕組みになっている。
いずれも、国民主権と憲法96条に反する不公正かつ反民主的な内容だ。
多くの国民は改憲を政治の優先課題として求めていない。

れいわ新選組(奥田ふみよ議員)
*国民投票法というネーミング自体にごまかしがある。正式には憲法改正国民投票手続法。要は、改憲するための法律。改憲してほしくないという国民の願いは無視した法案だ。
*最大の欠陥は、放送CM規制がないまま改憲準備に突き進むものだということだ。有名タレントが賛否の意見を表明するだけの意見広告なら制限がない。ネットやSNS上の有料広告への規制も国民投票運動に対する資金規制も全くなく、廃案しかない。
*そもそも審議なんかさせてはいけない。今日の憲法審査会も開くなと求め続けてきた。
*野党第一党の立憲が会長職権で来週の審査会を開かせないよう徹底抵抗してほしい。

7.10国会前

この日の憲法審査会の5日前の7月10日(金)の夜、国会正門前で、戦争反対、改憲反対のペンライトデモが行われ27000人が参加しました(上の写真)。

アメリカ・トランプ政権のイラン侵略戦争、トランプを支持する高市政権の9条改憲・緊急事態条項新設の戦争への動きに危機感を持った若者たち、とりわけ女性たちが大きく動き始めています。
高市首相の「めちゃくちゃな政治」の背景には、アメリカ帝国主義の衰退とその巻き返しをかけた世界戦争戦略があります。トランプ政権は大国中国への侵略戦争を本気で構えて、イラン侵略戦争も継続しています。
そうした中で高市政権は、日米安保体制を強化し、在日米軍と自衛隊の一体化を進め、沖縄南西諸島での対中国の戦争体制を積極的に強めています。私たちも本気になって反戦運動を強め、何としても戦争翼賛化攻撃を打ち破りましょう。
若者たちと共に戦争反対のデモを広げ、改憲阻止・高市政権打倒の力をつくり出しましょう!(S)