6月11日(木)10時から、今国会9回目の衆議院憲法審査会が開催され、改憲手続法(以下、「国民投票法」と記します)の一部改正案が審議入りしました。

改正案の提出者は古屋圭司会長(自民)と中道改革連合の國重徹氏を除く衆院憲法審の幹事8名(新藤義孝氏をはじめ自民党6名と維新の会の馬場伸幸氏、国民民主党の浅野哲氏)と参政党の和田政宗氏の計9名で、彼らはいつもの席順とは違い、会長席に向かい合うような場所にまとまって座りました。

改正案の提出者は古屋圭司会長(自民)と中道改革連合の國重徹氏を除く衆院憲法審の幹事8名(新藤義孝氏をはじめ自民党6名と維新の会の馬場伸幸氏、国民民主党の浅野哲氏)と参政党の和田政宗氏の計9名で、彼らはいつもの席順とは違い、会長席に向かい合うような場所にまとまって座りました。
新藤氏による趣旨説明の後、階猛氏(中道)、古川あおい氏(チームみらい)、畑野君枝氏(共産党)が質疑を行い、提出者が代わる代わる答弁しました。
古屋会長はいつもと違って質疑の制限時間を示しませんでしたが、階氏と古川氏は「時間が来たので終わる」と述べて発言を終え、畑野氏に対しては古屋氏が「質疑の時間は終局した」と言って発言を強制終了させました。そして古屋会長が「これにて本案に関する質疑は終局した」と述べて審議は終了、この間、わずか30分弱でした。
まず、この日の質疑について、改正案の内容も含めて簡潔でわかりやすく報じられていた『NHK』の記事を転載させていただきます。
特に、「審査会に先立って行われた幹事会では、与党側が改正案を来週18日の審査会で採決したいと提案し」という部分に注目してください。審査会しか傍聴できない私たちには知るよしもありませんでしたが、与党=改憲勢力は30分にも満たない審議で改正案を成立させようとしています。怒りを覚えずにいられません。

衆院憲法審査会 自民など4党提出の国民投票法改正案 審議入り
『NHK ONE』2026年6月11日(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015147181000)
自民党など4党が提出した憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案が衆議院憲法審査会で審議入りしました。自民党は公職選挙法にあわせて投票環境の整備などを行うものだとして理解を求めたのに対し、中道改革連合は投票の際の広告規制などについても結論を出すよう求めました。
国民投票法の改正案は、自民・維新両党と国民民主党、参政党の4党が、先週、共同で提出し、11日、衆議院憲法審査会で審議入りしました。
提出者を代表し、自民党の新藤元経済再生担当大臣は、趣旨説明で「投票環境の整備について『公職選挙法ならび』にするという考え方にのっとっている。法案は投票立会人の選任要件を緩和するなどの内容で、審議の上速やかに可決してほしい」と述べました。
一方、中道改革連合の階幹事長は「CMの制限やネットなどの適正利用の確保策については手付かずだ。法案が成立しても宿題として残るが、全力で協力するので一刻も早く仕上げることを約束してほしい」と訴えました。
審査会に先立って行われた幹事会では、与党側が改正案を来週18日の審査会で採決したいと提案し、引き続き協議することになりました。
国民投票法 改正案 詳しく
国民投票法の改正案は、現在の公職選挙法にあわせて投票環境の整備などを行うためのものです。
改正案では、
▽投票の立会人のなり手不足が指摘される中、立会人の居住地などの要件を緩和するほか、
▽悪天候で離島から投票箱を運べない場合などに、現地で開票所を設けることを可能にすることが、盛り込まれています。
また、
▽ラジオのAMだけでなく、FMでも憲法改正案を広報するための放送を可能にするとしています。
国民投票法の改正案をめぐっては、4年前に、自民党、公明党、日本維新の会などが衆議院に法案を提出し、審議入りしましたが、衆議院の解散に伴い廃案となりました。
このため、自民・維新両党と国民民主党、参政党の4党が、先週、4年前と同じ内容の改正案を衆議院に共同で提出しています。
* 引用、ここまで。
「附則第4条」を反故にしようとするのか!
質疑を行った3名のうち改正案に反対したのは畑野氏だけで、階氏と古川氏は5年前の改正時の附則第4条(*)のうち二号が手つかずのままになっていることを取り上げて提出者に今後の対応を質しました。
*2021年改正法附則第4条
国は、この法律の施行後3年を目途に、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
一 投票人の投票に係る環境を整備するための次に掲げる事項その他必要な事項
イ 天災等の場合において迅速かつ安全な国民投票の開票を行うための開票立会人の選任に係る規定 の整備
ロ 投票立会人の選任の要件の緩和
二 国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項
イ 国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限
ロ 国民投票運動等の資金に係る規制
ハ 国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策
ところが、階氏の質疑に対する新藤氏の回答は、「附則4条については、所定の検討期限を経過しても規範性が残っているという見方と、期限の経過とともに法規範性は失われたという見方がある」が、「できる限り速やかに検討を行って、必要な法制上の措置を講ずることが望ましいと考えている」というふざけたもので、古川氏の質疑に対する浅野氏の回答も同様でした。
階氏は、「高市首相の疑惑に関して、実際にどういう動画が作成されたのか、週刊文春の電子版の有料会委員になって見てみた」ところ、「冷静に見れば対した内容ではない」が、「専門家によると、質が低くても大量に出回れば世の中にある種の空気が生まれ、情報を浴びる受け手は判断能力が低下して認知疲労という状態に陥るため、こうした手法も有効だ」と述べ、「2021年の時点より3つの事項の法的規制の必要性は高まった」と主張しましたが、新藤氏は「とても重要なご指摘だと思う」と受け流し、「速やかに必要な法制上の措置を講ずることが望ましいと考えている」と繰り返すばかりでした。
「広報協議会」について
「広報協議会」について
また、国民投票法改正案の質疑の中で、畑野氏が「広報協議会」について質問していましたが、これも大問題だと思います。
「広報協議会」は、改憲案の広報内容を作成するところですが、詳しくはまだ決められていません。この日の改正案提案者も「広報実施規程などの広報協の関係規程を早急に整備する必要がある」と答えていました。
畑野氏は「そもそも、広報協議会の20人の委員は、会派の所属議員数の比率により割り当てることになっている。改憲に賛成した会派が大多数を占めることになり、反対した会派の委員は僅か1人しかいないこともあり得る。極めて不公平な構成で、とても中立的とは言えない。」と指摘しました。
自民、維新が9条をめぐる議論の深化を主張
この日は、国民投票法改正案の趣旨説明と質疑に続いて、古屋会長が「日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題について討議を行う」と述べ、自由討論が行われました。いつもは各会派代表1人・7分ずつの発言の後6人ほどの委員が5分ずつ意見を述べるのですが、今回は代表1人・5分ずつの発言だけで終了し、11時5分頃に閉会となりました。
この中で、自民党の新藤義孝氏は、「今後さらに深掘りすべき論点」として「緊急事態条項のうちの緊急政令」と「9条」を挙げ、維新の会の馬場伸幸氏も「今後の討議において9条に軸足を置いた議論を加速させ、速やかに成案を得ることが不可欠だ」と述べましたが、両氏の主張する9条改正の方向性には大きな食い違いがありました。
以下に転載させていただく『毎日新聞』の記事でわかりやすく説明されていますが、今自民党と維新の会の9条改憲案に齟齬があるからといってゆめゆめ警戒を怠ることはできません。
以下に転載させていただく『毎日新聞』の記事でわかりやすく説明されていますが、今自民党と維新の会の9条改憲案に齟齬があるからといってゆめゆめ警戒を怠ることはできません。
自民党が2012年に発表した『日本国憲法改正草案』では、9条2項を「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。」と改めるとともに、9条の2を創設して「国防軍」を保持することを謳っていますが、野党だった時代に作成されたこの草案の内容こそ、自民党内多数派の宿願を率直に表現したものであると考えられるからです。
憲法9条で溝浮き彫りの自民と維新 「2項」維持巡り 衆院憲法審
『毎日新聞』2026年6月11 日(https://mainichi.jp/articles/20260611/k00/00m/010/313000c)
憲法9条の改正方針を巡り、11日の衆院憲法審査会で、連立政権を組む自民党と日本維新の会の意見の違いが浮き彫りとなった。自民は戦力不保持と交戦権否認を定めた同条2項を含む現行規定を維持した上で、自衛隊を明記する方針を改めて説明したが、維新は同項削除の必要性を主張。両党は早期の憲法改正実現で合意しているが、その「本丸」である9条改正で溝が深いことを示した。
審査会で、自民の新藤義孝元総務相は、9条1項と2項を残したまま自衛隊を明記する同党案について「平和主義に基づく自衛隊の位置付けはこれからも堅持すべきだ。1、2項を残したのはそうした意味合いがある」と説明。「憲法に国防規定を明確に位置付けようとするのが自民党の提案だ」と訴えた。
一方、維新の馬場伸幸前代表は「2項を削除し、世界基準の軍隊の実力を備えなければ、自衛隊は永遠に張り子の虎のままだ」と指摘。戦力不保持の規定を維持したままその例外として自衛隊を明記すれば「2項は事実上、死文化した装飾条文」となると強調した。【安部志帆子】
* 引用、ここまで。
今、高市政権は防衛費=軍事費の拡大と自衛隊の基地・装備の増強、在日米軍や同盟国・同志国との連携の強化を推進しつづけ、自民党は年内に改定される安保3文書に新しい戦い方、継戦能力の確保、防衛産業=軍事産業の抜本強化を盛り込むよう提言しています。こうした路線を突き進むためには憲法、特に9条が障害になります。だからこそ、改憲勢力は憲法に手を突っ込もうとしているのです。何としても改憲、そして戦争を阻止しましょう。そのための行動を続けていきましょう。
この日の傍聴者は前回より少し増えて55人ほど、議場にいた記者は2~4人で、開会からしばらくはTVカメラが1台入っていました。(銀)