5月27日(水)は参議院憲法審査会の「幹事懇談会」だったため、次週の6月3日(水)に今国会4回目の参議院憲法審査会が開かれました。ところがこの日は大型台風接近での悪天候!そのため国会傍聴は見合わせ、急遽インターネット中継での「傍聴」となりました。
5月14日(木)の衆議院憲法審査会で、衆議院法制局・衆議院憲法審査会事務局による「緊急事態条項」イメージ(案)提出が強行されたのを受けて、この日の参議院憲法審査会では、参議院法制局長と参議院憲法審査会事務局長から「緊急事態対応・緊急集会について」の説明を受け、質疑応答するという形になりました。(翌週6/10の憲法審では、憲法学者の長谷部恭男氏と只野雅人氏の意見陳述がなされる)
おかしな話なのですが、同じ国会の法制局でも、なぜか衆議院と参議院では憲法をめぐっての解釈の仕方が微妙に違うようです。特にこの「参議院の緊急集会」問題ではそれがはっきりと表れていました。
「緊急集会」について衆議院法制局では「一時的、限定的なもの」ととらえているのに対し、参議院法制局では「民主政治を徹底させる上で緊急事態に対応するすぐれた制度」との考え方に立っています。
まず最初にこの日の審議が短く要約された記事を紹介します。
参議院憲法審査会 緊急事態対応と緊急集会テーマに意見交換
『NHK ONE』2026年6月3日
参議院憲法審査会が開かれ、緊急事態対応と緊急集会をテーマに意見が交わされました。自民党は選挙の実施が困難な場合に国会議員の任期を延長する憲法改正が必要だと主張したのに対し、立憲民主党は参議院の緊急集会で対応すべきだとして反対しました。
この中で、自民党の古賀友一郎氏は「憲法に緊急事態条項を設けておくのは、どのような状況に陥っても国家の機能を維持するためだ。緊急事態が発生した際に国会議員の任期を延長し、二院制の国会を維持するための憲法改正は必要だ」と述べました。
一方、立憲民主党の辻元清美氏は「歴史の教訓からも緊急時は参議院の緊急集会で対応すべきだ。時の政府による恣意的な裁量が入りかねない議員任期の延長のための改憲には反対だ」と述べました。
このほか、国民民主党と公明党、日本維新の会は、選挙の実施が困難な場合に、国会議員の任期を延長する憲法改正に賛成または理解を示しました。
参政党は、感染症のまん延は緊急事態として認められないと主張しました。
共産党とれいわ新選組は、緊急事態には参議院の緊急集会で対応できるとして改憲に反対しました。
*引用ここまで。
川崎参議院法制局長による説明要旨
最初に、川崎 参議院法制局長と本多 参議院憲法審査会事務局長からの説明聴取がありました。
川崎 法制局長の説明の一部を要約すると下記のようなものでした。
(緊急集会について)
川崎 法制局長の説明の一部を要約すると下記のようなものでした。
(緊急集会について)
*衆議院が解散されると、参議院は閉会となる。その間に緊急の案件が生じた場合対処するために設けられたのが参議院の緊急集会制度である(憲法54条)。
*旧憲法(大日本帝国憲法)では、緊急の必要がある場合における緊急勅令や緊急財政処分などの制度が設けられていたが、現憲法では「国民の権利を十分擁護するために政府による緊急措置は極力防止すべき」という考え方からそのような規定は入れなかった。
*緊急集会という方法をもって予測すべからざる緊急の事態に対し暫定の措置をとり得る方途を規定した。
*54条の規定は、できる限り早期に衆議院の総選挙が実施されることを強く働きかけるものであり、緊急事態から通常時への復元力の高い仕組みとなっている。
(緊急事態法制と緊急集会)
*行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくし、特殊の必要が起これば臨時国会を招集して対処する。
*緊急事態については、順次法律が整備され、これらに対処するための特別な権限や措置が規定されており、それに対しては、国民の権利自由の制約となることなどから、あるいは国会による民主的統制を及ぼすため、参議院の緊急集会も含む国会の措置・承認、国会への報告など国会の関与が規定されている。
*緊急事態については、順次法律が整備され、これらに対処するための特別な権限や措置が規定されており、それに対しては、国民の権利自由の制約となることなどから、あるいは国会による民主的統制を及ぼすため、参議院の緊急集会も含む国会の措置・承認、国会への報告など国会の関与が規定されている。
[災害対策基本法、新型インフルエンザ等対策特別措置法、(武力攻撃等)事態対処法、重要影響事態安全確保法、警察法、自衛隊法、国民保護法等]
自民・維新は「議員任期延長」と「緊急政令」必要と主張
参議院法制局長の説明を受けても、自民・維新はあくまで「緊急事態条項」創設を主張しました。
「我が国を取り囲む安全保障環境は日々変化している」「我が国がどのような状況に陥っても国家の機能を維持するために、法律や予算に代わる内閣の緊急政令や緊急財産処分の制度を憲法上定めておくべき。」(自民・古賀議員)
「緊急事態が発生し、選挙の実施が70日を優に超えることが明白な場合は緊急集会だけでは対処困難で、緊急事態条項がどうしても必要。」(維新・柴田議員)
その中で、「憲法に緊急政令等がないために、国難というべき事態のときに極めて大きな支障が生じたり時間を費やした」として阪神・淡路大震災で放置車両が動かせなかったことや、東日本大震災での被災者の二重ローン返済猶予などの措置が迅速にとれなかった事例をあげて「このような場合にも緊急政令は絶対に必要です」(自民・加田議員)と主張したことには、びっくりしました。


立憲・共産・れいわは「議員任期延長」「緊急政令」必要なしと主張
いずれも、「二度と国による戦争を許してはならない」という立場からの意見表明でした。
(立憲:辻元議員)
「日中戦争のさなか、1941年3月、翌年4月の任期満了の直前に衆議院議員任期延長に関する法律が特別措置され、1年間の任期延長が決められました。この延長された1年間に一体何が起こったのか。
当時、日中戦争では、中国大陸が戦場で、日本国内では日常生活が営まれ、選挙は可能な状況だったと思われます。にもかかわらず任期を延長したのです。この延長の前年、1940年2月には斎藤隆夫議員の反軍演説があり、日中戦争に批判的な風潮が広がりつつありましたが、斎藤隆夫議員は見せしめのように議会を追放され、同年10月に大政翼賛会が発足しました。この翌年、任期延長から8か月後の12月8日、真珠湾攻撃に踏み切ったのです。そして、この開戦の翌年4月に翼賛選挙を挙行し、議会での反対の声を封じ込め多数を取り、大政翼賛体制を固め、緊急勅令を乱発し、戦争の泥沼に突っ込んでいったのでした。
政府と軍の挙国一致の戦時体制を完成させ、開戦に踏み切るために時の政府が恣意的に選挙を1年遅らせたと言わざるを得ないのではないでしょうか。」
「このような歴史の反省の下に、憲法制定議会では、緊急時には緊急勅令を排し、戦前のように時の政府の恣意的な判断が選挙に入る余地を残す衆議院議員の任期延長ではなく、参議院での緊急集会が憲法54条に制定されたと私は考えます。」
(共産:山添議員)
「緊急政令であれ議員任期の延長であれ、緊急事態が長く続くことをことさら強調して改憲を主張するのは、戦争を想定するからです。異論を封じ、国家の都合で国民を動員し、国策に協力させるためです。それは行ってはならないというのが歴史の教訓です。」
(れいわ:奥田議員)
「憲法の鎖を引きちぎった暴走政治屋たちが、先週5月27日、国家情報局設置法を成立させてしまった。これは戦前の治安維持法に酷似。80年の眠りから覚め、再び全国民の自由や命を最大限に制限できる法律を作ってしまった。本当に近い将来、戦争反対と言っただけで逮捕されるかもしれない悪法。」
「80年前に他国を侵略しまくった日本政府が、権力を私物化し、暴走し、310万人もの国民の命を奪ってしまったさきの戦争。もう戦争なんて懲り懲りだと後悔した先人たちが命をつなぐためにつくった平和への道、知恵、それが憲法。」
憲法全体をつくり変えるべきと主張する参政党
参政党の塩入議員は、「憲法とは、その国の国民自身が自国の歴史、文化、伝統、価値観に基づきどのような国をつくるのかを主体的に定めるもので、今の憲法はGHQに押し付けられたものだから日本人の手でつくり変えるべき」と表明しました。まったくデタラメな憲法観だ!と聞いていましたが、「なぜ今改めて憲法上の緊急事態条項が必要なのか。その背景には、戦争や武力行使といった国家存立に関わる危機への意識の高まりがある」、「まずは、9条に自衛隊の位置づけ、その権限を定めるべき」、さらに「長期緊急事態を想定するなら、自衛権、情報戦、スパイ対策、国民保護の議論をすべき」「認知戦や世論工作、企業・土地・インフラの買収、サイバー攻撃からの防衛のため、包括的な憲法、法制度の議論が必要」と展開するに及んで、これは、いま高市政権の下でどんどん実行されていることではないか!と危機感と怒りが沸きました。

明文改憲攻撃は、現実に進んでいる戦争法(国家情報局設置法、入管法改悪、国旗損壊罪、スパイ防止法等)制定、大軍拡(安保3文書大改定、武器輸出禁止原則解体、非核3原則見直し等)として日々強行されています。国論を二分する情勢をつくり出して戦争法と大軍拡を阻止・粉砕し、すでに始まっている戦争を何としても止めましょう!(S)
憲法全体をつくり変えるべきと主張する参政党
参政党の塩入議員は、「憲法とは、その国の国民自身が自国の歴史、文化、伝統、価値観に基づきどのような国をつくるのかを主体的に定めるもので、今の憲法はGHQに押し付けられたものだから日本人の手でつくり変えるべき」と表明しました。まったくデタラメな憲法観だ!と聞いていましたが、「なぜ今改めて憲法上の緊急事態条項が必要なのか。その背景には、戦争や武力行使といった国家存立に関わる危機への意識の高まりがある」、「まずは、9条に自衛隊の位置づけ、その権限を定めるべき」、さらに「長期緊急事態を想定するなら、自衛権、情報戦、スパイ対策、国民保護の議論をすべき」「認知戦や世論工作、企業・土地・インフラの買収、サイバー攻撃からの防衛のため、包括的な憲法、法制度の議論が必要」と展開するに及んで、これは、いま高市政権の下でどんどん実行されていることではないか!と危機感と怒りが沸きました。

明文改憲攻撃は、現実に進んでいる戦争法(国家情報局設置法、入管法改悪、国旗損壊罪、スパイ防止法等)制定、大軍拡(安保3文書大改定、武器輸出禁止原則解体、非核3原則見直し等)として日々強行されています。国論を二分する情勢をつくり出して戦争法と大軍拡を阻止・粉砕し、すでに始まっている戦争を何としても止めましょう!(S)
