本国会第1回目の参議院憲法審査会が4月15日(水)午後に開催されました。
初回ということもあり、最初に憲法に関する考え方について各会派の意見表明がなされ、その後、「参議院議員選挙の1票の較差について」の意見徴収、質疑応答となりました(約2時間強)。

参議院憲法審査会の委員は全部で45人で、構成会派は8つです。
それぞれの委員数は下記のとおり。
自民 19人
維新  4人
国民  5人
参政  3人
公明  4人
立憲   7人+1人(会長)
共産  1人
れいわ    1人
合計 45人
参院憲法審

憲法についての考え方

各会派の意見表明のポイントは下記のようなものでした。

(自民・中西裕介)
●すでに、①自衛隊明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育充実の4項目について、条文イメージ、たたき台素案を持っている。
●①について:9条1項、2項の条文を維持し、必要な自衛の措置を担う自衛隊を明記するというイメージ。
●②について:参議院の緊急集会の活動期間や権能について整理する。衆議院任期満了時にも対応できるよう明記すべき。
●③について:弊害の多い「合区」は是正すべき。これに関連し「地方自治の規定」についても検討すべき。
●④について:憲法に教育に関する理念と規定をを定めるべき。

(立憲・小西洋之)
●憲法は国家権力を制限するもの。
●立憲主義に基づく論憲の力で憲法を守り生かす。
●9条は国民による国会や内閣への武力行使に関する民主的統制の規範。
●衆議院で国会議員の任期延長改憲で条文起草委員会の設置が主張されているが、任期延長改憲は論理破綻しており、起草委員会設置は許されない。

(国民・山田吉彦)
●憲法は、国民の安心、安全な生活を守るためにある。
●国土を守る、国民を守るという国家の基本的義務を憲法に明確に位置づける必要あり。

(公明・谷合正明)
●国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義の3原理を堅持した上で、必要な規定を付け加える加憲が検討されるべき。
●憲法9条と自衛隊の問題、参議院の緊急集会などもそうした立場で議論していく。
●平和安全法制定時、安倍総理などから、我が国が自衛権を発動して、国際法上認められていない違法な武力行使を行った国を支援することはない旨答弁があった。イラン攻撃について法的評価を行うべき。

(維新・片山大介)
●すでに、①教育の無償化、②統治機構の改革、③憲法裁判所の設置、④自衛隊の明記、⑤緊急事態条項の創設、の5項目の改正原案を公表している。
●④については、9条の2項削除による集団的自衛権行使の全面容認の必要性を訴えている。
●④と⑤については、自民党との条文起草協議会が開催されており、参議院憲法審査会の下にも条文起草委員会を設置し改正案の作成をめざしたい。

(参政・塩入清香)
●憲法には日本人の価値観を反映し、日本が自立するために理念が必要。部分的ではなく一から作り直す創憲を提唱している。

(共産・山添拓)
●憲法は権力を縛るもの。
●9条の戦争放棄と戦力不保持のもとで、歴代政府は、軍事費GNP比1%以内、専守防衛、集団的自衛権は行使しない、敵基地攻撃能力は保有しない、非核3原則を堅持し、武器輸出は慎むなどの原則を掲げてきた。
●憲法審査会は動かすべきではない。
●改憲案を具体化するための条文起草委員会は必要ない。

(れいわ・奥田ふみよ)
●憲法は、主権者である国民から政府に突きつけた命令。80年前の戦争を政府は国家犯罪であることを認め、主権を国民に享受した。
●25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、これを実現させることこそ国会議員の務めだ。
●12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」、これは暴走政府のせいで多くの血を流した先人たちの知恵。傍聴席を主権者で埋め尽くそう。

改憲反対の民意が国会を取り囲んでいる

この日の憲法審査会の中で、山添議員と奥田議員だけが4月8日の国会前3万人の戦争反対、改憲反対のペンライトデモに触れました。「高市政権の危険を前にいても立ってもいられないという多くの若い世代が、初めて参加する人々が…行動しています」(山添)、「憲法改正の動きに反対する大規模デモが続いている」(奥田)

また、この日、奥田議員の関係で72人が傍聴に駆け付け、全体で120人を超える傍聴者になりました。改憲派の議員席をにらみつけ、奮闘する奥田議員には大きな拍手が沸き起こりました。
その少しあとで、審査会会長(立憲・長浜)が傍聴席に向かって「傍聴人は、傍聴規則により、議事に関する賛否の表明その他議事の妨害になるような行為は禁止されております。」と言いました。
確かに傍聴券の裏に印刷されている禁止行為の中に「拍手」もありました。でも、これはどう考えてもおかしいことです。「傍聴者はだまってじっとしていろ」と言わんばかりです。この一事の中に、国会がいかに民意とかけ離れている存在であるかが示されていると思いました。

一票の較差、「合区」問題について

憲法審査会の進め方については、事前の「幹事会」(自民4、維新1、国民1、参政1、公明1、立憲3)で決められるのですが、この日と次回は「一票の較差」問題の調査となったようです。選挙制度の問題であり、おそらくすべての会派にとって異論のないテーマから入るということなのでしょう。

最初に、「通常選挙定数較差訴訟の最高裁判決の説明聴取」ということで、 本多恵美 憲法審査会事務局長から報告があり、その後、下記の2人の参考人からの意見陳述と質疑応答となりました。
   ①平井伸治 (全国知事会副会長鳥取県知事)
   ②志摩恭臣 (徳島弁護士会合区問題PT座長、弁護士)

このテーマで約1時間。ただ、わかりにくかったです。衆議院の小選挙区制で多くの民意を切り捨てて進む現実をそのままにしておきながら、参議院選挙での「一票の価値」「地方の民意」が強調され、さらにその関係で憲法上の「地方自治」にも踏み込もうとしており、さまざまな矛盾を感じました。

この日の憲法審査会は、傍聴席が改憲に反対する傍聴者でいっぱいになり、かつてなく可視化され、「監視」できました。でも、この憲法審査会は「改憲案発議」のためにつくられたものであり、憲法改悪に向けての「レール」そのものであることを忘れてはなりません。改憲派が牛耳る国会で動かしてはいけないものなのです。
戦争に向かった憲法改悪を止める力は、国会を取り巻く改憲・戦争反対の民意の広がりにこそあります。みんなの力でペンライトデモなどをもっともっと大きくしていきましょう!(S)