5月25日(木)9時から、今国会6回目(実質的な審議は5回目)の衆議院憲法審査会が開催されました。安倍改憲メッセージの波紋が広がり、加計学園問題があらためてクローズアップされる中、そして何よりもほかならぬ衆議院本会議で共謀罪が強行採決された直後の、まさかの2週連続開催でした(野党はなぜ開催を受け入れたのでしょうか?)。
今回のテーマは「新しい人権等」で、これには「教育を受ける権利」や(言及する委員はほとんどいませんでしたが)「婚姻制度(同性婚)」も含まれます。この日は自由討論として、各会派の代表者からの意見表明と委員からの発言が行われ、最近の情勢からして必然的に、設定されたテーマに関わらない議論も交わされることになりました。

今回のテーマは「新しい人権等」で、これには「教育を受ける権利」や(言及する委員はほとんどいませんでしたが)「婚姻制度(同性婚)」も含まれます。この日は自由討論として、各会派の代表者からの意見表明と委員からの発言が行われ、最近の情勢からして必然的に、設定されたテーマに関わらない議論も交わされることになりました。

さて、今回もまず、『産経ニュース』の記事を紹介します。書き方にバイアスがかかっていて、改憲派へのシンパシーが節々ににじみ出ていますが(*カッコ内に私の感想を記します)、この日の議場の雰囲気が巧みに捉えられていると思います。
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衆院憲法審 民共、「人権」よりも首相・統幕長批判 自民も応酬 「政局を離れ」は有名無実化
民進党などの野党は25日の衆院憲法審査会で、本来のテーマの「新しい人権」を離れ、憲法改正への意欲を表明した安倍晋三首相(自民党総裁)や自衛隊トップの発言への批判が目立った。自民党も応戦し、審査会の共通認識であるはずの「政局から離れた静かな環境での議論」は有名無実化した。(沢田大典)
「テーマでやれ!!」
審査会が行われた衆院第18委員室に、日本維新の会の足立康史氏の怒号が響いた(*「ヤジ」でなく「怒号」と書いたのは的確な表現だと感心しました)。民進党の山尾志桜里氏が冒頭から憲法9条の1、2項を残し自衛隊の存在を明記するとの首相提案をやり玉に挙げたためだ。
山尾氏は「自衛隊を合憲化することが使命ではないか」との首相の発言を紹介し、「首相は自衛隊違憲論に立った。合憲の自衛隊を合憲化する必要はない。首相は違憲と認識している組織の予算の承認を求め執行している。憲法尊重擁護義務違反だ」と訴えた。
これに対し、自民党の古屋圭司氏は「『風が吹けば桶屋がもうかる』よりも論理の飛躍だ。自民党は一貫して自衛隊は合憲との立場だ」と一笑に付した(*「一笑に付す」だなんて、よほど山尾氏が気に食わないのでしょうか)。
共産党の大平喜信氏がターゲットにしたのは自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長だ。「個人の見解」と断った上で9条への自衛隊明記を「ありがたい」と述べた河野氏を批判し、「憲法尊重擁護義務に反し、文民統制の原則を侵す。罷免を要求する」と述べた。
審査会で政府側の出席はなく、誰に罷免を求めたのか不明だが(*罷免できるのは首相だけであり、「不明」なんてことはありません)、前防衛相の自民党の中谷元氏は「自衛官も国民の一人で、言論の自由がある。一部の憲法学者や政党から憲法違反といわれ、否定され続けてきた。現場で仕事をしている人として適切な発言で、何ら問題はない」と代弁した(*菅官房長官の口癖「問題ない」が自民党の委員の間にはびこっています)。
民進党の辻元清美氏は、学校法人「加計学園」の大学獣医学部新設計画に関し「総理の意向だ」との記載があったとされる記録文書を取り上げた。菅義偉官房長官は「怪文書のようなもの」と存在を否定した文書だが、辻元氏もまた政府不在の中で「国民の知る権利以前に、政府が物事を隠蔽している」と批判した。
この応酬に加わらなかった公明党の太田昭宏氏は「重厚な議論を強く望む」と牽制(*牽制したようには聞こえませんでした)。自民党の山田賢司氏は「新しい人権がテーマなのに、9条改正はいかんといわれたら反論せざるを得ない。次回は9条をテーマに」と提案したが、応じる野党議員は皆無だった(*与党議員も皆無でした)。
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民進党などの野党は25日の衆院憲法審査会で、本来のテーマの「新しい人権」を離れ、憲法改正への意欲を表明した安倍晋三首相(自民党総裁)や自衛隊トップの発言への批判が目立った。自民党も応戦し、審査会の共通認識であるはずの「政局から離れた静かな環境での議論」は有名無実化した。(沢田大典)
「テーマでやれ!!」
審査会が行われた衆院第18委員室に、日本維新の会の足立康史氏の怒号が響いた(*「ヤジ」でなく「怒号」と書いたのは的確な表現だと感心しました)。民進党の山尾志桜里氏が冒頭から憲法9条の1、2項を残し自衛隊の存在を明記するとの首相提案をやり玉に挙げたためだ。
山尾氏は「自衛隊を合憲化することが使命ではないか」との首相の発言を紹介し、「首相は自衛隊違憲論に立った。合憲の自衛隊を合憲化する必要はない。首相は違憲と認識している組織の予算の承認を求め執行している。憲法尊重擁護義務違反だ」と訴えた。
これに対し、自民党の古屋圭司氏は「『風が吹けば桶屋がもうかる』よりも論理の飛躍だ。自民党は一貫して自衛隊は合憲との立場だ」と一笑に付した(*「一笑に付す」だなんて、よほど山尾氏が気に食わないのでしょうか)。
共産党の大平喜信氏がターゲットにしたのは自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長だ。「個人の見解」と断った上で9条への自衛隊明記を「ありがたい」と述べた河野氏を批判し、「憲法尊重擁護義務に反し、文民統制の原則を侵す。罷免を要求する」と述べた。
審査会で政府側の出席はなく、誰に罷免を求めたのか不明だが(*罷免できるのは首相だけであり、「不明」なんてことはありません)、前防衛相の自民党の中谷元氏は「自衛官も国民の一人で、言論の自由がある。一部の憲法学者や政党から憲法違反といわれ、否定され続けてきた。現場で仕事をしている人として適切な発言で、何ら問題はない」と代弁した(*菅官房長官の口癖「問題ない」が自民党の委員の間にはびこっています)。
民進党の辻元清美氏は、学校法人「加計学園」の大学獣医学部新設計画に関し「総理の意向だ」との記載があったとされる記録文書を取り上げた。菅義偉官房長官は「怪文書のようなもの」と存在を否定した文書だが、辻元氏もまた政府不在の中で「国民の知る権利以前に、政府が物事を隠蔽している」と批判した。
この応酬に加わらなかった公明党の太田昭宏氏は「重厚な議論を強く望む」と牽制(*牽制したようには聞こえませんでした)。自民党の山田賢司氏は「新しい人権がテーマなのに、9条改正はいかんといわれたら反論せざるを得ない。次回は9条をテーマに」と提案したが、応じる野党議員は皆無だった(*与党議員も皆無でした)。
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驚愕の自衛隊北朝鮮派兵論
ところで、この記事の最後に登場する山田賢司氏は、上記の「提案」のあと、次のような驚愕すべき意見を開陳しました。
ところで、この記事の最後に登場する山田賢司氏は、上記の「提案」のあと、次のような驚愕すべき意見を開陳しました。
とくに必要がなければ新しい人権の規定を憲法に入れる必要はないが、犯罪被害者の人権については考慮する必要がある。最大の犯罪被害者は拉致被害者であり、生命・身体の自由、そして幸福追求の権利が今現在も奪われていて、第13条違反のど真ん中だ。何の罪もない中学生の女の子が帰宅途中に身体を拘束され、海外に連れていかれ、今も監禁されている。これを救えなくて何の人権なのか。
平和安全法制が成立しても(自衛隊は)救出に行ってはいけないというのが政府の解釈で、在外邦人の保護、救出は領域国の同意が前提となっているが、人の国の国民を勝手に連れ去っていく人間が同意するわけがない。誘拐犯が被害者をアジトにかくまっているなら、犯人の同意が要るなどという発想は出てこないだろう。国家犯罪により他国に連れ去られて監禁されている人をなぜ救ってはいけないのか。
自衛権として整理するか否かは別として、拉致被害者に限定して当該国の同意なく救出しにいっていいということを、解釈(の変更)でも結構だし、ダメだということなら明文の規定で救出できるようにする。これこそが真の人権侵害の救済ではないか。

平和安全法制が成立しても(自衛隊は)救出に行ってはいけないというのが政府の解釈で、在外邦人の保護、救出は領域国の同意が前提となっているが、人の国の国民を勝手に連れ去っていく人間が同意するわけがない。誘拐犯が被害者をアジトにかくまっているなら、犯人の同意が要るなどという発想は出てこないだろう。国家犯罪により他国に連れ去られて監禁されている人をなぜ救ってはいけないのか。
自衛権として整理するか否かは別として、拉致被害者に限定して当該国の同意なく救出しにいっていいということを、解釈(の変更)でも結構だし、ダメだということなら明文の規定で救出できるようにする。これこそが真の人権侵害の救済ではないか。

本当にビックリ仰天しました。山田氏は、自衛隊を北朝鮮に派兵して拉致被害者を救出できるようにすべきだ、そのために必要なら改憲せよと主張しているのです。
ちなみに、山田氏については、過去にこんな発言も報じられています(『リテラ』2014年9月22日)。
ちなみに、山田氏については、過去にこんな発言も報じられています(『リテラ』2014年9月22日)。
【安倍首相にも「在特会」との親密写真が! 自民党とヘイト団体の蜜月】
(前略)9月22日発売の「サンデー毎日」(毎日新聞社)によると、ヘイトスピーチの法規制を検討する自民党PTで、メンバーの一人で安倍チルドレンでもある山田賢司衆院議員がこう言い放ったという。
「国連に“チンコロ”しているのはどんな団体か。ネットで調べると、ほとんどが朝鮮総連など朝鮮系の団体だ」
「人権をうたう団体は日本をおとしめるために人権団体と言っているだけ」(後略)
(前略)9月22日発売の「サンデー毎日」(毎日新聞社)によると、ヘイトスピーチの法規制を検討する自民党PTで、メンバーの一人で安倍チルドレンでもある山田賢司衆院議員がこう言い放ったという。
「国連に“チンコロ”しているのはどんな団体か。ネットで調べると、ほとんどが朝鮮総連など朝鮮系の団体だ」
「人権をうたう団体は日本をおとしめるために人権団体と言っているだけ」(後略)
なお、「チンコロ」というのは犬種の「狆(ちん)」のことで、そこから小型犬を指すようになり、さらに戦国時代に間者として働いた前田犬千代(後の前田利家)の通称「イヌ」から「密告」または「密告者」という意味も持つようになったそうです。
自衛隊トップの9条改憲歓迎発言の波紋
この日の議論で驚いたことをもう一つ挙げると、上掲の『産経ニュース』で紹介されている中谷元氏をはじめ自民党の複数の委員たちが、自衛隊の制服組トップ、河野克俊統合幕僚長の「9条への自衛隊明記『ありがたい』発言」を躍起になって擁護したことです(同日の参議院外交防衛委員会でも同様のやりとりがあったそうです)。
この自衛隊法(政治的行為の制限)違反、憲法(公務員の憲法尊重擁護義務)違反の問題発言は23日に外国特派員協会で行われた講演で飛び出したものですが、そのきっかけとなったのは言うまでもなく安倍首相の9条改憲メッセージであり、河野発言擁護すなわち安倍メッセージ擁護にほかなりません。
下記の『産経ニュース』の記事に見るように、安倍首相は性懲りもなくラジオ番組でも改憲発言を繰り返しており(『読売新聞』の次はフジサンケイグループのニッポン放送でと考えたのかもしれません)、確信犯的に憲法尊重擁護義務を無視しています。事態はきわめて深刻だと言わなければなりません。
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この日の議論で驚いたことをもう一つ挙げると、上掲の『産経ニュース』で紹介されている中谷元氏をはじめ自民党の複数の委員たちが、自衛隊の制服組トップ、河野克俊統合幕僚長の「9条への自衛隊明記『ありがたい』発言」を躍起になって擁護したことです(同日の参議院外交防衛委員会でも同様のやりとりがあったそうです)。
この自衛隊法(政治的行為の制限)違反、憲法(公務員の憲法尊重擁護義務)違反の問題発言は23日に外国特派員協会で行われた講演で飛び出したものですが、そのきっかけとなったのは言うまでもなく安倍首相の9条改憲メッセージであり、河野発言擁護すなわち安倍メッセージ擁護にほかなりません。
下記の『産経ニュース』の記事に見るように、安倍首相は性懲りもなくラジオ番組でも改憲発言を繰り返しており(『読売新聞』の次はフジサンケイグループのニッポン放送でと考えたのかもしれません)、確信犯的に憲法尊重擁護義務を無視しています。事態はきわめて深刻だと言わなければなりません。
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【安倍晋三首相「自民党で年内にまとめ、案を示したい」「民進党は提案を。国会議員としての責任」】
安倍晋三首相(自民党総裁)は21日のニッポン放送の番組収録で、自身が意欲を示した憲法9条改正に関し「自民党内でしっかり議論し、年内に案をまとめ、国民に示せればと思う」と述べ、党内の議論加速に期待感を示した。首相が党改憲案をまとめる時期に言及したのは初めて。
また、9条の1、2項を維持した上で自衛隊の存在を明記した条文を追加する考えを示したことについて「合憲か違憲かの議論の余地を一切なくすためだ。国民に判断してほしい」と訴えた。同時に「違憲かどうかの議論に終止符を打つのは、私たちの世代の責任ではないか」と強調した。
憲法記念日の3日の改憲派集会に寄せたビデオメッセージで、9条への自衛隊明記や2020年の改正憲法施行を提案した。首相は21日の番組収録で「(党総裁としての)私の発言は国会における議論の活性化、国民的な議論の深まりを期待したものだ」と説明した。
そして「議論を収斂させていくためにも責任を持って各党が案を出していくべきだ。民進党も批判するだけでなく提案をする。国会議員としての責任だろう」と述べ、民進党などにも改憲案を示すよう求めた。(後略)
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安倍晋三首相(自民党総裁)は21日のニッポン放送の番組収録で、自身が意欲を示した憲法9条改正に関し「自民党内でしっかり議論し、年内に案をまとめ、国民に示せればと思う」と述べ、党内の議論加速に期待感を示した。首相が党改憲案をまとめる時期に言及したのは初めて。
また、9条の1、2項を維持した上で自衛隊の存在を明記した条文を追加する考えを示したことについて「合憲か違憲かの議論の余地を一切なくすためだ。国民に判断してほしい」と訴えた。同時に「違憲かどうかの議論に終止符を打つのは、私たちの世代の責任ではないか」と強調した。
憲法記念日の3日の改憲派集会に寄せたビデオメッセージで、9条への自衛隊明記や2020年の改正憲法施行を提案した。首相は21日の番組収録で「(党総裁としての)私の発言は国会における議論の活性化、国民的な議論の深まりを期待したものだ」と説明した。
そして「議論を収斂させていくためにも責任を持って各党が案を出していくべきだ。民進党も批判するだけでなく提案をする。国会議員としての責任だろう」と述べ、民進党などにも改憲案を示すよう求めた。(後略)
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蹂躙されている沖縄の人々の人権
さて、この日も沖縄選出の委員から重要な指摘がありましたので、紹介しておきます。
さて、この日も沖縄選出の委員から重要な指摘がありましたので、紹介しておきます。
照屋寛徳氏(社民):沖縄では、天然記念物ヤンバルクイナや絶滅危惧種ジュゴンなど991種の野生生物が(日米)安全保障体制を維持するために絶滅に追いやられようとしているという環境権の問題がある。
赤嶺政賢氏(共産):基地が集中する沖縄では、米兵による殺人やレイプ・強盗、米軍機の墜落・爆音、実弾射撃訓練による流弾・原野火災、土壌や水質汚染など、度重なる事件、事故が県民の命と暮らしを脅かしている。2004年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落、昨年のオスプレイ墜落など、基地外の住民の生活の場で事故が起きても、地位協定に阻まれ地元の市長や知事さえ現場に入れない。県警や海保も現場に入って捜査できず、事故原因が不明なまま米軍の運用優先で飛行が再開され、住民の不安は解消されない。
赤嶺政賢氏(共産):基地が集中する沖縄では、米兵による殺人やレイプ・強盗、米軍機の墜落・爆音、実弾射撃訓練による流弾・原野火災、土壌や水質汚染など、度重なる事件、事故が県民の命と暮らしを脅かしている。2004年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落、昨年のオスプレイ墜落など、基地外の住民の生活の場で事故が起きても、地位協定に阻まれ地元の市長や知事さえ現場に入れない。県警や海保も現場に入って捜査できず、事故原因が不明なまま米軍の運用優先で飛行が再開され、住民の不安は解消されない。
上掲の『産経ニュース』にあったように山田賢司氏(自民)は「次回は9条をテーマに」と提案しましたが、私は憲法について本質的な議論を深めていくためには、まずはあらゆる憲法問題が集中的に現出している沖縄の状況から出発すべきではないかと考えます。
「新しい人権」をめぐる各党の意見
最後になりましたが、この日のテーマであった「新しい人権」について、『朝日新聞デジタル』の記事「教育無償化、自公に温度差 衆院憲法審、各党が意見」から、各会派代表者の意見を引用します。
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最後になりましたが、この日のテーマであった「新しい人権」について、『朝日新聞デジタル』の記事「教育無償化、自公に温度差 衆院憲法審、各党が意見」から、各会派代表者の意見を引用します。
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自民(船田元氏):社会の劇的な変化で新たに保障されるべき人権分野が広がりを見せている。環境権、ネット時代のプライバシー権や知る権利、犯罪被害者の権利、知的財産権などを憲法上明記することは検討に値する。憲法には「等しく教育を受ける権利」が規定されているが、所得格差の拡大で十分保障されないケースが増えている。(憲法に)教育の無償化を明記することで、政府に実現を促す大きな力になる。
民進(山尾志桜里氏):憲法における人権保障は、時代の多数派でも侵せない少数者の普遍的な権利保障で(あるべきで)、時代の要請にこたえる権利の実現は、法律で対応すべき場合が多い。私たちが提案する教育無償化は、法律として範囲や財源論を深めていくことが適切なスタートラインだ。憲法で規定されていても保障が十分でない権利もある。憲法裁判所の創設や裁判官の身分保障の改革を検討すべきだ。
公明(斉藤鉄夫氏):高等教育の無償化には、莫大な財源が必要だ。財源の裏付けがなければ、目標を示すような規定しか置けない。一律的に高等教育の無償化が適切かどうかは慎重な議論が必要だ。環境権について、我が党には、憲法13条の解釈で実現できるとの意見もあれば、基本的人権として憲法に明記すべきだとの強い意見がある。「国の環境保全の責務」を明記する可能性も含め、議論が続いている。
共産(大平喜信氏):そもそも安倍首相は、憲法96条を変えようとし、次に緊急事態条項が必要だと言い出した。批判が起こり、これまで一言も触れてこなかった教育無償化を持ち出した。首相の目的は改憲ありき、なんとか9条を変えようというものなのは明らかだ。憲法には30カ条にもなる人権条項がある。いま求められているのは、暮らしのあらゆる場面で憲法を実現させる政治を行うことであり、改憲ではない。
維新(足立康史氏):教育無償化を憲法で定めれば、国と地方に予算措置を義務づけ、時の政権の政策変更の影響を受けずにすむ。政策の優先順位が上がり、恒久的な無償化の実現が容易になる。無償化の財源は、行財政改革で生み出すのが基本だが、足らざる部分は現役世代ではなく、資産形成に成功した高齢者から徴収する。こども保険は反対だ。負担が現役に集中し、税を保険と偽って徴収するのは詐欺だ。
社民(照屋寛徳氏):高等教育の無償化は改憲によらなくても、法律と予算措置で可能だ。憲法は教育無償化の範囲を広げることを禁じていない。民主党政権下で高校授業料の無償化が実現した。それを「ばらまきだ」と批判したのは安倍政権だ。国民が求めているのは、早期の高等教育無償化の政策実現で、高等教育無償化を口実とした改憲ではない。環境権も改憲せずとも幸福追求権や生存権で解決できる。
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民進(山尾志桜里氏):憲法における人権保障は、時代の多数派でも侵せない少数者の普遍的な権利保障で(あるべきで)、時代の要請にこたえる権利の実現は、法律で対応すべき場合が多い。私たちが提案する教育無償化は、法律として範囲や財源論を深めていくことが適切なスタートラインだ。憲法で規定されていても保障が十分でない権利もある。憲法裁判所の創設や裁判官の身分保障の改革を検討すべきだ。
公明(斉藤鉄夫氏):高等教育の無償化には、莫大な財源が必要だ。財源の裏付けがなければ、目標を示すような規定しか置けない。一律的に高等教育の無償化が適切かどうかは慎重な議論が必要だ。環境権について、我が党には、憲法13条の解釈で実現できるとの意見もあれば、基本的人権として憲法に明記すべきだとの強い意見がある。「国の環境保全の責務」を明記する可能性も含め、議論が続いている。
共産(大平喜信氏):そもそも安倍首相は、憲法96条を変えようとし、次に緊急事態条項が必要だと言い出した。批判が起こり、これまで一言も触れてこなかった教育無償化を持ち出した。首相の目的は改憲ありき、なんとか9条を変えようというものなのは明らかだ。憲法には30カ条にもなる人権条項がある。いま求められているのは、暮らしのあらゆる場面で憲法を実現させる政治を行うことであり、改憲ではない。
維新(足立康史氏):教育無償化を憲法で定めれば、国と地方に予算措置を義務づけ、時の政権の政策変更の影響を受けずにすむ。政策の優先順位が上がり、恒久的な無償化の実現が容易になる。無償化の財源は、行財政改革で生み出すのが基本だが、足らざる部分は現役世代ではなく、資産形成に成功した高齢者から徴収する。こども保険は反対だ。負担が現役に集中し、税を保険と偽って徴収するのは詐欺だ。
社民(照屋寛徳氏):高等教育の無償化は改憲によらなくても、法律と予算措置で可能だ。憲法は教育無償化の範囲を広げることを禁じていない。民主党政権下で高校授業料の無償化が実現した。それを「ばらまきだ」と批判したのは安倍政権だ。国民が求めているのは、早期の高等教育無償化の政策実現で、高等教育無償化を口実とした改憲ではない。環境権も改憲せずとも幸福追求権や生存権で解決できる。
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委員の出席状況は、最初は40人前後、途中から30人台で推移しました(定数は50)。傍聴者は12~14人ほどで今国会で最も少なく、私たち百万人署名運動は3名で傍聴しました。この日の審査会の開催がホームページで告知されたのが前日の午後4時過ぎでしたから、その影響があったのかもしれません。
記者は10~13人ほどでやや少なく、カメラマンが5~6人(徐々に減っていきました)、テレビカメラは途中20分ほどだったでしょうか、テレビ朝日の1台だけが入って撮影していました。
次回は来週、6月1日(木)午前9時~、同じテーマで参考人を招いての質疑が予定されています。参議院での共謀罪審議やモリカケ(森友・加計)問題等の波乱要因の中で与党の思惑どおりに進むのかどうか、注目したいと思います。(G)
記者は10~13人ほどでやや少なく、カメラマンが5~6人(徐々に減っていきました)、テレビカメラは途中20分ほどだったでしょうか、テレビ朝日の1台だけが入って撮影していました。
次回は来週、6月1日(木)午前9時~、同じテーマで参考人を招いての質疑が予定されています。参議院での共謀罪審議やモリカケ(森友・加計)問題等の波乱要因の中で与党の思惑どおりに進むのかどうか、注目したいと思います。(G)