5月18日(木)9時から、今国会5回目(実質的な審議は4回目)の衆議院憲法審査会が開催されました。テーマは前回、4週間前の4月20日と同じ「国と地方の在り方(地方自治等)」でしたが、実は、今回の審査会はその1週間前、4月13日(1か月以上も前!)に開かれる予定でした。
つまり、「地方自治等」についてまずは13日に会派間、委員同士で意見を交わし、引き続き20日には参考人を招いて議論を深めようという段取りを立てていたところ、12日の衆議院厚生労働委員会における強行採決をめぐって与野党が対立したあおりを食って13日の審査会は参考人招致を決定するだけで終わり、予定されていた審議は27日に持ち越されました。
ところが、27日は今村雅弘前復興担当大臣の失言・暴言で国会が空転、5月4日は休日、11日は安倍首相のトンデモ改憲発言の影響で見送られ、結局、当初予定の5週間後にようやく開催の運びとなったというわけです。
この日の委員の出席状況はというと、途中まで40人前後で推移していましたが、後半はずっと30人台でした(定数は50)。傍聴者は今国会では最も少なく20人ほどで、この日も闘われた共謀罪反対行動の準備等で参加できなかった方が多かったのかもしれません。百万人署名運動の仲間は4名で傍聴しました。
報道陣は、記者は15~20人で通常より多く(安倍発言が審査会でどのように受け止められ、今後の審議にどう影響するのかを取材したかったのでしょう)、カメラマンが6~7人(いつものように、出入りを繰り返しながら徐々に減っていきました)、テレビカメラはゼロでしたが途中数分間だけテレビ朝日のカメラが入りました。

つまり、「地方自治等」についてまずは13日に会派間、委員同士で意見を交わし、引き続き20日には参考人を招いて議論を深めようという段取りを立てていたところ、12日の衆議院厚生労働委員会における強行採決をめぐって与野党が対立したあおりを食って13日の審査会は参考人招致を決定するだけで終わり、予定されていた審議は27日に持ち越されました。
ところが、27日は今村雅弘前復興担当大臣の失言・暴言で国会が空転、5月4日は休日、11日は安倍首相のトンデモ改憲発言の影響で見送られ、結局、当初予定の5週間後にようやく開催の運びとなったというわけです。
この日の委員の出席状況はというと、途中まで40人前後で推移していましたが、後半はずっと30人台でした(定数は50)。傍聴者は今国会では最も少なく20人ほどで、この日も闘われた共謀罪反対行動の準備等で参加できなかった方が多かったのかもしれません。百万人署名運動の仲間は4名で傍聴しました。
報道陣は、記者は15~20人で通常より多く(安倍発言が審査会でどのように受け止められ、今後の審議にどう影響するのかを取材したかったのでしょう)、カメラマンが6~7人(いつものように、出入りを繰り返しながら徐々に減っていきました)、テレビカメラはゼロでしたが途中数分間だけテレビ朝日のカメラが入りました。

今回は、まず、当日18日に発信され、この日の議論が簡潔に整理されている『産経ニュース』の記事2本を紹介します。(なお、『産経ニュース』では、各委員が西暦で発言しているにもかかわらず、また、現天皇が退位すれば「平成」は消滅するというのに、それがいちいち元号に書き換えられていますので、引用に当たっては西暦に戻しました)。
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安倍晋三首相の改憲提案めぐり与野党激突、対立鮮明に 衆院憲法審
安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法9条改正と2020年の施行への意欲を表明してから初めての衆院憲法審査会が18日、開かれた。民進党などは猛批判した一方、自民党は停滞する改憲議論に一石を投じた首相を評価。与野党がさっそく激突し、改憲をめぐる対立の構図が鮮明になった。
この日のテーマは「国と地方のあり方」に関する意見表明と自由討議だったが、野党が主眼に置いたのは首相の提案だった。口火を切ったのは民進党の中川正春氏だった。
「国会の立法権を著しく侵害すると同時に議事の混乱を引き起こす行為だ」
こう訴えるとともに、首相への厳重抗議と発言撤回要求を審査会として決議するよう提案した。共産、社民両党も首相を批判した。
民進党の辻元清美氏は「首相は自衛隊が違憲といわれる余地をなくすべきだというが、安全保障法制のときに9割の憲法学者が憲法違反と言ったのに強行採決した。都合のいいときに立憲主義を持ち出すのはご都合主義だ。改憲を論じる資格はない」と反発した。
これに対し、自民党の古屋圭司氏は「党総裁としての発言だ。何も問題ない」と反論。中川氏の提案については「必要ない」と一蹴した。また、審査会に出席した民進党の細野豪志氏が発表した改憲私案について「傾聴に値する」と持ち上げ、改憲をめぐる見解がまとまっていない民進党を揺さぶった。公明党からは首相発言への意見は出ず、賛否が定まっていない複雑な党内情勢をうかがわせた。
日本維新の会の足立康史氏は、今村雅弘前復興相の辞任などに民進党が反発して審査会が約1カ月開かれていなかったことを念頭に「憲法審査会の政局化を主導したい民進党に苦言を呈したい」と訴えた。(沢田大典)
安倍晋三首相の改憲表明に関する衆院憲法審査会のやり取り要旨
衆院憲法審査会で18日、与野党議員は安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法改正に意欲を表明したことをめぐり、賛成、反対の立場からそれぞれの意見を表明した。主なやり取りは以下の通り。
民進・中川正春氏「国会の立法権を著しく侵害すると同時に、議事の混乱を引き起こす行為だ。首相への厳重抗議と発言撤回要求を審査会として決議すべきだ」
共産・赤嶺政賢氏「9条に手を加えることは憲法を根底から覆すことになりかねない」
社民・照屋寛徳氏「首相は国会答弁で『(自身のインタビューを掲載した)読売新聞を熟読せよ』と強弁した。全く不誠実で国会軽視だ」
民進・辻元清美氏「憲法改正には3つの原則がある。国民主権を実現する。法律で対応できることは法律で対応する。国論が二分されている課題はなじまない。首相は立憲主義をわきまえているのか。首相が自衛隊が違憲かもしれないなどの議論が生まれる余地をなくすべきだというが、安全保障法制のときに9割近くの憲法学者が憲法違反だと言ったのに強行採決した。ご都合主義だ」
自民・船田元氏「憲法改正は国会議員が議論して成案を得て国民に発議する。行政の長や内閣に籍を置くものは抑制的であるべきだという私の心は微動だにしていない。しかし、総裁に言われるまでもなく自主的に判断し、議論を前に進めようという点では私の考えは前に進んでいる」
自民・平沢勝栄氏「党総裁として党に向けて述べたもので、何が問題かさっぱり理解に苦しむ」
自民・古屋圭司氏「首相は党総裁として発言した。憲法改正するか否かは国民投票で主権者の国民が決める。発議は国会がする。だからこそ国会議員は大きな責任をかみしめるべきだ。何も問題ない。民進党の細野豪志氏の憲法改正の考え方は傾聴に値する。審査会を活性化する意味では、いい発言だ」
自民・山田賢司氏「スケジュールを決めずに仕事をやることは理解できない。期限を明示したことが問題となっているが、2018年でも遅い。ここにいる衆院議員の任期は2018年で、それまでにわれわれが責任をもって発議するか、発議しないなら『しない』との結論を出すべきだ」
自民・中谷元氏「2020年施行に言及しているが、自民党だけではできない。国会で3分の2の議席を得るということで、各党の理解を得ないといけないし、国論を二分することのないように野党の賛同を目指している」
維新・足立康史氏「安倍総裁の発言に言いがかりをつけて憲法審査会長発言を求め、何かを取ったかのように胸を張るのはマッチポンプだ。お芝居はやめてほしい。憲法審査会の政局化を主導した民進党に苦言を呈したい。辻元氏は『法律でできることは法律で』というが、憲法には法律でできる義務教育無償化が書かれている。『辻元原則』は現行憲法を否定しているので反立憲主義だ」
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衆院憲法審査会で18日、与野党議員は安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法改正に意欲を表明したことをめぐり、賛成、反対の立場からそれぞれの意見を表明した。主なやり取りは以下の通り。
民進・中川正春氏「国会の立法権を著しく侵害すると同時に、議事の混乱を引き起こす行為だ。首相への厳重抗議と発言撤回要求を審査会として決議すべきだ」
共産・赤嶺政賢氏「9条に手を加えることは憲法を根底から覆すことになりかねない」
社民・照屋寛徳氏「首相は国会答弁で『(自身のインタビューを掲載した)読売新聞を熟読せよ』と強弁した。全く不誠実で国会軽視だ」
民進・辻元清美氏「憲法改正には3つの原則がある。国民主権を実現する。法律で対応できることは法律で対応する。国論が二分されている課題はなじまない。首相は立憲主義をわきまえているのか。首相が自衛隊が違憲かもしれないなどの議論が生まれる余地をなくすべきだというが、安全保障法制のときに9割近くの憲法学者が憲法違反だと言ったのに強行採決した。ご都合主義だ」
自民・船田元氏「憲法改正は国会議員が議論して成案を得て国民に発議する。行政の長や内閣に籍を置くものは抑制的であるべきだという私の心は微動だにしていない。しかし、総裁に言われるまでもなく自主的に判断し、議論を前に進めようという点では私の考えは前に進んでいる」
自民・平沢勝栄氏「党総裁として党に向けて述べたもので、何が問題かさっぱり理解に苦しむ」
自民・古屋圭司氏「首相は党総裁として発言した。憲法改正するか否かは国民投票で主権者の国民が決める。発議は国会がする。だからこそ国会議員は大きな責任をかみしめるべきだ。何も問題ない。民進党の細野豪志氏の憲法改正の考え方は傾聴に値する。審査会を活性化する意味では、いい発言だ」
自民・山田賢司氏「スケジュールを決めずに仕事をやることは理解できない。期限を明示したことが問題となっているが、2018年でも遅い。ここにいる衆院議員の任期は2018年で、それまでにわれわれが責任をもって発議するか、発議しないなら『しない』との結論を出すべきだ」
自民・中谷元氏「2020年施行に言及しているが、自民党だけではできない。国会で3分の2の議席を得るということで、各党の理解を得ないといけないし、国論を二分することのないように野党の賛同を目指している」
維新・足立康史氏「安倍総裁の発言に言いがかりをつけて憲法審査会長発言を求め、何かを取ったかのように胸を張るのはマッチポンプだ。お芝居はやめてほしい。憲法審査会の政局化を主導した民進党に苦言を呈したい。辻元氏は『法律でできることは法律で』というが、憲法には法律でできる義務教育無償化が書かれている。『辻元原則』は現行憲法を否定しているので反立憲主義だ」
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この記事からもわかるように、この日の審議でとくに目立ったのは、自民党の委員たちが何度も「安倍発言は問題ない」との趣旨の発言を繰り返したことで、想定外の事態に内心では動揺しながらも、むしろこれを奇貨として改憲に突き進もうとの意思を確認し合っている(=共謀している)のではないかと感じました。
以下の『朝日新聞デジタル』の記事(5月19日付)が、そのあたりの事情をつまびらかにしています。
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以下の『朝日新聞デジタル』の記事(5月19日付)が、そのあたりの事情をつまびらかにしています。
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自民改憲推進本部、役員体制を拡充へ 憲法審は首相発言で応酬
自民党は18日、安倍晋三首相(党総裁)が指示した憲法改正の原案づくりのため、党憲法改正推進本部の役員体制を拡充する方針を決めた。安倍首相は高村正彦副総裁と会談し、取りまとめへの協力を求めた。
一方、首相の改憲発言後、初めて開いた衆院憲法審査会は、与野党が応酬し、対立が深まっている。
自民党の二階俊博幹事長はこの日、党本部で党改憲推進本部の保岡興治本部長と会談した。幹事長室と推進本部の役員メンバーが同席。原案取りまとめに向けて挙党態勢をつくるため、推進本部の役員を増やすことを確認した。二階氏らの就任も想定している。党幹部が検討していた推進本部の下部組織としての委員会設置は当面、見送った。
保岡氏は会談後、記者団に「具体案をできる限り早くまとめ、国民に提示したい」と述べた。議論する改正項目としては、9条改正や教育無償化、緊急事態における国会議員の任期延長の3点を例示した。
また、安倍首相は国会内で高村氏と会談し、原案をとりまとめる保岡氏の「相談に乗ってあげてほしい」と要請した。原案について、公明党と水面下で調整することを想定しているものとみられる。
衆院憲法審査会は、憲法9条に自衛隊を明記する改正や2020年施行に言及した安倍首相の発言をめぐり、民進、共産、社民の委員から「行政府の長の不当な介入」といった厳しい意見が続出。自民の委員は「問題ない」と反論するなど応酬が続き、対立が鮮明になった。(藤原慎一)

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自民党は18日、安倍晋三首相(党総裁)が指示した憲法改正の原案づくりのため、党憲法改正推進本部の役員体制を拡充する方針を決めた。安倍首相は高村正彦副総裁と会談し、取りまとめへの協力を求めた。
一方、首相の改憲発言後、初めて開いた衆院憲法審査会は、与野党が応酬し、対立が深まっている。
自民党の二階俊博幹事長はこの日、党本部で党改憲推進本部の保岡興治本部長と会談した。幹事長室と推進本部の役員メンバーが同席。原案取りまとめに向けて挙党態勢をつくるため、推進本部の役員を増やすことを確認した。二階氏らの就任も想定している。党幹部が検討していた推進本部の下部組織としての委員会設置は当面、見送った。
保岡氏は会談後、記者団に「具体案をできる限り早くまとめ、国民に提示したい」と述べた。議論する改正項目としては、9条改正や教育無償化、緊急事態における国会議員の任期延長の3点を例示した。
また、安倍首相は国会内で高村氏と会談し、原案をとりまとめる保岡氏の「相談に乗ってあげてほしい」と要請した。原案について、公明党と水面下で調整することを想定しているものとみられる。
衆院憲法審査会は、憲法9条に自衛隊を明記する改正や2020年施行に言及した安倍首相の発言をめぐり、民進、共産、社民の委員から「行政府の長の不当な介入」といった厳しい意見が続出。自民の委員は「問題ない」と反論するなど応酬が続き、対立が鮮明になった。(藤原慎一)

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改憲派の本命はやはり国会議員の任期延長か?
さて、上記の保岡興治氏(自民党改憲推進本部長、憲法審査会委員)の記者団への説明の内容や、この日の審査会で細野豪志氏(民進)の改憲試案をことさらに「よいしょ」した古屋圭司氏(自民)の発言を見ると、安倍首相の9条改憲発言にもかかわらず、現段階で改憲派の主だったメンバーが思い描いている改憲項目の第一弾、本命は、緊急事態時における国会議員の任期延長であるように思われます。
ちなみに、古屋氏の名前は、安倍改憲発言をめぐって5月9日に開催された参議院予算委員会での民進党代表・蓮舫氏と安倍氏との質疑において次のような形で登場しました。蓮舫氏が「衆院憲法審査会の議事録を読んでますか」と質したのに対して、安倍氏は「読んでます」と見え透いたウソをつくことは避けて、「古屋圭司幹事から話は聞いているところでございます」と答えたのです。安倍氏と古屋氏との間でどこまで詳細なやりとりがあったのかなかったのか、想像するに難くないと思います。
霞んでしまった地方分権の議論
こうしたやり取りの中で、地方自治の議論はすっかり霞んでしまいました。この日のテーマでしたからもちろん多くの発言があったのですが、メディア各紙、各局はそれをほとんど伝えませんでした。
以下、沖縄について触れた赤嶺政賢委員(共産)と、参議院の合区問題について述べた北側一雄委員(公明)の発言を紹介しておきたいと思います。
北側氏の指摘など「まことにごもっとも」という内容で、どうしてこういう人物が、公明党が9条の解釈を捻じ曲げて集団的自衛権を容認し、安保法制・戦争法の制定に突き進むうえで主導的な役割を担えたのか、氏が心中でどういうふうに折り合いを付けているのか、不思議に思えてなりません。
さて、上記の保岡興治氏(自民党改憲推進本部長、憲法審査会委員)の記者団への説明の内容や、この日の審査会で細野豪志氏(民進)の改憲試案をことさらに「よいしょ」した古屋圭司氏(自民)の発言を見ると、安倍首相の9条改憲発言にもかかわらず、現段階で改憲派の主だったメンバーが思い描いている改憲項目の第一弾、本命は、緊急事態時における国会議員の任期延長であるように思われます。
ちなみに、古屋氏の名前は、安倍改憲発言をめぐって5月9日に開催された参議院予算委員会での民進党代表・蓮舫氏と安倍氏との質疑において次のような形で登場しました。蓮舫氏が「衆院憲法審査会の議事録を読んでますか」と質したのに対して、安倍氏は「読んでます」と見え透いたウソをつくことは避けて、「古屋圭司幹事から話は聞いているところでございます」と答えたのです。安倍氏と古屋氏との間でどこまで詳細なやりとりがあったのかなかったのか、想像するに難くないと思います。
霞んでしまった地方分権の議論
こうしたやり取りの中で、地方自治の議論はすっかり霞んでしまいました。この日のテーマでしたからもちろん多くの発言があったのですが、メディア各紙、各局はそれをほとんど伝えませんでした。
以下、沖縄について触れた赤嶺政賢委員(共産)と、参議院の合区問題について述べた北側一雄委員(公明)の発言を紹介しておきたいと思います。
北側氏の指摘など「まことにごもっとも」という内容で、どうしてこういう人物が、公明党が9条の解釈を捻じ曲げて集団的自衛権を容認し、安保法制・戦争法の制定に突き進むうえで主導的な役割を担えたのか、氏が心中でどういうふうに折り合いを付けているのか、不思議に思えてなりません。
赤嶺政賢氏
沖縄は、今月15日で、平和憲法のもとに帰るということで復帰して45年が経った。しかし、今なお沖縄では憲法の上に安保が置かれている。政府は、米軍基地のために法律の恣意的な運用を重ね、地方のあらゆる権限を蹂躙し、地方自治も民主主義も踏みにじっている。
こうした沖縄の現状に対して、先日(前回、4月20日の審査会を指しています)、参考人4人全員が国策によって民意が一顧だにされない現状への批判を示したことはきわめて重要であり、歴代の自民党、安倍政権の責任が問われている。
9条とともに日本国憲法で初めて位置づけられた地方自治は、憲法の基本原則を地方政治においても貫くことを求めていることを指摘しておきたい。
沖縄は、今月15日で、平和憲法のもとに帰るということで復帰して45年が経った。しかし、今なお沖縄では憲法の上に安保が置かれている。政府は、米軍基地のために法律の恣意的な運用を重ね、地方のあらゆる権限を蹂躙し、地方自治も民主主義も踏みにじっている。
こうした沖縄の現状に対して、先日(前回、4月20日の審査会を指しています)、参考人4人全員が国策によって民意が一顧だにされない現状への批判を示したことはきわめて重要であり、歴代の自民党、安倍政権の責任が問われている。
9条とともに日本国憲法で初めて位置づけられた地方自治は、憲法の基本原則を地方政治においても貫くことを求めていることを指摘しておきたい。
北側一雄氏
今日の委員のご意見の中に、参議院選挙制度に関連して合区の解消の話が多く出ていた。なぜこんな問題が起こっているかと言うと、一票の価値の平等の問題から出ているわけで、憲法43条では「両議院は、全国民を代表する選挙された議員で組織する」と規定されており、全国民の代表だから一票の価値は2倍未満におさめないといけないという考えが出てくる。
憲法14条のもとで、一票の価値は平等でなければいけないということが出てくる。したがって、参議院において各県から代表を出すんだという選挙制度をとった場合は、おそらく43条の全国民の代表と規定されているところを改正しないといけないという問題がある。
それとともに、参議院を地域代表にするということは、単に43条を変えればいいというだけでなく、衆参の役割についても変えていかないといけないのだろうと思う。現行の憲法上は、若干衆議院が優越されるところはあるが、衆議院も参議院もほぼ同じ権能を持っている。
もし参議院を地域代表の性格を強くしていくというなら、憲法59条は法律案、60条は予算案、61条が条約、これらはそれぞれ両議院の議決になっているが、おそらくここの見直しも避けて通れないと思う。
参議院の緊急集会規定、これも地域代表の参議院で緊急集会ができるとも思えない。
さらに言えば、内閣総理大臣は国会議員から選ぶと書いてあるが、地域代表の中から選ぶわけにはいかないから、憲法の67条の規定についても見直しが必要かもしれない。
68条では国務大臣の過半数は国会議員でなければいけないという規定があるが、国務大臣は国を代表するわけだから、これもまた場合によっては衆参の役割の見直しが必要ではないか。
というふうに、合区の解消の問題というのはひじょうに難しく、二院制の意義、両議院の役割の見直し、こういう問題に直結するということもぜひご理解いただいて、今後議論を進めていく必要があると私は思っている。
今日の委員のご意見の中に、参議院選挙制度に関連して合区の解消の話が多く出ていた。なぜこんな問題が起こっているかと言うと、一票の価値の平等の問題から出ているわけで、憲法43条では「両議院は、全国民を代表する選挙された議員で組織する」と規定されており、全国民の代表だから一票の価値は2倍未満におさめないといけないという考えが出てくる。
憲法14条のもとで、一票の価値は平等でなければいけないということが出てくる。したがって、参議院において各県から代表を出すんだという選挙制度をとった場合は、おそらく43条の全国民の代表と規定されているところを改正しないといけないという問題がある。
それとともに、参議院を地域代表にするということは、単に43条を変えればいいというだけでなく、衆参の役割についても変えていかないといけないのだろうと思う。現行の憲法上は、若干衆議院が優越されるところはあるが、衆議院も参議院もほぼ同じ権能を持っている。
もし参議院を地域代表の性格を強くしていくというなら、憲法59条は法律案、60条は予算案、61条が条約、これらはそれぞれ両議院の議決になっているが、おそらくここの見直しも避けて通れないと思う。
参議院の緊急集会規定、これも地域代表の参議院で緊急集会ができるとも思えない。
さらに言えば、内閣総理大臣は国会議員から選ぶと書いてあるが、地域代表の中から選ぶわけにはいかないから、憲法の67条の規定についても見直しが必要かもしれない。
68条では国務大臣の過半数は国会議員でなければいけないという規定があるが、国務大臣は国を代表するわけだから、これもまた場合によっては衆参の役割の見直しが必要ではないか。
というふうに、合区の解消の問題というのはひじょうに難しく、二院制の意義、両議院の役割の見直し、こういう問題に直結するということもぜひご理解いただいて、今後議論を進めていく必要があると私は思っている。
これから憲法審査会はどのように進められていくのか。
改憲に向けた策動、その兆候をいち早くつかむためにも、まだ今国会で一度も開かれていない参議院の審査会を含めて、傍聴を続けたいと思います。(G)