9か月ぶり、選挙後初、今国会初の開催
11月16日(水)13時から(と言っても、私たちが議場に入れたのは13時4分頃でしたので、正確な開始時間はわかりません:参院では傍聴者の入場手続きが遅れることが多く、こういうことがしばしば起こるので、本当に何とかしてほしいと思います)、参議院憲法審査会が開かれました。
両院を通じて今国会で初めて、参議院では今年2月17日(水)以来9か月ぶりの開催になります。
私たち百万人署名運動は、西川重則事務局長を先頭に5人で傍聴してきました。閉会は15時1分頃でした。

この日のテーマは「憲法に対する考え方について」でした。7月の選挙を経て多くの委員が入れ替わり、審議は一旦振り出しに戻った感じです。
なお、8月初めの段階では自民党から「これから勉強しますの今井絵理子や神武天皇実在説の三原じゅん子」(あるブログでの表現を借用しました)が参加するとされていましたが、その後党内でも異論があったのか、残念(?)ながらメンバー入りは見送られたようです。
委員の出席率はきわめて高く、私たちが入場した時点では44人(定数は45人ですから、欠席は1人だけ)、その後もずっと40人以上が在席していました。
久しぶり、かつ、参院でも改憲派が3分の2超の勢力となって初の審査会とあってメディアの関心も高く、20人ほどの記者と10人以上のカメラマンがいて、議場にはテレビカメラ6台(NHKと民放のキー局すべて)が入っていました。
傍聴者も多く、40~50人が詰めかけていたと思います。
各会派の主張
この日の審査会では、最初に、8会派の代表が7分間ずつ意見を述べました。
まず、その概要を簡潔に整理した『毎日新聞』掲載の表を引用しておきます。
この表には各会派の委員数も記されており、自民党だけで過半数の23を占め、公明党、日本維新の会、無所属クラブ、日本のこころを加えた改憲勢力全体では3分の2(30)を超える32となっていることがわかります。

両院を通じて今国会で初めて、参議院では今年2月17日(水)以来9か月ぶりの開催になります。
私たち百万人署名運動は、西川重則事務局長を先頭に5人で傍聴してきました。閉会は15時1分頃でした。

この日のテーマは「憲法に対する考え方について」でした。7月の選挙を経て多くの委員が入れ替わり、審議は一旦振り出しに戻った感じです。
なお、8月初めの段階では自民党から「これから勉強しますの今井絵理子や神武天皇実在説の三原じゅん子」(あるブログでの表現を借用しました)が参加するとされていましたが、その後党内でも異論があったのか、残念(?)ながらメンバー入りは見送られたようです。
委員の出席率はきわめて高く、私たちが入場した時点では44人(定数は45人ですから、欠席は1人だけ)、その後もずっと40人以上が在席していました。
久しぶり、かつ、参院でも改憲派が3分の2超の勢力となって初の審査会とあってメディアの関心も高く、20人ほどの記者と10人以上のカメラマンがいて、議場にはテレビカメラ6台(NHKと民放のキー局すべて)が入っていました。
傍聴者も多く、40~50人が詰めかけていたと思います。
各会派の主張
この日の審査会では、最初に、8会派の代表が7分間ずつ意見を述べました。
まず、その概要を簡潔に整理した『毎日新聞』掲載の表を引用しておきます。
この表には各会派の委員数も記されており、自民党だけで過半数の23を占め、公明党、日本維新の会、無所属クラブ、日本のこころを加えた改憲勢力全体では3分の2(30)を超える32となっていることがわかります。

次に、『NHK』のニュースから、発言の内容をもう少し詳しく、発言者の氏名・役職とあわせて紹介しておきます。
自民党の中川・元参議院議院運営委員長は、「現行憲法は、日本の主権が制限されたなかで制定され、国民の自由な意思が十分に反映されたとは言い難いことは事実だ。自主的な憲法改正は、まさに国政の重要な課題となっている。自民党の憲法改正草案を、そのまま審査会に提案するつもりはない」と述べました。
民進党の白眞勲参議院議員は、「現行憲法は、戦後日本の発展と平和国家構築に多大な貢献をし、今後も『国民主権』や『基本的人権の尊重』、『平和主義』の理念は、国民の生命などを守るうえで不可欠だ。まずは現行憲法を正しく評価し、そのうえで憲法を守ることが、今求められている」と述べました。
公明党の西田・参議院幹事長は、「憲法ができるまでの過程をつぶさに見ると一方的な押しつけでないことは明らかで、現行憲法は、すぐれた憲法であると積極的に評価している。現行憲法を維持したうえで、改正が必要になった場合に新たな条文を付け加える形の、『加憲』という方法を主張する」と述べました。
共産党の山添拓参議院議員は、「国民の多数が改憲を求めていないなか、憲法審査会を動かす必要はないし、動かすべきではない。今求められているのは、戦争する国をつくり、憲法改正に進んでいくことではなく、憲法を生かし、憲法が掲げる理想に現実を少しでも近づけることだ」と述べました。
日本維新の会の浅田政務調査会長は、「現行憲法は、平和主義や基本的人権の尊重という基本的な価値を国民に根づかせたという点で評価できるが、憲法裁判所や未来志向を欠くといった点で不備がある。審査会に各会派が憲法改正原案を持ち寄り、改正の是非を議論できるようになってほしい」と述べました。
社民党の福島副党首は、「今の日本で、憲法で定められた健康で文化的な最低限度の生活を営む権利などは実現しているのか。国会は、こうした憲法価値の実現こそやるべきで、改憲の必要性はない」と述べました。
参議院の会派「無所属クラブ」の松沢成文参議院議員は、「来年度、憲法審査会が世論調査を行い、多くの国民の憲法改正に向けた方向を把握したうえで、憲法改正の発議案をしっかり議論すべきだ」と述べました。
日本のこころを大切にする党の中山代表は、「憲法は、国の形を示すもので、日本人自身の手で日本の国柄を明確に表現したものにしなければならない。今後、各党が憲法改正案を提出し、審査に着手すべきだ」と述べました。
合区解消が新たな論点に
さて、次に引用する『朝日新聞』の記事にあるように、意見表明に続いて行われた自由討議の中で、自民党の複数の委員が参議院選挙区の「合区」解消を新たな改憲のテーマとして提起しました。
さて、次に引用する『朝日新聞』の記事にあるように、意見表明に続いて行われた自由討議の中で、自民党の複数の委員が参議院選挙区の「合区」解消を新たな改憲のテーマとして提起しました。
「都道府県の代表として構成される参院議員を憲法にしっかりと明記すべきだ」。自民はこの日、香川、佐賀、富山、福井、長崎、高知、鳥取の各県選出議員が次々と、参院議員の位置づけを変えるための憲法改正を行う必要性を訴えた。
自民は参院選で「都道府県から少なくとも1人が選出されることを前提として、憲法改正を含めそのあり方を検討」を公約、今月9日に「参院合区解消問題プロジェクトチーム」を立ち上げた。
この日の審査会では、「合区」解消が有力な改憲項目だとアピールする狙いがあったとみられる。「国民にとって最も抵抗感の少ない改憲テーマ」(自民党幹部)だからだ。
ただ、同じ「改憲勢力」でも、足並みはそろわない。公明の西田実仁氏は、「現行憲法上、選挙制度はあくまで法律事項。(改憲は)本末転倒の議論」と、反対姿勢を示した。
今のところ自民党内の議論に止まっているようですが、今後の展開を注視していく必要があると思います。
相変わらずの改憲論も
自由討議では新味のない改憲論も健在でした。この日の審査会でのすべての発言を報じた『東京新聞』の記事から2つだけ紹介すると……
松川るい氏(自民) 前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」とあるが、ユートピア的で平和ぼけの元凶。北朝鮮、中国のような国を信頼して国の領土を守れない。
西田昌司氏(自民) (現行憲法は)占領期間中に連合国軍総司令部(GHQ)の指令で、完全に日本を非武装にするためにつくられた。占領時代の事実を押さえないと、きちんとした議論ができない。
松川氏は外交官出身で、自民党の公募に応じて政治家に転じています(今年の参院選で初当選)。
西田氏は、占領時代の事実に基づかない議論は「ちゃんちゃらおかしい」とまで述べていました(これは氏の口癖のようですが)。
この日の議論を聞く限りでは、メディアがそれを「『改憲勢力』すれ違い」(『朝日新聞』)、「改憲勢力に温度差」(『毎日新聞』)などと見出しを付けて報じたのも的外れとは言えないかもしれませんが、私たちは、いまや国会の勢力図が、一旦改憲の発議に向けた歯車が動き出せば、それを止めるのは文字どおり至難の業であるという状況にあることを、常に念頭に置いておかなければならないと思います。(G)