許すな!憲法審査会

「とめよう戦争への道!百万人署名運動」ブログを改めて、改憲の憲法審査会動向をお伝えしていきます。百万人署名運動は、「改憲・戦争阻止!大行進」運動に合流しました。

2026年06月

6月18日(木)10時から、今国会10回目の衆議院憲法審査会が開催されました。
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最初に前回の審査会で審議入りし30分で質疑を終えた改憲手続法(以下、「国民投票法」と記します)一部改正案が採決され、反対討論を行った畑野君枝氏(共産党)を除く6会派の賛成で可決されました。続いて、6会派が共同提案した附帯決議案の趣旨説明と採決が行われ、同じく共産党を除く賛成多数で可決されました。
この間、開会からわずか5分ほどで、会長と畑野氏を除く全員が起立するという異様な(個人的な感想です)光景が2度にわたり繰り返されました(写真下)。結果、前回の審議とあわせてたった35分で国民投票法改正案は衆院憲法審を通過したことになります。
採決時の様子
採決時の様子(『産経新聞』のウェブサイトから)

以下、この日の国民投票法改正についてこれまでの経緯と今後の見通しもあわせてていねいに報じていた『NHK』の記事とともに、國重徹氏(中道)が趣旨説明に代えて読み上げた附帯決議案のコピーを転載します。

国民投票法改正案 衆院憲法審査会で賛成多数で可決
『NHK ONE』2026年6月18日(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015153261000)

憲法改正の手続きを定めた国民投票法について、投票環境を整備するための改正案は衆議院憲法審査会で採決され、自民・維新両党と中道改革連合などの賛成多数で可決されました。

自民・維新両党と国民民主党、参政党の4党が提出した国民投票法の改正案は18日の衆議院憲法審査会で討論・採決が行われました。
改正案は、現在の公職選挙法に合わせて投票の立会人の要件を緩和するなど投票環境を整備するためのもので、採決の結果、自民・維新両党と中道改革連合、国民民主党、参政党、チームみらいの賛成多数で可決されました。共産党は反対しました。

また、国民投票を行う際の広告の規制やインターネット利用のあり方について速やかに検討し、必要な措置を講じるとした付帯決議が賛成多数で可決されました。
改正案は19日の衆議院本会議で可決され、参議院に送られる見通しです。

参院 24日から審議入りへ 自民・立民が合意
自民党の磯崎参議院国会対策委員長と、参議院で野党第1党の立憲民主党の斎藤国会対策委員長が国会内で会談し、改正案の取り扱いを協議しました。

その結果、改正案が19日に衆議院を通過し参議院に送られれば、来週24日に憲法審査会を開いて審議入りすることで合意しました。また磯崎氏は来月1日に審査会を開いて質疑と採決を行いたいと提案し、引き続き協議することになりました。

付帯決議 これまでの経緯
国民投票法の改正案は、現在の公職選挙法に合わせて投票環境の整備などを行うためのものです。
4年前に自民党、公明党、日本維新の会などが同様の法案を提出しましたが、衆議院の解散に伴い廃案となったため、今月5日、自民・維新両党と国民民主党、参政党の4党が改めて共同で提出しました。

先週11日に衆議院憲法審査会で審議入りし、自民党は投票の立会人のなり手不足が指摘される中で、選任の要件を緩和するなどの内容だとして早期の可決に理解を求めました。

これに対し、中道改革連合やチームみらいは、今の国民投票法の付則には国民投票を行う際の広告のあり方などを検討することが盛り込まれているものの、手付かずのままだと指摘し対応を求めました。

このため自民党と中道改革連合を中心に協議を進めた結果、広告や資金の規制、インターネット利用のあり方について速やかに検討し、必要な法制上の措置を講じるなどとした付帯決議を可決させることで合意し、中道やみらいも改正案に賛成することとなりました。

与党側筆頭幹事“非常に円満な結果でよかった”
与党側の筆頭幹事を務める自民党の新藤 元経済再生担当大臣は記者団に対し「7会派のうちの6会派が合意し、付帯決議を採決できたことは非常に円満な結果でよかった。速やかに衆議院で手続きをとり、参議院で審議が進むことを期待している」と述べました。

野党側筆頭幹事“国会の意思を明確にできた”
野党側の筆頭幹事を務める中道改革連合の国重徹氏は記者団に対し「公職選挙法に合わせるための項目には異論はなかったが、広告規制などについて速やかに検討する必要があるので付帯決議案を提出した。6党の合意を得て国会の意思として明確にすることができた」と述べました。
* 引用、ここまで。
附則決議

附帯決議案の「二」は、2021年の国民投票改正時の附則第4条の「二」を一字一句違わず引き写したものでした。つまり、法律の一部である附則に「施行後3年を目途」として「検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする」と明記されていながらこれまで放置されてきた事項が、スケジュールに関する文言を削られた上で法的効力を有しないとされる附帯決議に格下げされたわけです。2007年の国民投票法制定時の最低投票率に関する附帯決議が今日まで無視されてきたことからみても、その実効性には大きな疑問があると言わざるを得ません。
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『NHK』の記事によれば、これを「国会の意思として明確にすることができた」と自画自賛して賛成に回ってしまった中道改革連合の対応は自己満足に過ぎず、(予想していたとは言え)本当にがっかりさせられました。

畑野氏は反対討論で議員や首長を選ぶ選挙と改憲の賛否を問う国民投票は全く異なるものであること、現行の国民投票法には最低投票率の規定の欠如、公務員や教員の国民投票運動の不当な制限など根本的な欠陥があることを指摘し、「公選法並びの改正を重ねて国民投票法の形を整えたように装い、改憲の準備が進んでいるかのように見せる姑息なやり方はやめるべきだ」と述べましたが、こうした議論を展開する委員が50人中1人だけという衆院憲法審の現状を2度の起立採決で文字どおり目の当たりにさせられました。
不快なものを無理矢理見聞きさせられるという、大げさに言えば拷問のような時間でしたが、それでも私たちは改憲阻止の声を上げ続けなければなりません。

なお、上掲の『NHK』の記事にあるとおり、国民投票法改正案は翌19日に衆議院本会議で可決されて参議院に送付され、24日に開かれた参議院憲法審査会で審議入りしました。

憲法9条改憲論議に踏み込む

このようにして国民投票法改正案がサッサと処理された後、この日の憲法審では、「9条に関する集中的な討議」が行われ、いつものように各会派代表1人・7分ずつの発言と6人の委員の5分ずつの意見表明があり、11時25分頃閉会となりました。

以下、審議の内容が簡潔に整理・紹介されている『時事通信』の記事を転載させていただきます。

9条改正巡る論点整理提案 自民、議論加速狙う―衆院憲法審
『時事ドットコムニュース(時事通信 政治部)』2026年6月18日
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2026061801025&g=pol)

衆院憲法審査会は18日、戦争放棄を定めた憲法9条に関する集中討議を行った。9条に特化した議論は今国会で初めて。自民党は衆院として意見集約を進めるため、9条改正に関する「論点整理」を行うことを提案。中道改革連合などは慎重な姿勢を示し、折り合わなかった。

自民は今国会で、緊急事態条項創設のたたき台「イメージ案」を衆院憲法審事務局などにまとめさせ、議論の進展を図っている。自民としては9条を重視する日本維新の会の主張を踏まえ、9条改正の議論も加速させたい考えとみられる。

自民の新藤義孝氏は討議で「9条改正は安全保障法制の完成をもたらす」と主張し、「論点整理を行いながら、結論を出せるよう集約したい」と提起。田野瀬太道氏も「論点整理を行うなど議論のピン留めをお願いしたい」と呼び掛けた。

これに対し、中道の国重徹氏は「わが国の防衛のために必要な法整備は既になされている」と9条改正の必要性を疑問視。「9条は平和国家としての歩みそのもの。国論を二分しないよう十分な慎重さと丁寧さが求められる」とくぎを刺した。

討議では自民と維新の意見の隔たりが改めて鮮明になった。新藤氏は現行の9条1項、2項を維持した上で、自衛隊保持を記した9条の2を追記する案を主張。これに対し、維新の阿部圭史氏は戦力不保持を定めた2項を削除し、集団的自衛権行使を全面容認するよう訴えた。

国民民主党の玉木雄一郎代表は「与党と野党のやりとりかと思った」と皮肉交じりに指摘。高市早苗首相が来年春までに改憲の国会発議にめどを付けたいとしていることに触れ、「与党間でさえ議論の分かれる話を今から始めても間に合わない」と自民を批判した。

参政党は9条の「根本的改正」、チームみらいは丁寧な議論、共産党は改正反対を訴えた。
* 引用、ここまで。

この記事では「9条に特化した議論は今国会で初めて」と書かれていますが、実際にはテーマを絞らないで開かれたり今後何をテーマとすべきかが議論されたりした際に、また緊急事態条項など別のテーマのときにも9条や自衛隊、自衛権の議論はたびたび行われてきましたので、今回、特に目新しい論点や意見が提起されたわけではありません。

自民党の9条改憲案のペテン性

この日一番目立ったのは、上掲の記事にあるように9条改憲に関する自民と維新の見解の不一致でしたが、だからといって安心しているわけにはいきません。
というのも、新藤義孝氏(自民)はこんな見解を述べていたからです。少し長くなりますが、大事な点だと思いますので紹介します。

「私たち自民党は、いかなるときも国と国民を守り抜くための国防のあり方を規定し、その担い手である自衛隊を明記する憲法9条の改正を提案している。1項、2項をそのまま残しているのは平和主義の原理を尊重する姿勢の表れであり、憲法上の自衛隊の位置づけを変えようとは考えていない。
他方、自衛隊の活動内容と機能は安保環境の変化や軍事技術の革新など我が国を取り巻く安全保障上の脅威に対応するものでなければならず、状況に応じた安全保障法制の検討と速やかな整備は必須である。9条を改正することは安全保障法制の完成をもたらし、国防体制の強化につながると考えている。」

2015年の平和安全法制の整備では、限定的な集団的自衛権を定める存立危機事態や重要影響事態における活動が位置づけられ、在外邦人等の保護措置など国民を守るため必要な措置も整備された。国の存立と国民の生命・財産を守るために必要な切れ目のない措置が実施可能となり、自衛隊による我が国防衛のための活動は現状において必要かつ十分に行えるようになった。
しかし、今後も自衛隊に求められる機能は安保環境などに応じて変化させていかなければならず、現在検討されている防衛3文書の整備・改定などはその具体例と言える。我が国を守るための自衛隊の運用は、憲法上の位置づけの明確化とあわせて安全保障法制の整備を行う総合的な検討により常に最適な状態にしておく必要がある。」

「このように自衛隊は国と国民を守るために必要かつ十分な行動を取ることができるが、諸外国の軍隊と異なる点もある。その一つは、他国を占領したり占領行政を敷くことは行わないこと、もう一つは自国防衛と直接関係のない純粋な国際協力の場面で武力行使を行うことはしないことだ。」

「現行憲法には誰がどのような手段を用いどのように国を守るかという国家の最重要任務である国防の観点が規定されていない。憲法に国防規定を創設し、その担い手となる自衛隊を明記することにより憲法の未完成部分を埋めようとするのが自由民主党の提案であることをご理解いただきたい」

要するに新藤氏は、2015年に安保法制(彼らの言葉では「平和安全法制」)が整備されたことによって、今の憲法9条の下でも自衛隊による我が国を防衛するための活動は必要かつ十分に行えるようになっている(他国を占領する以外はなんでもできる)が、我が国を取り巻く安全保障上の脅威に対応するためには、憲法に国防規定を創設して自衛隊の憲法上の位置づけを明確化する必要があると主張しているわけです。

まず、自民党を中心に9条違反の安保法制を強行しておいて、さらに、それを基にした安保3文書を勝手に決定しておいて、今度はその安保3文書をいつでも改定して自衛隊の規模・活動内容をいくらでも「必要十分に」できるのだと居直っていることに、本当に許せない!と憤りを感じます。

また、「国防規定の創設」も危険です。帝国主義の侵略戦争は基本的に「国防」「自衛」の名で行われています。自民党案は9条1項、2項をそのままにして9条の2を加え、①9条の規定は「必要な自衛の措置」をとることを妨げず、②そのための「実力組織としての自衛隊を保持する」ことを明記するというものですが、これでは9条、特に2項の戦力の不保持、交戦権の否認は事実上否定され、空文化してしまいます。(法律には新規定が優先されるという原則があります)。
自民党の9条改憲案は、「国民」の反戦意識を警戒し、欺いて9条改憲を突破してしまおうというやり方に他なりません。
絶対に反対していきましょう!

この日の傍聴者は前回より少し増えて60人ほどで、参議院憲法審査会で奮闘している奥田ふみよ氏(れいわ)も来ていました。議場にいた記者は2~3人で、採決の様子を撮るためか、最初TVカメラが2台入っていました。(銀)

6月11日(木)10時から、今国会9回目の衆議院憲法審査会が開催され、改憲手続法(以下、「国民投票法」と記します)の一部改正案が審議入りしました。
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改正案の提出者は古屋圭司会長(自民)と中道改革連合の國重徹氏を除く衆院憲法審の幹事8名(新藤義孝氏をはじめ自民党6名と維新の会の馬場伸幸氏、国民民主党の浅野哲氏)と参政党の和田政宗氏の計9名で、彼らはいつもの席順とは違い、会長席に向かい合うような場所にまとまって座りました。
新藤氏による趣旨説明の後、階猛氏(中道)、古川あおい氏(チームみらい)、畑野君枝氏(共産党)が質疑を行い、提出者が代わる代わる答弁しました。

古屋会長はいつもと違って質疑の制限時間を示しませんでしたが、階氏と古川氏は「時間が来たので終わる」と述べて発言を終え、畑野氏に対しては古屋氏が「質疑の時間は終局した」と言って発言を強制終了させました。そして古屋会長が「これにて本案に関する質疑は終局した」と述べて審議は終了、この間、わずか30分弱でした。

まず、この日の質疑について、改正案の内容も含めて簡潔でわかりやすく報じられていた『NHK』の記事を転載させていただきます。
特に、「審査会に先立って行われた幹事会では、与党側が改正案を来週18日の審査会で採決したいと提案し」という部分に注目してください。審査会しか傍聴できない私たちには知るよしもありませんでしたが、与党=改憲勢力は30分にも満たない審議で改正案を成立させようとしています。怒りを覚えずにいられません。
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衆院憲法審査会 自民など4党提出の国民投票法改正案 審議入り
『NHK ONE』2026年6月11日(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015147181000)

自民党など4党が提出した憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案が衆議院憲法審査会で審議入りしました。自民党は公職選挙法にあわせて投票環境の整備などを行うものだとして理解を求めたのに対し、中道改革連合は投票の際の広告規制などについても結論を出すよう求めました。

国民投票法の改正案は、自民・維新両党と国民民主党、参政党の4党が、先週、共同で提出し、11日、衆議院憲法審査会で審議入りしました。

提出者を代表し、自民党の新藤元経済再生担当大臣は、趣旨説明で「投票環境の整備について『公職選挙法ならび』にするという考え方にのっとっている。法案は投票立会人の選任要件を緩和するなどの内容で、審議の上速やかに可決してほしい」と述べました。

一方、中道改革連合の階幹事長は「CMの制限やネットなどの適正利用の確保策については手付かずだ。法案が成立しても宿題として残るが、全力で協力するので一刻も早く仕上げることを約束してほしい」と訴えました。
審査会に先立って行われた幹事会では、与党側が改正案を来週18日の審査会で採決したいと提案し、引き続き協議することになりました。

国民投票法 改正案 詳しく
国民投票法の改正案は、現在の公職選挙法にあわせて投票環境の整備などを行うためのものです。
改正案では、
▽投票の立会人のなり手不足が指摘される中、立会人の居住地などの要件を緩和するほか、
▽悪天候で離島から投票箱を運べない場合などに、現地で開票所を設けることを可能にすることが、盛り込まれています。
また、
▽ラジオのAMだけでなく、FMでも憲法改正案を広報するための放送を可能にするとしています。

国民投票法の改正案をめぐっては、4年前に、自民党、公明党、日本維新の会などが衆議院に法案を提出し、審議入りしましたが、衆議院の解散に伴い廃案となりました。
このため、自民・維新両党と国民民主党、参政党の4党が、先週、4年前と同じ内容の改正案を衆議院に共同で提出しています。
* 引用、ここまで。

「附則第4条」を反故にしようとするのか!

質疑を行った3名のうち改正案に反対したのは畑野氏だけで、階氏と古川氏は5年前の改正時の附則第4条(*)のうち二号が手つかずのままになっていることを取り上げて提出者に今後の対応を質しました。

*2021年改正法附則第4条
国は、この法律の施行後3年を目途に、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
一 投票人の投票に係る環境を整備するための次に掲げる事項その他必要な事項
 イ 天災等の場合において迅速かつ安全な国民投票の開票を行うための開票立会人の選任に係る規定     の整備
 ロ 投票立会人の選任の要件の緩和
二 国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項
 イ 国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限
 ロ 国民投票運動等の資金に係る規制
 ハ 国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策

ところが、階氏の質疑に対する新藤氏の回答は、「附則4条については、所定の検討期限を経過しても規範性が残っているという見方と、期限の経過とともに法規範性は失われたという見方がある」が、「できる限り速やかに検討を行って、必要な法制上の措置を講ずることが望ましいと考えている」というふざけたもので、古川氏の質疑に対する浅野氏の回答も同様でした。

階氏は、「高市首相の疑惑に関して、実際にどういう動画が作成されたのか、週刊文春の電子版の有料会委員になって見てみた」ところ、「冷静に見れば対した内容ではない」が、「専門家によると、質が低くても大量に出回れば世の中にある種の空気が生まれ、情報を浴びる受け手は判断能力が低下して認知疲労という状態に陥るため、こうした手法も有効だ」と述べ、「2021年の時点より3つの事項の法的規制の必要性は高まった」と主張しましたが、新藤氏は「とても重要なご指摘だと思う」と受け流し、「速やかに必要な法制上の措置を講ずることが望ましいと考えている」と繰り返すばかりでした。

「広報協議会」について

また、国民投票法改正案の質疑の中で、畑野氏が「広報協議会」について質問していましたが、これも大問題だと思います。

「広報協議会」は、改憲案の広報内容を作成するところですが、詳しくはまだ決められていません。この日の改正案提案者も「広報実施規程などの広報協の関係規程を早急に整備する必要がある」と答えていました。
畑野氏は「そもそも、広報協議会の20人の委員は、会派の所属議員数の比率により割り当てることになっている。改憲に賛成した会派が大多数を占めることになり、反対した会派の委員は僅か1人しかいないこともあり得る。極めて不公平な構成で、とても中立的とは言えない。」と指摘しました。

自民、維新が9条をめぐる議論の深化を主張

この日は、国民投票法改正案の趣旨説明と質疑に続いて、古屋会長が「日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題について討議を行う」と述べ、自由討論が行われました。いつもは各会派代表1人・7分ずつの発言の後6人ほどの委員が5分ずつ意見を述べるのですが、今回は代表1人・5分ずつの発言だけで終了し、11時5分頃に閉会となりました。

この中で、自民党の新藤義孝氏は、「今後さらに深掘りすべき論点」として「緊急事態条項のうちの緊急政令」と「9条」を挙げ、維新の会の馬場伸幸氏も「今後の討議において9条に軸足を置いた議論を加速させ、速やかに成案を得ることが不可欠だ」と述べましたが、両氏の主張する9条改正の方向性には大きな食い違いがありました。

以下に転載させていただく『毎日新聞』の記事でわかりやすく説明されていますが、今自民党と維新の会の9条改憲案に齟齬があるからといってゆめゆめ警戒を怠ることはできません。
自民党が2012年に発表した『日本国憲法改正草案』では、9条2項を「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。」と改めるとともに、9条の2を創設して「国防軍」を保持することを謳っていますが、野党だった時代に作成されたこの草案の内容こそ、自民党内多数派の宿願を率直に表現したものであると考えられるからです。

憲法9条で溝浮き彫りの自民と維新 「2項」維持巡り 衆院憲法審
『毎日新聞』2026年6月11 日(https://mainichi.jp/articles/20260611/k00/00m/010/313000c)

憲法9条の改正方針を巡り、11日の衆院憲法審査会で、連立政権を組む自民党と日本維新の会の意見の違いが浮き彫りとなった。自民は戦力不保持と交戦権否認を定めた同条2項を含む現行規定を維持した上で、自衛隊を明記する方針を改めて説明したが、維新は同項削除の必要性を主張。両党は早期の憲法改正実現で合意しているが、その「本丸」である9条改正で溝が深いことを示した。

審査会で、自民の新藤義孝元総務相は、9条1項と2項を残したまま自衛隊を明記する同党案について「平和主義に基づく自衛隊の位置付けはこれからも堅持すべきだ。1、2項を残したのはそうした意味合いがある」と説明。「憲法に国防規定を明確に位置付けようとするのが自民党の提案だ」と訴えた。

一方、維新の馬場伸幸前代表は「2項を削除し、世界基準の軍隊の実力を備えなければ、自衛隊は永遠に張り子の虎のままだ」と指摘。戦力不保持の規定を維持したままその例外として自衛隊を明記すれば「2項は事実上、死文化した装飾条文」となると強調した。【安部志帆子】
* 引用、ここまで。


今、高市政権は防衛費=軍事費の拡大と自衛隊の基地・装備の増強、在日米軍や同盟国・同志国との連携の強化を推進しつづけ、自民党は年内に改定される安保3文書に新しい戦い方、継戦能力の確保、防衛産業=軍事産業の抜本強化を盛り込むよう提言しています。こうした路線を突き進むためには憲法、特に9条が障害になります。だからこそ、改憲勢力は憲法に手を突っ込もうとしているのです。何としても改憲、そして戦争を阻止しましょう。そのための行動を続けていきましょう。

この日の傍聴者は前回より少し増えて55人ほど、議場にいた記者は2~4人で、開会からしばらくはTVカメラが1台入っていました。(銀)

先週に引き続き、6月10日(水)に今国会5回目の参議院憲法審査会が開かれました。今回も審議テーマは「緊急事態対応」についてでした。
最初に憲法学者2人(長谷部恭男・早稲田大学法学学術院教授と只野雅人・専修大学大学院法務研究科教授)から意見陳述してもらい、そのあと8会派からの質疑がありました。
参院憲法審

長谷部教授は、5月14日(木)に衆議院憲法審査会に提出された「緊急事態条項」イメージ案をそのまま資料として配布し、「こうした改正は必要ない」という考えを示しました。また、只野教授も基本的に同様でした。

衆議院憲法審査会では、すでにこのイメージ案を土台に「概ね合意を得られると見なせる“ピン留め”整理」(自民党)が行われ、「条文化を積極的に進めるべき」(日本維新の会)と与党による改憲発議へ向けた審議が進んでいますが、それがいかに異様な事態であるかを浮き彫りにするものでした。

以下、2人の参考人の意見表明の中で、なるほどと思った点を紹介します。

改憲派が主張する「70日上限説」について

憲法54条はその1項で、「衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に国会を招集しなければならない」と定め、2項でその期間に国に緊急の必要があるときは、「内閣は、参議院の緊急集会を求めることができる」しています。
改憲派はこれの1項を根拠に「参議院の緊急集会で国会の機能を代行できるのは40日プラス30日の70日が上限」とし、それ以上の長期にわたる場合を「選挙困難事態」と認定して議員任期を延長する条項を「新設」すると主張しているのです。

これに対し長谷部教授は、「1項で日限を設けているのは、内閣が衆議院を解散したまま総選挙をいつまでも行わないとか、総選挙を実施したが、その結果が自分たちにとって思わしくないという理由で新たな国会をいつまでたっても召集しない、そういった事態を避けるためである」と指摘し、だから、40日プラス30日は「政府の居座りを許さないための数字であり、緊急集会の機能の時間的な限定を狙いとしているものではない。」と断言しました。

緊急時、議員任期延長の新設について

只野教授は、「一部の地域で選挙ができないというようなことはあるかもしれないが、長期にわたって全国的に選挙の実施ができないということはなかなか想定しがたい。長引くとしても、まずは必要なら緊急集会を開いて、その後70日後までに衆議院をつくり直して、国会として対応に当たっていくということで十分であろう。その先まで考えようとすると例外的な対応を長引かせることになる。」と述べました。

長谷部教授も「総選挙の実施を暫時延期しつつ可及速やかに総選挙の実施に努めることで問題は解決可能なはず」と言われ、逆に「任期が延長された国会議員は一体いつまで議員でいることになるのか」と懸念を呈しました。

緊急政令・緊急財政処分新設について

イメージ案のⅣとして、これまでの憲法審査会でほとんど議論されてこなかった内閣の緊急政令・緊急財政処分の条項案が形になって出されてきました。
これについては長谷部教授がまず「極めて不穏当と考える」と述べて、「国会で法律の制定を待ついとまがないと認めるのは恐らく内閣になろうが、内閣のみの判断で国会での審議と議決を省略し、政令で法律を次々と変更できるということになると、日本という国の在り方自体が根本からゆがめられるリスクがある。」と論じました。

そして、「国会による予算の議決を待ついとまがないという状況については、すでに予見し難い予算の不足に充てるため予備費があり(87条)、それで対応することが可能だし、それでも対応し得ない事態が生じたときには緊急集会等で暫定予算の議決を求めるべき」と指摘しました。

只野教授は「緊急の事態が広がる場合でも緊急集会による対応が許容されるのではないか。」と述べ、「緊急集会に限らず通常とは違う例外的な扱いをする場合、例外を例外にとどめるための対応を国会としてしっかりやっていく必要がある。現に、いろいろな事態が起きるとそれを踏まえて法改正が行われており、緊急事態に関する条項というのはたくさんある。」と述べました。

「緊急事態条項」は必須の制度か?

質疑応答の中で、上記小見出しのような質問に対し、2人の見解は下記のようなものでした。
「現代の日本の憲法には緊急事態条項はあると考えている。それは参議院の緊急集会制度でり、現在のところこれで十分間に合うのではないか。」(長谷部教授)
「日本国憲法の場合には、正面から緊急事態を規定していない。各国の緊急事態条項を見回しても、憲法に詳細な規定を設けている場合もあれば、必ずしもそうじゃない場合もある。しかし、そうじゃない場合というのは対応を考えていないのかというと、通常はそう考えないわけです。日本国憲法の場合も、54条を手掛かりにすると、一定の対応をそこから引き出すことができるんじゃないかと考えます。」(只野教授)


緊急事態条項の新設は必要ないという憲法学者のまっとうな意見を聞いていて、5月14日(木)の衆議院憲法審査会での日本維新の会・馬場伸幸議員の発言を思い出しました。
「憲法学の世界で参議院の緊急集会の役割・機能について諸説あることは承知しているが、ここは学校ではない。立法府に求められているのは、真に国民と国家の利益にかなう制度は何かという観点であり、無意味なイデオロギー闘争や院のメンツは排除されるべきだ」(5/20付け「傍聴記」より)

国会議員にあるまじき憲法蔑視の考え方であり、聞いていて怒りが沸きましたが、それ以上に、こうした暴言が公然となされ、その場にいた議員の誰一人これに断固抗議の声をあげないということに衝撃を受けました。これが衆議院憲法審査会なのです。みんな「国益」優先なのです。これが高市政権と総翼賛の国会の実態なのです。

怒りを持って弾劾し抜きましょう!
始まっている対中国の戦争体制のための改憲マシン=憲法審査会を止めようの声を広げましょう!
怒りの声で国会を包囲しましょう。(S)





見出しの(*)について
「日本国憲法の改正手続に関する法律」は一般に「国民投票法」と称されており、この傍聴記でも最近はそう表記していますが、今回は見出しだけではありますが略称としてより正確な「改憲手続法」を掲げておきます。

6月4日(木)10時から、今国会8回目の衆議院憲法審査会が開催され(古屋圭司会長が少し遅れて議場に入ってきたため、実際には10時3分頃始まりました)、「国民投票に関する集中的な討議」が行われました。
今回も最初に各会派の代表1人が7分以内で、続いて発言を希望する委員が5分以内で見解を表明しました。発言者は前半7名、後半6名の計13名でした。
yurusuna

まず、この日の審議のポイントを簡潔に報じた『NHK』の記事を転載させていただきます。

衆院憲法審査会 国民投票をテーマに与野党が集中的な討議
『NHK ONE』2026年6月4日(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015140911000)

衆議院憲法審査会では国民投票をテーマに集中的な討議が行われました。自民党が投票環境を整備するための国民投票法改正案を今の国会に提出する意向を示したのに対し、中道改革連合は広告規制についての議論もあわせて進めるべきだと主張しました。

憲法改正の手続きを定めた国民投票法をめぐっては、4年前、自民党、公明党、日本維新の会などが、公職選挙法にあわせて投票環境を整備するための改正案を国会に提出し、審議入りしましたが廃案となり、自民党は今の国会に改めて提出したいとしています。

こうした中、4日の衆議院憲法審査会では、国民投票をテーマに与野党が集中的な討議を行いました。
自民党の新藤義孝元経済再生担当大臣は「公職選挙法で措置された項目は速やかに国民投票法に反映させるべきだ。公職選挙法改正の審議でも特に異論はなく、賛同会派と提出の準備を進めているので、次回の審査会で速やかな審議を行いたい」と述べました。

中道改革連合の河西宏一氏は「法改正については、各会派の合意が形成され、放送やネット広告の規制に関する議論を積み残すことなく、一定の結論を得る旨が担保されるのであればぜひ前に進めたい」と述べました。

日本維新の会、国民民主党、参政党、チームみらいは、すでに公職選挙法で実現している内容であり、速やかな合意を得やすいなどとして、賛同する意向を示しました。

一方、共産党は、国民の多くは改憲を求めておらず、そのための法整備は必要ないと訴えました。
* 引用、ここまで。

傍聴記に入る前に、今回の議論に関わる基本的な事項を簡単にまとめておきます。

① 日本国憲法の改正手続に関する法律は2007年に成立し、2014年にはいわゆる「3つの宿題」について、国民投票の投票権年齢や国民投票運動などに関する改正が行われた。

② その後、2016年に公職選挙法において投票環境の向上に関する改正が数次にわたり行われたことを受け、2018年に同様の規定の整備を行うための国民投票法の改正案が提出され、2021年に成立した。

③ この2021年改正法の成立に先立ち、2019年、公職選挙法では投票環境向上に関する改正として、開票立会人の選任に係る規定の整備と投票立会人の選任要件の緩和が行われた。

④ これを受けて、2021年改正法では下記の附則第4条が設けられた。なお。改正法の施行日は2021年9月18日であった。
【2021年改正法附則第4条】
国は、この法律の施行後3年を目途に、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
一 投票人の投票に係る環境を整備するための次に掲げる事項その他必要な事項
イ 天災等の場合において迅速かつ安全な国民投票の開票を行うための開票立会人の選任に係る規定の整備
ロ 投票立会人の選任の要件の緩和
二 国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項
イ 国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限
ロ 国民投票運動等の資金に係る規制
ハ 国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策

⑤ 2022年には、「AM放送の放送設備で行うこととされていたラジオ放送による政見放送について、FM放送の放送設備においても放送できることとする」公職選挙法の改正が行われた。

⑥ 上記の2019年及び2022年の公職選挙法改正を踏まえ、国民投票法についても同様の規定の整備を行うためとして、2022年4月27日、自由民主党、日本維新の会、公明党及び有志の会の共同提案により「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」が提出されたが、2024年10月9日に行われた衆議院の解散により廃案となった。
 

以下、傍聴記です。

成立に向けて動き出した公職選挙法に合わせた3項目の「国民投票法」改正案

この日も最初に発言した自民党の新藤義孝与党筆頭理事は、冒頭で「すでに公職選挙法で措置されている開票立会人の規程整備、投票立会人の要件緩和、FM放送による広報については速やかに国民投票法に反映させるべき」だとして、「現在この3項目案の改正案の提出に向けて準備を進めており、提出され次第速やかに法案審議に入ることを提案したい」と述べました。

そして審査会翌日の6月5日には、2022年改正案の提出者であった自民、維新に加えて国民民主党、参政党の4党の9名が改正案を提出しています。それならばなぜ新藤氏は「現在準備を進めている」ではなく「明日提出する予定である」と言わなかったのか、不誠実な発言だったと思います。また、あらためて最近の国民民主党の変節ぶりを思い知らされました。

この改正案に明確に反対したのは共産党の畑野君枝氏だけでした。提出者に国民と参政が名を連ねており参議院でも過半数を確保していますので、今国会中に衆参両院を通過して成立することはほぼ確実だと思います。

2021年改正法附則第4条二号の検討は店ざらしのまま

上記の改正案は2021年改正法附則第4条一号に対応し、あわせて2022年の公職選挙法改正に合わせて国民投票時の広報にもFM放送を利用できるようにしようとするものであり、附則第4条二号の課題は置き去りにされたままになっています。

新藤氏は発言の最後に「この点について今後憲法審査会においてさらに議論を深めていくことをお約束する」と述べていましたが、その前には「ネットCMについてはそもそも規制できるかについて大きな課題がある」、「ネットを通じた国民投票運動のあり方やファクトチェックについて議論してきたが、自主的な取り組みに委ねてほしい、効果的なチェックは難しいなどの意見が多かった」、「資金規制については様々な課題があり、理念的にも実務的にもかなりの困難を伴うものも想定される」などと当事者とは思えない無責任な発言を繰り返しており、まるでやる気が感じられませんでした。

これに対して、中道改革連合の立場は、前公明党の河西宏一氏によれば「我が会派は、国民投票法のいわゆる3項目の法改正については、各会派の合意が形成され、かつ、放送CMやネットCMに関する議論を積み残すことなく一定の結論を得る旨が何らかの手段で担保されるのであれば、是非前に進めたい」というものです。「我が会派」という言い方も気になりましたが、「一定の結論」とか「何らかの手段」とか持って回った言い方で何を意味しているのかさっぱりわかりませんでした。
河西氏は、「2021年改正法附則第4条が定めたCM規制、資金規制、ネット等の適正利用に関する検討期限(注:2021年9月18日の施行後3年)はすでに大きく超過している」とも指摘していましたが、このような現状では中道が今回の改正案に賛成してしまうのではないかと危惧します。

議論すらされない国民投票法の根本的な欠陥

国民投票法をテーマとしたこの日の議論は、ほぼ「2021年改正法附則第4条」のみをめぐって交わされましたが、もちろん国民投票法の課題はそれだけではありません。
そのことを指摘したのは共産党の畑野君枝氏だけでした。残念ながら他の会派の委員には馬耳東風という感じで議論は広がりませんでしたが、以下、少し詳しく紹介したいと思います。

第一に、最低投票率の規定がない。現行法は投票率がどんなに低くても国民投票が成立する仕組みになっているため、有権者の1割から2割台の賛成しかなくても改憲案が通ってしまう。これでは国民の意思を正確に反映しているとは到底言えない。」
第二、に公務員や教員の国民投票運動を不当に制限している。国民投票の大前提は、国民が自由闊達に意見を表明し多様な意見に接し改憲案の内容を十分に検討できることだが、現行法は公務員や教員に地位を利用した国民投票運動を禁止しており、その対象は国や地方の公務員、大学の教員から幼稚園の先生に至るまで500万人に上ると言われている。定義の曖昧な地位の利用を理由にこれほど多くの国民の投票運動を制限することは許されない。」
第三に、改憲案に対する広告や意見表明の仕組みが公平公正なものになっていない。資金力の多い方がテレビなどの有料広告の大部分を買い占めてしまい、憲法がお金で買われるおそれが繰り返し指摘されているが、現行法にはそれに対する実効性のある措置がない。」
「国会につくる広報協議会も委員の大多数は改憲に賛成した会派から割り当てられる。広報の内容も改憲に賛成する意見が大部分を占め、改憲を進めるのに都合のよい仕組みになっている。」
このように、畑野氏は現行の国民投票法は「重大な問題を抱えた欠陥法だ」と断じ、「これらの根本的な問題について真摯に向き合うことこそ必要だ」として、さらに次のように指摘しました。
「そもそも議員や首長を選ぶ選挙と改憲の賛否を問う国民投票は全くの別物だ。現行の公選法は国民の選挙運動を幅広く制限するべからず法であり、公選法並びでいいのかということ自体が問われなければならない。公務員や教員の選挙運動を制限しているのも公選法にならった結果にほかならない。」


最低投票率などの問題は2007年の国民投票法成立時に(2014年の改正時にも)参議院の附帯決議で指摘されており、足かけ20年の課題です。これをないがしろにして公選法並びの安易な法改正のみによって改憲発議、国民投票に向かおうとすることなど絶対に認められません。
全国労組交流センタ―資料(2007年)
(2007年当時の「全国労組交流センター」の職場討議資料より)


最後に、今回も国民民主党の玉木雄一郎氏の発言を紹介しておきます。
「最大のフェイクニュース対策は、この憲法審査会での議論の現実を正確に発信することではないか。 例えば自民党の自衛隊明記論で自衛隊の権限が大きく拡大するような説明は事実に反する情報だと思うし、自衛隊明記論で新型軍国主義が台頭するかのごとき説明は明らかなフェイクニュースだ。また、緊急事態条項の5会派案で内閣の権限が際限なく膨らみナチスが復活するかのごとき言説もフェイクだ。
ネット上のフェイクニュースを心配する前に私たちが極力扇動的な言動や行動を控え冷静な憲法論、法律論を展開することが最大のフェイクニュース対策になると考えるので、議場にいらっしゃる与野党の議員の皆さんの協力、理解を求めてまいりたいと思う。」
いったい何を言いたかったのか、傍聴者の中でも話題になった謎の発言でした。
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この日の審議は、11時20分頃終了しました。
傍聴者は50人弱で前回より10人ほど増え、議場にいた記者は前回と同じく3人ほどで、今回はTVカメラは入っていませんでした。(銀)


5月27日(水)は参議院憲法審査会の「幹事懇談会」だったため、次週の6月3日(水)に今国会4回目の参議院憲法審査会が開かれました。ところがこの日は大型台風接近での悪天候!そのため国会傍聴は見合わせ、急遽インターネット中継での「傍聴」となりました。

5月14日(木)の衆議院憲法審査会で、衆議院法制局・衆議院憲法審査会事務局による「緊急事態条項」イメージ(案)提出が強行されたのを受けて、この日の参議院憲法審査会では、参議院法制局長と参議院憲法審査会事務局長から「緊急事態対応・緊急集会について」の説明を受け、質疑応答するという形になりました。(翌週6/10の憲法審では、憲法学者の長谷部恭男氏と只野雅人氏の意見陳述がなされる)

おかしな話なのですが、同じ国会の法制局でも、なぜか衆議院と参議院では憲法をめぐっての解釈の仕方が微妙に違うようです。特にこの「参議院の緊急集会」問題ではそれがはっきりと表れていました。
「緊急集会」について衆議院法制局では「一時的、限定的なもの」ととらえているのに対し、参議院法制局では「民主政治を徹底させる上で緊急事態に対応するすぐれた制度」との考え方に立っています。
参院憲法審

まず最初にこの日の審議が短く要約された記事を紹介します。

参議院憲法審査会 緊急事態対応と緊急集会テーマに意見交換
『NHK ONE』2026年6月3日

参議院憲法審査会が開かれ、緊急事態対応と緊急集会をテーマに意見が交わされました。自民党は選挙の実施が困難な場合に国会議員の任期を延長する憲法改正が必要だと主張したのに対し、立憲民主党は参議院の緊急集会で対応すべきだとして反対しました。

この中で、自民党の古賀友一郎氏は「憲法に緊急事態条項を設けておくのは、どのような状況に陥っても国家の機能を維持するためだ。緊急事態が発生した際に国会議員の任期を延長し、二院制の国会を維持するための憲法改正は必要だ」と述べました。

一方、立憲民主党の辻元清美氏は「歴史の教訓からも緊急時は参議院の緊急集会で対応すべきだ。時の政府による恣意的な裁量が入りかねない議員任期の延長のための改憲には反対だ」と述べました。

このほか、国民民主党と公明党、日本維新の会は、選挙の実施が困難な場合に、国会議員の任期を延長する憲法改正に賛成または理解を示しました。

参政党は、感染症のまん延は緊急事態として認められないと主張しました。
共産党とれいわ新選組は、緊急事態には参議院の緊急集会で対応できるとして改憲に反対しました。
*引用ここまで。


川崎参議院法制局長による説明要旨

最初に、川崎 参議院法制局長と本多 参議院憲法審査会事務局長からの説明聴取がありました。
川崎 法制局長の説明の一部を要約すると下記のようなものでした。

(緊急集会について)
*衆議院が解散されると、参議院は閉会となる。その間に緊急の案件が生じた場合対処するために設けられたのが参議院の緊急集会制度である(憲法54条)。
*旧憲法(大日本帝国憲法)では、緊急の必要がある場合における緊急勅令や緊急財政処分などの制度が設けられていたが、現憲法では「国民の権利を十分擁護するために政府による緊急措置は極力防止すべき」という考え方からそのような規定は入れなかった。
*緊急集会という方法をもって予測すべからざる緊急の事態に対し暫定の措置をとり得る方途を規定した。
*54条の規定は、できる限り早期に衆議院の総選挙が実施されることを強く働きかけるものであり、緊急事態から通常時への復元力の高い仕組みとなっている。

(緊急事態法制と緊急集会)
*行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくし、特殊の必要が起これば臨時国会を招集して対処する。
*緊急事態については、順次法律が整備され、これらに対処するための特別な権限や措置が規定されており、それに対しては、国民の権利自由の制約となることなどから、あるいは国会による民主的統制を及ぼすため、参議院の緊急集会も含む国会の措置・承認、国会への報告など国会の関与が規定されている。
[災害対策基本法、新型インフルエンザ等対策特別措置法、(武力攻撃等)事態対処法、重要影響事態安全確保法、警察法、自衛隊法、国民保護法等]


自民・維新は「議員任期延長」と「緊急政令」必要と主張

参議院法制局長の説明を受けても、自民・維新はあくまで「緊急事態条項」創設を主張しました。
「我が国を取り囲む安全保障環境は日々変化している」「我が国がどのような状況に陥っても国家の機能を維持するために、法律や予算に代わる内閣の緊急政令や緊急財産処分の制度を憲法上定めておくべき。」(自民・古賀議員)
「緊急事態が発生し、選挙の実施が70日を優に超えることが明白な場合は緊急集会だけでは対処困難で、緊急事態条項がどうしても必要。」(維新・柴田議員)

その中で、「憲法に緊急政令等がないために、国難というべき事態のときに極めて大きな支障が生じたり時間を費やした」として阪神・淡路大震災で放置車両が動かせなかったことや、東日本大震災での被災者の二重ローン返済猶予などの措置が迅速にとれなかった事例をあげて「このような場合にも緊急政令は絶対に必要です」(自民・加田議員)と主張したことには、びっくりしました。
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立憲・共産・れいわは「議員任期延長」「緊急政令」必要なしと主張

いずれも、「二度と国による戦争を許してはならない」という立場からの意見表明でした。

(立憲:辻元議員)
「日中戦争のさなか、1941年3月、翌年4月の任期満了の直前に衆議院議員任期延長に関する法律が特別措置され、1年間の任期延長が決められました。この延長された1年間に一体何が起こったのか。
当時、日中戦争では、中国大陸が戦場で、日本国内では日常生活が営まれ、選挙は可能な状況だったと思われます。にもかかわらず任期を延長したのです。この延長の前年、1940年2月には斎藤隆夫議員の反軍演説があり、日中戦争に批判的な風潮が広がりつつありましたが、斎藤隆夫議員は見せしめのように議会を追放され、同年10月に大政翼賛会が発足しました。この翌年、任期延長から8か月後の12月8日、真珠湾攻撃に踏み切ったのです。そして、この開戦の翌年4月に翼賛選挙を挙行し、議会での反対の声を封じ込め多数を取り、大政翼賛体制を固め、緊急勅令を乱発し、戦争の泥沼に突っ込んでいったのでした。
政府と軍の挙国一致の戦時体制を完成させ、開戦に踏み切るために時の政府が恣意的に選挙を1年遅らせたと言わざるを得ないのではないでしょうか。」
「このような歴史の反省の下に、憲法制定議会では、緊急時には緊急勅令を排し、戦前のように時の政府の恣意的な判断が選挙に入る余地を残す衆議院議員の任期延長ではなく、参議院での緊急集会が憲法54条に制定されたと私は考えます。」

(共産:山添議員)
「緊急政令であれ議員任期の延長であれ、緊急事態が長く続くことをことさら強調して改憲を主張するのは、戦争を想定するからです。異論を封じ、国家の都合で国民を動員し、国策に協力させるためです。それは行ってはならないというのが歴史の教訓です。」

(れいわ:奥田議員)
「憲法の鎖を引きちぎった暴走政治屋たちが、先週5月27日、国家情報局設置法を成立させてしまった。これは戦前の治安維持法に酷似。80年の眠りから覚め、再び全国民の自由や命を最大限に制限できる法律を作ってしまった。本当に近い将来、戦争反対と言っただけで逮捕されるかもしれない悪法。」
「80年前に他国を侵略しまくった日本政府が、権力を私物化し、暴走し、310万人もの国民の命を奪ってしまったさきの戦争。もう戦争なんて懲り懲りだと後悔した先人たちが命をつなぐためにつくった平和への道、知恵、それが憲法。」


憲法全体をつくり変えるべきと主張する参政党

参政党の塩入議員は、「憲法とは、その国の国民自身が自国の歴史、文化、伝統、価値観に基づきどのような国をつくるのかを主体的に定めるもので、今の憲法はGHQに押し付けられたものだから日本人の手でつくり変えるべき」と表明しました。まったくデタラメな憲法観だ!と聞いていましたが、「なぜ今改めて憲法上の緊急事態条項が必要なのか。その背景には、戦争や武力行使といった国家存立に関わる危機への意識の高まりがある」、「まずは、9条に自衛隊の位置づけ、その権限を定めるべき」、さらに「長期緊急事態を想定するなら、自衛権、情報戦、スパイ対策、国民保護の議論をすべき」「認知戦や世論工作、企業・土地・インフラの買収、サイバー攻撃からの防衛のため、包括的な憲法、法制度の議論が必要」と展開するに及んで、これは、いま高市政権の下でどんどん実行されていることではないか!と危機感と怒りが沸きました。
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明文改憲攻撃は、現実に進んでいる戦争法(国家情報局設置法、入管法改悪、国旗損壊罪、スパイ防止法等)制定、大軍拡(安保3文書大改定、武器輸出禁止原則解体、非核3原則見直し等)として日々強行されています。国論を二分する情勢をつくり出して戦争法と大軍拡を阻止・粉砕し、すでに始まっている戦争を何としても止めましょう!(S)





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