許すな!憲法審査会

「とめよう戦争への道!百万人署名運動」ブログを改めて、改憲の憲法審査会動向をお伝えしていきます。百万人署名運動は、「改憲・戦争阻止!大行進」運動に合流しました。

2026年04月

4月16日(木)10時から、今国会3回目の衆議院憲法審査会が開催されました。
傍聴の報告に入る前に、12日(日)に開かれた自民党の党大会について触れておきたいと思います。

高市首相「憲法改正、時は来た」 就任後初の党大会、改憲発議に意欲

上の小見出しは、党大会の模様を報じた『朝日新聞デジタル』の記事のタイトルをそのまま借用させていただいたものですが、大会の終盤に行われた『総裁演説』で、高市早苗首相・自民党総裁は、「憲法改正」について次のように述べました。自民党ホームページから該当する部分の全文を転載します。

私たち自民党は、立党から70年、憲法改正の旗を掲げ続けてまいりました。「自主独立の権威の回復」に向けて、日本人の手による自主的な憲法改正は、わが党の党是です。自民党立党直後の所信表明演説で、初代総裁である鳩山一郎総理は次のようにおっしゃいました。「民主政治は断じて力による政治であってはなりません」。民主主義における「議論の重要性」については、論をまちません。一方で、徹底した議論を行った後に、意見の集約を図り、最後は多数決によって決断する。これが民主主義の原則であり、政治の役割であるはずです。

「議論のための議論」であってはなりません。私たち政治家が、国民の皆様の負託に応えるために行うべきなのは、「決断のための議論」なのです。どのような国を創り上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法です。私たちの物語を、理想の日本国を、文字にして、歴史という書物の新たなページに刻もうではありませんか。そして、その新たなページをめくるべきかどうか、国民の皆様に堂々と問おうではありませんか。

立党から70年。時は来ました。
「憲法改正」に向け、党員・党友の皆様の総力を挙げて、全国各地で国民の皆様への憲法に関する説明を行うとともに、国会においては、「結論のための議論」を進めてまいりましょう。そして、改正の発議について、「なんとか目途が立った」と言える状態で、皆様とともに、来年の党大会を迎えたいと考えています。「幅広い世代」と「多様な経験」と「豊かな専門知識」を持った人材を擁するわが党の強みを、「憲法改正」にも向けて結集していきましょう。もちろんさまざまな政策でみんなの専門知識が、今、もうフル全開、もうすごい状態になっていますけれども、この憲法改正、とっても大切。私たちの党是、何とか進めましょう。
* 引用、ここまで。(太字は引用者)

具体的な改憲の項目にこそ言及していませんが、高市氏は、「最後は多数決によって決断する」のが「民主主義の原則」だ(維新の主張と全く同じです)とか「どのような国を創り上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法」だとか聞き流すことのできないとんでもない見解を披露した上で、改憲の「時は来た」、発議に「目途が立った状態で来年の党大会を迎えたい」と言い放っています。

また、この大会で発表された『立党70年 自民党の歩みと未来への使命』と題する党の『新ビジョン』では、「日本国憲法の前文には“平和を愛する 諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した”とあるが、現実では国連の安全保障理事国であるロシアが侵略行為を行っていることからも、公正と信義に十分な信頼を置ける状況にはないことは明白である」との現状認識が示され(イランに対して「アメリカが侵略行為を行っている」ことは完全に無視されています)、「戦後の国際秩序が大きな転換点を迎えた今」、「国家存亡の危機に備えるための必要な能力を整える必要がある」として、「立党以来の党是である憲法改正の実現に向けた取り組みを進めていくことが今後30年のわが国の安全保障を考える上でも、これまでになく死活的に求められている」と述べられていることも付け加えておきたいと思います。

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16日の衆院憲法審のテーマは、「憲法審査会におけるこれまでの議論を踏まえた今後の議論」でした。各会派から1人ずつ7名が持ち時間7分間で意見を表明した後、6名の委員が制限時間5分で発言し、11時20分頃散会となりました。

最初に、各会派代表の発言のポイントが要領よくまとめられた『FNNプライムオンライン』の記事を転載させていただきます(この記事では発言者の苗字のみ記されていましたので、名前を補いました)。

高市総理の憲法改正「時は来た」発言後、初めての衆院憲法審で与党「緊急事態条項」の集中討議を提案も野党側は賛否分かれる
『FNNプライムオンライン』2026年4月16日

衆議院の憲法審査会が16日開催され、与党から、次回審査会での緊急事態条項創設についての集中的な討議が提案され、野党側は賛否の反応が分かれた。
憲法改正を巡っては、高市総理大臣が12日の自民党大会で「時は来ました。改正の発議について、なんとかメドが立ったと言える状態で、来年の党大会を迎えたい」と憲法改正に向けた国会での論議の進展に強い意欲を示していて、与野党の受け止めが注目されていた。

この日の審査会では、各会派の代表者が順に発言した。

自民党の新藤義孝衆院議員は、災害やテロ、感染症のまん延などにより、選挙が困難となった場合に、選挙期日や議員の任期を延長するといった「緊急事態条項」の創設について、「ここまで議論が進んでいることを踏まえれば、さらに論点を深めるためにも、次回の審査会で、このテーマに関する集中的な討議を行ってはいかがか」と述べて、緊急事態条項にテーマを絞って議論を進めたい考えを示した。

日本維新の会の西田薫衆院議員は、「アクセルを踏んで、議論を進めていくべきは、いずれも火急のテーマである緊急事態条項創設と(憲法)9条改正に他ならない。高市総理は、来年の党大会までに憲法改正の国会発議にめどをつけたいとの強い決意を示されたが、私たち日本維新の会は、その実現のため、全身全霊を傾ける所存だ」として、高市総理の発言にも触れて、緊急事態条項についての集中討議に賛同を示した。

また、国民民主党の玉木雄一郎代表も、高市総理の発言を引き合いに、「私もとっくに時は来てると思う。そして、実際、総理の言う結論のための議論にもトライしてきた自負がある」と切り出した。
そして、国会発議に向けて、「今年の秋の臨時国会には原案を取りまとめて、国会法に基づく衆議院100名以上の賛成、参議院50名以上の賛成で国会に提出しないといけない」と述べた上で、参議院での少数与党を念頭に「現在の自民、維新、公明、そして、わが党の少なくとも4党が合意できるテーマで、議論進めない限り両院の3分の2の議員による発議には結び付かない」と、自らの党の協力が不可欠だと強調した。

一方、中道改革連合の国重徹衆院議員は、緊急事態条項を巡る議論について「論点は、ある程度、整理されてきたのかもしれない。しかし、具体的な認定基準などについては、必ずしも共通認識が得られていない」と述べた。
その上で、「憲法審査会においては、これまでの論議の作法にのっとり、少数会派の意見を尊重しながら、議論を進めていっていただきたい。新しく参加した会派や少数会派の意見を置き去りにしたまま、結論ありきで条文化に進むことは、やはり慎重であるべきだ」と述べ、テーマを絞った議論の進め方に慎重な姿勢を示した。

また、参政党の和田政宗衆院議員は、「参政党は、創憲、憲法を一から国民の手で作り直すことを掲げている。憲法改正の議論には積極的に参加していくが、やはり現行憲法の成り立ちについても、根本的な議論がなされるべきだ」と述べた。
緊急事態条項については、「憲法改正において感染症のまん延、パンデミックが含まれる緊急事態条項の創設に反対だ。今後、もし人工でウイルスが作られPCR検査で陽性を増やすということで、パンデミックによる緊急事態が演出できるとなれば、人為的に国民の権利を制限することが可能になる」と述べた。

チームみらいの古川あおい衆院議員は、「テーマを絞って、議論を行うことが重要であるという点については、チームみらいとしても同意する。これまでの議論の整理や各会派の提案をまとめた資料を基に、具体的な論点について議論を深めるなどの運用を行うことが良いのではないか」と投げかけ、チームみらいとして「国民投票法の議論に一定の時間を確保してほしい。昨今の選挙にまつわる環境の変化や、AIの進展なども踏まえて、各会派の意見をうかがいながら、建設的な議論ができるテーマだと考える」と述べた。

共産党の畑野君枝衆院議員は、中東情勢に触れて「戦争と平和が今、鋭く問われている。戦争を終結させることが何よりも必要だ。憲法9条を持つ日本政府は、そのための役割を果たすべきだ」と述べた上で、特にアメリカに対しては、国際法に違反している可能性を指摘し、「日本政府の姿勢が厳しく問われている。戦争を許してはならないという憲法9条の精神に立って、争い事を話し合いで解決するために知恵と力を尽くすことが必要だ」と主張した。
* 引用、ここまで。

この記事にあるように、この日の審査会では、維新の西田氏と国民民主の玉木氏がそろって12日の自民党大会での「改憲の目途が立った状態で来年の党大会を迎えたい」という高市首相の発言を引いて、「全身全霊を傾ける」と言ったり(西田氏)、具体的な進め方を提案したり(玉木氏)しました。

2017年5月3日、安倍晋三元首相が改憲派の集会にビデオメッセージを寄せて「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と述べ、9条への自衛隊明記を挙げたことがありましたが、その後、今国会から再び与党筆頭理事となった新藤義孝氏(自民)が毎週定例日の開催を強行するようになった2022年まで、憲法審査会の議論は停滞が続きました。森友・加計問題等の影響もありましたが、改憲の発議権を有する国会を無視するかのような安倍氏の発言に対する反発が大きかったからだと思います。

そのときに比べて、今回の審査会では、与党の維新・西田氏はともかく一応は野党の国民・玉木氏までが高市発言に迎合する一方で、批判したり苦言を呈する発言者が皆無だったということに、強い危機感を覚えずにはいられません。
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緊急政令・緊急財政処分や9条改憲の主張にも注視・警戒を

この日、自民党の委員は新藤氏を含めて4名が意見を表明しました。
まず、前半の会派代表の発言で新藤氏が「選挙困難事態」における議員任期延長を中心に議論を展開した後、後半の自由討議で鬼木誠氏が緊急政令について、和田義明氏が緊急財政処分について述べました(もう1人の発言者は秋葉賢也氏でした)。
このうち鬼木氏の発言を紹介したいと思います。

「想定される事態に関してあらかじめ法律を制定し緊急時に講じることができる措置を整備しておくことは当然であり、現在でも他国からの武力攻撃や大規模な自然災害、感染症の蔓延等に備えてそれぞれの分野で緊急事態対応のための法律が整備されている。災害対策基本法、国民保護法や新型インフル等対策特措法には法律上の緊急政令制度が設けられており、緊急時にはこれらの法律に基づいて内閣が一時的・暫定的な措置を講じられるようになっている。

しかしながらこれらの個別法に基づく緊急政令で取り得る措置は①物資の配給・譲渡制限等、②物価等の統制、③モラトリアム(金銭債務の支払いを一定期間猶予すること)、④海外支援の受け入れという4類型に限定されている。海外支援の受け入れは阪神・淡路大震災の発災によって初めてその必要性が確認され、1995年の法改正により災害対策基本法に追加されたものだ。

もし緊急事態が発生し国会が機能不全に陥った場合に、これらの類型以外の立法措置が必要になったらどうすればよいのか。現行憲法には国会が機能不全に陥るほどの緊急事態が生じた場合に対処するすべは何も定められていないため内閣が超法規的措置を行うほかないが、それでは国会の事後的な承認という民主的統制も働かなくなってしまう。

このような民主的統制の働かない内閣の超法規的措置を認めるのではなく、国会があらかじめ制定した法律の枠組みの下で内閣に一時的・暫定的に立法権を与え事後的に国会が統制するという緊急政令制度を憲法に設けておくことこそが立憲主義にかなうものと考える。

関東大震災などで発出されてきた緊急勅令の内容は現在個別法に基づく緊急政令制度に取り込まれているからこれ以上必要ないという主張もあるが、阪神・淡路大震災において海外支援の受け入れの必要性が発見されたように、どのようなメニューが新たに必要になるかは予測不可能だ。」
(太字は引用者)

私にはこの発言は全く腑に落ちませんでした。「国会が機能不全に陥るほどの緊急事態」とか「国会があらかじめ制定した法律の枠組み」とか言われてもイメージが浮かんできませんし、「超法規的措置」に国会の事後的な承認という民主的な統制が働かないというのはどういう意味でしょうか。そして私が最も違和感を覚えるのは、どんな想定外のことが起こるかわからないから緊急事態条項が必要だと主張する勢力と、ひとたび過酷事故が起こればどんな事態が生じるかが実例としてまざまざと示されたはずの原子力発電の最大限の活用を主張する勢力とピッタリ重なっていることです。これって本当におかしいと思いませんか。

もう1つ、9条改憲をめぐる意見も紹介しておきたいと思います。
この日、維新の委員は発言の機会を得た2人そろって9条の改憲に言及しました。まず、会派を代表して発言した西田薫氏は、「アクセルを踏んで議論を進めていくべきは、いずれも火急のテーマである緊急事態条項の創設と9条の改正にほかならない」、「次回以降の審査会で緊急事態条項及び9条に関する集中討議を順次行っていくことを提案させていただく」と述べ、自由討議で阿部圭史氏は、「単に自衛隊という名称を憲法に明記するだけでは我が国の安全保障にとって不十分であり、自民党の皆様には2012年の憲法改正草案の趣旨を今一度想起していただくことを切に願っている」と発言しました。
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また、参政党の和田政宗氏は、「参政党は現行憲法に自衛隊を明記するだけでは不十分であると考えている」、「自衛隊の行動はポジティブリスト方式で制限されており、他国の国防軍のようにネガティブ方式になっていない」、「参政党は真に国家と国民を守れる憲法とすることの議論をまず行うべきと考えており、この根本的な議論をした上でなければ条文案の作成に入ることはまだ早いと考える」との見解を表明しました。

そして、国民民主党の玉木雄一郎氏は、「来春までに発議の目途を立てるというなら9条改正に安易に手をつけない方がいい」と言いながらも、「自衛隊を9条2項で禁止されている戦力として位置づけるべきであり、9条1項、2項は維持した上で2項の例外として実力組織としての自衛隊と自衛権を位置づけるというのが私たちの考えだ」と踏み込んでいました。

この日は意外にも自民党の委員が9条改憲に触れることはありませんでしたが、翌17日には早速次のような動きがあったことが報じられています。『NHK ONE』の記事を転載させていただきます。

自民・維新 憲法9条改正議論の経緯確認 協議加速で一致
『NHK ONE』2026年4月17日

自民・維新両党は、先の衆議院選挙後では初めて憲法改正に関する協議会の会合を開きました。憲法9条の改正に向けた議論の経緯などを確認し、高市総理大臣の意向も踏まえ与党内の検討を加速させることで一致しました。

自民党と日本維新の会は、17日、先の衆議院選挙後では初めて両党の連立合意に基づく「憲法改正条文起草協議会」の会合を開きました。

この中で、自民党側の会長を務める新藤元経済再生担当大臣は、「9条の改正案について憲法審査会でどのような整理がなされてきたかを踏まえ、まずは実務者でしっかり議論していきたい」と述べました。
維新側の会長を務める馬場前代表は、「高市総理大臣から憲法改正に向けて力強いことばがあった。憲法審査会をさらに動かすためにも与党内での合意形成を早急に図ることが肝要だ」と述べました。

そして、会合では憲法9条の改正に向けた議論の経緯などを確認し、高市総理大臣が来年の自民党大会までに憲法改正の発議にめどをつけたいと強い意欲を示したことも踏まえ、与党内の検討を加速させることで一致しました。
* 引用、ここまで。

やはり9条改憲、すなわち自衛隊または国防軍、集団的自衛権の明記についても警戒を怠ることはできません。

中道改革連合や共産党の委員の発言も紹介すべきかもしれませんが、なかなか前向きのことが書けませんので次回以降に先送りさせてください。

この日、記者は4人ほどで前回から半減していました。傍聴者も減りましたが40人弱が集まりました。平日の開催ということで傍聴者の平均年齢は相当高いのですが、このところ国会外での改憲・戦争反対の行動に若い人々が大勢参加するようになってきていることに希望を感じながら、傍聴を続けたいと思います。(銀)


本国会第1回目の参議院憲法審査会が4月15日(水)午後に開催されました。
初回ということもあり、最初に憲法に関する考え方について各会派の意見表明がなされ、その後、「参議院議員選挙の1票の較差について」の意見徴収、質疑応答となりました(約2時間強)。

参議院憲法審査会の委員は全部で45人で、構成会派は8つです。
それぞれの委員数は下記のとおり。
自民 19人
維新  4人
国民  5人
参政  3人
公明  4人
立憲   7人+1人(会長)
共産  1人
れいわ    1人
合計 45人
参院憲法審

憲法についての考え方

各会派の意見表明のポイントは下記のようなものでした。

(自民・中西裕介)
●すでに、①自衛隊明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育充実の4項目について、条文イメージ、たたき台素案を持っている。
●①について:9条1項、2項の条文を維持し、必要な自衛の措置を担う自衛隊を明記するというイメージ。
●②について:参議院の緊急集会の活動期間や権能について整理する。衆議院任期満了時にも対応できるよう明記すべき。
●③について:弊害の多い「合区」は是正すべき。これに関連し「地方自治の規定」についても検討すべき。
●④について:憲法に教育に関する理念と規定をを定めるべき。

(立憲・小西洋之)
●憲法は国家権力を制限するもの。
●立憲主義に基づく論憲の力で憲法を守り生かす。
●9条は国民による国会や内閣への武力行使に関する民主的統制の規範。
●衆議院で国会議員の任期延長改憲で条文起草委員会の設置が主張されているが、任期延長改憲は論理破綻しており、起草委員会設置は許されない。

(国民・山田吉彦)
●憲法は、国民の安心、安全な生活を守るためにある。
●国土を守る、国民を守るという国家の基本的義務を憲法に明確に位置づける必要あり。

(公明・谷合正明)
●国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義の3原理を堅持した上で、必要な規定を付け加える加憲が検討されるべき。
●憲法9条と自衛隊の問題、参議院の緊急集会などもそうした立場で議論していく。
●平和安全法制定時、安倍総理などから、我が国が自衛権を発動して、国際法上認められていない違法な武力行使を行った国を支援することはない旨答弁があった。イラン攻撃について法的評価を行うべき。

(維新・片山大介)
●すでに、①教育の無償化、②統治機構の改革、③憲法裁判所の設置、④自衛隊の明記、⑤緊急事態条項の創設、の5項目の改正原案を公表している。
●④については、9条の2項削除による集団的自衛権行使の全面容認の必要性を訴えている。
●④と⑤については、自民党との条文起草協議会が開催されており、参議院憲法審査会の下にも条文起草委員会を設置し改正案の作成をめざしたい。

(参政・塩入清香)
●憲法には日本人の価値観を反映し、日本が自立するために理念が必要。部分的ではなく一から作り直す創憲を提唱している。

(共産・山添拓)
●憲法は権力を縛るもの。
●9条の戦争放棄と戦力不保持のもとで、歴代政府は、軍事費GNP比1%以内、専守防衛、集団的自衛権は行使しない、敵基地攻撃能力は保有しない、非核3原則を堅持し、武器輸出は慎むなどの原則を掲げてきた。
●憲法審査会は動かすべきではない。
●改憲案を具体化するための条文起草委員会は必要ない。

(れいわ・奥田ふみよ)
●憲法は、主権者である国民から政府に突きつけた命令。80年前の戦争を政府は国家犯罪であることを認め、主権を国民に享受した。
●25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、これを実現させることこそ国会議員の務めだ。
●12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」、これは暴走政府のせいで多くの血を流した先人たちの知恵。傍聴席を主権者で埋め尽くそう。

改憲反対の民意が国会を取り囲んでいる

この日の憲法審査会の中で、山添議員と奥田議員だけが4月8日の国会前3万人の戦争反対、改憲反対のペンライトデモに触れました。「高市政権の危険を前にいても立ってもいられないという多くの若い世代が、初めて参加する人々が…行動しています」(山添)、「憲法改正の動きに反対する大規模デモが続いている」(奥田)

また、この日、奥田議員の関係で72人が傍聴に駆け付け、全体で120人を超える傍聴者になりました。改憲派の議員席をにらみつけ、奮闘する奥田議員には大きな拍手が沸き起こりました。
その少しあとで、審査会会長(立憲・長浜)が傍聴席に向かって「傍聴人は、傍聴規則により、議事に関する賛否の表明その他議事の妨害になるような行為は禁止されております。」と言いました。
確かに傍聴券の裏に印刷されている禁止行為の中に「拍手」もありました。でも、これはどう考えてもおかしいことです。「傍聴者はだまってじっとしていろ」と言わんばかりです。この一事の中に、国会がいかに民意とかけ離れている存在であるかが示されていると思いました。

一票の較差、「合区」問題について

憲法審査会の進め方については、事前の「幹事会」(自民4、維新1、国民1、参政1、公明1、立憲3)で決められるのですが、この日と次回は「一票の較差」問題の調査となったようです。選挙制度の問題であり、おそらくすべての会派にとって異論のないテーマから入るということなのでしょう。

最初に、「通常選挙定数較差訴訟の最高裁判決の説明聴取」ということで、 本多恵美 憲法審査会事務局長から報告があり、その後、下記の2人の参考人からの意見陳述と質疑応答となりました。
   ①平井伸治 (全国知事会副会長鳥取県知事)
   ②志摩恭臣 (徳島弁護士会合区問題PT座長、弁護士)

このテーマで約1時間。ただ、わかりにくかったです。衆議院の小選挙区制で多くの民意を切り捨てて進む現実をそのままにしておきながら、参議院選挙での「一票の価値」「地方の民意」が強調され、さらにその関係で憲法上の「地方自治」にも踏み込もうとしており、さまざまな矛盾を感じました。

この日の憲法審査会は、傍聴席が改憲に反対する傍聴者でいっぱいになり、かつてなく可視化され、「監視」できました。でも、この憲法審査会は「改憲案発議」のためにつくられたものであり、憲法改悪に向けての「レール」そのものであることを忘れてはなりません。改憲派が牛耳る国会で動かしてはいけないものなのです。
戦争に向かった憲法改悪を止める力は、国会を取り巻く改憲・戦争反対の民意の広がりにこそあります。みんなの力でペンライトデモなどをもっともっと大きくしていきましょう!(S)

4月9日(木)11時から、今国会2回目の衆議院憲法審査会が開催されました。2月20日(金)に開かれた初回は会長と幹事の互選と新会長の挨拶があっただけでしたので、今回が事実上今国会初の衆院憲法審となりました。
yurusuna

様変わりした衆院憲法審

2月8日に行われた衆院選の結果、衆院憲法審の構成は下表のようになり、自民党だけで3分の2強、維新の会を加えると与党で4分3以上を占めることになりました。
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 総選挙前、1月22日現在の構成は下表のとおりでしたので、すっかり様変わりしたことになります。
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 なお、幹事の顔ぶれは下表のとおりです(4月10日現在)。
幹事
 
少し詳しく見ると、まず、自民党ではこれまで長らく審査会に所属し、前国会まで与党側筆頭幹事を務めていた船田元氏が憲法審から外れ、代わって2022年の通常国会以後、強引な運営で衆院憲法審の毎週定例日開催を定着させた新藤義孝氏(自民)が与党筆頭理事に復帰しました。高市首相の側近と言われる古屋圭司氏が会長に就き、船田氏以外の幹事も全員が入れ替わったことなど、今回の人事からは自民党がいよいよ本腰を入れて憲法改正に突き進むぞという姿勢が読み取れるように思います。

中道改革連合では、前国会まで委員を務めていた前立憲民主党の議員は全員が落選しました。野党側筆頭幹事となった國重徹氏は公明出身ですので、幹事会のメンバー全員が改憲派という状況になりました。

そのほか、参政党とチームみらいが初めて委員を出すことになった一方でれいわ(大石晃子氏)が姿を消したこと、赤嶺政賢氏が落選した共産の委員が畑野君枝氏に代わったこと、国民の玉木雄一郎氏が復帰したことなどの変化がありました。

この日のテーマは「憲法審査会の今後の議論について」とされ、各会派から1人ずつ7分以内の意見表明があり、7人の委員の発言が終了した11時50分頃散会となりました。

自民党が衆議院では単独で改憲の発議が可能な3分の2以上の議席を得た総選挙後初めて実質的な審議が行われる憲法審査会であったことから、10人以上の記者が詰めかけ、最後まで記者席に着いていました。傍聴者もいつもよりかなり多く、こうした光景を目にするのは久しぶりでした(カメラマンを含めたくさんの人たちが立ち見状態でしたので、人数は確認できませんでした)。

報道量も最近になく多く、検索するとたくさんの記事がヒットしますが、残念ながら大手メディアの報道で比較的詳しいものはほとんどが有料です。ここでは無料で読める『NHK』の記事を転載させていただきます。

衆院憲法審査会 今国会で初めての討議 各党が意見述べる
『NHK ONE』2026年4月9日

衆議院憲法審査会で今の国会で初めての討議が行われ、各党が意見を述べました。自民党が、憲法改正の論点が整理されれば、速やかに具体的な条文の検討に入るべきだと主張したのに対し、中道改革連合は、落ち着いた環境で議論を深めていくべきだと訴えました。

この中で、自民党の新藤 元経済再生担当大臣は「政局を離れて論議を真摯に進める場でなければならず、定例日には審査会を安定的に開催したい。憲法改正の論点が整理されたテーマは、順次、条文を起草するための検討作業に入っていくことを提案したい」と述べました。

中道改革連合の国重徹氏は「拙速に進めるべきでないのは当然だが、不必要に停滞させるのも望ましくない。落ち着いた環境のもとで議論を深めていくべきで、テーマや進め方の見通しを共有する必要がある」と述べました。

日本維新の会の馬場前代表は「立法府の使命は、自由討議なる堂々めぐりを続けることではない。速やかに条文起草委員会を設置し、改正の成案を得て憲法改正の発議を行い、国民に判断を仰ぐことだ」と述べました。

国民民主党の玉木代表は「テーマを絞り議論をピン留めしながら進めるべきだ。議員任期の特例など、緊急事態における国会機能の維持を中心に、条文づくりに着手することが重要だ」と述べました。

参政党の和田国会対策委員長は「参政党は『創憲』、憲法を一から国民の手でつくり直すことを掲げている。現行憲法が国民の自由な意思でつくられていないからだが、改正議論には積極的に参加する」と述べました。

チームみらいの古川政務調査会長は「憲法の三大原理を堅持した上で、時代の変化に合わせてあり方を検討することには前向きだ。手続きと中身の論点は切り分け、議論を積み上げていくのが重要だ」と述べました。

共産党の畑野君枝氏は「国会が改憲議論をけんでんし機運を高めようとするのは本末転倒だ。起草委員会をつくって議論を強行するのは国民に改憲を押しつけるものだ」と述べました。
* 引用、ここまで。

上掲の記事では各会派の委員の主張が手際よく整理されていますが、7分間の意見表明が100字前後にまとめられ、触れられていないことがありますので、以下、私にとって印象に残った発言を紹介したいと思います。

心もとない中道・國重氏の発言

この日、私が一番注目していたのは、中道改革連合の委員として初めて憲法審査会で発言することとなった國重氏が何を語るかでしたが、氏は
「私たちは改憲自体を目的とする立場には立たない」が、「現行憲法を固定的に捉え、新たな課題に目を閉ざす立場にも与しない」
「中道改革連合は基本政策として時代に対応した憲法改正論議の深化を掲げており、憲法施行時には想定されていなかった課題が明らかとなり改正が必要と認められるときはその内容を真摯に検討していく」
と述べた上で、具体的な改憲のテーマについては、
自衛隊の憲法上の位置づけや緊急時における国会機能の維持については、自衛隊の行為が行き過ぎたり、緊急時における措置が濫用されないよう、民主的統制の観点から議論を深める必要があると考える」
「臨時国会の召集期限の問題も看過できないテーマであり、解散権のあり方も避けては通れないテーマだ」
などと指摘しました。

私は、ここまではだいぶもの足りないけれども公明党出身の委員としては想定内の内容だなと考えながら聞いていましたが、その後本当にがっかりさせられる発言が飛び出しました。それは、
憲法論議は拙速に進めるべきでないことは当然だが、不必要に議論を遅らせ停滞させることも望ましくない
今後も毎週木曜日の定例日に審査会あるいは幹事懇談会を開いて着実に実りある議論を深めていくべきと考える」
というものでした。
「拙速に進めるべきでない」と「毎週定例日の審査会・幹事懇の開催」は明らかに矛盾していると思いますが、野党側の筆頭幹事である國重氏がこんな主張を展開しているのですから、今後の毎週開催は確定したものと覚悟せざるを得ません。

イラン情勢をどう考えるか?

この日、イランをめぐる情勢に言及したのは維新の馬場伸幸氏と共産の畑野君枝氏の2人だけでしたが、その内容は対照的でした。

まず、馬場氏は冒頭で「審査会長の座が自民党の手に戻り、自民党の委員が議場を席巻されている風景を目にして、大変心強い」と述べ、多くの傍聴者をあきれさせました。

イラン情勢については、
「ホルムズ海峡の封鎖によって日本が抱える問題が浮き彫りになった。それは憲法を始め現行の法体系の下では護衛のための艦船の派遣など海外での自衛隊の活動がおぼつかないことだ」
「一部の野党、メディアから憲法9条のおかげで自衛隊の派遣を断れる旨の言説が喜々として発信されているが、『戯れ言』にすぎない」
などと主張し、
「自衛隊を明記しても解決しない憲法上の瑕疵があることは明白であり、自衛隊を名実ともに軍として位置づけ、国際標準の海外での活動に憂いなく道を開く9条の改正議論に真剣に取り組むべきだ
と言い放ちました。さすがに自衛隊をホルムズ海峡に派遣すべきだとまでは言いませんでしたが、毎度ながら論理的に破綻した意見でした。

なお、参政党の和田正宗氏も「参政党は自衛軍を保持することを憲法草案で掲げている」と述べていました。

一方、畑野君枝氏の主張は下記のようなものでした。
「アメリカとイスラエルによるイラン攻撃は深刻な事態をもたらしている。両国は軍事施設だけでなく学校や病院など民間施設への攻撃も繰り返し、これまでに200人以上の子どもを含む2000人以上が犠牲になったと言われている」
「この攻撃に横須賀基地や沖縄などの米軍基地から出撃していることは極めて重大だ」
「日本政府はアメリカの無法な先制攻撃には一切言及せず、攻撃の中止さえ求めていない。あまりにも無責任な対応だ」
「戦争を絶対に許してはならないという憲法9条の精神に立脚した外交と政治が強く求められている」

また、畑野氏は以下のことも指摘しました。
「今、国民から憲法を守れの声が上がっていることに目を向けるべきだ。昨日も全国47都道府県、154箇所で改憲に反対するアクションがあり、3万人を超える市民が国会を包囲した。国民が改憲を求めていないにもかかわらず、国会の側が改憲議論を喧伝するのは本末転倒だ」
「条文案起草のための委員会をつくり議論を強行することは、国民に改憲を押しつけようとするものであり、そのような委員会は設置するべきでない」

この日、最近の改憲反対の集会の盛り上がりに言及したり、憲法審査会の開催、条文起草委員会の設置に反対する意見を表明したのは、共産党の畑野氏だけでした。れいわ新選組の委員が憲法審査会から消えたことが惜しまれます。

私は、今回のアメリカ、イスラエルのイラン攻撃は憲法9条があろうがなかろうが、あるいは国際法がどうあろうが絶対に許されない非人道的な蛮行であり、日本がこれを黙認したりましてや支持したりすることは論外だと思います。そして、いまや「憲法9条を守れ」、「9条に基づく外交を」と叫ぶだけでは十分ではないと考えます。

政府は中国との戦争に備えて軍事費を増大させ、基地の建設・拡充、ミサイルの開発・配備、実戦的な軍事訓練の実施、国民監視法制の整備などをハイピッチで推進しています。日米安保体制の解体を展望しながら、基地の撤去、武器開発・輸出の阻止、軍事訓練の中止、国民監視・外国人敵視政策の転換等を求める運動を組織していくことが必要ではないでしょうか。(銀)


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