12月4日10時から、衆議院憲法審査会が開かれました。今臨時国会2回目の実質審議で、テーマは「今後の議論の方向性」でした。
前回は11月20日でしたので2週間ぶりの開催でした。今年の通常国会の途中から定例日の毎週開催という悪弊はなくなったかのように見えますが、実際には審査会のない定例日には幹事会あるいは幹事懇談会が開かれ、憲法審で議論すべき事項が非公開で、すなわち傍聴者がいない、ネット配信が行われない、議事録が作成されない場で話し合われるという新たな悪弊が常態化しています。11月27日にも幹事懇談会が開かれましたが、私たちはメディアの報道などから不十分で時として不正確な情報を得るしかありません。

以下、『産経新聞』のウェブサイトに掲載された記事を転載させていただきます。貴重な情報が無料で読めることに感謝したいと思いますが、船田元氏が記者団に説明した、語ったと記されている内容以外は誰に取材したのか定かではありません。
また、この記事からはこの日の幹事懇談会ではもっぱら条文起草委員会をめぐって議論が交わされたような印象を受けますが、12月4日の憲法審査会では、船田元氏(自民党)が「国民投票法改正の方向性について、各党の検討状況を先週の幹事懇談会で発表していただいたことは大変有意義であったと感じている」と述べ、幹事懇で行われた広報協議会の役割等に関する議論の内容をかなり詳しく紹介しています。
広報協議会にせよ条文起草委員会にせよ、本来なら憲法審査会本体で取り上げられるべき重要なテーマの議論が幹事会や幹事懇談会で先行して行われることはけっして許されないということを強調しておきたいと思います。

以下、『産経新聞』のウェブサイトに掲載された記事を転載させていただきます。貴重な情報が無料で読めることに感謝したいと思いますが、船田元氏が記者団に説明した、語ったと記されている内容以外は誰に取材したのか定かではありません。
また、この記事からはこの日の幹事懇談会ではもっぱら条文起草委員会をめぐって議論が交わされたような印象を受けますが、12月4日の憲法審査会では、船田元氏(自民党)が「国民投票法改正の方向性について、各党の検討状況を先週の幹事懇談会で発表していただいたことは大変有意義であったと感じている」と述べ、幹事懇で行われた広報協議会の役割等に関する議論の内容をかなり詳しく紹介しています。
広報協議会にせよ条文起草委員会にせよ、本来なら憲法審査会本体で取り上げられるべき重要なテーマの議論が幹事会や幹事懇談会で先行して行われることはけっして許されないということを強調しておきたいと思います。
なお、この記事では幹事懇談会と同じ11月27日に自民、維新両党の2回目の条文起草協議会が開かれたことも報じられています。こちらについても正確な情報をつかむことは困難ですが、その動向に注目していく必要があります。
条文起草委の常設、与党が提案 立民は「時期尚早」と反対 衆院憲法審幹事懇
『産経新聞』2025年11月27日
自民党は27日、衆院憲法審査会の幹事懇談会で、連立政権合意書に盛り込んだ改憲条文起草委員会の憲法審への常設を提案した。連立を組む日本維新の会が同調したが、立憲民主党と共産党、れいわ新選組が反対した。改憲を目指す勢力が衆院で発議に必要な3分の2を割る中、自民と維新は次期衆院選での改憲勢力の躍進に期待し、両党の条文起草協議会で粛々と準備を進めるとみられる。
条文起草委の常設は、自民の船田元氏が提案した。協議テーマは、改憲に前向きな各党が必要性を共有している緊急時の国会議員任期延長を含む緊急事態条項に加え、立民が重視する内閣による衆院解散の制約などを想定している。
与党が目指す9条改正を除外した理由について、船田氏は記者団に「憲法審で具体的に議論していないので外した」と説明した。
ただ、自民の提案に立民は「時期尚早だ」と応じず、共産とれいわも歩調を合わせた。立民の山花郁夫氏は「起草委は幅広の合意があってつくるものだ」と主張。国民民主党と公明党は意見を表明しなかった。
船田氏は起草委の設置時期に関して記者団に「今国会中とは考えていないが、できるだけ早く何らかの決断を得たい」と語った。だが、憲法審の武正公一会長(立民)は提案を「聞きおく」と述べるにとどまり、実現は見通せていない。
一方、自民と維新は27日、両党で立ち上げた条文起草協議会の2回目の会合を開き、維新が9月に発表した提言「21世紀の国防構想と憲法改正」について意見交換した。
起草協議会は憲法審とは一線を画し、9条改正や緊急事態条項新設について両党の見解をすり合わせる場となる。関係者は「次の衆院選で改憲勢力が『3分の2』を奪還することを見据え、条文起草に備えている節もある」との見方を示した。(内藤 慎二)
* 引用、ここまで
続いて、12月4日の衆院憲法審について、これも『産経新聞』のウェブサイトに掲載された記事を転載させていただきます。
「安全」巡る認識の違い表面化 衆院憲法審査会 緊急事態条項新設に立民は反対姿勢堅持
『産経新聞』2025年12月4日
衆院憲法審査会が4日に開かれ、自民党など改憲勢力が、緊急時の国会議員任期延長を含む緊急事態条項の新設を改めて訴えた。党内や支持層に護憲派を抱える立憲民主党は反対姿勢を堅持した。緊急事態に「戦争」も想定する改憲勢力に対し、立民は大規模自然災害を中心に意見表明。政党間の「安全」をめぐる認識の違いも浮き彫りとなった。
■「民主主義の根幹に関わる」
「来年の通常国会の後半、議員任期延長を含む緊急事態条項について参院も含めた各党合意を取り付けつつ、条文化に着手していきたい」。自民の船田元氏はこう述べ、「条文起草委員会」の憲法審への常設を呼びかけた。ただ、立民の山花郁夫氏は議員任期延長の必要性を認めず、条文起草委の設置にも否定的な見方を示した。
自民と日本維新の会、国民民主党、公明党、衆院会派「有志の会」の5党派は6月、議員任期延長を可能にする憲法改正骨子案を示した。大規模自然災害に加え、武力攻撃などを想定した。
国民民主の浅野哲氏は4日の衆院憲法審で、「自然災害や感染症の蔓延、武力攻撃事態などで選挙を実施できない場合、国会の機能をいかに維持するかという課題は民主主義の根幹に関わる」と強調した。
一方、山花氏は「東日本大震災のようなケースでも8割強の地域は選挙の執行が可能だった」などと任期延長不要論を展開した。「国難」をめぐる認識が一致しているとは言い難い。
■維新、他党に「奮起」を促す
衆院の改憲勢力の問題意識は参院とも共有されていない。自民を含む参院側は現行憲法の「参院の緊急集会」の活用を念頭に、議員任期延長に慎重姿勢を示してきた。
とはいえ、戦争の影響は全国に及びかねず、参院だけで対応できるかは見通せない。ロシアに侵略されたウクライナの事情に詳しい神戸学院大の岡部芳彦教授は産経新聞の取材に「ドローン(無人機)や巡航ミサイルが飛んでくる中で、投票や街頭演説ができないことは明らかだ」と語る。
同様の危機感を抱く維新の馬場伸幸氏は衆院憲法審で、任期延長措置の必要性を強調。「党内もまとめられないようでは改憲原案の提出など夢のまた夢だ」と他党に奮起を促した。(内藤慎二、末崎慎太郎)
* 引用、ここまで
以下、この『産経』の記事では触れられていないものを中心に、この日私がいい意味であるいは悪い意味で特に興味を引かれた発言をいくつか紹介していきたいと思います。
論拠の弱い立民・山花郁夫氏の起草委員会設置反対論
野党側筆頭幹事の山花氏は、国民投票法の改正について「どの党の案がベースになったという色が付かないことが大事だ」、「発議される憲法改正案は、どこの党の主張であったということが希釈されていることが必要で、起草委員会というアイデアは現状ではそれになじむ状態ではない」などと述べましたが、なぜもっとはっきり反対の理由を主張しないのかともどかしく思いました。
また、議員任期延長の改憲についても、「公立中学校で男子生徒の髪型は丸刈りでなければならないという校則があった場合、この規制をなくすことが適切で、女子学生の髪型も丸刈りでなければならないという校則を新たに作成して男女の不平等を解消するという方策を取るべきではないことは言うまでもない」という奇妙なたとえ話を持ち出して、「大災害の場合、一部の地域で選挙の執行が困難であることを理由として衆院選を全面的に不能だと論じることは、比率で上回る地域での選挙権行使の機会を停止することにより平等を確保しようとするもので、女子学生を丸刈りにしようとするのと同様に、投票の権利を侵害・制限する方向で平等を実現しようとする方策と言え、繰延べ投票の方法を活用することが適切な解決方法だ」と述べていました。個人的な感想ですが、どうにもピンとこない発言でした。
維新・馬場伸幸氏の聞き飽きたトンデモ論とヤジ
維新の幹事である馬場氏は、発言の冒頭、「私は初当選以来13年間憲法審査会に身を置いている」が、「ここまでの活動を振り返ると、何も決められない審査会と言わざるを得ない」と述べた後、「憲法審査会は議論して結論を出すのが使命だ」といつもながらの謎理論を振りかざし、最後には「我々は9条及び緊急事態条項を中心に粛々と条文案の作成に着手しており、一刻も早い国民投票の実施に向け、改憲論議の先頭に立っていく覚悟である」と表明しました(2022年10月27日の憲法審で「日本維新の会が突撃隊となって改憲論議を引っ張っていく覚悟である」と発言した馬場氏のことですから驚きませんでしたが)。

これまでの馬場氏の言動を見ていると、よく「粛々と」となんて言えるものだなとあきれますが、この日も氏はとんでもない振る舞いに及びました。それは、後述する五十嵐えり氏(立民)の発言時にヤジを飛ばしていたことです。傍聴者を含めて他人のヤジには激しく反発する維新の議員たちが(自民の安倍晋三元首相もそうでしたが)しばしば大声でヤジを飛ばすという事例がまた一つ加わった形です。

これまでの馬場氏の言動を見ていると、よく「粛々と」となんて言えるものだなとあきれますが、この日も氏はとんでもない振る舞いに及びました。それは、後述する五十嵐えり氏(立民)の発言時にヤジを飛ばしていたことです。傍聴者を含めて他人のヤジには激しく反発する維新の議員たちが(自民の安倍晋三元首相もそうでしたが)しばしば大声でヤジを飛ばすという事例がまた一つ加わった形です。
条文起草委員会の構成はどうなる?
公明党の河西宏一氏は、改憲に関する党の姿勢について、選挙困難事態など緊急事態における国会機能の維持についてはさらに議論を積み重ねる、9条と自衛隊については9条1項・2項は堅持した上で自衛隊を憲法の定める統治機構の中に位置づける検討を進めるなどと述べた後、条文起草小委員会をめぐって衆議院法制局に過去の小委員会設置の事例について説明を求めました。これに答えた橘衆院法制局長は、憲法調査会時代に設置された4つの小委員会と憲法調査特別委員会に設置された法案審査小委員会では、いずれも幹事・理事の会派だけでなくオブザーバーの会派を含めて委員が割り当てられたことを紹介しました。
また、れいわ新選組の大石あきこ氏は、11月27日の幹事懇談会で、「SNSの偽情報が主なテーマだったのに、最後に自民党の幹事から改憲の起草委員会を作りたいんだ、オブザーバーは排除したいんだという提案をしてきた」と暴露し、「私もオブザーバーなので排除されてしまうのではないかと不安になった。これは大問題だと思うが、小委員会をオブザーバーを排除して進めていくといったことをどこで意思決定するつもりなのか」と武正公一会長(立民)に質問しました。これに対して武正氏は、「提案があったということだけ幹事懇では申し上げている。それ以上でも以下でもない」と、あいまいに答えました。
橘氏と武正氏の発言を総合すると、過去の憲法調査会や憲法調査特別委員会ではオブザーバー会派を含めて小委員会が設置されたが、今提案されている憲法審査会の起草委員会はどうなるかわからないということになります。大石氏が不安になったのは当然で、私も不安です。れいわや共産党を排除して条文起草小委員会が設置され、なし崩し的に改憲の議論・手続きが進まないよう、全力で反対していかなければなりません。
中谷元氏の「くせ球」発言
ここまで紹介してきた各会派1名ずつの意見表明の後、何人かの委員・幹事からの発言がありました。その中でいちばん驚いたのが、以前与党側筆頭幹事を務めていたこともある中谷元氏(自民)の以下の主張でした。
氏はまず「今年6月12日に船田氏ら5会派の委員から配布された条項骨子案は審査会で議論できる画期的な提案になっている」、「自衛官が自信と誇りを持ち胸を張って国防の任に就くことができるよう、9条の『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』という条文を改正して自衛隊を明記すべきだ」として、条文起草委員会における条文案の作成と審査会での審査を行うよう訴えた後、「もう一つ検討し得る条項として憲法24条がある。同性婚を正面から認める憲法改正・法整備が必要であり、憲法審査会しか議論の場がない」と述べたのです。氏がどういう意図で同性婚の問題を持ち出したのか定かではありませんが、唖然とさせられる発言でした。

上述のように立憲民主党会派を代表して行った山花郁夫氏(野党側筆頭幹事)の発言がやや迫力を欠いたものでした(個人的な感想です)ので、最後に同党の松尾明弘氏(幹事)と五十嵐えり氏のもう少し歯切れのいい意見表明を紹介しておきたいと思います。
まず、松尾氏は、議員任期延長に関して「参議院の緊急集会が存在する以上、改憲を正当化する理由とはならないし、国民の選挙権を侵害し国民主権の原理にも背くものであるため、これを目的とする条文起草委員会を直ちに設置することは認められない」と述べ、「いつか何らかの条文について起草委員会を設ける場合は、少数意見を反映させることを重視して現在幹事会にオブザーバーとして参加されているような会派の方々も参加するべきである」と主張しました。また、「立憲主義は政治権力の独裁や恣意的な支配を憲法や法律によって統制しようという原理で、民主主義国家の憲法において不可欠な前提となるものであり、憲法審査会の議論は立憲主義に基づくこうした機能を一層強化する、あるいは人権保障をより実現するといったテーマを優先して行うべきだ」として、「衆議院の解散権、憲法62条が定めている国政調査権、LGBTQの人々の人権保障、特に高裁レベルで違憲判決が相次いでいる同性婚、憲法92条の地方自治」を挙げました。
そして五十嵐氏は、「自民と維新の連立合意書にもある緊急事態条項の条文起草委員会の設置や来年度中の国会提出には明確に反対する」として、これまでの国会での議論の経過を詳しく述べながら、「緊急集会の70日限定説や権能限定説が完全に崩壊している今、任期延長改憲の理由がないことが明らかになったはずだ」と主張しました。また、「自民と維新の連立合意書にもある憲法9条について、戦後80年、9条の下で専守防衛の理念が果たしてきた役割は非常に大きく、対話と国際協調を重視した平和的かつ現実的な外交、安全保障政策を推進するためにも改正には反対する。9条を事実上死文化させるおそれのある自衛隊明記の改憲についても反対の立場であることを申し添える」と表明しました。
五十嵐氏がこの日最後の発言者でしたが、このとき維新の馬場氏がヤジを飛ばしていたことをもう一度記しておきます。
この日の審査会は、11時30分頃閉会となりました。
委員の出席状況は、自民は初め5~6人、途中から2~3人、立民は1~2人が欠席しており、他の会派は全員が出席していました。
傍聴者は35人ほどで前回より多かったのですが、記者席に着いていたのは1人だけでした。
改憲・戦争反対の声を広げる闘いを全力で取り組もう
今国会での憲法審査会(実質的な審議の行われた回)は、この日が最後となりました。条文起草委員会の議論はまったく進展せず、改憲勢力にとってはほとんど成果のないうちに終わったように見えます。
しかし、安心は禁物です。自民と維新は『合意書』で設置するとした「条文起草協議会」を11月13日から開始し、改憲への世論を喚起しようと躍起になっています。高市内閣の支持率が(私たちから見れば)異様に高いことも懸念材料です。高市政権の中国への挑発的な対応とそれへの中国の反応を排外主義へと組織しようとする動きはとても危険です。
私たちはこうした戦争策動に徹底的に対抗していかなければなりません。
そのためにも2026年の改憲攻防を世論を二分するような大きな闘いにしなければなりません。「自衛・防衛のため」と称して高市政権が進める大軍拡、軍事経済、排外主義の戦争政治と全力で対決し、中国・アジアの民衆と連帯する反戦運動の大きなうねりをつくり出していきましょう!(銀)
私たちはこうした戦争策動に徹底的に対抗していかなければなりません。
そのためにも2026年の改憲攻防を世論を二分するような大きな闘いにしなければなりません。「自衛・防衛のため」と称して高市政権が進める大軍拡、軍事経済、排外主義の戦争政治と全力で対決し、中国・アジアの民衆と連帯する反戦運動の大きなうねりをつくり出していきましょう!(銀)

