許すな!憲法審査会

「とめよう戦争への道!百万人署名運動」ブログを改めて、改憲の憲法審査会動向をお伝えしていきます。百万人署名運動は、「改憲・戦争阻止!大行進」運動に合流しました。

2025年07月

大変遅くなってしまい恐縮ですが、今年の通常国会最後の憲法審査会の報告です。

6月18日(水)13時から、今通常国会6回目の参議院憲法審査会が2週間ぶりに開催されました。
この日のテーマは前回と同じく「国民投票法等」とされ、まず各会派を代表して1人ずつ、計8人が7分の持ち時間で発言し、続いて3人の委員が3分以内で意見を表明しました。

最初に中曽根弘文会長(自民)が「全体の所要は1時間5分を目途とする」と述べましたが、8(人)×7(分/人)+3(人)×3(分/人)=65(分)になります。いつもは何人か制限時間を超過する委員がいるのですが、この日の審査会ではタイム・オーバーを知らせるブザーは1度も鳴らされず、予定より3、4分早く14時過ぎに閉会となりました。

個人的な感想ですが、この日が実質審議の行われる通常国会最後の参院憲法審であり、参議院議員選挙を1カ月後に控えている(都議選の4日前でもありました)こともあったからか、議場はやや緊張感に乏しい雰囲気でした。
yurusuna
また、いつもなら産経新聞やNHK、共同通信、時事通信などがウェブサイトで配信する無料で読める記事をこの傍聴記に転載させていただいているのですが、今回はメディアの関心も小さかったようで、ここで紹介できるような記事は見つけられませんでした。

「国会機能維持条項」骨子案にNO!を突きつけた参院自民党

この日最も注目すべき発言は、いちばん最初に自民党を代表して意見を表明した若林洋平氏が、衆院憲法審の幹事会に提出された「選挙困難事態における国会機能維持条項(という名の国会議員任期延長=居すわり条項)」の骨子案に対して、参議院の自民党会派としては、「自民党憲法改正実現本部で了承されたものではなく、あくまで衆院側の幹事、オブザーバー5名によるものと理解している」と明言したことだったと思います。
ここで5名というのは、骨子案に署名した衆院憲法審幹事会の幹事3名、船田元(自民)、馬場伸幸(維新)、浅野哲(国民)とオブザーバー2名、濱地雅一(公明)、北神圭朗(有志)の各氏を指しています。

続いて発言した熊谷裕人氏(立民)は、「任期延長改憲論が論拠としている参議院の緊急集会が平時の制度であり70日間の限定であり2院制の例外の制約があるという説に関しては、参院では自民、公明の与党も否定的であった」と指摘した上で、「今回の衆院憲法審における4党1会派の骨子案の提出は、参院憲法審での真摯な議論の積み重ねを根底から否定し、参議院の存在も否定することにつながりかねない暴挙と言わざるを得ない」と、強い言葉で非難しました。
619参議院憲法審.psd
(上記写真は参議院憲法審査会の様子)

これらは、骨子案の内容というよりそれを提出した会派内でオーソライズされていないことや参院側での緊急集会をめぐる議論を無視していることなどを問題視したり批判するものでしたが、最後に発言した福島みずほ氏(社民)は、なぜ骨子案が認められないのか、その理由を以下のように説明しました。福島氏の公式サイトから転載させていただきます。

2025.6.18 参議院 憲法審査会での発言 福島みずほ公式サイトより

衆議院憲法審査会5会派が憲法改正についての骨子案をこのように提出したことに強く抗議をします。
内閣は、選挙困難事態及びその期間の認定を行い、期間の延長まで行います。
まさに国会議員の居座りであり、内閣が国民の選挙権の行使を禁止し、民主主義の過程を通して国会が、そして内閣が作られることを阻止しようとするものです。独裁にしかなりません
実際、1941年に衆議院議員の任期が、任期満了前に立法措置により1年間延期されたことがあります。その理由は、「挙国一致防衛国家体制の整備を邁進しようとする決意について、疑いを起こさしめぬとも限らぬので、議会の任期を延長して、今後ほぼ1年間は選挙を行わぬこととした」というものでした。
このように、衆議院議員の任期延長が、戦争遂行の国内体制整備のために実際行われたのです。

ですから、このような骨子案は問題です。
わが参議院会派の憲法を遵守し、法の支配と立憲主義に立脚する議論が、衆議院の各党各会派においても、真摯かつ誠実な姿勢で顧みられ、議論されることを望みます。
* 引用、ここまで。

骨子案については、6月12日の衆院憲法審で、船田元氏(自民、与党筆頭幹事)が「新藤元筆頭幹事の下で2022年12月1日、23年6月15日の2回にわたり論点整理が行われ、さらに24年6月13日には、中谷前筆頭幹事から、自民、公明、維新、国民、有志の5会派の共通認識を整理した骨格メモが示された」、「これを基にさらに議論を深め、5会派の現場の責任者が共同で作成した“選挙困難事態における国会機能維持条項の骨子案とさらに深掘りするべき検討課題”について、本日の幹事会で配布することができた」、「これは衆院憲法審の現場における5会派の幹事、オブザーバーの共通認識を整理し、より条文案に近い形に一歩深掘りしたもので、次のステップに向けた大きな前進と言える」と、いけしゃあしゃあと言い放っています。

確かに「衆院憲法審の現場における5会派」とは述べていますが、参院側の合意を取り付けていないことには一切言及していません。この船田氏の発言はフェイクニュース、偽情報と言えるのではないでしょうか。
ぎもん

参院選の結果にもよっても違ってくるでしょうが、秋の臨時国会で議員任期延長をめぐる改憲の議論が進展するのか頓挫するのか、注視していきたいと思います。

広告規制、フェイクニュース対策、広報協議会の問題

この日、多くの委員が言及したのがテレビ、ネットの広告規制やフェイクニュース対策で、海外勢力からの干渉の危険性を主張する意見もありました。また、これに関連して、国民投票広報協議会の役割を重視する見解とその限界を強調する指摘がありました。

これらの論点については、ほぼ4年前、2021年6月9日に成立した国民投票法(改憲手続法)改正案の附則第4条で「国は、この法律の施行後3年を目途に、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする」とされている中で、「2 国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項」として、
イ 国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限
ロ 国民投票運動等の資金に係る規制 
ハ 国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策
の3項目が明記されており、期限を1年も経過してなお検討がほとんど進んでいないことになります。
したがって、この日福島みずほ氏が述べたように、こんな状態で「国民投票を行うわけにはいきません」。再び、福島氏の公式サイトから転載させていただきます。

2025.6.18 参議院 憲法審査会での発言 福島みずほ公式サイトより

国民投票法について述べます。
第一に国民投票法改正法附則第4条の検討事項1号のみならず2号も十分に検討した上でなければ、国民投票を行うわけにはいきません。
十分に検討され解決されなくして行われる国民投票は公平及び公正が担保されておらず、正当性を有しません。

第二に、資金力の差によって不公平な投票が行われることを規制しなければなりません。
国民投票運動等の支出上限の設定、収支報告書の提出等が必要です。

次に国民投票の14日前までテレビCMが全く自由である事は極めて問題です。
賛否の勧誘のための広告放送は全面禁止すべきですし、意見表明広告については政党も禁止すべきです。

インターネットについても規制が必要です。有料ネット広告の広告主明示義務は必要です。

広報協議会とファクトチェック団体との連携などは必要だと考えます。
ただし、広報協議会は国会の構成の数によって構成され、果たして中立的なファクトチェックと言えるのか、検閲的な効果を生むことがないか問題です。これは今後十分な検討が必要です。
* 引用、ここまで。

なお、前回のこのブログ(6/12衆院憲法審傍聴記)に、「19日に開かれた衆議院憲法審査会の幹事懇談会で枝野審査会長は、与野党の筆頭幹事と協議してまとめた“今後の議論の方向性”という提案を各党に示し……この中では、憲法改正の国民投票が行われる場合に、広報を担うために設置される“広報協議会”が、SNS上の偽情報への対策として正確な情報をどのように発信していくかや、必要な規制を設ける際にどの程度関わるかなど、検討すべき項目が挙げられています。(出典は6月19日付『NHK NEWS WEB』)」と記しましたが、この“今後の議論の方向性”の内容は、福島氏が指摘した「国民投票を行うわけにはいきません」という状況を打開しようとする呼びかけに他なりません。この問題についても、今後の動向を注視していく必要があります。

憲法学者、高良鉄美氏(沖縄の風)最後の発言

7月20日には参議院選挙が行われます。憲法審の委員の中にも改選となる議員がいて、中には引退する議員もいます。高良鉄美氏(沖縄の風)もその一人ですが、氏は長く大学教員を務めた憲法学者であり、これまで憲法に対する誤った主張を繰り返す改憲勢力の面々を(個人的な感想ですが)教え諭すかのように発言してきました。今回の傍聴記では、高良氏が憲法審で表明された意見を少し詳しく紹介したいと思います。『国会会議録検索システム』で公開されている会議録から要約します。

皆さんは憲法保障という言葉を知っていますか。96条、97条、98条、99条は憲法保障の規定であり、国家権力の横暴によって憲法が侵されないように置かれています。96条の両院議院の3分の2という発議の要件が難しいのは、憲法が自らを守っているということであり、国権の最高機関である国会に信頼を置いているわけです。それなのに、各議員が立憲主義のこの理念を一顧だにしないで、とにかく早く改憲案を作れと声高に叫んでいる姿はいかがなものかと思います。

よしんばこの翼賛体制による改正案の発議が国会で通ったとしても、憲法は立憲主義の構造における最終の憲法保障として主権者国民に国民投票を信託しています。この信託の意味をまた同じように一顧だにしないような国民の姿であるとすれば、憲法保障としての国民投票の意義は消えてしまいます。

国民への信託を考える上で、前回フェイクニュースの問題を取り上げたことは意味があったと思います。それは、この信託の重さがあるからこそフェイクニュースには注意をしてくださいという意味です。

しかしながら、そのベースにある国民投票の仕組みそのものが、改憲手続法、国民投票法でゆがめられ、憲法に反する疑義があります。
まず、改憲手続法制定の立法事実の問題です。国民から改憲の要望が強ければ当然定めなければならないけれども、その必要性、緊急性がないということです。

憲法改正権力を有する国民から具体的な要求がないにもかかわらず、憲法99条で憲法を遵守してくださいと言われている国家権力の担い手である我々国会議員が、改正に関する規定がないのが不備だとして改憲手続法を作りました。
この論理なら、憲法99条の憲法尊重擁護義務違反の権力の担い手に対する罰則がないのは不備だとして、刑法を改正するか特別法を制定して罰則を設けるべきだということになります。

もう一つは、現行の国民投票法の内容です。憲法改正の発議の要件は各議院の総議員の3分の2で相当難しいわけですけれども、国民投票になると最低投票率の規定もなく、有効投票数の過半数で決めるとして、幾らでも低い投票率で改憲が可能になってしまいます。この有効投票数には、無効あるいは棄権の票が計算されていませんが、発議をする国会議員の方には棄権とか無効は含まれています。だとすると、同じような考えを持たないといけないと思います。

比例原則というものがありますので、国会での発議にそのようなハードルがあれば、国民の方にもハードルがないと、国民投票を憲法保障として置いている意味がないことになります。ほかの国では、国民投票に最低投票率を設けたり、有権者の過半数の賛成を得なければならないという規定を設けているところもあります。この最低投票率の定めがないという問題については、弁護士会や法学者からも随分問題提起がされていて、憲法改正という国家の根幹に関わる決定に対して手続が軽過ぎるんじゃないかということです。

憲法96条の憲法保障の趣旨をしっかり捉えた上で、立憲主義的な解釈や比例原則を考えて、過半数の賛成という単純な文理解釈をすべきではないということを申し上げておきたいと思います。

憲法を変える問題については、国の根幹に関わることだということで、軽々にこれを叫んではいけないということと、慎重であって何も悪いことはないということで、国民の方から変えてくださいと問題を提起した場合に初めて国民の意思を尊重していることになるんだということを訴えて、私の意見としたいと思います。」

そうだ!
私も多くの反対の声を押し切って強行された改憲国民投票法そのものが大問題であり悪法だと考えています。国会や憲法審査会の現状を見ると、高良氏のこのような正論が顧みられる可能性は皆無に近いと考えざるを得ませんが、私たちの立場こそ正当なのだという確信を持って改憲派のフェイクやデタラメなやり口を暴いていきましょう。参議院選挙の中でも真実をフェイクで塗り替え排外主義をあおるような宣伝が横行しています。毅然と対決し、改憲阻止、戦争反対の運動に取り組んでいきましょう。

傍聴者は始め15人くらいでしたが、少し経ってから入ってきた人もいて最終的に25人ほどになりました。記者は1人でしたがゼロになった時間もありました。
なお、20日(金)には請願の処理等を行うためにもう一回参議院憲法審査会が開催される予定でしたが、ガソリン税の暫定税率を廃止する法案をめぐって衆院で財政金融委員長が解任されるなどしたため参議院の審議日程が混乱し、結局取りやめとなりました。(銀)

6月12日10時から11時20分過ぎまで、今通常国会9回目の衆議院憲法審査会が開かれました。
前回の傍聴記に、5月29日に開かれた幹事懇談会で「緊急事態条項の骨子案を自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党と有志の会が6月12日の幹事会で共同で提示することを申し合わせた」(『時事ドットコムニュース』5月29日)と書きましたが、この日の幹事懇ではそのシナリオどおりにことが進みました。
そして、引き続き開かれた憲法審査会本体では、「骨子案」そのものは配布されなかったものの、与党側の筆頭幹事で会長代理でもある船田元氏(自民)がその内容を詳細に説明しました。この発言は議事録に残されますので、事実上審査会で配布されたも同然です。さらに悪いことに、衆院憲法審に提出された資料は傍聴者に配布され、ホームページにも掲載されますが、この日は提出先が幹事会であったため、私たちにはその正確な内容を知るすべがありませんでした。

枝野幸男会長や野党側筆頭幹事の武正公一氏(ともに立民)は、議事録に残る憲法審本体への提出は認められないが残らない幹事会への提示は認めるとして改憲勢力と手を打ったわけですが、ほとんど意味のない駆け引きだったわけで、本当に腹立たしい限りです。

yurusuna
以下、このことを報じた『読売新聞』と『産経新聞』の記事を転載させていただきますが、案の定両紙とも見出しには「改憲骨子案」を「提示」と掲げており、審査会本体と幹事会の違いなど全く問題にしていません。

災害やテロなどなどの緊急時に国会議員の任期延長、改憲骨子案を初提示…自民など5党派
『読売新聞オンライン』2025年6月12日

 自民、公明、日本維新の会、国民民主の4党と無所属議員の衆院会派「有志の会」は12日の衆院憲法審査会幹事会で、災害などの緊急時に国会議員の任期を延長する憲法改正の骨子案を初めて提示した。

 骨子案は、任期延長を認める「選挙困難事態」の認定要件などが柱となっている。自然災害や感染症の蔓延、武力攻撃、テロや内乱といった緊急事態で、広い範囲で国政選挙の実施が長期間困難と認められる場合、内閣が選挙困難事態とその期間を認定するとした。
認定にあたっては、国会の事前承認を受けることを求めている。

 また、困難事態の期間の経過後に選挙を速やかに行うとしたほか、経過前でも可能な場合は国会の議決に基づいて速やかに実施しなければならないとも定めた。議員任期についてはこれらの選挙期日の前日まで延長するとしている。

審査会1

 幹事会は憲法審査会に先立って開かれた。自民の船田元・与党筆頭幹事は審査会終了後、「憲法改正に向けた一つのステップで、大変安堵した。一つの土台として、次の国会以降で深掘りしていきたい」と記者団に語った。


5党派が「議員任期延長」の改憲骨子案提示 自民内の「溝」が懸念材料 衆院憲法審幹事会
『産経新聞』2025年6月12日

 衆院憲法審査会の幹事会が12日開かれ、自民党と公明党、日本維新の会、国民民主党、衆院会派「有志の会」の5党派でまとめた緊急時の国会議員任期延長を可能にする憲法改正骨子案が示された。衆院自民は賛意を得やすい項目だと期待するが、参院自民は現行憲法にある「参院の緊急集会」の役割を重視する立場だ。憲法改正を党是に掲げる自民が衆参の「溝」を埋め、結束できるのかが焦点となる。

条文案の一歩手前

 大規模自然災害や戦争などの選挙困難事態下で国会機能維持を図るための骨子案は、維新、国民民主、有志の3党派案に自公の意見を反映させたものだ。関係者は「改憲条文案の一歩手前まで来た。秋の臨時国会以降の議論の出発点になる」と解説する。立民は提示に後ろ向きだったが、議事録に残らない幹事会に示すことで折り合った。

 自民の船田元氏は幹事会後の憲法審で、骨子案について「次のステップに向けた大きな前進だ」と強調した。他の4党派も骨子案の意義や憲法改正につなげる必要性を訴えた。
 一方、立民の武正公一氏は「選挙困難事態の立法事実はない」と改めて議員任期延長措置は不要だと訴えた。れいわ新選組と共産党も同様の見解を示した。

「参院選に影響」

 衆院5党派の結束は強いが、任期延長の改憲が実現するかは見通せない。「参院の緊急集会」の役割が軽視されることへの懸念が参院で根強いためだ。
 自民が10日の党会合で骨子案提示について水面下で協議したところ、参院自民の出席者から「参院選に悪影響を与える」などの反対論が噴出したという。

 11日の参院憲法審の幹事懇談会に出席した立民関係者も参院自民の不満を暴露。幹事懇後、記者団に「自民側は、参院選で参院をないがしろにするようなことをやるのかという感じで、『選挙前に余計なことをしやがって』みたいなことを言っていた」と明かした。

 船田氏は記者団に参院自民の意見を骨子案に反映させたことで対立は解消したとの認識を示した。しかし、立民の閣僚経験者は「議論を進めるほど自民内が割れている状況が明らかになる」とほくそ笑む。

 「さいは投げられた。秋の臨時国会では速やかに起草委員会を設置し、骨子案を土台に憲法改正原案の作成に入るべきだ」。維新の馬場伸幸氏は12日の衆院憲法審でこう訴えたが、議論を牽引すべき自民の現状は心もとない。(内藤慎二、末崎慎太郎)
* 引用、ここまで。

なお、その後、大石あき子氏(れいわ)が自身の公式ウェブサイトに「骨子案」の現物を掲載してくれていることがわかりました(https://www.oishiakiko.net/2025-06-12-kenpoushi-oishi/)ので、下記に添付しておきます。
審査会2

ただ、改憲勢力の機関紙とも言うべき『産経』が、幹事会への「骨子案」提出にもかかわらず「自民の現状は心もとない」と評しているとおり、議員任期延長改憲には高いハードルがあります。

それを象徴するやり取りが、大石あきこ氏(れいわ)の船田氏に対する下記のような質問と回答でした。これも大石氏の公式ウェブサイトから要約して転載させていただきます。

大石氏:幹事会で船田幹事に自民党の中で衆参でこれはまとまっているのか、会派としての意見でよろしいのかと聞いたら、正式には党内手続は取れなかったが、大きく言えば会派の意見だとおっしゃっていた。それはどういう意味なのか、具体的に教えていただきたい。

船田氏:自民党として、昨年夏にワーキングチームを作って衆参両院の間で意見の調整をさせていただいた。 その結果、選挙困難事態があること、その際は議員任期を延長すること自体は合意しているし、また、参議院の緊急集会がいつまでも存続する、あるいは権限を持っているということではなく、一定の限界があることについても合意している。ただ、参議院の方で、緊急集会の射程について、あるいはその権限について意見の食い違いが若干あったので、今回は衆議院の現場の幹事、オブザーバーで決定した。
しかし、これは生煮えということでは全くなく、党の正式機関で総裁直属機関である憲法改正実現本部で了承されたものなので、これはほぼ自民党の考え方と言っても差し支えないと思っている。
以上です。

一読して明らかですが、船田氏の説明は全く要領を得ないものでした。それにしても、「“ほぼ”自民党の考え方」って何なんでしょうか。
『産経』の記事にあるように、馬場伸幸氏(維新)はこの日の憲法審で「さいは投げられた」と(おそらくは気の利いた表現を使ったつもりで)述べましたが、けっしてそうではないことを強調しておきたいと思います。

さて、「改憲骨子案」ばかりに焦点が当たったためぼやけてしまいましたが、この日の衆院憲法審のテーマは「今国会の振り返りと今後の進め方」とされていて、まさに玉石混淆(石の方が断然多かったのですが)、様々な発言が飛び出しました。その中で改めて改憲派の本命が、やはり9条改憲であることが明らかになりました。

9条改憲、自衛隊明記の議論を要求する自民、維新の委員たち

維新の馬場氏は、「改憲骨子案」について「さいは投げられた」と言った後すぐに、次のように続けました。
「今国会で憲法9条に絞った議論が行われなかったのは残念でならない。我が党はすでに自衛隊を明記する条文案を発表しているが、党の憲法改正調査会で9条2項を削除する方針を決定し、議論を進めている。秋の臨時国会では9条をめぐる議論も加速させ、起草委員会で改憲原案の作成に着手すべきだ。」

そして、自民党の山田賢司氏は、自党の憲法審幹事への批判を交えながら、自衛隊明記の改憲の議論の推進を求めました。
自衛隊の明記について、自民党の幹事は本当に重要だと考えているのか。自民党は従来から改憲4項目を掲げて自衛隊明記の必要を訴えているが、なぜ憲法審の議題として深掘りした議論を進めないのか。重要と考えるなら、率先して議題として議論を尽くし条文化を進めるべきであり、そうしないのであれば自民党は自衛隊明記の必要性、緊急性が高いと考えていないと評価されてもしかたない。」

前回の傍聴記に記したことの繰り返しになりますが、参院選、そしてその後の衆院選の結果、改憲勢力が発議に必要な勢力を衆参両院で確保することになれば、「参議院の緊急集会」の権能をめぐって自公両党で衆参の不一致がある緊急事態時の議員任期延長の改憲より、集団的自衛権を位置づけ自衛隊を明記する改憲の方が先に発議される可能性はけっして低くないと思います。最大限の警戒を続けていきましょう。

衆院法制局作成資料の「学説のねつ造」疑惑をめぐる攻防

さらにもう一つ、維新・馬場氏の発言を取り上げますが、氏は参議院の緊急集会をテーマとして3月27日に開催された衆院憲法審において衆議院法制局が作成・提出した資料や橘幸信衆議院法制局長が行った説明について、藤原規眞氏(立民)が「学説のねつ造」、「ミスリード」等の文言を差し挟みながらその公平性、客観性に疑義を呈し、さらに参院憲法審委員の小西洋之(立民)がそれに同調する主張を『X』にポストしたり4月16日の参院憲法審で述べたりしたことに対して、両氏の主張は「明らかな事実誤認に基づく誹謗中傷」だと決めつけ、立民の憲法調査会長である山花郁夫氏に説明を求めました。

これに対して、山花氏は「(藤原氏、小西氏に対する)監督不行き届きを党の憲法調査会の責任者としておわびする」とあっさりと謝罪したのですが、馬場氏が指摘した「明らかな事実誤認」が何を指しているのかは明確でなく、また、仮に何らかの事実誤認があったとしてもそれは藤原氏や小西氏の主張の一部にすぎないと考えられますので、これで一件落着とはならないのではないでしょうか。

また、この問題に関連して大石あきこ氏(れいわ)が「私が橘法制局長に事情をうかがったとき、氏は小西氏を呼び捨てにして怒っていた」と述べたところ、浅野哲氏(国民)は、この発言について「議事録の削除を含む適正な対応を求めたい」と要求しました。(大石氏の『X』によれば、6月19日に開催された幹事懇談会で、議事録から削除されないことが決まったそうです。)

このように改憲勢力は選挙困難事態における議員任期延長改憲の障害となる「学説のねつ造」疑惑を何としても葬り去ろうとしており、立民の幹事たちはそれに同調しているように見えますが、この日の憲法審で反論の機会を与えられなかった藤原規眞氏は翌日の『X』に次のように投稿しており、闘う姿勢を崩していません。

「記者さんにも書けること書けないことあり。昨日の衆議院憲法審査会で火だるまになり、激高しながら委員会室を出た。顔見知りの記者さんが笑いながら駆けよってきた。私はまくし立てた。『▲▽??〒□Σ×√??!』記事になったら大ごとだ、が、一日が経ったが藤原の『ふ』の字もない。」

この問題がこのままうやむやにされないよう闘う議員をサポートしていくとともに、法制局や憲法審査会事務局の作成する資料、あるいはそれに基づく憲法審での事務方からの説明が本当に公平で客観的なものなのか、注意深くチェックしていく必要があると思います。

この日の委員の出席状況は、自民は集まりが悪く始め4~5人が欠席していましたがすぐに1~2人になり(0人になったこともありました)、中盤からは3人前後となりました。これに対して立民は欠席者数の変動が小さく、常時3~4人が席を外していました。他の会派は全員が出席していましたが、赤嶺政賢氏(共産)は同時に開催されていた安全保障委員会に出席するためだったのでしょうか、途中退席して戻りませんでした。
傍聴者は40人ほどで最近ではかなり多い方でした。この日が今国会最後の衆院憲法審だったからかもしれません。記者席には開始時は誰もおらず、途中から1人になりました。

要警戒:枝野幸男会長の改憲への意気込み

今年の通常国会は6月22日に閉幕し、衆院憲法審での実質審議は6月12日が最後となりました。
ところが、6月19日にも衆院憲法審の幹事懇談会が開かれていました。以下、『NHK』の報道です。

“憲法改正の国民投票 偽情報対策の検討を” 衆院憲法審査会
『NHK NEWS WEB』2025年6月19日
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250619/k10014839211000.html)

 衆議院憲法審査会の幹事懇談会で、枝野審査会長は、憲法改正の国民投票が行われる場合に、SNS上の偽情報への対策として検討すべき項目を各党に伝えた上で、この提案をもとに議論を進めたいという考えを示しました。

 19日に開かれた衆議院憲法審査会の幹事懇談会で枝野審査会長は、与野党の筆頭幹事と協議してまとめた「今後の議論の方向性」という提案を各党に示しました。
この中では、憲法改正の国民投票が行われる場合に、広報を担うために設置される「広報協議会」が、SNS上の偽情報への対策として正確な情報をどのように発信していくかや、必要な規制を設ける際にどの程度関わるかなど、検討すべき項目が挙げられています。
この提案について、各党は持ち帰って検討する考えを示しました。

枝野審査会長は記者団に対し「今後の議論の方向性を示したので、各党・各会派には、秋までに論点を整理して準備してほしい」と述べました。
* 引用、ここまで。

これはいったい何なんでしょうか。まるで夏休みの宿題を出す教師のような振る舞いです。枝野氏がいつまで会長の座に就いているのか、そしてどんな内容の改憲を想定しているのかはわかりませんが、改憲に前のめりの姿勢についてはどんなに警戒しても警戒しすぎということはないと思います。

なお、6月20日(金)には、請願の処理など事務的な案件を処理するために今国会10回目となる憲法審査会が開かれ、1分強で閉会しました。

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こうして今年の通常国会の衆院憲法審は閉幕しました。改憲勢力にとってはフラストレーションが溜まるばかりだったかもしれませんが、枝野会長の指揮の下で改憲案発議へ向けた歯車が強引に回転させられました。閉会した今国会でも少数与党政権の下でも大軍拡予算はさしたる抵抗もなく国会を通過し、能動的サイバー防御関連法や日本学術会議法などの戦争関連の悪法もあっさり成立してしまいました。

私たちはこうした厳しい情勢=翼賛国会を真正面から見据え、怒りと危機感を持って現実に進められている石破政権の戦争政治に反対する抗議行動を広げましょう。既成政党は選挙の中でどこも争点にはしませんが、今こそ日本の戦争絶対反対が最も重要な課題です。9条改憲阻止!これからも粘り強く反戦の闘いに取り組んでいきましょう!(銀)


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