許すな!憲法審査会

「とめよう戦争への道!百万人署名運動」ブログを改めて、改憲の憲法審査会動向をお伝えしていきます。百万人署名運動は、「改憲・戦争阻止!大行進」運動に合流しました。

2025年05月

5月8日、2週間ぶりに今通常国会6回目の衆議院憲法審査会が開かれました。この日のテーマは、「解散権制限」とされ、衆議院法制局の橘幸信局長から説明を聴取した後、自由討議が行われました。
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まず、「解散権」とは何かについて『NHK』のホームページに掲載されている簡潔な説明をご紹介した上で、この日の憲法審について報じた『NHK』の記事を転載させていただきます。

衆議院の解散権とは
『NHK政治マガジン ねほりはほり聞いて!政治のことば』

衆議院の解散について、憲法では、◇内閣の助言と承認により、天皇の国事行為として行うとする7条と、◇衆議院で内閣不信任決議案が可決された場合(注1)に、10日以内に衆議院を解散するか、内閣総辞職をしなければならないとする69条に規定されています。日本国憲法の施行後に行われた24回の解散(注2)のうち、◇69条による解散は4回で、◇20回は、7条だけに基づいて行われました。7条による解散は、事実上、総理大臣が、最も都合が良い時期を選んで決めることができることから、解散権は総理大臣の『専権事項』、『伝家の宝刀』などと言われています。
注1:憲法69条には、内閣不信任決議案可決とともに信任決議案否決という条件が規定されています。
注2:この記事の作成日は不明ですが、下の記事にあるように、現在までに衆議院解散は26回行われています。

衆院憲法審 解散権制限めぐり 立民“法律で” 自民“慎重に”
『NHK NEWS WEB』2025年5月8日

衆議院の憲法審査会が開かれ、解散権の制限をめぐり、立憲民主党が、法律で恣意的な解散を抑制すべきだと主張したのに対し、自民党は、政治判断の機会をあらかじめ法律で縛ることは慎重であるべきだという考えを示しました
衆議院事務局によりますと、今の憲法の施行後に行われた26回の衆議院の解散のうち、7条による解散が22回、69条による解散が4回だったということです。
このうち、7条による解散は、事実上、総理大臣が、最も都合がよい時期を選んで決めることができることから、解散権は、総理大臣の「専権事項」などと言われています。

8日の衆議院憲法審査会では、解散権の制限をめぐって議論が行われました。
このうち、自民党の山下貴司氏は「解散によって国民の意思を問うことは、国民主権の趣旨に沿うもので、政治判断の機会をあらかじめ法律で縛ることには慎重であるべきで、ましてや憲法上制限することは反対だ」と述べました。

立憲民主党の谷田川元氏は7条による解散のケースを挙げ「今やれば勝てるという判断で解散が強行され、時の政権が権力を維持するために国民の血税が使われた」と述べたうえで、法律で恣意的な解散を抑制すべきだと主張しました。

日本維新の会の青柳仁士氏は「今の憲法では解釈に幅が生じ、恣意的な解散を容認する余地が残る。乱用を防ぐためには、発動要件などを憲法上に明文化することが重要だ」と述べ、憲法を改正して対応すべきだと主張しました。
* 引用、ここまで。

デマと言っても過言ではない公明党、濱地雅一氏のとんでもない言い草

上掲の記事で紹介されている山下貴司氏(自民)、青柳仁士氏(維新)の発言は、それぞれ「衆議院の解散については党内議論は行っていないので、あくまで個人的見解として述べる」、「衆議院の解散について意見の集約は行っていないので、今日は個人的な見解として意見を述べる」と、ほとんど同じ表現で前置きをした上でのものでしたが、2人の解散権についての見解は、山下氏は憲法で制限することに反対だ、青柳氏は憲法で発動要件を明文化すべきだと対立していました。

そしてもうひとり公明の濱地雅一氏も、「解散権のあり方についてはこれまで党派としての見解を示していない。先日も党内議論を行ったが様々な意見が出て党としての統一見解に至っていないので、そのことを踏まえた上で発言したい」と述べていました。

過半数の議席を有する自公維の各党が意見をまとめることができていないなら、これまでの憲法審でできるだけ会派としての意見を述べるようにと促してきた枝野幸男会長(立民)は、この日このテーマでの憲法審の開催を避けるべきだったし、少なくとも自公維の委員を厳しく注意すべきだったのではないでしょうか。

また、濱地氏は安倍政権下での2017年9月の解散は、「幼児教育無償化に対する増税分の財源の使途変更」という、「その前の選挙の争点ではなかった新しい重大な政治課題に対処するためだったと思われる」という看過できない発言を行いました。

このときの解散の理由を、当時、自民党は次のように説明していました。
「今回の衆院解散は、世界的にも前例のない速さで進むわが国の“少子高齢化”と、核実験と弾道ミサイル発射を繰り返す“北朝鮮による脅威”の、2つの国難を国民の皆様と共に乗り越えていくにあたり、国民の皆様の信を問うために行われます。」(出典:自民党ホームページに掲載されている9月25日付の記事、「記者会見 安倍晋三総理・総裁が“国難突破解散”を表明」)

そして、この日赤嶺政賢氏(共産)が指摘したように、「その実態は、森友学園や加計学園の疑惑を隠すために解散権を乱用したもの」でした。
このことは常識です。確かに当時の安倍首相は解散の理由として消費税の使途変更にも言及してはいましたが、安倍氏、自民党が掲げたスローガンは「国難突破解散」だったのです。濱地氏の発言はデマ、フェイクと言われてもしかたのないとんでもないものだったと思います。
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恣意的解散を抑制する法案を準備していると胸を張った谷田川元氏(立民)だが…

立憲民主党の谷田川元氏は、「恣意的解散を抑制するため、衆議院解散決定の手続き等を定めた法案を準備している」として次のようにその内容を述べ、各会派に共同提出を呼びかけました。

「内閣は、衆議院の解散を決定しようとするときは、その予定日と理由を10日前までに衆議院に通告し、あわせて議院運営委員会における質疑を義務づける。これにより、衆議院の解散が妥当なのか、総選挙の争点が何なのか、国民に判断材料を提供する。
また、過去2回の衆議院選では解散から選挙の期日までの期間が極めて短く(引用者注:2021年岸田内閣時には10月14日に解散、17日後の31日に投開票、2024年石破内閣時には10月9日に解散、18日後の27日に投開票でした)、地方選挙管理委員会の準備が整わず問題が生じたため、あらかじめ中央選管が全都道府県選管の意見を聴取し、それに基づいた中央選管の意見聴取後に内閣が選挙の日程を決めることを義務づける。」

この提案のうち前半の内閣から衆議院への通告、議運における質疑の義務づけの理由については、山花郁夫氏(立民、憲法審幹事)が自身のホームページでわかりやすく説明していますので、以下に転載させていただきます。

【憲法審査会】衆議院の解散について。
『衆議院議員山花郁夫』2025年5月8日

本日(5/8)の衆議院憲法審査会では、衆議院の解散がテーマになりました。衆議院の解散は、法的には、議員の任期満了前に、全員の議員としての身分を失わせる行為と定義されます。

ところで、国会は、全国民を代表する(43条1項)議員で構成されていることから、たとえば総理が施政方針演説を国会で行うのは、全国民の代表の前で演説することにより、間接的に全国民に対して行っている、という建前になっています。

にもかかわらず、いわゆる7条解散の運用では、本会議場に天皇の詔書がやってきて、これを議長が読み上げるという手続で解散が行われています。全国民の代表に対してはなぜ解散を行うのかという理由は説明されず、その後に総理談話あるいは記者会見で解散理由が説明されるということか行われています。

衆議院が解散されると、参議院は同時に閉会となることも憲法に規定されています(54条2項)。つまり、国会が閉会してから解散理由を対外的に発信しているわけで、こうした運用は国会軽視も甚だしいと言っても過言ではないと思います。衆議院議員が一人もいなくなって、参議院も閉会してから解散の理由を述べているのですから。

そもそも7条解散が適切かどうかという議論もありますが、仮に7条解散が認められるとしても、国会開会中に解散を行う理由について説明、あるいはそれに対する質疑などが行われるような運用に改める必要があるのではないでしょうか。
* 引用、ここまで。

説得力のある提案だと思いましたが、残念なことに谷田川氏はこんな意味不明の発言もしていました。
「これまで日本国憲法下で27回の衆院選が実施された。このうち任期満了によるものは1回だけだったが、全てが任期満了で行われたとすれば19回で済んだ。そうすると一度も解散がなければ8回分の経費が節約できたことになり、1回当たり約600億円、計4800億円の税金が使われずに済んだことになる。
2024年の政府の純債務残高の対GNP比を見ると、日本は236.66%で世界ワースト2位となっている。私は、日本がこれほどの借金大国になってしまったのは、頻繁に国政選挙が行われていることが大きな要因だと考える。」

この発言を聞いて、私の頭は中は「?(クエスチョンマーク)」で一杯になりました。谷田川氏はいったい何が言いたかったのでしょうか。解散を否定するなら金勘定の話ではなくもっとまともな根拠を示すべきだし、国政選挙の頻度と日本の政府債務の残高はほとんど無関係だと思います。

高市早苗氏(自民)の暴言を受けた船田元氏(自民)の情けない対応

さて、ある意味この日の憲法審査会で最も注目されたのは、高市早苗氏(自民)の発言でした。
まず、その伏線となった青柳仁士氏(維新)と船田氏のやりとりを紹介します。青柳氏は、維新の委員が臆面もなく毎回繰り返していることですが、この日のテーマとは関係なく、下記のように条文起草委員会の話題を持ち出しました。

「5月3日の記念日に開かれた民間憲法臨調と美しい日本の憲法をつくる国民の会共催の公開憲法フォーラムで、自民党の古屋圭司憲法改正実現本部長が条文起草委員会の必要性を強く訴えられていて、私も賛同の意を申し上げたが、ああいう(改憲の)支持者の前で勇ましく言うだけでなく、この審査会の場で実際にこれを作るんだと示すことが誠実な姿勢ではないか。」

これに対して、船田氏は次のようにもってまわった言い回しで答えました。
「起草委員会の設定については私も賛同したいと思っており、条文化の一歩手前までいった案件があることも事実だが、憲法改正についてはできる限り幅広く議論していく必要があり、他の項目についてはまだまだ議論が煮詰まっている状況にないと理解しているので、やや慎重に考えざるを得ないと思っている。」

そして審議会の終盤になり、おそらくは初めて発言した高市氏が、これもこの日のテーマとは全く無関係のことを述べたのです。
「先ほど古屋委員の外部の会での発言について言及された会派があったが、古屋委員には何の責任もない。私自身、政府から戻って所属委員会を選ぶに当たって、憲法審査会では緊急事態条項について議論が深まっていることを知り、条文の検討作業に加われることを楽しみにこの審査会に参加したが、その気配がない。先ほどの船田幹事の発言には落胆しており、毎回議題が変わって、条文案を持ち寄り議論する機会が持てないことを残念に思っている。」

これまでの事情を知らない新人委員が愚痴をこぼしたというだけのことだと思うのですが、なんと審査会終了後の記者団の取材に、船田氏は「15日の憲法審幹事懇談会で起草委設置を提案したい」と述べたというのです(『産経新聞』5月8日付記事「高市早苗氏、衆院憲法審の船田元・与党筆頭幹事に不満 “改憲条文案の議論なく残念”」による)。

そしてあろうことか、15日の幹事懇で船田氏はそれを実行し、武正公一氏(立民)に「ありえない」と一蹴されると、懇談会後の記者団の取材に対して、「場合によっては、憲法審とは別に改憲派5会派での起草委員会を作る」とまで述べたというのです(下に『時事通信』の記事を転載させていただきます)。それにしてもなぜ船田氏は自身の意見を会議の場で述べずに記者団に話すのでしょうか。

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自民、起草委設置を提案 衆院憲法審、立民は反対
『時事ドットコムニュース』2025年5月15日

衆院憲法審査会の幹事懇談会が15日開かれ、自民党の船田元・与党筆頭幹事は憲法改正の条文案を作成する起草委員会の設置を提案した。立憲民主党の武正公一・野党筆頭幹事は「あり得ない」と反対した。
この後、船田氏は記者団に「場合によっては(改憲に前向きな)5会派での起草協議会を憲法審とは別の場所で作ることで対応せざるを得ない」と述べた。一方、憲法審の枝野幸男会長(立民)は「何をしたくて起草委員会と言うのか意味が分からない。起草委員会にこだわると破裂する。全部審査会が止まる」と否定的な見解を示した。(後略)
* 引用、ここまで。

いずれにせよ、憲法審の動向、特に起草委員会の設置をめぐる攻防には、今後も最大限の注意を払っていかなければならないとあらためて痛感しています。

憲法審査会で言論統制か?

最後にもうひとつ、審査会の最終盤でのやり取りを報告しておきます。今国会の傍聴レポートではいつも大石あきこ氏(れいわ)の発言を大きく取り上げているので今回は控えようと考えていたのですが、そういうわけにはいきませんでした。以下、大石氏の『X』から転載させていただきます(適宜改行しました)。

大石あきこ れいわ新選組 衆議院議員 大阪5区
【2025/5/8憲法審査会2】

れいわ新選組の大石あきこです。枝野会長にお伺いします。
前回ぐらいから、事前に質問要旨をできるだけ出してくれというルールに変わりました。私としてはこの場で、何度も打ち合いがあった方が、議論が深まるからという意見はしていたんですけれども。逆やんっては思っていますよ。だけどルールに従って、それやっているんですよ。

今回、衆議院法制局に質問要旨を出したんですね。ルールとして憲法審査会事務局というのが窓口で、まず質問要旨を出すんですね。
私の質問したかったことというのが、参議院緊急集会の70日限定説がおかしいでしょ、結局各会派内だったり衆参で一致していなくて、そこは崩れていますよね、任期延長改憲にとって、これは最大の矛盾点、ボトルネックであって、ちゃんと議論してそこを問うていく必要があると考えていたので質問したんですよ。

事務局が、今の段階では答弁ライン難しいって言ってきた。私の質問通告、衆議院法制局に70日限定説みたいな資料を出した、その資料がおかしいんじゃないかという趣旨のものなんですけれども、その質問については、今日の議題外なので現状答弁ラインは今の段階では難しいという。

質問、事前に通告したのに、それテーマ外だからダメだと言われたことになりますので。再発防止、枝野会長にどう考えるか。ご質問いたします。

枝野会長:私や船田会長代理、そして野党の武正筆頭等のところで、いま大石さんからご指摘ありましたとおり、今日のテーマとちょっとずれてますねと。できればそれは避けていただきたいということで、今回は私の責任で事務局にできれば避けていただきたいということを、お伝えをいただいたというふうに思っておりますので、質問自体を止めるわけのものではないし、できれば避けていただきたいというご要請でありましたので、質問を止めるものではないと申し上げましたので、質問をしていただければいいんだというふうに思っております。
(「できれば」って話ではなかった陰湿なやり方するな??)
* 引用、ここまで。
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大石氏が問いただそうとしたこと、衆院法制局が作成した資料への疑問(より明確に言えば、衆院法制局の公正性への疑問)は、今国会の衆院憲法審での最大の焦点だと思います。枝野氏は「質問していただければいいんだ」と述べていますので、今後の成り行きを注視したいと思います。

この日の傍聴者は30人弱、記者は1~2人で、前回よりさらに少なくなりました。漸減傾向が続いています。
委員の欠席者は、自民も立民も最初は少な目でしたが少しずつ増えていき減少に転じるというパターンでした。自民は2~3人から6~8人になり最後は3人ほど、立民も2人から5~7人、3人と推移していました。委員数は自民が21人、立民が16人ですので、全体を通してみれば立民の方が出席率が低かったかもしれません。(銀)

5月7日(水)13時から15時過ぎまで、今通常国会3回目の参議院憲法審査会が3週間ぶりに開催され、「災害時等の選挙制度」をテーマとして、政府参考人(総務省自治行政局選挙部長・笠置隆範氏)からの説明聴取と参考人2名(下に掲げる『時事通信』の記事の中で紹介されています)からの意見聴取、そして3人に対する質疑が行われました。
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まず、この日の審議について簡潔に報じた『時事通信』の記事を転載させていただきます。

「災害下の選挙」に備えを 参院憲法審で参考人質疑
『時事ドットコムニュース』2025年5月7日

参院憲法審査会は7日、災害時の選挙制度をテーマに参考人質疑を行った。大規模災害後に被災自治体が選挙を実施するに当たり、十分な支援態勢と選挙実務に詳しい人材育成が必要との見解が示された。
元総務省選挙部長の大泉淳一氏、元川崎市選挙管理委員会事務局長の小島勇人氏が参考人として出席。東日本大震災で地方議員選挙の投票期日を延期した自治体を支援した経験などを説明した。

大泉氏は「公職選挙法では大規模災害時の備えは十分とは言えない」として、役割分担など事前の準備が重要だと訴えた。小島氏は「東日本大震災などの経験を一般化し、選挙を含む(自治体の)業務継続計画が必要だ」と指摘。選挙システムに詳しい職員の派遣も不可欠との認識を示した。

日本維新の会の片山大介氏は質疑で「国政選挙は全自治体で一斉に実施する。選挙困難事態に備えた議員任期の延長は必要だ」と主張。国民民主党会派の上田清司氏も「憲法改正も視野に入れて考えるべきだ」と話した。
共産党の山添拓氏は議員任期延長について「国民の選挙権を奪うことにつながる」と懸念を示した上で「選挙を実施することは民主主義にとって大事なことだ」と強調した。 
* 引用、ここまで。

なお、この日出席した2人の参考人は、いずれも一般社団法人選挙制度実務研究会という団体の所属で、大泉氏は会長、小島氏は理事長ということです。なぜたった2人の参考人が同じ団体から招かれたのか、質疑を聞いてもその事情はわかりませんでした。

参院自民、投票繰り延べ評価 憲法審 災害時対応、衆院と違い
上記はこの日の参院憲法審について報じた5月8日付『朝日新聞』記事の見出しです。「有料記事」ですのでそのまま転載することはできませんが、この記事では「この日の参院憲法審では総務省担当者(引用者注:総務省自治行政局選挙部長・笠置隆範氏)が、繰り延べ投票について法律に実施期日の定めはないと説明……、選挙管理委員会が可能と判断した時点で、できるだけ早期に投票を行わせる」と述べたことを受けて、佐藤正久氏(自民・与党筆頭幹事)が「繰り延べ投票はできる限り柔軟な対応が可能な制度設計になっている」と発言したことが記され、「憲法改正が必要だと主張する衆院側との違いが浮き彫りになった」と指摘されています。

また、続いて質疑を行った小西洋之氏(立民)は、笠置氏から「公職選挙法57条の繰延べ投票の規定は憲法に違反しないと考えている」、「被害が広範囲にわたる、選挙実施までに長期間を要するなどの災害の状況や態様によって繰延べ投票ができる、できないということにはならないと考えている」という答弁を引き出していました。

牽強付会を絵に描いたような維新の会の主張、質疑を行わない委員に発言させた国民民主

これに対して片山大介氏(維新)は、「過去には発災(東日本大震災)から選挙(福島県議選など)まで8カ月以上の期間を要した例がある」が、そのような長期間「緊急集会で対応することが国民主権の原理の下で許されるのか」などと述べ、「今日の質疑を通じてあらためて選挙困難事態に備えた議員任期延長の必要性を感じた」と発言を締めくくりました。また、同じく維新の柴田巧氏も同様の主張を繰り返していました。

いつも感じることですが、維新の委員たちは多くの有権者が国会議員を選挙する機会を奪われ、身分を失ったはずの国会議員が(彼ら・彼女らによって指名された首相も)長期にわたって居すわることが「国民主権の原理」の下で許されると本気で考えているのでしょうか。この点について、憲法学者である高良鉄美氏(沖縄の風)が、「憲法の3原理の1つである国民主権をしっかり行使するための手段として選挙権という人権がある」と指摘していたことを付記しておきたいと思います。

さて、このような維新の委員たちの振る舞いは予想されていたことでしたが、この日私が一番驚きあきれたのは上田清司氏(国民)の発言でした。氏は「質問はしません」、「私自身の考え方を発表したい」と述べてとりとめのない持論をダラダラと垂れ流した(個人的な感想です)のです。

次に、『時事通信』の記事でも少し紹介されている山添拓氏(共産)の質疑を、『しんぶん赤旗』から転載させていただきます。

災害時こそ選挙権行使重要 参院憲法審参考人質疑 山添氏が指摘
『しんぶん赤旗』2025年5月8日

参院憲法審査会は7日、災害時等の選挙制度について参考人質疑を行いました。日本共産党の山添拓議員は、自民党などが災害など緊急時の国会機能維持を口実に衆院議員の任期延長を可能にする改憲論を主張していることについて、「災害など重大な事態が生じた時こそ、民意を反映する国会が必要であり、選挙権行使をなるべく可能にする体制づくりが重要だ」と指摘しました。

参考人の選挙制度実務研究会の大泉淳一会長は、災害時に「自分たちの代表者を選ぶという民主主義における選挙の重み」に言及。同研究会の小島勇人理事長は東日本大震災時に選挙実施を支援した経験を語り、選挙の実施で「一刻も早く自分たちの代表を選び、復興に尽力してもらいたい」と実感したと述べました。

山添氏は、両参考人が災害時でもいかに選挙権の行使を可能にするかと対応してきた一方で、同審査会で議論されてきたのは選挙困難事態での衆院議員任期の延長を可能にするための改憲だと指摘。改憲されれば行政側がいかに選挙を実施するかではなく、選挙を延期できる理由を探していくのではないかと質問しました。
小島氏は、災害時でも選挙を執行するため「現行法の中でどういう形でできるかの議論をしていくことがまず先決だ」と述べました。

山添氏は、石破茂首相が昨年、首相就任から8日後に解散し26日後に投開票する戦後最短の選挙を強行し現場に混乱を招いたとして、「解散を弄ぶ政治が選挙権を侵害している現状こそ、憲法上大問題だ」と批判しました。
* 引用、ここまで。

この記事では触れられていませんが、山添氏は「この間、市町村合併が続き、行政の合理化を進めすぎたという問題もあって、自治体職員は災害時に限らず平時から疲弊していると思う。私は人的な体制の強化が必要だと感じる」と重要な課題を提起しました。

最後に、このことを全面的に展開した山本太郎氏(れいわ)の質疑を、同氏のホームページから要約して転載させていただきます。

2025.5.7 憲法審査会「参考人に聞く 改憲より災害対策」
『山本太郎(れいわ新選組代表)』2025年5月7日

○山本太郎君
(参考人は)何度も被災地に入られてその現場を様々見てこられたということですけれども、公務員の数がちょっと少ないんじゃないかなって私は思います。1990年代以降、小泉政権以降ですね、人減らしが大々的に行われてきた影響が確実に悪い意味で見えているのが災害の現場だと思っています。
能登に足を運ぶたびに現地の自治体職員の方々とお話しするんですけれども、発災してから1年以上1日も休んでいないとか当たり前のようにお話しされるんですが、災害を受けた住民を守るという職務と、自身も被災者であるという側面2つを二足のわらじで1年もそれ以上も頑張り続けるということ、ほぼ不可能だと思うんです。
それを考えるならば、やはり公務員を増やしていく、災害対策としても必要なことだと私は思っています。
○参考人(小島勇人君)
人がいることは非常に大事なことだと思います。
人がいたとして、その人たちに通常の自分たちの業務のほかに選挙実務についてどういう形で理解し身に付けていただくかということが私は問題だと思います。
人が少ないというのは、私も陸前高田に行き、またそのほかも行き、確認してまいりましたけれども、とにかく選管専任職員が非常に少なくなってきております。
例えば投票事務をやる予定だった人が、災害事務に急遽行かなきゃいけない、投票事務、じゃ、どうやってやるんだと、その場で混乱するケースも見聞きしております。
何か起きてから考えたって遅いので、起きる前にきちっとある程度の整理をしておくことが私は大事だと思いますし、職員が少ないというのは否めないと私は思っております。
○参考人(大泉淳一君)
今までですと選挙に精通した人が大体いて、その人が全部仕切って、ある意味安心して選挙を執行できたという環境にあったと思いますけれども、人が減って、あるいは経験を十分に積んだ人が引退したりいなくなったりして、それがうまく回らなくなっている。
そういうところで、公選法上の分からないところがあったりすると、我々の社団法人にそういう質疑応答とかも来るようになっていますけれども、やはり実務に精通した人をつくっていくこと、あまりに小さいところですと総務課とか議会事務局とか兼務している人もいますけれども、万全を期すためには選挙に精通した人をなるべくたくさん確保することが大事だということは考えております。
○山本太郎君
「任期延長がどうしたこうした」というような議論もあるようですけれども、実際に目の前の災害というところで、圧倒的に足りていない、復興するという意味でも、生活復旧するにもあまりにも足りていない人員の増強であったりとか、スペシャリストとして穴を埋めていく方々も増強していく必要があるんだということがよく分かりました。

この日の参院憲法審ではいつもより席を外す委員が目立ちましたが、今回も全員が出席していました。
傍聴者は20人ほどで少なく、記者は最初2人いましたがすぐに1人になりました。また、ほぼ毎回ウェブサイトに記事を出していてこのブログで転載させていただくことの多いNHKが今回は掲載を見送ったことが気になりました。(銀)


4月24日、2週間ぶりに今通常国会5回目の衆議院憲法審査会が開かれました。3月13日から4月10日まで春分の日を除いて毎週定例日の開催が続いていましたが、4月17日は憲法審本体ではなく幹事懇談会が開かれたそうです。4月3日の憲法審は10分強、10日は10分弱開会が遅れていましたので、幹事懇で調整を要する問題があったのかもしれません。

この日は、「臨時会(注:臨時国会のことです)の召集期限」をテーマとして自由討議が行われ、衆議院法制局の橘幸信局長から憲法53条(注1)後段の意義と趣旨、制定の経緯、召集要求権の法的な位置づけ、召集要求の事例、2017年の臨時会召集に係る裁判(注2)の判決、召集期限の明文化の可否・是非やこれまでの各会派の案等について説明を受けた後、委員からの意見の表明や委員間および委員と橘氏との質疑応答がありました。

注1 憲法53条:内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。 いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
注2 2017年6月22日に行われた憲法53条に基づく臨時会の召集要求に対して、安倍内閣による召集が98日後の9月28日であったことについて、召集を要求した国会議員の一部が、内閣が合理的期間内に臨時会召集を決定しなかったのは違憲だとして提起した国会賠償請求訴訟。
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今回の傍聴記では、まず、「臨時会召集期限」をめぐる基本的な事項を確認し、その上でこの日の議事の内容について報告したいと思います。
以下に掲げる図表は、いずれも衆議院の法制局と憲法審査会事務局が作成し、橘氏が説明に用いた「『憲法53条後段に基づく臨時会の召集』に関する資料」(衆院憲法審のホームページに掲載されています)から転載したものです。

臨時会召集要求の実例と2017(平成29)年の臨時会召集に係る最高裁判決

下の資料には、過去20年の衆議院議員による臨時会召集要求の事例を示した一覧表がありますが、要求後速やかに召集されたのは鳩山民主党政権時の2009(平成21)年だけ(18日でした)で、他の事例では(全て自公連立政権時です)46日から98日という長期間を要しています。

参考1
 
特に2017(平成29)年の安倍政権の対応はとんでもないもので、いわゆるモリカケ問題の真相究明を求めて提出された要求に対して臨時会が召集されたのが98日後、さらに政権がその当日に衆議院を解散するという暴挙に出たために実際に特別国会が召集されたのはなんと132日後となってしまいました。
この対応について、召集を要求した野党議員6名が「議員としての質問権を奪われた」などとして3件の国家賠償請求訴訟を提起し、2023年には最高裁判決が出されています。

次に転載させていただく『日本経済新聞』の記事にあるように、裁判は原告側の敗訴で終わりましたが、最高裁は「内閣は要求があれば召集決定をする義務を負う」ことを認め、また、行政法学者の宇賀克也裁判官は「召集の遅延に特段の事情がなければ、賠償請求は認容されるべきだ」などとする反対意見を述べました。

臨時国会の召集巡る訴訟、野党議員ら敗訴確定 最高裁
『日本経済新聞』2023年9月12日

2017年、当時の安倍晋三内閣が野党側による臨時国会の召集要求に約3カ月間応じなかったのは憲法違反だとして、野党の国会議員らが国に損害賠償などを求めた3件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は12日、いずれも原告側の上告を棄却した。
内閣の対応が違憲だったかどうかには触れず、原告側の敗訴が確定した。衆参両院のいずれかの総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会を召集しなければならないと定める憲法53条に関して最高裁が判断するのは初めて。
同条には召集の期限は明記されておらず、訴訟では安倍内閣の対応が同条違反にあたるかが争われた。
同小法廷は判決理由で、内閣は要求があれば召集決定をする義務を負うとしつつ、同条の規定は「個々の国会議員に召集後の議員活動をできるようにする権利や利益を保障したものとは解されない」と指摘。召集の遅れを理由に議員個人が賠償を求めることはできないと結論付けた。
裁判官5人のうち4人の多数意見による結論。宇賀克也裁判官(学者出身)は「召集の遅延に特段の事情がなければ、賠償請求は認容されるべきだ」などとして反対意見を付けた。
野党側は17年6月、森友学園、加計学園問題を追及するため4分の1以上の条件を満たした上で臨時国会召集を求めた。安倍内閣は98日後に召集したが冒頭で衆院を解散し、実質的な審議は行われなかった。
18年、立憲民主党の小西洋之議員など野党議員らが東京、岡山、那覇の3地裁に提訴。いずれの訴訟でも一、二審判決は議員側の請求を退けていた。
* 引用、ここまで。

過去に公明党を除く全会派が「20日以内」の召集期限の明文化を提案

 もう1点確認しておきたいのは、公明党を除き、現在衆院憲法審に委員を出している全ての会派が過去に憲法または国会法に20日以内の臨時会召集期限を定める案を提起していることです。特に自民党は2012年に発表した改憲草案で、他党の案が「召集することを、決定しなければならない」とされているのに対して、「召集されなければならない」と、事実上最も短い期限を打ち出していたことを指摘したいと思います。

参考4


以下、当日の論議について報じた『時事通信』の記事を転載させていただきます。

野党、臨時国会「20日以内」に 衆院憲法審、召集期限を議論
『時事ドットコムニュース』2025年4月24日

衆院憲法審査会は24日、臨時国会の召集期限について議論した。立憲民主党など野党は召集要求があった場合、政府は「20日以内」に応じるとの期限を設けるよう求めた。自民、公明両党からは期限の設定に慎重な意見が出た。
憲法53条は臨時国会に関し、衆参いずれかの総議員の4分の1以上の要求があれば「内閣は召集を決定しなければならない」と定めるが、期限は記されていない。過去に野党が召集を求めても、政府が速やかに応じない例があった。

立民の松尾明弘氏は「(召集の遅れは)憲法違反であり、立憲主義に対する重大な問題だ」と指摘。立民が2022年に他の野党と共同で国会法改正案を提出したことを紹介し、20日以内の期限を設けることを求めた。過去に召集を遅らせた政府・与党の政治的責任の追及を憲法審で行うことも提案した。

日本維新の会は憲法を改正し、20日以内の召集を義務付けることを主張。国民民主党も改憲での対応に理解を示した。
自民の稲田朋美氏は「期限を設ける場合は、閣僚の国会出席を柔軟にするなどの国会運営を考え直す必要がある」と述べた。公明の浜地雅一氏も「20日という具体的な日数を明確に示すことは直ちに賛同できない」と語った。
* 引用、ここまで。

見苦しい言い訳に終始した自民党、煮え切らない公明党

この日、最初に意見表明を行った自民党の上川陽子氏(憲法審の幹事です)は、「2012年の改憲草案は自民党の公式文書の1つだがそれには固執しない」としたうえで、「臨時会召集期限の明記については党内に様々な意見があり、党としての明確な見解を出せる段階にない」と述べました。厚顔無恥を絵に描いたような発言だったと思います。

もっと驚かされたのは同じ自民党の三谷英弘氏で、氏は「具体的な期限について正解のない議論が延々と始まることになれば改憲発議の大きなハードルとなる」、「内閣に裁量を持たせて期限を明記しないことには意味がある」、「大事なことは議論を拡散させることではなく、真に必要な論点の整理を進めて速やかな憲法改正につなげていくことだ」などと言い放ちました。多くの自民党議員の本音はこんなところにあるのではないでしょうか。

また、公明党の濱地雅一氏は、「わが党はこれまで具体的な見解を示していない」、「先日、党の憲法調査会で議論したが、党の見解がまとまるに至っていない」なとと、他人事のような発言をダラダラと(個人的な感想です)続けていました。

一方、立民(発言順に松尾明弘氏、五十嵐えり氏、柴田勝之氏)、れいわ(大石あきこ氏)、共産(赤嶺政賢氏)の委員たちは、近年、臨時会の召集要求に遅々として応じないことを繰り返してきた自公内閣の対応を違憲だとして、厳しく追及しました。中でも語気鋭く謝罪まで求めた大石氏の発言を、同氏の『X』から転載します。

大石あきこ れいわ新選組 衆議院議員 大阪5区
4月24日

臨時会の召集期限がテーマで。過去の自公政権が憲法53条に基づく召集を、野党の求めに応じずやらなかった、この悪事が違憲や、ということが言われてる。改憲を主張されて、緊急事態条項をつくりたいとおっしゃっている議員の方々が、参議院緊急集会を70日以上開けない、国会の空白をうんだらダメなんだと言ってる人たちが、もういかに国会の空白期間を作り出してきたか、その常習犯であった。

例えば、2021年の6月16日通常国会が終了、次の臨時国会までの空白期間は109日続きました。憲法53条に基づく、野党からの国会召集は無視。当時はコロナ第5波の真っ只中、医療機関はパンク。感染者は自宅で放置されていたのに、無視。菅政権は国会を開かずに退陣。自民党は国民の苦境に見向きもせずに、総裁選に明け暮れて、ようやく成立した岸田政権で、10月4日に臨時国会を召集して、大した議論もなく、10日後に衆議院解散しました。

自民の上川委員にお伺いしたい。そういった自民党政権のあり方が違憲やと、この審査会で調査しろという声も、他会派からありましたけれども、このことについて、菅政権下で令和3年7月16日の野党議員による臨時国会召集要求書の提出から、同年10月4日の臨時国会の召集まで、約80日も要した、具体的理由及び事実関係を教えてほしい。「内閣の権能は憲法上臨時会の召集を決定することであり、こうしたことも踏まえ、菅前内閣においては国会のことでもあるので、与党とも相談した」と言うそういう答弁しかないので、具体的な事実関係をはっきりさせていただきたいんですよ。こんなことやっちゃいけなかったという謝罪の弁をいただけるか、再発防止の考えとしてどうなのか、加えて審査会長には違憲審査ということで、この衆議院の審査会で開くならば違憲審査を求めます。
* 引用、ここまで。

この質問に対して、上川氏は「政府は法律案など臨時会で審議すべき事項等を勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない範囲内で適切に召集を決定したものと考えている」と、木で鼻をくくったような回答をしたため、大石氏はさらに「通告して質問したのに、回答はそれだけか。国民に向かって説明責任があるのだから、それではダメだ」と追及しました。

すると自民党の船田元氏(与党側筆頭幹事)が、「大石委員からの発言には上川幹事に対する感情的な価値判断が入っている。私たちは理論的、総合的に憲法改正についての議論をしているので、感情的な判断や発言はやめていただきたい」と述べたため、大石氏は枝野幸男会長(立民)の指命を待たずに「どこが感情的なのか書面でいただきたい」と切り返すと、枝野会長は「不規則発言はおやめください」と即座に反応。私には、船田氏と枝野氏の振る舞いの方が異常だと感じられました。

自民の目指す改憲の本丸は自衛隊明記と緊急事態条項の創設

次に、維新・阿部圭史氏のこの日のテーマとは全く関係のないルール無視の発言を紹介しておきます。
氏は、4月23日に行われた党首討論での前原誠司共同代表の改憲を訴える主張を引きながら、石破茂首相の「あらゆる法体系の頂点に立ち、国の姿を指し示しているのが憲法であり、憲法改正に全力で取り組まないことは国家に対して全力で取り組んでいないということと一緒だ」という意味不明の(個人的な感想です)発言に対する見解を自民党の委員に尋ねました。

これを聞いた枝野会長は、「各党ともいろいろ言いたいことがある中で決められたテーマに絞って発言されているので、それは遵守してほしい」とたしなめていましたが、どうしようもない暴走を繰り返した維新の姿をまたも見せつけられ、今回も本当にうんざりしました。

それはともかく、阿部氏の質問に対して、自民・船田氏は「前原議員から石破総理にそういう(阿部氏が紹介したような)質問があったことは承知しており、石破総理の答弁も聞いている」、「私も憲法9条とその周辺の問題は、やはり憲法改正の最大のテーマだと考えているので、しっかりと対応していきたい」と答えていました。
また、石破首相は5月3日の憲法記念日に開かれた改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで次のように述べています。『フジニュースネットワーク』のウェブサイトから転載させていただきます。

憲法記念日に石破首相「憲法を果断に見直し議論し国民の判断に委ねる必要。自民党として早期実現に尽力」
『FNNプライムオンライン』2025年5月3日

石破首相は3日、東京都内で開かれた憲法改正派の集会にビデオメッセージを寄せ、憲法を果断に見直す議論を行い、国民に判断を委ねるべきだとの考えを強調した。
石破首相は、「わが憲法は、昭和22年の施行以来、社会、国民意識の変化、我が国を取り巻く国際情勢の変動を経ても、一度も改正されることがないまま今日に至っている」と指摘。
その上で、「現状にそぐわない部分、よりよく変えていかねばならない部分があるのではないか。果断に見直しを行い、議論し、あくまで主権者である国民の判断に委ねることが必要である」と強調した。
そして、「衆参の憲法審査会における議論がさらに進み、国会による発議が早期に実現するよう党として尽力する」と述べた。
さらに石破首相は、憲法改正について、「緊急事態対応、そして、自衛隊の明記を最優先に取り組んでいきたい」と述べた。
また、「戦争体験された世代の方々がお元気なうちに、この憲法は国民にいろんな意味で問うていかねばならない」とも述べた。
* 引用、ここまで。

選挙困難事態を理由とした議員任期延長の改憲論が失速しつつある中で、いよいよ自衛隊明記、緊急政令・緊急財政処分の緊急事態条項創設が前面に押し出されてくるのでしょうか。改憲情勢を注視し、必要な行動を組織していきましょう。

この日の傍聴者は30人強、記者は2~3人で、どちらもいつもよりやや少なめでした。
委員の欠席者は、自民が3~6人、立民が2~4人ほどで推移し、この日は公明の委員1人が審査会の中盤からずっと席を外していました。(銀)

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