とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

2023年05月

5月25日(木)10時少し過ぎから11時35分くらいまで、衆議院憲法審査会が開かれました。3月2日の第1回から、5月4日の休日を挟んで、12回連続の定例日開催です。

この日は、国民投票を主なテーマとして、委員間の討議が行われました。最初に各会派の委員7人が7分以内で見解を表明し、続いて発言を希望する委員(その日の発言者はあらかじめ決まっています)が5分以内で意見を開陳するという慣例となっているパターンで議事が進められました。これもいつもと同じく、多くの委員が少しずつ制限時間をオーバーし、予定された終了時刻を数分経過して閉会となりました。
今回もやや唐突にテーマが変わった感がありますが、その背景はわかりません。前回の参考人質疑でコテンパンにやられた改憲勢力がどのように態勢を立て直すか、少し時間がほしかったということだったのかもしれませんが、考えすぎでしょうか。
yurusuna
今回も、まず、この日の各委員の発言の要旨をまとめた『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事を転載させていただきます。

衆院憲法審査会・発言の要旨 自民は国民投票手続き規定の整備、立民はCM規制を主張
『東京新聞TOKYO Web』2023年5月25日

衆院憲法審査会は25日開かれ、改憲の手続きの国民投票を巡って与野党の委員が討議した。発言の要旨は次の通り。
◆各会派代表の意見

新藤義孝氏(自民)
国民投票広報協議会は、憲法改正の発議があったときに国会に設けられる機関だ。現在、協議会の規定はまだ定められていない。放送・新聞広告に関する規定、事務局規定の制定や法改正は全く手が付けられていない。三つの規定と関連法の改正について、まずは事務方によるたたき台を作成し、(憲法審の)幹事懇談会等で成案を得るべく、各会派との協議を提案する。
階猛氏(立憲民主)
わが党の国民投票法改正案では、放送CMについて、勧誘のCMは禁止。意見表明のCMは、政党は禁止するものの、それ以外の主体は資金規制に抵触しない限り自由に行える。ネットCMについては、政党は禁止した上で、それ以外はCM主体の情報を表示し、資金規制を守る限りは自由とする。ネットCM規制を国民投票法に盛り込むことは最優先で行うべき課題だ。
三木圭恵氏(維新)
立民案は、勧誘のCMは主体を問わず全期間禁止され、政党は賛否の意見表明のCMも一律禁止するという案だ。表現の自由を侵害し、憲法違反の恐れがある。いつまでもCM規制の件で国民投票法案が膠着状態のままなのは問題だ。国民投票広報協議会の組織に関する課題、細則や規定をどうするか等の議論を深め、早急に結論を出すことをお願いする。
国重徹氏(公明)
デジタル社会の問題に対し、国民のリテラシー向上も必要だ。国民が、どこに正確な情報が掲載されているかを容易に知ることができることも極めて重要。国民投票広報協議会がネット上で正確な情報を多く発信し、その情報に国民が簡単にアクセスできるようにする必要がある。国民投票広報協議会の具体的な役割について一定の合意を形成していくべき時期にある。
玉木雄一郎氏(国民民主)
ネットがテレビやラジオ以上に国民が情報を獲得する媒体となっている状況を考えると、国民投票広報協議会がネットを利用した広報や、禁止期間における政党の広告を行うための法整備が必要だ。その際、どのようなルールを定めれば公平性、公正性が担保されるかが重要だ。国民投票広報協議会に何らかのファクトチェック機能を持たせることも検討すべきだ。
赤嶺政賢氏(共産)
現行の国民投票法は、国民の民意をくみ尽くし、正確に反映させるという点で重大な欠陥がある。具体的には、最低投票率の規定がないこと、公務員や教育に携わる者の投票運動を不当に制限していること、改定案に対する広告や意見表明の仕組みが公平公正なものになっていないことの3点。欠陥を放置したまま、改憲論議だけを推し進めることは、幾重にも許されない。
北神圭朗氏(有志の会)
国民投票だけでなく、あらゆる選挙で外国からのよからぬ意図を持った偽情報に備える必要がある。国民投票広報協議会と民間団体が連携するだけで、氾濫する偽情報に対応しきれるか。民間任せでなく、国民投票広報協議会にファクトチェック機能を担わせる必要がある。外国からの選挙介入を突き止める能力の向上、有権者に真実を伝達する体制が強く求められる。

◆各委員の発言

神田憲次氏(自民)
政党のCM規制については、慎重な議論が必要だ。国会の議論を一番よく知っている政党が、国民投票の公平公正を担保しつつ、国民に対し国会での議論を知らせていくことは重要だ。
奥野総一郎氏(立民)
改正国民投票法付則4条は施行後3年をめどに、CM規制、ネット規制等について、必要な法制上の措置を講じることを求めている。措置が講じられるまで、憲法改正発議はできない。
岩谷良平氏(維新)
2005年の衆院憲法調査会報告書は緊急事態条項について「憲法に規定すべきとの意見が多く述べられた」とあるが、いまだに消極的、否定的な党がある。結論を出すべき時が来ている。
北側一雄氏(公明)
国民投票広報協議会で何ができるのか、どういう役割を持たせるのかということがだんだん議論されていくと、CM規制をどうしていくのかについての議論の参考、前提になってくる。
中西健治氏(自民)
投票環境整備については、今後も公職選挙法改正により国民投票法に反映させるべき項目が発生すると予想される。機械的に反映させるような仕組み作りを検討すべきではないか。
本庄知史氏(立民)
外国勢力によるフェイクニュース、偽情報の流布、巨額の資金を用いた世論操作等も想定される中、これらを規制するための国民投票法の改正こそ、今国会で行うべき安全保障論議だ。
* 引用、ここまで。

この記事では、各委員が国民投票をめぐる課題について述べた意見が要領よくまとめられていますが、私は、特に赤嶺政賢氏(共産)が指摘した最低投票率の規定、公務員や教育に携わる者の投票運動の規制のあり方が、2007年の改憲手続法成立時の附帯決議において検討課題として掲げられ、その後も法改正の度に取り上げられてきた事項であるにもかかわらず、最近の憲法審では全く議論されなくなっていることは大きな問題だと思います。

また、上掲の記事で要約されている階猛氏(立民)の意見表明に関連して、氏が発言の冒頭で「論点を明確にするため、昨年の通常国会以降の各会派の発言について私なりの視点で衆院法制局にまとめていただいた一覧表を提出することを幹事会に提案したが、本日もかなわなかった」、「(新藤義孝与党側筆頭理事=自民が)緊急事態における議員任期延長については早々と論点整理の資料を審査会に提出する一方、国民投票時の放送CM、ネットCM規制について我が党が論点整理を行おうとすると妨害するという手前勝手でご都合主義の態度は許されない」と述べ、新藤氏の専横ぶりを暴露したことは、私たちが憲法審の運営の実情を知る上でとても有益でした。

ちなみに、新藤氏はこの日も『「国民投票広報協議会」の概要とその課題』と題したペーパーを配布して、これからの議論を仕切ろうという意図をあからさまにしていました。

国民投票関係.png
 

国民投票をめぐるこの日の議論は、(このテーマに全く関係なく、内容的にも理解しがたい意見を述べた岩谷良平氏(維新)を除けば)、国民投票広報協議会のあり方、テレビCM規制・ネット規制(CM、フェイクニュースなど)の可否やその方法、外国からの介入防止の重要性とその方法などをめぐって行われました。

このうち国民投票広報協議会について、『産経新聞』のウェブサイトの記事から、その位置づけや役割がわかりやすくまとめられている部分を転載させていただきます。

改憲発議にらみ事務作業も本格化 国民投票広報協議会
『産経ニュース』2023年5月25日

25日の衆院憲法審査会で焦点が当たった「国民投票広報協議会」は、憲法改正のルールを定めた国民投票法に基づき設置される組織だ。改憲発議から国民投票までの間、改憲の賛否両論をまとめた公報や新聞・放送広告などを介して国民の判断材料の提供を担う。(中略)
広報協議会は憲法改正案の内容や賛成・反対の意見などを記した「国民投票公報」の原稿作成▽投票所に掲げる憲法改正案の要旨の作成▽放送・新聞広告を介した広報-などを担う。(中略)
とはいえ、広告の掲載回数やインターネットを利用した広報の在り方、広報協議会事務局の人員などの細則は決まっていない。

また、事実に基づかない「フェイクニュース」の拡散を懸念し、「広報協議会にファクトチェック機能を持たせるか検討すべきだ」(中略)といった新たな提案もある。前例のない組織だけに、解決すべき課題は少なくない。(太田泰、内藤慎二)
 * 引用、ここまで。

この広報協議会については、今後、新藤氏が提出したペーパーに沿って、上掲の『東京新聞』の記事にあるように、衆院憲法審の事務局が必要とされる規定のたたき台の作成等を行うことになると思われます。北側一雄氏(公明)もこれを歓迎する発言をしていますし、やや行き詰まっている感のある改憲項目の絞り込みに先だって、まずはこちらの議論が進められていくのかもしれません。

テレビやネットのCM規制、ネットやSNSによる意見表明の制限やフェイクニュース対策などについては、階猛氏が立憲民主党の方針をかなり具体的に説明したのに対して、三木圭恵氏(維新)がやれ「表現の自由を侵害するおそれがある」だの、やれ「ネットの規制は難しい」だの、否定的な意見を繰り返したことが印象的でした。その意図はよくわかりませんが、この問題を本格的に議論すればいつまでかかるかわからない、それで改憲が遠のくようなことは避けたいということかもしれません。

国重徹氏(公明)も、三木氏ほど露骨な言い方ではありませんでしたが同様の見解を述べ、さらに「この問題は国民投票に限られるものではなく、デジタル社会の問題は個人の尊重や平等など幅広い議論が必要で、国民のリテラシーの向上も必要だ」と、議論を拡散して雲散霧消させようとするかのような発言をしていました(酷評しすぎかもしれませんが、私はこのように感じてしまいました)。
これに対して、玉木雄一郎氏(国民)と北神圭朗氏(有志)は、広報協議会のファクトチェック機能の充実などを積極的に議論すべきだとの立場で、このテーマについては改憲勢力の中でもスタンスが異なることが明らかになりました。

やはり自説を曲げなかった改憲勢力の面々

参議院の緊急集会をめぐる前回の参考人質疑の内容がよほど悔しかったのか、この日のテーマとは無関係に、玉木氏(国民)と北側氏(公明)が参考人のいない場で反論を行いました。
特にあきれたのは玉木氏のこのような発言でした。

「40日、30日と憲法に具体的な数字が明記されている準則規定は、平時には100%守らなければいけないが、緊急時には生き残ることが最優先だから従わなくてもいいという(長谷部恭男氏の)主張は危険だ。この法理が許されるなら、例えば憲法9条の規定や解釈は全く意味がなくなってしまう。国家の存亡をかけた究極の緊急事態が戦争であり、そのとき国家の生き残りのためなら敵基地攻撃どころかフルスペックの集団的自衛権の行使も可能となる(からだ)。」
支離滅裂とはこのことで、何を言いたかったのかまったくわかりませんでした。

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北側氏の発言にも驚きました。
「(長谷部氏によれば)憲法54条で40日、30日と日数を限っているのは、解散後いつまでも選挙を実施しない、選挙の後いつまでも国会を召集しないなど現在の民意を反映していない従前の政府が居すわり続けることのないようにとの考慮からだということだが、そんなことはない。(長谷部氏は)それほど日本の民主主義は熟度がないと思われているのかと私は感じた。54条の目的は、国会の二院制、同時活動の大原則から、衆議院が不在の期間をできるだけ短くしないといけないというところにある。

北側氏は、戦時中、創価学会に対する大弾圧の中で創設者が獄死した教訓として、緊急事態時に権力が振るう圧政の底知れない恐ろしさを感じていないのでしょうか。また、憲法43条の「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」という「原則」についてはどう考えているのでしょうか。

この日の傍聴者は30人弱でしたが、11時過ぎに20人ほどの団体が入場してきました。記者は5、6人でした。
前回の参考人質疑のときとはうってかわって自民の欠席者がいつも以上に多く、3、4人だった時間帯もありましたが、だいたい7、8人から10人くらいが席を外していました。他の会派は、一時的に離席した委員はいましたが、全員が出席していました。

今国会での衆議院憲法審査会は、緊急事態条項、特に議員任期の延長問題から、憲法9条、参議院の緊急集会、そしてこの日の国民投票と、次々にテーマを変えて開かれてきましたが、それは改憲勢力が発議・国民投票に向けたシナリオを描き切れていないことの表れだと思います。もちろん両院の勢力から見ても楽観は許されませんが、改憲阻止の展望は間違いなくあります。
会期延長がなければあと3回の審査会で、改憲勢力が一致して取り組めるような項目を打ち出せるのか、引き続き注視していきたいと思います。(銀)


6月辺野古ゲート前県民大行動
とき◆6月3日(土)午前11時~12時
ところ◆辺野古ゲート前(名護市辺野古)
主催◆辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議(tel.098-894-6407)

■「ワタシタチハ ニンゲンダ!」(髙賛侑監督、114分)上映会
とき◆6月3日(土)午後6時30分上映開始
ところ◆つくば文化会館アルスホール(茨城県つくば市吾妻2-8-8中央図書館2階)
主催◆上映実行委(tel.029-847-5338田中喜美子)

星野文昭絵画展in東京(東部)
とき◆6月3日(土)~5日(月)午前10時~午後6時(3日は正午~7時、5日は3時まで)
ところ◆亀戸文化センター2階展示ロビー(JR総武線「亀戸」北口2分)
主催◆東京東部星野文昭さんを取り戻す会(tel.090-9304-7168小泉)

関西生コン支部とともに反転攻勢へ!東京の会第4回総会
とき◆6月4日(日)午後2時開始
ところ◆新小岩地区センター4階ホール(葛飾区新小岩2-17-1)
講演◆金元重さん(元千葉商科大学教授)
特別報告◆関西生コン支部
主催◆関西生コン労働組合の弾圧を許さない東京の会(tel.03-3220-7473)

■辺野古新基地建設を許さない!防衛省抗議行動(第1月曜日)
とき◆6月5日(月)午後6時30分~約1時間
ところ◆防衛省正門前(市ヶ谷駅7分)
申し入れ・アピールなど
主催◆辺野古への基地建設を許さない実行委(tel.090-3910-4140)

■東海第二原発うごかすな!日本原電本店前抗議行動(第1水曜)
とき◆6月7日(水)午後5時~6時
ところ◆日本原電本店前(台東区上野5-2-1、JR「秋葉原」北側へ7分)
主催◆とめよう!東海第二原発首都圏連絡会(tel.070-6650-5549)

■東電本店合同抗議行動(毎月第1水曜日)
とき◆6月7 日(水)午後6時45分~7時45分
ところ◆東電本店前(千代田区内幸町1-1-3、JR「新橋」6分)
呼びかけ◆経産省前テントひろば、たんぽぽ舎(tel.03-3238-9035)

■戦争国会粉砕!ウクライナ戦争推進許すな!6.11新宿反戦デモ
とき◆6月11日(日)午後2時にJR新宿駅東口アルタ前集合、
リレーアピール、3時デモ出発
主催◆改憲・戦争阻止!大行進東京(tel.080-6053-1751本山)

阿佐ヶ谷市民講座 大杉栄・没後100年―「革命への動力」
とき◆6月15日(木)午後6時30分~
ところ◆荻窪地域区民センター(杉並区荻窪2-34-20)
講師◆栗原康さん(政治学者)/800円
主催◆講座実行委(tel.090-8080-6860)

■「ワタシタチハ ニンゲンダ!」(髙賛侑監督、114分)上映会
とき◆6月16日(金)午後6時~8時
ところ◆田町交通ビル6階ホール(港区芝浦3-2-22、JR「田町」芝浦口[東口]3分)/参加費500円/主催◆人権の21世紀をつくる文化の集い実行委(tel.03-3762-7176)

■首相官邸前・原発いらない金曜行動(毎月第3金曜日)
とき◆6 月16  日(金)午後6時30分~7時45分
ところ◆首相官邸前(地下鉄「国会議事堂前」すぐ)
主催◆「原発いらない金曜行動」実行委(tel.03-3238-9035)

■佐賀空港オスプレイ問題講演会「オスプレイって大丈夫?」
とき◆6月17日(土)午後2時~4時30分
ところ◆佐賀県弁護士会館(佐賀市中の小路7-19)
講師◆林千賀子弁護士(沖縄弁護士会、普天間基地爆音訴訟弁護団)/参加費無料
主催◆佐賀県弁護士会(tel.0952-24-3411)

■JRに不当解雇の責任あり!国鉄1047名解雇撤回を! 全国集会
とき◆6月18 日(日)午後1時30分~/ところ◆江戸川区総合文化センター大ホール(江戸川区中央4-14-1、JR「新小岩」南口15分)/主催◆国鉄闘争全国運動(tel.043-222-7207)

星野文昭絵画展in福岡
とき◆6月22日(木)~24日(土)午前9時~午後6時(22日は11時~、24日は5時まで)
ところ◆西南学院大学コミュニティーセンター多目的室1,2,3(福岡市早良区西新6-2-92)
主催◆星野文昭絵画展実行委(tel.092-483-0860)

■空母母港化撤回・基地撤去!6.24横須賀集会
とき◆6月24日(土)午後2時開会
ところ◆横須賀市生涯学習センター2階市民ホール(神奈川県横須賀市西逸見町1-38-11ウェルシティ市民プラザ内)
映画上映◆三上智恵監督最新作『沖縄、再び戦場へ』(仮)スピンオフ作品
提起発言◆田浦弾薬庫へのミサイル・弾薬搬入阻止に向けて
主催◆改憲・戦争阻止!大行進横須賀(tel.080-5002-8744品川)

■星野文昭絵画展&講演会in埼玉(加須)
とき◆6月24日(土)~25日(日)24日は午前11時~午後8時、25日は9時30分~7時
ところ◆市民プラザかぞ1階・視聴覚ホールほか(加須市中央2-4-17)
講演会】6/25午後2時~、4階会議室にて。講師◆柳澤裕子さん(医師、船橋二和病院労組書記長)/主催◆絵画展実行委(tel.090-1250-9570飯島)

星野文昭絵画展in神奈川(横浜)
とき◆6月30日(金)~7月2日(日)午前11時~午後7時
ところ◆サルビアホール3階ギャラリー(JR京浜東北線「鶴見」東口2分)
主催◆神奈川星野文昭絵画展実行委(tel.045-242-1055神奈川県労組交流センター)

半田滋さん講演会「陸自大湊へのスタンド・オフ・ミサイル弾薬庫新設と米軍三沢基地」(仮題)
とき◆7月1日(土)午後1時~
ところ◆アピオあおもりイベントホール(青森市中央3-17-1 )
主催◆青森県平和労組会議、共催:百万人署名運動青森県連絡会(tel.070-5477-4296)

■市東さんの農地を守ろう!7.2天神峰現地闘争&農楽まつり
とき◆7月2日(日)午前11時、市東さんの南台の畑に集合。萩原さんの清水の畑までデモ
農楽まつり】12時15分~、萩原さんの清水の畑にて。飲食あり、昼食は持参を。(雨天中止)
主催◆三里塚芝山連合空港反対同盟(tel.0476-35-0087)

■「沖縄、再び戦場へ」(仮)三上監督スピンオフ作品上映&講演会
とき◆7月2 日(日)午後3時~上映会、4時~講演会
ところ◆本所緑星教会集会室(墨田区緑3-13-8)
講演◆加藤彰彦さん(元沖縄大学学長)「沖縄戦と東京大空襲」
資料代500円(先着60名)
主催◆百万人署名東京東部連絡会(tel.03-5211-5415)



5月18日(木)10時から11時30分過ぎまで、衆議院憲法審査会が開かれました。3月2日の第1回から、5月4日の休日を挟んで、11回連続の定例日開催です。

この日は、参議院の緊急集会について、大石眞京都大学名誉教授と長谷部恭男早稲田大学大学院教授を招いて、参考人質疑が行われました。最初に両参考人が意見を述べ、続いて各会派の委員7人が質疑を行うという形式でしたが、持ち時間20分の参考人は大石氏が11分強、長谷部氏も約16分で発言を終了したのに対して、各会派委員の質疑は7人とも持ち時間の7分を超過したため、結果的に予定されていた1時間30分の所要時間をややオーバーして閉会となりました。
yurusuna

まず、この日の審議の概要をまとめた『東京新聞』のウェブサイトに掲載された2本の記事を転載させていただきます。

衆院憲法審査会で参院緊急集会巡り参考人質疑 長谷部恭男氏は「本末転倒の議論の疑いもあり得る」と指摘
『東京新聞TOKYO Web』2023年5月18日

衆院憲法審査会は18日、憲法が衆院解散時に国会の権能を代行する制度と定める参院の緊急集会を巡り、憲法学者の大石真・京都大名誉教授と長谷部恭男・早稲田大大学院教授を招いて参考人質疑を行った。(佐藤裕介)

戦争や大規模自然災害といった緊急時の国会機能維持策としては、緊急集会でどこまで対応できるかが主要な論点に浮上している。衆院解散から40日以内の総選挙、その後30日以内の国会召集という規定を根拠に、改憲勢力は緊急集会を開ける期間が最大70日間にとどまると主張。それを超えて選挙の実施が困難な場合に備え、国会議員の任期延長を可能とする緊急事態条項の新設が必要だと訴えている。

大石氏は「緊急集会が両院同時活動の原則に対する例外であることを考えれば、最大70日という制約に服すると考えるのが合理的」と、改憲勢力の意見に理解を示した。
これに対して、長谷部氏は憲法が衆院解散から総選挙、国会召集までの期間を限定していることに関して、平時を前提に「民意を反映しない従前の政権がそのまま居座り続けることを阻止する目的だ」と指摘。緊急時は70日間という日数に縛られる必要はないとした上で、衆院議員の任期を延長し、総選挙を経ることなく立法など全ての権能を与えることは「本末転倒の議論ではないかとの疑いもあり得る」と強調した。
参考人は意見陳述の後、各党からの質問に答えた。


衆院憲法審査会・発言の要旨
『東京新聞TOKYO Web』2023年5月18日 23時00分

18日の衆院憲法審査会での主な発言の要旨は次の通り。
参考人の意見聴取

大石真・京都大名誉教授 
憲法は、衆院解散時に参院の緊急集会を開催可能と規定している。任期満了後の総選挙実施不能の場合について、解散時の類推解釈として、緊急集会を開催することは可能だと考える。

解散に起因する衆院の不在期間は憲法上最長70日と限定されている。任期満了後の選挙不能事態の場合も70日という制約に服すると考えるのが合理的だ。これをはるかに超えて緊急集会の期間を認めるとすれば、類推解釈の名の下に正当化できるものではない。

緊急集会中の参院議員には、内閣から示された案件に関する議案の発議権が認められている。この限定は国会法という法律によるものにすぎない。改正は緊急集会でも行えると考えられるので、参院議員の発議権に対する制約は原理上、存しないことになる。緊急集会の権限拡大は、内閣と参院の関係を大きく変える。

長谷部恭男・早稲田大大学院教授 
総選挙を長期にわたって先送りしなければならない状況は簡単には発生しないだろう。繰り延べ投票などの実施も可能なのに、将来のことが確実にわかっているかのように総選挙を先送りすることは、国民の目にどう映るか、という問題もある。

衆院議員の任期を延長すると、総選挙を経た正規のものとは異なる国会が存在し、法律が成立することになる。緊急時の名を借りて、通常時の法制度を大きく変革する法律が次々に制定されるリスクも含まれかねない。任期延長された衆院と、それに支えられた政権が長期に居座り続ける「緊急事態の恒久化」を招くことにもなりかねない。

(緊急集会を定める)憲法54条が日数を限っているのは、現在の民意を反映していない政府がそのまま政権の座に居座り続けることがないようにとの考慮からだ。緊急集会の継続期間が限定されているように見えることを根拠として衆院議員の任期を延長し、政権の居座りを認めるのは、本末転倒の議論ではないか。
参院の緊急集会は十分な理由に支えられた制度で、新たな制度を追加する必要性は見いだしにくい。

◆各会派代表の質疑

新藤義孝氏(自民)
憲法は、選挙実施の見通しがつかない事態でも、緊急集会のみを活用した議会機能維持を想定しているのか。
長谷部氏 選挙が実施できない困難が解消され次第、全選挙区で選挙を速やかに実施していくことを、むしろ憲法は求めている。

階猛氏(立憲民主)
現に起きている解散権の乱用や臨時国会召集の先送りという国会機能の不全を議論すべきではないか。
大石氏 
私も危惧を共有している。解散権の問題は憲法改正事項になる。それも含め、トータルに議論すべきではないか。

小野泰輔氏(維新)
緊急集会が70日以上続くことが許容されたとして、その場合、歯止めはなくていいのか。
長谷部氏 
国家の存立がかかっている事態で、この数字にこだわるべきなのか。そこはやはり、考え直さなくてはいけない。

北側一雄氏(公明)
長期間、衆院選、参院選を適正に実施することが困難なことは十分あり得る。
長谷部氏 
衆院選がかなりの選挙区で実施困難でも、同じ地域選出の参院議員がいる。緊急集会で対応している限り、問題ない。両院制の妙味が生かされる。

玉木雄一郎氏(国民民主)
ずるずると解釈で緊急集会の権限を広げてしまうと、緊急集会の乱用が起こる可能性がある。
大石氏 
確かに(乱用の)恐れがないわけではない。問題は緊急集会の持ち方だ。議長の議事整理権で歯止めを設けられる。

赤嶺政賢氏(共産)
緊急集会に関する規定は、国民の自由と権利を奪い、侵略戦争に突き進んだ歴史への反省と一体のものだ。
長谷部氏 
この規定の目的は、民意を反映しない政権の居座りを防ぐことだ。この目的を第一に物事を考えることが必要だ。

北神圭朗氏(有志の会)
衆院解散時の緊急集会の規定を、衆院議員の任期満了時に類推適用することは、限定的な法解釈か。
大石氏 
それなりの類似性が認められ、合理的な理由があれば、直接は(条文に)書いていないが、解釈でカバーできる。
* 引用、ここまで。
 
こんなことくらいで喜ぶのも我ながら情けないと思いますが、この日の参考人質疑は改憲勢力の目論見に肩すかしを食わせるものになりました。上掲の『東京新聞』の2本目の記事、「衆院憲法審査会・発言の要旨」の「参考人の意見聴取」をお読みいただければ、参考人の発言の中で改憲勢力の主張に近いのは、大石眞氏が緊急集会の期間について述べた「70日という制約に服すると考えるのが合理的だ。これをはるかに超えて緊急集会の期間を認めるとすれば、類推解釈の名の下に正当化できるものではない」という見解だけで、しかもそこには「はるかに超えて」という条件が付されていることがおわかりいただけると思います。

参議院の緊急集会に関する改憲派のその他の主張については、両参考人はことごとく否定的な意見を表明しました。私もそうでしたが、傍聴者の中には、この日の審議を目の当たりにして、2015年6月4日の衆議院憲法審査会で、長谷部恭男氏をはじめ3人の参考人がそろって集団的自衛権を認める安保関連法は違憲だと述べたことを思い出した方が多かったと思います。赤嶺政賢氏(共産)も質疑の中でこのことに言及していました。

しかしながら、あのとき安倍政権は、反対するあるいは慎重審議を求める意見が多数を占めていた世論をものともせず、安保法制を強行成立させました。今回も、参議院の緊急集会の期間は70日間に限定される、だから衆院の解散後あるいは任期満了後に総選挙の実施が長期間かつ広域的に困難となる緊急事態が発生した場合には、前衆院議員の任期を延長して二院制の国会の機能を維持しなければならない、そのためには憲法改正が必要だという主張がいかに無理筋のものであっても、改憲派がそれを簡単に引っ込めるとは考えられません。

ところで、長谷部氏は最初の意見表明の中で、改憲勢力の改憲条文案で任期延長の対象とされている前衆院議員を「すでに失職をした、あるいはこれから失職するはずの衆議院議員」と表現していましたが、私は「失職」という言葉を使うことで任期延長案の異常さがより鮮明に浮かび上がってくると思いました。

長谷部氏は、次のようにも述べていました。『東京新聞』の記事と重複する部分が多いのですが、もう少し詳しく紹介したいと思います。
衆議院議員の任期を延長すると、そこには総選挙を経た正規のものではない異形のものだが、国会に付与されたすべての権能を行使し得るある種の国会が存在し、通常の一般的な法律が成立することになる。そこには、緊急時の名を借りて通常時の法制度を大きく変革する法律が次々に制定されるリスクも含まれている。悪くすると、任期の延長された衆議院とそれに支えられた従前の政権が長期にわたって居すわり続ける緊急事態の恒常化を招きかねない。」(「異形のもの」、「ある種の国会」という表現もなかなかのものですね。)
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憲法54条が(解散から総選挙まで)40日、(総選挙から国会召集まで)30日と日数を限っているのは、解散後も何かと理由を構えていつまでも総選挙を実施しない、あるいは総選挙の後いつまでも国会を召集しないなど、現在の民意を反映していない従前の政府が政権の座に居すわり続けることのないようにとの考慮からだ。緊急集会の継続期間が限定されているかのように見えるのは、その派生的な効果にすぎない。それにもかかわらず、結果として緊急集会の継続期間が限定されているかのように見えることを根拠として従前の衆院議員の任期を延長する、そして従前の政権の居すわりを認めるのは、本末転倒の議論ではないかとの疑いもあり得る。」

私は、改憲勢力の衆院議員任期延長論の薄っぺらさや牽強付会ぶりを弾劾するうえで、これ以上説得力のある議論はないだろうと思いました。

自説を曲げない改憲勢力の面々をたしなめる参考人

参考人と委員との質疑は、委員(立民の階猛氏と共産の赤嶺政賢氏を除く)の意見や質問を参考人(特に長谷部氏)がたしなめるという体で進みました。

それは改憲勢力の面々が、参考人の意見表明に反論し、自説を開陳しながら「本当にそんな考え方でいいんですか?」というふうに質疑を行ったからですが、例えば以下に紹介するやりとりからも明らかなように、改憲派がこれまでの主張を見直す可能性はぼぼないと言っても過言ではないと思います。

長谷部氏「40日、30日という数字だが、憲法に限らず法律でもこういう数字が定められていることはよくある。ただ、どうしても40日、30日でなければならないという根拠はない。例えば道路交通法で(自動車が走行するのは)左と決まっているが、右を通るという国もある。これは、左右どちらがいいのかを議論しても仕方がなく、とにかく日本では左と決まっていることが重要だという問題だ。
40日、30日という期限もそういう問題で、平時なら必ず守らなくてはいけないが、国家の存立がかかっているような事態のときこの数字にどれほどこだわるべきなのかは考え直さなければいけないところがあると私は考えている。」

小野泰輔氏(維新)「本当にそんなことをおっしゃっていいのか私はわからない。選挙が全国で一体的に実施できなくても定足数を確保できるならそれでいいというお話もあったが、それによって特定の災害を受けた地域の民意が反映されない状態より、従前に選挙で選ばれた全国会議員の任期を延長する方が正当性が高く妥当ではないかと私は思う。」
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この日の傍聴者は35人ほどで、審査会が定刻の10時に始まったため、前回ほど多くはありませんでしたが開会に間に合わない方がいらっしゃいました。定時に始まると傍聴できない審査会っておかしいんじゃないでしょうか。記者は5人でした。

この日は参考人に失礼にならないようにということか自民の欠席者が少なめで、6、7人になった時間帯もあったもののだいたい1~3人で推移していました。短時間とはいえ全員が席に着いているという滅多にない光景を目にすることもできましたが、与党側筆頭理事の新藤義孝氏(自民)は、途中かなり長く席を外していました。他の会派は、一時的に離席した委員はいましたが、全員が出席していました。

上述のように、今回の参考人質疑によって参議院の緊急集会に関する改憲勢力の見解が修正されるとは思えません。むしろ参考人質疑の実施で「議論は尽くした」と主張してくるおそれがあり、議員任期の延長がダメならやっぱり緊急政令や緊急財政処分の規定が必要じゃないかという議論を強く押し出してくるかもしれません。
衆院ではほぼ100%の確率で憲法審の毎週定例日開催が続くと思われます。今国会の会期末まであと4回の審査会で改憲勢力が発議、国民投票に向けてどのような方向性を打ち出してくるのか、引き続き注視していきます。(銀)


5月17日(水)13時から14時20分頃まで、今国会5度目の参議院憲法審査会が行われました。4月5日の第1回以降、4月19日と休日の5月3日を除き、ほぼ毎週の開催が続いています。今回の議題は参議院議員選挙区の合区問題で、このテーマでは今国会2度目の審議となりました。4月26日には、合区の対象となっている4県の知事、副知事を招いて参考人質疑が行われましたが、今回は川崎政司参院法制局長が出席し、委員からの質問に答えていました。
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参議院の憲法審査会では、衆議院とは大違いで早めに傍聴席に入ることができますので、この日も10分以上前から座席を確保していたところ、いつもなら開会予定時刻の13時ギリギリに議場に姿を現す幹事の面々が、5分ほど前に入場してきました。審査会の運営について話し合う12時50分開始の幹事会が5分以内であっさり終了したからですが、私の記憶する限りこんなことは初めてでした。
また、審査会の冒頭、中曽根弘文会長(自民)が「本日は、委員間の意見交換を1時間30分を目途に行います」と述べましたが、実際には10分も短い約1時間20分で閉会となりました。

これらのこと、つまり幹事会と審査会の早期終了は、現時点では参議院憲法審査会でどうしても議論しなければならないテーマが、改憲勢力の側にも見いだせていないことを示しているのではないでしょうか。この日各委員から表明された意見を聞いていても新たな論点はほとんどなく(これはもちろん私の主観ですが)、いったい何のために開かれたのかと感じざるを得ませんでした。あえて言えば、審議会を毎週のように開催すること自体が目的だったのでしょう。

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以下、この日の審議の概要を報じた『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事を転載させていただきます。

「合区解消」は改憲の理由になるのか? 自民は検討加速を訴え、立民は法改正で対応可能と主張
参院憲法審【詳報あり】
『東京新聞TOKYO Web』2023年5月17日

参院憲法審査会が17日に開かれ、参院選で隣接県を一つの選挙区にする「合区」をテーマに討議した。自民党は改憲による合区解消を求めつつ、2025年の参院選に間に合わせるため、当面は法改正で実現すべきだとの見解を示した。立憲民主党は法改正で対応できるとの認識を繰り返した。

合区は一票の格差是正を目的に導入され、2016年参院選から「鳥取・島根」と「徳島・高知」が設けられた。だが、地方の声が国政に届きにくくなるとして、都道府県単位での議員選出を求める声が根強い。

自民党の片山さつき氏は「都道府県という境目を取り払うのは、中長期的に見て民主主義の衰退なのではないか」と述べ、合区解消に向けた検討の加速を訴えた。党が掲げる改憲による実現のほか、法改正での対応もあり得るとした。

立民の杉尾秀哉氏は、改憲による合区解消について「投票価値の平等という憲法14条に基づく人権を犠牲にすることを考えれば、正当性の根拠が不十分と言わざるを得ない」と指摘。参院独自の役割や機能を定めることなどにより、国会法と公選法の改正で都道府県単位の議員選出は可能になると主張した。

日本維新の会は合区に関し、選挙制度の見直しでの対応を求めた。共産党とれいわ新選組は合区解消を改憲の理由とすることに反対した。(佐藤裕介)


17日の参院憲法審査会での主な発言の要旨は次の通り。

【各会派代表の意見】
片山さつき氏(自民)
現行憲法では都道府県、市町村の位置付けは明確になっていない。条文にしっかり位置付けるべきだ。投票価値の平等という観点で機械的に都道府県という境目を取り払うのは、中長期的に見て民主主義の衰退なのではないかと懸念する。抜本的には憲法改正して合区を解消してはどうかと考えているが、法改正による合区解消についても議論を進めるのはあり得る。
杉尾秀哉氏(立憲民主)
都道府県からの選出が投票価値の平等という憲法14条に基づく人権を犠牲にすることを考えれば、正当性の根拠が不十分。参院を「地方の府」とすべきとの主張も、参院が憲法43条が規定する全国民の代表であることと矛盾する。憲法改正による合区解消も、別の憲法上の矛盾を生じさせる。合区の廃止は国会法、公職選挙法の改正で解決する方策がある。
佐々木さやか氏(公明)
公明党は全国を11のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱している。投票価値の平等と地域代表的性格の調和の観点に立つものだ。一票の価値の平等が重要な憲法上の要請となっており、都道府県を参院の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はない。現行憲法下で参院の選挙区を都道府県単位とし、合区を解消することは難しい。
東徹氏(維新)
合区解消は維新の考え方にはない。憲法審で合区解消(の議論)はやめてほしい。憲法改正ではなく、選挙制度をどうするかという話だ。どうしても参院選で都道府県選挙区を維持し、毎回1人以上が当選できるようにするのであれば、比例区の定数を大幅に減らし、都道府県選挙区の定数に回すことで、議員定数を増やさなくても選挙区の一票の格差を抑えることができる。
大塚耕平氏(国民民主)
わが党は、参院における法の下の平等とは単純な一票の平等ではなく、自身の居住する都道府県から少なくとも1人は代表を選出できる権利であることを立法府の意思として明確に主張すべきだと、従前から申し上げている。参院に関しては、裁判所が単純な一票の格差で判決を下すことのないように求めるという意思すら、明確に立法府が述べるべきだ。
山添拓氏(共産)
民意は多様で、一つの県でも一つの意見ということはあり得ない。小選挙区制では死票が多く、民意が反映されにくくなる。合区されれば一層深刻で、地域の声が国政により届かなくなる。共産党は投票価値の平等を実現するとともに、多様な民意が正確に議席に反映する制度とするため、比例代表を中心とする全国10ブロックの非拘束名簿式の選挙制度を提案してきた。
山本太郎氏(れいわ)
合区によって生み出された弊害は、事前に警鐘が鳴らされた通りになっている。一度合区にしてしまえば、当事者たちから「憲法改正が必要だ」と声が上がらざるを得ない。憲法改正につなげる動きの一つとして仕込んだのではないかと推察する。合区が必要だと先頭で旗を振ってきた者が、返す刀で「合区の解消を憲法改正で」とは話がおかしすぎる。迷惑でしかない。

【各委員の発言】
山谷えり子氏(自民)
最高裁は合区解消のために国会がどのような努力をしたかで判断するようになっている。憲法14条の平等論の議論であるはずなのに、立法の不作為の違憲性の議論になっている。
福島瑞穂氏(社民)
自民党は合区を提案しながら、合区解消のための憲法改正を言っていることが理解できない。100年、200年単位で憲法を考えるべきで、選挙制度改革は公職選挙法改正で行うべきだ。
中西祐介氏(自民)
2025年の参院選までの合区解消を実現するためには、今後の参院改革協議会の中での議論を合わせて、あらゆる手だてを尽くして法律改正による合区解消をするべきだ。
猪瀬直樹氏(維新)
ウクライナでロシアが侵略しているとき、憲法9条、自衛隊の位置付けをテーマにしないと、この場は一体何なのかとなる。(合区問題の議論は)時事的な当事者性に欠けていると思う。
矢倉克夫氏(公明)
合区解消を目的に憲法に参院の地域代表制を書き込むと、規定ぶりによっては、国会議員が選出母体である地方の指令の枠内でのみ代表権を持つにすぎないという形になってしまう。
*引用、ここまで。

合区導入から合区解消のための改憲まで2年半、あまりにも身勝手な自民党の主張

上述したように、今回の憲法審で合区問題について新たな論点はほとんど提示されませんでしたが、上掲の『東京新聞』の記事に紹介されているように、自民党の委員が「法律改正による合区解消についても議論を進めることはあり得る」(片山さつき氏)、「2025年の参院選までの合区解消を実現するためには、第一に、参院改革協議会の下で超党派での法律改正による合区解消を目指す」(中西祐介氏)と明言したことが注目されます。合区の解消は、まずは改憲ではなく法改正で行うべきだと認めたことになるからです。

この日も山本太郎氏(れいわ)が「『合区にしろ』から『合区解消のための改憲を』まで約2年半というのは話がおかしすぎる」、福島瑞穗氏(社民)が「合区を提案し成立させながら、合区解消のための改憲を言っていることが理解できない」と自民党を厳しく批判していましたが、自民の委員たちにしてみればぐうの音も出なかったというところでしょう。
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ちなみに、山本氏は「合区にすれば地元から改憲が必要だと声が上がることをわかった上でトラップを仕込んだのではないか」とまで述べ、「ただの無能か確信犯か、どちらにしても迷惑でしかない」と論難していましたが、この間の自民の委員たちの議論を聞いていると、私は「ただの無能」だと判断します。福島氏が指摘したように、「選挙制度はめまぐるしく変わっている。憲法は100年、200年単位で考えるべきであり(私はちょっと長すぎるような気がしますが)、選挙制度の改正は公職選挙法で行うべきだ」というのが正論だと思います。

自民以外の改憲勢力の主張はバラバラ

上掲の『東京新聞』の記事にあるように、佐々木さやか氏は「公明党は全国を11ブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱している」と述べました。これは山添拓氏の「共産党は全国10ブロックの非拘束名簿方式の選挙制度とすることを提案してきた」という発言とほぼ同じように聞こえますが、公明党が個人名投票を推すのは支持票の割り振りに自信を持っているからだと思います。つまり、当落線の少し上の順位のところで目一杯の議席を確保しようという算段なのでしょう。

これに対して維新は、東徹氏が「都道府県の合併や道州制を検討すべきだ」、「先日の審査会での丸山島根県知事の『両院ともに投票価値の平等に重きを置くのなら一院制で足りるのではないか』という発言を聞いて、同じ思いだと思った」などと主張、猪瀬直樹氏にいたっては「今、合区問題を取り上げるのに僕は非常に消極的な気分だ」、「人口減少で過疎化が進行するのは不可避で、前向きな解決策はないと思っている」と、よく言えば独創的な、悪く言えば場違いの意見を開陳していました。

驚いたのは大塚耕平氏(国民)の発言で、氏は「参議院に関しては各都道府県最低1人は選出できるようにすることが立法府の意思であることを明確にし、裁判所に対して単純な1票の較差で判決を下すことのないように求めるべきだ」と、三権分立を否定しているとも解されかねないちょっと危ない見解を披露していました。
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このように、公明、維新、国民の主張はバラバラで、現状では自民を含めて合区問題で改憲案が提起されるような気運は見られませんし、公職選挙法改正の議論もほとんど行われていませんが、小林一大氏(自民)によれば、「合区問題については、今年秋に新たな最高裁の判断が示される旨が報じられている」そうですので、その内容によっては新たな展開があるかもしれません。ただ、今後公選法改正の検討が軌道に乗るとしても、それは参議院改革協議会など憲法審査会以外の場で行われることになると思われます。

今回も委員の出席率はとても高かったのですが、珍しく自民党の委員1人がずっと欠席していたように見えました(自民の委員は五十音順に並んでおらず、名札の文字も遠くて読み取りづらいので、確信はありませんが)。
傍聴者数は20人弱でいつもより少なめで、記者は4、5人でした。

次回以降、参議院の憲法審査会がどのように進められていくのか、衆院のように毎週定例日開催が強行されるのか、どんなテーマが取り上げられるのか、引き続き注視していきたいと思います。(銀)

5月11日(木)10時から11時30分頃まで、衆議院憲法審査会が開かれました。先週は休日でしたので2週間ぶりですが、これで定例日の開催は10回連続となりました。

この日は、冒頭に森英介会長(自民)が「緊急集会を中心として討議を行います」と述べた後、各会派代表の1人7分ずつの発言、会長に指名された委員の5分以内での意見表明といういつもどおりのパターンで議事が進められました。
唐突に緊急集会が取り上げられたのは、参議院で先行する議論に制動をかけようという意図があったからかもしれません。緊急集会をどのように位置づけるかによって、改憲勢力がもくろむ緊急事態時の衆院議員の任期延長の議論が頓挫する可能性があるからです。
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以下、この日の審議の概要をまとめた『東京新聞』のウェブサイトに掲載された2本の記事を転載させていただきます。

参院の緊急集会巡り討議 自民は議員任期の延長規定を主張、立民も議論進めることに理解 衆院憲法審査会
『東京新聞TOKYO Web』2023年5月11日

衆院憲法審査会は11日、衆院解散後に緊急の問題が発生した際、参院が国会の権能を代行する「参院の緊急集会」について討議した。自民党は、緊急事態が長期間となる場合に備えて議員任期の延長規定が必要と主張。立憲民主党は、有識者の見解を聞くべきだとしつつも、議論を進めることに理解を示した。

自民の新藤義孝氏は、憲法54条2項の緊急集会で対応できるのが原則、内閣から示された案件に限られるとして「有事における二院制国会の機能維持を図るため、万全の措置を講ずるべきではないか」と述べた。公明党は、緊急集会で対応できる期間には限りがあると指摘。日本維新の会と国民民主党、無所属議員でつくる会派「有志の会」も、議員任期延長規定の必要性を訴えた。

一方、立民の奥野総一郎氏は、国政選挙の実施が困難と判断するに当たって、立法と司法を関与させるべきだと主張。その上で「国会機能を維持するための選択肢の一つとして議論を進めても良い」と語った。共産党の赤嶺政賢氏は「国民の参政権を奪う任期延長は、議会制民主主義の否定で、行うべきではない」と強調した。(佐藤裕介)


衆院憲法審査会・発言の要旨(2023年5月11日)
『東京新聞TOKYO Web』2023年5月11日

11日の衆院憲法審査会での発言の要旨は次の通り。
◆各会派代表の意見
新藤義孝氏(自民)
わが国の憲法には、緊急事態の規定が欠落している。参院の緊急集会は平時の規定で、短期間に適用される制度だ。長期にわたって衆院不在が予想されるような有事が発生した場合でも、二院制国会を機能させるために、憲法の明確な要件に基づき発動される緊急事態時の議員任期延長などの措置を講じておくことは、立憲主義の観点からも極めて重要だ。
奥野総一郎氏(立憲民主)
災害などにより選挙が行えず、衆院議員が選任されない「選挙困難事態」にどう対処するか、憲法上明らかでない。選挙困難事態が長期にわたる場合、緊急集会の活動に機能的、時間的限界があるのか、という問題がある。国会中心主義の観点から必要であれば、議員任期延長について、国会機能を維持するための選択肢の一つとして議論を進めても良いと考える。
岩谷良平氏(維新)
審査会はわが国にとってベストな憲法を議論する場だ。現行憲法を前提に緊急集会で対応する場合と、憲法改正して任期延長する場合、いずれが優位か比較して結論を出さなければならない。二院制は憲法上の重要な原則。その例外である一院のみによる緊急集会で長期間対応するより、議員任期を延長して二院制を維持する方が、権力分立と国民主権の観点から優位だ。
浜地雅一氏(公明)
参院の緊急集会について検討すべき論点として、(1)意義・制度趣旨(2)衆院の任期満了の場合の類推適用(3)活動期間はどの程度か(4)審議できる事項・範囲をどう考えるか(5)「国に緊急の必要があるとき」とはどのような場面か―がある。緊急集会は衆院が存在しない場合の、活動期間を区切られた例外的かつ暫定的な制度だ。例外規定である以上、厳格に解釈されるべきだ。
玉木雄一郎氏(国民民主)
憲法の統治機構に関わる条文は厳格に解釈すべきで、無理な解釈は避けるべきだ。緊急集会の権能を解釈で無制限に広げることは、二院制を原則とする憲法の規定に違反する。一時的、暫定的、限定的と憲法上規定されている緊急集会の射程を、立法や解釈で拡大することは立憲主義に反する。憲法に明記されている議員任期を延長するには、憲法改正が必要だ。
赤嶺政賢氏(共産)
有事の認定という重大な決定に際してこそ、国民の判断を仰ぐべきだ。米国に付き従って、他国の紛争に軍事介入する決定を行った政府と国会議員に対し、選挙を通じて退場させる機会を奪うことは許されない。国民の参政権を奪う任期延長は、議会制民主主義の否定で、行うべきではない。衆院が不存在の場合は、憲法の規定に従って、参院の緊急集会で対応すべきだ。
北神圭朗氏(有志の会)
参院の緊急集会は選挙ができる状態を前提とする平時の制度だ。維新、国民民主との共同提案では、選挙ができる場合は緊急集会で、選挙が長期にできない場合には議員任期の延長で対応できるとしている。緊急集会は二院制の例外ゆえに、審議対象や活動期間におのずと制約がある。例外規定は厳格に解釈しなければならないからこそ、議員任期の延長制度が必要だ。

◆各委員の発言
柴山昌彦氏(自民)
選挙ができない、国会を開いて審議するいとまがない事例をきちんと想定して、緊急政令や、政令に包括的な委任を設けるという対応の仕方をしっかりと制度化するべきだ。
城井崇氏(立民)
ネット環境は大きく変化し、フェイクニュースや外国の不当な干渉などの問題解決が民主主義の強化にとって極めて重要だ。立民は(国民投票の)ネット規制は必要かつ可能との立場だ。
小野泰輔氏(維新)
立民は(国民投票で)政党のネットCMを禁止している。選挙で政党のネットCMが許されていることとの乖離が著しい。表現の自由を過度に規制しているのではないか。
北側一雄氏(公明)
巨大地震により、広範な選挙区、広範な比例ブロックで選挙実施が困難ということが想定される。任期延長の問題はできるだけ早く合意形成し、憲法改正しなければならない。
山下貴司氏(自民)
非常時に任期満了で衆院議員が存在しなくなる事態を想定する必要がある。判例や政府解釈などなく、学説も分かれている。任期満了時の対応を憲法上明確化した緊急事態条項が必要だ。
新垣邦男氏(社民)
自民党は国防規定や自衛隊の明記により、憲法を頂点とするわが国の法体系を完成させると主張するが、日米地位協定の全面改定なくして、法体系の完成と主権の確立はあり得ない。
* 引用、ここまで。
 
新藤義孝氏、またしても「論点」ペーパーを配布

この日も最初の発言者は、憲法審査会の与党側筆頭幹事である新藤義孝氏(自民)でした。複数の委員を出している他の会派(立民、維新、公明)は、1巡目の会派代表の意見表明を交代で行っていますが、自民党だけは新藤氏が1人でその役割を担っています。そして氏は今回はこの問題について議論しよう、次はこの問題を取り上げようと提案し(というより、「ごり押しし」と書いた方が実態に即しているかもしれません)、テーマごとに「論点」ペーパーを配布して、自らの見解を披露しながら他会派にもそれぞれの考えを出してほしいと要請する(これも「強制する」という言葉を使った方がいいかもしれません)のです。
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衆院の審査会で参議院の緊急集会を主たるテーマとするのは今回が初めてでしたので、案の定、新藤氏はまたしても『「参議院の緊急集会」に関する論点』と題したA4版1枚の資料(下図)を提出し、これに沿って牽強付会としか言いようのない持論を一方的に展開して、「私なりに論点整理をさせていただきました」と得意げに(これは私の主観です)締めくくったのです。こんな専横がなぜ許されるのか、いつまで続けさせるのか、傍聴していていつも不愉快極まりなく感じています。(衆院憲法審の50人の委員中、自民だけで28人、自国維公=地獄行こう=と有志の会で38人も占めているのですから、現状ではいかんともしがたく、じっと我慢するしかありませんが。)


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「二院制」の維持と「選挙された議員」による構成

この日の審議の要点は、上掲1本目の『東京新聞』の記事に過不足なく整理されており、付け加える点はありませんが、残念なのは、奥野総一郎氏(立民)が「議員任期延長について、国会機能を維持するための選択肢の一つとして議論を進めても良い」と明言してしまったことで、これでは参院の緊急集会では国会の機能を維持できない場合があると認めたことになってしまいます。

緊急事態時に衆院議員の任期延長が必要だという議論は、二院制の維持が憲法上の重要な要請である(憲法第42条「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する」)という認識に基づくものですが、私は(専門家ではないので間違っているかもしれませんが)、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」(憲法第43条)という規定も同じく重要であり、いったん議員の身分を失った者を選挙を経ることなしに議員として処遇することはこれにもとるものだと思います。いま改憲勢力が展開している議論は42条の二院制の維持ばかり言い立てて43条の選挙された議員による国会の構成を無視するものであり、バランスを欠いているのではないでしょうか。

この日、衆議院憲法審査会事務局が作成・配布したA4版53ページに及ぶ『「参議院の緊急集会」に関する資料』(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/shukenshi102.pdf/$File/shukenshi102.pdf)を見ても(斜め読みしただけですが)、衆院議員選挙が長期間、広範囲で行えない事態が生じたときどのように国会の機能を維持すべきか、その場合参議院の緊急集会の意義や役割をどう考えるかについて、学界でも通説はないようです(というより、そういう事態を想定した議論自体ほとんど行われてこなかったと言った方がいいかもしれません)。

緊急集会とは別テーマの注目すべき議論

今回の報告の最後に、この日意見を表明した委員の中で、参議院の緊急集会以外の問題を取り上げた2人の発言を紹介します。

まず、城井崇氏(立民)は、「国民投票法(改憲手続法)の制定後、インターネットを取り巻く環境は大きく変化している」、「これまでの議論ではネット規制は困難だという会派もあるが、立憲民主党は必要かつ可能だとの立場だ」として、立民の改正案について説明しました。その内容は多岐にわたりますが、国会図書館が3月に刊行した『諸外国の国民投票運動におけるオンライン広告規制』(https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info:ndljp/pid/12767874)という「労作」(城井氏による評価)に依拠し、他国の具体的な事例を挙げながら改正点を提示していました。
氏は「以上の(改正案の)各項目は国民投票法改正法の附則第4条に掲げられた検討項目に合致するものであり、これに対処しないまま改憲国民投票に突き進めば、国民の間に取り返しのつかない分断を招くおそれがある」と釘を刺して発言を終えました。

また、新垣邦男氏(社民)は、「最近、台湾有事は日本有事などといった発言が自民党の国会議員から公然となされており、敵基地攻撃能力の保有が抑止力になるとの説明を岸田首相や外務・防衛両大臣が繰り返しているが、中国、ロシア、北朝鮮は安保3文書を批判し、対抗措置を取ると明言している。安保3文書が東アジアを不安定にしている事実を、与党の国会議員は直視してほしい」、「戦争になれば軍隊のある場所が標的になるというのが沖縄戦の教訓だ。太平洋戦争のとき、米軍の軍事拠点になるという理由で、日本軍はオーストラリアのダーウィンを60回以上空襲した」、「沖縄に暮らしていると、改憲論議そのものが東アジアをはじめとする諸外国に9条の破棄を想起させ、疑念を抱かせるのではないかと思う。国家安全保障戦略においても、周辺諸国を無用に刺激し、平和外交の支障となり得る要素を極力排除することに政治は全力を尽くすべきだ」などと指摘しました。
新垣氏はこの日最後の発言者であり、どんよりしていた気持ちに少しだけですが日が差してきたように感じつつ傍聴を終えることができました。

この日の傍聴者は40人ほどで、審査会が定刻の10時に始まったため、開会に間に合わない方がたくさんいらっしゃいました。こんなことが起こるのは、衆議院では審査会開始予定時刻の10分前から開かれる幹事会が始まるまで傍聴の手続きが始められないという「謎ルール」によるもので(参議院にはこんな馬鹿げたルールはありません)、直ちに改めてほしいと思います。記者は3、4人でした。
この日は自民の欠席者がいつもより少なく、6、7人になった時間帯もありましたが、だいたい1~3人で推移していました。他の会派は、立民、維新の委員が席を離れている時間がありましたが、全員が出席していました。

いつもは森会長が「次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします」と述べて審査会が終了するところ、今回は「来る18日木曜日、参考人として京都大学名誉教授大石眞君及び早稲田大学大学院教授長谷部恭男君の出席を求め、意見を聴取したい」との発言がありました。きわめて珍しいことですが、前回、4月27日に審査会の開会が40分も遅れた際、大幅に長引いた幹事会の場ですでに合意していたのかもしれません。衆院憲法審のホームページによれば、テーマは参議院の緊急集会です。
わずか2人の意見で審査会の方向性が変わるとは思えませんし、参考人質疑の実施で改憲勢力が「議論は尽くした」という主張を打ち出してくるおそれもありますが、これからも審査会の動向を批判的にフォローしていきたいと思います。(銀)


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