とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

2023年04月

■新たな戦前にさせない!守ろう平和と命と暮らし2023憲法集会
とき◆5月3日(水・休)午前11時~サブステージ、午後1時~メインステージ、2時30分~デモ
ところ◆有明防災公園(江東区有明3-8-35、ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線「有明」2分)
スピーチ◆清末愛砂さん(室蘭工業大学教授・憲法学)ほか
主催◆5.3憲法集会実行委(総がかり行動実行委ほか)

■伊藤孝司写真展「平城の人びと」~大きく変わった人びとの暮らし
とき◆5 月3 日(水)~6月4日(日)昼12時~午後5時(休館日は月・火)
ところ◆高麗博物館(新宿区大久保1-12-1第2韓国広場ビル7F)
主催◆高麗博物館(tel.03-5272-3510)

■ドキュメンタリー映画『妖怪の孫』上映
とき◆5月6日(土)~19日(金)
ところ◆キネマ旬報シアター(千葉県柏市末広町1-1柏高島屋ステーションモールS館1F)
問合せ◆キネマ旬報シアター(tel.04-7141-7238)

■辺野古新基地建設を許さない!防衛省抗議申し入れ行動
とき◆5月8日(月)午後6時30分~
ところ◆防衛省正門前(市ヶ谷駅7分)
アピール、沖縄からの訴えなど
主催◆辺野古への基地建設を許さない実行委(tel.090-3910-4140)

■星野文昭詩画展in愛媛(松山)
とき◆5月12日(金)~14日(日)午前9時40分~午後6時(12日は午後1時~、14日は4時まで)
ところ◆愛媛県美術館(新館)2F特別展示室1(伊予鉄道「松山市」5分)
主催◆えひめ星野文昭さんをとり戻す会(tel.090-8693-6379日野)

■星野文昭絵画展in静岡(清水)
とき◆5月13日(土)~14日(日)午前10時~午後5時(14日は4時まで)
ところ◆はーとぴあ清水(静岡市清水区宮代町1-1)
主催◆星野さんを取り戻す会静岡(tel.090-9029-4920)

■5.15沖縄闘争~G7サミット粉砕!ウクライナ戦争止めよう! 
とき◆5月13日(土)国際通りデモ(午後4時に県庁前広場に集合)、6時30分~「復帰」51年5.13沖縄集会
ところ◆沖縄青年会館大ホール(那覇市久米2-15-23)
主催◆改憲・戦争阻止!大行進沖縄(tel.098-948-1651)
関連企画】5/14沖縄戦跡めぐり他、5/15辺野古現地闘争(午前8時30分~辺野古ゲート前)、陸自那覇駐屯地申入れ(12時30分~ゲート前)

■「政教分離の会」公開学習会「政教分離と報道」
とき◆5月13日(土)午後2時開会~4時
ところ◆日本キリスト教会館4F会議室(新宿区西早稲田2-3-18、地下鉄東西線「早稲田」5分)
講師◆渡辺秀樹さん(信濃毎日編集委員)
オンライン併用・参加費700円
主催◆政教分離の侵害を監視する全国会議(tel.090-9820-5527星出)

■『復帰』51年を問う5.14デモ
とき◆5月14 日(日)午後2時~アピール行動、3時デモ出発
ところ◆新宿アルタ前(JR新宿駅東口すぐ)
主催◆沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック(tel.090-3910-4140)

■横浜ノースドック撤去!沖縄を再び戦場にするな!映画&集会
とき◆5月14日(日)午後2時開会、集会後臨港パークまでデモ行進
ところ◆横浜市社会福祉センター4Fホール(横浜市中区桜木町1-1健康福祉総合センター内、JR桜木町南1Aすぐ)
映画上映◆三上智恵監督最新作『沖縄、再び戦場へ』(仮)スピンオフ作品(45分)
500円
主催◆改憲・戦争阻止!大行進神奈川(tel.080-5002-8744)

■安和桟橋・塩川港からの土砂船積みを止めよう!現地行動
とき◆5月15日(月)~16日(火)①安和:午前7時~午後8時、②塩川:午前7時~午後5時
集合◆セメント工場前(那覇空港から「高速バス」または「やんばる急行バス」で名護ターミナルへ。路線バスに乗り継ぎ「セメント工場前」「石山原」下車)
主催◆安和・塩川に行こう実行委(tel.090-4703-8169福田)

■星野国賠訴訟第15回裁判
とき◆5月16日(火)午前10時30分~
ところ◆東京地裁第708号法廷
関連
★11時頃から日比谷図書文化館地下ホールで報告集会
★12時15分~法務省包囲デモ(12時に日比谷公園霞門に集合)
主催◆星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議(tel.03-3591-8224)

■汚染水を海に流すな!5.16東京行動
とき◆5月16 日(火)午後6時30分~7時15分集会、集会後銀座デモ
ところ◆日比谷野外音楽堂(霞が関・日比谷公園内)
一日行動】午前10時~東京電力本店要請行動、12時~国会前集会(衆議院第二議員会館前)、午後2時~要請・院内集会(第二議員会館内)
共催◆これ以上海を汚すな!市民会議、さようなら原発1000万人アクション(tel.03-5289-8224)

■核戦争のための帝国主義会議G7サミット粉砕5.19広島行動
とき◆5月19日(金)①G7首脳の平和公園訪問弾劾デモ(午前10時、袋町公園[広島市中区袋町]集合)、②G7広島サミット粉砕!全国総決起集会(午後1時、袋町公園)、集会後広島市内デモ
共催◆改憲・戦争阻止!大行進実行委、8.6ヒロシマ大行動実行委(tel.082-245-8410)

■ドキュメンタリー映画『妖怪の孫』上映
とき◆5月20 日(土)~6月2日(金)
ところ◆市民映画館シネ・ウインド(新潟市中央区八千代2-1-1、新潟駅万代口10分)
問合せ◆シネ・ウインド(tel.025-243-5530)

■止めよう!琉球弧の戦場化5.25横浜集会
とき◆5月25 日(木)午後6時30分~
ところ◆神奈川県民センターホール(JR横浜駅西口5分)
沖縄から訴え◆山城博治さん(ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会共同代表)
800円
主催◆島ぐるみ会議と神奈川を結ぶ会(tel.090-4822-4798)、協賛:神奈川平和運動センター、基地撤去をめざす県央共闘会議

■戦争絶対反対!徴兵の地ならし裁判員制度を廃止へ5.26集会
とき◆5月26日(金)午後6時30分開会
ところ◆弁護士会館2F講堂クレオ(丸ノ内線「霞が関」B1出口すぐ)
講演◆半田滋さん(防衛ジャーナリスト)「敵基地攻撃と日米一体化 防衛費倍増は国民負担に」
主催◆憲法と人権の日弁連をめざす会、裁判員制度はいらない!大運動(tel.03-6416-8256)

原発いらない金曜行動~首相官邸前で抗議アピール
とき◆5 月26  日(金)午後6時30分~7時45分
ところ◆首相官邸前
参加者からのアピール・うた・官邸への抗議
主催◆「原発いらない金曜行動」実行委(tel.03-3238-9035)

■声をあげよう 行動しよう戦争反対!平和を考える市民集会
とき◆5月27日(土)午後2時~
ところ◆市民プラザかぞ 5階集会室(埼玉県加須市中央2-4-17)
ビデオ上映◆戦争前夜を考える
ミニ講演◆長崎被曝体験と戦争
参加無料
主催◆平和を考える加須市民の会(tel.090-3312-9895)

■星野国賠勝利!大坂正明さん無罪奪還!5.28全国集会
とき◆5月28日(日)午後1時開会
ところ◆小松川区民館(江戸川区平井4-1-1、JR平井駅南口10分)
主催◆星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議(tel.03-3591-8224)



4月20日(木)10時から11時40分近くまで、今国会8回目の衆議院憲法審査会が開催されました。
この日の審査会も「日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題」について各会派の代表が1人7分ずつの持ち時間で発言した後、会長に指名された委員が5分以内で意見を述べるという形で進められました。
先週に続いて議論の中心は憲法9条で、改憲勢力の委員の間で自衛隊明記のあり方などについて議論が交わされました。また、緊急事態条項や改憲手続法(国民投票)をめぐる問題に触れた委員もいました。
yurusuna
まず、この日の審議の概要をまとめた『東京新聞』のウェブサイトに掲載された2本の記事を転載させていただきます。

衆院憲法審査会 自衛隊明記を巡って討議 自民は9条改憲を主張、立民と共産は反発
『東京新聞TOKYO Web』2023年4月20日

衆院憲法審査会は20日、憲法への自衛隊明記を巡って討議した。自民党が戦争放棄などをうたう9条を改憲し自衛隊を位置づけるべきだと主張したのに対し、立憲民主党は拙速な論議が行われているなどとして反発した。

自民党の新藤義孝氏は「国防規定と、その担い手である自衛隊を定めた上で、実力行使のあり方を規定するのが論理的」として、9条改憲の必要性を唱えた。日本維新の会の小野泰輔氏も支持した。国民民主党の玉木雄一郎氏は、戦力不保持を定めた9条2項の削除も検討すべきだと訴えた。

公明党の北側一雄氏は、自民党の9条改憲の条文イメージに「必要な自衛の措置をとることを妨げず」という文言があることを挙げ「(戦力不保持などを掲げる)9条2項の例外規定と読まれる余地を残すので賛成できない」と明言。代わりに、自衛隊へのシビリアンコントロール(文民統制)を明確化する目的で、首相や内閣の職務を定める72条や73条に自衛隊の存在を書き込む案を示した。

立民の吉田晴美氏は「9条はイデオロギーを超えた問題。国民不在で議論されていることに違和感を持つ」と述べ、政党間のやりとりだけが先行する現状への懸念を表明。9条改憲に反対する共産党の赤嶺政賢氏は、9条を生かした対話による外交努力の重要性を指摘した。(佐藤裕介)

衆院憲法審査会・発言の要旨(2023年4月20日)
『東京新聞TOKYO Web』2023年4月20日

20日の衆院憲法審査会での発言の要旨は次の通り。
◆各会派代表の意見
新藤義孝氏(自民)
国防規定と、その担い手である自衛隊を定めた上で、実力行使のあり方を規定するのが論理的だ。9条の下で許容される自衛権行使の要件は、長年国会審議を通じた政府答弁によって確立されたもので、過不足なく憲法に規定することは困難。「必要最小限度」の具体的な範囲も、わが国への脅威の内容や程度によって判断しなければならず、その時点での解釈に委ねられる。
中川正春氏(立憲民主) 
私たちは緊急事態条項を憲法に規定することには否定的だ。現状でも緊急事態の形態に応じて国の対処は法律で規定し、緊急事態宣言を首相が発することで、首相を中心とする政府に対し、緊急事態に対処する権能を拡大することを可能にしている。個々の緊急事態の状況に応じた形で首相や政府の権能を規定することが、実態に即した危機に対応できることになる。
小野泰輔氏(維新) 
改正が難しい硬性憲法である日本国憲法において、一度具体的な自衛権の範囲を規定してしまうと、迅速で現実的な対応が困難になってしまう。憲法上、自衛権の中身を明確に規定せず、安全保障環境に応じて解釈に委ねるあり方は、一定程度妥当だった。維新も、解釈によって自衛権の範囲を伸縮させる考えを是認した上で、自衛隊を明記する改正案を提示している。
北側一雄氏(公明) 
自民党の条文案では9条の2で「前条の規定は必要な自衛の措置をとることを妨げず」とある。「妨げず」の表現は(戦力不保持などを定める)9条2項の例外規定と読まれる余地を残し、賛成できない。国防規定と自衛隊を明記し、シビリアンコントロールを明確化する目的であれば(首相や内閣の事務を定める)72条、73条に追加規定を設けた方が目的に合致する。
玉木雄一郎氏(国民民主) 
自民案も維新案も結局(自衛権の範囲は)解釈になる。憲法改正の議論として意味があるのか。国防規定を設けるのであれば、組織としても、組織が行使する自衛権についても、違憲論が出ない規定にしないと、自衛隊に申し訳ない。いつまでたっても違憲論をまとうような国防規定を作るべきではない。やはり、9条2項の削除は議論するべきだ。
赤嶺政賢氏(共産) 
沖縄県では、岸田政権が南西諸島を軍事要塞化し、再び戦場にしようとする動きに反対し、対話によって戦争を回避する努力が始まっている。沖縄県議会は、政府に外交討論、対話による平和の構築に積極的な役割を果たすことを求める意見書を可決した。憲法9条を持つ日本政府こそ、東アジアに平和と対話の枠組みを発展させることに全力を尽くすべきだ。
北神圭朗氏(有志の会) 
自衛権は法律や憲法で狭めるものなのか。軍隊の権限を縛るのは世界的には、国際法だけだ。普通の国は、これら以外は何でもできる「ネガティブリスト方式」が採用されている。わが国の防衛法制は、できることを限定的に定める「ポジティブリスト方式」だ。時として柔軟性が損なわれる。己の手足を縛るあまり、中国などに付け込まれる日本の姿は実に情けない。

◆各委員の発言
務台俊介氏(自民) 
憲法のあり方に関して国民の意識が高まっている今、昨年来の精力的な議論を踏まえ、具体的な検討の段階に至っていると考える。次のステージに移行する調整を各党間でお願いしたい。
階猛氏(立民) 
各党で示し合わせて9条の議論をしているように見える。これまでの議論の経過を踏まえ、国民投票法改正に関する議論、議員の任期延長に関する議論を建設的に行っていきたい。
三木圭恵氏(維新) 
法制定や法改正を行う国会が機能しない真に緊急な場合に、内閣が緊急政令を発する根拠を憲法に設けることが必要になってくる。緊急財政処分の制度も用意しておくべきだ。
国重徹氏(公明) 
充実した議論のためには、委員それぞれの充実した準備も必要だ。審査会で議論するテーマを可能な限り計画的に示していただけると、より深い議論ができる。
辻清人氏(自民) 
憲法改正によって国の形を整えて、次世代に引き渡すことは、今を生きる私たちの責任で、国民を守り抜くための国防規定を設ける視点が欠かせない。
吉田晴美氏(立民) 
9条はイデオロギーを超えた問題。国民不在で議論されていることに違和感を持つ。NHKのテレビ中継をし、広く国民に議論を聞いていただくべきだ。
* 引用、ここまで。
 
相当にヤバい改憲派「野党」の認識

この記事で紹介されている改憲勢力の議論を、私なりにやや乱暴に集約すれば、①憲法に自衛権の担い手としての自衛隊を明記すべきであるが、②許容される自衛権の内容は安保環境によって変動するので、それを明確に定義して明文化することは困難であるし、③時々の情勢に即応した対応を可能とするためには柔軟な解釈の余地を残す表現にしておいた方がよく、④そうなると9条2項との関係でいつまでも違憲論が払拭されないため、2項は削除すべきだ(自民、維新の現在の案は2項を残すというものですが、本音はこちらだと思います)、といったところでしょうか。

このことをいちばん率直に吐露していたのは北神圭朗氏(有志の会)で、上掲の記事と一部重複しますが、「自衛権というものは法律や憲法で狭めるものなのか」、「国際社会は主権国家がしのぎを削る世界で流動的、不確定、予測不能であり、きわめて柔軟な対応が求められることから、軍隊は国際法で禁止されている行為以外は何でもできるのが当たり前になっている」、「(現在の航空自衛隊の対応で)中国の忍び足侵略によって我々の領空主権が少しずつ侵されることを止められるのか。おのれの手足を縛るあまり、中国などに傍らに人がいないようにつけ込まれる日本の姿は、実に情けない思いでいっぱいだ」などと述べていました。「中国の忍び足侵略で傍若無人につけ込まれている」なんて、トンデモ発言一歩手前ではないでしょうか。

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玉木雄一郎氏(国民)も「法律論なので情緒論は置いておき、論理的帰結として9条2項の削除を議論すべきだ。削除しない場合も、2項の例外としてこれこれができると書くべきだと思う。(そうしないと)お父さんが勤める自衛隊の違憲論は消えても、お父さんがやっていることについての違憲論が残り続け、やはり誇りを持って働けないのではないか」などと発言しました。それにしても今どき「お父さん」ってなんなんでしょうか(自衛隊には女性隊員も独身の隊員もいますよ)。

これまでも何度か指摘しましたが、緊急事態条項だけでなく自衛隊・自衛権明記をめぐっても、維新を含む改憲派「野党」が自民党を引っ張る、あるいは後押しする構図が、毎週開催の回を追うごとに明確になっています。

一方、北側一雄氏(公明)の自衛隊を72条(内閣総理大臣の職務)、73条(内閣の職務)に追加規定を設けて位置づけるという提案については、いまのところ条文のイメージがはっきりしませんので評価が難しいところですが、氏は「日本最大の実力組織である自衛隊の民主的な統制を書き込んでいくことは、憲法価値を高めるものとして意義がある」とも述べていて、自衛隊明記に賛成の立場であることは間違いありません。今回も結局は「与党」の地位にしがみついて自民に引きずられていくのではという懸念を抱かざるを得ません。

はっきりしない立民の抵抗線

立憲民主党からは中川正春、階猛、吉田晴美の3氏が発言しましたが、それぞれ別のテーマを論じていて、9条については吉田氏が簡単に言及しただけでした。改憲をめぐる論点は本当に多岐にわたりますので、それが悪いというつもりはありませんが、前々回の新藤義孝氏の「9条について議論を深めていきたい」という呼びかけに応えて、先週から改憲勢力各派の委員が競い合うように9条改憲をめぐる意見を交わしている中で、それに対抗する見解をもっと積極的に示してほしいと感じました。

吉田氏の発言は、「自衛隊の明記は国内だけの問題にとどまらない。2022年7月13日の『産経新聞』が、憲法9条に自衛隊を明記すれば戦後の歴史や平和発展の道を否定する危険な信号を隣国とアジアに発することになるという中国の受け止めを報じている。書かないこと、問題にしないこと、言わないことなど絶妙なバランスの上に外交は成り立っていることが多々あると、自民党の先生に教えていただいた」というもので、「自民党の先生」を挙げるあたり皮肉が効いていておもしろかったのですが、この場にいるのは聞く耳を持たない「先生」たちばかりだろうなとも思いました。

(国会周辺のイチョウもだいぶ色づいてきました~衆議院議員面会所前)
1-国会前
共産党の赤嶺政賢氏は、「憲法9条は絶対に戦争を起こさないこと、国家間の争いごとは徹底した外交努力によって解決することを求めている。9条の精神は悲惨な沖縄戦を経験した沖縄県民の“命どぅ宝”という思いと重なるものだ」と述べ、石垣市議会や沖縄県議会の意見書、知事の所信表明の内容を紹介しながら、「沖縄県では対話によって戦争を回避する努力がはじまっている」ことを紹介しました。ただし、こうした訴えを真剣に受け止める委員はほとんどいないのが実情だと言わざるを得ません。

それを如実に示したのが、務台俊介氏(自民)が赤嶺氏を名指しして「共産党は現行憲法制定時に唯一政党として反対し、野坂参三氏は9条は空文にすぎず、わが国の独立を危うくする危険があると演説した」と難癖をつけたことです。赤嶺氏は「当時の吉田茂首相が9条は自衛権を認めていないとおっしゃっていたのに対し、独立国家であればその解釈は間違っているとして反対したもので、その後180度立場を変えたのは自民党だ」と反論していましたが、憲法が一度も改正されていないことを問題視している自民党が、共産党の9条に対する立場の変化をあげつらうのは論理的に破綻しており、務台氏には「恥を知れ」と言いたいところです。

予断を許さない憲法審の今後の展開

今国会での衆議院憲法審査会は、今後も毎週開催が続き、会期が延長されないと仮定すれば、今回でようやく半分を消化したことになります。ここまで緊急事態条項が主なテーマとなり、国会議員の任期延長問題については維新、国民、有志の3会派が具体的な条文案を共同して作成するに至っていますが、前々回の新藤義孝氏の「9条について議論しよう」という呼びかけを機に、ここ2回は自衛隊、自衛権の明記が主要な議題になりました。

ただ、「せっかく議員任期の延長について成案が得られてきているので、まずはそこに集中して議論した方がいい」(国民・玉木氏)、「わが党は、国民投票法に関する議論、そして議員任期の延長に関する議論を建設的に行っていきたいと思う」(立民・階氏)、「審査会をより充実したものにするためには、一定程度の計画を委員があらかじめ共有することが大切だ。これまで緊急事態について精力的に議論され、議員任期延長の必要性について5会派で共通理解が得られ詰めるべき論点が集約されつつある中で、突然9条が議論の中心になったことに唐突感を覚えた」(公明・国重徹氏)という発言もありました。

おそらく、今後、憲法審を取り仕切っている新藤氏は、改憲勢力各派の根回しを行い、緊急事態条項、議員任期延長と9条、自衛隊・自衛権明記の2つのテーマを天秤にかけながら、改憲の発議、国民投票の実現に向けた議論を前進させようと画策してくるものと思われます。立民を軟化させるため、改憲手続法(国民投票法)をテーマとすることもあるかもしれません。参議院の憲法審査会の動向も関係してくるでしょう。

いまのところ、改憲発議のテーマや内容、スケジュールについて、改憲勢力内で共通の認識が形成されている様子はありません。予断を許さない情勢ではありますが、改憲を阻止できる可能性は十分に残されています。ともに頑張りましょう!

この日の傍聴者は25人ほどで前回よりさらに少なくなりましたが、1時間ほどしてからスーツにネクタイ姿の男性グループ5人くらいが加わりました。記者は5人前後でこちらも前回より少なかったです。
委員の出席状況は、自民の欠席者数はいつもと違って変動が小さく、3~5人前後で推移していました。また、初めのうち立民に欠席者が2、3人いましたが、途中からは全員が出席していました。他の党派はときおり席を立つ委員はいましたが、全員出席でした。(銀)


4月13日(木)10時6分から11時35分頃まで、今国会7回目の衆議院憲法審査会が開催されました。
この日の審査会も「日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題」について各会派の代表が1人7分ずつの持ち時間で発言した後、会長に指名された委員が5分以内で意見を述べるという形で進められました。
yurusuna

改憲勢力の各会派、それぞれに9条改憲論を展開/国民、有志の会が自民、維新を牽引?

前回、与党筆頭幹事の新藤義孝氏(自民)が(内容はスカスカでしたが)『憲法9条についての考え方(メモ)』と題したペーパーを配布し、「次回以降、この重要なテーマについて意見交換を行い、議論を深めていきたい」と呼びかけたことを報告しましたが、これに応える形で、今回の審議では自衛隊の明記など憲法9条をめぐる問題が焦点になりました。

自民は新藤氏をはじめ越智隆雄氏も熊田裕通氏も発言の全時間を9条に関する自党の改憲イメージ案の説明や意見の表明に充て、岩谷良平氏(維新)は『「自衛隊明記」について考え方(メモ)』というペーパーを(これも内容はスカスカでしたが)配布して自党の9条改憲案を説明しました。

また、浜地雅一氏(公明)は『「反撃能力」について』というペーパーを提出して、「私見」だとしながら「反撃能力」と「専守防衛」に関する見解を披露し、自衛隊の憲法上の位置づけについては「72条とか73条に内閣の職務として書き込むことも考えられる」が、「自衛権の具体的な内容」については、「9条の下で許容される自衛の措置の限界を正確に表現することは難しく、あえて表現しようとすれば“必要最小限度”や“専守防衛”に新たな解釈が生じてしまうのではないかと懸念する」と述べました。
そんな考え方では、これまでと同様に「必要最小限度」や「専守防衛」のラインはズルズルと後退し、公明党はそれに追随し続けることになるのではないでしょうか。

以下、岩谷氏と浜地氏が提出した資料を掲載しておきます。
国民のペーパー.png


公明のペーパー.png

 

そして、玉木雄一郎氏(国民)は、9条の「改正」について「(自民、維新の)両党の案も一案だと思うが、解説を読むと憲法学者が違憲だとしている、教科書に違憲論が載っている、違憲だとする国政政党があるということが“憲法事実”(ほとんど聞いたことのない言葉ですが、おそらく改憲を必要とする立法事実という意味でしょう)と位置づけられていて、実体的な目的が書かれていない」、「かつては集団的自衛権が行使できないから改正が必要だという議論だったが、安保法制で解釈変更を行ったので、実体的な“改正”の必要性が消失している」と指摘し、「9条を“改正”するなら、戦力不保持を定めた9条2項を残したままでいいのか、自衛隊を軍隊として位置づけなくていいのか、自衛隊員は軍人なのかなど本質的な議論を深め、将来に禍根が残らないように“改正”しないと意味がないのではないか」とまで言っていました。「わが党は9条2項を存置する案と存置しない案の2案を条文イメージとして取りまとめており、議論を継続している」そうですが、国民は自民、維新も顔負けの改憲勢力になりつつあるのかもしれません。

北神圭朗氏(有志の会)も、「いまの解釈では、9条で(自衛隊の)装備の種類や軍事作戦の内容にまで厳密を建前とする制約を設けているため、柔軟な解釈をするたびに神学論争が起き、野党側からは立憲主義に反しているという疑いを持たれるというところが私の問題意識だ」と述べるなど、改憲派としての立場を明確に表明していました。

迫力不足(と言うより、ほとんど提起されなかった)9条改憲反対論

一方、9条改憲に対する反対論を述べたのは中川正春氏(立民)と赤嶺政賢氏(共産)のみで、しかも中川氏は発言時間の過半を(下掲の記事では紹介されていませんが)改憲手続法(国民投票法)の問題に充て、また、赤嶺氏の発言は岸田政権の軍拡を批判する内容で直接9条改憲に言及したものではありませんでした。

立民からは谷田川元氏と大島敦氏も発言しましたが、谷田川氏の主張は「緊急事態という万が一の場合の議員任期の延長より、通常時の恣意的な衆院の解散権行使の抑止を議論すべきだ」というものであり、大島氏は「憲法改正原案の裁決時には党議拘束を外すべきだ」と、これまでの憲法審の議論とは全く関係のない意見を述べました。(間違っていたら申し訳ありませんが、大島氏は自身が改憲派に近い意見を持っているためにこのような発言をしたのでしょうか。)

なお、前回は維新、国民、有志の会の3会派が『緊急事態条項(国会議員の任期延長)概要』と題したペーパーを提出しましたが、今回、このテーマに関する議論は目立ちませんでした。

各議員の発言などは、『東京新聞』のウェブサイトの記事を転載させていただきます。

自衛隊9条明記 自民は必要「法体系が完成」 立民は不要「国民は役割理解」 衆院憲法審<発言要旨あり>
『東京新聞TOKYO Web』2023年4月13日

衆院憲法審は13日、憲法9条や安全保障政策を中心に討議した。自民党や日本維新の会は9条への自衛隊明記が必要だと主張したが、公明党は9条ではなく、首相や内閣の事務などを定める72条や73条を軸に検討する課題だと訴えた。立憲民主党は改憲の必要がないという認識を示し、合憲性に疑義が残る敵基地攻撃能力(反撃能力)保有などの議論を要求した。
 
自民の新藤義孝氏は「国防規定と自衛隊を憲法に明記することは、憲法を頂点とした法体系を完成させることを意味する。防衛政策の内容や性質に変更をもたらすものではない」と説明。戦力不保持を定めた9条2項の削除については「国民の議論は現時点では深まっていない」と語った。日本維新の会の岩谷良平氏も9条への自衛隊明記を支持した。

公明の浜地雅一氏は「自衛隊違憲論を払拭するための自衛隊明記という議論ではなく、民主的統制の観点から憲法に書き込むべきだ」と指摘。シビリアンコントロール(文民統制)をより徹底する観点から、72条や73条で内閣の指揮監督が及ぶ行政組織に位置づけることも一案だと唱えた。国民民主党の玉木雄一郎氏も、首相の職務を規定する条文への自衛隊明記を唱えた。

立民の中川正春氏は「自衛隊は合憲で、役割と必要性は国民に十分に理解されている」として改憲に反対。政府が昨年12月に決めた敵基地攻撃能力保有や防衛力倍増方針について、憲法との関係を議論すべきだとした。共産の赤嶺政賢氏は「憲法を踏みにじり、大軍拡を推し進めることは絶対に許されない」と、岸田政権の姿勢を批判した。(佐藤裕介)
          ◇   ◇
13日の衆院憲法審査会での発言の要旨は次の通り。 
◆各会派代表の意見
新藤義孝氏(自民)
自衛隊を憲法に明記することは、防衛政策の内容や性質に変更をもたらさない。大前提は平和主義の原理を受け継いでいくことで(戦力不保持を定める)2項削除に国民の議論は深まっていない。安全保障における「必要最小限度」は相対的な概念で、具体的内容は平和安全法制や防衛三文書などの関連政策や防衛予算の国会論戦を通じ整理される。
中川正春氏(立憲民主)
自衛隊の明記は必要ない。現状で自衛隊は合憲。その役割と必要性について国民に十分理解されている。現在、最重要だと思われる論点は、自衛隊の運用が、専守防衛、必要最小限度の自衛力、集団的自衛権の禁止という規範をなし崩し的に超えてきている事実だ。これまでの規範を大切にし、現実の安保政策をこの範囲に収めるべきだ。
岩谷良平氏(維新)
自衛隊を解釈によるのではなく、憲法に明確に位置付けて合憲とするべきだ。維新は9条1項2項を維持し、新設する9条の2で「前条の範囲内で、法律の定めるところにより、行政各部の一として、自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する」と規定すべきと考える。自衛隊違憲論を解消すべきとの趣旨は自民案も同様だと理解している。
浜地雅一氏(公明)
9条1項2項は堅持すべきだ。一部にある自衛隊違憲論を払拭するために憲法上明記するという議論ではなく、わが国最大の実力組織である自衛隊に対する民主的統制の観点から、憲法価値を高めていく意味でふさわしい書きぶりを求めていくべきだ。憲法72条、73条の内閣の職務として書き込んでいくことも考えられる。
玉木雄一郎氏(国民民主)
仮に自衛権の範囲は解釈に委ねるとして、自衛隊の違憲性の否定とシビリアンコントロールの明確化のみを改憲の目的とするのであれば、憲法の内閣の章に「必要な自衛の措置を取るための実力組織として、法律の定めるところにより内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」という規定を設けた方が、目的に合致する。
赤嶺政賢氏(共産)
岸田政権は軍拡財源のために建設公債を発行する。過去の戦争の教訓を全く省みないものだ。日本は先の大戦で戦費調達のため、大量の公債を発行して軍備を増強。国家財政、国民生活を破綻に追い込みながら侵略戦争に突き進んだ。この反省から財政法4条は公債の発行を原則禁止している。憲法9条を具体化したもので重く受け止めるべきだ。
北神圭朗氏(有志の会)
自衛権の制約は国際法上、武力行使以外に自衛の手段がない「必要性」の原則と、受けた攻撃に対して均衡の取れた形で武力行使する「均衡性」の原則が確立されている。反撃能力もここに入る。どの兵器は許され、どの兵器は許されないという非現実的な制約は国際法上求められていない。国際状況に応じて柔軟な解釈をするのが現実的だ。

◆各委員の発言
越智隆雄氏(自民)
改憲原案は、各党が条文案を持ち寄るのではなく、審査会で論点が整理されていく中で徐々に作り上げられていく。わが党の自衛隊明記案も、あくまで考え方を提示しているにすぎない。
谷田川元氏(立民)
国会機能の維持にこだわるのであれば、国会機能を不全にする、時の政権による恣意的な衆院解散についてなぜ議論しないのか。この問題は常に生じる。先に議論するのが筋だ。
小野泰輔氏(維新)
緊急事態時の選挙困難事態の認定において、立法府の歯止めが利かなくなることについて、その可能性を想定し、(司法の関与など)制度上の手当てをしていくことが議員の責務だ。
北側一雄氏(公明)
参院の緊急集会による意思決定は、二院制の例外として憲法上、暫定的な措置と位置付けられる。最大70日間を想定し、緊急の必要があるときは、内閣は緊急集会の開催を求められる。
吉田宣弘氏(公明)
自民、維新、国民、有志の会から(緊急事態条項の)具体的な文言が示され、公明の幹事も意見表明で具体的な文言を提示している。(条文の)文言の検討を行うべき段階に来ている。
熊田裕通氏(自民)
国民にとって、自衛隊と9条の関係がわかりやすいとは言えない。条文を読むだけで理解できず、説明が必要とされることはあってはならない。どう解消するか。それが自衛隊の明記だ。
大島敦氏(立民)
憲法改正論議に当たっては、国民の各層全体を代表する立場であることを自覚し、個々の議員がよく考え、よく悩むことが欠かせない。憲法改正原案の採決には党議拘束を外すべきだ。
* 引用、ここまで。

この日の傍聴者は約30人で前回より少なく、記者は6~8人ほどで前回並みでした。また、TVカメラが1台入っていて(TBSでした)、けっこう長い時間撮影していました。
委員の出席状況は、自民の欠席者数は変動が大きく1、2人の時間もあれば10人近くが席を外していることもありました。また、立民の奥野総一郎氏がほとんどの時間欠席していましたが、これは氏が理事を務めている総務委員会が同時刻に行われていたためでしょう。なお、これまで何回か安全保障委員会のために欠席者や途中退席者が出ていましたが、安保委はこの日も開かれたものの14時45分の開始でしたので、今回はそうした事態にはなりませんでした。

衆院憲法審の議論は、いよいよ9条の改悪にまで進展してきました。改憲勢力が今後どのような形で改憲案の発議、国民投票に突き進んでくるのか―議員任期の延長だけなのか、緊急政令、緊急財政処分を含む緊急事態条項なのか、それとも9条改憲なのか、予断を許さない状況です。毎回同じような結びになってしまいますが、情勢がますます厳しくなっている中、私たちは国会の外でできることをやっていくしかありません。ともに頑張りましょう!(銀)

4月12日(水)13時7分頃から14時30分過ぎまで、今国会2度目の参議院憲法審査会が行われました。2週連続の開催で、審議のテーマは前回と同じく参議院の緊急集会でした。前回「参議院の緊急集会」について説明した川崎政司参院法制局長がこの日も出席し、委員からの質問に答えていました。
yurusuna
最初に、この日の議事の概要を報じた『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事を転載させていただきます。

国会機能代行する参院緊急集会 自民「最長70日、任期延長必要」 立民「改憲ありき」と異議 参院憲法審
『東京新聞TOKYO Web』2023年4月12日

 参院憲法審査会は12日、緊急時に参院が国会機能を代行する憲法54条の「緊急集会」をテーマに討議した。自民党は、緊急集会で対応できるのは最長70日間にとどまるとして、緊急事態が長期にわたる場合に備えた国会議員の任期延長規定の必要性を強調。立憲民主党などは「改憲ありきだ」と異議を唱えた。
 自民の牧野京夫氏は、衆院解散から40日以内の総選挙、その後30日以内の国会召集が憲法54条で定められていることを踏まえ、緊急集会を開催できる期間は最長70日間と主張。「70日間を超えて国会を召集できないほどの緊急事態が発生しているときも緊急集会で対応するのか、議員任期の特例を設けるかについて、早急に結論を得るべきだ」と提起した。
 議員任期延長を可能とする改憲条文案をまとめた日本維新の会と国民民主党は、議論の加速を求めた。
 一方、公明党の安江伸夫氏は緊急集会に関して「緊急の必要が継続する限り、開催できると理解することが妥当ではないか」と指摘。立民の杉尾秀哉氏も、期間の限定は「改憲ありきの意図的かつ便宜的な解釈論」と批判した。
 れいわ新選組の山本太郎氏は「非常事態だからこそ、制約はあっても国民に票を投じる権利を保障することが重要」とする見解を示した。共産党の山添拓氏は、1941年に近衛文麿政権下で衆院議員の任期が1年延長され、日本が戦争に突き進んだとした上で「改憲論は歴史の教訓を踏まえない暴論であり、断じて認められない」と訴えた。(佐藤裕介)

憲法審査会・発言の要旨(2023年4月12日)
『東京新聞TOKYO Web』2023年4月12日

◆各会派代表らの意見
牧野京夫氏(自民) 
参院の緊急集会を超えた事態が発生したとき、憲法に条文がない「エマージェンシーパワー(緊急権)」に委ねることは、民主政治の視点からの議論が必要だ。早急に結論を得るべき論点の一つは、解散後70日間を超えて国会を召集できないほどの緊急事態が発生しているときでも、緊急集会で対応するのか、あるいは、議員任期の特例を設けるかということだ。
杉尾秀哉氏(立憲民主)
「70日間限定説」のような改憲ありきの意図的かつ便宜的な解釈論とは一線を画すべきだ。仮に衆院議員の任期満了後も緊急集会を開催できるという憲法解釈に立った場合、国会法の条文改正は必要か。
川崎政司参院法制局長  
現行の国会法では文言上、緊急集会を開くことができる場合を、衆院解散時に限定するような規定は設けられていない。国会法を改正する必要はないとの理解が可能ではないか。
安江伸夫氏(公明) 
緊急集会を開ける期間は最長70日間とも読めるが、緊急の必要が継続する限り開催できると理解することが妥当ではないか。緊急集会の開会は内閣が求め、議員による召集要求もできない。緊急集会が暫定的であることに鑑みれば、国会と同等の権限を認めることは困難ではないか。法改正でも(緊急集会の)権限の範囲を拡大できないとすれば、どういう問題が考えられるか議論を深めたい。
浅田均氏(維新) 
緊急集会は、衆院が解散されたとき国会の機能をどう維持するのかという議論で、緊急事態のごく一部でしかない。司法も行政も立法も機能を喪失した事態さえ想定しておく必要がある。例外状態に誰が何をどのように守るべきかの議論が要求される。電磁パルス攻撃、サイバーテロから隕石の衝突まで、いかにして例外状態を法秩序につなぎ留めることができるかという議論が不可欠だ。
礒崎哲史氏(国民民主) 
緊急集会の規定は二院制の例外で、その運用についてどこまで許容されるのか、丁寧に議論を重ねる必要がある。緊急集会の期間は議論の余地がある。期間単体のみならず、緊急集会に与えられる権能の範囲、議員が発議できる議案の範囲にも大きく関わってくる。緊急集会があくまで臨時対応で、長期間の対応が困難とした場合、国会機能を維持する策について議論を深めていく必要がある。
山添拓氏(共産) 
戦前、衆院議員の任期が延長された事例とその理由は。
川崎氏  
1941年2月に成立した法律により衆院議員の任期が42年4月29日まで1年延長された。緊迫した時局の下、総選挙を行うことは適当でないとの説明がなされた。
山添氏  
その間に真珠湾攻撃を行い、無謀な戦争に突入した。緊急事態の危機をあおり、議員任期の延長、緊急事態条項の創設など改憲論へ突き進もうとするのは、歴史の教訓を踏まえない暴論だ。
山本太郎氏(れいわ) 
緊急時に国民の参政権が制限された状態で、選挙で選ばれた期間を超えて任期延長された議会にフルサイズの権限を与えようというのは民主主義をないがしろにする提案だ。非常事態だからこそ、制約はあっても国民に票を投じる権利を保障することが重要。選挙ができない事態をでっち上げ、権力温存を図るようなやからが政権を握る可能性を考えても、任期延長改憲は断じて認められない。
*引用、ここまで。

立民の委員たちは健闘していたが……

この日発言したのは18人の委員で、名札を立てて発言を希望する意思を示した全員が指名され、意見を表明する機会を得ました。その内訳は自民6人、立民5人、公明と維新が各2人、国民と共産とれいわが1人ずつで、川崎法制局長に質問したのは立民4人と共産1人、自民はゼロでした。
自民の委員たちがバラバラに持論を述べていたのに対して、立民の委員たちは役割を分担し、川崎局長に学説や政府の法解釈などを確認しながら議論を展開しようと努めていたように思います。

上掲の記事の杉尾秀哉氏以外の立民の発言者の質疑の内容を簡単に紹介すると、辻元清美氏は「(自民、維新などの)国家緊急権の改憲の意見には政策的な必要性、合理性、立法事実の検証が欠けている」として、「憲法の緊急事態法制は参議院の緊急集会を軸に組み立てられており、緊急集会が開けない非常時には災害対策基本法、国民保護法、新型インフルエンザ等特措法に法律の委任を受けた緊急政令の仕組みが措置されていて、検証と改正が積み重ねられてきている」ことを指摘しました。参考までに、この件に関する災害対策基本法の規定を掲げておきます(ここには合憲性に疑いのある内容が含まれていることに留意する必要があります)。

第百九条 災害緊急事態に際し国の経済の秩序を維持し、及び公共の福祉を確保するため緊急の必要がある場合において、国会が閉会中又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置をまついとまがないときは、内閣は、次の各号に掲げる事項について必要な措置をとるため、政令を制定することができる。
一 その供給が特に不足している生活必需物資の配給又は譲渡若しくは引渡しの制限若しくは禁止
二 災害応急対策若しくは災害復旧又は国民生活の安定のため必要な物の価格又は役務その他の給付の対価の最高額の決定
三 金銭債務の支払(賃金、災害補償の給付金その他の労働関係に基づく金銭債務の支払及びその支払のためにする銀行その他の金融機関の預金等の支払を除く。)の延期及び権利の保存期間の延長
2 前項の規定により制定される政令には、その政令の規定に違反した者に対して二年以下の懲役若しくは禁錮、十万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑を科し、又はこれを併科する旨の規定、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関してその政令の違反行為をした場合に、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金、科料又は没収の刑を科する旨の規定及び没収すべき物件の全部又は一部を没収することができない場合にその価額を追徴する旨の規定を設けることができる。

また、石川大我氏は、川崎局長に緊急集会の権能として予算の審議、議決が含まれるかについて、学界では肯定説が通説であると考えていいかと質問し、「一般的に参議院の緊急集会の権能の対象として予算が含まれると解されている。予算について全面的に緊急集会の権能の対象外とする学説は承知していない」という回答を得ました。

そして、古賀千景氏は「第2次安倍政権以降、憲法のもう1つの臨時緊急措置である臨時国会の召集要求が政府に拒否されているのは(憲法違反の)ゆゆしき事態だ」と述べたうえで、川崎局長に「憲法違反問題は国会法上の憲法審査会の法的任務である」ことについて確認を求め、「憲法違反の問題を含む憲法の施行、遵守の状況に関する調査は憲法審査会の所管に含まれ得る」との答弁を引き出しました。
なるほどマーク

さらに、熊谷裕人氏は、参議院の憲法集会について国会法で「内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から……案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければならない(99条1項)」、「参議院の緊急集会においては、議員は、第99条第1項の規定により示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができる(101条)」、「緊急の案件がすべて議決されたときは、議長は、緊急集会が終つたことを宣告する(102条の2)」と規定されていることをめぐって、「内閣があらためて緊急集会を求めなくても内閣総理大臣が新たな案件を示し、議員はそれに関連のある議案を発議できるものとする」こと、「参議院が内閣総理大臣に新たな案件を示すよう促す制度を設けること」を提案し、川崎局長に「その場合に憲法上の問題があり得るのか、国会法の改正が必要になるのか」を質問しました。局長の回答は「緊急集会の途中で内閣が案件を追加できる旨を国会法に明記するというのは1つの考え方だ」、「参議院側から新たな案件を示すよう促すことについては、その判断を内閣が主体的に行うことを前提とすれば法律上の規定を設ける必要はないと思う」というものでした。

このように、立民の委員たちは、緊急集会の制度や災害対策基本法など個別法の充実、活用によって、いま衆議院で議論され、維新、国民、有志の会が取りまとめた改憲条文案の根拠となっている参議院の緊急集会の「70日間限定説」を否定する議論を、様々な観点から展開していたと思います。山添拓氏(共産)、山本太郎氏(れいわ)の発言にも説得力を感じました。

一方、自民の委員たちの主張は、ウクライナ侵攻や台湾有事、コロナ禍や新たなパンデミック、東日本大震災や首都直下型地震などの事例や可能性を挙げながら、緊急事態条項の必要性を訴えるにとどまるものでした。それにしても、私がいつも不思議に思うのは、彼らの考える緊急事態になぜ原子力発電所や再処理工場の大事故が含まれていないのかということです。
 
今回も委員の出席率はとても高く、一時的に席を外す委員はいましたが、全員が出席していました。
傍聴者数は30人強で前回より多く、途中から数人のグループが入ってきたので、最終的には40人くらいになったかもしれません。閉会後、青山繁晴氏(自民)と山本太郎氏(れいわ)を取り囲む人々がいたので、2人の支持者たちが傍聴していたことがわかりました。どうりで青山氏が「今日も主権者の皆さんが傍聴に集まっていただき、感謝を申し上げます」と発言したわけです。
記者は3~4人ほどで前回より少なく、閉会時には1人だけになっていました。カメラマンは7~8人いて、TVカメラも1台入っていましたが、時間の経過とともに減っていきました。

いまのところ、参議院の憲法審査会では衆議院とは異なる雰囲気で議論が進められているようにも感じますが、今後の展開は予断を許しません。なにしろ改憲勢力の議席数は衆参両院で3分の2を上回っているのですから(参院では公明党が抜けると3分の2に達しませんが、過度の期待は禁物でしょう)、国会の外で私たちが改憲阻止の声を上げ続けることが重要です。(銀)


4月6日(木)10時1分から11時30分過ぎまで、今国会6回目の衆議院憲法審査会が開催されました。
この日の審査会も「日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題」について各会派の代表が1人7分ずつの持ち時間で発言した後、会長に指名された委員が5分以内で意見を述べるという形で進められました。
yurusuna

今回の審議の焦点は、次の2点だったと思います。
1つは、与党筆頭幹事として審査会を取り仕切っている新藤義孝氏(自民)が『憲法9条についての考え方(メモ)』と題したペーパーを配布し、「次回以降、この重要なテーマについて意見交換を行い、議論を深めていきたい」と呼びかけたこと、そしてもう1点は、維新、国民、有志の会の3会派が『緊急事態条項(国会議員の任期延長)概要』と題したペーパーを提出し、「今後、審査会における成案づくりのたたき台として議論いただき、合意を得ていきたい」(国民・玉木雄一郎氏)などと主張したことです。

 以下、それぞれの提出資料を貼り付けておきます。

藤本.png


三党案.png


次に、この日の審議の概要が的確に整理されている『東京新聞』のウェブサイトの2つの記事と、『緊急事態条項』に関する3会派の思惑がわかりやすくまとめられている『産経新聞』のウェブサイトの記事を転載させていただきます。

議員任期延長規定巡り議論 自民「意見は集約されている」 立民「緊急集会の議論先行されるべきだ」 衆院憲法審
『東京新聞TOKYO Web』2023年4月6日

衆院憲法審査会は6日、自由討議を行った。自民党は、緊急事態時に国会議員の任期延長を認める規定の新設について、論点は集約されていると主張。立憲民主党は、緊急時に国会の機能を代行する参院の「緊急集会」のあり方が先行して議論されるべきだと訴えた。
自民の新藤義孝氏は議員任期の延長規定に関し、国会承認の要件は過半数の賛成か、3分の2以上の賛成か▽司法が関与する仕組みとするか-の2点が「残る論点として絞られている」と指摘。あわせて「(国防という)最重要任務の規定が全く存在しないことは独立主権国家の憲法として不自然だ」として、自衛隊を明記する9条改憲の議論も進めたい意向を示した。
立民の中川正春氏は、緊急集会のあり方に関し「参院憲法審の議論が先行されるべきだ」と強調。その内容を踏まえた上で、議員任期延長の是非を検討する必要があると強調。政府が敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有することについて「憲法規範を超えるという疑念が持たれている。最優先で集中テーマとして取り上げるべきだ」と提案した。
公明党と日本維新の会、国民民主党、無所属議員でつくる会派「有志の会」は、議員任期延長規定の必要性を唱えた。共産党は「この地域で戦争をさせないために必要なのは危機をあおって軍拡を進めることではない」と、政府の安全保障政策を批判した。(佐藤裕介)


憲法審査会・発言の要旨(2023年4月6日)
『東京新聞TOKYO Web』2023年4月6日

6日の衆院憲法審査会での発言の要旨は次の通り。
◆各会派代表の意見
新藤義孝氏(自民)
これまでの討議で、議員任期の延長については、国会承認の際の議決要件と裁判所の関与の是非が残る論点として絞られている。国の最大の責務は国民の生命と財産、領土、主権を守り抜くことだ。国家の最重要任務に関する規定が憲法に全く存在しないことは不自然だ。自衛隊を憲法に明記することは、あるべき国の形を整えることにつながる。
中川正春氏(立憲民主)
参院の緊急集会について、参院憲法審査会の議論が先行されるべきだ。専守防衛、集団的自衛権の排除、必要最小限度の自衛力という規範は、日本の安全保障の基本理念として現在も将来も大切にしていくべきことだ。敵基地攻撃能力は憲法規範を超えるという疑念が持たれている。この審査会で最優先で集中テーマとして取り上げるべきだ。
馬場伸幸氏(維新)
わが党は国民民主、有志の会と緊急事態時の国会議員の任期延長について成案をまとめた。3党派でまとめた案を議論してほしい。どこの党が出した条文案であろうと議論すればよい。私たちは別の党が対案を出すのであれば、かんかんがくがくの議論をする準備は整っている。(3党派の)条文案が憲法審での意見集約のたたき台になり得る。
北側一雄氏(公明)
緊急事態の発生により、選挙の適正な実施が長期間困難として、選挙期日の延期、議員任期の延長を認めるにしても、一方で、議会の民主的正当性の維持・確保を図っていかなければならない。緊急事態だからこそ、国民の信任が不可欠だ。同一の緊急事態が継続していても、事態発生から1年の間に選挙ができるようにするべきではないか。
玉木雄一郎氏(国民民主)
3党派の条文案では、選挙の一体性が害される広範な地域で国政選挙の適正な実施が70日を超えて困難であることが明らかな場合に(議員任期の)延長を認めている。70日までは可能な限り参院の緊急集会を活用しようという趣旨だ。参院をないがしろにしたものではない。緊急集会と任期の特例延長のすみ分けを条文上明確にしている。
赤嶺政賢氏(共産)
岸田政権が国民や国会に何も明らかにしないまま大軍拡を進めようとしていることは、民主主義をじゅうりんする重大な問題だ。「台湾有事は日本有事」と言うが、米中の覇権争いが軍事衝突に発展したとき、日本が米軍と一体で参戦することにほかならない。この地域で絶対に戦争をさせないために必要なのは、軍拡を進めることではない。
北神圭朗氏(有志の会)
3党派の条文案では緊急事態の類型に「その他これらに匹敵する事態」が加えられ、拡大解釈の余地が生じる懸念があるかもしれない。解釈の余地を設けたのは、現時点の知恵では網羅できない事態もあるだろうという考えからだ。法令の世界では「その他」の前に示される例示が具体的であればあるほど、解釈が限定されるといわれている。

◆各委員の発言
山下貴司氏(自民)
われわれは強行発議しようとしているわけではない。憲法9条について、特定政党の案として提示しているのではなく、各党と一致できそうなテーマで、条文イメージを提案している。
城井崇氏(立民)審議を通じて(会派間で)憲法が徹底した国会中心主義を採用している点で一致している。臨時国会召集要求に対する政府の召集義務や解散権行使のあり方をテーマとすべきではないか。
三木圭恵氏(維新)
3党派の条文案は自民、公明の意見とも一致するところが多い。一番大きな違いは議員の任期延長に関する歯止めをどこに担わせるのかということ。もっと議論して詰めていくべきだ。
国重徹氏(公明)
憲法裁判所の創設に関する議論は大いに行えばいいと思うが、多くの論点がある。わが国の法文化や社会的、歴史的背景に立ち返ったさまざまな観点からの慎重な検討が必要だ。
田野瀬太道氏(自民)
どうしても国会機能が確保できない不測の事態にも迅速に対処するため、一時的に内閣が立法権限を代替する仕組み、緊急政令の制度も憲法上規定を設けておく必要があると考える。
本庄知史氏(立民)
巨額の予備費や基金は、税金の使い道は国会が決めるという財政民主主義の原則を有名無実化し、健全財政を阻害しかねない。財政民主主義のあり方も審査会で討議すべき憲法課題だ。
船田元氏(自民)
与党は野党の意見をよく聞く「度量」を持ち、野党は党利党略に走らない「良識」を持つことが大事だ。


議員任期延長改憲案、維新など3党派がアピール 衆院憲法審
『産経ニュース』2023年4月6日

日本維新の会、国民民主党、衆院会派「有志の会」の3党派は6日の衆院憲法審査会で、3月に共同で取りまとめた緊急事態条項の憲法改正条文案をたたき台とし、緊急時に限って国会議員の任期延長を可能とさせる改憲論議を促進すべきだと訴えた。
維新の馬場伸幸代表は6日、「喫緊の課題である国会議員の任期延長については(3党派案が)意見集約のたたき台になりうる」と述べた。国民民主の玉木雄一郎代表も「(3党派案の)中身は憲法審での議論を踏まえたものだ。憲法改正に向けた現実的かつ合意を得やすい内容になっている」とアピールした。
3党派が改憲案をまとめた背景には、改憲論議を加速化させる狙いがあり、自民党の新藤義孝元総務相は「建設的かつ真摯な議論の結果として歓迎したい」と高く評価した。
憲法改正に慎重な立憲民主党を議論に巻き込む効果も期待されている。馬場氏は「別の党が対案を出すのであれば侃々諤々の議論をする準備は整っている。『論憲』を自負する立民も議員任期延長について条文をまとめてはいかがか」と迫った。
立民は2月に了承した国会のあり方に関する中間報告で、議員任期延長のための改憲について「国民の選挙権行使の機会の保障」などの観点から「問題がある」としつつ、議論の余地は残した。
* 引用、ここまで。

緊急事態条項のうち議員任期延長をめぐる議論については、上掲の『東京新聞』の記事にあるように、今後、参議院の緊急集会との関係がどのように整理されていくかが1つの焦点になりますが、より警戒すべきは、維新、国民、有志の会が提出したペーパーの一番下の枠内に書かれている「緊急政令及び緊急財政処分に係る規定についても……条文案の作成に向けて……検討を進める」という文章です。「検討を進める」という言い方は、いまのところ緊急政令、緊急財政処分の導入に反対している公明党に配慮したものでしょうが、最終的には腰砕けになる公明党の振る舞いを何度も見せつけられてきた私たちとしては、公明党の動向如何にかかわらず緊急政令、緊急財政処分の制度化絶対阻止の運動をしっかりと構築していく必要があると思います。武力攻撃や内乱・テロが緊急事態として位置づけられることとあわせてこのような制度が導入されれば、私たちの戦争反対、政権打倒の運動が激しく弾圧されることは必至だからです。

同じ枠内のもう1つの文章には、「憲法裁判所の関与の必要性……の条文案については、今国会(令和5年度常会)中に成案を得ることを目指す」と記されていますが、これは絶対に不可能な目標です。なぜなら、現在憲法裁判所は存在しておらず、この日國重徹氏が指摘したように、
「憲法裁判所の創設については多くの論点がある。大所高所から国家のあり方を見据えて判断できる裁判官の確保やその政治的な中立性をいかに確保するのかという問題、裁判の政治化や政治の裁判化という三権分立に関わる本質的な問題があり、わが国の法文化や社会的、歴史的背景に立ち返った様々な観点からの検討が必要である。」ため、今国会中に成案が得られる可能性はゼロだからです。
憲法裁判所の創設は維新の会が改憲案の目玉の1つとして掲げ続けている項目ですが、ホームページに掲げられている案文(これを知る価値はほとんどないと思いますが、興味のある方は検索してみてください)を見ると、國重氏が指摘しているような課題はまったく考慮されていません。国民や有志の会はなぜこういう形で持ち出すことに合意したのか、あまりにもいい加減な態度だと言わざるを得ません。

そしてもちろん、憲法9条を改定して「必要な自衛の措置」や「自衛隊」を明記し、あるいは2項を破棄しようという改憲勢力の策動にも、全力で抵抗していかなければなりません。与党側筆頭幹事の新藤氏が9条の議論を呼びかけたことを、本当に深刻な事態として受け止めなければならないと思います。
たんぽぽ
この日の傍聴者は40人弱、記者は5~7人ほどで、いずれも前回より少し多かったと思います。また、途中までTVカメラが1台入っていました。
委員の出席状況は、前回に続いて立民の欠席者が目立ち、11人中3~5人が席を外していました。自民の欠席者も3~5人ほど、公明党も途中で1人が退席し、戻ってきませんでした。
その背景には、安全保障委員会と総務委員会が同時に開催されていたことがあると思われます。安保委は9時に始まり、昼休みと13時過ぎから2時間あまり開かれた本会議中の休会を挟んで17時前まで、総務委は9時から12時過ぎまで開かれており、憲法審と審議の時間がまるまる重なっていました。途中で退出した委員のうち新垣邦男氏(社民)は10時56分から安保委で質疑に立っていましたし(同じ事情で3月9日と23日に途中退席した共産党の赤嶺政賢氏は最後まで出席していてどうしたのだろうと思っていたところ、この日の安保委では16時19分から質疑を行っていたことがわかりました)、浜地雅一氏(公明)は安保委の、奥野総一郎氏(立民)は総務委の理事に就いています。特に野党側の筆頭幹事を出している立憲民主党は、こんな日にも憲法審の開催が強行されることに対して、欠席も辞さない構えで強く抗議、抵抗すべきではないでしょうか。

衆院憲法審の議論は、緊急事態条項の新設をめぐって緊急事態の認定や議員任期の延長について合意形成が進み、さらに9条の改悪に踏み込もうとしていますが、これに真っ向から立ち向かおうとする会派あるいは委員はきわめて少数です。改憲阻止の成否は国会の外での運動にかかっています。戦争に向かう政権に国家緊急権など持たせてはなりません。ともに頑張りましょう!(銀)


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