とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

2022年06月

第8回 川崎学習・交流会~テーマ「朝鮮学校のいまと歴史」
とき◆7月2日(土)午後4時開会
ところ◆川崎市教育文化会館4階(川崎区富士見2-1-3)
お話◆川崎朝鮮初級学校 姜珠淑校長先生
主催◆大行進・川崎(tel.090-6490-5458)

■第5回 天神峰樫の木まつり
とき◆7月3日(日)昼0時30分に市東さんの南台農地集合、0時45分デモ出発、午後1時30分~市東さん宅中庭で交流会(飲食なし)
主催◆三里塚空港反対同盟(tel.0476-35-0087)

7.3反戦反核岡山集会
とき◆7月3日(日)午後1時~集会、3時~デモ
ところ◆奉還町りぶら(岡山市北区奉還町2-14-7)
主催◆改憲・戦争阻止!大行進岡山(tel.090-1325-0414山田)

■辺野古新基地建設の強行を許さない!防衛省抗議行動
とき◆7月4日(月)午後6時30分~7時30分
ところ◆市ヶ谷・防衛省正門前(JR市ヶ谷駅7分)
主催◆辺野古への基地建設を許さない実行委(tel.090-3910-4140)

■戦争・大軍拡・生活破壊に怒りの声を!7.8阿佐ヶ谷反戦デモ
とき◆7月8日(金)午後6時30分集合、45分デモ出発
ところ◆阿佐ヶ谷地域区民センター(阿佐ヶ谷北1-1-1に移転)
呼びかけ◆ほらぐちともこ(杉並区議、tel.03-3329-8813)

田中宏さんと「告発・入管体制」学習会
とき◆7月9日(土)午後2時~
ところ◆渋谷勤労福祉会館(渋谷区神南1-19-8)
主催◆入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会(tel.090-1258-6201)

■新自由主義攻撃と女性・学習会「男女雇用機会均等法と生理休暇」
とき◆7月10日(日)午後1時30分~
ところ◆コア・いけぶくろ(豊島区東池袋1-20-10)
主催◆3.8国際婦人デー実行委員会(tel.03-3845-7461東京労組交流センター・女性部)

■セブンイレブン闘争報告集会
とき◆7月10日(日)午後1時30分~
ところ◆としま区民センター7階(豊島区東池袋1-20-10)
主催◆コンビニ関連ユニオン合同・一般労組全国協議会(tel.090-5572-9108)

原発いらない金曜行動
とき◆7月15日(金)午後6時30分~7時45分
ところ◆首相官邸前
主催◆実行委員会(tel.03-3238-9035)

連続憲法学習会「ウクライナ戦争を通して岩国・沖縄を考える」
とき◆7月10日(日)午後1時30分~3時30分
ところ◆広島市・真亀公民館(安佐北区真亀1-3-27)
主催◆戦争・改憲阻止!大行進 高陽(tel.090-3745-6889矢田)

■日本近現代史講座「戦前の日本国家とは何だったのか」
とき◆7月16日(土)午後2時~4時
ところ◆スペースたんぽぽ(千代田区神田三崎町3-1-1高橋セーフビル1F)
講師◆纐纈厚さん(山口大学区名誉教授)
参加費:800円(予約必要)
主催◆たんぽぽ舎(tel.03-3238-9035)

■オスプレイ暫定配備2周年抗議行動
とき◆7月16日(土)午後2時~3時
ところ◆千葉県・JR木更津駅西口でリレーアピール
主催◆オスプレイ来るないらない住民の会(tel.080-6532-8254)

■国鉄1047名解雇撤回!関西生コン弾圧粉砕!7.17全国集会
とき◆7月17日(日)午後1時30分開会
ところ◆千葉市民会館大ホール(千葉市中央区要町1-1)
呼びかけ◆国鉄闘争全国運動(tel.043-222-7207)
【関連企画】討論集会、7/16(土)午後1時30分~千葉市文化センターセミナー室

■辺野古へ行こう7.20集会
とき◆7月20日(水)午後6時30分~
ところ◆文京区民センター2A
報告◆北上田毅さん(沖縄平和市民連絡会)
主催◆辺野古への基地建設を許さない実行委(tel.090-3910-4140)

■2022レイバー映画祭
とき◆7月23日(土)午前10時~午後5時
ところ◆全水道会館4F(JR水道橋駅3分)
1700円(前売1500円、学生無料)
問合せ◆レイバーネット日本(tel.03-3530-8588)

7.23東京反核集会
とき◆7月23日(土)午後6時30分
ところ◆幡ヶ谷区民館(渋谷区幡ヶ谷3-4-1)
主催◆大行進・東京(tel.03-3845-7461)

■講演会「ウクライナ危機の教訓~沖縄と日本を核戦場にするな」
とき◆7月24日(日)午後1時30分開始
ところ◆熊本県教育会館5階ホール(熊本市中央区九品寺1-11-4)
講演◆木村朗さん(鹿児島大学名誉教授・平和学)/1000円(学生無料)
主催◆講演討論会実行委員会(tel.080-5218-1917和田)

■学習講演会「戦争を止めるには、どうしたらいいんだろう?」
とき◆7月24日(日)午後2時開始
ところ◆横浜市技能文化会館(横浜市中区万代町2-4-7)
講師◆森川文人さん(弁護士)
主催◆改憲・戦争阻止!大行進 神奈川(tel.080-5002-8744)

■星野文昭さん絵画展in調布
とき◆7月29日(金)~31日(日)午前10時~午後6時(29日は正午~、31日は3時まで)
ところ◆調布市文化会館たづくり2階北ギャラリー(京王線「調布」4分、市役所隣り)
主催◆三多摩・絵画展実行委(tel.042-644-9914)

■第14回大間原発反対現地集会
とき◆7月31日(日)午前11時30分~集会、午後1時~大間町内デモ
ところ◆大間原発に反対する地主の会所有地(青森県下北半島「大間原発敷地」隣接)
主催◆実行委(tel.070-5477-4296)
【関連企画】①大MAGROCK(7/30~31、場所は現地集会と同じ、問合せtel.090-8613-3269)。②大間でTalk Night( 7/30午後6時~、大間町総合開発センター)

■核戦争阻止!8.6ヒロシマ大行動
とき◆8月6日(土)午前7時15分~原爆ドーム前8.6アピール集会、8時15分~黙とう後、岸田首相の記念式典出席弾劾デモ、昼0時30分~8.6ヒロシマ大集会(広島県立総合体育館小アリーナ)、午後3時~8.6ヒロシマ大行進(平和公園解散)
8/5(金)に関連企画あり(会場は広島市東区民文化センター)
主催◆8.6ヒロシマ大行動実行委員会(tel.082-221-7631)

長崎の被爆者で43歳でという若さでこの世を去られた永井隆さん(医者、キリスト者)が二人の幼子に残した遺言の一部を紹介します。

私たち日本国民は憲法において戦争をしないことに決めた。
我が子よ。憲法で決めるだけならどんなことでも決められる。
憲法はその条文通りに実行しなければならぬから、日本人としてなかなか難しいところがあるのだ。
どんなに難しくても、これは良い憲法だから、実行せねばならぬ。
自分が実行するだけでなく、これを破ろうとする力を防がねばならぬ。
これこそ戦争の惨禍に目覚めた本当の日本人の声なのだよ。

しかし理屈はなんとでも付き、世論はどちらへもなびくものである。
日本をめぐる国際情勢次第では、日本人の中から、「憲法を改めて戦争放棄の条項を削れ」と叫ぶ声が出ないとも限らない。
そしてその叫びにいかにももっともらしい理屈をつけて、世論を日本の再武装に引き付けるかもしれない。

もしも日本が再武装するような時代になったら、その時こそ、誠一よ、かやのよ。
たとえ最後の二人となっても、どんなののしりや暴力を受けても、きっぱりと戦争絶対反対を叫び続け、
叫び通しておくれ。

永井隆さんが次の世代に伝えたかった「二度と戦争をする国にしてはいけない」という強い思いは、戦争を経験し筆舌に尽くせない惨禍を生き抜いたすべての人々の思いであったに違いありません。それは「戦争放棄の憲法9条を変えてはならない」ということと同義であったのです。

では、敗戦から77年後のいま、果たして現状はどうでしょうか。
6月24日付け朝日新聞の記事(下図)によれば、今参院選候補者の意識調査で「憲法改正に賛成」が61%、その中で改憲すべき項目は「自衛隊明記」が66%でトップ、次は「緊急事態に関する条項を新設」で51%だったそうです。

1-朝日新聞1

政党別では、改憲に、自民党は97%が賛成、公明党も42%が賛成、日本維新の会は全員が賛成、国民民主党は86%が賛成。
これに対し、日本共産党・社民党は全員が反対、立憲民主党は76%が反対、れいわ新選組は85%が反対となっています。ただ、立憲民主党は安保政策では「脅威への抑止力強化、日米安保を前提」なのであやういと感じます。

昨年の衆院選での日本維新の会の議員大増加で、衆院の憲法審査会の様相は一変しました。「自衛隊・自衛権の明記」「緊急事態条項新設」の改憲発議に向かって自民・公明・維新・国民が走り出しています。そういう意味では今回の参院選はとても重要だと思います。

自民党は完全に来年の国会での「改憲発議」~改憲国民投票実現に舵を切っています。
(6月21日付け琉球新報より)


2-琉球新報1

永井さんは「もっともらしい理屈をつけて、世論を日本の再武装に引き付けるかもしれない」と予言されましたが、自民党がどういう理屈をつけているのかを垣間見る一件がありました。
5月19日の衆議院憲法審査会での稲田朋美議員の発言の中で、「日本が何もしなくても」という言葉を立て続けに耳にしたときです。

日本が何もしなくても、北朝鮮は日本を射程に入れたミサイルを二百発以上有し、実際にミサイルを日本海に発射し、日本列島を越えて太平洋に着弾しています。日本が何もしなくても、中国は短距離、中距離ミサイルを配備し、その数は千九百発以上と言われています。日本が何もしなくても、中国は海警法を施行し、我が国固有の領土である尖閣諸島周辺で活動を強化しています。日本が何もしなくても、中国、ロシア、北朝鮮からのサイバー攻撃が増えています。日本が何もしなくても、中東で日本人がテロ集団の人質になることがあります。
……日本が何も悪いことをしなくても、脅威は降りかかってくるのです。消極的平和主義、すなわち、相手の善意に委ねれば平和は保てるという考え方では、もはや我が国の平和を確保することはできません。」

最初は何という言い方をするんだろうとあきれて聞いていましたが、日本の国の元防衛大臣が憲法審査会の場で言っているのだと思い返したとき、怒りが湧いてきました。

ウクライナでの戦争を見ても明らかなように、戦争は「何も悪いことをしていないのに、突然ならず者が襲いかかってくる」というようなものではありません!
経済的な侵略、政治的対立、さまざまな挑発行為、勢力圏争いなど、その背景に戦争政治が必ずあるわけです。何より、核大国アメリカとの日米安保体制は大きな脅威です。
それを「何も悪いことをしていない」と隠してしまっています。

5/23の日米首脳会談、6/7の軍事政策「骨太方針22」などで打ち出されている内容は「日米安保の強化」「戦時財政」です。日本の政府は戦争をする国に本格的に踏みだしています。

国政選挙の中でも、戦争絶対反対の声を大きく広げていきましょう!(S)









6月の第3金曜日18時30分、首相官邸前で多摩川太鼓が鳴り響き、原発いらない金曜行動が始まりました。横断歩道を渡ってすぐの低い建物が首相官邸です。
昨年の6月からスタートしたこの官邸前金曜行動は、この日で13回目となります。
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まず、最初にアピールされたのは「生業(なりわい)訴訟」原告団の方たちでした。福島原発事故被災者で各地に避難した人々が各地で起こした東電と国の責任を問う賠償裁判で、4つの上告に対してこの日に最高裁の不当判決が言い渡されたのです。判決では「津波の高さなどは予測できなかった」として国の責任を認めませんでした。原告団の方たちは「言葉にならない」と、信じられないという思いを語られました。
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国策として、絶対安全・安心ですと地元に強制してきた原発建設なのに、予測できなかったと言って国の責任が否定され、賠償責任なしとは!? ありえない判決です。原発推進の政府とそれを支える裁判所、人を人とも思わないこの国のとんでもないありようを目の当たりにする思いです。絶対に変えよう!
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たんぽぽ舎の柳田真さんは、「いま盛んに言われている、電力需給がひっ迫している、原発再稼働が必要だ、という論調は本当か?」と問い、「15基1000万キロの石油火力が全く動いてない。それで電力危機だというのはおかしい。反対の声をしっかり上げていこう」と訴えました。
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この日も150名近くの人々が駆けつけ、たくさんのアピールがありました。泊原発の運転を認めないとした札幌地裁の勝利判決(5/31)、青森・新潟で闘われた原発反対候補の選挙報告、関西の敦賀原発反対の闘い等々、全国での闘いと結びついて情報を共有化する場でもあります。
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カンパで新しく作ったのぼり旗のお披露目です。
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国と東電の責任を問う東京の原発避難者の裁判の訴えや、日本原電や東電への7.6抗議行動への訴え、また、参院選で「原発を止める人を選挙で選ぼう」の呼びかけなどがありました。
7月は、15日の金曜日です。(S)



徳島からの報告です。
* * * * * * *

 千葉県の木更津基地に暫定配備されている陸上自衛隊のオスプレイが、6月下旬から九州の長崎・熊本の基地で飛行訓練をする予定で、その際、経由地に徳島空港を使う計画が報道されました(6/7付徳島新聞)。こうしたオスプレイの訓練強化は、ウクライナ戦争下で日米が中国侵略戦争に向かう具体的な軍事行動と言わねばなりません。
(6月7日付徳島新聞)
2022年6月7日 徳島新聞
 
 直ちに6月10日、改憲・戦争阻止!大行進・徳島として徳島県庁を訪れ、知事宛に「徳島空港のオスプレイ使用反対」の申入れを行いました。百万人署名運動・徳島、徳島・星野救援会、徳島医療福祉労組の仲間が参加しました。
 徳島空港は、海上自衛隊の航空群、陸上自衛隊の飛行隊が配置されている軍民共用空港です。紀伊水道・関西新空港・大阪湾の空の防衛基地としてあると言われます。 県には、徳島県南の米軍オスプレイの飛行訓練反対も併せて申し入れました。

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 対応した徳島県庁危機管理部・溝杭課長からは「国防の事なので防衛省に伝えます。不測の事態が起きた際は、対応を協議すること、情報を共有することを国に申し入れています。」とのことでした。 こちらからの質問として、沖縄のオスプレイ墜落事故、普天間基地近くの緑が丘保育園への部品落下事故などを事例として挙げ、空港周辺の住宅密集地や、大塚製薬・東亜合成(可燃性のアロンアルファの製造ライン)などの化学薬品工場が立ち並ぶ地域は、飛行ルートに入っていないのかと尋ねたところ、「国防は国がやることですので」との一点張りでした。

徳島1
 九州、沖縄、千葉の各地の仲間たちと連携して、オスプレイの戦争訓練反対を粘り強く取り組んでいきます。(百万人署名運動・徳島 S)

6月8日(水)13時から15時過ぎまで、今通常国会6回目の参議院憲法審査会が3週間ぶりに開催されました。
この日のテーマは、「参議院議員の選挙区の合区問題」とされ、参考人として招いた憲法学者2人からの意見聴取と、これに対する会派代表7名と委員5名の質疑が行われました。同じテーマで参院の憲法審査会事務局長、法制局長からの説明の聴取と会派代表による意見表明があった前回を引き継ぐ形での審議でした。

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テーマがコロコロ入れ替わったり、しばしば当日のテーマと無関係の発言が飛び出したりする衆院の審査会と比べると、参院の審査会は落ち着いて運営されている印象を受けます。もちろんこうした印象には開催の頻度(今国会で衆院15回に対して参院は6回)も大きく関わっています。
ただし、それは衆院憲法審があまりにもひどすぎるからで、いま、参院憲法審を動かす必要は全くないと考えます。

この日の審議の概略について、今回も『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事を転載させていただきます。

参院選の「合区」巡り、憲法学者から参考人質疑 参院憲法審査会<発言要旨>
『東京新聞TOKYO Web』2022年6月8日

 参院憲法審査会は8日、参院選で隣接県を一つの選挙区にする「合区」を巡り、憲法学者2人から参考人質疑を行った。
 広島大大学院の新井誠教授は合区に関し「地域の人々が『政治参加をしている』という実感を持ちづらくなるという問題がある」と指摘。上智大学の上田健介教授は「一票の格差」是正の面で一定の成果はあったが、合区導入後の投票率が低下傾向にあるとして「自分たちの県だけ一選挙区として扱われず、ないがしろにされているという感情によるものだと推察される」と分析した。
 与野党の委員は都道府県単位の選挙区を維持する意義や、改憲による合区解消の是非などについて尋ねた。(佐藤裕介)

◆8日の参院憲法審査会での主な発言の要旨は次の通り。
【参考人の意見聴取】
新井誠広島大大学院教授 
 合区はいろいろな課題を抱えている。人口少数の隣り合う一部の県のみが対象とされていることに、不公平感、不満感がある。都道府県単位の選挙区の喪失によって、地域の人々が「政治参加している」という実感を持ちづらくならないか。都道府県は政治的、行政的単位として重要な位置付けを与えられてきている。選挙制度の考慮要素として重要ではないか。
 投票価値の平等は非常に重要だが、これを一義的に重視することによって、他の利益の喪失がないのか、考えるべきではないか。
 地域の人々は、議員が全国民を代表することは否定していない。自分たちの地域から議員が出せないことに不安感がある。全国民代表の議論は、多角的民意を確保しようという議論だ。
 合区問題を考えることは、参議院の役割、地域を基盤とする代表のあり方を考えることだ。

上田健介上智大教授
 投票価値の平等の観点から、合区を評価することは可能だ。しかし、合区対象県の住民を中心に反発を引き起こし、投票率が低下した。自分たちの県だけ1つの選挙区として扱われず、ないがしろにされているという感情によるものだ。法の下の平等に反する事態と評価できる。投票価値の格差以上に深刻な不平等だ。
 参院議員は都道府県代表だという認識が定着しているが、この意味は曖昧で、参院の実際の働きとの関係も見えない。合区により、都道府県代表という説明は破綻している。
 参院の役割をどう考えるか。衆院と対等で同じ役割を果たすものだという方向なら、投票価値の平等も衆院と同様に求められる。他方、参院を衆院とは異なる形で民意を反映させるため、投票価値の平等にこだわらない選挙制度を考えるのなら、特に立法に関する決定権限を弱めるべきだ。

【各会派代表の質疑】
岡田広氏(自民)
投票価値の平等を求めていく過程で、都道府県の重みをどう考慮すべきか。
上田氏
都道府県は憲法の規定には書かれていないが、現に重要な役割を果たしている。最高裁の基本的な考えも「投票価値の平等は唯一絶対だ」とまでは断言していないので、考慮しうる事項だ。
小西洋之氏(立憲民主)
参院が独自機能を発揮するため、都道府県選出の議員が必要だと国民に説明でき、活動できれば、違憲判決は想定しがたいか。
新井氏 
参院が都道府県単位の国のあり方に向き合い、さらなる制度を作って動いていくという強いメッセージを発することで、参院の論理の中に組み込まれていくのではないか。
西田実仁氏(公明)
一票の格差のさらなる是正を図り、再拡大せずに持続していくために、取り組みを進めることの必要性は。
新井氏 
投票価値の平等はとても重要だが、国民が「参加させてもらえないのでは」という感情を出してしまうとなれば、別の方法で何か考えなければいけないのではないか。
足立信也氏(国民民主)
合区の解消も含めて、比例区と選挙区に分けることの是非は。
新井氏 
比例区はいろいろな党派が出てこられるように、選挙区は地域からの参加を確保しようということがある。どちらのほうにかじを切るのかに重きが置かれるのではないか。
浅田均氏(維新)
両院の権限関係はどのようにあるべきか。その上で、参院の性格や機能をどのようにすべきか。
上田氏 
国政で物事を決めることに、参院がどの程度の決定権限を持つのかが大きい。行政監視や中長期的な課題についての政策提案、参院は決定以外の部分で機能を発揮する。
山添拓氏(共産)
合区解消を正当化するための改憲論の合理性について伺いたい。
上田氏 
憲法改正して合憲にすることは、形式論的には通るが、やはり、参院はどういう理念で、どういう代表を選ぶのかという中身の議論をきちんとする必要がある。
渡辺喜美氏(みんな)
(比例代表で優先的に当選できる)特定枠の候補者は自分の選挙運動をやると選挙違反になるということだ。憲法違反ではないか。
新井氏 
比例代表の中で(拘束名簿式と非拘束名簿式という)対照的な選び方が併存している問題点がある。選挙制度としての理念が見えづらくなっているところはある。
*引用、ここまで。

合区の是非や「非」と考える場合の解消策は、憲法審査会だけの課題ではなく参院全体、あるいは国会全体で検討すべきテーマだと思いますが、実は参院ではその議論が行われていました。合区を含む「参議院の組織及び運営に関する諸問題」について調査検討するため、参議院議長の下に設置され、昨年5月から開催されてきた参議院改革協議会が、6月8日午前、参院憲法審に先立って13回目の会合を開いて報告書を取りまとめ、参議院議長に提出したのです。
以下、その内容に関連づけながら合区問題について報じた『西日本新聞』の記事を転載させていただきます。

「合区」解消議論進まず 人口減なら佐賀・長崎も対象
『西日本新聞』2022年6月11日

 6月22日公示が想定される参院選を前に、隣接県同士を一つの選挙区に統合している「合区」解消の難しさがあらわになってきた。投票率の低下などを理由に見直しを求める声は根強いものの、選挙制度そのものの在り方に関わるため、選挙戦略や思惑も相まって各党間の隔たりは大きい。このまま制度が定着すれば、人口減に伴い対象県が拡大していくことも予想され、九州にも波及する可能性がある。
(中略)
 導入から2回目となった前回19年の参院選では、対象4県のうち高知県を除く3県の投票率が過去最低を記録。徳島県にいたっては38.59%で全国最低となり、合区が政治への無関心を助長している事実を突きつけた。住民の政治参加や民主主義の根幹である民意の反映といった観点から、憲法学者の間でも合区に否定的な見解が強まっている。

それでも、国会での議論は進まず、むしろハードルの高さが顕在化している。
参院各会派の代表でつくる参院改革協議会は今国会で、合区に代わる新たな「1票の格差」是正のための措置を探ってきたが、目指していた合意形成は難航。8日に山東昭子参院議長に提出した報告書も各会派の意見の列挙にとどまり、議論は参院選後に持ち越されることになった。

選挙制度のありさまは各党の勢力図に直結するため、それぞれの主張が激しくぶつかり合う。多数派が強引に結論を導こうとすれば、「数の横暴」との批判も免れない。改革協は参院選前の対立を避け、先送りしたというのが実態だった。

実は改憲の要否は別にして、自民と立憲民主党は合区の早期解消で一致する。ただ、「身を切る改革」を一丁目一番地とする日本維新の会は、格差拡大と定数増につながるとして反対。強固な組織票を持つ公明党も全国を11に分けるブロック制を提唱する。当初から合区に反対してきた共産党は、比例代表中心の選挙制度への移行を主張している。
(後略)(河合仁志)

合区表.psd
*引用、ここまで。

要するに参議院では議員たちだけで合区問題について成案を得ることができなかったわけで、このままでは合区の対象となる地域をさらに増やさざるを得なくなるかもしれません(そうしなければ、1票の格差について最高裁で違憲判決が下される可能性もあるでしょう)。

それを回避するために自民党が打ち出してきたのが下記の改憲案ですが、この日の議論では改憲しなくても二院制における参院の役割を明確にすることで都道府県単位の選挙区は維持できるとの見解やブロック制を導入する、議員定数を増やすなどの意見が出され、自民党の改憲案に賛同する会派はありませんでした。

第47条 両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも1人を選挙すべきものとすることができる。
前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

第92条 地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。

この日の傍聴者は25人ほどで前回より増えましたが、記者は3、4人、カメラマンは1、2人と少なく、今回もTVカメラは入っていませんでした。
何人かの委員(ほとんどが自民党)がときどき席を外していましたが、衆院とは違ってこの日も全員が出席していました。

アジサイ

今国会の憲法審査会、ようやく終結。闘いはこれからだ!

さて、6月9日(木)には今国会最後の衆議院憲法審査会の開催が見込まれていましたが、8日夕方に立憲民主党などが岸田文雄内閣、細田博之衆院議長に対する不信任案を提出したことに伴い、9日にはこれらを審議ずる衆院本会議が開かれ、憲法審は行われませんでした。

このことについて、国民民主党の玉木雄一郎代表は「これで今国会での最後の憲法審査会の開催はなくなってしまった。我々が提案して週1回は開くことにして、17回目(引用者注:16回目の間違い)となる今日の審査会で緊急事態条項の骨子などを示し、最後のまとめを行うはずだったのに、それもできなくなってしまった。残念でならない」と述べたそうです(安積明子「立憲民主党の“自爆”…『不信任決議案パフォーマンス』で露呈した“薄っぺらさ”」『現代ビジネス』2022年6月11日による)。

衆院憲法審の毎週開催で本当に長く感じた今年の通常国会でしたが(このように感じたのは、実際に会期が記録的に長かった2015年の安保法制国会以来のような気がします)、これで一安心というわけにはいきません。
上記の玉木氏の発言に見られるように、改憲勢力の入れ込みぶりにはすさまじいものがあります(憲法審の開催回数を多めに言い間違えたのもその表れかもしれません)。それに対抗できるだけの力量を備えられるよう学習を深め運動の拡大に努めて、今後の改憲・戦争阻止の闘いに臨んでいきましょう。(銀)

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