許すな!憲法審査会

「とめよう戦争への道!百万人署名運動」ブログを改めて、改憲の憲法審査会動向をお伝えしていきます。百万人署名運動は、「改憲・戦争阻止!大行進」運動に合流しました。

2022年05月

辺野古工事をやめろ!6.4新宿行動
とき◆6月4日(土)午前11時~アピール、12時~デモ
ところ◆新宿駅東口アルタ前広場
呼びかけ◆辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会(tel.090-3910-4140)

『メイド・イン・バングラデシュ』(95分)上映
とき◆6月4日(土)~17日(金)
ところ◆桜坂劇場(那覇市牧志3-6-10)
★過酷な労働環境と低賃金に労働組合の結成をめざして立ち上がる女性たちの姿を描く
問合せ◆桜坂劇場(tel.098-860-9555)

辺野古新基地建設の強行を許さない!防衛省前抗議・申入行動
とき◆6月6日(月)午後6時30分~7時30分
ところ◆防衛省正門前(JR市ヶ谷駅7分)
主催◆辺野古への基地建設を許さない実行委(tel.090-3910-4140)

阻もう!戦争、憲法変えるな、「赤紙」送るな6.7集会
とき◆6月7日(火)午後6時30分開会
ところ◆弁護士会館2階クレオ(地下鉄丸ノ内線「霞が関」B1出口すぐ)
報告◆西村仁美さん(ルポライター)「またも戦場にされようとしている琉球弧の現在」入場無料
主催◆裁判員制度はいらない!大運動(tel.03-6416-8256)、憲法と人権の日弁連をめざす会

笹の墓標展示館・新潟巡回展
とき◆6月9日(木)~15日(水)午前9時~午後8時(11日・15日は5時まで、12日は休館)
ところ◆新潟国際情報大学中央キャンパスロビー(新潟市中央区上大川前通7-1169)
【シンポ】 6/12午後1時30分~、ほんぽーと多目的ホール(新潟市中央区明石2-1-10)
問合せ◆実行委(tel.090-6129-7300)

星野文昭/暁子「ふたりの絵と詩」展in新潟
とき◆6月10日(金)~12日(日)午前10時~午後7時(10日は午後1時~、12日は4時まで)
ところ◆内野まちづくりセンター1階ロビー(新潟市西区内野町413)
入場無料
主催◆新潟・星野文昭さんと連帯する会(tel.080-5477-6434上原)

■沖縄のつどい2022~ふたたび琉球弧が戦場に!
とき◆6月11日(土)午後2時~
ところ◆明治学院大学白金キャンパス本館3階1301教室(港区白金台1-2-37)
講演◆川端俊一さん(元朝日新聞記者)「『南西諸島ミサイル要塞化』が沖縄にもたらす危険と国民的無関心」
★Z0OM参加もあり/500円
主催◆沖縄のつどい実行委(tel.090-1837-4579松本)

6.11~12東海第二原発いらない一斉行動第4弾にご参加を!
★東海第二原発いらない!首都圏ネットワークができるだけ多くの場所で声を上げようと呼びかけています。(問合せ:03-3238-9035たんぽぽ舎)
①6/11(土)午後2時~3時、JR阿佐ヶ谷駅南口(NAZEN東京)、②6/11(土)午後2時~3時15分、JR御茶ノ水駅前(たんぽぽ舎)、③6/12日(日)午後4時~5時、新宿駅東口アルタ前(脱被ばく実現ネット)ほか多数あり。

「私はチョソンサラムです」(94分)千葉上映会
とき◆6月14日(火)①午後2時~、②6時30分~
ところ◆船橋市勤労市民センターホール(船橋市本町4-19-6、京成船橋駅東口4分)
資料代1000円
主催◆在日本朝鮮青年同盟千葉県本部(tel.043-233-6112)ほか

原発いらない金曜行動
とき◆6月17日(金)午後6時30分~7時45分
ところ◆首相官邸前
主催◆実行委員会(tel.03-3238-9035)

星野文昭/暁子「絵と詩展」in神奈川・平塚
とき◆6月17日(金)~19日(日)午前10時~午後6時
ところ◆ひらつか市民プラザ(平塚市紅屋町18-8)/入場無料
【イベント】お琴演奏◆6/18午後2時~高野咲子さん、パントマイム◆6/19午後2時~湘南亀組のみなさん
主催◆星野文昭絵画展湘南実行委(tel.090-4054-8929)

『メイド・イン・バングラデシュ』(95分)上映
とき◆6月18日(土)~24日(金)
ところ◆シアターキノ(札幌市中央区南3条西6丁目南3条グランドビル2F)
★過酷な労働環境と低賃金に労働組合の結成をめざして立ち上がる女性たちの姿を描く
問合せ◆シアターキノ(tel.011-231-9355)

国鉄解雇撤回闘争に勝利し甦らせよう労働運動6.19労働者集会
とき◆6月19日(日)午後1時30分開会
ところ◆飯田橋しごとセンターB1講堂(JR飯田橋東口8分、ホテルエドモンド隣り)
講演◆田中康宏さん(動労千葉前委員長)
主催◆東京労働組合交流センター(tel.03-3845-7461)

■戦争法廃止!6.19国会議員会館前行動
とき◆6月19日(日)午後2時~
ところ◆衆議院第2議員会館前を中心に
共催◆総がかり行動実行委(tel.03-3221-4668) 

■ドキュメンタリー『テレビで会えない芸人』(81分)上映(香川)
とき◆6月24日(金)~30日(木)
ところ◆ソレイユ(高松市亀井町10-10)
問合せ◆ソレイユ(tel.087-861-3366)

星野文昭さん絵画展in福岡
とき◆6月30日(木)~7月2日(土)午前9時~午後6時(30日は11時~)
ところ◆西南学院百年館・多目的ホール2(福岡市早良区西新3-13-1東キャンパス「百年館」)
【集会】7/2(土)午後2時~絵画展会場にて。講演:星野暁子さん他
主催◆星野絵画展実行委(tel.092-483-0860)

第5回 天神峰樫の木まつり
とき◆7月3日(日)昼12時30分に市東さんの南台農地集合、デモ行進後、午後1時30分~市東さん宅中庭でまつり・交流会(飲食は無し)
【行き方】コミュニティバス(津富浦コース)京成成田駅11時44分発~12時天神峰着(南台農地まで11分)、*京成成田のバス乗り場は、改札を出た先のエスカレーターを降りて左へ、「ローソン」の前。
<帰りのバス>市東さん宅前の「天神峰」16時54分発~17時17分京成成田駅着
主催◆三里塚芝山連合空港反対同盟(tel.0476-35-0087)



5月19日(木)午前10時から11時40分くらいまで、今国会13回目の衆議院憲法審査会が開催されました。こどもの日を挟み、9週連続で定例日の開催が続いています。
この日は「安全保障」をめぐって意見が交わされました。

yurusuna
最初に『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事を、今回は2本転載させていただきます。

衆院憲法審の要旨 公明「情報決定権の確立必要」 国民「自衛隊解釈の共有を」 共産「9条変更認められない」
『東京新聞TOKYO Web』2022年5月19日

19日の衆院憲法審査会での各会派代表による意見表明の要旨は次の通り。
新藤義孝氏(自民)
自民党の9条改正の条文イメージは「9条の2」として新たな条項を追加し、自衛隊を憲法に明記している。現在の自衛隊をそのまま規定したもので、戦力や軍隊ではない。必要最小限度の範囲内での自衛権行使が許されるという憲法上の制約も全く変わるものではない。憲法改正が具体的な防衛体制に直接影響を与えるとは考えていない。激変する安全保障環境に対応するための具体的な防衛政策は、国家安全保障戦略などの政策と関連予算によって整備される。
奥野総一郎氏(立憲民主)
憲法改正の議論より、現在の9条で日本を守るためにどのようなことができるのか、何ができないのかをはっきりさせるべきだ。「9条の2」が自衛隊を規定するということだが、自衛隊に何ができるかは書かれていない。かえって議論が複雑になり、混乱を招く。9条改憲に国民は慎重だ。国論を二分して、(発議を)強行して否決でもされたら、自衛隊が違憲になる。慎重に判断すべきだ。(自民党の)改憲4項目ありきの議論、とりわけ9条については断固反対する。
足立康史氏(維新)
9条に関する国民的議論を喚起したいという思いで条文イメージを策定、公表した。現行9条を維持した上で「9条の2」を新設し、「前条の範囲内で、法律の定めるところにより、行政各部の一として、自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する」と明記する。自衛権は閣議決定による憲法解釈、平和安全法制等の法律で規律付けする現在の枠組みを維持する。
国重徹氏(公明)
デジタル社会において、国家には個人の生き方などをサポートするインフラの確保や権利の整備を行う責務がある。個人の尊重原理が侵害される恐れなどの課題への対策として、情報自己決定権の確立が必要だ。13条の幸福追求権の解釈から導くことができるという見解もある。まずは解釈について議論し、不十分と考えられる場合に新たな根拠条文の創設を検討すべきだ。
玉木雄一郎氏(国民民主)
政府は、自衛隊は軍隊ではなく、自衛のための必要最小限度の実力組織という解釈で説明してきた。必要最小限は、その時々の国際情勢や科学技術等の諸条件によって左右される相対的な概念だ。量的な概念だという説明もある。現在の解釈について議論が分かれるようであれば、まず憲法審査会で必要最小限についての解釈を共有、確定することを求めたい。
赤嶺政賢氏(共産)
政府は集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うことも可能と答弁している。日本への武力攻撃が行われていないのに、他国を攻撃することなど9条の下で許されるはずがない。相手国を攻撃すれば、それ以上の反撃を受け、日本全土が攻撃にさらされる。ウクライナ危機に便乗し、9条を変えるべきだという主張がなされるが、平和憲法の根幹を覆すことで認められない。
北神圭朗氏(有志の会)
必要最小限度という基準は、国際情勢や軍事技術の変化に応じて中身が変わりうる。曖昧な基準によって国家権力を統制しようとするのが9条だ。混乱を正すため、2つの方法が考えられる。1つは、厳密でなくとも憲法上の抑制機能として前向きに評価すること。もう1つは、曖昧な規定を憲法から外し、時々の安全保障環境に応じて法律や政策で柔軟に対応することだ。


衆院憲法審で9条議論 自、維「自衛隊明記を」 立民など反対「否決なら自衛隊違憲に」
『東京新聞TOKYO Web』2022年5月19日

 衆院憲法審査会は19日、安全保障をテーマに討議を行い、9条改憲の是非について意見が相次いだ。自民党と日本維新の会はロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、両党がそれぞれまとめた「条文イメージ」を示し、自衛隊を9条に明記する必要性を強調。立憲民主党と共産党は反対した。(佐藤裕介)
 自民の新藤義孝氏は「憲法の根幹的な未整備部分である国防規定を設け、実力組織である自衛隊を明記することは主権国家として当然だ」と主張。維新の足立康史氏も維新の「条文イメージ」を説明した上で「9条に関する国民的議論を喚起したい」と語った。
 公明党の北側一雄氏は個人的見解としながら、9条は維持した上で、首相や内閣の職務を規定した72条や73条に自衛隊への民主的統制を書き加える案も検討できる、とした。北側氏は「自衛隊は日本最大の実力組織で、民主的統制を書き込むのは民主主義、国民主権の観点から憲法価値にふさわしい」と語った。
 これに対して、立民の奥野総一郎氏は世論調査で9条改憲の賛否は拮抗していると指摘。自衛隊違憲論払拭を改憲の理由にしている自民党に「国論を二分して(発議を)強行して否決でもされたら、本当に自衛隊が違憲になってしまう」として「改憲4項目ありきの議論は断固反対だ」とした。
 共産党の赤嶺政賢氏は9条改憲について「平和憲法の根幹を覆すことであり認められない。必要なのは国と国との争いを絶対に戦争にしないための外交努力だ」と強調した。
 自民の新藤氏は審査会終了後、記者団に、維新の条文イメージについて「基本的に自民党の(9条改憲)提案と同じラインの内容だ」と歓迎。「もう内容の説明というより実際に(改憲が)必要か、別のやり方があるかというところに入ってきている。これから積み上げていくべきは審査会の原案づくりだ」と主張した。
* 引用、ここまで。

公明党の「自衛隊明記」私案

各会派代表の意見表明は、前回、5月12日の審査会におけるそれとほぼ同様の内容が多かったのですが、公明の國重徹氏が「安全保障に関するわが党の意見は後の自由発言で行う」と前置きしたうえでもっぱら「デジタル社会と憲法」について述べたこと、そして維新の足立康史氏が党としての9条改憲の条文イメージを披露し、発言の最後に「憲法9条の改正に取り組む野党の雄として、憲法論議をリードしていくことを誓う」と言ったことを記しておきます。

公明党の「安全保障に関する意見」は、審査会の後半で北側一雄氏が開陳しましたが、氏は5分以内とされている発言時間の制限を無視して、13分近くもダラダラと話し続けました。森英介会長(自民)はじめ、なぜ誰も止めなかったのでしょうか。


それはともかく、北側氏の発言は、2015年に成立した平和安全法制(私たちの言い方では「戦争法」ですが)の意義から始まって何よりも日米同盟の信頼性が重要だ云々と続き(氏は平和安全法制の施行から2021年末までに285回の日米共同訓練もしくは日米プラスアルファの国の共同訓練が行われたこと、自衛隊による米軍の武器等防護が2020年に25回、21年に22回行われたことを指摘し、平和安全法制の整備が抑止力の強化につながっているとしてその成果を誇示しました)、最後に(極めて回りくどい言い方でしたが)憲法における自衛隊の位置づけは、「自衛隊の民主的統制」という観点から9条でなく72条とか73条に書き込んではどうかという私案を述べて終わりました。

以下、参考として憲法72条、73条の条文を掲げておきます。一素人の意見ですが、ここに自衛隊を位置づけるというのは相当に無理筋の話だと思います。

第七十二条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

國重氏と北側氏の発言から、公明党は9条の改憲について控えめに言っても消極的、はっきり言えば反対であることがうかがえましたが、党としてこれから自民党や維新の会の攻勢にどのように対処していくのか、戦争法のときのように結局は自民党に追従してしまうのか、注目していく必要があると思います。

「日本が何もしなくても」を繰り返し、憲法前文を「非現実的」と批判する稲田氏

もう一つ、稲田朋美氏(自民)の発言から、改憲派の現状認識をよく表していると思われる部分を紹介しておきます。(上述の北側一雄氏の長広舌のためにすでに終了予定時間の11時半を回っていましたが、この日2人目の自民党の発言者として稲田氏が最後に指名されました。)

「憲法前文の『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』という部分は、国連常任理事国ロシアのウクライナに対する武力行使という現実に照らして、非現実的と言わざるを得ない。
日本が何もしなくても、北朝鮮は日本を射程に入れたミサイルを200発以上保有し、実際に日本海に発射し、太平洋にも着弾している。日本が何もしなくても、中国は短距離・中距離ミサイルを配備し、その数は1900発以上と言われている。日本が何もしなくても、中国は海警法を施行し、尖閣諸島周辺で活動を強化している。日本が何もしなくても、中国、北朝鮮、ロシアからのサイバー攻撃が増えている。日本が何もしなくても、中東で日本人がテロ集団の人質になることがある。
日本の利益を侵害しようとする外国やならず者集団の行為に対しては、まずは自らの手で自らを守る姿勢を明らかにすることが必要だ。そのうえで、共通の利益と価値観を有する国々と協力を進め、団結して国際社会の平和と繁栄を実現する必要がある。
日本が何も悪いことをしなくても、脅威は降りかかってくる。相手の善意に委ねれば平和は保てるという考え方では、もはやわが国の平和を確保することはできない。」

6回も繰り返された「日本が何も(悪いことを)しなくても」という認識は、いったいどこから来るんでしょうか。
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この日の傍聴者は45人ほどで前回よりやや多く、記者・カメラマンは10人ほど、TVカメラは入っていませんでした。
いつもより自民党の委員の空席が目立ち、5~10人ほどが欠席していました(銀)

ペテン的な「沖縄返還」から50年が経ちました。日本政府は一貫して沖縄県民の民意を踏みにじってきました。今も辺野古に新たな巨大基地を建設中、さらに宮古島・石垣島への自衛隊ミサイル基地の建設を強行しています。台湾情勢を見据えて激しくなる日米共同軍事演習。

こうした中で、5月15日には政府と沖縄県共催で記念式典が東京と沖縄で行われ、岸田首相が沖縄の式典に出席するという。沖縄を再び戦場にする戦争政治を進める張本人の岸田首相が、それを居直って記念式典に「平和」を口にして出席するなど許されない!

5月15日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター会場前に県内外から多くの人々が集まり、抗議の声を上げました。
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雨模様の中、改憲・戦争阻止!大行進が呼びかけた会場に向かうデモに参加。デモ出発地の上大謝名さくら公園のすぐ横は普天間基地。基地の中にお墓がいくつもありました。
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デモには、路地路地から右翼が大音量の宣伝カーで妨害して来ましたが、多くの住民がベランダや家の前で激励してくれました。
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デモが終わって歩いて行くと、式典会場手前の信号で止められ大攻防に。なんと急きょ機動隊の大型車が配置され前に進めなくなってしまいました。
宜野湾
学生や青年労働者たちはその場でただちに弾劾のアピールを開始。会場内に届けとばかり約2時間に亘って怒りの訴えが続き、式典を弾劾し抜きました。

そして午後4時ころ、岸田首相らが乗った黒塗りの車が、脇の方の出口から逃げるように出ていきました。
宜野湾3
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沖縄の怒りと闘いの圧殺を意図した式典の狙いは吹き飛ばされました。(S)

三上智恵さん取材の映像から。

5月18日(水)13時10分過ぎから15時10分頃まで、今通常国会5回目の参議院憲法審査会が3週間ぶりに行われました。
この日のテーマは「参議院議員選挙区の合区問題」とされ、参議院の憲法審査会事務局長と法制局長からの説明を聴取した後、会派代表1人ずつの意見表明と委員間の意見交換が各5分以内の持ち時間で行われました。
yurusuna
まず、参院の憲法審事務局長、法制局長の説明と会派代表による意見表明の要旨を、今回も『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事から転載させていただきます。

参院憲法審査会・発言の要旨
『東京新聞TOKYO Web』2022年5月18日

参院憲法審査会は18日、参院選で隣接県を1つの選挙区にする「合区」について討議した。主な発言の要旨は次の通り。

◆説明聴取
岡崎慎吾参院憲法審査会事務局長
参院定数訴訟における一連の最高裁判決で違憲判決はないが、1996年大法廷判決は最大格差6.59倍の投票価値の不均衡について、違憲状態の判断を示した。その後も最大格差は5倍前後で推移し、2012年と14年の大法廷判決では、再び違憲状態の判断が示された。合区制度導入後に施行された16年と19年の選挙について、最高裁はそれぞれ合憲の判断をしている。
12年判決は都道府県を参院の選挙区の単位としなければならない憲法上の要請はなく、その仕組みを維持しながら投票価値の平等の実現を図ることは著しく困難になっているとの認識を示した。14年判決も都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行方式をしかるべき形で改めるなどの立法的措置により違憲状態が解消される必要があるとの認識を示した。
川崎政司参院法制局長
投票価値の平等は、各投票が選挙の結果に及ぼす影響力においても平等であることを要求するもので、具体的には議員1人当たりの選挙人数ができる限り平等に保たれる人口比例を基準とすることが求められている。憲法上の根拠について、最高裁は法の下の平等を定める14条を中心に15条、44条を挙げる。
投票価値の平等は唯一絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮できる他の政策目的との関係において、調和的に実現されるべきものとしている。
定数格差について、最高裁は何倍未満といった基準は示していない。投票価値の著しい不平等が生じ、相当期間継続しているにもかかわらず、是正措置を講じないことが国会の裁量権の限界を超えると判断される場合、憲法に反するとの判断枠組みを示している。

◆各会派の主な意見
有村治子氏(自民)
最高裁判決では、投票価値の平等は唯一絶対の基準ではないと言っている。都道府県は歴史的、政治的、経済的、社会的、文化的にも意義と実態を有し、国民にとって重要な役割を果たしてきた。参院は全国比例選挙と都道府県を単位とする地方選出によって構成する価値を堅持し、合区を解消することが肝要だと考える。
小西洋之氏(立憲民主)
最高裁は、参院が衆院と違う独自の機能を果たすために、必要かつ合理的な選挙制度であれば1票の格差だけで判断するものではないと言っている。二院制における参院の性格や機能をどう位置付け、それぞれの選挙制度に反映させていくかということを含め、国会の合理的な裁量に委ねられている。
西田実仁氏(公明)
格差を拡大するような改革は、いかなる政策目的があったとしても、現行憲法を前提とする限り許されない。憲法が求める投票価値の平等という価値と地域代表的性格をどう調和させるか。私たちは、全国を11のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱している。
足立信也氏(国民民主)
憲法は各選挙人の投票が有する影響力の平等を要求している。(比例代表の)非拘束式に(優先的に当選できる「特定枠」を導入し)拘束式を混在させると、投票の影響力は不平等になる。(合区により)選挙区の候補者になれない者も民意に関係ない拘束式で当選することは、民意を踏みにじることだ。
高木かおり氏(維新)
参院を地方の府と位置付け、憲法を改正し、都道府県から1人以上の選出を憲法に明記する案には賛同できない。憲法を改正してまで参院が地域代表制を導入する合理的な理由が果たしてあるのか。1票の格差をさらに縮小させるため、全国を11ブロックに分け、総定数を削減する改革案を示している。
山添拓氏(共産)
一部の県だけが対象となる合区制度は不公平だと反対し、多様な民意を反映させる比例代表を中心とした選挙制度への見直しを提案してきた。憲法は選挙制度を設計する前提として投票価値の平等を要求している。一方、都道府県を選挙区の単位としなければならない憲法上の要請はない。
渡辺喜美氏(みんな)
1人1票で議員を選挙することが「全国民の代表」の正当性の根拠になっている。1人1票で全国集計し、「何党は何人」と決める。拘束名簿でも、非拘束名簿でも、特定枠でも構わない。少数派を優先したいのであれば、政党の中で(当選者の)ルールをあらかじめ届けておけばいい。
*引用、ここまで。

この後行われた意見交換を含めて、同じ会派でも委員間で力点の置きどころなどに違いはありましたが、自民と立民は合区を解消して全都道府県から議員を選出できるようにすべきだと表明、ただし自民が改憲の必要性を訴えたのに対して立民は国会法の改正で対応できると述べました。また、それ以外の党派は都道府県単位ではなくブロック単位の選出とする案あるいは比例代表制の導入を主張しました。

身もふたもない見方をすれば、各党の立場の違いは1人区で当選者を出せる可能性の多寡によるのかもしれませんが、有村治子氏(自民)が合区解消を主張する論拠の一つとして、「人々が厳しい自然環境や過疎化が進む地域に住み続けられることで国境や漁業権、漁場、里山も守られている」と述べたのには、詭弁にもほどがあると思いました。
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この日私が全面的に共感したのは、福島みずほ氏(社民)の以下の発言です。
「議員定数の不均衡は是正しなければならない。それは制度論である以上に人権論だ。投票価値の平等が裁判で争われ、法の下の平等という観点で判例が蓄積されてきたことは当然だと思っている。
選挙制度がどうあるべきかは憲法ではなく公職選挙法などのテーマであると考えている。合区をなぜ導入するのかなかなかコンセンサスが得られない中で、自民党は2015年に合区を導入し、2016年に参議院選挙が行われた。そして2018年、3年も経たないうちに合区解消のための憲法改正という議論が自民党の中から出てきたことは全く理解できない。3年で180度変わるものを憲法に書いていいのか。憲法改正の問題ではなく、憲法審査会で議論すべき問題ではない。確かに最高裁の判決は含みを持たせて書かれているが、投票価値は平等であるべきだということに反するような憲法の規定を設けてはならない。
一極集中や過疎化、地域の疲弊の問題は理解できるが、一極集中は新自由主義がもたらしたものだ。そして、国会は地方の声を本当に聞いているのか。辺野古新基地建設反対という沖縄の県民投票の声を聞いているのか。
なるほどマーク

傍聴者は少なく、約15人でした。この日のテーマが多くの常連の方が深い関心(と言うか危機感)を持っている緊急事態条項や自衛隊・自衛権明記ではなく「合区」であることが、1週間以上前から参院憲法審のホームページで広報されていたからかもしれません。記者・カメラマンは10人ほどで前回より増えましたが、TVカメラは入っていませんでした。
委員たちは、一時的に席を離れる者はいましたが、全員が出席していました。(銀)


5月12日(木)10時過ぎから11時35分くらいまで、今国会12回目の衆議院憲法審査会が開催されました。先週は祝日(こどもの日)でしたので連続開催は途切れましたが、定例日の開催は8週にわたって継続中です。
この日のテーマは幅広く「日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正を巡る諸問題」と設定され、「出席」や緊急事態条項、国民投票法などを議題としたときとは異なり、何を言ってもかまわないというばかりの「放談会」になりました。
yurusuna

自民・新藤氏が9条改憲の必要性を強調


まず、お知らせしなければならないのは、9条改憲をめぐる発言です。
以下に転載させていただく『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事(前半の各会派1人ずつの発言を要約したもの)に記されているように、新藤義孝氏(自民、与党側筆頭幹事)がこれまでになく明確に「国防規定と自衛隊明記の憲法改正」を「何としても実現させなければならない」と述べ、小野泰輔氏(維新)や北神圭朗氏(有志の会)が同調、玉木雄一郎氏(国民)も「憲法9条に最高法規としての規範力を復活させることが必要だ」と述べて9条改憲の議論を積極的に行うべきとの立場を示しました。

衆院憲法審査会・意見表明の要旨
『東京新聞TOKYO Web』2022年5月12日

12日の衆院憲法審査会での各会派代表による意見表明の要旨は次の通り。

新藤義孝氏(自民)
国防規定について議論し、憲法に反映させることは、緊急事態条項の整備と合わせ最優先で取り組むべき課題だ。ロシアによるウクライナ侵略は対岸の火事ではなく、国の防衛体制の充実は喫緊の課題。自衛隊が憲法に位置付けられておらず、国防に関する規定も憲法にないことは不自然だ。自民党が提案する国防規定と自衛隊明記の憲法改正は、占領下で制定された憲法を独立国家として完成させるものだ。何としても実現させなければならない。

奥野総一郎氏(立憲民主)
防衛力を必要に応じて整備していくことは必要だが、直ちに憲法改正に結び付くのか、違和感を覚える。世論調査で憲法改正の優先順位は高くない。国論を二分し、国民を分断するような話を今、大騒ぎしてやるのか。慎重に議論すべきだ。専守防衛を見直すことは、先制攻撃を容認することにつながり、国際法違反だ。専守防衛を見直すべきだという間違った議論を正すための議論をやっていきたい。9条改憲ありきには断固として反対する。

小野泰輔氏(維新)
最新の戦争は「ハイブリッド戦」と言われるように、システムを対象にしたサイバー攻撃など、従来とは異なる次元で戦争が行われる。サイバー攻撃などへの防衛を行う際、通信の自由の制限も視野に入れることもあり得る。現時点において安全保障の議論は9条にとどまらず、21条なども大きく関わってくる。ぜひ、審査会で安全保障に関わる憲法論議を次回以降実施するようお願いする。

中野洋昌氏(公明)
わが国を取り巻く安全保障環境は一段と厳しくなっている。国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義を堅持しながら、日本の安全保障に万全を尽くしていく必要がある。グレーゾーン事態から有事まで隙間のない守りを行うために平和安全法制を整備した。日本の防衛力を着実に整備するとともに、日米同盟の信頼性を高め、抑止力を発揮していけるよう取り組みを強化していくことが重要だ。

玉木雄一郎氏(国民民主)
憲法9条2項は戦力不保持、交戦権否認を定める。政府は「自衛隊は保持できる」「自衛のための必要最小限度の実力行使は容認される」という解釈を積み重ねてきた。さらに、集団的自衛権の一部容認まで踏み込んだ安保法制を成立させ、9条2項の空文化に拍車をかけた。現実的な対応を取る必要性を正面から認め、憲法9条に最高法規としての規範力を復活させることが必要だ。

赤嶺政賢氏(共産)
沖縄が本土に復帰して50年。復帰後も沖縄は広大な米軍基地がほとんど温存された。岸田政権は抑止力の強化を理由に、敵基地攻撃能力保有の検討を進めている。軍事に軍事で対抗するやり方は、戦争の危険を高める。米軍基地が集中している沖縄が攻撃目標とされる事態はあってはならない。必要なのは憲法を変えることではなく、憲法9条に基づく外交を粘り強く行うことだ。

北神圭朗氏(有志の会)
緊急事態条項について議論を深めてきたので、具体案を取りまとめる時期だ。まだ手を付けていない論点が憲法9条だ。台湾有事は日本有事だと覚悟すべきだ。これまでの防衛政策で国民を守るのか。中国が核の威嚇をした場合、米国が今回(ウクライナ危機)と同じように身動きが取れなくなるかもしれない。これらの問いに真面目に答えることは、論理必然的に憲法9条の議論に及ぶ。
* 引用、ここまで。

自民党の委員(新藤義孝氏)が、しかも与党側の筆頭幹事という要職にある人物が憲法審査会でここまであからさまに9条改憲に踏み込んだ意見を表明したのは初めてのことであり、氏は「今後、さらに議論を深めたい」とも述べていました。

また、「自衛の措置」をめぐる「必要な」または「必要最小限の」という言葉の意味をめぐる以下のやり取りも要警戒です。こちらは『毎日新聞』のウェブサイトから転載させていただきます。

9条改憲、各党違い鮮明 参院選控え、本格議論 衆院憲法審
『毎日新聞』2022年5月13日
(前略)
国民民主党代表の玉木雄一郎氏は自民の改憲条文案について質問。「(自民改憲案は)9条2項を残しながら『必要な自衛の措置を妨げず』という書きぶりだが、(自衛のための)必要最小限という制約は外れるのか」とただした。
これに対し、新藤氏は「必要最小限を引き継ぐべきだ。しかし、安全保障は相対的なもので、日本を取り巻く環境に対応できる必要最小限のものを議論していかなければいけない。それは憲法ではなく、防衛大綱などで必要なものを整備していく」と説明した。
自民の元幹事長、石破茂氏は「北朝鮮に対して必要最小限度のものがロシアや中国に対しても必要最小限度だとは思わない。最小限という量的な概念を入れること自体おかしなことだ」と持論を展開した。
(後略)
* 引用、ここまで。

維新・小野氏は21条の通信の自由の制限に言及

そして、もう一つ、小野泰輔氏(維新)の聞き捨てならない発言に注意を喚起しておきたいと思います。上掲の『東京新聞』の記事で的確に要約・紹介されていますが、氏は「現時点において安全保障の議論は9条にとどまらず、21条なども大きく関わってくる」と述べました。

憲法21条には「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」と規定されていますが、小野氏によれば、維新の会は「サイバー攻撃への防衛の際に、通信の自由を現行憲法のままで制約できるのか、そうでない場合に憲法をどう改めるのか」について党内で議論を始めているそうです。

このように、昨年10月の衆院選以降、自民、維新を筆頭に憲法審査会での改憲勢力の発言はどんどんエスカレートしています。これまでなら公の場では口にできなかったような過激な意見がためらいなく吐き出されているのです。

これに対して、立民や共産はそれなりに抵抗していますが、「論憲」の立場を標榜する立民は毎週定例日の開催に応じざるを得ない状況で、残念ながら一致団結して改憲勢力に立ち向かう体制ができていないと感じられてなりません。また、共産は憲法審は動かすべきでないと言い続けていますが、50人中1人だけの勢力ではいかんともしがたいという現状です。

野田氏(立民)の唐突な天皇制発言

この日、上記のような立民のありようを象徴するような驚きの意見表明を行ったのが、野田佳彦元首相です。野田氏は、憲法審の委員として初めての発言で以下のように述べました。

「皇室制度に関わる有識者会議の報告書の検討が国会にゆだねられている。全く議論が進んでいないが、憲法と密接に関わる重要なテーマであり、憲法審で討議すべきだ。皇族数の確保を図る具体策が2つ提案されているが、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案は、配偶者と子は一般国民としての権利・義務を保持しつづけるとしており、一家族に皇族と一般国民が同居する不自然な形になってしまう。夫には被選挙権があり、子はスカウトされてタレントとなる可能性もあって、たくさんの不都合が噴き出すのではないかと懸念している。
75年前に皇籍を離脱した旧宮家の男性を養子縁組で皇族に復帰させるもう一つの案も幾多の問題があるが、最大の問題は旧宮家の子孫だけに皇族の身分を与えることは憲法14条が禁じている門地による差別に該当するという指摘だ。」

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特に女性皇族の子がスカウトされてタレントになるかもしれないと野田氏が述べたときには、その想像力に本当にびっくりしました。氏は自衛隊明記の9条改憲や緊急事態条項の新設に反対の立場ではないのかもしれませんが、それにしてもあまりにも場違い感の強い意見表明でした。

この日の傍聴者は40人ほどでいつもと変わりませんでしたが、驚いたのは記者・カメラマンが3~4人しかいなかったことです。TVカメラも入っていませんでした。
そして、これもいつもと同様に、開会から閉会までずっと自民の委員4~7人ほどが欠席していました。また、最初あの杉田水脈氏が席についていたので何かとんでもないことを言うのではないかと注目していましたが、どうやら稲田朋美氏の代理として出席していたようで、途中で稲田氏に交代しました。(銀)

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