とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

2013年06月

6月12日(水)13時から、参議院憲法審査会が行われました。今国会6回目、4週連続の開催で、前々回、前回に引き続き「新しい人権」についての審議が行われました。

今回は「新しい人権」に関する締めくくりの審査という位置づけで、各会派(参院審査会では10もの会派が委員を出しています)の代表者の意見表明と自由討議が行われました。

わずか1時間で散会に

各会派代表者の意見表明では、舛添要一氏(改革)が1分30秒ほど、水戸将史氏(維新)も約2分30秒で発言を終えるなど、割り当てられた5分ずつの持ち時間を使い切らなかった委員が多く、10会派の発言が40分ほどで終わってしまいました。

また、小坂憲次会長(自民)が「発言は『新しい人権』だけでなく『二院制』など他のテーマに及んでもかまわない」と述べたうえで始められた(つまり、憲法に関わることなら何を言ってもよかった)自由討議の発言者は4人しかおらず、こちらは何と15分あまりで終了、所要2時間程度と予定されていたこの日の審査会は、開会から1時間も経たないうちに散会になってしまいました。

今回も委員の出席者は30人前後と少なく(定数は45名です)、とくに民主党は17人の委員中5~10人しか出席していないという体たらくでした。

参院選を控えて「終盤国会、開店休業」(6月6日付の『朝日新聞DIGITAL』の記事の見出し)の状態になっているとしても、開催するからにはもっと真剣に取り組んでもらいたいと思いました。

この日の傍聴者は20人前後(百万人署名運動は4人)、記者は5人ほどで、小林節氏が参考人として出席した前回に比べると、いずれも3割減という感じでした。

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各会派代表者の意見表明

この日の審査会の内容については、まず、各会派の代表者が表明した意見をひととおり報じていた『NHK NEWS WEB』の記事(タイトルは「参院憲法審『新しい人権』巡り意見表明」)を引用しておきます(発言者の氏名は私が付記しました)。

参議院の憲法審査会で、憲法に「環境権」や「プライバシー権」などの新しい人権に関する条文を加えるかどうかを巡って、与野党10党が意見を表明し、自民党、公明党、生活の党、日本維新の会、新党改革の5党が憲法に明記すべきだと主張したのに対し、共産党と社民党は反対しました。

この中で、民主党(藤本祐司氏)は、「今の憲法に、保障すべき人権がすべて網羅されているわけではないが、容易に増やせば人権のインフレ化を招きかねない。環境権の確立は、まずは立法措置で対応できるかどうかを検討すべきだ」と述べました。

自民党(中川雅治氏)は、「時代の変化に的確に対応し、国民の権利の保障を充実させるため、新しい人権を憲法上も規定すべきだ。『法律で保障すればいい』という意見もあるが、憲法に規定することで権利が確実なものになる」と述べました。

公明党(西田昌司氏)は、「環境権など、時代の進展に伴って提起されている新たな理念を憲法に加えて補強する『加憲』が最も現実的で妥当だ。憲法に明記することで、積極的な立法措置を可能とするのが望ましい」と述べました。

みんなの党(松田公太氏)は、「時代の流れとともに、現実とのそごが生じ、新しい人権の概念が求められる可能性は否定しないが、立法措置で十分なのか、憲法に明記すべきなのかは、さらに議論を深めるべきだ」と述べました。

生活の党(はたともこ氏)は、「戦後の発展で、憲法制定過程で想定していなかった権利が発生したのは明らかで、憲法に明記することが不可欠だ。プライバシー権や環境権を明確に位置づけることは喫緊の課題だ」と述べました。

共産党(井上哲士氏)は、「今の憲法は懐の深い構造になっており、環境やプライバシーを本気で擁護するならば、憲法に基づいて立法で具体化することが可能だ。現実に合わせて憲法を変えるべきではない」と述べました。

みどりの風(亀井亜紀子氏)は、「新しい人権を明記するためだけに憲法を改正する必要はないのではないか。具体的な人権を個々に書き込むことで人権のインフレ化が起きると懸念している」と述べました。

社民党(福島みずほ氏)は、「新しい人権について憲法上の規定を設ける必要はない。憲法は時代に弾力的に対応できる構造になっており、包括的に保障されている人権の中に新しい人権も含まれている」と述べました。

日本維新の会(水戸将史氏)は、「良好な環境を享受することは国民の権利であり、その保全は国家と国民の義務だ。プライバシー権や知る権利、さらには公的な情報開示についての国の責任などを、憲法上もしっかりと明記すべきだ」と述べました。

新党改革(舛添要一氏)は、「現代社会の状況は大きく変わっており、新しい人権も付け加えるのが望ましい。障害者に対する差別の禁止や個人情報の保護などを憲法で定めることが、権利の不可侵性を担保する」と述べました。

この記事のリード(冒頭のまとめ)は、「自民党、公明党、生活の党、日本維新の会、新党改革の5党が憲法に明記すべきだと主張したのに対し、共産党と社民党は反対しました」となっていますが、みどりの風も否定的であり、民主党は慎重論、みんなの党はさらに検討すべきという立場でした。

特徴的だったのは、新しい人権の明記に反対または否定的であった3党(共産、みどり、社民)の代表者が参考人の見解を引用しながら意見を表明したのに対し、他の党派の代表者は参考人質疑の内容にまったく言及しなかったことです。いったい何のための参考人質疑だったのか、疑問を感じざるを得ませんでした。

この建物の4階角が憲法審査会が開かれている会議室です。
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「討議」の名に値しない低調な自由討議

次に自由討議が行われましたが、上記のように発言者は4人しかいませんでした。
最初に足立信也氏(民主)が、「立憲主義は人類の到達した英知である」と前置きしたうえで、審査会での自民党の委員の発言の多くが立憲主義に立脚していないものであったことに「違和感を覚える」と苦言を呈し、続いて前川清成氏(民主)が、自民党の改憲草案で「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」と置き換えていることについて、それが単なる言い換えではなく「人権相互の調整原理」を超えて「国のため、社会のため、お上のため」に基本的人権が制約される道を開こうとするものであるとするなら「私は大反対である」と述べましたが、なぜか自民党の委員たちからの反論はありませんでした。

あと2人の発言者は、会長代理の松井孝治氏(民主)と会長の小坂憲次氏(自民)でしたが、その内容は聞き捨てならないものでした。

すなわち、松井氏が「会長の下で活発な意見交換ができ」、「この間の会長のリーダーシップに心から敬意を表したい」と小坂氏をヨイショしてから、「この議論が引き続き次の国会に建設的につながっていけばいい」、「憲法を不磨の大典とすることなく、現代社会の潮流の変化に即応してしっかりと議論を深めていくべきである」と述べると、
小坂氏は「二院制」と「新しい人権」のテーマについては一区切りとして、「さらなる憲法ならびに憲法に関わる基本的法制について調査を進めていただきたい」、「日本のあるべき姿、そして市民生活の根底にある基本法制としての憲法のあるべき姿を、皆さんとともに追求していきたい」と呼応し、2人そろって今後も憲法審査会で改憲のための議論を進めていくという意志を明言した形で、今国会の憲法審査会を閉じたのです。(G)











梅雨が上がりきらない中でしたが、金曜行動に出発。
経産業省前テントひろばはいつものように賑わっていました。

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    テンとは今日で643日めです。

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テント前で、次回裁判のチラシを受け取りました。

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首相官邸前へ。こんな格好をした人も!

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ドラム隊はやはり若い人が多いですね。

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デモ隊の先頭でもドラム隊がコールの音頭をとっていました。

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すぐ目の前に首相官邸があります。制服・私服の警察によって厳重に守られています。

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福島返せ!再稼働やめろ!トルコにもインドにも輸出するな!
アピールとコールを叩きつけます。

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車道デモ隊もいます。

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前双葉町町長の井戸川さんも参加しアピールされました。

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この日に配られていたプラカードチラシです。
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「原発事故子ども・被災者支援法」は昨年の6月21日に成立していますが、その後この法律は全く実施されていないそうです。被災者支援を担当する復興庁の水野参事官のツイッター暴言が報道されていますが、これは安倍政権の姿勢そのものであり、本当に許しがたいことです。
抗議の声と行動を強めましょう!(S)
















6月6日(木)、今国会10回目の衆議院憲法審査会が開催されました。
今回のテーマは「日本国憲法の改正手続に関する法律における『3つの宿題』」でしたが、この問題は昨年も衆参両院の憲法審査会で議論されており、とくに衆院では2月23日、3月15日、22日、4月8日の4回にわたってとりあげられていました(興味のある方は、当ブログの過去記事をお読みください)。
それを今回は1回で済ませてしまおうとしたわけですが、案の定途中で時間切れとなり、3つ目の宿題(国民投票の対象拡大)は次回に積み残されることになりました。

保利会長の「命令」で出席した自民党の委員たち

今回、私はいつにも増して自民党の委員の出席状況に注目していました。と言うのも、前日の5日に、『msn産経ニュース』で「『やる気あるのか』 憲法審査会会長、欠席目立つ自民に出席命令」と題した次のような記事が配信されていたからです。
* * *
衆院憲法審査会の保利耕輔会長(自民党憲法改正推進本部長)が同党筆頭幹事の船田元氏に、審査会への自民党委員の出席を命じていたことが分かった。定数50の同審査会で、自民党は会長、幹事以下31人を占めるが、委員の欠席が目立ち、憲法改正への「本気度」を問われかねない事態に陥っていた。

問題が表面化したのは、「緊急事態」条項が議題となった5月23日の審査会で、自民党委員が頻繁に入退室し、平均出席率は5割前後。これに対し、野党はほぼ全員が出席していた。自民党委員の欠席で「委員の半数以上」の定足数を割る可能性があり、共産党は審査の中止を要求した。

以前の審査会でも自民党委員の出席率が低かったため、保利氏は同日の審査会後、船田氏に「代理を出席させるように」と改善を要求。これを受け、船田氏は自民党の全委員に出席を求める文書を送付した。
* * * 

結果はどうだったかと言うと、保利会長の「出席命令」が効いたようで、この日、自民党の委員はだいたい20~25人前後が出席していました。そのため、出席委員数は他会派を含む全体では35人以上となり、ときには40人を超えていました。とは言え、居眠りしたり長時間スマートホンをいじっている委員もいて(後者は松下政経塾出身の自民党の委員で、傍聴席からスマホが丸見えでしたが、それを気にしている素振りはありませんでした)、興味を持てない講義であっても単位を落とさないためにしぶしぶ出席している学生のようだなと感じました。

傍聴者は30~35人程度(百万人署名運動は3人)で、記者は10人前後が席に着いていました。

選挙権年齢・成人年齢の18歳への引下げについて

さて、3つの宿題のうち最初に検討されたのは、「選挙権年齢・成人年齢の18歳への引下げ」でした。
この問題については、『朝日新聞DIGITAL』所載の記事に議論の内容が要領よくまとめられていましたので、以下、それを引用しておきます。記事の見出しは、「自・民・維は『先行』主張 衆院憲法審が『18歳から国民投票』議論」でした。
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衆院憲法審査会は6日、憲法改正の国民投票について議論した。自民、民主、日本維新の会の3党は、一般選挙の投票年齢の引き下げを待たずに、「18歳以上」が国民投票できるようにすべきだと主張。これに対し、改憲に反対する政党は、国民投票のみ先行すべきではないと訴えた。

2010年に施行された国民投票法では、(1)国民投票に合わせ一般選挙の投票年齢や成人年齢を20歳から18歳に下げる(2)公務員の運動制限の取り扱い(3)憲法改正以外の国政の重要なテーマでも国民投票をできるようにするか、について結論を出すと付則で定め、国民投票に踏み切る上で「3つの宿題」とされてきた。

この日の審査会では、特に国民投票法と他の法律で定める年齢の整合性が焦点となり、改憲の環境整備を急ぐ自民党の船田元氏は「国民投票制度とその他法令を切り離し、『18歳以上』で動かすことも視野に入れるべきだ」と主張。
すでに付則を見直す改正案を提出している維新の坂本祐之輔氏は「憲法論議を前進させていくための喫緊の課題だ」と同調した。
民主党の武正公一氏も、法改正について「18歳が世界標準。一つの選択肢だ」と前向きな姿勢を示した。

これに対し、改憲に反対する共産党の笠井亮氏は「他の年齢引き下げを棚上げして、国民投票だけ先行させる法改正は断じて許されない」と述べた。

この日の審査会では、政府側が一般選挙での投票や成年の年齢を18歳に引き下げるための取り組み状況を説明。関係省庁からは「民法の成年年齢を18歳に引き下げるのが適当だが、現時点では様々な問題が生じる」(法務省)などの慎重論が相次ぎ、審査会の保利耕輔会長は「検討条項が非常に多い。政府はしっかりやってもらいたい」と苦言を呈した。
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保利会長が自らの意見をたびたび表明

この日は、これまでほとんど私見を述べることなく議事の進行役に専念してきた保利会長が、しばしば自らの見解を披歴していました。

たとえば、上記の記事の最後に紹介されている「苦言」に続いて、保利会長は次のように言っています。
「とくに総まとめをしている内閣府は、『環境整備に努める』と言っているが、それをどういう方向でどうやるのかについて、十分にわれわれに教えておいていただきたい」、
「学校現場で、高校3年生は18歳になった者とまだなっていない者に分かれる。高校3年は大学受験を控えてひじょうに忙しい年代でもある。そういう者を対象に高校3年生をどうリードしていくのか、中央教育審議会でどういう議論をされているのか、あるいは全然していないのかが気になる」。

また、別の場面では「高等学校は義務教育ではない。15歳で実社会に入る方もいるので、高校でこう教えているから憲法について全国民がわかるのだというのは論理的におかしなところがある。その辺は十分考えておいてほしい」とも発言しました。

審査会の会長がこんなに長く私見を述べるのは、異例のことだったと思います。私は、「3つの宿題」をさっさと片づけて、改憲案を発議し国民投票にかける条件をできるだけ速やかに整えてしまいたいという願望、あるいは焦燥感のようなものが、彼をしてそうさせているのかもしれないと感じました(うがちすぎた見方かもしれませんが)。

驚くべき「指導要領」の内容

これも『朝日』の記事で触れられている政府側の取り組み状況の説明の中で、文部科学省の初等中等教育局長が「小学校から高等学校までの教育課程における憲法教育等について」報告しました。

その参考資料として、小中高それぞれの「学習指導要領」の抜粋が配布されましたが、たとえば小学6年生が憲法について学ぶべき内容は、「日本国憲法は、国家の理想、天皇の地位、国民としての権利及び義務など国家や国民生活の基本を定めていること」とされ、そのうえで「『天皇の地位』については、日本国憲法に定める天皇の国事に関する行為など児童に理解しやすい具体的な事項を取り上げ、歴史に関する学習との関連も図りながら、天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすること」、
「『国民としての権利及び義務』については、参政権、納税の義務などをとりあげること」とされているのです。つまり、小学校段階の憲法教育では、天皇への「理解と敬愛の念を深める」ことが第一とされ、国民の権利としては参政権をとりあげれば足りることとされているのです。これは驚くべきことではないでしょうか。

さすがに中高の指導要領では、基本的人権の保障、国民主権、平和主義についての内容が前面に出てきますが、それでも憲法は国家権力を縛るものだという「立憲主義」の考え方は「学習指導要領」にはまったく記載されていません。

昨年、自民党改憲草案の起草委員会事務局長を務めた磯崎陽輔参議院議員が、東大法学部出身でありながら、ツイッターで「時々、憲法改正草案に対して、『立憲主義』を理解していないという意味不明の批判を頂きます。この言葉は、Wikipediaにも載っていますが、学生時代の憲法講義では聴いたことがありません。昔からある学説なのでしょうか」とつぶやいて話題になりましたが、東大法学部の憲法講義の内容がどうだったかはともかく、少なくとも高校時代まで「聴いたことがない」というのは無理からぬ話だということになります。

公務員の政治的行為の制限と国民投票運動をめぐる問題について

3つの宿題の2つ目は、「公務員の政治的行為の制限と国民投票運動をめぐる問題」でしたが、この日の審査会について報じた記事の中で、この問題について触れたものはあまりありませんでした。

そんな中、『毎日jp』では「公務員の政治的活動の制限緩和を巡っては、教員に適用した場合の学校への影響などを理由に慎重論が大勢。民主党の大島敦氏だけが『おおらかでよい』と容認論を唱えた」とされていましたが、この記事の後半は明らかな誤報です。

その点を『しんぶん赤旗』の記事で見ると、以下のとおりです(記事には発言者の「姓」しか記載されていなかったので、私が「名」を補いました)。
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憲法改定の国民投票での公務員の政治活動制限の検討については自民・船田元氏が「意見表明や勧誘運動までは制限しない趣旨だった」としつつ、制限を正当化。
維新・坂本祐之輔氏も「いたずらに緩和すべきでない」と政治活動を不当に規制する国家公務員法を引き合いに制限を求めました。

日本共産党の笠井亮氏は、国民投票運動と政治活動の切り分けは困難だとの意見が与党からも出たと指摘。
「政治活動の制限を残せば、国民投票運動を取り締まる側が拡大解釈しかねず、公務員は自由に運動に取り組めなくなる」と強調し、「国民投票運動全体への萎縮効果は非常に大きくなり結局、国民の運動を抑え込むことになっていく」と批判しました。
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なお、『msn産経ニュース』では、「審査会では国民投票での『公務員の政治的行為の制限緩和』についても議論。
みんなの党が『政治的行為は幅広く認められるべきだが、違法行為は厳しく処罰すべきだ』と主張した」と、畠中光成氏の発言だけを取り上げていました。

      ずっしりと大きくなった国会前のイチョウ並木
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「公務員の政治的行為」に警戒感むき出しの改憲勢力

この問題について驚かされたのは、自民党、維新の会など改憲勢力の委員たちが、「公務員の政治的行為」について穏当に表現すれば警戒感、より率直に言えば嫌悪感、あるいは敵意を抱いているとしか思えない発言を連発したことです。

たとえば、西川京子氏(自民)は、国民投票法附則第11条の規定自体について、「そもそも私はこれが疑問だ」と述べ、「憲法改正に関して投票を勧誘するということは、改正そのものがすべて反対という政党もあるわけだから、自分の意見、さらに勧誘をすること自体がひじょうに問題だと思う」と主張しました。

平沢勝栄氏(自民、審査会の幹事でもあります)も、「憲法改正については、それぞれの政党が改正についてAとかBとかCということを明らかにする。その中で、公務員が自分はAという立場、Bという立場、Cという立場ということをみんなの前で明らかにすれば、必然的に特定の政党の考え方や活動に対する応援になる」と発言しました。

そして、『毎日』の記事にあるように、とくに教員が憲法改正に関して意思を表明することを、それは即地位利用につながるとして問題視する意見が目立ちました。

保利耕輔氏(自民)はこの問題についても会長の職責を超えて私見を表明し、「教職公務員の問題はひじょうにセンシティブだ。たとえ話で言えば、生徒が先生に『今度憲法改正(の国民投票)があるそうですね。私には投票権があるけれど、先生はどう思いますか』と言ったときに先生はどう答えるのか、その答えが問題になるのかならないのか。
その生徒がうちへ帰って、『先生は反対だと言っていた』とお父さんに言った。お父さんは賛成派だった。そうすると、それが具体的な問題として浮かび上がってくる可能性がある」と述べていました。

また、公明党の斉藤鉄夫氏が「私立学校の先生は公務員ではないが、私立学校でも同様の問題がある」と発言したことも紹介しておきたいと思います。

私はほんとうにバカバカしいやりとりだと思いました。教員がその地位を利用して生徒に賛成、あるいは反対に投票せよと言うのは確かに行き過ぎで許されないでしょうが、賛成、反対の意思をその理由とともに表明することは何ら問題ないと思います。

保利氏のたとえ話で言えば、その生徒は先生の反対意見と父親の賛成意見だけでなくさまざまな意見や資料を見比べたうえで、自分の頭で考えて賛否いずれかに投票すればいいというだけの話ではないでしょうか(どちらかに決めきれなければ、棄権したり白票を投じてもいいでしょう)。

これらに対して、笠井亮氏(共産)は、上記の『赤旗』で報じられている発言の前にも「公務員の政治的行為を制限した国公法等の規定そのものが憲法違反だ」と指摘していましたが、残念ながら「多勢に無勢」という言葉はこういう状況を言うのだなと痛感せざるを得ないような議場全体の雰囲気でした。(G)

     
3つの宿題のうち、選挙権年齢・成人年齢の18歳への引下げ、公務員の政治的行為の制限と国民投票運動をめぐる問題に関する規定(『日本国憲法の改正手続に関する法律』)

第3条 日本国民で年齢満18年以上の者は、国民投票の投票権を有する。

附則第3条 国は、この法律が施行されるまでの間に、年齢満18年以上満20年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。
2 前項の法制上の措置が講ぜられ、年齢満18年以上満20年未満の者が国政選挙に参加すること等ができるまでの間、国民投票の投票権を有する者は、年齢満20年以上の者とする。

附則第11条 国は、この法律が施行されるまでの間に、公務員が国民投票に際して行う憲法改正に関する賛否の勧誘その他意見の表明が制限されることとならないよう、公務員の政治的行為の制限について定める国家公務員法、地方公務員法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。

次回の衆院・憲法審査会の予定

【日時】6月13日(木)9時00分~(所要3時間くらい)
【議題】①「3つの宿題」について説明聴取及び自由討議
       ・国民投票の対象拡大(衆法制局)
    ②自由討議(各派意見表明、自由発言)

▲傍聴希望者は各審査会の前日昼までに百万人署名運動事務局までお申し込みください。
  T/F 03-5211-5415










6月5日(水)13時から、参議院憲法審査会が行われました。今国会5回目、3週連続の開催です。前回に引き続き「新しい人権」がテーマとされ、今回は主に環境権、プライバシー権等を取り上げることになっていましたが、実際の話題は多岐にわたりました。そうなったのは今や時の人となった小林節氏(慶應義塾大学法学部教授、弁護士)が参考人として登場したからで、氏の率直な物言いに触発されて、今までになく議論が盛り上がりました。

この日の傍聴者は30人ほど(百万人署名運動は4人)、記者も7~8人はいて、いずれも前回の5割増しくらいの感じでした。ただし委員の出席者は相変わらず少なめで、最初の参考人の意見聴取のときこそ35人前後が着席していましたが、質疑の途中からは25~30人に減ってしまいました(定数は45人です)。

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新しい人権についての参考人の意見

この日の審議は、2人の参考人(上述の小林節氏ともう1人、こちらも慶應義塾大学法学部教授の小山剛氏)からの約15分ずつの意見聴取、各委員による参考人に対する質疑(発言した委員は14人でした)という順に進められました。

まず、新しい人権、とくに環境権やプライバシー権に関する参考人の意見は次のようなものでした(当日配布された「レジュメ」と参議院憲法審査会ホームページに掲載された「参考人の説明骨子」、傍聴時のメモを参考にしてまとめました)。

小林節氏は、「憲法改正によらなくても新しい人権は法律で相当程度カバーできる」、「憲法に『憲法上の人権リストに限られない』という規定があれば、裁判所が人権を確認することが可能になる」、「憲法の人権条項を改正するのなら、アメリカ合衆国憲法の修正第9条『この憲法に一定の権利を列挙したことを根拠に、人民の保有する他の諸権利を否定し、または軽視したものと解釈してはならない』(『ウィキペディア』所載の日本語訳)を参考にするとよい」等の意見を述べました。

また、小山剛氏は、「新しい人権は重要であり、憲法を改正するなら当然に有力候補となるが、そのためだけに憲法を改正する必要はない」、「新しい人権の明文化を検討する際には、①どのような憲法を望むのか、②基本的人権という形式で記述するのか、別の形式(国家目標規定)で記述するのかを考えるべきである」、
「私生活をみだりに公開されないという古典的プライバシー権は最高裁も承認しており、憲法に明文化する意義はない」、「自己情報コントロール権については明文化に一定の意義があるかもしれないが、明記すれば直ちに具体的な権利が発生するわけではなく、裁判所がその気になれば明文の規定がなくても一定の保護は可能である」、
「環境権については、人の生命・健康にかかわる場合は人格権で救済されるので、憲法に明記するとすれば良好な自然環境自体が保護法益となるが、主体も内容も不明確であり『理念的』な規定と性格づけるしかない」等の意見を述べました。

96条先行論「品がない」 「改憲派」慶大・小林教授バッサリ

これは、この日の審査会について報じた『東京新聞』(TOKYO Web)の見出しで、現場の雰囲気をうまく表現していると思います。記事の内容は以下のとおりです。

参院憲法審査会は5日、環境権など「新しい人権」に関して参考人質疑を実施した。この中で、改憲に積極的な自民党議員が、改憲派の有識者として知られる小林節慶応大教授からたしなめられる一幕があった。

自民党の宇都隆史参院議員は改憲について「60数年、憲法の議論自体が問題とされ、改憲の発議すらされなかった」と指摘。衆参両院の3分の2以上の賛成を必要とする発議要件を定めた96条を先に緩和することで「国民は初めて、憲法が自分たちの手にあると実感できる」と主張した。

小林教授は「改憲問題が長く議論されなかったのは改憲政党として結党しながら逃げてきた自民党の責任」と反論。96条先行論についても「大阪の人(日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長)が手を挙げたから言い出すのは、あまりに生臭くて品がなさ過ぎる。堂々と9条から議論してほしい」と批判した。

自民党の山谷えり子参院議員は「憲法は国柄や歴史、文化を国民と共有するものだ」と持論を展開。自民党の改憲草案には、こうした点を尊重する文言が盛り込まれているが、小林教授は「そんなことを最高法規から説教されたくない。法は道徳に踏み込まず、という格言が世界の常識だ」と主張した。

96条改憲論に批判続出 参院憲法審査会で参考人

もうひとつ、『しんぶん赤旗』(ウェブ版)の見出しを紹介しておきましょう。いつもは共産党の委員の発言しか報じない『赤旗』ですが、今回は下記のように読み応えのある記事を掲載しました。これまでの記述と重複する部分がありますが、引用します。

参院憲法審査会は5日、「新しい人権」などをテーマに慶応大学の小林節教授と小山剛教授を招いて質疑を行いました。参考人からは、改憲の発議要件を緩める96条改定や「新しい人権」を理由にした改憲論への疑問の声が出されました。

小林氏は、96条は国家権力を縛るもので、要件緩和をしてはならないと強調。「天下国家のあり方にかかわる問題だから、権力は公正で正々堂々としていなければならない」と述べ、96条改定で改憲をやりやすくする狙いを批判しました。

日本共産党の井上さとし議員が、国家権力を憲法で縛るという立憲主義を「古い考え方」とする意見を批判し、見解をただしたのに対し、小林氏は「立憲主義は時間と場所を超えて適用されるもの」と述べました。

一方、新しい人権について、小山氏は「憲法を改正するなら、新しい人権は有力候補になる。しかし、新しい人権のためだけに憲法を改正する必要はない」と発言しました。

自民党の山谷えり子議員は「憲法は国柄や歴史、文化を国民と共有するもの」として憲法に道徳規範を書き込むよう主張し、同党の磯崎仁彦議員は「自民党の憲法改正草案では、国民の憲法尊重義務を規定している」と述べました。

これに対し、小林氏は、憲法に道徳規範を書き込むことについて「『法は道徳に踏み込まず』は世界の常識だ」と批判し、国民に憲法尊重義務を課すことについて、「国家権力を担当している方々を規律するのが憲法の仕事。自民党の今回の案はおかしい」と述べました。

        参議院議員面会所入り口  

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印象的だった小林節氏の発言の数々

上記の2つの記事でも明らかなように、この日の主役は明らかに小林節氏で、様々な印象的な場面がありました。新聞記事の引用だけではこのブログをお読みいただいている方に申し訳ありませんので、以下、いくつかのシーンをご紹介しておきます。

まず『しんぶん赤旗』でも紹介されている立憲主義を擁護する発言ですが、もうすこし詳しく紹介すると、氏は、
「日本は(西欧で立憲主義が確立される契機となった)市民革命を体験していないと言われるが、将軍であれ元老たちであれ軍部であれ権力者と庶民の間にはたいへんな葛藤があったと思う。市民革命がなかったのは革命ができるほど民衆が強くなかったからであって、われわれは米軍に助けてもらって解放されたと考えることもできる」、
「どんな立場にあっても人間は不完全なもので、心の中に神様と悪魔が住んでいる。私もそうで、悪魔が出てこないのは、それによって失われるものが多いからコントロールしているだけだ。私が(北朝鮮の)金さんの家に生まれれば、もっと悪い奴になったかもしれない。だから、人間の本質が変わらない限り立憲主義は時間と場所を超えて適用されるべきものであると確信している」と述べていました。

また、『東京新聞』と『しんぶん赤旗』の両方に記載されている山谷えり子氏をやり込めた発言の際には(もっとも山谷氏本人はやり込められたとはつゆほども感じていないでしょうが)、民主党の委員を中心に拍手が起こりました。

実は山谷氏の質疑は「憲法は国柄や歴史、文化を国民と共有するもの」云々の後に「日本は世界でもっとも長い歴史を持つ国家で、例えば今から2673年前に橿原宮で神武天皇が建国の詔を発せられるわけですが」と続き、その場にいあわせたほとんどの人たちは皆「またトンデモ論を聞かされるのか」とうんざりさせられていたので、小林節氏の辛辣な反論に「わが意を得たり」と感じた委員の間で思わず拍手が巻き起こったというわけです。

そして、『しんぶん赤旗』に紹介されている磯崎仁彦氏との質疑では、
「日本国憲法の淵源をたどるとアメリカの独立宣言に行くと思う。そこには、人が幸福になるために作った政府がその目的に反したときは、人民はその政府を倒して取り替えていいと書いてある。その新しい政府の仕組みが憲法だ。アメリカの独立戦争は英語でAmerican Revolutionと言うように革命であって、政府がどうにも機能しなければ、国民にはその全体を取り換える権利がある。それが革命権という憲法上の用語になるのだが、そういう観点から言うと、国民に憲法尊重擁護義務があるとするのは議論のあるところだと思う」と述べたうえで、
「そういう意味で、自民党の今回の案はおかしいと思う。憲法尊重擁護義務の第1項で国民全体に義務があると言っておいて、第2項で公務員にも義務があるとしているが、第2項だけあればいいことであって、少なくとも順番が逆転している」と指摘したのです。

この一連の発言の最後に、氏が「何と言うか、(自民党の改憲草案を)見てびっくりした」と述べたときには、共感の笑いが起こりました。

     この日も恒例の国会見学の小学生たちの姿が

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9条についての参考人の発言

小林節氏はご自身が公言されているように9条改憲論者ですから、その立場からの発言もありました。

それは「憲法改正を考えるときには、最初に大きな話題があって、それが牽引車にならなければいけない。人権論でやっている限り、ものは進まないと思う。堂々と9条論で切り結んだらいかがか。やはり本丸は9条だ。そういう大きなものでやらないと改憲のエネルギーは生まれないと思う」というものでした。

また、解釈改憲の限界について問われて、「ここまでやってしまった以上、もし正攻法の改憲がなされなかったら、(今後も)解釈改憲で行けばいいと思っている」と答えた場面もありました。

なお、同じ質問に対して、小山剛氏が「9条については、道路のスピード制限、例えば30キロ標識みたいなものだと思う。30キロ制限となっているから、50キロで走る車はあるかもしれないけれど100キロ出して走る車はない。憲法9条に実効性があるかどうかは、ある・ないの二択で答えるものではなく、それなりに歯止めをかけているという形での存在意義はあると思っている」と述べたことも、印象に残りました。

もうひとつ、小山剛氏の発言の中で記録しておきたいと思ったのは、ドイツの憲法改正に関する次のような指摘です。「ドイツは連邦国家で、何が連邦の権限で何が州の権限であるかが憲法で細かく規定されている。たとえば国鉄の民営化に当たって日本では憲法の改正は必要なかったが、ドイツでは連邦の権限として国鉄が入っていたので民営化は憲法事項であり、改憲が必要だった。ドイツでは60回ほど憲法が改正されているが、その多くはドイツ憲法固有の性格によるものだった」。

改憲派はしばしば「世界の国々は、時代の要請に即した形で憲法を改正しています。・・・ドイツに至っては58回も憲法改正を行っています」(2012年10月に発行された自民党の『日本国憲法改正草案Q&A』より)などと主張しますが、それは各国の国情の違いを無視した暴論であると言わなければなりません。(G)


*尚、上記の憲法審査会のビデオは下記のサイトで見られます。
→http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php


次回の参院・憲法審査会の予定

とき◆6月12日(水)13時~(所要2時間30分くらい)
議題◆日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
      「新しい人権」についての自由討議
         各会派一巡による意見表明(各5分×10会派)
         以後、会長の指名に基づき発言(一人5分以内)


▲傍聴希望者は各審査会の前日昼までに百万人署名運動事務局までお申し込みください。
  T/F 03-5211-5415













少し遅くなりましたが、6月2日(日)に行われた反原発大行動の写真報告です。東京の芝公園には7500人、明治公園には1万8000人が集まり、首都圏反原発連合の呼びかけた夕方からの「反原発☆国会大包囲」には6万人が合流しました(主催者発表)。原発を推進する安倍を許さないという怒りが渦巻いていました。

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芝公園の会場でインタビューを受ける

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会場で「安倍政権の改憲に反対する署名」を呼びかける。続々と集まる!

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デモ出発待ち状態

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NAZENのパワーあるデモコール

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東電本社前で

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国会正門につながる道路の歩道は人でいっぱい

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ドラムや太鼓のパフォーマンスはすごい迫力!

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国会正門前で大間現地闘争をアピールする青森の中道さん

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国会正門前の様子

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国会正門前の道路の反対側の歩道で。

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この日は自転車隊もたくさん出撃

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国会正門前の道路の入口で。

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首相官邸前の道路では…


デモ日和で本当によかったです。


原発活用の「成長戦略」を打ち出し、輸出・再稼働に突進している安倍を絶対に許せません。


しかし私たちは、この支配を打ち破る力を持っているはずです。


反原発ゼネストをめざしましょう!


すべての原発をなくすまで闘いつづけましょう!















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