4月25日(木)、衆議院憲法審査会が行われました。今国会6回目で、4週連続の開催でした。今回のテーマは「第8章 地方自治」で、いつものように衆議院法制局からの説明、各会派の代表者からの意見表明、自由討議の順に審議が行われました。朝9時から3時間の会議が予定されていましたが、相変わらず議論は低調で11時数分前に終了し、審議時間は2時間弱でした。
自民党出席委員のあまりの少なさに苦言
この日の審査会では、各会派代表者の意見表明の途中までは40名前後、うち自民党は20~25名の委員が出席していましたが、自由討議が始まると30名強、自民党は12~14名(31名の半分以下)に落ち込んでしまいました。このありさまを見て笠井亮氏(共産)が、「今日の審査会は、他の委員会とそんなにダブっていないのに、一番開催しようと言っている自民党が相当空席がある。幹事は2人しか座っていない(注:自民党の幹事は6名)。無理なら日程を設定するのをやめた方がいいと思う」と指摘すると、保利耕輔会長(自民)は、「出席者の件については、十分に与党側に喚起しておきたいと思う」と答えざるを得ませんでした。
なお、公明党の3名の委員は(ときどき席を外すことはありましたが)全員出席していましたので、保利氏が「与党側」と言ったのは失礼な話で、はっきり「自民党」と発言すべきだったと思います。このやりとりを受けてお達しが回ったのか、しばらくすると自民党の委員が増えはじめ、閉会時には20名、全部で37名の出席者数になりました。
次回の審査会は5月9日(木)の開催予定ですが、自民党委員の出欠状況が変わるのか否か、またご報告したいと思います。
傍聴者は25人ほどで、百万人署名運動は4人で傍聴してきました。
多くの会派が道州制の導入を主張
この日は、全会派が「道州制」導入の是非に言及しました。維新の会とみんなの党は改憲のうえ導入すべき、自民党と公明党は導入すべきだが改憲は不要、民主党は中長期的に検討、生活の党は反対ではないが導入するなら現行憲法の範囲内でという立場を表明し、共産党のみが導入に反対という意見でした。
笠井亮氏(共産)は、大震災と原発事故後、「被災者の生活と生業の再建が見通せず、復興が遅々として進んでいない要因の一つが、強力に進められた市町村合併と自治体職員の定数削減だった」ことを、具体的なデータ(岩手県、宮城県、福島県、茨城県の市町村数は2002年から40から50%減り、職員数も2005年比で10%前後削減されていた)を挙げながら指摘したうえで、「道州制導入の理由は、都道府県をなくして単位を大きくし、無理やり合併して減っている市町村をもっと圧縮しようとするもので、福祉、教育、暮らしに対するサービスの大幅低下になってしまう」と主張しました。
なお、西川京子氏(自民)は、「日本の国境を守る最先端にいるのは小さな地方の市町村」で、その「市町村の団体が反対している」からという驚くべき理由で、「道州制論議はひじょうに慎重にしていくべきだと思っている」と述べ、党の方針とは異なる意見を開陳していました。
衆議院議員面会所斜め前が総理官邸です。
これに対して、道州制の導入を主張する党派の発言を聞いていると、制度の内容、たとえば道州の権限や財源、国との役割分担、市町村との関係等のイメージがどこまで共有されているのかが明らかでなく、意味のある議論が行われているとは感じられませんでした。
しかしながら、土屋正忠氏(自民)は「憲法改正を行わないで道州制を導入する法案を検討している」、大口善徳氏(公明)は「道州制基本法の早期制定、内閣府に道州制推進本部の設置を求めている」、畠中光成氏(みんな)は「昨年3月に参議院に道州制移行のための改革基本法案を提出しており、党内でさらに議論を進め、法案の提出も予定している」と述べていましたので、今後、道州制の導入に向けた動きが一気に具体化する可能性もあり、警戒を強めていかなければならないと思いました。
永住外国人の地方参政権をめぐる論戦
もう一つ、会派間で議論が交わされたのが、永住外国人の地方参政権の問題で、自民、維新、みんなの3党が反対、公明と共産が賛成の意見を表明しました。なお、公明党は、日本人が地方参政権を付与されている国の国籍を有する永住外国人に対して、こちらも地方参政権を認めるという相互主義の立場を採っているということでした。
自民党の委員が挙げた反対の論拠は聞くに堪えないもので、西川京子氏は「日本は国籍を取る障壁はひじょうに低く、簡単に日本国籍が取れる。日本に永住して政治にも参画したいという思いがあるなら、是非日本国籍を取られて参政していただきたい」と述べていましたし、衛藤征四郎氏にいたっては、「わが国は国境の離島をたくさん持っている。たとえば与那国島は、議員の数は6人か7人で、150票くらいで当選する。もし、国境離島の与那国に日本国籍を持っていない者が150人でも200人でも移住したら、議会の賛成・反対はひっくり返ってしまう」という被害妄想と言うしかない珍説を披露していました。(G)
●審議状況は衆議院インターネットテレビで見ることができます。
→http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=42720&media_type=fp
●次回の衆議院・憲法審査会の予定
とき:5月9日(木)午前9時開始、約2時間ほどの予定
ところ:国会内衆議院・委員会室
議題:日本国憲法の各条章のうち、第九章「改正」の論点について
*法制局説明、各派意見表明、自由討議
▲傍聴希望者は、5月8日(水)昼までに百万人署名運動事務局までご連絡ください。(T/F03-5211-5415)
当日は、衆議院議員面会所に午前8時30分集合です。
自民党出席委員のあまりの少なさに苦言
この日の審査会では、各会派代表者の意見表明の途中までは40名前後、うち自民党は20~25名の委員が出席していましたが、自由討議が始まると30名強、自民党は12~14名(31名の半分以下)に落ち込んでしまいました。このありさまを見て笠井亮氏(共産)が、「今日の審査会は、他の委員会とそんなにダブっていないのに、一番開催しようと言っている自民党が相当空席がある。幹事は2人しか座っていない(注:自民党の幹事は6名)。無理なら日程を設定するのをやめた方がいいと思う」と指摘すると、保利耕輔会長(自民)は、「出席者の件については、十分に与党側に喚起しておきたいと思う」と答えざるを得ませんでした。
なお、公明党の3名の委員は(ときどき席を外すことはありましたが)全員出席していましたので、保利氏が「与党側」と言ったのは失礼な話で、はっきり「自民党」と発言すべきだったと思います。このやりとりを受けてお達しが回ったのか、しばらくすると自民党の委員が増えはじめ、閉会時には20名、全部で37名の出席者数になりました。
次回の審査会は5月9日(木)の開催予定ですが、自民党委員の出欠状況が変わるのか否か、またご報告したいと思います。
傍聴者は25人ほどで、百万人署名運動は4人で傍聴してきました。
多くの会派が道州制の導入を主張
この日は、全会派が「道州制」導入の是非に言及しました。維新の会とみんなの党は改憲のうえ導入すべき、自民党と公明党は導入すべきだが改憲は不要、民主党は中長期的に検討、生活の党は反対ではないが導入するなら現行憲法の範囲内でという立場を表明し、共産党のみが導入に反対という意見でした。
笠井亮氏(共産)は、大震災と原発事故後、「被災者の生活と生業の再建が見通せず、復興が遅々として進んでいない要因の一つが、強力に進められた市町村合併と自治体職員の定数削減だった」ことを、具体的なデータ(岩手県、宮城県、福島県、茨城県の市町村数は2002年から40から50%減り、職員数も2005年比で10%前後削減されていた)を挙げながら指摘したうえで、「道州制導入の理由は、都道府県をなくして単位を大きくし、無理やり合併して減っている市町村をもっと圧縮しようとするもので、福祉、教育、暮らしに対するサービスの大幅低下になってしまう」と主張しました。
なお、西川京子氏(自民)は、「日本の国境を守る最先端にいるのは小さな地方の市町村」で、その「市町村の団体が反対している」からという驚くべき理由で、「道州制論議はひじょうに慎重にしていくべきだと思っている」と述べ、党の方針とは異なる意見を開陳していました。
衆議院議員面会所斜め前が総理官邸です。
これに対して、道州制の導入を主張する党派の発言を聞いていると、制度の内容、たとえば道州の権限や財源、国との役割分担、市町村との関係等のイメージがどこまで共有されているのかが明らかでなく、意味のある議論が行われているとは感じられませんでした。
しかしながら、土屋正忠氏(自民)は「憲法改正を行わないで道州制を導入する法案を検討している」、大口善徳氏(公明)は「道州制基本法の早期制定、内閣府に道州制推進本部の設置を求めている」、畠中光成氏(みんな)は「昨年3月に参議院に道州制移行のための改革基本法案を提出しており、党内でさらに議論を進め、法案の提出も予定している」と述べていましたので、今後、道州制の導入に向けた動きが一気に具体化する可能性もあり、警戒を強めていかなければならないと思いました。
永住外国人の地方参政権をめぐる論戦
もう一つ、会派間で議論が交わされたのが、永住外国人の地方参政権の問題で、自民、維新、みんなの3党が反対、公明と共産が賛成の意見を表明しました。なお、公明党は、日本人が地方参政権を付与されている国の国籍を有する永住外国人に対して、こちらも地方参政権を認めるという相互主義の立場を採っているということでした。
自民党の委員が挙げた反対の論拠は聞くに堪えないもので、西川京子氏は「日本は国籍を取る障壁はひじょうに低く、簡単に日本国籍が取れる。日本に永住して政治にも参画したいという思いがあるなら、是非日本国籍を取られて参政していただきたい」と述べていましたし、衛藤征四郎氏にいたっては、「わが国は国境の離島をたくさん持っている。たとえば与那国島は、議員の数は6人か7人で、150票くらいで当選する。もし、国境離島の与那国に日本国籍を持っていない者が150人でも200人でも移住したら、議会の賛成・反対はひっくり返ってしまう」という被害妄想と言うしかない珍説を披露していました。(G)
●審議状況は衆議院インターネットテレビで見ることができます。
→http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=42720&media_type=fp
●次回の衆議院・憲法審査会の予定
とき:5月9日(木)午前9時開始、約2時間ほどの予定
ところ:国会内衆議院・委員会室
議題:日本国憲法の各条章のうち、第九章「改正」の論点について
*法制局説明、各派意見表明、自由討議
▲傍聴希望者は、5月8日(水)昼までに百万人署名運動事務局までご連絡ください。(T/F03-5211-5415)
当日は、衆議院議員面会所に午前8時30分集合です。