原発いらない福島のおんな・椎名千恵子さんが呼びかけて、10月26日に在日韓国YMCAで「脱原発運動のこれからを考える労働者・市民の集い」がありました。アメリカから来日されたスティーヴ・ゼルツァーさん(「レイバーフェスタ」主宰)から「3・11以降のアメリカ労働運動・ゼネスト・オキュパイ」の報告をうけ、日本側からも動労水戸、連帯ユニオン関生支部、東京西部ユニオン・アメリカンアパレル分会、「持たざる者」の国際連帯行動からの元気な報告がありました。
開会の挨拶で、椎名さんは、この集会を呼びかけた問題意識の底流となったものとして、今年の7月に約2週間かけて回った反原発アメリカ・カリフォルニアツァーでの体験をあげました。その中の「船上ツァー」は船の中で労働運動の歴史を学ぶものでしたが、そこで港湾労働者の抵抗運動の歴史に触れ、「世界をつくり支えているのは労働者。ならば、世界の流れを変えられるのも労働者」を実感したそうです。福島の不安と苦悩を解決するためにどうしたらいいのか、今の脱原発運動をさらに大きく広げるためにどうしたらいいのか、世界を変えたい!と思ったとき、労働運動が非常に大きな役割を持っているんだと腑に落ちたということでした。そして、市民が元気な労働運動と出会う場をつくりたい、そこから新たな変革のうねりをつかみたいと考えた、と思いを語りました。
集会呼びかけ人を代表して、経産省前テントひろばの江田忠夫さんが挨拶をしました。江田さんは、労働運動は日本の社会変革の流れに大きな影響を与える。脱原発運動は市民運動という形で闘われてきたが、いまや日本の権力・政府に対する闘いとなってきており、社会変革のための大きなチャンスだと語りました。そして、砂川闘争のとき労働者の部隊が来ると心強かったが、今日の集会が市民運動と労働運動の大きな合流の機会になればと思うと語りました。
スティーヴ・ゼルツァーさんは、現在の恐慌はアメリカの資本家がつくりだしたものだが全世界の労働者に影響を与えている。民営化・労組破壊が行われてきた。また戦争の問題、軍事化の問題ともつながっている。アメリカはアフガニスタン・イラクを破滅させ、今アジアの軍事化を行おうとしている。国内では失業が深刻化し、教育の民営化で若い人が大学に行けなくなっている。こういうことがオキュパイ運動をつくりだしてきた。この運動には若い人、年配者、個人、労働組合など広範な人々が含まれている。オキュパイ運動の中でテント村がつくられ、民主的な討論が行われている。大きな労働組合は企業の論理と同じで自由な討論はできない環境になっており、ここでの議論で労動者自身が教育されていると語りました。
また、日本政府が福島で行っていること、子どもを逃がさない等は犯罪だ。アメリカには104基の原発があるが非常に危険になっている。今回の椎名さんの訪米はインパクトがあり重要だった。福島の教訓をアメリカで生かしたい。そして、3.11を全世界的な反原発デーとして組織したいと訴えました。
動労水戸委員長の石井真一さんは、「被曝してもかまわない」というのがJR会社の体質だと弾劾し、「労働組合として、被曝から労働者を守る」と、被曝労働反対をストライキも駆使して全力で闘ってきたこと、その闘いが東労組の青年労働者の怒りと結びついたことなどを報告しました。
連帯ユニオン関西生コン支部・近畿地本書記長の西山直洋さんは、「生コン業界も原発と構造は同じ、重層下請け構造でトップは何も責任をとらないシステムだ」と資本を弾劾し、労働者が産業構造を下から変えていくんだと、大資本を相手に139日ものストライキを闘い、いま組合員拡大を猛然と取り組んでいることを明るく報告されました。
アメリカンアパレル分会の2人若い女性労働者からは、時給900円のアルバイトを転々とするなかで「あきらめの思想」になっていたが、福島の闘いに教えられ「プライドを取り戻して元気になった」という報告がありました。
彼女たちは、まずは自分の足元から変えていく、ということで、不当な解雇と闘うため地域ユニオンの分会を結成し団体交渉、そして解雇撤回を勝ち取り、「行動すれば勝てる」と確信したとのこと。3.11以降の反原発デモで叫んだ「すべての原発をなくそう、未来を返せ、仕事を返せ」の言葉が、「私自身の叫びになった」と言っていました。そして、「奪われてきたものを奪い返す」「つながっていけば新しいものをつくれる」「あきらめずに闘っていく」と、一つ一つの言葉にあらわされた感覚が、とてもすごいなと思いました。
「持たざる者」の国際連帯行動の原隆さんは、山谷をベースに活動されているとのこと。職や家を持つことができない人々、日雇い労働で生きている労働者、そうした社会の底辺にいる人々こそ、新自由主義グローバリゼーションへのプロテスター(抗議する者)で社会変革運動の担い手である、と話されていました。
全体の討論の中で、ゼルツァーさんが、アメリカでは民主党オバマか共和党ロムニーかの選択肢しかないが日本ではどうかと投げかけ、討論になりました。
ゼルツァーさんの提起は斬新でした。
「原発問題が示していることは労働組合の破産だ。それは資本主義の枠内でやっているからだ。原発は必要だと。しかし原発に未来はない。労働組合は未来のために闘わなくてはならない」、また「政治家の問題ではなくシステム(体制)の問題だ。仕事・教育・健康保険・年金を労働者に提供できないと、資本家が繰り返し労働者にあなたたちに未来はないと言っているとき、どうしてこのシステムを支えていかなければいけないのか」と。
そして「人民が立ち上がったときものすごい力を発揮する。労働者は全てをとめる力を持っている。資本家たちはそれを知っているから恐れて弾圧してきている。でも労働者はまだそれに気づかない。そのための組織を持っていない。私たちは世界的なオキュパイ運動の中で議論し、これをつくっていかなければならない」と。(S)
●椎名千恵子さんのアメリカ反原発ツアーの報告手記(A5版65頁、500円)が作られました。
百万人署名運動事務局でも取り扱っていますので、ご希望の方は郵送先(住所・氏名・電話番号)を書いて、メールかファックスでお申し込みください。
*代金(500円+送料80円)は、後日振込みか切手郵送でお願いします。
メール million@mqc.biglobe.ne.jp
FAX. 03-5211-5415
開会の挨拶で、椎名さんは、この集会を呼びかけた問題意識の底流となったものとして、今年の7月に約2週間かけて回った反原発アメリカ・カリフォルニアツァーでの体験をあげました。その中の「船上ツァー」は船の中で労働運動の歴史を学ぶものでしたが、そこで港湾労働者の抵抗運動の歴史に触れ、「世界をつくり支えているのは労働者。ならば、世界の流れを変えられるのも労働者」を実感したそうです。福島の不安と苦悩を解決するためにどうしたらいいのか、今の脱原発運動をさらに大きく広げるためにどうしたらいいのか、世界を変えたい!と思ったとき、労働運動が非常に大きな役割を持っているんだと腑に落ちたということでした。そして、市民が元気な労働運動と出会う場をつくりたい、そこから新たな変革のうねりをつかみたいと考えた、と思いを語りました。
集会呼びかけ人を代表して、経産省前テントひろばの江田忠夫さんが挨拶をしました。江田さんは、労働運動は日本の社会変革の流れに大きな影響を与える。脱原発運動は市民運動という形で闘われてきたが、いまや日本の権力・政府に対する闘いとなってきており、社会変革のための大きなチャンスだと語りました。そして、砂川闘争のとき労働者の部隊が来ると心強かったが、今日の集会が市民運動と労働運動の大きな合流の機会になればと思うと語りました。
スティーヴ・ゼルツァーさんは、現在の恐慌はアメリカの資本家がつくりだしたものだが全世界の労働者に影響を与えている。民営化・労組破壊が行われてきた。また戦争の問題、軍事化の問題ともつながっている。アメリカはアフガニスタン・イラクを破滅させ、今アジアの軍事化を行おうとしている。国内では失業が深刻化し、教育の民営化で若い人が大学に行けなくなっている。こういうことがオキュパイ運動をつくりだしてきた。この運動には若い人、年配者、個人、労働組合など広範な人々が含まれている。オキュパイ運動の中でテント村がつくられ、民主的な討論が行われている。大きな労働組合は企業の論理と同じで自由な討論はできない環境になっており、ここでの議論で労動者自身が教育されていると語りました。
また、日本政府が福島で行っていること、子どもを逃がさない等は犯罪だ。アメリカには104基の原発があるが非常に危険になっている。今回の椎名さんの訪米はインパクトがあり重要だった。福島の教訓をアメリカで生かしたい。そして、3.11を全世界的な反原発デーとして組織したいと訴えました。
動労水戸委員長の石井真一さんは、「被曝してもかまわない」というのがJR会社の体質だと弾劾し、「労働組合として、被曝から労働者を守る」と、被曝労働反対をストライキも駆使して全力で闘ってきたこと、その闘いが東労組の青年労働者の怒りと結びついたことなどを報告しました。
連帯ユニオン関西生コン支部・近畿地本書記長の西山直洋さんは、「生コン業界も原発と構造は同じ、重層下請け構造でトップは何も責任をとらないシステムだ」と資本を弾劾し、労働者が産業構造を下から変えていくんだと、大資本を相手に139日ものストライキを闘い、いま組合員拡大を猛然と取り組んでいることを明るく報告されました。
アメリカンアパレル分会の2人若い女性労働者からは、時給900円のアルバイトを転々とするなかで「あきらめの思想」になっていたが、福島の闘いに教えられ「プライドを取り戻して元気になった」という報告がありました。
彼女たちは、まずは自分の足元から変えていく、ということで、不当な解雇と闘うため地域ユニオンの分会を結成し団体交渉、そして解雇撤回を勝ち取り、「行動すれば勝てる」と確信したとのこと。3.11以降の反原発デモで叫んだ「すべての原発をなくそう、未来を返せ、仕事を返せ」の言葉が、「私自身の叫びになった」と言っていました。そして、「奪われてきたものを奪い返す」「つながっていけば新しいものをつくれる」「あきらめずに闘っていく」と、一つ一つの言葉にあらわされた感覚が、とてもすごいなと思いました。
「持たざる者」の国際連帯行動の原隆さんは、山谷をベースに活動されているとのこと。職や家を持つことができない人々、日雇い労働で生きている労働者、そうした社会の底辺にいる人々こそ、新自由主義グローバリゼーションへのプロテスター(抗議する者)で社会変革運動の担い手である、と話されていました。
全体の討論の中で、ゼルツァーさんが、アメリカでは民主党オバマか共和党ロムニーかの選択肢しかないが日本ではどうかと投げかけ、討論になりました。
ゼルツァーさんの提起は斬新でした。
「原発問題が示していることは労働組合の破産だ。それは資本主義の枠内でやっているからだ。原発は必要だと。しかし原発に未来はない。労働組合は未来のために闘わなくてはならない」、また「政治家の問題ではなくシステム(体制)の問題だ。仕事・教育・健康保険・年金を労働者に提供できないと、資本家が繰り返し労働者にあなたたちに未来はないと言っているとき、どうしてこのシステムを支えていかなければいけないのか」と。
そして「人民が立ち上がったときものすごい力を発揮する。労働者は全てをとめる力を持っている。資本家たちはそれを知っているから恐れて弾圧してきている。でも労働者はまだそれに気づかない。そのための組織を持っていない。私たちは世界的なオキュパイ運動の中で議論し、これをつくっていかなければならない」と。(S)
●椎名千恵子さんのアメリカ反原発ツアーの報告手記(A5版65頁、500円)が作られました。
百万人署名運動事務局でも取り扱っていますので、ご希望の方は郵送先(住所・氏名・電話番号)を書いて、メールかファックスでお申し込みください。
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