今日(4/10)、参議院議員会館で、映画「靖国」上映中止に至った事態に危機感を持つジャーナリストら“表現者”が緊急記者会見を行いました。
記者会見に参加されたのは下記の方たちです。
石坂啓(漫画家)、是枝裕和(映画監督)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、坂本衛(ジャーナリスト)、篠田博之(「創」編集長)、鈴木邦男(作家)、田原総一郎(ジャーナリスト)、土井敏邦(ジャーナリスト)、豊田直巳(「日本ビジュアル・ジャーナリスト協会」共同代表)、野中章弘(ジャーナリスト)、服部孝章(立教大教授)、原寿雄(ジャーナリスト)、広河隆一(「DAYS JAPAN」編集長)、安岡卓治(映画プロデューサー)、綿井健陽(ジャーナリスト)、ジャン・ユンカーマン(映画監督)、
4月12日に封切りが予定されていたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」。中国人監督・李纓(リイン)さんが10年かけて撮ったドキュメンタリー映画で、ナレーションはなく映像を撮ったときの現場の生の声のみで構成されているとのこと。田原総一郎さんも「偏向なし」と言い切りました。
その映画を神社新報や週刊誌が昨年末から「反日映画」と報道。今年に入って自民党の稲田朋美衆議院議員や自民党若手議員の勉強会「伝統と創造の会」(41人)が「問題あり」と封切り前の試写を求め、異例な形で3月12日に国会議員向け試写会が持たれました。事実上の「検閲」です!
これをきっかけとして、さまざまな政治圧力がかかったようで、上映を決めていた映画館がすべて上映中止を決めていくという事態となりました。田原さんは「映画館はやろうとしていた。しかし、その上の上の会社の役員たちが“よせ”と言ってきて、やむをえず上映中止とせざるを得なくなったのだ」と言っていました。
リ・イン監督も参加され、現在の上映中止で発表されている理由が不思議だと語りました。特に有村治子参議院議員(自民党)が直接出演者の刈谷さんに電話をしたということ、そして、刈谷さんが「出演している部分を削除してほしい」と言っている、と言ってきたことに、これまでの監督自身と刈谷さんとのやりとりの経緯からも「理解しがたい」と言っておられました。
国会議員からどのような圧力がかかったのでしょうか? 聞いていて、軍隊慰安婦問題でのNHK報道への安倍晋三議員らの圧力を思い起こしました。
参加者全員が発言しました。「表現の自由を守るためには圧力を受けたときに踏みとどまらなければならない。上映できないというのは、僕らが生きている日本の社会全体の危機だ」(野中)、「10年前には書けていたこと、見ることができた映像が、とっくに消えている。表現が奪われている。他国から見たら文化的にお粗末と思われているのではないか」(石坂)、「公共性の名の下に、表現の自由が狭められている」(是枝)、「質の悪い“自己規制”と闘っていかなければならない」(坂本)、「日常のジャーナリズム活動の中で、何を報道しなければならないか、もっと考えてほしい」(豊田)、「表現の自由は実践しなければ意味がない。映画を見なければ始まらない」(服部)、「生存権に基ずく知る権利を政治家が犯すことはできない」(広河)等々。最後に、呼びかけ人代表の土井さんが「表現の自由を守るために、ジャーナリスト、表現者のネットワークをつくっていこう」と呼びかけました。
4月7日には、「在京・在阪 民放テレビ10社 報道局長」の抗議声明も出されたそうです。ドンドン声をあげて、全国で「靖国」上映を実現しましょう!