許すな!憲法審査会

「とめよう戦争への道!百万人署名運動」ブログを改めて、改憲の憲法審査会動向をお伝えしていきます。百万人署名運動は、「改憲・戦争阻止!大行進」運動に合流しました。

見出しの(*)について
「日本国憲法の改正手続に関する法律」は一般に「国民投票法」と称されており、この傍聴記でも最近はそう表記していますが、今回は見出しだけではありますが略称としてより正確な「改憲手続法」を掲げておきます。

6月4日(木)10時から、今国会8回目の衆議院憲法審査会が開催され(古屋圭司会長が少し遅れて議場に入ってきたため、実際には10時3分頃始まりました)、「国民投票に関する集中的な討議」が行われました。
今回も最初に各会派の代表1人が7分以内で、続いて発言を希望する委員が5分以内で見解を表明しました。発言者は前半7名、後半6名の計13名でした。
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まず、この日の審議のポイントを簡潔に報じた『NHK』の記事を転載させていただきます。

衆院憲法審査会 国民投票をテーマに与野党が集中的な討議
『NHK ONE』2026年6月4日(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015140911000)

衆議院憲法審査会では国民投票をテーマに集中的な討議が行われました。自民党が投票環境を整備するための国民投票法改正案を今の国会に提出する意向を示したのに対し、中道改革連合は広告規制についての議論もあわせて進めるべきだと主張しました。

憲法改正の手続きを定めた国民投票法をめぐっては、4年前、自民党、公明党、日本維新の会などが、公職選挙法にあわせて投票環境を整備するための改正案を国会に提出し、審議入りしましたが廃案となり、自民党は今の国会に改めて提出したいとしています。

こうした中、4日の衆議院憲法審査会では、国民投票をテーマに与野党が集中的な討議を行いました。
自民党の新藤義孝元経済再生担当大臣は「公職選挙法で措置された項目は速やかに国民投票法に反映させるべきだ。公職選挙法改正の審議でも特に異論はなく、賛同会派と提出の準備を進めているので、次回の審査会で速やかな審議を行いたい」と述べました。

中道改革連合の河西宏一氏は「法改正については、各会派の合意が形成され、放送やネット広告の規制に関する議論を積み残すことなく、一定の結論を得る旨が担保されるのであればぜひ前に進めたい」と述べました。

日本維新の会、国民民主党、参政党、チームみらいは、すでに公職選挙法で実現している内容であり、速やかな合意を得やすいなどとして、賛同する意向を示しました。

一方、共産党は、国民の多くは改憲を求めておらず、そのための法整備は必要ないと訴えました。
* 引用、ここまで。

傍聴記に入る前に、今回の議論に関わる基本的な事項を簡単にまとめておきます。

① 日本国憲法の改正手続に関する法律は2007年に成立し、2014年にはいわゆる「3つの宿題」について、国民投票の投票権年齢や国民投票運動などに関する改正が行われた。

② その後、2016年に公職選挙法において投票環境の向上に関する改正が数次にわたり行われたことを受け、2018年に同様の規定の整備を行うための国民投票法の改正案が提出され、2021年に成立した。

③ この2021年改正法の成立に先立ち、2019年、公職選挙法では投票環境向上に関する改正として、開票立会人の選任に係る規定の整備と投票立会人の選任要件の緩和が行われた。

④ これを受けて、2021年改正法では下記の附則第4条が設けられた。なお。改正法の施行日は2021年9月18日であった。
【2021年改正法附則第4条】
国は、この法律の施行後3年を目途に、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
一 投票人の投票に係る環境を整備するための次に掲げる事項その他必要な事項
イ 天災等の場合において迅速かつ安全な国民投票の開票を行うための開票立会人の選任に係る規定の整備
ロ 投票立会人の選任の要件の緩和
二 国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項
イ 国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限
ロ 国民投票運動等の資金に係る規制
ハ 国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策

⑤ 2022年には、「AM放送の放送設備で行うこととされていたラジオ放送による政見放送について、FM放送の放送設備においても放送できることとする」公職選挙法の改正が行われた。

⑥ 上記の2019年及び2022年の公職選挙法改正を踏まえ、国民投票法についても同様の規定の整備を行うためとして、2022年4月27日、自由民主党、日本維新の会、公明党及び有志の会の共同提案により「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」が提出されたが、2024年10月9日に行われた衆議院の解散により廃案となった。
 

以下、傍聴記です。

成立に向けて動き出した公職選挙法に合わせた3項目の「国民投票法」改正案

この日も最初に発言した自民党の新藤義孝与党筆頭理事は、冒頭で「すでに公職選挙法で措置されている開票立会人の規程整備、投票立会人の要件緩和、FM放送による広報については速やかに国民投票法に反映させるべき」だとして、「現在この3項目案の改正案の提出に向けて準備を進めており、提出され次第速やかに法案審議に入ることを提案したい」と述べました。

そして審査会翌日の6月5日には、2022年改正案の提出者であった自民、維新に加えて国民民主党、参政党の4党の9名が改正案を提出しています。それならばなぜ新藤氏は「現在準備を進めている」ではなく「明日提出する予定である」と言わなかったのか、不誠実な発言だったと思います。また、あらためて最近の国民民主党の変節ぶりを思い知らされました。

この改正案に明確に反対したのは共産党の畑野君枝氏だけでした。提出者に国民と参政が名を連ねており参議院でも過半数を確保していますので、今国会中に衆参両院を通過して成立することはほぼ確実だと思います。

2021年改正法附則第4条二号の検討は店ざらしのまま

上記の改正案は2021年改正法附則第4条一号に対応し、あわせて2022年の公職選挙法改正に合わせて国民投票時の広報にもFM放送を利用できるようにしようとするものであり、附則第4条二号の課題は置き去りにされたままになっています。

新藤氏は発言の最後に「この点について今後憲法審査会においてさらに議論を深めていくことをお約束する」と述べていましたが、その前には「ネットCMについてはそもそも規制できるかについて大きな課題がある」、「ネットを通じた国民投票運動のあり方やファクトチェックについて議論してきたが、自主的な取り組みに委ねてほしい、効果的なチェックは難しいなどの意見が多かった」、「資金規制については様々な課題があり、理念的にも実務的にもかなりの困難を伴うものも想定される」などと当事者とは思えない無責任な発言を繰り返しており、まるでやる気が感じられませんでした。

これに対して、中道改革連合の立場は、前公明党の河西宏一氏によれば「我が会派は、国民投票法のいわゆる3項目の法改正については、各会派の合意が形成され、かつ、放送CMやネットCMに関する議論を積み残すことなく一定の結論を得る旨が何らかの手段で担保されるのであれば、是非前に進めたい」というものです。「我が会派」という言い方も気になりましたが、「一定の結論」とか「何らかの手段」とか持って回った言い方で何を意味しているのかさっぱりわかりませんでした。
河西氏は、「2021年改正法附則第4条が定めたCM規制、資金規制、ネット等の適正利用に関する検討期限(注:2021年9月18日の施行後3年)はすでに大きく超過している」とも指摘していましたが、このような現状では中道が今回の改正案に賛成してしまうのではないかと危惧します。

議論すらされない国民投票法の根本的な欠陥

国民投票法をテーマとしたこの日の議論は、ほぼ「2021年改正法附則第4条」のみをめぐって交わされましたが、もちろん国民投票法の課題はそれだけではありません。
そのことを指摘したのは共産党の畑野君枝氏だけでした。残念ながら他の会派の委員には馬耳東風という感じで議論は広がりませんでしたが、以下、少し詳しく紹介したいと思います。

第一に、最低投票率の規定がない。現行法は投票率がどんなに低くても国民投票が成立する仕組みになっているため、有権者の1割から2割台の賛成しかなくても改憲案が通ってしまう。これでは国民の意思を正確に反映しているとは到底言えない。」
第二、に公務員や教員の国民投票運動を不当に制限している。国民投票の大前提は、国民が自由闊達に意見を表明し多様な意見に接し改憲案の内容を十分に検討できることだが、現行法は公務員や教員に地位を利用した国民投票運動を禁止しており、その対象は国や地方の公務員、大学の教員から幼稚園の先生に至るまで500万人に上ると言われている。定義の曖昧な地位の利用を理由にこれほど多くの国民の投票運動を制限することは許されない。」
第三に、改憲案に対する広告や意見表明の仕組みが公平公正なものになっていない。資金力の多い方がテレビなどの有料広告の大部分を買い占めてしまい、憲法がお金で買われるおそれが繰り返し指摘されているが、現行法にはそれに対する実効性のある措置がない。」
「国会につくる広報協議会も委員の大多数は改憲に賛成した会派から割り当てられる。広報の内容も改憲に賛成する意見が大部分を占め、改憲を進めるのに都合のよい仕組みになっている。」
このように、畑野氏は現行の国民投票法は「重大な問題を抱えた欠陥法だ」と断じ、「これらの根本的な問題について真摯に向き合うことこそ必要だ」として、さらに次のように指摘しました。
「そもそも議員や首長を選ぶ選挙と改憲の賛否を問う国民投票は全くの別物だ。現行の公選法は国民の選挙運動を幅広く制限するべからず法であり、公選法並びでいいのかということ自体が問われなければならない。公務員や教員の選挙運動を制限しているのも公選法にならった結果にほかならない。」


最低投票率などの問題は2007年の国民投票法成立時に(2014年の改正時にも)参議院の附帯決議で指摘されており、足かけ20年の課題です。これをないがしろにして公選法並びの安易な法改正のみによって改憲発議、国民投票に向かおうとすることなど絶対に認められません。
全国労組交流センタ―資料(2007年)
(2007年当時の「全国労組交流センター」の職場討議資料より)


最後に、今回も国民民主党の玉木雄一郎氏の発言を紹介しておきます。
「最大のフェイクニュース対策は、この憲法審査会での議論の現実を正確に発信することではないか。 例えば自民党の自衛隊明記論で自衛隊の権限が大きく拡大するような説明は事実に反する情報だと思うし、自衛隊明記論で新型軍国主義が台頭するかのごとき説明は明らかなフェイクニュースだ。また、緊急事態条項の5会派案で内閣の権限が際限なく膨らみナチスが復活するかのごとき言説もフェイクだ。
ネット上のフェイクニュースを心配する前に私たちが極力扇動的な言動や行動を控え冷静な憲法論、法律論を展開することが最大のフェイクニュース対策になると考えるので、議場にいらっしゃる与野党の議員の皆さんの協力、理解を求めてまいりたいと思う。」
いったい何を言いたかったのか、傍聴者の中でも話題になった謎の発言でした。
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この日の審議は、11時20分頃終了しました。
傍聴者は50人弱で前回より10人ほど増え、議場にいた記者は前回と同じく3人ほどで、今回はTVカメラは入っていませんでした。(銀)


5月27日(水)は参議院憲法審査会の「幹事懇談会」だったため、次週の6月3日(水)に今国会4回目の参議院憲法審査会が開かれました。ところがこの日は大型台風接近での悪天候!そのため国会傍聴は見合わせ、急遽インターネット中継での「傍聴」となりました。

5月14日(木)の衆議院憲法審査会で、衆議院法制局・衆議院憲法審査会事務局による「緊急事態条項」イメージ(案)提出が強行されたのを受けて、この日の参議院憲法審査会では、参議院法制局長と参議院憲法審査会事務局長から「緊急事態対応・緊急集会について」の説明を受け、質疑応答するという形になりました。(翌週6/10の憲法審では、憲法学者の長谷部恭男氏と只野雅人氏の意見陳述がなされる)

おかしな話なのですが、同じ国会の法制局でも、なぜか衆議院と参議院では憲法をめぐっての解釈の仕方が微妙に違うようです。特にこの「参議院の緊急集会」問題ではそれがはっきりと表れていました。
「緊急集会」について衆議院法制局では「一時的、限定的なもの」ととらえているのに対し、参議院法制局では「民主政治を徹底させる上で緊急事態に対応するすぐれた制度」との考え方に立っています。
参院憲法審

まず最初にこの日の審議が短く要約された記事を紹介します。

参議院憲法審査会 緊急事態対応と緊急集会テーマに意見交換
『NHK ONE』2026年6月3日

参議院憲法審査会が開かれ、緊急事態対応と緊急集会をテーマに意見が交わされました。自民党は選挙の実施が困難な場合に国会議員の任期を延長する憲法改正が必要だと主張したのに対し、立憲民主党は参議院の緊急集会で対応すべきだとして反対しました。

この中で、自民党の古賀友一郎氏は「憲法に緊急事態条項を設けておくのは、どのような状況に陥っても国家の機能を維持するためだ。緊急事態が発生した際に国会議員の任期を延長し、二院制の国会を維持するための憲法改正は必要だ」と述べました。

一方、立憲民主党の辻元清美氏は「歴史の教訓からも緊急時は参議院の緊急集会で対応すべきだ。時の政府による恣意的な裁量が入りかねない議員任期の延長のための改憲には反対だ」と述べました。

このほか、国民民主党と公明党、日本維新の会は、選挙の実施が困難な場合に、国会議員の任期を延長する憲法改正に賛成または理解を示しました。

参政党は、感染症のまん延は緊急事態として認められないと主張しました。
共産党とれいわ新選組は、緊急事態には参議院の緊急集会で対応できるとして改憲に反対しました。
*引用ここまで。


川崎参議院法制局長による説明要旨

最初に、川崎 参議院法制局長と本多 参議院憲法審査会事務局長からの説明聴取がありました。
川崎 法制局長の説明の一部を要約すると下記のようなものでした。

(緊急集会について)
*衆議院が解散されると、参議院は閉会となる。その間に緊急の案件が生じた場合対処するために設けられたのが参議院の緊急集会制度である(憲法54条)。
*旧憲法(大日本帝国憲法)では、緊急の必要がある場合における緊急勅令や緊急財政処分などの制度が設けられていたが、現憲法では「国民の権利を十分擁護するために政府による緊急措置は極力防止すべき」という考え方からそのような規定は入れなかった。
*緊急集会という方法をもって予測すべからざる緊急の事態に対し暫定の措置をとり得る方途を規定した。
*54条の規定は、できる限り早期に衆議院の総選挙が実施されることを強く働きかけるものであり、緊急事態から通常時への復元力の高い仕組みとなっている。

(緊急事態法制と緊急集会)
*行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくし、特殊の必要が起これば臨時国会を招集して対処する。
*緊急事態については、順次法律が整備され、これらに対処するための特別な権限や措置が規定されており、それに対しては、国民の権利自由の制約となることなどから、あるいは国会による民主的統制を及ぼすため、参議院の緊急集会も含む国会の措置・承認、国会への報告など国会の関与が規定されている。
[災害対策基本法、新型インフルエンザ等対策特別措置法、(武力攻撃等)事態対処法、重要影響事態安全確保法、警察法、自衛隊法、国民保護法等]


自民・維新は「議員任期延長」と「緊急政令」必要と主張

参議院法制局長の説明を受けても、自民・維新はあくまで「緊急事態条項」創設を主張しました。
「我が国を取り囲む安全保障環境は日々変化している」「我が国がどのような状況に陥っても国家の機能を維持するために、法律や予算に代わる内閣の緊急政令や緊急財産処分の制度を憲法上定めておくべき。」(自民・古賀議員)
「緊急事態が発生し、選挙の実施が70日を優に超えることが明白な場合は緊急集会だけでは対処困難で、緊急事態条項がどうしても必要。」(維新・柴田議員)

その中で、「憲法に緊急政令等がないために、国難というべき事態のときに極めて大きな支障が生じたり時間を費やした」として阪神・淡路大震災で放置車両が動かせなかったことや、東日本大震災での被災者の二重ローン返済猶予などの措置が迅速にとれなかった事例をあげて「このような場合にも緊急政令は絶対に必要です」(自民・加田議員)と主張したことには、びっくりしました。
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立憲・共産・れいわは「議員任期延長」「緊急政令」必要なしと主張

いずれも、「二度と国による戦争を許してはならない」という立場からの意見表明でした。

(立憲:辻元議員)
「日中戦争のさなか、1941年3月、翌年4月の任期満了の直前に衆議院議員任期延長に関する法律が特別措置され、1年間の任期延長が決められました。この延長された1年間に一体何が起こったのか。
当時、日中戦争では、中国大陸が戦場で、日本国内では日常生活が営まれ、選挙は可能な状況だったと思われます。にもかかわらず任期を延長したのです。この延長の前年、1940年2月には斎藤隆夫議員の反軍演説があり、日中戦争に批判的な風潮が広がりつつありましたが、斎藤隆夫議員は見せしめのように議会を追放され、同年10月に大政翼賛会が発足しました。この翌年、任期延長から8か月後の12月8日、真珠湾攻撃に踏み切ったのです。そして、この開戦の翌年4月に翼賛選挙を挙行し、議会での反対の声を封じ込め多数を取り、大政翼賛体制を固め、緊急勅令を乱発し、戦争の泥沼に突っ込んでいったのでした。
政府と軍の挙国一致の戦時体制を完成させ、開戦に踏み切るために時の政府が恣意的に選挙を1年遅らせたと言わざるを得ないのではないでしょうか。」
「このような歴史の反省の下に、憲法制定議会では、緊急時には緊急勅令を排し、戦前のように時の政府の恣意的な判断が選挙に入る余地を残す衆議院議員の任期延長ではなく、参議院での緊急集会が憲法54条に制定されたと私は考えます。」

(共産:山添議員)
「緊急政令であれ議員任期の延長であれ、緊急事態が長く続くことをことさら強調して改憲を主張するのは、戦争を想定するからです。異論を封じ、国家の都合で国民を動員し、国策に協力させるためです。それは行ってはならないというのが歴史の教訓です。」

(れいわ:奥田議員)
「憲法の鎖を引きちぎった暴走政治屋たちが、先週5月27日、国家情報局設置法を成立させてしまった。これは戦前の治安維持法に酷似。80年の眠りから覚め、再び全国民の自由や命を最大限に制限できる法律を作ってしまった。本当に近い将来、戦争反対と言っただけで逮捕されるかもしれない悪法。」
「80年前に他国を侵略しまくった日本政府が、権力を私物化し、暴走し、310万人もの国民の命を奪ってしまったさきの戦争。もう戦争なんて懲り懲りだと後悔した先人たちが命をつなぐためにつくった平和への道、知恵、それが憲法。」


憲法全体をつくり変えるべきと主張する参政党

参政党の塩入議員は、「憲法とは、その国の国民自身が自国の歴史、文化、伝統、価値観に基づきどのような国をつくるのかを主体的に定めるもので、今の憲法はGHQに押し付けられたものだから日本人の手でつくり変えるべき」と表明しました。まったくデタラメな憲法観だ!と聞いていましたが、「なぜ今改めて憲法上の緊急事態条項が必要なのか。その背景には、戦争や武力行使といった国家存立に関わる危機への意識の高まりがある」、「まずは、9条に自衛隊の位置づけ、その権限を定めるべき」、さらに「長期緊急事態を想定するなら、自衛権、情報戦、スパイ対策、国民保護の議論をすべき」「認知戦や世論工作、企業・土地・インフラの買収、サイバー攻撃からの防衛のため、包括的な憲法、法制度の議論が必要」と展開するに及んで、これは、いま高市政権の下でどんどん実行されていることではないか!と危機感と怒りが沸きました。
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明文改憲攻撃は、現実に進んでいる戦争法(国家情報局設置法、入管法改悪、国旗損壊罪、スパイ防止法等)制定、大軍拡(安保3文書大改定、武器輸出禁止原則解体、非核3原則見直し等)として日々強行されています。国論を二分する情勢をつくり出して戦争法と大軍拡を阻止・粉砕し、すでに始まっている戦争を何としても止めましょう!(S)





諸般の事情により、傍聴記がだいぶ遅くなってしまいましたが、前々回の衆議院憲法審査会の内容を報告します。
5月28日(木)10時から、今国会7回目の衆議院憲法審査会が開催されました。この日のテーマは「日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正を巡る諸問題」とされ、一体何を議論するのだろうと思っていましたが、各会派の委員が今後の憲法審査会で議論すべきと考えるテーマを提起し、意見を述べるという感じでした。

前回まで新藤義孝与党筆頭幹事(自民)が強引に引っ張ってきた緊急事態条項及びその「イメージ案」についての議論が、当面はこれ以上進展する見込みがないということで次のテーマに進もうということのようですが、この日の発言で新藤氏は自民党に有利な「イメージ案」を土台に条文起草委員会設置を主張するなど怒りに堪えませんでした。
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いつものように、最初に各会派の代表1人が7分以内で、続いて発言を希望する委員が5分以内で見解を表明しました。発言者は前半7名、後半6名の計13名でした。
今回も、まず前半の各会派代表の意見を簡潔に報じた『NHK』の記事を転載させていただきます。

衆院憲法審査会 今後議論すべきテーマで討議
『NHK ONE』2026年5月28日

衆議院憲法審査会では、衆議院法制局などが作成した緊急事態条項のイメージ案をもとに、今月、2回の討議が行われ28日は、今後議論すべきテーマについて各党がそれぞれの見解を述べました。

自民党の新藤(義孝)元経済再生担当大臣は「緊急事態条項のイメージについて論点が整理され、議論の土台ができたので条文起草の実現を図りたい。国防規定の創設は緊急事態条項の創設とともに憲法の未完成部分を補い、国家の法体系を完成させるものだ」と述べました。

中道改革連合の階(猛)幹事長は「国会機能の維持は緊急事態のみでなく、通常事態も想定して議論を深めるべきだ。臨時国会の召集期限の設定や解散権行使の制限について、緊急時の議員任期延長とセットで検討すべきだ」と述べました。

日本維新の会の馬場(伸幸)前代表は「緊急事態条項と同様に憲法9条を集中的に討議し、成案を得るべきだ。参議院選挙の合区解消を優先すべきだという声が大きくなりつつあるが、国家的有事への対応が死活的に重要だ」と述べました。

国民民主党の飯泉嘉門氏は「衆議院で一定の積み上げがある選挙困難時における議員任期の延長と、参議院で議論が進む合区解消という民主主義の基盤整備に関する2つのテーマを優先すべきだ」と述べました。

参政党の和田(政宗)国会対策委員長は「憲法を一から国民の手でつくり直す『創憲』を提起する。現行憲法はGHQ草案に基づき占領下で制定されたもので、国民の自由な意思に基づいてつくられていない」と述べました。

チームみらいの古川(あおい)政務調査会長は「投票環境向上と国民投票法、オンライン国会を提案する。災害などの制約下でも民主主義を動かし続ける制度整備で、会派の意見の別を超えて議論できる」と述べました。

共産党の畑野君枝氏は「国民の多数が改憲を求めていない中、改憲をあおり、押しつけるような議論はやめるべきだ。今こそ憲法9条の精神が世界平和のためにも求められている」と述べました。

* 引用、ここまで。()内の名前は引用者が補いました。

以下、私が特に注目すべきだと感じた何人かの発言を取り上げて少し詳しく紹介したいと思います。

自民、維新はそろって9条改憲を主張するも、相違点明らかに

この日、自民党(新藤義孝氏と後半で発言した星野剛士氏)と維新の会(馬場伸幸氏)、そして参政党(和田政宗氏)は9条改憲の必要性を強調しましたが、それぞれの中身はだいぶ異なっていました。
自民党は現行憲法の9条1項、2項は変えずに国防規程として9条の2を新設し自衛隊を明記すること、維新の会は9条2項を削除して自衛権や国防軍を明記すること、参政党は国家としての国防のあり方を根本から議論して抜本改正することを主張しています。

維新の馬場氏は「自衛隊は張り子の虎に過ぎない」、「9条2項の規定は丸腰、ノーガード状態を宣言したに等しく、それを甘受し続ける惰弱な日本に対して周辺の独裁者たちはほくそ笑んでいるだろう」、「座して死を待ったり困ったら米国にすがりついたりするのはまともな国も振る舞いではない」などと刺激的な発言を連発していましたが(こんな根拠のない屁理屈が通用すると考えているのだとすれば、ずいぶん有権者を馬鹿にした話だと思います)、自民の新藤氏、星野氏の発言はもう少し複雑でした。

星野氏によれば(新藤氏も同趣旨の発言をしていました)、「現行9条の下では必要最小限度の実力行使しかできないという指摘があるが、自衛隊の活動は限定的な集団的自衛権の行使を含め自国防衛のための措置ならば必要かつ十分に何でもできるように一般法で整理されている。できないこととは、他国を占領し占領行政を敷くとか我が国の防衛と関係のない国際協力の場面で武力を行使することなどに限定されていると政府の見解として整理されている」のだそうで、馬場氏の意見はとんでもない見当違いだということになります。

ただ、それならなぜ9条改憲、自衛隊明記が必要なのか。新藤氏は、「一般法の根拠となる憲法には、誰がどのような手段で国を守るのかという国家の最重要任務に関する国防規定が定められていない」、「自民党の案は緊急事態条項の創設とあわせて日本国憲法の未完成部分を補い、憲法を頂点とする国家の法体系を完成させようとするものだ」と強調しました。

「国家の法体系」云々と言っていますが、本音は今の9条下ではできない「他国の占領」=侵略戦争を「自国の防衛」と称してできるようにしたいのでしょう。
高市首相の「台湾有事は日本の存立危機事態」認識と決断のもと、自衛隊はすでに敵基地攻撃能力(長距離ミサイル配備)をどんどん進め、世界中で侵略戦争を繰り返している米軍と頻繁に軍事演習をやっています。日本は「攻められる」のではなく「攻めようとしている」のは明らかではないでしょうか。
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緊急事態条項、合区解消、国民投票法改正の見通しは?

新藤氏は、このほか「緊急事態条項」について「直近2回の審査会で論点が整理され、議論の土台ができた。条文起草の取り組みについて実現を図っていきたい」と述べ、参議院の「合区解消」も「喫緊の課題であり早急に議論すべき論点だ」、「国民投票法の整備についても議論が必要だ」と主張しました。

このうち合区解消については、飯泉嘉門氏(国民民主、前の徳島県知事でした)と後半に発言した若林健太氏(自民)も取り上げ、和田政宗氏(参政)も賛意を示しましたが、与党の一角を占める維新の馬場伸幸氏が「緊急事態条項と9条を差し置いて平時の選挙のための区割りの見直しに駆け込もうとする姿勢には疑念を抱かざるを得ない」との暴論を吐いていましたし、法改正で対処できるので改憲は必要ないという議論や参議院との関係もありますので、今国会で議論が進む可能性はほぼないように思われます。

また、国民投票法については、古川あおい氏(チームみらい)が指摘したように様々な論点がありますが、後半に発言した池端浩太朗氏(維新)や中山泰秀氏(自民)の議論を聞く限りでは、2022年に自民、維新、公明、有志の4会派から提出され24年に廃案となったいわゆる公職選挙法並びの3項目案を近く再提出し今国会で成立させようとしています。
その内容は、開票立会人の選任に関する規定の整備、投票立会人の選任要件の緩和、ラジオによる改憲案の広報の放送へのFM放送の追加であり、改憲派にとっても今これだけを取り上げて国民投票法を改正する必要は全くないと思うのですが、彼らとしてはたとえ些細な事項でも法改正を実現して「やってる感」をアピールしようと狙っているのかもしれません。

中道改革連合が通常時の国会機能の維持についても指摘

この日、中道改革連合からはいずれも前立憲民主党の階猛氏と泉健太氏が発言し、国会機能の維持については、発生確率が極めて低い緊急事態だけでなく、通常時における臨時国会の召集期限の設定や解散権行使の制限についても議論を深めるべきだと主張しました。

その理由を階氏は次のように説明しています。
「この議論の必要性と重要性は過去1年の国会の動きを見ても明らかだ。昨年は物価高が進む中で実質4か月も臨時国会が開かれず、自民党は党内政局に明け暮れていた。今年は任期を2年8か月も残して通常国会の冒頭に衆議院が解散され、真冬の厳しい天候の中800億円以上の巨額の経費と関係者の膨大な労力を費やして総選挙が執行された。その結果本予算の審議入りが例年より1か月も遅れて2月末となり、イラン情勢への対応も後手に回った。この1年、国会は十分に機能したとは言えない。」

「ご説ごもっとも」というほかありません。階氏と泉氏は制度設計の方向性や具体案も提起していましたが、自民党の幹事、委員たちはどう聞いたのでしょうか。ただ、階氏も泉氏も緊急事態条項と臨時国会の収集期限及び解散権行使の制限は「セット」で検討すべきだという趣旨の発言をしていたのは残念でした。緊急事態条項は必要ないという立場のあいまいさを感じました。
ぎもん

最後に、悪い意味といい意味で印象的だった発言を1つずつ紹介しておきます。
悪い方は国民民主党の玉木雄一郎氏で、「今日を除けば今国会での憲法審はあと6回だ」が、「高市総理(と言った後まずいと思ったのかすぐに自民党総裁と言い直しました)のおっしゃる来春の発議のめどにこのやり方で本当にたどり着くのか、率直な危機感を感じている」と述べました。玉木氏は毎回同様の発言を繰り返していますが、なぜ与党でもない政党の議員が自民党総裁の設定したスケジュールが実現しそうもないことを心配するのか、「危機感」ではなく強烈な「違和感」を覚えます。

いい方は共産党の畑野君枝氏で、氏は自民党政権が集団的自衛権の行使容認や敵基地攻撃能力の保有、殺傷兵器の輸出解禁など軍事強化と戦争する国づくりを進めてきたことを厳しく批判した後、冤罪と再審法の問題に言及して、「冤罪は無実の人の自由を長期間にわたって奪い、個人の尊厳も名誉も蹂躙する国家による最大の人権侵害の1つだ」、「日本国憲法が世界に類を見ないほど詳細な刑事手続きの保障を定めているにもかかわらず冤罪が繰り返されてきた」と指摘したことです。

この日の審議は、11時25分頃終了しました。
傍聴者は40人弱で前回の3分の2くらい、議場で取材していた記者は前回と同じく3人ほどで、最初1台だけ入っていたTVカメラは途中で撤収してしまいました。(銀)



5月21日(木)10時から、今国会6回目の衆議院憲法審査会が開催され、前回に引き続き「緊急事態条項のイメージ案」について討議が行われました。

最初に指摘しておかなければならないのは、この日のテーマが、前回の審査会での新藤義孝与党筆頭理事(自民)の「来週の定例日にもう一度緊急事態条項のイメージについての討論を行ってはどうかと提案したい」との発言を受け、そのとおりに設定されたものであるということです。新藤氏の専横ぶりは目に余りますが、それがまかり通っているのが衆院憲法審の現状です。

今回も批判の材料には事欠かない議論が展開されましたが、その報告に入る前に前回の衆院憲法審の後に持ち上がった出来事を一つ報告し、その重大な意味を指摘しておきたいと思います。

yurusuna

参院の立憲民主党への「イメージ案」の説明を拒んだ衆院法制局と橘幸信氏の「中立性」への疑義

まず、次の2つの記事をお読みください。

立民に説明せず「法制局の意向」 改憲イメージ案、自民が関与否定
『時事ドットコムニュース(時事通信 政治部)』2026年5月19日

立憲民主党の小西洋之憲法調査会長は19日の党会合で、憲法改正を巡り、衆院法制局などがまとめた緊急事態条項の「イメージ案」の説明聴取を、自民党が認めなかったと主張した。これを受け、自民の磯崎仁彦参院国対委員長は立民の斎藤嘉隆国対委員長に電話し、「法制局の意向だ」と関与を否定した。

小西氏は、衆院憲法審査会の与党筆頭幹事を務める自民の新藤義孝氏の指示によるものと訴えた。しかし、新藤氏は記者団の取材に「参院側のことを判断する立場にない」と反論。斎藤氏が、磯崎氏に事実確認を求めていた。

磯崎氏は「法制局から『(イメージ案は)中間的なもので、参院側に説明するに至らない』と相談があり、新藤氏が追認した。自民が主体的に阻んだものではない」と回答した。

これに対し、斎藤氏は20日の参院憲法審幹事会で詳細を明かすよう要請。この後、記者団に「衆院で議論の材料になっている資料の説明を、参院にする必要がないという判断は問題だ」と述べ、法制局の対応を批判した。
 

松山参院会長、合区解消「2年後の参院選までに」 参院自民「改憲実現議連」2回目会合
『産経新聞』2026年5月22日

自民党の参院議員でつくる「憲法改正実現議員連盟」(会長・中曽根弘文憲法改正実現本部長)は22日、国会内で2回目の会合を開いた。…(中略)…
中曽根氏は会合で、改憲の是非を問う国民投票に向けた機運醸成を図るため、各議員らに「地元で集会を開き、国民運動を展開してほしい」と呼びかけた。衆院法制局の橘幸信特別参与らが戦後の改憲論議の過程などについて講演した。…(後略)…
* 引用、ここまで。

これらの記事からわかることは、衆院法制局は参院の立憲民主党の会合(上掲の記事には明記されていませんが他社の報道によれば党の憲法調査会です)から求められた「イメージ案」の説明を拒否する一方で、参院自民党の会合(憲法改正実現議員連盟)では同局特別参与の橘幸信氏が講演を引き受けたということ、つまり自民党の要請には応じ立憲民主党の依頼は断ったということです(注※)。これは一体どういうことでしょうか。衆院の法制局、あるいは橘氏がいくら中立性を強調してもとうてい信じるわけにはいきません。

※ その後5月26日に立憲民主党憲法調査会は橘衆院法制局特別参与から「イメージ案」の説明を受けたそうです。『時事通信』によれば、「橘氏は衆院憲法審査会幹事会からの要請で作成したとした上で『(幹事会側の)了解が得られるまでは通常の議員立法のように他会派への説明は控えていた』と釈明したそうですが、いかにも苦しい言い訳でとても信じられません。

もうひとつ、橘氏の中立性を疑わせる「証拠」を挙げておきます。
橘氏は昨年末に衆議院法制局長を退任しましたが、今年初めすぐに同局の特別参与に就いています。その後いくつかのメディアがインタビュー記事を掲載しており、「国民のしもべという矜持」(『朝日』)とか「法の職人」(『毎日』)とか歯の浮くような見出しを付けてこれまでの仕事ぶりや人物像を好意的に描いているのですが、『産経』の記事(「憲法論議の肝は『偉大なる妥協』 前衆院法制局長・橘幸信氏に聞く」『産経新聞』2026年1月12日)にこんな見逃せない部分がありました。

――1日付で衆院法制局の特別参与に就任した
「憲法と皇室典範を担当するように言われた。憲法については、衆院憲法審査会長や会長代理らから『引き続きやってくれ』と要請もあった」
――昨年12月に約8年務めた法制局長を退任した
改憲のルールを定めた国民投票法の整備など25年にわたり憲法に関わってきた。成果物として改憲の賛否を問う初の国民投票を見たいという気持ちは正直ある」

「初の国民投票を見たい」と広言する人物が衆議院で憲法を担当する最重要のポストに就いていること、しかもそれが憲法審の会長や会長代理、つまり与野党の筆頭幹事の要請によるものであったことをけっして許してはいけないと思います。私たちには今、この体制をすぐにひっくり返せる力量はありませんが、衆院の事務局が標榜する「中立性」を疑え!だまされるな!と声を大にして訴えていきましょう。
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* * * * * * *

続いて傍聴記に進みます。いつものように、最初に各会派の代表1人が7分以内で、続いて発言を希望する委員が5分以内で見解を表明しました。発言者は前半7名、後半5名の計12名でした。
まず、前半の各会派代表の意見を簡潔に報じた『NHK』の記事を転載させていただきます。

衆議院憲法審査会 緊急事態条項イメージ案もとに2回目の討議
『NHK ONE』2026年5月21日

衆議院憲法審査会で緊急事態条項のイメージ案をもとにした2回目の討議が行われ、各党がそれぞれ見解を述べました。

衆議院憲法審査会では、衆議院法制局などが先に作成した、大規模な自然災害や感染症のまん延などを緊急事態と定義し、この際には議員任期の延長や、内閣が法律と同等の効力を持つ「緊急政令」を制定できるなどとした緊急事態条項のイメージ案をもとにした2回目の討議が行われました。

自民党の新藤元経済再生担当大臣は「『緊急政令』などは究極の手段として国家機能を維持し国民の生命・財産を守ろうとするもので、積極的に使うことは想定しなくても当然備えるべきものだ」と述べました。

中道改革連合の国重徹氏は「議員任期の特例を検討する際は乱用の危険を防ぐため、要件を厳格に定めることが不可欠だ。核心部分は憲法に定めるべきでさらなる議論が必要だ」と述べました。

日本維新の会の阿部圭史氏は「イメージ案をもとに一定の結論をまとめていくことが重要だ。条文起草委員会を直ちに常設し条文案の作成に入ることを強く求めたい」と述べました。

国民民主党の玉木代表は「『緊急政令』などに議論を広げると論点が拡散する。議員任期の延長と『合区』解消の2つについて優先的に取り組むことを求める」と述べました。

参政党の和田国会対策委員長は「外国などからの武力攻撃を受けた場合に、国家・国民を守れるのか。9条改正と緊急事態をセットで議論しなければならない」と述べました。

チームみらいの古川政務調査会長は「緊急事態条項の論点整理と並行して国民投票法をめぐる議論にも時間を割くことが議論を建設的に深めることにつながる」と述べました。

共産党の畑野君枝氏は「政治家がすべきは国民が求めていない改憲のための議論ではなく暮らしやなりわいを守るための議論だ」と述べました。
* 引用、ここまで。

この日、上掲の記事では紹介されていない後半の発言者を含めて、あらためて驚かされるような意見はほとんどありませんでした(と感じたのは、私が何度もこのテーマでの各会派の主張を聞かされてきたからであって、初めて聞いた方には「!」や「?」が次々に頭に浮かんできたかもしれません)が、以下、そんな中でも気になった前後半1人ずつの発言を取り上げて論評を加えたいと思います。


うまくいかなかった新藤氏の緊急政令、緊急財政処分テーマ化の目論見

まず、衆院憲法審を強引に取り仕切っている与党筆頭幹事の新藤義孝氏(自民)の意見から。
この日、氏は緊急政令と緊急財政処分を取り上げ、「立憲主義国家として当然に備えておくべきものではないか」と述べた上で、「日本国憲法制定時に日本政府はGHQに緊急政令の規定を設けることを求めたが拒否された」、「本来なら1952年に主権を回復した際に憲法を改正し緊急事態条項を整備すべきだったのかもしれないが、結果として改正は行われず日本国憲法の未完成部分として今日に至っている」と吐露しましたが、いきなり「立憲主義国家として当然」とか「日本国憲法の未完成部分」などと大げさな物言いをされても、根拠不明と言うほかありません。

そして、自ら「緊急事態条項は諸外国でどのように発動されているのか」との問いを発し、「2022年時点で世界の憲法の91%に緊急事態条項が設けられている」と指摘した後、フランスとウクライナの事例を挙げ、「例えばフランス憲法には大統領の緊急措置権と戒厳という緊急事態条項を規定しているが、緊急措置権は1961年にアルジェリア紛争時に発動した一例のみ、戒厳は一度も発動例がない」、「ウクライナでは2022年2月24日、ロシアが侵略を始めた当日に憲法に定められた緊急事態条項のうち戒厳を布告し、現在まで大統領選挙、国会議員選挙は延期され任期も延長されている」と述べましたが、「だから何なんだ」、「一体何が言いたいんだ」という疑問がわくばかりでした。特にフランスの事例は、素直に聞けば緊急事態条項の必要性に疑問を抱かせるものだと思いますし、ウクライナの事例は中国の脅威を煽って大軍拡を進める自民党が本気で戦争を構えているとしか思えません。

いずれにせよ、緊急事態条項の議論を、選挙困難事態における議員任期延長から緊急政令、緊急財政処分にまで一気に広げようとする新藤氏のやり方はあまりにも乱暴であり、この日、維新の会を含めて積極的に賛同する会派はありませんでした。もちろん警戒を怠ることはできませんが、緊急政令、緊急財政処分を衆院憲法審の重要なテーマとして取り上げようという目論見は、今のところ暗礁に乗り上げていると言えると思います。


ようやく聞けた“前”立憲民主党の主張

もう一人取り上げたいのは、後半に発言した中道改革連合副代表の西村智奈美氏です。氏は先の総選挙で立憲民主党から立候補し、いわゆる比例復活ではあったものの当選した数少ない議員の一人です。氏の発言は下記のようなものでした。少し詳しく紹介します。

「自民党は衆議院では圧倒的多数かもしれないが参議院ではそうではない。緊急事態への対応に関しては与野党の枠を超えて衆議院側と意見の開きがある。そもそも現在法制局及び憲法審査会事務局にイメージ案を作成させるような段階ではなかったと私は考えるし、百歩譲っても昨年衆議院法制局から提出された資料『緊急事態条項(国会機能維持)の主な論点(イメージ)』には記載のあった平時も含めた臨時会召集期限、緊急時・平時における解散権制約など多岐にわたる論点が今回は抜け落ちていることに納得がいかない。」

「その上で先週提示された『イメージ案』について幾つかの問題提起をさせていただく。
第一に、緊急事態の際に議員の任期延長が必要との説のほぼ唯一の論拠である選挙の一体性とは何かという問題。憲法的価値が本当にあるのかという指摘がこれまで重要な論点として複数なされてきたが、ここがこの憲法改正が必要かどうかを判断する大きな鍵であり、しっかりとした議論が必要だ。」
「第二に、想定される最も巨大な震災の際にも選挙を実施できない選挙区は限定されるので、選挙全部を延期するような立法事実はないという指摘がこれまで繰り返されてきた。まずは徹底的に選挙制度の強靱化を図り、その上で選挙全部を延期するような立法事実が残るのかを精査すべきだ。」
「第三に、参議院緊急集会が一時的、限定的、暫定的とされている点。これまで緊急集会の権限については様々な指摘がなされてきたし、自民党も2024年8月に参議院緊急集会の権限は原則として国会の権能の全てに及ぶとしており、改めて議論すべきだ。」
「第四に、緊急事態の対象範囲に存立危機事態も含まれるのか。昨年11月、高市総理は法律の限定を逸脱したと思える答弁をしているが、支持率低下のタイミングでの衆議院任期満了選挙を避けるために内閣の恣意的な判断で存立危機事態を認定するとともに、選挙困難事態の認定がなされ選挙が停止され続けるという濫用が懸念される。古今東西自らの政治的な危機を乗り越えるために戦争を始めた指導者は少なくなく、こうした危険はないのか今後も議論させていただきたい。」

「最後に、緊急政令などという国会としておよそ認められない条項が紛れ込んでいることは論外だ。憲法改正してまで議員の任期を延長して国会機能を維持しようという議論と同時に、国会が機能しない場合を想定した議論をすることは論理矛盾ではないか。国民民主党の玉木代表も蒸し返さない方が得策だと発言されているが、通らないことを見越してバッファーとして入れているとすら思えてくる。」

前半で発言した野党筆頭幹事でもある中道の國重徹氏は、相変わらず「本日は仮に議員任期特例を創設するとした場合の広範性要件と長期性要件を中心に問題提起したい」と述べ、新藤氏の敷いた路線に沿って意見表明を始める始末で、私は「またか」とがっかりさせられていたので、この西村氏の発言には正直ホッとしました(よく考えるとこの程度のことをうれしく感じるのはおかしいのですが、それだけ今の衆院憲法審の状況が異常だということです)。

この日の審議は、11時20分頃終了しました。これまでと違って新藤義孝与党筆頭幹事(自民)が次回のテーマを提案しなかったこともあって今後の展開は読みにくいのですが、会期末の7月17日まで定例日の木曜日はまだ8回もやってきますので、予断を持たずに成り行きを監視していきたいと思います。

この日の傍聴者は前回と同じく60人ほどでしたが、途中20人近いグループの方々が入ってきて立ち見をされていました。議場で取材していた記者は終始3人ほどで、最初3台入っていたTVカメラは気がつくと1台だけになっていました。(銀)



5月20日(水)午後1時から今国会3回目の参議院憲法審査会が開かれました。今回は連休前2回(4/15、4/22)にわたって行われた「参議院議員選挙における一票の較差」問題での参考人質疑を経て、改めて各会派が意見表明をするというものでした。
8会派の代表がそれぞれ10分ずつ意見表明をしたら、「これにて散会」となり、約1時間10分といつもより短いものでした。
参院憲法審

発言内容も、基本的にそれぞれの主張が繰り返されたもので、自民党が具体的に出した「合区改憲条文イメージ」への賛成意見はほとんどありませんでした。

各会派の意見要約は下記のとおりです。

参議院憲法審査会 「1票の格差」テーマに各党が意見表明
『NHK ONE』2026年5月20日18:27

参議院憲法審査会が開かれ、「1票の格差」をテーマに各党が意見表明を行いました。自民党が選挙区で導入されている「合区」の解消などに向けて憲法改正の方向性を整理すべきだと主張したのに対し、立憲民主党は憲法改正による「合区」の解消に反対する考えを示しました。

この中で、自民党の中西祐介氏は「『合区』は投票率の急激な低下や無効票の増加といった議会制民主主義の根幹に関わる問題が明らかであり、『合区』の解消と地方自治に関する憲法改正について方向性を整理すべきだ。また、緊急集会や緊急事態条項についても一刻も早く議論に入ることが参議院の責務だ」と述べました。

立憲民主党の吉田忠智氏は、「『合区』は投票率の低下など、制度として限界に至っており、不合理は解消されるべきだが、『合区』を解消するための憲法改正については、投票価値の平等という国民の基本的人権を著しく損ねるなど、憲法の基本原理などに照らして強い疑念を呈さざるをえず、明確に反対する」と述べました。

国民民主党の川合参議院幹事長は、「『1票の格差』を是正する視点のみで『合区』を推進すれば、過疎地域の民意は置き去りになる。参議院の役割を達成するための最適な制度を議論の前提とすべきで、速やかに論点を整理し、参議院の意思を表明することを求める」と述べました。

公明党の原田大二郎氏は、「最高裁判所から投票価値が不平等と判断されない制度へ抜本改正を図り、『合区』による不満や疑念を解消するには法改正で対応すべきだ。ブロック制による大選挙区制の導入が最も望ましい」と述べました。

日本維新の会の片山大介氏は、「道州制移行の目標を堅持しつつ、『合区』の解消を議論する必要性は共有する。有権者が代表を選ぶ意識が妨げられることは放置してはならないが、投票価値の平等の実現と議員定数削減も議論する必要がある」と述べました。

参政党の安達悠司氏は、「今の選挙制度を続けていく中では各都道府県に1つの選挙区を置くことは大切であり、『合区』は解消すべきだ。参議院の『合区』問題も占領下でつくられた憲法に起因しており、選挙制度も憲法とともに根本的に見直すべきだ」と述べました。

共産党の山添政策委員長は、「投票価値の平等を実現し、多様な民意が正確に議席に反映され、定数削減は行わない方向での抜本的な見直しが求められる。一連の議論は参議院改革協議会などの議題であり、憲法審査会を動かす理屈にはならない」と述べました。

れいわ新選組の奥田共同代表は、「『1票の格差』の問題も重要なテーマだが、今このタイミングでこの話に終始してよいのだろうか。党としては改憲ありきの憲法審査会の開催自体を否定し続けており、今ある憲法を守らない者が憲法を変えようとするなという考え方だ」と述べました。
*引用ここまで。

衆院「緊急事態条項イメージ案」への批判

立憲民主党の吉田忠智議員から、5/14の衆議院憲法審査会で出された衆議院法制局の「緊急事態条項イメージ案」に対する批判表明がなされました。

主要な批判点は、参議院の「緊急集会」についてです。吉田議員は、参議院憲法審査会での論議によって衆議院憲法審査会で盛んに言われた「緊急集会は70日間に限定」説が覆されたにもかかわらず、相変わらずこれが衆議院での「議員任期延長」の根拠にされているということを指摘し、改めて、緊急集会が日本国憲法の中に創設された立法事実や根本趣旨が無視されていると強調しました。
緊急集会は、…、任期延長の間に太平洋戦争が開戦される等の戦前の権力の濫用の反省を根本趣旨とするものであって、議員任期特例とのすみ分けを考えること自体が緊急集会そのものの否定であり、いかなるときにも民主政治を徹底するために国民代表である参議院議員に緊急集会を担わせるとした金森徳次郎大臣の憲法制定議会での答弁を、我々参議院議員は深く胸に刻む必要があります」

さらに吉田議員は、3年前の2023年5月に衆議院法制局が出した緊急集会に関する資料において、緊急集会の立法事実の根幹を詳細に表した当時の日本政府とGHQとの交渉記録の箇所がなぜか記載されていないなど不可解な箇所が三点あったこと、立憲民主党の参議院議員による憲法調査会などの指摘によって、そのうちの二点が改善された補訂版が2025年3月の衆院憲法審に再提出されたことの重要性について指摘しました。
そして、残りの一点の「多くの憲法学者が70日間限定説などを採用している」という学説整理についても、「昨年4月16日の本審査会における川崎参議院法制局長の答弁によっても明確に否定されている」と指摘しました。

なお、立憲民主党が党の憲法調査会(5/19)への「イメージ案」説明を衆院法制局に依頼したが断られたとのことでした。詳しいことはわかりませんが、不可解なことです。

傍聴者から見ても、衆院法制局の「緊急事態条項イメージ案」は、これまでの任期延長議論の中で出されてきた批判意見が全く反映されてないものであることは明らかです。非常に恣意的なもので、これを「たたき台」としての「条文化」をやってしまおうなど、白昼公然と強盗をやるのか!(例えがちょっと合ってないかもしれませんが…)と、絶対に許せません。

どんどん団結し、大きなうねりを!

この日最後の意見表明は、れいわの奥田ふみよ議員でした。奥田議員は、沖縄・伊江島の故阿波根昌鴻さんの言葉「平和への最大の敵は無関心である。戦争への最大の友も無関心である」を紹介し、戦争への危機感と高市政権への憤り、また、労働者民衆への決起を呼びかけました。

「この戦争ビジネスの下請けをアシストする政治屋どもをおりにとどめることができるのは、改憲を止められるのは、主権者の皆さんです」
「一人でも多くの目覚めた主権者がどんどんデモや傍聴で連帯し、どんどん団結し、大きなうねりを広げ、揺るぎない数の力で戦争の道へとつながる改憲を絶対に止めていきましょう!」

奥田議員は国会議員に対峙し、全力で主権者に訴えていました。与野党議員はみんな、あっけにとられているかのようでした。
そうだ!

国会の外では、音を立てて戦争訓練が始まっている

4月20日~5月8日にフィリピンで行われた米フィリピン合同演習「バリカタン」に、1400名規模の自衛隊が本格的に参加し、日本の88式地対艦誘導弾と米国のトマホーク巡航ミサイルの洋上標的撃沈演習が行われました。
これは、いま沖縄南西諸島で計画されている米海兵隊の、対中国の戦争作戦「遠征前進基地作戦(EABO)」と一体のものです。

続く5月17日~22日には、沖縄南西諸島の宮古・石垣・与那国の3島で陸上自衛隊の「陸上総隊演習」が300人規模で初めて実施されました。在沖米海兵隊員も参加して、対中国を念頭に機動展開訓練を行っています。
こうした訓練に対して、島々の住民たちは「戦争訓練やめろ!」と自衛隊基地の前で体を張って闘っています。
これが、現実です。

いま、国会の中で行われているのは、実際に進められている戦争体制を労働者民衆に最後的に強制していくための法整備、憲法改悪です。
戦争国会を包囲し、この目論見を全力で打ち砕きましょう。(S)

*次週水曜日(5/27)は「幹事懇談会」が開かれる予定で、憲法審査会は無いそうです。





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