許すな!憲法審査会

「とめよう戦争への道!百万人署名運動」ブログを改めて、改憲の憲法審査会動向をお伝えしていきます。百万人署名運動は、「改憲・戦争阻止!大行進」運動に合流しました。

6月25日(木)10時から、今国会11回目の衆議院憲法審査会が開催され、「合区・地方公共団体に対する集中的な討議」が行われました。

このテーマを衆院憲法審で「集中的な討議」の対象として取り上げるのは初めてでしたが、「合区」のいわば当事者である参院の憲法審ではこれまで何度も議論されてきた課題ですので、後半に発言した委員を含めて、新しい論点が提起されるようなことはありませんでした。
通例にしたがい、最初に各会派の代表1人が7分以内で、続いて発言を希望する委員が5分以内で見解を表明しました。発言者は前半7名、後半6名の計13名でした。
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まず、前半の各会派代表の意見を簡潔に報じた『NHK』の記事を転載させていただきます。

衆院憲法審査会 参院「合区」などテーマに集中的な討議
『NHK ONE』2026年6月25日(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015159601000)

憲法改正をめぐり、衆議院憲法審査会で参議院の選挙区で導入されている「合区」などをテーマに集中的な討議が行われました。
この中で、自民党の新藤義孝元経済再生担当大臣は「投票価値の平等のみを徹底すれば、地域の民意や実情を把握しきれなくなるおそれがある。参議院選挙では広域的な自治体から少なくとも1人の議員を選ぶことを規定すべきだ」と述べました。

中道改革連合の国重徹氏は「『合区』解消に向けて直ちに憲法改正の議論をすべきでない。まずはあるべき選挙制度について議論を重ね、法律改正で対応できるか、憲法改正が必要か検討すべきだ」と述べました。

日本維新の会の馬場伸幸前代表は「改憲の優先項目として『合区』解消を声高に叫ぶ前に、参議院選挙の大ブロック制導入など、選挙制度の抜本的な改革を急ぎ、実現させることが立法府の責任だ」と述べました。

国民民主党の飯泉嘉門氏は「『合区』は投票率の低下などを招いている。再来年7月の参議院選挙を見据え、来年7月までに憲法改正を成し遂げなければ『合区』が広がりかねない」と述べました。

参政党の和田政宗国会対策委員長は「『合区』解消のための憲法改正に賛意を示す。参議院を主に地域代表で組織される良識の府と位置づけ『1票の格差』は問題視しない改正が考えられる」と述べました。

チームみらいの古川あおい政務調査会長は「都道府県単位での代表のあり方を憲法に書き込むことには慎重な検討が必要だ。定数見直しや比例代表の活用も含め議論し尽くすことが先ではないか」と述べました。

共産党の畑野君枝氏は「『合区』解消のために改憲を主張するなど言語道断だ。民意が正確に反映されるよう比例代表中心の選挙制度へ抜本的な改革が必要だ」と述べました。
* 引用、ここまで。

またしても「日本国憲法の未完成部分」論法を繰り出した自民・新藤氏

この日、自民党の新藤筆頭幹事は、日本国憲法の「第8章 地方自治」について、こんなことを主張しました。
「1票の価値の平等については憲法14条に規定があるが、地域の民意を適正に反映するエリアの設定については憲法の規定がない。そこで私たちは憲法の地方自治の章にその根拠を位置づけるべきだと考えている。参院選については、憲法に明記された広域的な自治体(としての都道府県)から少なくとも1人の議員を選ぶことを規定して合区を解消すべきだということが、自民党の憲法改正案の考え方だ。
憲法制定から80年が経ち、少子高齢化、人口減少の進展とともに地方の過疎化、都市部への人口集中という格差が生まれている状況で、日本の地方自治を持続可能なものにするためにも、未完の憲法第8章を完成させることは極めて重要ではないか。

これを聞いて、私はほとほとあきれました。新藤氏は、緊急事態条項創設、そして自衛隊明記の改憲を訴える際にも「憲法の未完成部分」を完成させなければならないと述べています。自民党の日本国憲法改正草案(2012年)に無いものを「未完成部分」などと言いなして居直っているありように怒りが沸きますが、この論法を持ち出したのはこれで3度目。新藤氏はなんでもかんでも「未完成」と言えば通用すると考えているのでしょうか。

「地方自治」に踏み込む

なお、この8章改憲問題については、自民党の上川陽子氏がさらに踏み込んだ発言をしました。
「地方自治が置かれている現状を踏まえれば、次の時代を形作っていくためには、国の形について、地方自治の法体系全体を憲法典と憲法附属法規や一連の基本法などの総体から成る生きた憲法、いわゆるリビングコンスティチューションとして捉え、憲法自体については、地方自治の章の規律密度をもう少し上げるとともに、地方自治法を始めとして、時代の変化に向き合うための法制度の見直しや新規制定も必要となるのではないか。地方自治の問題についても本審査会で更に議論を進めていく必要がある。」

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戦争遂行には中央集権国家体制が必要なことから大日本帝国憲法には地方自治の規定がありませんでした。戦後、国の戦争に地方の役場が住民の戦争動員に果たした役割などをとらえ返し、中央と地方との権力分立による「地方自治」という考え方が憲法に明記されました。そして、住民自治、団体自治として確立されたのです。

ところが2012年の自民党改憲草案では、「国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない」との条文が加えられています。自民党が作成した『日本国憲法改正草案Q&A』では「東日本大震災の教訓に基づき」これを定めたとしていますが、明らかに地方自治の役割を狭めて地方自治体を国に従わせる根拠となる条文として打ち出されたものであり、今回の「合区解消」を口実にした8章改憲も絶対に許してはならないと思います。

「火事場泥棒」との暴言を吐いた維新・馬場氏

もう1つの与党、維新の馬場氏は、今回もこんなとんでもない暴言を吐いていました。
「1票の格差をめぐって司法が違憲判断を下すたびに右往左往し、議員定数を増やしてしのぐという対症療法的な手法に頼り続けることは、立法府の怠慢、不作為にほかならない。国会が1票の格差の解消にかこつけて身を太らすようでは火事場泥棒同然だ。

参議院の議員定数は当初250人で、沖縄県が復帰する前に252人となり、その後242人まで減少した後、現在は248人となっていて、議員定数は敗戦後80年間ほぼ安定して推移していますし、現状は過去最多ではありませんから、そもそも馬場氏の認識は不正確です。
「火事場泥棒」というのもはなはだ不穏当な言葉遣いです。参院憲法審で、同じく維新の松沢弘文氏は奥田ふみよ氏の「恥を知れ」という発言を激しく非難していましたが、松沢氏には代表まで務めたことのある馬場氏も是非いさめてほしいものだと思います。

また、馬場氏は「重大かつ火急な憲法改正テーマである緊急事態条項創設と9条改正を脇に置いて、補欠候補と言える合区の解消で道草を食うようなことを我が党は了としない」とも述べていましたが、合区解消を重視している会派からすれば、「道草を食う」というのもずいぶんな失礼な言い草だったのではないでしょうか。他の会派を巻き込みながら改憲発議への駒を進めようとしている自民党の方針にも不満をあらわにした発言からは、突撃型の維新のあせりを感じました。

合区問題をめぐる自民党のご都合主義への批判

共産党の畑野氏は、合区の問題の経緯を述べて、自民党の「ご都合主義」を批判しました。
「自分勝手な都合により合区制度を強行してきた責任を棚に上げ、合区の解消のために改憲を主張するなど、言語道断です。改憲の理由として、地方の声が反映されないことをしきりに強調しますが、実際に自民党が推し進めようとしているのは衆議院の定数を削減し、地方など少数の意見を切り捨てることです。」
「都道府県を参議院選挙の選挙区の単位とすることをやめ、比例代表を中心とした制度への抜本的な改革こそ必要です。」

また、中道の西村智奈美氏も次のように述べていました。
「合区について、例えば全体の定数を増やすなど何らかの措置を講じていくことは必要と考えるが、全て国民は法の下に平等とする憲法第14条を乗り越えて1票の格差を広げることには賛成できない。
衆議院で比例の定数を大幅に削減して民意、特に少数政党を支持する国民の声を届きにくくする論外の案を提案している自民党に、参議院の合区解消の議論を提起する資格はないと申し上げたい。」

附帯決議の重要性を指摘した中道・西村氏

さらに、西村氏の発言の中に下記のようなくだりがありました。
「先週の憲法審査会で国民投票法改正案が採決された。あくまで手続法なので苦渋の思いで賛成したが、私個人は憲法改正議論をほかの重要な政策に優先して進めようという気持ちは全くない。特に9条を改正する必要がないという立場は全く変わらないし、今回の改正が成立しても国民投票をすぐにでも行えるということでは全くないということを改めて申し上げたいと思う。
どうしても改憲を発議したいのであれば、附則第4条に明確に示され、今回その趣旨を確認するためにあらためて附帯決議で記された措置をきちんと講じることが当然の法的前提だ。
さらに、法的観点のみならずインターネットが選挙に及ぼす影響を心配する国民の実感、例えば兵庫県知事選挙、現在国会で追及が続いている高市総理の秘書が他党候補などの誹謗中傷動画の作成に関与していたとされる疑惑などを見れば、必要な法的措置を講じた上でなければ日本の未来を左右する憲法改正の国民投票をとうてい行うべきではないと考える国民は改憲に消極的な方々に限らないと考える。」

私はこの発言、特に国民投票法改正案に「苦渋の思い」で賛成したと述べたことに強い印象を受けました。会派を代表して発言した國重氏をはじめ中道の他のメンバーがどのような思いで憲法審に臨んでいるのかわかりませんし、正直中道に多くは期待できないと感じていますが、それでも改憲勢力の敷いたレールに安易に乗ることなく、「ダメなものはダメ」と自身の信念に従って行動してほしいものと思います。
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新藤氏は発言の最後に「次回の審査会でも合区と地方自治に関してさらなる集中的な討議を行ってはどうかと考えている」と述べていましたが、ここにきてなぜ簡単に改憲案がまとまるとはとても考えられない合区問題に焦点を当てようとしているのでしょうか。今後に向けて参院側を懐柔するための布石を打っておこうともくろんでいるのかもしれませんが、どうにも読み切れません。
「次回」に当たる7月2日の定例日に憲法審は開かれませんでしたが、会期延長論も出てきており、今後の展開を注視していきたいと思います。

この日の傍聴者は合区がテーマだったためか前回より減って50人弱でしたが、途中おそらく誰か審査会委員の後援会の方々だったのでしょうか、10人以上のグループが入ってきて短時間傍聴していました。記者は4人ほどで、TVカメラはありませんでした。(銀)


6月24日(水)に今国会6回目の憲法審査会が開かれました。この日もテーマは「緊急集会を中心とした緊急事態対応」についてでした。前々回の参議院法制局長らの説明、前回の憲法学者の意見聴取を踏まえての各会派からの意見表明、というものでした。
参院憲法審

自民・維新が緊急事態条項新設をリード

各会派ともこれまでの主張を繰り返しましたが、簡単に特徴的な発言を紹介します。

自由民主党
(中西祐介議員)
緊急集会の活用とともに議員任期延長の改憲も必要。万万が一に備えて内閣の緊急政令や緊急財政処分の憲法規定必要。維新や国民に共感、参政党とも共通項見出せる。

立憲民主党
(小西洋之議員)
憲法制定時に任期延長を明確に否定している。民主政治の鉄則を覆す任期延長改憲は認められない。緊急集会に関する法解釈ですらない虚偽説明によって、国民をだまして行う改憲にならざるを得ない。

国民民主党(川合孝典議員)
平時の緊急集会と有事の議員任期延長の二段構えで整理すべき。内閣による緊急政令や緊急財産処分規定の憲法明記の必要性については前向きに考えている。

公明党(谷合正明議員)
緊急事態における国会機能の維持のために取り組むべきは、極力選挙を実施できる強靭な体制整備と公平・公正な選挙の実施。改憲による任期延長には反対。法律により緊急集会の仕組みの整備必要。

日本維新の会(片山大介議員)
現行憲法の規定では、大規模災害やテロが発生した場合、国会機能が維持できるとは限らない。万が一の事態を想定しておくべき。緊急集会には限界があり、緊急事態条項は必要。

参政党(塩入清香議員)
ウクライナや中東情勢など世界では紛争が頻発し核配備競争が熱を帯びている。我が国においても、他国から侵略があった場合には、長期的な国会の維持と自衛隊が有事に実力を発揮して国を守れる体制をつくれることが肝要。感染症の蔓延を対象にすることには反対。

日本共産党(山添拓議員)
緊急政令や衆院議員任期延長の改憲は必要なく、むしろ危険な暴論であることがはっきりした。日本国憲法がいわゆる緊急事態条項を設けなかったのは、何より歴史の教訓から。戦争に反対する国民弾圧や、朝鮮や中国への侵略戦争遂行の戦費調達のために乱発された。

れいわ新選組(奥田ふみよ議員)
すでに、この国が戦争に突っ込もうとしている緊急事態だ。アメリカと中国との戦争が起きたときに日本が防波堤になれとアメリカに言われ、それに応えるために緊急事態条項で議員任期を延長させ、議員を居座らせる。緊急政令で内閣に独裁を許す。それは戦争の準備に他ならない。

労働者市民こそ、戦争反対の「国論二分」をつくり出そう!

今年2月のクーデター的解散-総選挙で、高市首相は「国論を二分する大改革をやるためだ」と豪語しました。いまそれが音を立てて始まっています。この憲法審査会での自民・維新のなりふり構わぬ突進はいよいよ「待ったなし」の様相を示しています。では、いったい何が待ったなしを強いているのでしょうか。

それは、奥田議員も訴えていたように「日本が戦争に突っ込もうとしている」からです。アメリカ帝国主義の中国への侵略戦争がすでに発動されています。ベネズエラ侵略戦争もイラン侵略戦争も、トランプは中国に打撃を与えながら展開しています。

そして、高市政権はこのトランプ政権の対中国戦争の一角を主体的に担っていく決断をしているのです。日本周辺での6月~7月の幾重にも重なる日米軍事演習の規模は戦後最大です。ドローンやAIを駆使した「新しい戦い方」が声高に叫ばれています。「継戦能力」のための予算や体制をつくるとか、軍需産業には上限を決めず投資をするとか、総力戦体制が強化されています。

戦争の元凶は資本主義・帝国主義にあります。日本も帝国主義国の一つであり、80年前までアジアへの侵略戦争・植民地支配を繰り返していました。筆舌につくせない残虐な殺戮や加害の歴史を私たちは知らなければならないし、「中国-アジアへの侵略戦争を二度と繰り返してはならない」という責任を今度は果たさなければならないと思います。
これは日本の労働者民衆全体の歴史的な課題だと思いますが、憲法審査会の改憲推進派議員の発言の中で、こうした問題に言及する内容は皆無でした。

わずか4分の国民投票法改正案の趣旨説明

奥田議員の発言終了後、長浜会長が「以上で各会派の意見表明を終了いたします。次に日本国憲法の改正手続に関する法律案を議題といたします。」と述べると、審査会室の入口から外でスタンバイしていた衆議院憲法審査会委員8名がゾロゾロっと入室してきました。自民、維新、参政の議員たちです。

国民投票法は、いわゆる議員立法として2007年に成立し、2010年に施行されました。今回の改正案も議員立法で、衆院憲法審幹事会のメンバーのうち会長の古屋圭司議員と中道の國重徹議員を除く8名(新藤義孝筆頭幹事以下自民6名と維新の馬場伸幸議員、国民の浅野哲議員)と参政の和田政宗議員の計9名が提出者となっています(どういう事情があったのかわかりませんが、この日、国民の浅野議員の姿はありませんでした)。
いかにも「場違いの人たちが来た」という感じで、その光景はやはり異様でした。
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(インターネット中継より)

改正案提出者を代表して、自民党の新藤議員が趣旨説明を行いました。新藤議員は持っていたメモを読み上げただけで終わり。それを受けて、長浜会長が「本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。」と言い、この日の審議は終了となりました。この間4分ほどで、あっという間でした。

恐らく、次回の憲法審査会にまたこの委員たちが押し寄せ、質疑応答のあと「採決」に持ち込もうとするのでしょうが、7/1(水)の審査会予定日は参議院の委員会がすべて止まっていたため開かれませんでした。

改正案は、「開票立会人の選任規定の整備」など公職選挙法の規定に合わせる些細なものなのですが、とにかく欠陥だらけの国民投票法(改憲手続法)を、「改憲発議」に間に合うように最低限の整備を早くやってしまおうと改憲派は必死なのです。自民党の憲法改正実現本部のこの日のニュースには「国民投票法改正案が参院で審議入り」と仰々しい見出しがついていました。

改憲派の悪辣な策動に怒りをたたきつけましょう。
戦争反対!改憲阻止!憲法審査会とめろ!の声を広げましょう。(S)

6月18日(木)10時から、今国会10回目の衆議院憲法審査会が開催されました。
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最初に前回の審査会で審議入りし30分で質疑を終えた改憲手続法(以下、「国民投票法」と記します)一部改正案が採決され、反対討論を行った畑野君枝氏(共産党)を除く6会派の賛成で可決されました。続いて、6会派が共同提案した附帯決議案の趣旨説明と採決が行われ、同じく共産党を除く賛成多数で可決されました。
この間、開会からわずか5分ほどで、会長と畑野氏を除く全員が起立するという異様な(個人的な感想です)光景が2度にわたり繰り返されました(写真下)。結果、前回の審議とあわせてたった35分で国民投票法改正案は衆院憲法審を通過したことになります。
採決時の様子
採決時の様子(『産経新聞』のウェブサイトから)

以下、この日の国民投票法改正についてこれまでの経緯と今後の見通しもあわせてていねいに報じていた『NHK』の記事とともに、國重徹氏(中道)が趣旨説明に代えて読み上げた附帯決議案のコピーを転載します。

国民投票法改正案 衆院憲法審査会で賛成多数で可決
『NHK ONE』2026年6月18日(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015153261000)

憲法改正の手続きを定めた国民投票法について、投票環境を整備するための改正案は衆議院憲法審査会で採決され、自民・維新両党と中道改革連合などの賛成多数で可決されました。

自民・維新両党と国民民主党、参政党の4党が提出した国民投票法の改正案は18日の衆議院憲法審査会で討論・採決が行われました。
改正案は、現在の公職選挙法に合わせて投票の立会人の要件を緩和するなど投票環境を整備するためのもので、採決の結果、自民・維新両党と中道改革連合、国民民主党、参政党、チームみらいの賛成多数で可決されました。共産党は反対しました。

また、国民投票を行う際の広告の規制やインターネット利用のあり方について速やかに検討し、必要な措置を講じるとした付帯決議が賛成多数で可決されました。
改正案は19日の衆議院本会議で可決され、参議院に送られる見通しです。

参院 24日から審議入りへ 自民・立民が合意
自民党の磯崎参議院国会対策委員長と、参議院で野党第1党の立憲民主党の斎藤国会対策委員長が国会内で会談し、改正案の取り扱いを協議しました。

その結果、改正案が19日に衆議院を通過し参議院に送られれば、来週24日に憲法審査会を開いて審議入りすることで合意しました。また磯崎氏は来月1日に審査会を開いて質疑と採決を行いたいと提案し、引き続き協議することになりました。

付帯決議 これまでの経緯
国民投票法の改正案は、現在の公職選挙法に合わせて投票環境の整備などを行うためのものです。
4年前に自民党、公明党、日本維新の会などが同様の法案を提出しましたが、衆議院の解散に伴い廃案となったため、今月5日、自民・維新両党と国民民主党、参政党の4党が改めて共同で提出しました。

先週11日に衆議院憲法審査会で審議入りし、自民党は投票の立会人のなり手不足が指摘される中で、選任の要件を緩和するなどの内容だとして早期の可決に理解を求めました。

これに対し、中道改革連合やチームみらいは、今の国民投票法の付則には国民投票を行う際の広告のあり方などを検討することが盛り込まれているものの、手付かずのままだと指摘し対応を求めました。

このため自民党と中道改革連合を中心に協議を進めた結果、広告や資金の規制、インターネット利用のあり方について速やかに検討し、必要な法制上の措置を講じるなどとした付帯決議を可決させることで合意し、中道やみらいも改正案に賛成することとなりました。

与党側筆頭幹事“非常に円満な結果でよかった”
与党側の筆頭幹事を務める自民党の新藤 元経済再生担当大臣は記者団に対し「7会派のうちの6会派が合意し、付帯決議を採決できたことは非常に円満な結果でよかった。速やかに衆議院で手続きをとり、参議院で審議が進むことを期待している」と述べました。

野党側筆頭幹事“国会の意思を明確にできた”
野党側の筆頭幹事を務める中道改革連合の国重徹氏は記者団に対し「公職選挙法に合わせるための項目には異論はなかったが、広告規制などについて速やかに検討する必要があるので付帯決議案を提出した。6党の合意を得て国会の意思として明確にすることができた」と述べました。
* 引用、ここまで。
附則決議

附帯決議案の「二」は、2021年の国民投票改正時の附則第4条の「二」を一字一句違わず引き写したものでした。つまり、法律の一部である附則に「施行後3年を目途」として「検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする」と明記されていながらこれまで放置されてきた事項が、スケジュールに関する文言を削られた上で法的効力を有しないとされる附帯決議に格下げされたわけです。2007年の国民投票法制定時の最低投票率に関する附帯決議が今日まで無視されてきたことからみても、その実効性には大きな疑問があると言わざるを得ません。
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『NHK』の記事によれば、これを「国会の意思として明確にすることができた」と自画自賛して賛成に回ってしまった中道改革連合の対応は自己満足に過ぎず、(予想していたとは言え)本当にがっかりさせられました。

畑野氏は反対討論で議員や首長を選ぶ選挙と改憲の賛否を問う国民投票は全く異なるものであること、現行の国民投票法には最低投票率の規定の欠如、公務員や教員の国民投票運動の不当な制限など根本的な欠陥があることを指摘し、「公選法並びの改正を重ねて国民投票法の形を整えたように装い、改憲の準備が進んでいるかのように見せる姑息なやり方はやめるべきだ」と述べましたが、こうした議論を展開する委員が50人中1人だけという衆院憲法審の現状を2度の起立採決で文字どおり目の当たりにさせられました。
不快なものを無理矢理見聞きさせられるという、大げさに言えば拷問のような時間でしたが、それでも私たちは改憲阻止の声を上げ続けなければなりません。

なお、上掲の『NHK』の記事にあるとおり、国民投票法改正案は翌19日に衆議院本会議で可決されて参議院に送付され、24日に開かれた参議院憲法審査会で審議入りしました。

憲法9条改憲論議に踏み込む

このようにして国民投票法改正案がサッサと処理された後、この日の憲法審では、「9条に関する集中的な討議」が行われ、いつものように各会派代表1人・7分ずつの発言と6人の委員の5分ずつの意見表明があり、11時25分頃閉会となりました。

以下、審議の内容が簡潔に整理・紹介されている『時事通信』の記事を転載させていただきます。

9条改正巡る論点整理提案 自民、議論加速狙う―衆院憲法審
『時事ドットコムニュース(時事通信 政治部)』2026年6月18日
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2026061801025&g=pol)

衆院憲法審査会は18日、戦争放棄を定めた憲法9条に関する集中討議を行った。9条に特化した議論は今国会で初めて。自民党は衆院として意見集約を進めるため、9条改正に関する「論点整理」を行うことを提案。中道改革連合などは慎重な姿勢を示し、折り合わなかった。

自民は今国会で、緊急事態条項創設のたたき台「イメージ案」を衆院憲法審事務局などにまとめさせ、議論の進展を図っている。自民としては9条を重視する日本維新の会の主張を踏まえ、9条改正の議論も加速させたい考えとみられる。

自民の新藤義孝氏は討議で「9条改正は安全保障法制の完成をもたらす」と主張し、「論点整理を行いながら、結論を出せるよう集約したい」と提起。田野瀬太道氏も「論点整理を行うなど議論のピン留めをお願いしたい」と呼び掛けた。

これに対し、中道の国重徹氏は「わが国の防衛のために必要な法整備は既になされている」と9条改正の必要性を疑問視。「9条は平和国家としての歩みそのもの。国論を二分しないよう十分な慎重さと丁寧さが求められる」とくぎを刺した。

討議では自民と維新の意見の隔たりが改めて鮮明になった。新藤氏は現行の9条1項、2項を維持した上で、自衛隊保持を記した9条の2を追記する案を主張。これに対し、維新の阿部圭史氏は戦力不保持を定めた2項を削除し、集団的自衛権行使を全面容認するよう訴えた。

国民民主党の玉木雄一郎代表は「与党と野党のやりとりかと思った」と皮肉交じりに指摘。高市早苗首相が来年春までに改憲の国会発議にめどを付けたいとしていることに触れ、「与党間でさえ議論の分かれる話を今から始めても間に合わない」と自民を批判した。

参政党は9条の「根本的改正」、チームみらいは丁寧な議論、共産党は改正反対を訴えた。
* 引用、ここまで。

この記事では「9条に特化した議論は今国会で初めて」と書かれていますが、実際にはテーマを絞らないで開かれたり今後何をテーマとすべきかが議論されたりした際に、また緊急事態条項など別のテーマのときにも9条や自衛隊、自衛権の議論はたびたび行われてきましたので、今回、特に目新しい論点や意見が提起されたわけではありません。

自民党の9条改憲案のペテン性

この日一番目立ったのは、上掲の記事にあるように9条改憲に関する自民と維新の見解の不一致でしたが、だからといって安心しているわけにはいきません。
というのも、新藤義孝氏(自民)はこんな見解を述べていたからです。少し長くなりますが、大事な点だと思いますので紹介します。

「私たち自民党は、いかなるときも国と国民を守り抜くための国防のあり方を規定し、その担い手である自衛隊を明記する憲法9条の改正を提案している。1項、2項をそのまま残しているのは平和主義の原理を尊重する姿勢の表れであり、憲法上の自衛隊の位置づけを変えようとは考えていない。
他方、自衛隊の活動内容と機能は安保環境の変化や軍事技術の革新など我が国を取り巻く安全保障上の脅威に対応するものでなければならず、状況に応じた安全保障法制の検討と速やかな整備は必須である。9条を改正することは安全保障法制の完成をもたらし、国防体制の強化につながると考えている。」

2015年の平和安全法制の整備では、限定的な集団的自衛権を定める存立危機事態や重要影響事態における活動が位置づけられ、在外邦人等の保護措置など国民を守るため必要な措置も整備された。国の存立と国民の生命・財産を守るために必要な切れ目のない措置が実施可能となり、自衛隊による我が国防衛のための活動は現状において必要かつ十分に行えるようになった。
しかし、今後も自衛隊に求められる機能は安保環境などに応じて変化させていかなければならず、現在検討されている防衛3文書の整備・改定などはその具体例と言える。我が国を守るための自衛隊の運用は、憲法上の位置づけの明確化とあわせて安全保障法制の整備を行う総合的な検討により常に最適な状態にしておく必要がある。」

「このように自衛隊は国と国民を守るために必要かつ十分な行動を取ることができるが、諸外国の軍隊と異なる点もある。その一つは、他国を占領したり占領行政を敷くことは行わないこと、もう一つは自国防衛と直接関係のない純粋な国際協力の場面で武力行使を行うことはしないことだ。」

「現行憲法には誰がどのような手段を用いどのように国を守るかという国家の最重要任務である国防の観点が規定されていない。憲法に国防規定を創設し、その担い手となる自衛隊を明記することにより憲法の未完成部分を埋めようとするのが自由民主党の提案であることをご理解いただきたい」

要するに新藤氏は、2015年に安保法制(彼らの言葉では「平和安全法制」)が整備されたことによって、今の憲法9条の下でも自衛隊による我が国を防衛するための活動は必要かつ十分に行えるようになっている(他国を占領する以外はなんでもできる)が、我が国を取り巻く安全保障上の脅威に対応するためには、憲法に国防規定を創設して自衛隊の憲法上の位置づけを明確化する必要があると主張しているわけです。

まず、自民党を中心に9条違反の安保法制を強行しておいて、さらに、それを基にした安保3文書を勝手に決定しておいて、今度はその安保3文書をいつでも改定して自衛隊の規模・活動内容をいくらでも「必要十分に」できるのだと居直っていることに、本当に許せない!と憤りを感じます。

また、「国防規定の創設」も危険です。帝国主義の侵略戦争は基本的に「国防」「自衛」の名で行われています。自民党案は9条1項、2項をそのままにして9条の2を加え、①9条の規定は「必要な自衛の措置」をとることを妨げず、②そのための「実力組織としての自衛隊を保持する」ことを明記するというものですが、これでは9条、特に2項の戦力の不保持、交戦権の否認は事実上否定され、空文化してしまいます。(法律には新規定が優先されるという原則があります)。
自民党の9条改憲案は、「国民」の反戦意識を警戒し、欺いて9条改憲を突破してしまおうというやり方に他なりません。
絶対に反対していきましょう!

この日の傍聴者は前回より少し増えて60人ほどで、参議院憲法審査会で奮闘している奥田ふみよ氏(れいわ)も来ていました。議場にいた記者は2~3人で、採決の様子を撮るためか、最初TVカメラが2台入っていました。(銀)

6月11日(木)10時から、今国会9回目の衆議院憲法審査会が開催され、改憲手続法(以下、「国民投票法」と記します)の一部改正案が審議入りしました。
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改正案の提出者は古屋圭司会長(自民)と中道改革連合の國重徹氏を除く衆院憲法審の幹事8名(新藤義孝氏をはじめ自民党6名と維新の会の馬場伸幸氏、国民民主党の浅野哲氏)と参政党の和田政宗氏の計9名で、彼らはいつもの席順とは違い、会長席に向かい合うような場所にまとまって座りました。
新藤氏による趣旨説明の後、階猛氏(中道)、古川あおい氏(チームみらい)、畑野君枝氏(共産党)が質疑を行い、提出者が代わる代わる答弁しました。

古屋会長はいつもと違って質疑の制限時間を示しませんでしたが、階氏と古川氏は「時間が来たので終わる」と述べて発言を終え、畑野氏に対しては古屋氏が「質疑の時間は終局した」と言って発言を強制終了させました。そして古屋会長が「これにて本案に関する質疑は終局した」と述べて審議は終了、この間、わずか30分弱でした。

まず、この日の質疑について、改正案の内容も含めて簡潔でわかりやすく報じられていた『NHK』の記事を転載させていただきます。
特に、「審査会に先立って行われた幹事会では、与党側が改正案を来週18日の審査会で採決したいと提案し」という部分に注目してください。審査会しか傍聴できない私たちには知るよしもありませんでしたが、与党=改憲勢力は30分にも満たない審議で改正案を成立させようとしています。怒りを覚えずにいられません。
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衆院憲法審査会 自民など4党提出の国民投票法改正案 審議入り
『NHK ONE』2026年6月11日(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015147181000)

自民党など4党が提出した憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案が衆議院憲法審査会で審議入りしました。自民党は公職選挙法にあわせて投票環境の整備などを行うものだとして理解を求めたのに対し、中道改革連合は投票の際の広告規制などについても結論を出すよう求めました。

国民投票法の改正案は、自民・維新両党と国民民主党、参政党の4党が、先週、共同で提出し、11日、衆議院憲法審査会で審議入りしました。

提出者を代表し、自民党の新藤元経済再生担当大臣は、趣旨説明で「投票環境の整備について『公職選挙法ならび』にするという考え方にのっとっている。法案は投票立会人の選任要件を緩和するなどの内容で、審議の上速やかに可決してほしい」と述べました。

一方、中道改革連合の階幹事長は「CMの制限やネットなどの適正利用の確保策については手付かずだ。法案が成立しても宿題として残るが、全力で協力するので一刻も早く仕上げることを約束してほしい」と訴えました。
審査会に先立って行われた幹事会では、与党側が改正案を来週18日の審査会で採決したいと提案し、引き続き協議することになりました。

国民投票法 改正案 詳しく
国民投票法の改正案は、現在の公職選挙法にあわせて投票環境の整備などを行うためのものです。
改正案では、
▽投票の立会人のなり手不足が指摘される中、立会人の居住地などの要件を緩和するほか、
▽悪天候で離島から投票箱を運べない場合などに、現地で開票所を設けることを可能にすることが、盛り込まれています。
また、
▽ラジオのAMだけでなく、FMでも憲法改正案を広報するための放送を可能にするとしています。

国民投票法の改正案をめぐっては、4年前に、自民党、公明党、日本維新の会などが衆議院に法案を提出し、審議入りしましたが、衆議院の解散に伴い廃案となりました。
このため、自民・維新両党と国民民主党、参政党の4党が、先週、4年前と同じ内容の改正案を衆議院に共同で提出しています。
* 引用、ここまで。

「附則第4条」を反故にしようとするのか!

質疑を行った3名のうち改正案に反対したのは畑野氏だけで、階氏と古川氏は5年前の改正時の附則第4条(*)のうち二号が手つかずのままになっていることを取り上げて提出者に今後の対応を質しました。

*2021年改正法附則第4条
国は、この法律の施行後3年を目途に、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
一 投票人の投票に係る環境を整備するための次に掲げる事項その他必要な事項
 イ 天災等の場合において迅速かつ安全な国民投票の開票を行うための開票立会人の選任に係る規定     の整備
 ロ 投票立会人の選任の要件の緩和
二 国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項
 イ 国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限
 ロ 国民投票運動等の資金に係る規制
 ハ 国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策

ところが、階氏の質疑に対する新藤氏の回答は、「附則4条については、所定の検討期限を経過しても規範性が残っているという見方と、期限の経過とともに法規範性は失われたという見方がある」が、「できる限り速やかに検討を行って、必要な法制上の措置を講ずることが望ましいと考えている」というふざけたもので、古川氏の質疑に対する浅野氏の回答も同様でした。

階氏は、「高市首相の疑惑に関して、実際にどういう動画が作成されたのか、週刊文春の電子版の有料会委員になって見てみた」ところ、「冷静に見れば対した内容ではない」が、「専門家によると、質が低くても大量に出回れば世の中にある種の空気が生まれ、情報を浴びる受け手は判断能力が低下して認知疲労という状態に陥るため、こうした手法も有効だ」と述べ、「2021年の時点より3つの事項の法的規制の必要性は高まった」と主張しましたが、新藤氏は「とても重要なご指摘だと思う」と受け流し、「速やかに必要な法制上の措置を講ずることが望ましいと考えている」と繰り返すばかりでした。

「広報協議会」について

また、国民投票法改正案の質疑の中で、畑野氏が「広報協議会」について質問していましたが、これも大問題だと思います。

「広報協議会」は、改憲案の広報内容を作成するところですが、詳しくはまだ決められていません。この日の改正案提案者も「広報実施規程などの広報協の関係規程を早急に整備する必要がある」と答えていました。
畑野氏は「そもそも、広報協議会の20人の委員は、会派の所属議員数の比率により割り当てることになっている。改憲に賛成した会派が大多数を占めることになり、反対した会派の委員は僅か1人しかいないこともあり得る。極めて不公平な構成で、とても中立的とは言えない。」と指摘しました。

自民、維新が9条をめぐる議論の深化を主張

この日は、国民投票法改正案の趣旨説明と質疑に続いて、古屋会長が「日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題について討議を行う」と述べ、自由討論が行われました。いつもは各会派代表1人・7分ずつの発言の後6人ほどの委員が5分ずつ意見を述べるのですが、今回は代表1人・5分ずつの発言だけで終了し、11時5分頃に閉会となりました。

この中で、自民党の新藤義孝氏は、「今後さらに深掘りすべき論点」として「緊急事態条項のうちの緊急政令」と「9条」を挙げ、維新の会の馬場伸幸氏も「今後の討議において9条に軸足を置いた議論を加速させ、速やかに成案を得ることが不可欠だ」と述べましたが、両氏の主張する9条改正の方向性には大きな食い違いがありました。

以下に転載させていただく『毎日新聞』の記事でわかりやすく説明されていますが、今自民党と維新の会の9条改憲案に齟齬があるからといってゆめゆめ警戒を怠ることはできません。
自民党が2012年に発表した『日本国憲法改正草案』では、9条2項を「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。」と改めるとともに、9条の2を創設して「国防軍」を保持することを謳っていますが、野党だった時代に作成されたこの草案の内容こそ、自民党内多数派の宿願を率直に表現したものであると考えられるからです。

憲法9条で溝浮き彫りの自民と維新 「2項」維持巡り 衆院憲法審
『毎日新聞』2026年6月11 日(https://mainichi.jp/articles/20260611/k00/00m/010/313000c)

憲法9条の改正方針を巡り、11日の衆院憲法審査会で、連立政権を組む自民党と日本維新の会の意見の違いが浮き彫りとなった。自民は戦力不保持と交戦権否認を定めた同条2項を含む現行規定を維持した上で、自衛隊を明記する方針を改めて説明したが、維新は同項削除の必要性を主張。両党は早期の憲法改正実現で合意しているが、その「本丸」である9条改正で溝が深いことを示した。

審査会で、自民の新藤義孝元総務相は、9条1項と2項を残したまま自衛隊を明記する同党案について「平和主義に基づく自衛隊の位置付けはこれからも堅持すべきだ。1、2項を残したのはそうした意味合いがある」と説明。「憲法に国防規定を明確に位置付けようとするのが自民党の提案だ」と訴えた。

一方、維新の馬場伸幸前代表は「2項を削除し、世界基準の軍隊の実力を備えなければ、自衛隊は永遠に張り子の虎のままだ」と指摘。戦力不保持の規定を維持したままその例外として自衛隊を明記すれば「2項は事実上、死文化した装飾条文」となると強調した。【安部志帆子】
* 引用、ここまで。


今、高市政権は防衛費=軍事費の拡大と自衛隊の基地・装備の増強、在日米軍や同盟国・同志国との連携の強化を推進しつづけ、自民党は年内に改定される安保3文書に新しい戦い方、継戦能力の確保、防衛産業=軍事産業の抜本強化を盛り込むよう提言しています。こうした路線を突き進むためには憲法、特に9条が障害になります。だからこそ、改憲勢力は憲法に手を突っ込もうとしているのです。何としても改憲、そして戦争を阻止しましょう。そのための行動を続けていきましょう。

この日の傍聴者は前回より少し増えて55人ほど、議場にいた記者は2~4人で、開会からしばらくはTVカメラが1台入っていました。(銀)

先週に引き続き、6月10日(水)に今国会5回目の参議院憲法審査会が開かれました。今回も審議テーマは「緊急事態対応」についてでした。
最初に憲法学者2人(長谷部恭男・早稲田大学法学学術院教授と只野雅人・専修大学大学院法務研究科教授)から意見陳述してもらい、そのあと8会派からの質疑がありました。
参院憲法審

長谷部教授は、5月14日(木)に衆議院憲法審査会に提出された「緊急事態条項」イメージ案をそのまま資料として配布し、「こうした改正は必要ない」という考えを示しました。また、只野教授も基本的に同様でした。

衆議院憲法審査会では、すでにこのイメージ案を土台に「概ね合意を得られると見なせる“ピン留め”整理」(自民党)が行われ、「条文化を積極的に進めるべき」(日本維新の会)と与党による改憲発議へ向けた審議が進んでいますが、それがいかに異様な事態であるかを浮き彫りにするものでした。

以下、2人の参考人の意見表明の中で、なるほどと思った点を紹介します。

改憲派が主張する「70日上限説」について

憲法54条はその1項で、「衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に国会を招集しなければならない」と定め、2項でその期間に国に緊急の必要があるときは、「内閣は、参議院の緊急集会を求めることができる」しています。
改憲派はこれの1項を根拠に「参議院の緊急集会で国会の機能を代行できるのは40日プラス30日の70日が上限」とし、それ以上の長期にわたる場合を「選挙困難事態」と認定して議員任期を延長する条項を「新設」すると主張しているのです。

これに対し長谷部教授は、「1項で日限を設けているのは、内閣が衆議院を解散したまま総選挙をいつまでも行わないとか、総選挙を実施したが、その結果が自分たちにとって思わしくないという理由で新たな国会をいつまでたっても召集しない、そういった事態を避けるためである」と指摘し、だから、40日プラス30日は「政府の居座りを許さないための数字であり、緊急集会の機能の時間的な限定を狙いとしているものではない。」と断言しました。

緊急時、議員任期延長の新設について

只野教授は、「一部の地域で選挙ができないというようなことはあるかもしれないが、長期にわたって全国的に選挙の実施ができないということはなかなか想定しがたい。長引くとしても、まずは必要なら緊急集会を開いて、その後70日後までに衆議院をつくり直して、国会として対応に当たっていくということで十分であろう。その先まで考えようとすると例外的な対応を長引かせることになる。」と述べました。

長谷部教授も「総選挙の実施を暫時延期しつつ可及速やかに総選挙の実施に努めることで問題は解決可能なはず」と言われ、逆に「任期が延長された国会議員は一体いつまで議員でいることになるのか」と懸念を呈しました。

緊急政令・緊急財政処分新設について

イメージ案のⅣとして、これまでの憲法審査会でほとんど議論されてこなかった内閣の緊急政令・緊急財政処分の条項案が形になって出されてきました。
これについては長谷部教授がまず「極めて不穏当と考える」と述べて、「国会で法律の制定を待ついとまがないと認めるのは恐らく内閣になろうが、内閣のみの判断で国会での審議と議決を省略し、政令で法律を次々と変更できるということになると、日本という国の在り方自体が根本からゆがめられるリスクがある。」と論じました。

そして、「国会による予算の議決を待ついとまがないという状況については、すでに予見し難い予算の不足に充てるため予備費があり(87条)、それで対応することが可能だし、それでも対応し得ない事態が生じたときには緊急集会等で暫定予算の議決を求めるべき」と指摘しました。

只野教授は「緊急の事態が広がる場合でも緊急集会による対応が許容されるのではないか。」と述べ、「緊急集会に限らず通常とは違う例外的な扱いをする場合、例外を例外にとどめるための対応を国会としてしっかりやっていく必要がある。現に、いろいろな事態が起きるとそれを踏まえて法改正が行われており、緊急事態に関する条項というのはたくさんある。」と述べました。

「緊急事態条項」は必須の制度か?

質疑応答の中で、上記小見出しのような質問に対し、2人の見解は下記のようなものでした。
「現代の日本の憲法には緊急事態条項はあると考えている。それは参議院の緊急集会制度でり、現在のところこれで十分間に合うのではないか。」(長谷部教授)
「日本国憲法の場合には、正面から緊急事態を規定していない。各国の緊急事態条項を見回しても、憲法に詳細な規定を設けている場合もあれば、必ずしもそうじゃない場合もある。しかし、そうじゃない場合というのは対応を考えていないのかというと、通常はそう考えないわけです。日本国憲法の場合も、54条を手掛かりにすると、一定の対応をそこから引き出すことができるんじゃないかと考えます。」(只野教授)


緊急事態条項の新設は必要ないという憲法学者のまっとうな意見を聞いていて、5月14日(木)の衆議院憲法審査会での日本維新の会・馬場伸幸議員の発言を思い出しました。
「憲法学の世界で参議院の緊急集会の役割・機能について諸説あることは承知しているが、ここは学校ではない。立法府に求められているのは、真に国民と国家の利益にかなう制度は何かという観点であり、無意味なイデオロギー闘争や院のメンツは排除されるべきだ」(5/20付け「傍聴記」より)

国会議員にあるまじき憲法蔑視の考え方であり、聞いていて怒りが沸きましたが、それ以上に、こうした暴言が公然となされ、その場にいた議員の誰一人これに断固抗議の声をあげないということに衝撃を受けました。これが衆議院憲法審査会なのです。みんな「国益」優先なのです。これが高市政権と総翼賛の国会の実態なのです。

怒りを持って弾劾し抜きましょう!
始まっている対中国の戦争体制のための改憲マシン=憲法審査会を止めようの声を広げましょう!
怒りの声で国会を包囲しましょう。(S)





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