とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

カテゴリ: 憲法

報告が遅れて申し訳ありませんが、11月16日(木)10時から、衆議院憲法審査会が開かれました。今国会3度目の開催でしたが、11月2日は幹事の選任のみで1分弱で散会、9日は海外視察の報告だけで40分あまりで終了しましたので、今回が初の実質的な審議となりました。自由討議が行われ、予定時間を10分ほどオーバーして11時40分頃散会となりましたが、後述のようにその内容が「実質」を伴うものであったかどうかは大いに疑問です。
yurusuna
議事は、通例に従ってまず各会派1名ずつが大会派順に発言し、その後他の委員が意見を述べたり質疑を行ったりという形で進められました。
以下、各会派1巡目の発言の要旨をまとめた『NHK』のウェブサイトの記事を転載させていただきます。なお、(NHKの記事ではいつもそうなのですが)有志の会の北神圭朗氏の発言は掲載されていません。有志の会が政党ではないからかもしれませんが、衆院で活動している会派には違いないのですから、NHKは他の委員と同様に扱うべきではないでしょうか。
なお、この日、北神氏は国民投票時の偽情報対策の重要性を指摘し、「国民投票広報協議会などが監視や調査を行い、プラットフォーム事業者などに削除やアクセス遮断を命じる制度を導入することも検討に値すると思う」などと述べていました。

衆院憲法審査会自由討議 緊急事態条項などめぐり各党が主張
『NHK NEWS WEB』2023年11月16日

衆議院憲法審査会は、今の国会では初めてとなる自由討議を行い、大規模災害など緊急事態での対応を憲法に規定するかどうかや、憲法9条を改正して自衛隊を明記するかどうかをめぐり各党が主張を展開しました。
この中で自民党の中谷・元防衛大臣は「緊急時の国会機能維持は重要で、議員任期の延長をはじめとした議論を詰めるべきだ。また憲法に自衛隊を明記し、平和のために用いるという憲法を頂点とする法体系を完成させなければならない」と述べました。

立憲民主党の中川憲法調査会長は「緊急事態条項や自衛隊を憲法に明記する必要はない。衆議院の解散権の乱用の問題は、憲法69条の内閣不信任を前提とした解散に限る憲法改正も視野に入れて検討する必要がある」と述べました。

日本維新の会の岩谷良平氏は「日本維新の会などがまとめた緊急事態条項の条文案をたたき台に早急に改正条文を確定すべきだ。スケジュールが厳しければ開催日を増やし集中討議を行うべきだ」と述べました。

公明党の北側副代表は「大事なことは緊急時に立法府が必要な措置をとれるための条文が憲法に存在していることで、できるかぎり速やかに結論を出さなければならない」と述べました。
国民民主党の玉木代表は「岸田総理大臣が総裁任期中に憲法改正をしたいのなら、議員任期の延長規定の創設に絞って成案づくりを進めるしかないのではないか」と述べました。
共産党の赤嶺政賢氏は「憲法の原点は先の戦争によって犠牲者を出したことの痛苦の反省であり、9条は絶対に戦争をしないことを求めている」と述べました。
* 引用、ここまで。

続いてもう1本、この日の審査会について報じた『時事通信』のウェブサイトの記事を転載させていただきます。

維国、今国会中の改憲案主張 自民との違い強調―衆院憲法審
『時事ドットコムニュース』2023年11月17日

衆院憲法審査会は16日、今国会初の自由討議を行った。岸田文雄首相が所信表明演説で「条文案の具体化」を求めたことを踏まえ、憲法改正に前向きな日本維新の会と国民民主党が今国会中に改憲案を作成すべきだと主張。首相の掛け声と裏腹に論議加速に慎重な自民党との違いを強調し、保守層の取り込みを図る狙いとみられる。

憲法改正に関し、首相は先月30日の衆院予算委員会で「目の前の(自民党総裁)任期中に改正できるよう最大限努力する」と明言した。
維新の岩谷良平氏は、首相発言を実現するには12月13日までの今国会中に改憲原案をまとめる必要があると指摘。「憲法審の開催日を増やし、集中討議を行うべきだ」と述べた。
国民民主の玉木雄一郎代表も「自民党に熱意と本気度が感じられない」と批判。「議論するテーマを明確にすべきだ」として、緊急事態条項の創設に絞って条文案を作るよう求めた。

これに対し、自民の中谷元氏は「できる限り幅広い会派による合意形成が得られるよう努めたい」と述べた。同党には、野党第1党の賛同を得ずに強引に国会発議すれば、国民投票で否決される可能性があるとの懸念が根強く存在する。中谷氏は首相が目指す改憲の期限についても「総裁の身分を持っているうちにという意味で、再選の可能性もある」とし、必ずしも来年9月とは限らないとの認識を示した。
一方、立憲民主党の中川正春氏は「審査会の議論が国民的議論になっているかと言えば、程遠い現実がある」とくぎを刺した。
* 引用、ここまで。

聞くに堪えなかった岸田の「自民党総裁任期中改憲」の解釈をめぐる議論

『時事通信』の記事で紹介されている岩谷氏(維新)、玉木氏(国民)の主張と中谷氏(自民)の応答ですが、岸田首相の「自民党総裁任期中の改憲」発言をめぐっては、今年の通常国会最後の6月15日の憲法審でも三木圭恵氏(維新)と上川陽子氏(自民:このときは憲法審査会の幹事を務めていましたが、その後外相に就任し現在は憲法審から抜けています)との間で、同様のやり取りがありました。三木氏は、つい先日、11月22日の衆院予算委員会でもこの話題を持ち出し、岸田首相から「私の総裁任期は来年9月までという区切りがある。その目の前の任期において最大限努力すると申し上げている」という答弁を引き出していました。

本当にくだらない議論で(自民党総裁の任期と改憲のスケジュールとは何の関係もないはずです)、安倍晋三元首相のついに実現されなかった「任期中の改憲」という無責任な放言を岩盤保守層の支持をつなぎとめるために繰り返している岸田首相も、上掲の記事で的確に指摘されているように「自民党との違いを強調し、保守層の取り込みを図る狙い」が見え見えの維新、国民両党の委員も、自らの低次元の発言を恥ずかしいと思わないのでしょうか。

筆頭幹事であるがために、自民党を代表して「総裁の身分を持っているうちにという意味で、再選の可能性もある」などといかにも苦しい言い訳をせざるを得なかった中谷氏(自民)が(少しだけですが)気の毒に思えるほどでした。氏は「国民投票によって国民に分断を生んではならないし、政権に対する信任投票にすり替わりがちでもあるので、私としては審査会において各党がしっかりと議論できるよう努力していきたい」とも述べていましたので、今後、前任の新藤義孝氏(現在は経済再生担当相を務めており憲法審のメンバーではありません)のような強引な運営を行わないかどうか、注視していきたいと思います。
憲法審査会

議員任期延長論と緊急政令必要論の矛盾

この日の審査会では、「地獄行こう」(自国維公)あるいは「悪政4党連合」(共産党が11月14日に採択した『党大会決議案』で打ち出した言葉で、この日玉木氏から「不毛なレッテル貼り」だと苦言を呈されていましたが、私も(共産党らしいと言えばそれまでですが)センスの悪いネーミングだと思います)の多くの委員が緊急事態時の国会議員の任期延長の必要性に言及し、さらに緊急政令の規定も設けるべきだと主張する者もいました。

これに対して、階猛委員(立民)は「任期を延長して国会がフルスペックで機能するようにしても、最後は政府が独断で緊急政令を出せるということであれば矛盾だと思う」と指摘しましたが、自民党の委員だけでなく、玉木氏も「議員任期を延長しオンライン審議を可能にしても、規定できない何かがあったときに国家の機能に隙間を作ってはならないということで、緊急政令の規定を設けてはどうかと提案している」と述べていました。「規定できない何か」って何なんでしょうか。6月7日の参院憲法審で山本太郎氏(れいわ)が皮肉っていましたが、火星人の襲来かアルマゲドンなんでしょうか。

ガザ情勢に言及したのは赤嶺政賢氏(共産)だけ

最後にもう1点、強調しておきたいのは、ロシアのウクライナ侵攻の後には改憲勢力の委員たちがこぞって緊急事態条項の必要性と結びつけてこれに言及していたのに、今回のイスラエルのガザ侵攻について発言したのは赤嶺政賢氏(共産)1人たけだったことです。
確かに改憲派のアメリカべったりの立ち位置からはイスラエルへの非難を包含する文脈で議論を展開することは難しいのでしょうが、ハマスの「テロ」との両成敗的な主張さえ聞かれませんでした。改憲勢力のご都合主義が典型的に現れた事例だと思います。
赤嶺氏は、これもただ1人でしたが、辺野古新基地建設の代執行をめぐる問題も取り上げました。以下、赤嶺氏の主張を紹介した『しんぶん赤旗』の記事を転載させていただきます。

憲法に基づく外交こそ 赤嶺氏 ガザ危機で政府に要求 衆院憲法審
『しんぶん赤旗』2023年11月17日

衆院憲法審査会は16日、自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、深刻な人道危機が起きているイスラエル・ガザ紛争について、日本政府には「日本国憲法の平和主義に基づく外交が強く求められる」と主張しました。
赤嶺氏は、イスラエルの大規模な無差別攻撃により、ガザがジェノサイドの重大な危機に陥っている中で、国際社会による停戦に向けた緊急の働きかけが必要だと指摘。米国に追従し、イスラエルの軍事攻撃の即時中止を正面から求めない日本政府の姿勢を厳しく批判し、「イスラエルとパレスチナの問題は、武力で平和は絶対につくれないことを示している。憲法9条を持つ日本政府こそ、積極的な役割を果たすべきだ」と主張しました。

また、政府が沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設強行のために、玉城デニー知事の権限を奪う「代執行」訴訟を提起したのは「憲法に基づく地方自治を真っ向から否定する暴挙だ」と批判しました。
政府は沖縄県の民意を一顧だにせず、行政不服審査法を乱用し基地建設を強行してきたと指摘。最高裁も政府を追認する不当判決を出したと批判。「憲法が保障する民主主義も地方自治も無視し、新基地建設を強行することは絶対に認められない」と強調しました。
* 引用、ここまで。

この日の傍聴者は40人弱くらいでしたが、驚いたのは開会時に記者席に誰もいなかったことです。その後も入退場を繰り返す記者が1人いただけで、記者がゼロという時間が長かったように思います。
この日も自民党の委員の欠席が目立ち、終始5~7人程度が席を外していました。公明党の委員も早い時間から1人が退場し最後まで戻りませんでした。
(銀)


11月15日(水)13時から、今臨時国会初の参議院憲法審査会が開催されました。
今回、参院憲法審のホームページに事前に掲載された「開会情報」を見て、私は「また合区をテーマにするの?」と少し驚きました。と言うのも、合区についてはこれまで何度も審議が行われてきたからです。この2年間では、去年の通常国会で2回(うち1回は学識経験者を参考人に招いての質疑)、臨時国会で1回、今年の通常国会で3回(うち1回は合区の対象となっている4県の知事・副知事を参考人に招いての質疑、1回は参議院の緊急集会とあわせた自由討議)の審査会が合区問題をテーマとして開かれました。
案の定、この日の審議は低調というほかなく、予定されていた終了時刻15時の30分近く前には散会となるというありさまで、開く意味があったのかと感じざるを得ませんでした。

そもそも論になりますが、合区や1票の較差は憲法審査会で議論すべき問題ではないと思います。昨年5月18日の参院憲法審での福島みずほ氏(社民)の下記の発言に私は全面的に賛同します。
「選挙制度がどうあるべきかは憲法ではなく公職選挙法などのテーマであると考えている。合区をなぜ導入するのかなかなかコンセンサスが得られない中で、自民党は2015年に合区を導入し、2016年に参議院選挙が行われた。そして2018年、3年も経たないうちに合区解消のための憲法改正という議論が自民党の中から出てきたことは全く理解できない。3年で180度変わるものを憲法に書いていいのか。憲法改正の問題ではなく、憲法審査会で議論すべき問題ではない。」
yurusuna

辻元清美氏が野党側筆頭幹事に就任
この日の審査会では、冒頭で幹事の補欠選任が行われ、立憲民主党の辻元清美氏が新たに選任され、野党側の筆頭幹事に就きました。また、小西洋之氏(立民)が幹事に復帰しました。
以下にこのことを報じた『産経ニュース』の記事を転載させていただきますが、前任の杉尾秀哉氏もしっかりと「ブレーキ役」を果たしていましたので、辻元氏の就任で「停滞感」が深まったなどということはないと指摘しておきたいと思います。

漂う停滞感、払拭見通せず 参院憲法審 立民「ブレーキ役」要職に
『産経ニュース』2023年11月15日
(https://www.sankei.com/article/20231115-5R34TXVBNZPDVHUFY2EQSTEAFI/)

与野党は今国会初となる15日の参院憲法審査会で、人口の少ない隣接県を統合する参院選の合区制度をテーマに議論した。参院憲法審は、定例開催が定着した衆院側に比べて改憲論議の遅れが指摘されており、挽回できるかが焦点となる。もっとも今国会は日程が窮屈なことに加え、立憲民主党が憲法改正に慎重な議員を参院憲法審の要職に送り込み、停滞感も漂う。

「行政府の長たる首相は現行憲法を順守する立場にあり、衆参両院の本会議で条文案の具体化を促すような発言をすることは、いくら何でも越権行為と言わざるを得ない」
立民の辻元清美氏はこの日の参院憲法審で、10月の所信表明演説で改憲に意欲を示した岸田文雄首相(自民党総裁)を批判した。また、立民の小西洋之氏も「わが会派は(参院の)緊急集会の曲解を論拠とする国会議員の任期延長改憲には明確に反対する」と強調。衆院側で強まる緊急事態条項新設論を牽制した。

辻元氏は参院憲法審の日程などを与党筆頭幹事と調整する野党筆頭幹事に就任した。小西氏は先の通常国会で、週1回の開催が定着した衆院憲法審のメンバーを「サル」などに例えて野党筆頭幹事を辞したが、幹事に返り咲いた。
自民は改憲論議の進展を期待するものの、立民が容易に応じないことは「憲法改正のブレーキ役」(自民関係者)との声もある両氏の要職起用で明らかだ。

先の通常国会で衆院憲法審が実質討議を15回積み重ねたのに対し、参院側は7回にとどまった。改憲派の力が比較的弱いことに加え、弾劾裁判の開催日は憲法審を開かないという慣例にも阻まれた。実際、次回の憲法審開催は弾劾裁判を横目に決まっていない。

熱意も伝わってこない。15日の参院憲法審は所要2時間を予定していたが、1時間半で終了。立民関係者は「みんな興味がないのだろう。(中曽根弘文審査会長に)つい『終わるの早すぎませんか』と言ってしまった」と明かした。自民関係者は記者団に肩をもむしぐさをしつつ「議論をしたくない人をほぐしていかないと」と語ったが、沈滞ムードの払拭は簡単ではなさそうだ。(内藤慎二、永井大輔、児玉佳子)
*引用、ここまで。

傍聴人をないがしろにし続ける参院憲法審
11月2日(木)に開かれた今国会初の衆院の憲法審査会は、幹事の補欠選任を行っただけで1分足らずで閉会しましたが、参院では補欠選任に続いて合区をテーマとした審議が行われました。

まず、川崎政司参議院法制局長が、10月18日に下された「令和4年通常選挙定数較差訴訟」の最高裁判決を中心に、参議院の選挙制度の変化と1票の較差問題に対する最高裁判決の変遷等について説明を行いました。
以下、最高裁判決の内容と論点をわかりやすく報じた『東京新聞TOKYO Web』の記事を転載させていただきます。

川崎氏は法制局がまとめた資料(おそらく10数ページのもの)に基づき説明を行いましたが、衆議院と違って傍聴者にはそれが配布されず、私たちは15分近くもただでさえわかりにくい選挙法の問題に関する説明を何の手がかりもなく拝聴させられることになりました。
また、衆院審査会で配布される資料はすぐホームページに掲載されますが、参院審査会ではそれも行われていません。11月9日の衆院憲法審では418ページにも及ぶ『衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査団調査報告書』が配布され、ホームページにも掲載されていますので、今回、参院のひどい対応が余計に際立つことになりました。

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審査会の終了後、何人かの傍聴者が抗議の声を上げましたが、この傍聴レポートにも参議院は傍聴者、有権者をないがしろにするな!と記しておきたいと思います。

1票の格差、最大3.03倍でも「合憲」 2022年夏の参院選で最高裁「拡大傾向にあると言えない」
『東京新聞TOKYO Web』2023年10月18日(https://www.tokyo-np.co.jp/article/284491)

「1票の格差」が最大3.03倍だった昨年7月の参院選は投票価値の平等を定めた憲法に違反するとして、二つの弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は18日、「最大格差が拡大傾向にあると言えない」として「合憲」と判断し、選挙無効の請求を退けた。参院選を合憲と判断するのは2016年選挙から3回連続。

◆11人が「合憲」…「違憲」1人、「違憲状態」2人
15人の裁判官のうち11人の多数意見。4人の個別意見があり、法学者出身の宇賀克也裁判官が「違憲」、検察官出身の三浦守裁判官と裁判官出身の尾島明裁判官の2人が「違憲状態」、弁護士出身の草野耕一裁判官は合憲としつつ独自意見を述べた。
焦点は、最大格差3.00倍だった19年参院選後に新たな格差是正策をとらず、わずかだが格差拡大につながった国会の姿勢をどう評価するかだった。
大法廷判決は「格差是正のための法改正の見通しが立っておらず、具体的な検討が進展しているとも言い難い」と停滞状態と認めた。しかし、15年公選法改正で「鳥取・島根」「徳島・高知」を一つの選挙区にする「合区」が16年選挙から導入され、「数十年にわたり5倍前後で推移していた最大格差が3倍程度に縮小した。合区を維持し、最大格差が拡大傾向にあると言えない」と指摘した。
 
さらなる是正措置については、合区対象の4県で「投票率の低下や無効票投票率の上昇が続き、有権者が都道府県ごとに国会議員を選出する考えが強いことがうかがえる」と合区の問題点に言及し、「是正の取り組みにはさらに議論を積み重ね、広く国民の理解も得る必要がある」と、「国会が新たな具体的方策を講じなかったことを考慮しても、投票価値の著しい不平等状態だったとは言えない」と結論付けた。
1票の不平等問題は、議員1人当たりの有権者数が選挙区ごとに異なるため投票価値に差が生じる問題。二つの弁護士グループは全国14の高裁・高裁支部に16件の訴訟を起こし、「違憲」が1件、「違憲状態」が8件、「合憲」は7件だった。(加藤益丈)
*引用、ここまで。

これまでの議論が繰り返された今回の憲法審
過去に何回も議論されたテーマであったこと、10月18日の最高裁判決が昨年の参議院選挙を「合憲」としたこと等から必然的にそうなったわけですが、今回の参院憲法審では新たな論点や見解はほとんど提起されませんでした。
以下、合区や1票の較差の問題について各党が表明した意見を要約して報じた『NHK NEWS WEB』の記事を転載させていただきます。

参院憲法審査会 “一票の格差”最高裁判決受け 与野党意見交換
『NHK NEWS WEB』2023年11月15日
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231115/k10014259021000.html)

参議院憲法審査会が今の国会で初めて開かれ、去年の参議院選挙のいわゆる一票の格差をめぐる最高裁判所の判決を受けて、与野党が選挙制度のあり方について意見を交わしました。
15日の参議院憲法審査会では、去年の参議院選挙のいわゆる一票の格差について最高裁判所大法廷が10月に、憲法に違反しないという判決を言い渡したことを受け、参議院法制局が判決内容などを説明しました。
このあと各党が意見を交わし、
▽ 自民党と国民民主党は、参議院選挙で導入されている選挙区の「合区」を解消し、各都道府県から最低1人は議員を選べるようにすべきだと主張しました。
▽ 立憲民主党は、「合区」について議論する際は、該当地域など地方の声だけでなく、都市部も含めた国民的な議論が必要だと訴えました。
▽ 公明党、日本維新の会、共産党は、1票の格差を是正するため、都道府県を基本とする今の選挙区制度から全国を複数のブロックに分けた制度に改めるべきだと主張しました。
▽ れいわ新選組は、1票の格差を是正する方策として、議員定数を増やすことを検討すべきだと訴えました。
*引用、ここまで。

唯一、新たな論点を提示したのは石川大我氏(立民)で、次のような意見を述べました。
「10月25日に、性同一性障害特例法の障害当事者が性別を変更するためには生殖能力をなくす手術を受けなければならないという規定について、最高裁の違憲判決が出た。会長には、裁判で違憲が確定したこうした事案について本審査会で積極的に取り上げてくださるようお願いする。」

今回も山添拓氏(共産)や山本太郎氏(れいわ)が指摘したように、合区や1票の較差は憲法審査会で検討すべきテーマではなく、憲法審では最高裁で違憲とされた問題こそ取り上げてほしいという石川氏の要求には説得力があるような気がします。

今回も委員の出席率は高かったです。傍聴者は30人弱で、記者は3~5人が取材に当たっていました。
(銀)

11月9日(木)午前、衆議院憲法審査会の傍聴をしてきました。11月2日(木)に今国会での第1回めの憲法審査会が開かれたのですが「幹事の辞任及び補欠選任」のみだったので傍聴はせず、この日の審議からの傍聴闘争開始となりました。傍聴者は25人くらいだったと思います。
いつもは1時間30分ほどの審議なのですが、この日は海外視察の報告のみで質疑応答はなく、報告者3人で約40分ほどで終わりました。
yurusuna
ほとんど知らなかったのですが、通常国会閉会後、衆議院の憲法審査会のメンバー5人[団長:森英介(自民)、新藤義孝(自民)、中川正春(立憲)、濵地雅一(公明)、北神圭朗(有志)]による議員調査団が結成され、7月9日~19日まで約10日間、フランス、アイルランド、フィンランドの3か国を訪問し、3つのテーマについて、①憲法改正の現状、②緊急事態条項について、③国民投票の在り方、の調査を行ったとのことでした。この議員団に衆議院憲法審査会事務局、衆議院法制局、国立国会図書館の職員が同行しています。

なぜこの3か国を選んだのか?と考えますが、フィンランドはロシアと国境を接する国で軍事的緊張感も高まっている国です。
最初に、団長の森議員から3つのテーマごとの各国の特徴的な報告があり、そのあと中川議員、北神議員から感想的報告がありました。
緊急事態条項に関しては、「各国共通して強調されていたのが、緊急事態対応における議会チェックの重要性」「緊急時における国会機能維持は重要であり、議員任期延長を始めとした国会機能維持策について、速やかに議論を詰めていかなければならないと感じた」(森団長)、「(フランス・アイルランドとも)憲法上の緊急事態条項を法体系に持っておくことは重要、あるいは当然だと認識していると改めて確認できた」(北神議員)など。報告を聞いていて、やはりこれは通常国会で改憲派がゴリゴリ進めてきた緊急事態条項の改憲案づくりをさらに押し進めるためであることは明らかだと思いました。

それにしても、びっくりしたのは2センチ以上の分厚い「欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団報告書」なるものが作成され、おそらく10人以上であろう調査団が10日間も海外出張とは!
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いかほどの費用がかかっているのだろうか?と腹が立つと同時に、戦争ができる国家体制をつくるために、戦争をしない国の憲法としてつくられた日本国憲法を変えるために、改憲賛成世論を形成するために、国家権力がどれほどのエネルギーをかけているのかを思い知ったところです。

目の前のウクライナ戦争、アメリカ・イスラエルのパレスチナ侵略戦争。結局、岸田政権はこれらに加担する道を選んでいます。これに断乎抗議し、今こそ、戦争で犠牲になるのは「国民」だと思い起こし、世界各国でパレスチナへの戦争反対を闘っている労働者市民のように、戦争絶対反対、戦争のための改憲はさせない!と訴えていきましょう。(S)


暑中お見舞い申し上げます。
また、九州・中国地方の皆さまには水害の被害がないようにと祈るばかりです。

全国通信7月号の紹介です。

1面 「歴史を動かす反戦反核の夏へ」ということで、6月戦争国会を弾劾し、反戦の行動を訴えました。

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2面は、今国会最後の憲法審査会傍聴記です。事務局では衆参22回の憲法審査会を傍聴し、暴露弾劾してきました。引き続き、戦争のための明文改憲阻止!の声を職場・学園・地域で広げましょう。

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3面は、百万人署名運動が取り組む署名提出行動の報告と、辺野古新基地断念を求めるオール沖縄・署名提出行動の報告です。

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4ー5面は、広島からの報告です。
「G7広島サミットは戦争会議だ」、「広島を語って広島をつぶす攻撃だ」と、被爆者を先頭に渾身の訴えと実力デモを闘いぬいた8・6ヒロシマ大行動実行委の共同代表である中島健さんに、その闘いが切り開いた重要な地平について語っていただきました。

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6面は、自衛隊問題です。戦争をする国づくりに猛進撃する岸田政権の矛盾は、自衛隊問題に大きく表れ始めています。私たちも戦争反対の立場から、自衛隊・自衛官問題について考えましょう。
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7面は、各地からのお便り。
8面は、全国のインフォメーションと「夏季カンパのお願い」です。

暑い夏を乗り切る夏季カンパへのご協力を、よろしくお願いいたします。

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【カンパ振込先】

●郵便振込     口座番号  00150ー1-410561
           加入者名   百万人署名運動


●銀行振込     みずほ銀行(普通) 店番号 051(新橋中央支店)
           口座番号  1839742
          口座名   百万人署名運動  
         



 



6月15日(木)、いつもより40分ほど早い9時20分過ぎから10時50分過ぎまで、衆議院憲法審査会が開かれました。今回が実質的な審議が行われた今国会最後の衆院憲法審で、3月2日の第1回から5月4日の休日を除き15週連続の定例日開催が貫徹・強行されたことになります。

yurusuna
この日は、前回の審査会で改憲勢力が要求した緊急事態条項の論点整理がテーマとされ、冒頭に橘幸信衆議院法制局長が各会派の発言を整理したペーパー(下図:注参照)の内容を説明し、その後各会派の代表が10分以内でそれぞれの見解を述べるという形で議事が進められました。

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 注:A3版を横に使って作成された資料でこのブログでは文字が小さく読みにくいと思いますので、興味のある方は衆議院憲法審査会のホームページからご覧ください(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/2110615housei_kenshin-siryou.pdf/$File/2110615housei_kenshin-siryou.pdf)。

まず、今回の報告でもこの日の衆院法制局長の説明と各委員の発言の要旨をまとめた『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事を転載させていただきます。

衆院憲法審査会・発言要旨(2023年6月15日)
『東京新聞TOKYO Web』2023年6月15日

衆院憲法審査会が15日開かれた。衆院法制局が緊急事態条項を巡る各党派の見解をまとめた論点整理を示した後、討議を行った。発言の要旨は次の通り。

◆説明聴取
橘幸信・衆院法制局長 
自民、公明、維新、国民、有志の5会派は「参院の緊急集会は憲法の規定内容から一時的・限定的・暫定的制度であることは明白で、二院制国会の例外である緊急集会では、国政選挙が実施困難となるような真の緊急事態は想定されておらず対応できない。緊急事態に二院制国会を機能させるためには議員任期延長が必要」と結論づけている。

立憲は「議員任期延長は国会議員を固定化し、内閣の独裁を生む恐れがある。本来、選挙で民意の審判を仰ぐべきであり、任期延長された議員には民主的正統性が欠ける。参院の緊急集会で対応すべき」との意見だった。共産は「議員任期延長は選挙権を停止することで国民主権の侵害につながり、権力の乱用と恣意的延命にもつながる」と強調する。

5会派は、選挙実施困難の要件具体化の例として、広汎性と長期性の2要件による認定基準の具体化を提案している。手続き要件として、内閣の認定と国会の事後承認を要することで一致。議決要件は、出席議員の3分の2以上か、過半数か議論が必要という意見がある。また、裁判所による第三者的なチェックが必要ではないかという論点がある。任期延長の幅は上限を定めるべきこと、選挙が可能になったときは直ちに実施すべきことについては認識が共有されている。

◆各会派代表の意見
新藤義孝氏(自民) 
緊急事態に際し、国家の責務と権限を明確にし、国民を守り抜くための最大機能を発揮させるためには、平時モードから有事モードに切り替える概念を憲法に定めておくことは必要不可欠。緊急事態条項は、一定の取りまとめの方向性を議論する時期に来ている。
階猛氏(立憲民主) 
選挙困難事態においても、議員任期の復活や延長は必要なく、参院の緊急集会が暫定的に国会の機能を果たすべきだ。ただし、立憲主義の観点から、時の権力者が恣意的に選挙困難事態を認定し、緊急集会が乱用されないような方策を講じるべきだ。
三木圭恵氏(維新) 
岸田文雄首相の自民党総裁任期の来年9月までに憲法改正しようとすれば、逆算すると、1月には改憲原案の作成に取りかからなければならない。スケジュールに対する自民党の考えは。
上川陽子氏(自民) 
ここで言う任期は来年9月を想定したものではなく、今後の党運営の中で決まっていく。具体的なスケジュールを念頭に置いて作業を行っている状況ではない。
北側一雄氏(公明) 
衆院憲法審査会では昨年20回、今年15回の実質討議を行った。35回のうち(緊急事態条項の討議は)28回。5会派の間では参院の緊急集会の意義と適用範囲、それを踏まえた上での緊急事態における議員任期延長の必要性はおおむね一致している。
玉木雄一郎氏(国民民主) 
遅くとも来年の通常国会で発議できるスケジュールで作業を進めるよう、自民党には作業をリードしてほしい。立民の意見は(議院任期延長ではなく)緊急集会ということだが、議論次第では十分に合意の余地があると期待している。
赤嶺政賢氏(共産) 
今国会の憲法審査会で議論されたのは、緊急事態条項だけではない。多岐にわたるテーマが議論されたにもかかわらず、多数の会派だけで都合の良い論点を抜き出し、改憲案の擦り合わせにつなげようとすることは断じて認められない。
北神圭朗氏(有志の会) 
議員任期延長は国民の選挙権を制限し、正統性の根拠が乏しくなるとの反対会派の不信感が示されている。われわれの案は(任期延長に)国会の3分の2以上の事前承認が求められ、事後的に司法の関与もある。非常時における民主的正統性は担保される。
* 引用、ここまで。

筆頭幹事不在で審議に臨んだ自民党

今回は、審議の内容を報告する前に、自民党、特に与党側筆頭幹事の新藤義孝氏の許しがたい振る舞いを指摘しておきたいと思います。新藤氏は、この日の審査会について「6月15日、憲法審査会において、昨年の常会より一年半にわたり議論を積み重ねてまいりました“緊急事態条項”についての総括的論点整理を行いました。法制局論点整理資料と私の発言メモをご覧になってください」といけしゃあしゃあとツイートし、フェイスブックに関係資料を掲載していますが、実は氏は橘局長の説明のとき短時間でしたが1度退席し、戻ってきて自身の発言を終えると再び退席してそのまま欠席を続けたのです。
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新藤氏が議場で審議に参加していたのは約90分のうち30分足らずだったと思います。上掲の『東京新聞』の記事で、三木圭恵氏(維新)の質問に上川陽子氏(自民)が回答しているのも、新藤氏が不在だったからです。

自民党の幹事では、他にも山下貴司氏が最初から最後まで姿を見せず、柴山昌彦氏と伊藤信太郎氏も一時退席していました。つまり、5人中ずっと席に着いていたのは上川陽子氏だけだったわけで、これが改憲を「党是」だとして、憲法審査会の開催を強行し続けている自民党の実態です。

岸田の「自民党総裁任期中の改憲」をめぐる耐えがたいやり取り

上記の三木圭恵氏と上川陽子氏の質疑ですが、もう少し細かく紹介すると以下のようなものでした。
三木氏:岸田総理は自身の総裁任期中に改憲を成し遂げると意欲を見せている。総裁の任期である来年9月までに改憲をしようとすれば、逆算すると(この後三木氏はかなり無理なスケジュールを述べていますが、省略します)今年秋の臨時国会でまずどの条項で改憲原案を作成するかを決めなければならない。このスケジュールに対する自民党の考えはいかがか。
上川氏:岸田総裁が任期中に発議したいと言っているのは(ここで、改憲ではなく発議にハードルを下げていることが注目されます)、改憲への強い思いを表明されたものだ。安倍、菅総裁も同趣旨の発言をしており、これは自民党の党是にのっとったものだ。しかし、任期というのは具体的に来年9月を想定したものではなく、今後の党運営の中で決まっていくものであり、具体的なスケジュールを念頭に置いて作業を行っている状況ではない。
三木氏:それでは、仮に岸田総裁が2期目の総裁選で選ばれなかった場合は、約束が果たせないことになる。民間の感覚では、目標を立て計画を立てスケジュールを示して達成に向かうことが当然だ。いまの与党に維新、国民、有志の会を合わせた議席数は3分の2以上になるので、今後総裁任期中にという約束をするなら、期間をきっちり示されることをお勧めする。いまのようなお答えでは改憲を待ち望む国民は期待を裏切られたと感じるのではないか。
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今国会の憲法審においてもまれに見る実にくだらないやり取りでしたが、玉木雄一郎氏(国民)も「岸田総理自身も、その定義はいろいろあるのだろうが自らの任期中に改憲するという意欲を示されているのだから、遅くとも来年の通常国会で発議ができるスケジュールで作業を進めていただくよう、特に自民党はその作業をリードしていただきたいとお願いする」と述べていました。維新、国民が改憲に向けて自民党を強力に後押しする、あるいは積極的に牽引する文字どおりの改憲勢力であることがあらためて明確に示されたと思います。

自公は議論の積み重ねを強調

上掲の『東京新聞』の記事では、衆院憲法審で緊急事態条項をめぐる議論が積み重ねられてきたことを強調する北側一雄氏(公明)の発言が紹介されていますが、新藤義孝氏はさらに詳細に「衆院憲法審では、昨年の通常国会、臨時国会を経て今通常国会に至るまで、1年半にわたり緊急事態条項について討議を積み重ねてきた。昨年の常会では計10回、延べ98人、秋の臨時会では計4回、延べ34人、この常会では先週まで計14回、延べ109人が発言しており、合計で28回、延べ241人が発言している」と指摘し、「この膨大な議論を整理したものが先ほどの(衆院法制局長が説明した)論点整理資料であり、今後これを参考にさらに議論を深め、絞っていく必要があると考えている」と述べました。

実際には繰り返しが多く、「膨大な議論」が行われたとはとうてい言えませんが、政権与党である自公両党の改憲問題のキーパーソンがそろってこれまでの議論の積み重ねを評価する見解を打ち出したことは、大いに注目・警戒する必要があると思います。いまのところいつ、どの条項がターゲットとされるのかはわかりませんが、これだけ議論を重ねてきたのだから3分の2の多数決で改憲を発議しようという機運が高まる可能性は常にあるのだと考えて、改憲・戦争に断固反対する闘いとして改憲案の国会発議阻止!を広く訴えていかなければなりません。


今国会最後の衆院憲法審と同じ6月15日、自民党内で下記の動きがありました。以下、『産経ニュース』の記事を転載します。

自民安倍派「憲法9条2項削除目指すべき」提言決定
『産経ニュース』2023年6月15日

自民党安倍派(清和政策研究会、100人)は15日、昨年7月に死去した安倍晋三元首相が悲願とした憲法改正を巡り、自衛隊明記を実現した上で、次の段階として「戦力不保持」を定めた9条2項の削除を目指すべきだとする提言を決定した。

提言は、9条2項によって自衛隊が行使できる自衛権の範囲が制約されているため「急変する国際情勢の変化に対応していくことは、今後、困難となる場合も想定される」と指摘。「自衛隊を国内法上も国際法上も普通の『軍隊』として位置付けることが必要だ」として、9条2項削除を目指すべきだとした。
一方で、改憲には国民の幅広い信頼と賛同が不可欠だとして「国民の理解を得ている」とする自衛隊明記を先行させるよう訴えた。

派内で改憲について議論してきたプロジェクトチーム座長の稲田朋美元防衛相は、党本部で記者団に「安倍氏は9条の問題を改憲の中核だととらえていた」と述べ、提言をまとめた意義を説明した。
* 引用、ここまで。

私は、以前から憲法審査会の議論の中で自民党が、暴走と言っても過言ではない勢いで改憲を主張してきた日本維新の会、それに追随するようになった国民民主党などと少し距離を置いているように見えるのはどうしてなのだろうと考えてきましたが、その一つの要因は、党内で9条を変えるなら自衛隊、自衛権の明記だけでは不十分であり2項を削除すべきだ、そして緊急事態条項を創設するなら議員の任期延長にとどまらず緊急政令、緊急財政処分も位置づけるべきだという勢力が大きな影響力を持っていることかもしれません。つまり、自民党の党是である改憲は、選挙困難事態に備えて議員任期延長の規定を設けるなどという些末な事項ではなく、集団的自衛権、国家緊急権の行使を全面的に可能ならしめるという壮大な課題に対応するものでなければならないということです。
安倍派の提言は「自衛隊明記を実現した上で、次の段階として9条2項の削除を目指すべきだ」というやや微温的な内容のようですが、自民党右派の動向には常に注意を払っていかなければいけないと思います。

この日の傍聴者は最初40人くらいでしたが、開会後少し経つと年配者の集団が入ってきて70人ほどに膨れ上がりました。一時は立ち見の方も出ましたが、10時前には50人くらいで落ち着きました。記者は6、7人でした。
この日は最初に書いたように自民党の幹事の欠席が目立ちましたが、党全体では3~6人程度で推移し、いつもより少なめでした(ただし、共産党の赤嶺政賢氏の発言時には10人ほどに増えていました)。他の党派では立民、維新の委員も席を外している時間がありました。

(国会・衆議院側入口前)
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今回で長かった通常国会の憲法審査会はようやく終了しました。衆院では第1回の3月2日以降すべての定例日に計15回、参院では前日の6月14日には開かれませんでしたが第1回の4月5日以降10回の定例日中計7回の開催となりました。いまは全22回の審査会の傍聴を完遂できたことにホッとしていますが、次の国会からの展開を考えると本当に恐ろしく感じます。あらためて気を引き締め直し、改憲・戦争阻止の闘いに取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。(銀)

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