東北大震災~福島第一原発爆発から10年目の3月11日、福島県郡山市の開成山公園野外音楽堂で開かれた「3.11反原発福島行動2021」に参加してきました。2月の地震の影響で屋内会場が使えなくなり、急きょ野外会場に変更となりましたが、幸い晴天となり、日射しもとても暖かく良かったです。

集会では、現地の10年間の苦闘と怒りの声が続きました。
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「10年目の福島 被曝の現実は変わらない」というテーマでのトークセッションでは、飯館村の伊藤延由さん、三春町の飛田晋秀さん(写真家)、ふくしま共同診療所院長の布施幸彦さんが、それぞれ10年間とんでもない被曝が強要されているということを訴えられました。

伊藤さんは、10年たって明らかになった現実として、腐葉土が大きな汚染源となって放射線セシウムが自然の循環サイクルに組み込まれたと指摘されました。土壌汚染→根から吸い上げられ葉に出る→葉は落葉し腐るがセシウムはその場に蓄積される。これが毎年繰り返されていると言われ、樹木もセシウムに汚染されているし、キノコを食べられるようになるには300年待つしかないと言われました。

そして、見えないし匂いもしない放射線を、音で表す機器を使って感じさせてくれました。空間線量を計ったときの音と飯館村のキノコに当てて計った音は、大きさもそのピッチも大きく違いました。伊藤さんが手にしているのは「線量が低めのを持ってきた」というキノコですが、明らかに高い放射線が発せられていることを目の当たりにしました。
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「食べても安全だ」という人もいることに対し、伊藤さんは「もちろん、直ちに影響はありませんよ。でも、必ずどこかにリスクを負います」とはっきりと言われました。

飛田さんは(上の写真の右側)、原発事故翌年に避難地域に初めて入ったとき「街があるが人がいない」風景に背筋が寒くなった思い、怒りと涙でシャッターを切ったことなどを語られ、自分に何ができるかと悩んで撮影に行くようになったと語られました。そして、金をかけて、帰還困難区域に常磐線を開通させ、住宅地はバリケードで入れず道路だけは除染して「復興」だとし、22年からは避難指示を解除するなど、「殺人行為だと思う」と言われました。

また、フランスへ行ったとき専門家に「チェルノブイリは30㎞以内は立ち入り禁止だ。0.07μ㏜/h以上は立ち入り禁止だ。日本の現状は話にならない」と強い憤りをもって言われたと話され、今の福島が置かれている現状を全国の人々に伝えたい、写真を持ってどこへでも行くと言われました。
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ふくしま共同診療所の布施先生が、体調不良で参加できなくなったの渡辺瑞也さん(相馬市、小高赤坂病院院長)の報告を代わって報告されました。

渡辺さんは、この10年で福島県民の健康状態が悪化している、原発事故前と後では死亡率も高くなっているし、がんも多発していると。特に女性の死亡率が高いのでなぜかと思っていたら、後に外国の資料から女性は男性より放射線への感受性が高く抵抗力が弱いと知り原発事故の影響だと確信されたとのことでした。

数日前に、国連の科学委員会が、福島原発事故による住民への健康被害はないとする報告書を発表し、マスコミで大々的に報道されましたが、こういうデタラメで真実を覆い隠そうとするやり方に怒りがわきます。

ミニコンサートでは、10年前にも福島に駆けつけたという中国出身のサージュさんのうたとグオミンさんの木琴演奏があり、魅了されました。また、毎年演奏してくださる地元の稲葉隆一さんのサックスの音色も素晴らしかったです。
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全国からは、三里塚芝山連合空港反対同盟、星野暁子さん、NAZENヒロシマ、動労水戸からアピールがありました。

また、特別報告として「子ども脱被ばく裁判原告」からの訴えがありました。国や県の被ばく対策の責任を問うた親子らが原告の裁判で、福島地裁は3月1日に不当判決を下しました。

「10年たっても終わってない。日々無用な被ばくを子どもたちにさせている。子どもたちを守るのは親の責任」と訴えるお母さん。6年以上の裁判を闘って、被ばくの現実があるのにこれを退ける裁判所とは!悔し涙が出ました。お母さんたちは仙台高裁に控訴して闘いを続けると表明、共に闘っていきましょう。
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途中、地震があった14時46分に黙とう。

「ふくしまの決意」として、希望の牧場の吉沢正巳さんがアピールしました。「300頭の牛を国に対する抗議・抵抗のシンボルとして最後まで生かす」「21000人いた浪江町にもう20000人は帰ってこない」「汚染水を海に流したら請戸漁港は成り立たない」「原発廃炉なんかできない」「原発の時代を終わらせるんだ。そのために国民が実力を持とう。仲間を増やそう!」吉沢さんの魂の叫びが、ビンビン迫ってきました。
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集会後は、郡山駅までデモ行進。
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原発いらない、再稼働するな!
原発事故は終わってないぞ!
汚染水流すな!
オリンピックやめろ!福島10
途中、うれしそうに手を振ってくれる人や歩道を一緒に歩く中学生たちもいました。
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駅に近くなったところで、「日の丸」を立てた右翼の妨害行動にあいました。
何を言っているのか?よくわかりませんでした。
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私たちは、堂々とデモをやり抜きました。
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デモ後、すぐに新幹線で東京の3.11経産省テント前や東電前行動に向かわれた方たちもいました。ご苦労様です。
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私たちは、郡山駅の中にある立ち食いそば屋さんで腹ごしらえをして、「青春18きっぷ」で東京へ向かいました。(S)

東京での3.11行動にもたくさんの人々が参加しました。
(レイバーネットより)
3.11東電前集会
3.11経産省前集会