9月2日(水)、東京高裁で、農地の強制収用を許さない「請求異議裁判」の第3回控訴審が開かれました。コロナ情勢の中でいつも100人ほどの傍聴者が1/3に制限されましたが、市東さんの農民としての命がかかった裁判として、成田空港会社と国策裁判の横暴を許さない!と裁判所の内外で終日闘いぬきました。
三里塚2

この裁判は、4年前に最高裁が出した反動判決(市東孝雄さんに耕作地の明け渡しを命じたもの)に対し、市東さんがこの判決に基づく強制執行を認めないよう求めた異例の訴訟です。千葉地裁はこの「請求異議」の裁判を開始しましたが結局棄却(2018年12月)。市東さんは直ちに控訴し、東京高裁での裁判が始まりました。
三里塚1

問題になっている耕作地は市東家が農地買収に応じなかったためB滑走路への誘導路が「への字」に曲げられてしまったところです。ところが、成田空港会社は卑劣にも地主から農地を買い取っていたとして親子3代で耕作してきた耕作者から農地を取り上げようとしているのです。

市東さんの農地をめぐる最高裁までの反動判決は、成田空港建設が国策であるため、法廷でいかに市東さんの側の正当性が明らかになっても、法務省・裁判所は結局成田空港会社の側にたってしまっているということを赤裸々に示しました。

それでもこじ開けた請求異議裁判は、三里塚反対同盟と弁護団の必死の反撃がつくりだした攻防戦場で、さしあたってここでの闘いが当面の強制執行を食い止めている力です。
三里塚3

この日の裁判では、①コロナ禍の中で航空事業が大破綻し、B滑走路延長・C滑走路新設の機能強化は必要なく、だから市東さんの耕作地の強制収用の緊急性/必要性がなくなっていること。②1993年~1994年の「成田空港問題円卓会議」(隅谷調査団主催、反対同盟(旧熱田派)、運輸省、空港公団、千葉県などが参加)で「…用地の取得に、あらゆる意味で強制的手段が用いられてはならず、…」と明確に確認されていて、市東さん農地の強制執行は認められないこと、が改めて明らかにされました。

①については弁護団の弁論と経済学者の鎌倉孝雄さんの証言で徹底的に明らかにされました。
鎌倉さんは、「今のコロナ不況・経済危機は、これまでの企業の減収による経済危機というようなものではなく、新自由主義の崩壊であり、人間が人間として生きていく基盤そのものの解体、人間関係の破壊として進んでいる」「新自由主義政策として意図的に観光事業があおられ、作り出された航空需要がいま大幅縮小している。それなのに、成田空港会社はさらに機能強化をするなどと言っている。驚くべき考え方だ」「地域に住んでいる労働者市民の生活破壊は許されない。市東さんの農地問題は重要な闘いだ」と述べました。

②については、成田空港問題シンポジウム・円卓会議にずっと参加していた平野靖識さんの証言で、「あらゆる場面で強制的な手段を用いない、行政的な強制執行はやらないと確認した」と明らかにされました。

市東孝雄さんも証言に立ちました。
市東さんは、「4月22日以降3か月間B滑走路が閉鎖され、今まで騒音でかき消されていた鳥のさえずりや風の流れをじかに感じ、本来の姿がこれなんだと感じながら耕作している」「成田空港会社は、国策だからと必要性のない機能強化をやろうとしている。周辺住民の気持ちを全くわかっていない」「いま耕している農地を取られたら、隣の農地も死んでしまい農業ができなくなる。育苗ハウスも大事でこれもとられたら農業をやっていけない」「親父の後を継いで始めた無農薬有機農法も軌道にのるまで3年ちょっとかかった。あの農地がなければ農業ができなくなる」と訴えました。そして、「1988年に地主が底地を売っていたことを2003年の新聞報道で知った。小作人が知らないところで農地を売却したら、農地法上、その時点でアウトだと思う。こんなことがあっていいのか。国家のためなら、そこで生きていく人間に対して何をやってもいいというのか、何度も怒り感じる」「私はこれからも農業を続けていきたい。ウソをつかない、農薬を使わない、新鮮な野菜を消費者に届ける。おいしいと聞くとありがたい。お金は必要だが、喜びの中で仕事ができることが一番良い」と。とても感動しました。

農業学者の石原健二さんも証言に立ち、「小作地の強制執行は間違っている」と、市東さんが行っている有機農業や産地直送の意義、小作人の権利について語り、「強制執行は、市東さんの生き方を侵害するもので認められない、権利濫用だ」と弾劾しました。

許せないと思ったのは、成田空港会社の代理人弁護士たちが一言も反論しないことでした(私が傍聴した裁判で代理人の弁護士が何か言葉を発するという場面はひとつもありませんでした)。 裁判長も反対尋問をきちんとするよう彼らにうながすということをまったくしないのです。市東さんたちが法廷の場で誤りを正そうと真剣に取り組んでいるのに、裁判長も代理人弁護士たちも本来の自らの使命に照らして恥ずかしくないのかと怒りを感じました。
この国の司法の腐敗の一面を見た思いです。国策に反対する者たちの正義は通らない。こんなことを許してはなりません。

切り開いた請求異議裁判も10月22日が最終弁論となります。限られた時間ですが、一人でも多くの人々にこの裁判のことを知らせ、強制執行するな!という声を東京高裁に届けましょう。9月27日に成田で市東さんたちが呼びかける全国集会があります。ぜひ参加しましょう。(S)

市東さんの農地を守ろう!空港機能強化粉砕!安倍政権打倒!9.27三里塚全国総決起集会
とき◆9月27日(日)正午~集会、午後2時30分~デモ
ところ◆成田市・赤坂公園芝生広場(千葉県成田市赤坂1-2、JR成田駅西口バス乗り場よりバス路線あり:中台線「赤坂公園」下車、中央通り線「保健福祉館」下車)
主催◆三里塚芝山連合空港反対同盟(tel.0476-35-0087)

■東京高裁への「要望書」を書いて、反対同盟に届けましょう。(送り先:千葉県成田市天神峰63 市東孝雄様方)
「要望書」のダウンロードはこちらから。
https://www.sanrizuka-doumei.jp/wp/wp-content/uploads/2020/01/kosai-yobosyo2020.pdf


三里塚芝山連合空港反対同盟ホームページ
https://www.sanrizuka-doumei.jp/wp/