8月12日、墨田区の曳舟文化センターで「『国益』と『排外』に憲法は屈するのか?改憲発議を阻もう!8.12労働者市民のつどい」(8.15実行委員会主催)が開かれました。戦争への危機を感じる歴史的な情勢の中で、私たちにいま、何が問われているのかが鮮明に打ち出されたとてもいい集会でした。

主催者あいさつで、弁護士の葉山岳夫さんは「この集会は、24年前の戦後50年天皇の戦争責任を問う8.15労働者市民のつどいとして発足したが、そのとき『国益と排外に憲法は屈するのか』はサブタイトルだった。しかし、いまやこれが真正面から問われている。まさに、国益と排外主義をあおりたてる中で、安倍政権は改憲を強行しようとしている」と訴えました。
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続いて、その排外主義との対決の直近の問題として、主催者より「あいちトリエンナーレ 表現の不自由展・その後」中止事件に抗議し、展示の再開を求める緊急アピールが読み上げられました。ヘイトクライムやテロの脅迫から表現の自由を守るべき行政が「展示が日本国民の心を踏みにじる行為」(河村たかし名古屋市長)だと被害者の心を逆に踏みにじり、撤去要請を出すなど、排外主義をあおり検閲を行っています。安倍政権の韓国への排外主義をあおるやり方と同じで、絶対に認めることはできません。中止撤回と展示再開を求めていこう。緊急署名に協力を、と呼びかけられました。

この日、集会前に、韓国から参加された民主労総ソウル地域本部の女性が、安倍政権の戦争に向かう排外主義・国家主義に抗議して、会場前の広場で「平和の少女像」に扮してアピールをしました。「日本の皆さん愛してます」の横断幕が掲げられました。
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この日の集会に参加されたのは、民主労総ソウル地域本部のヨンスノクさん(主席副本部長)とキムスニさん(組織局長)。集会での発言で、ヨンスノクさんは「なりふり構わぬ反日、反韓感情ではなく、この状況の本質をしっかり見ましょう。“過去の清算と平和の問題”です。日本、韓国、二つの国の民衆は、今まで侵略戦争と植民地支配の歴史、核兵器投下と戦争の惨禍の真実を知らせ、正義を明らかにするために努力してきたのではないですか?」と問い、「隠そうとする者、歴史を歪曲し過去の過ちを謝罪しない者、その罪を償うようにしよう。すべての真実は必ず勝利するのです。」と訴えました。

メイン講演は、半田滋さん(東京新聞論説兼編集委員)の「先制攻撃できる自衛隊」。すでに日本が危険な軍事大国になっている現状を具体的に指摘され、「ここで自衛隊明記の改憲を認めたら自衛隊は名実ともに軍隊となる」ことがよくわかりました。時間がとても足りないということで近著の『安保法制下で進む!先制攻撃できる自衛他』が紹介され、なんと、講演後60冊が完売となりました。
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恒例の松元ヒロさんのコントも、例年になく熱のこもったもので、痛快な演技と掛け合いで会場を沸かせました。

集会の基調的な提起を弁護士の森川文人さんが行ないました。これも、とても分かりやすかったです。
まずいまの時代について「息苦しさが社会に蔓延してる。すべて自己責任。爆発しそうな日々の暮らしへの不満と怒り。それを、悪いのは政府ではない、あの国のせいだという形で排外主義をあおっている」と指摘し、さらに「正規・非正規の賃金格差、職種や外注化による分断、あらゆる分断によって隣りの労働者と競わせ団結を阻み、使い勝手のいい賃金奴隷化が狙われている」と。
また、「各国とも、格差が異常に広がり、私たち民衆をまともに食べさせることができない。それほど資本主義は追い詰められている」ととらえて、安倍政権の改憲と戦争のできる国への転換を「いまや9条改憲で戦争のできる国になること以外に、さらには改憲を経ずしてアジア中東への自衛隊派の派兵と実際に戦争に突入する以外に、日本の資本、企業が帝国主義として生き残る道がないからだと思う」と分析しました。
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さらに、森川さん自身が日弁連の人権委員会で調査を担当した関東大震災朝鮮人虐殺問題で、2003年に政府に被害者遺族に謝罪せよと勧告したことを紹介し、ことの真相は1910年に韓国を侵略した日本政府が、韓国の人々の怒りが日本の労働者民衆に合流し爆発することを恐れて、その火を未然に消すために関東大震災時に不穏な状況を利用して、虚偽の情報を流し虐殺を拡大させたのだと指摘。だから、いま、それを乗り越え、「民衆労働者同士が手をつなぐことが必要だ」と訴えました。
そして、日本語と韓国語で呼びかけました。
「戦争はあくまで侵略戦争です」「対立しているのは政府資本であり、日本の民衆と韓国の民衆ではありません」「私たちは自国の政府を打倒します。それが手をつなぐことだからです」「国際連帯して一緒に闘いましょう!」
日本語と韓国語で代わる代わる話せるなんて!スバラシイ。

後半、何人かの発言が続き、それぞれ重要な内容だったのですが、森川さんの提起との関係で動労千葉の田中委員長の発言を紹介します。
田中さんは、いまの日本の社会の状況について「私たちに責任がある。日本の労働運動がここまで力を弱めてしまったからだ」と総括し、「私たちに問われていることは、日本の労働運動が力をとり戻して、政府の言っていることはすべてウソだ、歴史の偽造だと、私たちは韓国の労働者民衆と連帯する、と高々と声をあげることです」と改めて訴えました。そして、そのためにも、11月3日に予定している労働運動の再生をめざす総決起集会を成功させたい。共に闘いこの時代を変えよう」と呼びかけました。
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集会は、司会もカンパアピールも学生が担っていて、運動の展望が感じられました。(S)