安倍内閣は、8月2日午前、輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」(輸出優遇国)のリスト27か国から韓国を外す政令改正を閣議決定しました。
これは、7月4日の韓国向け輸出規制強化に続く徴用工大法院判決への報復的な措置で、許せません。

この決定を受け、韓国のムンジェイン大統領は2日午後に臨時の閣僚会議を開き、韓国人元徴用工訴訟の判決をめぐる「明白な経済報復だ」と批判、対抗措置として日本を輸出優遇対象国から外すと発表しました。

かつてない日韓政府の対立激化に対し、日韓の労働者市民はどのように考えていったらいいでしょうか。そのために、日韓の労働者民衆の立場からの声明を紹介します。

まず、動労千葉国際連帯委員会の声明です。
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改憲・戦争に向かう安倍政権打倒!
対韓国輸出制限を即時撤回せよ!

安倍政権は、「徴用工」とされた方々の訴えに関し日本企業への賠償を命じた韓国大法院決定を激しく攻撃し、はては報復的輸出規制に訴えて国家主義・排外主義、韓国民衆への敵愾心を煽りたてている。われわれはその非道な攻撃を絶対に許さない。

日本政府は戦後74年間、歴史に深く刻まれた戦争責任を未だ明確にとることなく開き直っている。そして、韓国民衆が今もその責任を問うて必死に声をあげ続けざるをえない状況を強制してきた。その痛みがどれほどのものか真剣に向き合わなければいけないというのに、逆に口を極めて罵り、攻撃することを絶対に許してはならない。
しかも、その企みの背後では憲法を改悪し、大軍拡を進め、日本を再び「戦争のできる国」にしようとする歴史的大反動が進められている。

安倍政権は3化学製品に加え、「安全保障上の輸出管理問題」と称して1000品目にわたる輸出規制を閣議決定し8月末に施行すると発表している。それは戦争行為に等しい暴挙だ。

日本の労働者は“二度と戦争を繰り返させてはならない”と固く決意して戦後再び歩みはじめたはずであった。問われているのはわれわれ自身だ。
韓国の労働者民衆は私たちの敵ではない。私たちの友人だ。
敵は国家主義を煽りたてる日本政府だ。私たちは怒りに燃え立つ韓国労働者民衆の闘いを断固として支持する。固く団結し、戦争を煽りたてる安倍政権を倒すために全力を尽くして闘いぬくことを決意する。

日本帝国主義は1910年の「韓国併合条約」を契機として、本格的な朝鮮、中国、アジア侵略に突入した。徴用工問題とは軍隊慰安婦問題と並び、「言葉まで奪う」過酷な民族抑圧と抹殺の支配体制のもとで行われた凶悪な戦争犯罪だ。

そして1965年、日本政府はその「清算を狙ってパクチョンヒ軍事独裁政権との間で日韓基本条約を締結した。巨万の韓国人民は、軍隊を使った弾圧をも突き抜けて韓日条約反対闘争を貫いた。日本でもこの韓国人民の不屈の闘いに励まされ、動労千葉青年部など多くの青年労働者は日韓条約反対を闘い抜いた。

しかし日本政府はこの条約とその締結過程を通して、謝罪はおろか「韓国併合条約」は「合法」と言い募り、「賠償」の言葉も一切使用せず、いくばくかの資金を軍事独裁政権に渡して日本資本の対韓投資の呼び水として行った。安倍政権が繰り返す言辞「1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決」は全くのペテンである。

安倍政権とJRは手を組んで、「自動運転」を理由に運転士・車掌まで外注化・非正規職化に叩き込み、国鉄闘争の破壊に踏み切った。関西生コン支部に対しては、労働組合活動そのものであるビラ配布やコンプライアンス点検活動まで「恐喝未遂」や「威力業務妨害」にでっち上げ、80人以上の組合員を逮捕・拘留し50人以上を起訴すると言う常軌を逸した大弾圧を開始している。
労働組合というあり方を根絶する攻撃が、国家主義・排外主義を煽り立てる中で進行している。

しかし一方で、職場生産点を階級的労働運動が握りしめる闘いが確実に進み、日韓労働者の共同闘争を軸とした国際連帯の闘いが大きく発展している。

私たちは労働者の今と未来を掛け、韓国・世界の労働者と固くスクラムを組み、報復的輸出規制を絶対に許さず、改憲・戦争に向かう安倍政権を必ずや打倒する。
共に闘おう!

2019年8月1日
動労千葉国際連帯委員会
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次に、韓国民主労総の声明です。(http://nodong.org/statement/7462189)
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<声明>日本安倍政権の経済報復措置に対する民主労総の立場
安倍政権21世紀版侵略政策、労働者・民衆の闘いで必ず粉砕する

 日帝強制徴用賠償問題にけち付けを行っている安倍政権の一方的経済報復が本格的に拡大する兆候だ。日本は輸出規制理由について、戦略物資が北に流れているため規制するといっているが、とんでもない根拠が明らかになるや、今は韓国の戦略武器開発に利用されるからだと、12日韓?日輸出統制実務会議で明らかにしたという。数十年間、続いてきた韓日間の従属的、相互依存的な経済協力体制を崩壊させる措置だ。

 われわれは安倍政権のこのような動きを、単純に強制徴用賠償を回避するための風よけとして見ない。‘戦争をできる国’を完成するための参議院選挙用という一部の見解とは違い、安倍政権が始めた経済報復措置は、より拡大される可能性が大きく、それだけにかなり深刻な幾つかの戦略的含みを持っている。

第一は、日本の経済報復措置は、新たな歴史戦争の宣戦布告だ
 強制徴用民間賠償判決問題は受け入れず、日本軍慰安婦問題もまた1965年韓日基本条約で除外決定した後、韓国と国際社会の圧力に勝てず、パククネ政府の時再合意をしたため、容認することはできないという。日本は、日帝の強制支配時期の歴史問題ついて何一つ退く考えはなく、歴史問題を超えて政治、経済、軍事的報復措置を通して、力で制圧するという宣戦布告をしたものだ。
 これは、韓日併合条約は侵略ではなく、合法的であり、日帝強制支配時期は、未開朝鮮の近代化を提供した時期であり、1965年韓日基本条約は韓国経済開発に決定的援助を与えた恩恵的措置だったと典型的な帝国主義思考方法だ。100年前、銃剣を持って侵略した日本が今回は経済報復で韓国を跪かせるという発想だ。

第二に、韓半島と東北アジアの秩序再編過程で排除されている介入力を物理的に確保するという意図だ
 依然として大東亜共栄圏を夢見ている日本極右勢力の危機感は、日ごとに高まっている。参議院選挙で必ず改憲ラインを確保すると気遣いにおいても、この危機感は内包されている。4.27板門店宣言から6.30板門店米朝会談までの一連の過程を見る時、今後韓半島情勢は平和反映統一の方向に進むことは明らかだ。
 特に、南北関係の質的発展と民族共生拡大で、日本がとって来た既存の韓半島、対東北アジア戦略は修正が不可避だ。これは経済報復を通した日本の選択は日米同盟の質的強化と軍事大国化で東北アジアの秩序再編過程に力で介入するということを確認することができる。
 
第三は、日本の経済報復措置は、間接的内政干渉効果を発揮している
 日本の経済報復措置後、国内親日政治家たちの総本山と言える自由韓国党と親日守旧報道機関は、連日強制徴用賠償問題のような枝葉の事案のために、経済をすべて台無しにしているとして、国民に対する危機感をつくり、拡大している。
 自由韓国党ファンギョアン代表は、「過去から身動きができずにいる韓日関係が、結局今日の不幸な事態を生み出した」とし、日本の前に跪くことを扇動している。最高裁判決まで出た強制徴用請求権を投げ捨て、‘慰安婦’合意を日本の意志通りしなければならないということだ。日本の経済報復措置と危機感を作り出すことは、自由韓国党など国内親日守旧保守勢力が政治的立場を拡大し、来年総選挙で有利な社会的、政治的環境をつくるための積極的契機に活用されている。

 われわれは、日本の強圧的経済報復措置を破綻に追い込み、これを口実に韓国社会を再び歴史歪曲があふれ、戦争の危険が常に存在する野蛮の時間を取り戻そうとする自由韓国党など、守旧保守勢力の企みを完全に破綻させるために積極的に闘いに立ち上がるものだ。
 不法と反人権的搾取と弾圧に染められた帝国主義侵略の歴史は認めず、経済報復措置で、われわれを跪かせようとする安倍政権のふるまいに対する国民的怒りと抵抗の火の手は、瞬く間に燃え上がった。すでに自発的に日本製品不買運動が雨後の竹の子のように広がっている。

 闘争する労働者民衆は、日本の21世紀版帝国主義的侵略性を糾弾し、経済報復措置を実質的に破綻させる闘いを展開するだろう。さらに解放70年が過ぎた今日まで、政治、言論、経済など、各界に刻み込まれ、対日屈辱外交と親日行脚を展開し、再び執権を夢見る親日積弊勢力をこの機会に完全に一掃する闘いを積極的に展開するだろう。

 帝国主義列強のあらゆる侵略を防ぎ、克服して来た無力な高官ではなく、地と汗を流し生きていく民衆だ。労働者民衆が先頭に立ち、イミョンバク・パククネ歴史回帰勢力を引きずり下ろしたロウソク抗争の力を再び組織し、日本安倍政権の現代版侵略政策を必ず粉砕するだろう。

2019年7月16日
全国民主労働組合総連盟
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また、今回の問題についての民主労総の考え方、取り組みを報道した韓国の新聞記事を紹介します。
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(京郷新聞)
「日本嫌悪でなく韓・日労働者の革帯を」
民主労総、『盲目的反日』に距離を置く
 
 民主労総が25日、日本の輸出規制措置以後に拡がっている盲目的な日本嫌悪に対して批判的な立場を発表した。
 キム・ヒョンソク民主労総スポークスマンはこの日記者たちに送った文字メッセージで「(日本の輸出規制措置に対する)民主労総の基本の立場は、日本の保守勢力の反省のない日帝強制占領期間の歴史不正と歪曲など、新軍国主義復活の流れを強く糾弾することに加えて、政治・経済・軍事的な葛藤と対決は韓国・日本両国の労働者の犠牲を招くだけだ」と明らかにした。
 キム・スポークスマンは「反戦平和で連帯する韓・日両国のナショナル・センターと市民社会団体は、最近の日本糾弾の世論を伝える韓国マスコミの報道が、盲目的な『日本嫌悪』を加速化させることを憂慮する」と明らかにした。続いて「民主労総はこのような憂慮と立場を基に、単純に民族感情に寄り添った日本嫌悪でなく、両国の労働者の連帯と安倍政権の帝国主義政策糾弾、反戦・平和のための各種事業を討論して樹立する計画だ」と話した。                                
                         2019年7月25日
                                       京郷新聞 キム・ジフアン記者

(ハンギョレ新聞)
民主労総「日本の経済報復に緊急対応」決定

葛藤が大きくなれば両国の労働者の犠牲だけが深刻化」
毎週土曜日に「ノー安倍集中ロウソク集会」を開催
全教組、関連授業などで産別労組次元での対応を計画

 全国民主労働組合総連盟が続く日本の輸出規制強化に対抗して『ノー安倍ロウソク集会』を開くなど、組織的な緊急対応を始めることにした。日本の経済報復による両国間の葛藤が大きくなるほど、労働者の犠牲だけが深刻化するという憂慮のためだ。
 民主労総は25日に中央執行委員会を開催し、報告案件である『日本の経済報復など当面の情勢と対応計画』を進行することを決めた。民主労総は先ず27日にソウル・光化門広場で民主労総の代表者による記者会見を行い、安倍政権の独走を糾弾する一方、持続的に日本大使館と領事館の前で韓-日軍事情報保護協定(GSOMIA)の廃棄を求めるキャンペーンを行うことにした。毎適土曜日には、ソウルで労働市民団体などと一緒に『ノー安倍集中ローウソク集会』を開催して、署名運動と一人デモも組織的なレベルで展開する。
 各産別労組も行動計画を樹立することにした。全国教職員労働組合(全教組)は、休み期間中に組合員が授業の資料と教師研修用の資料を作り,始業と同時に『関連授業』をすると、この日明らかにした。日本の韓国強制占嶺と、今回の事態の直接的な背景になった強制徴用、1965年の韓国・日本の協定、最近の大法院判決などに関する内容を学生たちに教える計画だ。
 チョン・ヒョンジン全教組スポークスマンは「日本が過去の歴史を否定すること、歴史歪曲をしたのが今回の事態の本質であり、教師として正確に認識するようにさせる必要がある」と話した。
 また、鉄道と地下鉄の労組は車両に日本を糾弾するステッカーを貼り出す一方、関連する内容のポスターを駅舎などに貼ることにした。官公庁と病院に関連した労組も宣伝物を作って貼り出して市民こ広報する一方、事務職の労働者は関連のリボンを胸に付けて勤務ををする方案も示された。
 民主労総所属のサービス連盟・マート産業労組は、前日、日本製品の案内拒否運動を始めることにし、サービス連盟・全国宅配連帯労組と公共輸送労組の全国宅配労組は『ユニクロ配送拒否』など、汎国民的な日本製品不買運動に参加すると宣言した。
                             2019年7月25日
                 ハンギョレ新聞 チョン・チョンフィ記者
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日本の労働組合の現状と比べると、その内容の高さにただただ感心させられます。韓国民主労総の闘いに学び、連帯して日本でもがんばりましょう。(S)