西川重則(とめよう戦争への道!百万人署名運動事務局長)
nishikawa
2018年は、掛け値なしに重大な年である。

国会は、今なお厳しい状況が続いている。私の一番好きな言葉は「とめよう戦争への道」だが、それとはまったく逆の方向に国会と政府が動いている。

「憲法を改正する」という発言を、私は国会で何度も聞いてきた。2017年11月17日、安倍首相は衆院本会議で所信表明演説をした。そこで首相は「北朝鮮への圧力を限界まで強化する」と言った。そして四番目ではあったが、明文改憲を明言した。私は、いよいよ改憲阻止の正念場が来たと感じた。

今、自民党本部の入口には「憲法改正推進本部」と書いた大きな立看板が掲げられている。自民党は1955年の結党以来「現行憲法の自主的改正」を掲げてきたが、これから2年でそれを成し遂げようとしている。
jiminto
首相がいくら改憲を唱えようと、「とめよう戦争への道!百万人署名」をやっている我々の考えを、声を大にして訴えていくべきだ。主権在民、国民主権の立場を貫くべきであって、絶対に黙っていてはいけない。

そのためには、憲法に習熟することが大事だと思う。

労働組合の活動で忙しい、学校や仕事で忙しいから、憲法の勉強をする余裕などないと言われるのも当然だろう。あるいは、自分の学校や職場には憲法は存在しないと思われるのも現実だと思う。しかしそこで考えてみてほしい。なぜこういう憲法がつくられたのか? なぜ安倍・自民党は、憲法を改悪しようとしているのか? 憲法の条文には深い歴史があり、国家や社会の問題を考える重要なきっかけにもなる。

一つ指摘すれば、憲法の制定過程で、GHQのマッカーサーが、平和的な環境で占領政策をきちんとやるためには、天皇制を残して利用しようと考えたことがある。その意図を昭和天皇も、当時の政府も積極的に受け入れ、それが憲法の第一条となった。「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」と。私はこの条項に反対であり、天皇制は廃止すべきという立場だが、憲法とは何かを考える上で重要なことがそこにはある。

かつて日本は朝鮮を植民地化し、「満州事変」(1931年9月18日)を起こしてアジア侵略戦争を行った。しかしその戦争を「自衛戦争」と言った。最初に「自衛戦争」という言葉を使ったのは、昭和天皇だった。1932年1月8日の読売新聞に、天皇の勅語が掲載され、そこに「自衛戦争」という言葉が書かれていた。

私は、戦争への道をとめるために、アメリカ帝国主義との軍事同盟を許さない、9条に自衛隊を明記する憲法改悪を絶対に許さない。それをどういうやり方で運動するかと言えば、アジアの視点・立場にたって、国際連帯を実現すること。戦争をしようとする権力者に立ち向かう、共なる戦いをしたい。

憲法に習熟することとは、若い人にも読んでもらえるように、理解されるように、そして若い人と一緒になって日本のあり方を考え、行動できるようにするためでもある。私は、国会傍聴18年の中で見てきた厳しい動向を正確に報告しながら、改憲・戦争阻止の訴えを続けていきたい。そしてぜひとも、改憲阻止の大集会を開こう。
(2017年12月18日談。写真は、国会傍聴に入る西川さん)sinnen