11月30日(木)10時から今国会2回目の衆議院憲法審査会が開催され、先の総選挙後初の実質的な審議が行われました(初回の審査会は臨時国会開会翌日の11月2日に開かれ、会長、幹事の互選等が行われています)。

審査会の構成

ということで、まずは新たな国会の勢力図に基づく審査会の構成と私が注目した点について、簡単に紹介しておきたいと思います。

会派別の人数は、自民30、立憲6、希望6、公明3、無所属の会2、共産1、維新1、社民1で、選挙前(今年の通常国会時)の自民31、民進10、公明4、共産2、維新2、社民1と比較すると、10人の委員を出していた民進の分裂によって誕生した3会派(立憲、希望、無会)の委員が計14人と増加した一方で、自民、公明、共産、維新が1人ずつ委員を減らした形になりました。

会長は森英介氏(自民)が続投し、幹事9名は自民6、民進2、公明1であったものが、自民6、立憲1、希望1、公明1となりました。

希望の立ち位置を考えれば、改憲勢力がまた一歩、憲法審査会での主導権を拡大したと見なせるかもしれません。
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なお、今年5月25日の憲法審査会で「自衛隊を北朝鮮に派兵して拉致被害者を救出できるようにすべきだ。そのために必要なら改憲せよ」という趣旨のトンデモ論を開陳した自民党の山田賢司氏(詳細は「http://millions.blog.jp/archives/71100051.html」を参照してください)が、この日幹事に指名されたのには驚かされました。また、石破茂氏、稲田朋美氏、下村博文氏が新たに委員に名を連ねており、今回は機会がありませんでしたが、彼らが今後どんな発言をするのか、注視していきたいと思います。

立憲民主党は近藤昭一氏、辻元清美氏、山尾志桜里氏等の論客を送り込み、共産党は赤嶺政賢氏、社民党は照屋寛徳氏と、ともに沖縄県選出の議員がメンバー入りしています。

さて、今回の審査会では、7月に実施された欧州3カ国(イギリス、イタリア、スウェーデン)での調査の概要や感想が派遣された委員たちから報告され、その後自由討議が行われました。報告者は、団長の森英介会長と中谷元氏(自民)、北側一雄氏(公明)、足立康史氏(維新)、そして今回の選挙で落選して「前議員」となってしまい、この日は「参考人」として出席した武正公一氏(民進)と大平喜信氏(共産)でした。

審議のポイントについては、12月1日の『毎日新聞』朝刊の記事を引用させていただきます。
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国民投票で否決、懸念 公明、自民けん制

衆院憲法審査会(森英介会長)は30日、同審査会の超党派議員団が7月に実施した欧州視察報告に関する質疑を行った。英国とイタリアで昨年行われた国民投票の結果、現職首相が退陣に追い込まれたことに議論が集中。公明党の北側一雄憲法調査会長は「簡単に憲法改正を発議できるものではないと、自民党の先生方も認識されたのではないか」と述べ、発議に前のめりになりがちな自民党をけん制した。【小田中大、真野敏幸】
 
北側氏は「国民投票は往々にして時の政府に対する信任投票になりがちだ。憲法改正を目指す多数政党は、できるだけ幅広い政党間の合意を維持する深い思慮が必要だ」と指摘。「多数派だけで先行して進めるのは事実上、もう不可能だと私は思っている」と強調した。公明は衆院選で議席を減らしたことを深刻視しており、「自民のブレーキ」の役割をアピールする狙いがありそうだ。

立憲民主党の辻元清美国対委員長は、憲法に自衛隊を明記するとの安倍晋三首相の提起に触れ、「否決されたら、自衛隊に対する国民感情や社会的なコンセンサスはどうなるのか」と国民の支持を受ける自衛隊の現状を危うくするリスクがあるとの見方を示した。

一方、日本維新の会の足立康史氏は「主要メディアへの信頼度はアジアで高く、欧米で低い。メディアをただすか、信頼度を欧米並みに引き下げるかが、改憲の国民投票に向けた最も重要な環境整備ではないか」と独自の見解を語った。

希望の党の階猛幹事長代理は「衆院選では有権者がいきなりの解散で投票を迫られた。(首相の)解散権の制約はやるべきだ」と述べ、立憲と同様の主張を展開した。

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昨年、英国では欧州連合(EU)離脱を問う国民投票で離脱派が多数を占めた。イタリアでは当時のレンツィ政権が提案した憲法改正案が否決された。視察団は英伊とスウェーデンの3カ国を訪問。辞任した英国のキャメロン前首相とも会い、「過半数の賛成で安心するのではなく、少なくとも60%程度の賛成者がいる状況にしておく必要がある」との助言を受けた。

団長の森氏は審査会での報告で、英伊で国民投票が事実上の政権への信任投票になったと紹介し、幅広い合意形成の必要性を強調した。自民党内には2019年夏の参院選と国民投票の同日実施を模索する動きもある。審査会では直接触れられなかったが、国民投票を「政権への信任」に変質させかねない同日実施の是非にこの日の議論は影響しそうだ。
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3カ国の実情の報告はそれなりに興味深いもので、傍聴者にも森会長が読み上げた『衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団団長報告』が配布されました。近日中に衆議院憲法審査会のホームページに掲載されると思いますが、辻元清美氏がいち早くブログに掲載してくれていますので、興味のある方は「http://www.kiyomi.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2017/11/20171130_04.pdf」からご覧ください。

恒例となった足立康史氏の暴言

ところで、上掲の記事で「独自の見解を語った」と評された足立康史氏(維新)ですが、読んでいただけば明らかなように、何を言っているのかさっぱりわかりません(「独自の見解」というのは、記者の苦心の表現だと思います)。

『NHK NEWS WEB』は、足立氏の発言をもう少し詳しく「日本維新の会の足立康史衆議院議員は“安全保障法制や森友学園、加計学園の問題で、朝日新聞のねつ造や誤報、偏向報道を見るにつけ、マスメディアを正すか、信頼度を引き下げるかの、いずれかに取り組むことこそ、憲法改正の国民投票に向けた最も重要な環境整備ではないか”と述べました」と報じていますが、やはり意味不明です。ただ、氏が朝日新聞を敵視していることだけはよ~く伝わりました。
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これまでも足立氏は国会内外で暴言を繰り返しており、今国会でも「11月15日の衆院文部科学委員会で自民党、立憲民主党、希望の党の議員3人を“犯罪者”」呼ばわりし、結局「委員会の理事会で」「“私の発言中、議員の名誉を傷つけるような不適切な部分があったことはきわめて遺憾であり、深くおわび申し上げる。深く反省し、二度とこのようなことがないよう十分注意する”と陳謝」に追い込まれるという騒動がありました(引用は氏が憎悪している『朝日新聞』12月2日朝刊による)。

こんな人物が委員を続けることは、維新にとっても改憲勢力にとってもマイナスでしかないと思うのですが、どうなんでしょうか?

この日の委員の出席率はきわめて高く、空席はずっと2から4くらいでした。ただし、1時間30分程度とされていた審議時間を過ぎた11時30分頃からは退席者が相次ぎ、閉会時(11時42分頃)の出席者は40人を割り込んでいました。

傍聴者は最初20人ほどでしたが、10時20分頃10人くらいの若者が入ってきました。立ち見にもかかわらず閉会まで傍聴していたので百万人署名運動の仲間が話しかけて確認したところ、某大学の法学部の学生たちでした。私たち百万人署名運動は、西川重則事務局長他3名で傍聴してきました。
記者は10人ほど、カメラマンは6~7人で、2台のテレビカメラが入っていました。(G)

お知らせ
衆議院の方はまだわかりませんが、12月6日に参議院の憲法審査会が入りました。

 12月6日(水)午後1時 第41委員会室(分館4階)
  ○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
   (憲法に対する考え方について)

    ・各会派の意見表明
    ・委員間の意見交換


*百万人署名運動でも傍聴の問い合わせを受け付けています。
(T/F03-5211-5415)