新潟からの報告です。
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寒波の襲来で一挙に冬本番モードに突入した11月19日の新潟。文芸評論家の斎藤美奈子さん(新潟市出身)を講師に迎えて、百万人署名運動・新潟県推進委員会主催の講演集会を行いました。

斎藤さんは、交流会の席で知ったのですが、月に20本の締め切りを抱える超売れっ子の文芸評論家です。時事問題の評論、発言も活発に行っています。

集会の獲得目標はシンプルです。
今まで接点のなかった人、とりわけ学生、青年労働者とつながる手がかりを得ることでした。

朝鮮戦争危機の下、改憲阻止決戦が待ったなしに切迫しています。この決戦の帰趨は青年たちの未来を決定づけます。今若者たちは何を考えているのか、どのようにしたら若者たちとつながっていけるのか、そのヒントを探るための企画でした。

戦争や改憲問題がテーマであるのに「何ゆえ、文芸評論家なのか?」、しかも「運動に直接関わっていない人ではないか?」といぶかられることを覚悟の上での挑戦でした。
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準備過程で、予定していなかった総選挙に突入。自民の「大勝」という厳しい現実の中での集会となりました。
日曜日の集会ということで、さまざまなイベントとバッテングするという悪条件の中でしたが、80名の方が参加してくださいました。うれしいことにその約1/3が初参加者でした。

また資金がかかることから集会賛同人を募り、カンパをお願いしたところ、30数名の方々と2つの労働組合から賛同していただきました。

若者とつながるための挑戦
若者にも抵抗のないようなビラを作ってまき、労働組合や大学などにも回りました。かつてない反応の良さを感じました。

それは斎藤美奈子という講師によるところが大きいのですが、一見すると政治ビラでないようなところも幸いしていたのでは、と自負しています。

他方、ビラを見て「行きたい」と言っていた青年たちもなかなか参加が難しかったようで、講演で斎藤美奈子さんが指摘していた通り、学生や若者はバイトや仕事に追われ、「いっぱい、いっぱい」という現実も突きつけられました。
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集会は講演プラス、百万本部事務局の川添順一さんと斎藤さんの「トーク」の二部構成で行いました。

斎藤さんの講演は、今日の「自民大勝」「安倍一強」と言われる情況を許してしまった原因を探ることから始まりました。

①民進党の分解と離合集散―「野党共闘」は限界が来ていた/野党は選挙で5連敗中/やばい法律(秘密保護法・安保法・共謀罪)が続々と成立。

②若い世代(10代~30代)の政治的無関心/有権者の保守化(右傾化)/歴史修正主義の台頭/小選挙区制の問題点、等々。
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 なぜ若い世代が政治に無関心なのか?という問いには3つのキワードを上げました。
〈わからない〉〈それどころではない〉〈つまらない〉

―〈わからない〉とは、秘密保護法、安保法制等々、むずかしすぎる。
〈それどころではない〉理由は、仕事が大変、学校が大変、等々。
〈つまらない>とは、ときめかない、暗い、老人の趣味、変な人たち。

左翼は文化で敗北
では、ここに至った理由はどこにあるのか?
政治や経済の問題もあるが、本当は「文化に敗北した」のである、が斎藤さんの結論でした。

分岐点は戦後50年に当たる1995年前後。
先の戦争をアジア諸国への侵略戦争と認め、反省とお詫びの談話表明(河野・村山談話)したことへの右派の反発、反転攻勢がこれを期に始まったと言う。

このころから「自虐史観」批判が一斉に噴き出す。
「日本は戦後一貫して保守、右派が政治権力を握ってきたが、文化的には左翼思想がマジョリティであった」。
右派は経済的背景もあるが、左翼の弱点を突いて力関係を逆転させた。彼らは中高生や若者をターゲットにした文化的な戦略に成功した。

左派が退潮した理由として、
①戦争の記憶に頼った平和教育が飽きられた、
②パターン化した「右傾化批判」、
③敵の文化を分析しない、
④希望的観測に基づく精神論、
⑤理想主義ゆえに排他的。

左派が退潮して、右派が台頭する背景には漠然とした社会不安がある。
①産業の衰退、
②労働環境の悪化、
③人口減少、
そして、反動としての日本賛美。

右派に学ぶ、勝つための文化戦略として、
①長い時間をかけた地道な文化運動、
②新鮮なキャッチコピーの発明、
③教育へのアプローチ、
④巧みなメディア戦略
を挙げました。

最後に斎藤さんは、「オルガナイザーになろう!」と提起しました。
アジテーターにはなれなくても、オルガナイザーにはなれる。職場で、地域で、家庭で、政治と文化について雑談する中で、自分の主張をさりげなく滑り込ますことで場の空気を変える、そんな少しの勇気でオルグナイザーになれる、と呼びかけました。

第二部は、百万本部事務局の川添さんがMC(司会、進行役)役として、講演に対する参加者からの質問をまとめ、斎藤さんに振り、斎藤さんの意見を引き出し、あるいは川添さんの考えていることをぶつけるという形で進行しました。
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活発な討論がなされ、参加者のアンケートには「もっと討論の時間が欲しかった」という声が寄せられていました。

新潟県推進委員会は斎藤美奈子さんの提起を受け、若者を獲得する戦略戦術に真剣に取り組まなければならない課題を負いました。(新潟県推進委員会事務局 坂井)