5月22日に東京地裁で、2008年に根津さんと河原井さんが「君が代」不起立で受けた停職6月処分の取り消しを求めた裁判の判決(清水裁判長)がありました。

判決は不当処分でした。根津さんは停職6月処分。河原井さんは停職6月処分は取り消されましたが、損害賠償は認められませんでした。

2015年5月の東京高裁判決(須藤判決:根津さん停職6月と河原井さん停職3月が取消、2人とも損害賠償もかちとる)を、2016年5月に最高裁が都教委の上告を棄却して、東京高裁判決が確定したことから見ると、まったくの後退でした。

裁判所の法廷に入れなかった人たちが東京地裁の正門前で待つなか、不当判決と書いた紙をもって佐藤さんと根津さんがまず現れました。
3-根津判決
根津さんは、正門前で、「今日の政治状況を考えると反動判決が出るかもしれないと思わないわけではなかったが、最高裁判決もないがしろにした、全く不当な判決である」と、この日の地裁判決を弾劾をしました。

河原井さんも地裁判決を弾劾をし、その後、地裁の中での記者会見に臨みました。
4-I河原井
そのあと午後3時から、弁護士会館5階の会議室で総括集会が行われました。3人の弁護士と根津さん、河原井さんから怒りの発言があり、質疑がなされました。もちろん、根津さんたちは上告します。
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根津さんに対する08年処分には、卒業式での「君が代」不起立の他に、トレーナー着用が付け加えられていました。河原井さんにはそれがなかったため、停職6月処分は取り消されましたが、2015年須藤判決の損害賠償は認めませんでした。

根津さん場合

根津さんは、停職6月処分を受けたのち、10月に出勤して職務に着いたとき「OBJECTION HINOMARU  KIMIGAYO」とロゴが刷ってあるトレーナーを着ていました。そのトレーナーは仕事着で、南大沢学園養護学校以前も以後も着ていて、他の学校では問題にされてはいなかったそうです。

南大沢学園では校長が「着るな」言って来たそうですが、根津さんは「『着るな』というのは職務命令か、職務命令だったら、文書で出してください」と言ったのに対して、校長は「職務命令であるかどうか言う必要はない」と言うばかりで、職務命令書もなかったわけです。

ところが、今回の判決では「…ロゴの入ったトレーナーを着用し、校長から着用するなと職務命令が出されたにも関わらずそれに従わなかった」と言っています。さらに「過去の処分歴に係る非違行為の内容と頻度、本件トレーナー等の着用行為を含む原告根津の一連の言動などに照らして、なお、規律や秩序の保持等高さ…」からして6月処分は適法であると言っています。
校長が職務命令を出したというのは裁判長のねつ造です。

2012年の最高裁判決(被処分者全体の裁判)では、「自己の歴史観や世界観を含む思想等……日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的侵害につながるもので」と、そういう具体的事情は入れてはいけない、加重処分は原則認めないとしたものを、今回はまったく無視しています。

また、上記の最高裁判決は、「08年には出されていなかったのだから、根津停職6月処分を出した都教委は、注意義務を尽くさなかったとまでは言えない」などと主体的判断もしないで、都教委を擁護している始末です。
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都教委が、根津さんに累積加重処分をし、今も田中さんに減給処分をし、今年の卒業式では鈴木さんにも減給処分をしているのは、全く不当です。

「教育勅語」が跋扈してくる中で、「君が代」不起立の闘いが今日まで持続して闘われていることは重要です。「君が代」不起立処分の裁判闘争を支援しましょう。(T)