3月16日(木)午前9時、今国会第1回目となる憲法審査会が衆議院でついに始まりました。
5日の自民党大会で安倍首相は改めて「憲法改正の発議に向けて、具体的な議論をリードしていく」と強調しましたが、その方針の下、緊急事態条項を憲法に盛り込むべきという自民党議員の発言が続きました。

この日のテーマは「参政権の保障をめぐる諸問題」ということで、
①一票の格差、投票率の低下その他選挙制度の在り方と、
②緊急事態における国会議員の任期の特例、解散権の在り方
に絞って各会派からの意見表明と、自由討論が行われました。
16憲法審査会           
(16日午前、時事通信社より。楕円形席が議員席、中央は筆記者席、手前前方は記者席、後方が傍聴者席)

自民党は前半では、東日本大震災などの大規模災害などの緊急事態に際して「民意を反映する国会」をきちんと機能させるために国会議員の任期の延長と国会解散の権限について憲法に明記すべきという内容の発言でした。「緊急事態に国民主権と民主主義をどう貫くか」とか。

しかし、途中から、「戦争や内乱の事態」、「外国からの武力攻撃があったときのため」、「北朝鮮から首都に核弾頭を落とされたらどうするか」などの発言が積極的に出され、やはり、狙いは自民党改憲草案の緊急事態条項の新設(下記参照)なんだと思いました。
これでは、最初に言っていたこととは真逆の「国民主権と民主主義」の圧殺なのに、その本質を隠しているのです。戦争のための改憲案づくり、緊急事態条項新設に全力で反対しましょう。(S) *詳細は後日「傍聴記」で


自民党の日本国憲法改正草案
第9章 緊急事態

(緊急事態の宣言)
第九十八条

内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。

内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。
また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。

第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。
この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。

(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条

緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。

前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。

緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。

緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。