今年も3月3日(金)から都立高校の卒業式がはじまります。卒入学式を前にして、2月5日に、「都教委の暴走をとめよう!都教委包囲・首都圏ネットワーク(都教委包囲ネット)」主催の総決起集会が開かれました。
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2003年の東京都教育委員会(都教委)による「10.23通達」によって、都立学校の卒業式、入学式等に「日の丸・君が代」が強制されました。それ以来、都教委は「君が代」を立って歌わない教職員を次々と処分しました。

これに対して、都教委包囲ネットは、毎年2月に「総決起集会」を開き、「立って歌わない」抵抗を続ける教職員に連帯してきました。また、3月の卒業式の日に、高校正門前でチラシを配る行動を呼びかけてきました。

教職員の抵抗は今日まで続き、裁判闘争はとどまることなく持続し、根津公子さんの「停職処分」も昨年、最高裁で勝利し停職処分撤回を勝ち取りました。しかし、都教委は今も「戒告処分」を続けていますし、また減給処分もやろうとしています。

安倍政権は戦争国家化に向けて、教科書を変え、道徳を教科化し、学習指導要領を変え、また、学校に自衛隊を持ち込み、共謀罪を制定しようとしています。今日のトランプ・安倍情勢の中で、13回目(13年目)となる今年の2・5総決起集会は、歴史を振り返り、なんとしてもその動きに抗っていこうという気概に満ちた集会でした。120名が参加しました。

集会はまず、「学校現場からの報告」がなされました。
都立高校教員のKさんは、2004年に不起立で処分され、その後10年間担任にさせてもらえず、やっと担任になり、去年の3月の卒業式では担任として式場に入ったこと、「君が代」斉唱で不起立を貫き、処分されたことを話しました。また、その処分をめぐって生徒たちとどのような対話や交流を重ねてきたかや閉塞状況にある学校の様子について話しました。私たちはどのように闘っていったらいいかを深く考えさせられる内容でした。

根津公子さんも最高裁勝利判決について話しました。
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その他、学校で推進される「オリ・パラ」教育に警鐘を鳴らすために、国威発揚のオリンピック教育反対のビラまきの報告がありました。
その他、さまざまな闘いの現場から問題提起と闘いの呼びかけがされました。
・学校現場を翻弄する自衛隊入隊者獲得の実態
・労働運動・市民運動の解体ねらう共謀罪     
・東京オリンピックおことわり宣言
・天皇制反対デモへの弾圧            
・相模原やまゆり園事件について

また、東京と同様に「卒業式」の「君が代強制」の処分を恐れず闘っている大阪の高校教員からの訴えもありました。

今年の2.5集会の講演は「改めていま『教室から戦争がはじまる』」という演題で元教員の北村小夜さんが話されました。北村さんは、今年91歳になりますが、2月3日~5日まで新潟で開かれた第66回日教組教研集会に参加し、飛んで帰って講演してくれました。
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お話の始めに北村さんは、1943年(昭和18年)3月の『写真週報』(情報局編集)に掲載された「時の立札」のコピーを紹介してくれました(上の写真)
そこには下記のように書かれていました。(旧字体は新字体にしてあります)

「校門は営門に通じている
 学生生徒の生活もそのままが
 戦う国家の一分野
 逞しい上にも逞しく
 若い力と意志とを捧げて
 必勝の道を驀進しよう」

そして、治安維持法公布の年に生まれた北村さんは、皇民教育を受けて「軍国少女」となっていった過程を思い起こし、「戦争は教室から始まる」と言われました。そして、いま日本は全く同じ道を進んでいると現在の社会や学校教育の動向に警鐘を鳴らしました。
「当時、大正デモクラシーの名残もあり、親や教師はいろいろ疑問を持っていた。親たちがもっとしっかりと子どもたちに教えてくれればよかった」と。そして、戦争には「嘘と監視」がつきもの、真実を教えてくれる人がいなければ子どもは従っていく、「嘘がまかり通る時代」を糺すには事実を示し続けるしかないと訴えました。

また北村さんは、今日、安倍政権が「オリンピックで国威発揚」をはかろうとしていることに対して、1932年のロサンゼルスオリンピックのときのサトウハチロー(詩人)の翼賛ぶりを紹介しました。
それは、1932年の少年倶楽部10月号に掲載された「南部の優勝を聞く」というサトウの詩の中で、陸上三段跳びで日本の南部という選手が1等をとった時、中継放送のアナウンサーの「いま、するするとマストに日章旗があがりました」の声に、サトウが「バンザイ、僕だって唄うぞ君が代を、君が代を」と叫んだ等々と書かれたものです。

実際、この記事を北村さんのお兄さんが近所の子どもたちに声を出して読んでくれた時、「僕だって歌うぞ君が代を」のくだりで、だれかが、「歌おう、君が代」と歌い始めたこと、そして北村さん自身も一緒に唱和したとのことでした。自らの体験からも北村さんは、「国策・国威高揚にはいつも子どもが狙われる」と指摘しました。

北村さんが例に出された一つ一つのことは、いま進行している現実であり、歴史的事態なのだと考えさせられました。

最後に、おなじみになった卒業式日程一覧を見ながら、3月3日から始まる卒業式での恒例のチラシ撒き行動が提起されました。「真実、事実を示し続ける」行動として、今年もねばり強く取り組んでいきたいと思いました。(T)