とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

2022年04月

「全国通信」293号(2022年4月号)の紙面紹介です。

今号1面は、反戦デモと新署名の呼びかけです。
真ん中の写真は3.23ゼレンスキー国会演説反対行動のときのものです。こんなのはおかしい!抗議すべき!と急きょ「改憲・戦争反対!大行進」事務局から呼びかけられ、その通りだ!と駆けつけました。
目の前の建物は衆議院第二議員会館で、この中の大きな会議室でオンラインでの演説が行われました。
1-293号1
2-3面は、「なぜ戦争は起きたのか?」です。
アメリカもNATOも本気で止めようとはしないウクライナでの戦争、どうしてなのか?なぜ戦争になったのか?戦争を止める力はどこにあるのか?
犠牲になるウクライナ民衆を支援しながら、世界中でいま労働者市民が考えていることです。その一角に踏み込んでみました。
2-193号2

4-5面は、いま国会で強行されようとしている警察法改悪問題です。
この法案の危険性を警鐘乱打されている足立昌勝さん(関東学院大学名誉教授)に問題点をお聞きしました。
3-293号3

6面は、衆議院憲法審査会の報告です。これまでのあり方をひっくり返すような暴力性を持って憲法審の毎週開催が強行されています。3月3日には憲法審査会で初めて「採決」なるものが強行されました。改憲派は審議内容を即「形」にし確定していくという手法で進めようとしています。急ピッチで緊急事態条項新設と自衛隊明記の改憲案づくりに向かっています。憲法審査会をやめろ!戦争のための明文改憲反対!の声を全国から上げていきましょう。
7面は各地からのお便りです。
4-293号4

「沖縄、台湾・中国を核の戦場にするな!『自衛隊』『緊急事態』明記の憲法改悪に反対します」全国署名をぜひ全国で広げてください!(S)

1-改憲反対署名用紙

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4月7日(木)10時から11時35分頃まで、今国会8回目の衆議院憲法審査会が行われました。第1回の2月10日以降、この日まで9度の木曜日のうち審査会が開かれなかったのは3月10日だけで、定例日の開催が常態化してしまいました。

この日はいつもと違うことが2つありました。
1つは、傍聴席の後ろのスペースにパイプ椅子が持ち込まれたことです。この日は50人近くの傍聴者が詰めかけたため、10人余りが立ち見を余儀なくされることになりましたが、高齢の方が多かったのを見かねたのか、職員が椅子を用意してくれたのです。

もう一つは、議事の進め方が、いつもと真逆だったことです。
通常は、その日のテーマについて、国会で多くの議席を有している会派から順に各会派の代表が1人ずつ意見を述べ、その後発言を希望する委員数名による自由討議が行われるのですが、この日は最初に委員各位による発言があり、続いて各会派代表の意見表明が小会派から順に行われるという形で議事が進められました。しかも、各会派代表の発言の持ち時間が、いつもの7分ではなく10分とされたのです。
その結果、何が起こったか? 最後の発言者となった(したがって、他の委員がその場ですぐに反論することはできません)新藤義孝氏(自民)がフェイクを取り混ぜながら持論を展開し、氏が衆院憲法審の与党側筆頭幹事であることも相まって、その内容が審査会の大勢を代表し、今後の運営の方向性を決定づけるかのような印象を残して、この日の審査会が終わったのです。
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具体的に見ていきましょう。
新藤氏は、これまでの「緊急事態条項に関する議論を私なりに整理し、中間的な取りまとめとして論点の確認をしたい」と切り出して、まず、緊急事態時のリモート出席を認める報告を取りまとめて衆院議長等に提出したことを画期的だったと自画自賛した後、以下のような暴論を展開したのです。
「これまでの議論を通じて、おおむね共通の理解が得られたと思われるのは、1つは、憲法を改正し、大規模自然災害事態、テロ・内乱事態、感染症蔓延事態、有事・安全保障事態の4つを緊急事態の対象として明記してはどうかということだと思う。(勝手に各事態に名前を付けています。)」
「もう1つは、どのようなときでも国会の機能を最大限維持できるよう、国会議員の任期延長の規定は必須であり、そのための憲法改正を行う必要があるということだと思う。」
「この2つは、さらに議論すべき項目は残るものの、方向性としてはおおむね意見の大勢であったと私は考えている。」
「大勢」の定義にもよるかもしれませんが、私はこの発言は大ウソだと思います。

たとえば、新藤氏の言う2点目の国会議員の任期延長の問題について、前半の委員各位の発言の中で、三木圭恵氏(維新)は、「議員任期の延長について、各委員から様々な意見が開示されているが、その中で2つの意見があるかのように思う」と指摘していました。三木氏の発言は「憲法審査会として、議員の任期延長が必要か否か、多数決を行うことも視野に入れて審査会を進めていただきたい」というあらぬ方向に向かうのですが(維新は多数決の信奉者の集まりです)、2つの意見があるという認識自体は正しいものです。

新藤氏の発言は、この後も「緊急事態条項の対象となる事態の範囲については、4つの事態に加えて、あらゆる事態への対応を考慮して『その他これらに匹敵する事態』または『その他法律で定める事態』という規定を用意しておくことが今後の討議事項になると思う」、「憲法に緊急事態条項を新設し、国会がどうしても開けない等の限定した要件のもとに内閣に暫定的な立法権を与え、国会が事後にチェックする制度として緊急政令を憲法に明文で規定することは、法治国家として当然のことではないか」など、限りなく拡大していきました。

そして最後に、「今後の憲法審においては、緊急事態条項以外のテーマについても議論が必要であり、国民投票をめぐる投票環境の向上やCM規制等についても議論したい」、「私は朝の(審査会の前に開かれた)幹事会で、こうした問題についての討議を提案した。その取扱いは筆頭間協議で詰めていく」、「委員各位には、憲法審のさらなる活発な運営に向け、引き続きご理解とご協力を申し上げ、私の発言とする」と述べ、憲法審の議論は自分がリードしていくんだぞという意欲を前面に押し出して発言を締めくくりました。

この後、新藤氏は院外でも問題発言を行っています。『毎日新聞』のウェブサイトから転載させていただきます。

「憲法審で国防規定を議論」 自民・新藤氏がフジ番組で発言
『毎日新聞』2022年4月10日

衆院憲法審査会の新藤義孝与党筆頭幹事(自民党)は10日のフジテレビの番組で、「憲法9条の最大の問題は国防規定がないことだ」と主張し、「規定がないままに、武力を持たない、国際紛争の解決の手段としての戦力を持たない、これだけでこの国の運用を解釈しようとすることに問題がある。ここの議論は憲法審査会でぜひやりたい。安全保障に対する議論はこれから始めたい」と述べた。

衆院憲法審査会では、大規模災害などが発生した際に国会議員の任期を延長する「緊急事態条項」の創設などを議論している。自民党内には、憲法9条への自衛隊明記など、自民が掲げる改憲案を議論すべきだとの声もある。【加藤明子】
* 引用、ここまで。

こんな人物が憲法審を実質的に取り仕切っている、その重大性をお知らせしたいということで、今回の報告は新藤氏(自民)の発言を中心に取りまとめました。

今国会の閉幕(6月15日)まで、平日の木曜日はあと8回めぐってきます。憲法審がどのように展開していくのか、参議院の動向(こちらも定例日の水曜日に毎週開催されるようになるかもしれません)も併せて注視していきたいと思います。

この日の傍聴者は最初に書いたように50人弱とたいへん多く、記者・カメラマンは10人ほどで、TVカメラが1台入っていました。委員の出席率はいつもと変わらず、自民の7、8人が席を外している時間帯がありました。(銀)

4月6日(水)13時から15時頃まで、今通常国会2回目の参議院憲法審査会が行われました。3月23日以来2週間ぶりでしたが、次回は4月13日に開かれることが予定されており、今後、衆院と同じように毎週定例日の開催が定着していくのかもしれません。もしそんなことになったらと考えるだけで憂鬱な気分に襲われてしまいますが、気を取り直して傍聴の報告をしたいと思います。
これまでとは全く様変わりした衆参・憲法審査会のこうした状況は、ウクライナ戦争をも奇貨として改憲派が緊急事態条項や9条改憲の「改憲案発議」に向けて強引に突き進んでいることを示しており、危機感をもって対決していかねばなりません。
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この日のテーマは「憲法に対する考え方について(特に、憲法第56条第1項の『出席』に関する議論を中心として)」とされ、衆院の憲法審を追いかける形で、オンライン国会の是非や課題が議論されました。衆院との違いは、参院では参考人質疑から審議が始められたことで、その内容が今後の議論にどの程度生かされるのか、あまり期待せずにチェックしていきたいと思います。

参考人はいずれも憲法学者の九州大学大学院・赤坂幸一教授と早稲田大学大学院・長谷部恭男教授で、約15分ずつの意見聴取の後、委員との間で質疑が行われました。
まず、参考人2名の意見の要旨を、『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事から転載させていただきます。

参院憲法審査会・参考人の意見聴取と各会派代表の意見表明要旨(2022年4月6日)
『東京新聞TOKYO Web』2022年4月6日

6日の参院憲法審査会での主な発言の要旨は次の通り。

<参考人の意見聴取>
赤坂幸一九州大大学院教授 
オンライン審議といっても、いくつかの局面、段階がある。本会議と委員会の区分があり、委員会にもいくつかの段階がある。それから、妊娠、出産、障害といった個別事情に基づく例外措置と、今回のコロナのように客観的事情に基づき例外措置が要請される場合がある。

本会議については(国会議員の)国民代表という理念に照らし、オンライン審議はごく限定的にのみ認められると考える。委員会のうち、作業部会としての性格を持つ部分は、オンライン参加を認めることにより、切った張ったの議論を効率的に進める余地がある。

議会が物理的に集会できないような緊急事態においてこそ、国民代表の議論が必要だということに鑑みると、例外的、限定的にオンライン審議手続きを採用することも、議会の審議手続き形成権の範囲に入っていると考える。

個別事情に基づく例外措置、作業部会としての委員会審査におけるバーチャルツールの使用は積極的に推進していく余地もあるのではないか。

長谷部恭男早稲田大大学院教授 
議会は誰の目にも見える形で集会をする必要がある。電子通信技術による出席を可能にすることは、その場に現前しないものを現前したことにする。本来は憲法を改正して対処するのが筋のように思われる。機能的な出席の概念の拡大に歯止めはあるのかという懸念が出てくる。

日本ではコロナに関する限り、オンラインでの会議開催を認めないと、国会としての最低限の機能も果たすことができない事態には至っていない。今後極めて異常な事態が発生した場合に、どのように対応すべきか考えておくことは、意味がある。異常な状況においても、憲法改正なくしてはオンラインでの会議開催は認めないという考え方は、良識に反する。

特殊な事情で国会議員が集会することが困難となり、オンラインでの会議開催を認めない限り、国会としての最低限の機能も果たすことができない、極めて例外的な事情の存在が客観的に認定される場合、必要最小限の範囲内でオンラインでの会議開催を認めることはあり得る。

<各会派代表の発言>(略)
*引用、ここまで。

質疑では、衆院では提起されなかった論点がいくつか提起されました。
その一つは、西田実仁氏(公明)の「日本国憲法下で代理投票は可能か」という質問で、赤坂氏は「各議院が判断すればよく、それは院の自律の範囲であると考える」、長谷部氏は「代理投票まで認めるとなると、憲法をどう変えていくということまで考えなくてはいけない」と、2人の意見が分かれました。

また、上掲の『東京新聞』の記事にあるように、赤坂氏が本会議と委員会をそれぞれの機能の違いから分けて論じたことについて足立信也氏(国民)が長谷部氏の見解を聞くと、氏は「議員は本会議でも委員会でも全国民を代表しているので、両者を区別するのは難しいと思う」と答え、この点でも今回も意見は異なっていました。

質疑は落ち着いた雰囲気の中で進んでいきましたが、審議も終盤に差し掛かったとき、「NHK受信料を支払わない国民を守る党」の浜田聡氏から、議場にいたほとんどの人たちをびっくりさせる発言が飛び出しました。(浜田氏は渡辺喜美氏と2人で参院の会派「みんなの党」をつくっていて、この日は渡辺氏に代わって同会派から出席していました。)

その内容は、「緊急事態への対処について、大日本帝国憲法は緊急勅令などよく制度設計されていた。仮に憲法改正草案をつくる際には帝国憲法も大いに参考にすべきではないか」というものでしたが、これに対して長谷部氏は日本国憲法の制定過程にあった下記のような「歴史的事実」を紹介し、浜田氏の浅慮をたしなめる形になりました。

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それは、「憲法の総司令部案を受け取った日本政府側は、緊急勅令に当たる条項を日本国憲法に取り込めないかということを折衝の場に持ち込んだが、総司令部側は『必要ない』と答えた。現在の憲法73条になるが、内閣は法律の委任を受けて政令を制定することができるので、緊急事態に対応する法律をつくっておいて、そこで政府にある程度広範な権限を与えておけば対処できるはずだというのが総司令部の考えだった。日本政府側は、それなら政令でも刑罰を科することができるようにしてもらいたいということで、これも73条で法律の委任を受けて刑罰を規定することができる仕組みになっている。この考え方は、第90回帝国議会における日本政府の説明でも変わっておらず、緊急事態条項を設ける必要はないということだった」ということでした。

なお、憲法73条の条文は、「内閣は、他の一般事務の外、左の事務を行ふ。」「六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」となっています。

上記の質疑の後も、長谷部氏は緊急事態条項をめぐって興味深い指摘をしていました。
例えば、「オンラインの場合、議会の公開はどうなるのか」という福島みずほ氏(社民)の質問に対しては、「セキュリティもきちんとしていて、傍聴人が見ようと思えば誰でも見られるようにして、議員が自由闊達に議論を繰り広げられるネットワークを実際に構築するにはとてつもないコストがかかると思う。法理論として可能だとしても、現実にどういう形で進めていくのかは各議院の判断ではないか」、
「オンライン国会が認められる例外的な事情の存在が客観的に認定される場合の具体的な要件は」という柴田巧氏(維新)の質問に対しては、「めったに起こらない、起こるかどうかもわからない状況に対応するためにどの範囲が必要最小限なのかをあらかじめブレークダウンして事細かに判断していくことは本当に困難だと思う」と回答しました。

そして、審議の最後には、柴田氏の「今回のパンデミックやいつ来るとも限らない大地震、今ウクライナで起きていることを思うと、これまでの想定を超える事態に備えるために、憲法に緊急事態における国会機能の維持についての規定を置く必要があるのではないか」との質問に対しては、「緊急事態がありそうならあらかじめ法律をつくっておき、その中でどういう対処をしなければいけないかを規定しておくことは今でもできるし、やっていいと思う。また、内閣はいつでも臨時会を召集できるし、国会議員の方々が召集を要求することもできるので、本当に緊急事態条項を特別につくる必要があるかどうかを含めて考えていただく必要がありそうな気がしている」と述べました。

参院憲法審のホームページによれば、13日に行われる次回の審議会では、「『憲法第56条第1項の出席』の論点整理」と「委員間の意見交換」が行われることになっていますが、最初に書いたように、この日の参考人質疑の内容がどの程度反映されるのか(衆院ではほとんど無視されていました)、注視していきたいと思います。

この日の傍聴者数は30人弱で前回よりやや少なく、記者・カメラマンは10人ほどでTVカメラは1台、記者席に着いていた人は2人だけで最後は1人だけになっていました。審議の様子はインターネットで同時中継されていますが、やはり記者は議場に来て、その場の雰囲気を感じたうえで記事を書いてほしいものだと思います。
参院の審査会では委員の出席率はいつも100%近いのですが、この日は途中2、3人席を外している自民党の委員がいました。(銀)



遅くなってしまいましたが、3月27日(日)に成田空港周辺の芝山町で三里塚反対同盟主催の芝山現地集会&デモがあり、参加してきましたので報告します。これは本当に画期的なことで、1年ぶりの大勝利なのです。
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それはどういうことかというと、会場となった芝山文化センターは昨年3月に予定していた集会の会場として使用申請したとき使用承認申請が却下された会場で、以来1年間の闘いに勝利して、使用許可を勝ち取り開かれた集会だったからです。
1年前の却下理由は「成田空港をめぐるこれまでの経緯に鑑み、貴団体が本行事を行うことにより文化センターの管理運営に不安が生じるため」と2行のみ。元反対同盟員だった相川勝重芝山町長(昨年12月に退任)の悪辣な策動でした。具体的な理由もなく反対同盟は怒り心頭。直ちに行政不服審査法に基づき却下処分の取り消しを求める審査請求の闘いに入ったのです。
そして、ついに今年の2月16日、芝山町議会臨時会で、今回の却下処分が「地方自治法第244条第2項で定める『正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない』という条文に該当せず、地方自治法に違反する」と確定され、「却下処分を取り消す」とされたのです。

そして、開かれた3・27集会には約280名が参加。労働組合や農民、支援団体の発言に続き、騒音下で苦しんでいる地元住民の方も連帯の発言に立たれました。
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市東孝雄さんも「国策と闘う仲間と一緒に最後まであきらめない。体が続く限り正義を貫いて闘う」と発言。その市東さんの農地を守ろうと、反対同盟の太郎良さんが強制執行阻止の夜間防衛・泊まり込みへの参加を熱く呼びかけました。(昨年4月1日から開始された強制執行攻撃との対決・早朝の防衛監視態勢がこの3月で1年となりました。)
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(太郎良さんが読み上げた「決戦本部ニュース最新号」)
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集会後は、反対同盟を先頭に芝山町内をデモ行進。

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車の両輪として反対同盟と共に闘いぬく動労千葉の皆さんや支援の労働者市民が続きました。
デモでは、空港機能強化に反対しよう、第3滑走路建設に反対しよう、軍事空港に反対しよう、戦争に反対しようと呼びかけました。反対同盟と支援連は毎月1回「反対同盟ニュース」を持って空港周辺への情宣活動に取り組んでいます。ニュースはこの3月で100号になりました。スーパーの前などで手を振ってくれる地元の方たちもいて、反対同盟の運動の広がりを実感しました。(S)

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3月31日(木)10時から11時40分すぎまで、衆議院憲法審査会が行われました。2月10日から4週連続で開催され3月10日だけ休んで17日から3週連続、今国会7回目の憲法審となり、残念ながら毎週定例日の開催が定着しつつあります。

この日も新藤義孝氏(自民)が「今朝の幹事会で、来週も審査会を開催し、(緊急事態条項に関する)この間の議論を踏まえ、総括的な討議を行ってはどうかと提案した」と述べると、馬場伸幸氏(維新)は「(今週も)つつがなく討議の場が持たれたことについて、各会派の皆様に感謝を申し上げる」と発言、玉木雄一郎氏(国民)にいたっては、冒頭で「定例日に憲法審査会が開催されたことを歓迎したい」と述べたうえで、後半でも「憲法審査会を毎週開催することをあらためて求めたい」と念を押していました。
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今回の憲法審のテーマは「諸外国の憲法における緊急事態条項」と「国民投票等におけるSNS対策」で、初めに衆議院法制局長からこれらの論点に関する説明を受け、その後委員間の討議が行われました。
法制局長の説明の内容については、『東京新聞』のウェブサイトに簡潔に整理された記事が掲載されていましたので、それを転載させていただきます(同じ記事の「各会派の主な意見」もあわせて転載します)。

衆院憲法審査会・説明聴取と各会派代表の意見表明要旨
『東京新聞TOKYO Web』2022年3月31日

31日の衆院憲法審査会での説明聴取と各会派代表による意見表明の要旨は次の通り。

<説明聴取>
橘幸信衆院法制局長
諸外国の緊急事態条項に比べ、日本国憲法は著しく分量が少ない。憲法の制定論議が行われた帝国議会で金森徳次郎担当大臣は、民主政治の徹底等の観点からは非常の場合の暫定措置は国会こそが対応すべきで、立法により措置することが適当と答弁している。

憲法の下、度重なる自然災害に対応するため、災害対策基本法を中心とした個別の緊急事態法制を整備してきた。伊勢湾台風を契機に、阪神大震災、東日本大震災などを経験するたびに、必要とされる措置を追加してきた。今後とも整備・拡充していけば良いとする見解がある。他方、後追い的な法整備で良いのかといった懸念も指摘される。

緊急事態条項に関する検討項目は大きく3つ。対象とする事態の範囲、緊急事態の宣言認定の主体や手続き、盛り込むべき法的効果。

現行憲法下でも対応可能とする立場からは、政府への権限集中は乱用の危険があること、議会の機能維持は任期延長によらずとも、繰り延べ投票や参院の緊急集会で対応可能であることなどが指摘されている。

憲法改正が必要とする立場からは、あらゆる事態を想定することは困難であり、想定外の事態への対応もできるように準備しておくべきこと、「公共の福祉」のような曖昧な概念こそ危険で、緊急時に制限できる権利、できない権利を明確に定めておくことこそ立憲主義にふさわしいことなどが指摘されている。

<各会派の主な意見>
新藤義孝氏(自民) 苦難を受けているウクライナでは緊急事態条項の非常事態、戒厳の布告がなされている。期間中、人権に制限が加えられる場合でも市民権の保障、個人の権限の尊重など制限されてはならない人権の規定が設けられている。わが国でも緊急事態条項の創設にあたって、人権制限の規定とともに、制限してはならない人権の規定を設けるべきか検討が必要ではないか。

奥野総一郎氏(立憲民主) 緊急事態条項は54条の緊急集会の制定経緯からも、日本の法制では既に盛り込まれている。武力攻撃、内乱・テロ、自然災害、感染症それぞれの基本法制があって、緊急事態等の認定が行われる仕組みになっている。もう少し詳しく専門家の意見を聞いていかないといけない。まだ入り口で、どこが問題かもきちんと見えていない。憲法審査会で粗雑な議論をやってはいけない。

馬場伸幸氏(維新) 夏の参院選と同時に国民投票を行うスケジュール感で論議を加速させるべきだ。緊急事態における国会議員の任期延長問題の維新の立場は、憲法に2つの条文を明記すること。衆参両院議員の任期、選挙日の特例を定めることができること、衆院解散を禁止して、解散後に緊急事態の宣言が発せられたときには解散はなかったものとみなし、議員の地位回復を行うことだ。

中野洋昌氏(公明) 日本は法律を中心として有事への対応を図ってきた現状を踏まえた上で、議論を整理していく必要性があるのではないか。内閣への権限集中、人権の制限のあり方について各党が持つイメージ、導入の必要性にはさまざまな意見がある。例えば、国会機能の維持に絞って、さらなる議論を行っていくことも考えられる。

玉木雄一郎氏(国民民主) 緊急事態条項が危ないのではなく、まともな条項がない中、曖昧なルールの下で行政による恣意的な権力行使で、憲法上の権利が制限される状態こそ危ない。緊急事態では行政による権力乱用や人権侵害の危険性が高まり、国全体が正気を失いがちになるという歴史の教訓に鑑み、立法や司法による統制を明示する統制条項としての緊急事態条項が必要だ。

赤嶺政賢氏(共産) 東日本大震災でもコロナ禍でも、緊急事態条項がなかったから対応できなかったという事態は起きていない。東日本大震災で被災した首長へのアンケートで、緊急事態条項がなかったことが、人命救助の障害になったと回答した方はいなかった。災害や感染症対策のために緊急事態条項を設け、国に権限を集中するというのは筋違いの議論だ。

北神圭朗氏(有志の会) 議員の任期延長については詳細な提案をしているので、早く具体的な土台をつくり、審議していくことを要請したい。任期延長というのは、緊急事態で国会を物理的、現実的に機能させられなくなったとき、立法機能、行政監視機能を守るという話で、人権制限や権力集中というのは次元の違う問題だ。 
* 引用、ここまで。

なお、橘局長が説明された『「緊急事態」等に関する論点説明資料』は衆議院憲法審査会のホームページ(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/index.htm)に、より詳細な『衆憲資第98号 「緊急事態」等に関する資料』とあわせて掲載されています(「会議日誌・会議資料」⇒「第208国会」とクリックしてください)。

以下、この日の審議で私が注目すべきだと感じたことをいくつかを紹介します。

まず、緊急事態条項をめぐる論点のうち、国会議員の任期延長問題から議論を集約していくべきだという流れが固まりつつあることです。
馬場伸幸氏(維新)は、上記の『東京新聞』の記事で紹介されている発言のほかにも、「何より重要なのは、民主主義の原則である多数決によって結論を出す作業を急ぐことだ」という暴論を吐いた後、「緊急事態時の国会議員の任期延長問題についても、そろそろ意見集約に入るべきだ」と主張しましたし、北側一雄氏(公明)は「まず緊急事態における国会議員の任期の延長の問題に絞って議論をしていったらどうか」と提案しました。

また、細野豪志氏(自民)は東日本大震災のとき(当時細野氏は民主党政権で総理大臣補佐官を務めていました)被災した3県で統一地方選が延期されたことを指摘して、「あのとき仮に国政選挙のタイミングが来ていたらどう判断したか」と奥野総一郎氏(立民)に質問し、奥野氏が「被災地では繰延べ投票で対処することになると思う」と答えると、「それでは被災地の、もっとも声を届けなければならない議員が不在になる。被災地の理解は到底得られない」として、「この議論だけは緊急性の極めて高いものとして進めていただきたい」と述べました。しかし、被災地の国会議員が全員不在になることはありえませんし、被災地の声を届けることができるのは国会議員だけではありません。

赤嶺政賢氏(共産)の「国会議員の任期延長は、戦時に挙国一致体制をつくるために用いられてきた。日本では、1941年に衆議院の任期が1年延長されたが、その理由は国民を総選挙に没頭させることは不必要な議論・競争を誘発するため、今日の緊迫する時局において行うことは適当ではないというものであり、その下で戦時翼賛体制がつくられ、太平洋戦争へ突き進んだ」という重要な指摘も紹介しておきたいと思います。

2点目は、与党側の憲法審査会筆頭幹事である自民党の新藤義孝氏が、「議員の任期の延長など国会の機能を維持する手立てを講じたとしても、国会が壊滅的な被害を受ける事態が発生するおそれは残る」として、「究極のリスクに備えて、内閣が暫定的に立法措置を行う緊急政令の制度についても議論しておく必要があり」、「加えて、緊急政令の執行に必要な予算の支出を可能とする緊急財政支出の仕組みをセットで整備しておく必要がある」と、かなり踏み込んだ発言をしたことです。
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これに対して、野党側の憲法審査会筆頭幹事である立憲民主党の奥野総一郎氏は「国会で予算・立法措置を迅速に行うことによって、緊急政令は不要だ」と主張し、法制局の説明資料の内容に触れながら「世界の憲法の93%では、こうした強権的な規定(注:緊急政令のこと)、政府への権力集中の規定は設けられていない」と述べました。また、赤嶺政賢氏(共産)も、「戦前(注:1928年)、田中義一内閣が、議会では審議未了で廃案になった治安維持法の重罰化改正案を、議会が閉会した後に緊急勅令によって成立させた」ことを指摘し、「緊急事態条項は常に乱用の危険と隣り合わせだというのが歴史の教訓だ」と警鐘を鳴らしました。
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3点目は、上掲の『東京新聞』の記事で紹介されている玉木雄一郎氏(国民)の主張です。玉木氏は「緊急事態条項が危ないのではなく、まともな条項がない中、曖昧なルールの下で行政による恣意的な権力行使で、憲法上の権利が制限される状態こそ危ない」と言いますが、私は「行政による恣意的な権力行使」は今も日常的に行われており、いわゆる平時にあっても憲法上の権利は制限されていると思います(「制限」と言うより「侵害」と言いたいくらいです)。いくら「まともな条項」を整備しても(いったいどれくらいの文字数を費やせばそんな条項ができるのでしょうか)、緊急事態時に権力がそれを順守するとは思えません。権力の横暴に対して日々闘っていくこと、その実践こそが緊急時においても私たちの権利を守っていく力になるのではないでしょうか。

この日のもうひとつのテーマであった「国民投票等におけるSNS対策」については、限られた発言時間(会派代表は7分、他の委員は5分)の中でこの問題に言及した委員は少なかったのですが、奥野総一郎氏(立民)が「運動資金のあり方についても集中討議を求めてきたい」、「国民投票の公正・公平を確保できるまでは憲法改正の発議はできない」と、新垣邦夫氏(社民)も「附則第4条の趣旨を満たす改憲手続法改正がなされない状態での国民投票は、国民主権の観点から正当化されない」と述べたことを紹介しておきたいと思います。

この日の傍聴者は40人強で前回より増えましたが、記者・カメラマンは10人ほどと少なく、閉会時には5人くらいになっていました。委員は、開会時にはほぼ全員が出席していましたが、閉会時には自民の7、8人、立民の1人が空席になっていました。(銀)



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