とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

2021年05月

12日も、国会前には多くの人々が駆けつけました。
参議院前では、デジタル監視法案の本会議での採決反対の人々が、衆議院前には法務委員会での入管法改正案採決に反対する人々が、それぞれ抗議の声を上げました。

(参院前:「NO!デジタル庁」など呼びかけ)
前日の内閣委員会・総務委員会での採決・可決を経ての参議院本会議。立憲民主党が6法案の中の3法案(デジタル庁設置法案、地方公共団体情報システム標準化法案など)には賛成のため、法案の危険な内容が浮き彫りにならないまま、採決・可決となってしまいました。
悔しい限りですが、このデジタル関連法の問題点が明らかとなるのはこれからです。「闘いは続く。これから地方自治、医療、教育の現場での闘いを強めていこう!」と確認し合い、抗議の声を上げました。

CIMG5801

(衆院前:「移住連」などが呼びかける緊急アクション国会前シットイン)
デジタル法案反対行動の後、衆議院前での入管法改悪反対の座り込みにも参加しました。昼休み集会がちょうど終わった後だったのですが、この集会で安田菜津紀さん(フォトジャーナリスト)や、せやろがいおじさん(お笑い芸人・ユーチューバー)もアピールされたそうです。
命の危険を敏感に感じ取って、この入管法改悪反対を広く発信されている人々が大勢いることに励まされます。
CIMG5825
CIMG5820
難民申請者や20歳前後の若者など多くの人々が座り込んでいました。入管法・外登法に反対する全国実や改憲・戦争阻止!大行進の仲間たちも駆けつけていました。
CIMG5823
210512国会
国会審議の中では、野党側から名古屋入管で医療放置されて亡くなられたスリランカ女性ウィシュマさんの真相究明が求められていますが、政府側はこれには答えず強行採決に踏み込もうとしています。こうした痛ましい事態が繰り返されている日本の入管行政の現状こそが問題なのであって、さらに、移民・難民の命を奪うような入管法改悪は許されません。
CIMG5813
午後3時からは、参議院議員会館内で、入管施設の面会ボランティアの皆さんたちが廃案を求めて緊急の記者会見を行っていました。
https://www.asahi.com/articles/ASP5D65TGP5DUTIL051.html

仙台でも、抗議のスタンディングが行われています。
210512仙台
この日の採決は見送られましたが、ウィシュマさんの家族が名古屋から東京に出てこれる前に(スリランカから来日している妹さんたちは入管の指示で14日間の隔離となっている)、政府は採決を強行しようとしているとのことで、予断を許しません。
何としても廃案へ!(S)



見出しにあるように、コロナ緊急事態宣言下で、いま国会では稀代の悪法が次々と出され成立させられていくという、あってはならないことが菅政権によって強行されています。本当に許せません。

5月11日(火)、衆院本会議で改憲のための国民投票法改正案が可決。続いて、重要土地調査規制法案の趣旨説明・審議入り。他方、参院内閣委員会ではデジタル監視5法案が可決、総務委員会で残る1法案も可決。
特にデジタル監視6法案は、膨大な量の法案内容が衆議院でも参議院でも20数時間づつという極めて短時間の審議で、審議されない重要な問題が多いまま採決に至っています。
あまりの暴挙に、いくつもの団体・個人が国会前に駆けつけ、それぞれ怒りの声を叩きつけました。
(衆院前、「改憲・戦争阻止!大行進」など)
2105114
(参院前:「NO!デジタル庁」など)
2105113
(衆院前:「一坪反戦地主会関東ブロック」など)
重要土地調査規制法案を廃案に!と抗議のスタンディングに立った関東一坪の青木さんは「重要土地調査規制法案によって、戦前情勢にもどる。私たちは戦争責任を十分追及できていない」「沖縄は分断されている。しかし、誰一人基地に賛成している者はいない」「私たちが声を上げることによって、民主主義、人権をとり戻している」と訴えられました。
2105115
菅政権は、「ステイ ホーム」「動くな!」と労働者市民に恫喝しながら、自らは悪法制定に「フル 稼働」「強権発動!」です。

国会前の抗議活動からの帰り道、地域の人に国会前の様子を話すと、「エッ、国会はコロナ問題を話し合っているんじゃないの?」と言われました。当然です。多くの人々が、コロナ感染拡大の中で、家族の命をどう守れるのか、店はいつまで時短をさせられるのかと、大きな不安の中にいるのですから。
「こんな戦争法が強行されようとしているのに、世の中が静かすぎる!!」と国会前で叫ばれていましたが、多くの人々に法案の内容が知らされないまま、人権侵害の悪法がつくられていく国会は、あまりにも民意とかけ離れた異様な世界です。

この日は、百万人署名運動は、昼からはデジタル監視6法案の採決反対!の抗議集会にも参加しました。そこで、防衛省が利活用の提案を募集した個人情報ファイルの中に「横田基地夜間飛行差し止め請求訴訟原告名簿」などが入っていたとの報告があり、今回の法案による国への情報集約が反基地運動などへの監視をさらに強めるものだと警鐘乱打されました。
2105112

続いて、1時からは、改憲国民投票法改正案の衆院本会議での採決反対の抗議集会に参加。
主催団体の「改憲・戦争阻止大行進」呼びかけ人の森川文人弁護士は、「台湾有事が叫ばれ、軍事国家へ持っていかれようとしている。入管法改悪での外国人の差別化や、デジタル監視法による個人情報の国家一元管理化など、団結を阻む悪い法律がどんどんつくられようとしている。こういう時だからこそ、仲間と議論し考え、きちんと意見を表明していかなければならない」と訴えました。
2105117
隣りで「重要土地調査規制法案」を廃案に!と抗議のスタンディングをしていた一坪反戦地主会関東ブロックの皆さんもアピールしてくれました。
「基地があることによって、私たちの命が削られている。子どもたちが危険にさらされている」と、沖縄の声が無視され続けていることへの怒りが語られ、重く受け止めました。
210511国会
国会前では、それぞれ怒りを共有し合い、沖縄の闘いと連帯して戦争反対・基地撤去を闘おうと確認されました。

主催者からは、「復帰49年」5.15を沖縄での闘いに連帯して5.15神奈川連帯集会(18時30分~かなっくホール)、5.16横田基地へのデモ(14時に福生公園集合、14時30分デモ出発)に集まろうと訴えられました。(S)




5月6日(木)、今国会3回目の衆議院憲法審査会が開催され、改憲手続法改正案が可決されました。
この日の審査会は10時開会予定と告知されていましたが、ずいぶん遅れて11時15分頃に始まりました。私たち傍聴者は、10時50分頃まで議員面会所で待機させられ、55分ごろ議場に入ってからも20分ほど待たされました。それは次のような事情によるものです。
yurusuna
昨年12月に二階俊博自民党幹事長、福山哲郎立憲民主党幹事長の間で、改正案については今国会で「何らかの結論を得る」との合意がなされており、今国会の審査会で自民、公明、維新、国民は早期採決を主張、4月22日、与党は審査会前に開かれた幹事会で5月6日の採決を提案しました。

これに対して「立憲は28日、党憲法調査会を……開き、自民党と修正協議に入ることを了承……これまで主張してきたCM規制や外国人寄付規制について、改正案の付則に『改正法施行後3年をめどに検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる』と明記するよう要求することで一致し……野党筆頭幹事の山花郁夫氏(立憲)はこの後、与党筆頭幹事の新藤義孝氏(自民)に要求を伝達。新藤氏は検討する考えを示した。自民党幹部は協議レベルを幹事長間に格上げする可能性に言及した」(『時事通信』)。

その後「自民党の二階俊博、公明党の石井啓一両幹事長は5日……会談し……国民投票法改正案に関し立憲民主党が示した修正案を受け入れる方針で一致」(『共同通信』)、憲法審当日の6日午前に自民、立憲の幹事長が会談して「国民投票法改正に係るいわゆる『七項目案』については、立憲民主党提案の修正案とともに、今国会会期中に、成立させるものとする」ことを申し合わせました。
 0506審査会1

また、「二階氏は6日午前、国会内で維新の馬場伸幸幹事長と会談……馬場氏は立民の修正案に関して『提案通り可決することに強く反対する』との文書を手渡した」(『日本経済新聞』)という報道もありました。

つまり、私たちは自民・立憲、自民・維新の幹事長会談が終わるまで何も知らされずに待たされていたわけで、本当に腹立たしく思います。そして参院での審議が始まる前に、改憲手続法改正案の成立が事実上確定してしまったことも大問題ではないでしょうか。

蚊帳の外に置かれた形の共産、維新、国民の委員たちはどう思っているのだろうかと考えていたら、山尾志桜里氏(国民)がこんなツイートをしていました。
「しっかしなぜに最終版(「最終盤」の変換ミスでしょうか?)になると、幹事長やら国対委員長がお出ましになるのか不明。憲法は政局抜きでって皆言ってるんだし、審査会メンバーで決めればよいじゃない? 国対政治からの卒業もとむ」
山尾氏の主張には賛成できないことが多いのですが、この感想はもっともだなと思いました。
なるほどマーク

この日の審査会は、①自公・維新など提出の改憲手続法改正案の質疑、②立憲が新たに提出した同修正案の趣旨説明(奥野総一郎氏)と内閣の意見聴取(武田良太総務大臣)、③改正案・修正案に対する賛成討論・反対討論(共産・赤嶺政賢氏=両案に反対、維新・足立康史氏=改正案に賛成・修正案に反対、国民・山尾志桜里氏=両案に賛成)、④両案の採決、⑤憲法、改憲手続法に関する自由討議という順に行われ、13時ごろ散会となりました。

傍聴者は40人ほどで多くの方が立ち見を余儀なくされていましたが、④の採決時には12時を過ぎていましたので、本ブログの前記事で報告されている議員会館前の抗議集会に回った方もいらっしゃったのでしょう、散会時には半数以下になっていました。

議事の内容については、今回も『東京新聞』のウェブサイトに掲載されている記事を転載させていただきます。

国民投票法改正案が今国会で成立へ 自民、立民が合意 衆院憲法審査会で可決
『東京新聞TOKYO Web』2021年5月6日
自民、立憲民主両党は6日、改憲手続きを定める国民投票法改正案について、CM規制の検討などを付則に明記する修正を加え、6月16日までの会期中に成立させることで合意した。これを受け、衆院憲法審査会は改正案を修正の上、賛成多数で可決したが、投票環境の整備を始め、積み残しの課題は多い。新型コロナウイルスの感染拡大への対応が急がれる中、改憲の機運も高まっていない。
0506審査会2
 
安倍政権下の2018年6月に提出された改正案の審議は9国会目で大きく動いた。自民は立民の修正要求に応じる考えを幹事長会談で伝え、立民も採決を容認した。11日の衆院本会議で可決され、参院に送付される見通し。10月に衆院の任期満了を控え、今国会で成立しなければ廃案が確実な情勢だった。
改正案は駅や商業施設への共通投票所設置を可能にするなど、公選法の規定に合わせた7項目の見直しで国民投票の利便性を高めるのが狙い。共産党を除く全党が賛成した。
修正案は資金量で差が出るテレビCMやインターネット広告、賛否両派の運動に対する外国人からの寄付制限といった課題に関し、結論を先送りする代わりに「施行後3年をめどに必要な法制上の措置、その他の措置を講じる」と付則に盛り込む内容。提出した立民のほか、与党と国民民主党が賛成し、共産と日本維新の会が反対した。

◆立民 福山幹事長「評価したい」
立民の福山哲郎幹事長は記者団に「CM規制などについて、ルール作りできる状況になったことは評価したい」と語った。今後の改憲論議に関しては「手続き法が整っていない」と述べ、修正案に沿った法整備を優先すべきだと主張した。

◆自民 二階幹事長「粛々と進める」
次期衆院選に向けて保守層をつなぎ留めたい自民は今回の見直しを「憲法改正の議論を進める最初の一歩」(菅義偉首相)と位置付ける。二階俊博幹事長は福山氏との会談で「国民のための憲法論議を粛々と進めたい」と強調した。(生島章弘、横山大輔)

◆衆院憲法審 法案質疑要旨
衆院憲法審査会で6日行われた国民投票法改正案に関する質疑の要旨は次の通り。(改正案の採決前に行われた各党討論、採決後の各党自由討議は省略)

船田元氏(自民
)投票運動はできるだけ自由に、投開票手続きに関する事項は公選法並びにするという国民投票法制定当時の制度設計の思想を維持すべきだというのは共通認識だ。

新藤義孝氏(自民)
国民投票法の議論は、憲法改正の手続きの向上を目指すものであり、憲法本体の議論があってこそだ。CM規制など国民投票法の次なる議論を進めることと併せて、憲法本体の議論を粛々と進めていくべきだ。

今井雅人氏(立憲民主)
広告規制は4つの論点にまで絞られている。既に顕在化している問題があるなら、まず一緒に解決したらどうかと、ずっと提案してきたし、今もそう思っている。課題が残されている以上、解決しない限り、国民投票を実施することは、あってはならない。

大口善徳氏(公明)
感染症のまん延、巨大地震の発生など緊急時における国会の機能のうち、国会議員の任期や、本会議の定足数における出席の概念の問題、デジタル時代の人権や民主主義の保障といった諸課題に同時並行的に取り組むことこそが憲法審の責務だ。

北側一雄氏(公明)
憲法本体の議論をしっかり行うことが憲法審の役割。週1回の定例日に必ず開催し、自由闊達に憲法論議を重ねていくことが重要だ。

本村伸子氏(共産)
現行の国民投票法は最低投票率もなく、有権者の1、2割台の賛成でも改憲案が通る問題など、民意をくみ尽くす上で重大な欠陥を持つ。(改正案にある)共通投票所の設置を理由に投票所を削減、集約することは、投票環境の悪化にもつながりかねない。

逢沢一郎氏(自民)
自治体によっては、区域の人口や職員数の減少で投票所数を維持するのが物理的に困難な場合が生じている。投票所数が減少しても、共通投票所を駅やショッピングセンターなど人が集まりやすい施設に設置し、高齢者等への移動支援も組み合わせることで利便性の向上に取り組んでいる。

本村氏
(外資の献金規制で)株式の上場審査基準をクリアすれば、外国の影響を受けない根拠は。
井上一徳氏(無所属)上場審査は、コーポレートガバナンス(企業統治)及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること、企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること等が実態的に判断される。不適切な外国の勢力からの影響が及ぶことはない。

馬場伸幸氏(維新)
日本が抱える具体的な課題を解決するため、国会から憲法のあるべき姿について率先して論点を提示することで、結果的に民意が形成されていくのもまた当然のことだ。毎週定例日に憲法審を開催し、憲法論議を広く展開していくことこそ、民意に応えるものと確信する。

足立康史氏(維新)
立憲民主党の修正案は、施行後3年という期限を設けて(CM規制などの)検討を求める内容。新たに期限を設けることは、憲法改正に向けた国会の発議権を制限するとの誤解を招きかねない。

中谷元氏(自民)
検討期限はめどで、確実に3年で結論を出さなければならないというものではない。憲法本体の議論や改正案の発議を妨げるものではない。他の検討事項の立法例からも明らかだ。

山尾志桜里氏(国民民主)
(立民の修正案にある)検討は速やかにやるべきだ。検討した上で解決が見えたものは、順次必要な立法上や運用改善の措置をとることは可能と読める。修正案が成立しても、本体議論の機会を法的、政治的に狭める効果を持つべきではない。

北側氏
 特にCM規制の問題は施行後3年と言わず、できるだけ早く論点も整理し、結論を出していきたい。

中谷氏
 検討条項の例示をもって、憲法本体の議論、本来の(改憲案の)発議の提案も縛られないとわれわれは理解している。
* 引用、ここまで。

今回の採決に至る過程で私が強い違和感を覚えたのは、立憲民主党が、これまで共産の委員たちとともに指摘していた憲法改正国民投票の投開票の手続きに関する改憲手続法の規定を単純に公職選挙法に合わせることによって生じる問題点(共通投票所の設置により投票所が集約されてしまう、期日前投票時間が弾力化され短くなってしまう等により、投票が困難になる場合がある)を突然棚上げにして、不可解な修正案を持ち出してきたことです。

立憲は、CMやインターネットの規制等に関する議論がそう簡単には進展しないであろうことを見越して、今回の修正案を通せば改憲の議論を先送りし改憲案の発議を妨げることができると想定しているのかもしれませんが、上掲の記事に示されているように、自民をはじめ改憲勢力は早くも「憲法本体の議論」にやる気満々の姿勢を見せており、今回の改正案成立によって国民投票実施の最低限の条件はクリアしたと主張して、改憲に突き進んでくるかもしれません。

この日の審査会の終了時、細田博之会長(自民)は「次回の審査会は、来る13日に開会することについて筆頭間で協議しています」と述べており、改憲勢力は、毎週1回、定例日の開催を常態化することを狙っています。参院で改正案、修正案の審議が始まる前に、「憲法本体の議論」を進めようとしているのです。

当面、議論の焦点が、改憲派の委員たちがすでに繰り返し発言している緊急事態条項と自衛隊明記になることは必定です。たとえば、この日の自由討議で山尾志桜里氏は次のように述べていました。
「憲法記念日に、あらためて憲法本体の戦後の宿題に回答を出すべきときが来ているんじゃないかと感じました。憲法に緊急事態条項がないこと、自衛権を統制する条文がないこと。現実に存在するものを憲法上ないことにしているから、国家の危機を統制できない社会になっている。それを実感させているのが、このコロナ禍と中国の拡張主義だと思います。」

私たちは、こういうたちの悪い議論に人々がまんまと乗せられないよう、今後も憲法審の傍聴を続け問題点をお知らせしていきたいと思いますので、ご注目をお願いします。(銀)


以上、5月6日の衆院憲法審の傍聴レポートの本編としたいと思いますが、「おまけ」あるいは「付録」としてお伝えしたいことがありますので、お時間のある方はもう少しお付き合いください。

▽ 馬場伸幸氏(維新)のご乱心
馬場氏は、今回の立憲による修正案の提出と改正案への賛成がよほど腹に据えかねたのか、憲法審の場で立憲の委員が発言するたびにヤジを飛ばしていましたが、その後の記者会見で信じられない暴言を吐きました。以下、『毎日新聞』ウェブサイトの記事を転載します。

維新・馬場氏「立憲は日本に必要ない」 国民投票法改正案賛成で『毎日新聞』2021年5月6 日
日本維新の会の馬場伸幸幹事長は6日の記者会見で、立憲民主党について「日本には必要ない政党だ」と批判した。
6日の衆院憲法審査会で立憲が国民投票法改正案に賛成したことに関連し、会見で「立憲は共産党と一体と見られるのが嫌だったのではないかという指摘もある」と水を向けられた馬場氏は「共産と一緒に見られるのが嫌だと言っても、先の(衆参)三つの選挙では野党統一候補と言って選挙互助組合を作って、もたれあい、なれあい、談合組織で、それで『与党を倒した、自民党に勝った』と言って喜んでいるわけですから。言っていることとやっていることがチグハグ過ぎますよね。日本に必要ない政党だと思います」と述べた。
審査会の採決では自民、立憲、公明、国民民主などの各党が、改正案の原案と修正部分に賛成する一方、共産は改正案が改憲議論に野党を引き込むための「呼び水」になっているとして反対した。維新は原案に賛成し、修正部分には反対した。【大場伸也】
* 引用、ここまで。

▽ 『朝日新聞』の残念な社説
審査会翌日の『朝日新聞』の社説の一節に目を疑いました。
今回可決された改正案に対して「もとより異論はないはずだ」って……この間の審査会で立憲や共産の委員たちが展開した「異論」や(共産党は改正案の採決で反対したんですよ!)憲法学者、法律家団体からの問題提起を無視した事実誤認もはなはだしい表現であり、猛省を促したいと思います。

(社説)憲法審査会 合意重視の原点忘れず『朝日新聞デジタル』2021年5月7日
自民、公明両党などが3年前に国会に提出した、憲法改正の国民投票法改正案がきのう、野党の立憲民主、国民民主両党の賛同も得て、衆院憲法審査会で修正可決された。今国会で成立する見通しだ。
これまで審議が進まなかった背景には、「改憲ありき」で突き進んだ安倍前首相への根深い不信がある。今回の与野党の歩み寄りを、丁寧な議論と幅広い合意形成が何より求められる、憲法論議の原点に立ち返る機会とすべきだ。
改正案はもともと、商業施設や駅への共通投票所の設置など、07年の国民投票法成立以降に国政選挙に導入された諸措置を、国民投票にも反映させようというものだ。
もとより異論はないはずだが、安倍政権では「数の力」を頼んだ強引な国会運営が際だった。国民投票法の改正が、改憲発議の環境整備につながるのではないかと、野党が警戒したのも無理はあるまい。
(後略)
* 引用、ここまで。
 
▽ 何を言っているのかわからない、菅首相の答弁能力が「緊急事態」だ
5月7日、菅義偉首相が新型コロナウイルス感染症に関する記者会見を行いました。
その中で、『産経新聞』の記者が憲法に「緊急事態条項がなければ採れないような対策」は何かと質問したのですが、それに対する菅首相の回答がほとんど意味不明でした。今回のコロナ禍で憲法に「緊急事態条項がなければ採れないような対策」は何一つないことが図らずも暴露されたわけで、ある意味貴重なやりとりではあったのですが……『首相官邸』のホームページから転載します。

新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見
『首相官邸ホームページ』2021年5月7日
(前略)
(記者)
産経新聞の杉本と申します。よろしくお願いいたします。
緊急事態条項を設けるための憲法改正と感染症対策についてお伺いいたします。総理はこの前、5月3日の集会で、緊急事態条項について極めて重い大切な課題であるというふうに発言をされました。さらに、新型コロナウイルスの対策で国民の関心も高まっているという発言もされたと思いますけれども、現行憲法下においても、政府は国民の私権を制限するような感染対策というものを行っていると思います。緊急事態条項がなければ採れないような対策、感染症対策、具体的に言うとどういったものを念頭に置かれていますでしょうか。よろしくお願いします。
(菅総理)
まず、これは憲法改正につながるわけですけれども、具体的内容については、内閣総理大臣としての立場の記者会見をしていますので(お答えは差し控えたいと思いますが)、緊急事態に対応する規定というのは、今、参議院の緊急集会しかないわけでありますので。現実のコロナ対策を行っている中で、このまん延防止、コロナの感染が拡大する中で海外の国を見ると強制的な執行を私権制限がない中でできるということもあります。そういう中で、やはりこの緊急事態に、このコロナ禍の中で備える中で、緊急事態への国民の皆様の関心は高まっているだろうというふうに思っています。
政府として、例えばワクチンの治験についても、国内治験というものも求められています。どうしても3~4か月ぐらいは掛かってしまいますので、なかなか接種も遅れてしまうとか、いろいろな問題が今回のことで浮き彫りになったというふうに思っています。特にこの感染症ということを考えたときに、落ち着いたらそうしたことを検証して対策を考える必要がある、こういうふうに思っています。
(後略)
* 引用、ここまで。




連休明けの5月6日(木)、衆議院・憲法審査会は悪夢のようでした。これまで4/15、4/22と、改憲手続き法(改憲国民投票法)改正案の採決を要求する自民・公明・維新・国民に対し、共産・立憲が断固として審議継続を主張していたのに、一転、立憲が「付則」つきの修正案を提出し、これに自民・公明・国民が賛成し、改正案本体に立憲が賛成して、結局、改憲手続き法改正案があっという間に可決してしまったのです。「にんまり」していたのは自民党でした。

その間、国会の外では、「採決はんたい!」「採決するな!」シュプレヒコールが響き渡っていました。
国会前6
連休中に事態が動き、6日の採決強行が伝えられていたので、この日は多くの労働者市民が国会前に駆けつけ、抗議の声を上げ続けました。

朝10時からは、「戦争・治安・改憲NO!総行動実行委」呼びかけで、また12時~13時までは「総がかり行動実行委」や「NO!デジタル庁」などが呼びかけて抗議集会が行われ、全体で500人を超える人々が集まりました。「改憲・戦争阻止!大行進実行委」の仲間たちも駆けつけ共に抗議の声を上げました。
国会前3
国会前4
国会前5
国会前7

改憲・戦争阻止!大行進実行委は、13時~14時まで独自集会を行いました。神奈川での反基地闘争学習会の報告や医療職場からの報告、デジタル監視法廃案への訴えや福島の汚染水問題の訴え、星野文昭さんの国賠訴訟勝利への訴えなど熱烈なアピールが続きました。百万人署名運動からも午前中の憲法審査会傍聴の報告を行いました。
それぞれが、コロナ下で労働者民衆の命を危険にさらし放置しながら、改憲と戦争へと突き進む菅政権を弾劾し、現場から反撃していこうと呼びかけるものでした。
国会前1

改憲手続き法改正案については、これから参議院の憲法審査会での審議となります。限られた時間ですが明文改憲反対の重要な局面です。国会の外での闘いを強めましょう。
さらに、衆議院の憲法審査会では与党は改憲案づくりの審議に入ろうとしています。自民党らは憲法に自衛隊明記と合わせてコロナ危機をも利用して憲法に緊急事態条項新設をと要求しています。戦争のための改憲絶対反対!の世論をつくるため全力で闘っていきましょう。(S)

最後に、団結してガンバロウ!!!
国会前2


4月28日(水)10時25分頃から参議院憲法審査会が開かれ、「憲法に対する考え方について」意見交換が行われました。参院憲法審で実質的な審議が行われたのは、2018年2月21日以来、3年2か月ぶりのことでした。

ただ、この間にも、昨年の通常国会(6月17日)、臨時国会(12月4日)で2度にわたって松沢成文氏(維新)から林芳正会長(自民)に対する不信任の動議が提出され、否決されるということがありました。憲法審が開催されないのは林会長の指導力、決断力が欠如しているからだとする松沢氏の趣旨説明の後、自民党の委員(6月は石井正弘氏、12月は藤末健三氏)の反対討論、東徹氏(維新)の賛成討論が行われ、あっさり否決されるという出来の悪い寸劇が繰り返されたのです。

議事は、各会派1名ずつの意見表明(持ち時間7分)と委員間の意見交換(持ち時間3分)という形で進められ、発言者はそれぞれ7名と13名、計20名でした。林会長は開会時に「全体の所要は1時間45分を目途とする」と述べていましたが、所要時間1時間20分ほどで11時45分頃には閉会となりました。

想定されていた審議時間からすればまだ数名の委員の発言が可能だったはずですが、発言者は最初から決められていたのでしょう。実際、後半の意見交換で発言の機会を得た委員は、13名全員が最初から発言を希望する意思を示す名札を立てていました。

この日の傍聴者は30人くらい。傍聴席が20しかない衆院憲法審の議場なら立ち見が出るところですが、参院憲法審の議場には64の傍聴席がありますので、1人ずつ席を空けて座ることができました。
sanin
多くの人が傍聴に訪れた参院憲法審査会=28日午前

記者席には10~15人ほどがいて、テレビカメラは2台入っていました。

この日の審議の内容については、『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事を転載させていただきます。記事には上記したような傍聴席の様子がわかる写真も掲載されていましたので、併せてご覧ください。

3年ぶり参院憲法審査会、緊急事態条項を巡り論戦 「コロナ便乗」立民・共産など批判
『東京新聞TOKYO Web』2021年4月28日
参院憲法審査会は28日、約3年2カ月ぶりとなる実質的な審議を行った。自民党と日本維新の会は新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、大規模災害時などに国会議員の任期延長や内閣の権限強化を可能にする緊急事態条項を新設する改憲についての議論を求めた。立憲民主、共産両党などは「緊急事態宣言下の現状を利用した主張だ」と反対した。

自民の石井正弘氏は、緊急事態条項の創設を盛り込んだ4項目の党改憲案を踏まえ「コロナ禍や今後発生し得る未知の感染症など緊急事態への対応は、憲法に新たな問題を提起している」と述べ、条項に関する議論を呼び掛けた。維新の松沢成文氏も「喫緊の課題として緊急事態での人権制約のあり方を議論する必要がある」と同調した。

これに対し、立民の打越さく良氏は条項の創設について「為政者は緊急時と称して権限を最大に振り回す恐れがあり、国民の権利や自由が脅威にさらされる」と懸念を示した。共産の山添拓氏は「コロナ危機に便乗して改憲論議をあおるのは、究極の火事場泥棒だ」と断じた。

社民党の福島瑞穂氏は、コロナ禍で憲法が保障する生存権を脅かされる生活困窮者が多いと説明。「すさまじい状況で国民は誰も改憲を望んでいない」と強調した。(山口哲人)

参院憲法審査会要旨
28日の参院憲法審査会であった各会派の意見表明の要旨は次の通り。

石井正弘氏(自民) 施行後74年が経過する日本国憲法の下で、今日の自由で民主的な社会を築いてきた。しかし、内外の社会環境や価値観が大きく変化する中、1度も改正を経ていない現行憲法には内容的に現代社会にそぐわない部分が生じていることも事実ではないか。わが党は(改憲)4項目を条文イメージたたき台素案の形で示している。まさに国民に問うにふさわしいテーマだ。

小西洋之氏(立憲民主・社民) 審査会で審議すべき重大な憲法違反が生じている。国政調査権の妨害たる決裁文書の改ざん、県民投票無視の(沖縄県名護市の)辺野古埋め立て続行という地方自治の本旨のじゅうりん、検察官の違法な定年延長など三権分立の毀損、学問の自由を侵害する日本学術会議の任命拒否などだ。違憲行為で国民の自由、権利が奪われ、議会政治が破壊されている現状で改憲議論が許されるのか。

西田実仁氏(公明) 憲法91条は、内閣は国会および国民に年1回、国の財政状況を報告しなければならないと定めている。その趣旨は主権者に財政状況の認識を深めてもらうことにあるはずだ。その意味から、参院に政府から独立した将来推計をする財政機関を置くべきだと考えている。諸外国では26カ国において独立財政機関を設置している。今後の議論の深化を求めていきたい。

松沢成文氏(維新) 一字一句変わっていない憲法の改正は時代の要請で、国会が発議し、国民投票をもって果たすことが立憲主義の真の姿だ。維新は教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置の3点を軸に改憲を提起したい。同時に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現行憲法に規定されていない緊急事態条項創設の必要性も含めて審議し、結論を得ることは喫緊の最重要課題だ。

矢田稚子氏(国民民主) 党として昨年秋から精力的に議論を12回行ってきた。主なテーマは個人の尊厳を全うするためのデータ基本権、地域の尊厳を全うするための地方自治の拡大、国家の尊厳を全うするための統治機構の改革だ。審査会が新たな時代、新たな課題を踏まえ、この国の形、新しい働き方や新しい生活の仕方をデザインするような議論の場となることを期待する。

山添拓氏(共産) 憲法審査会は2007年、改憲に執念を燃やす第1次安倍政権が強行して設置したもの。議論を進めることは、改憲案のすり合わせに向かいかねない。国民世論が改憲を求めない中、審査会を動かしてはならない。菅義偉首相も訪米中のインタビューで、現状では非常に難しいと認めなければならないと述べざるを得なかった。その事実を正面から受け止めるべきだ。

渡辺喜美氏(みんな) 今、日本の憲法体制はさまざまなチャレンジを受けている。例えば尖閣(諸島の問題)がそうで、コロナ対応も一種の戦争。日本の憲法秩序、体制が危機にひんしている時、審査会がなぜ3年数カ月も開かれなかったのか。デジタル社会はデジタル共産主義と言われるほど、社会主義や共産主義と非常に近い。こうした議論を審査会を頻繁に開催することで行ってほしい。
*引用、ここまで。

この日私がいちばん驚かされたのは渡辺喜美氏(みんな)の発言で、記事にある「デジタル共産主義」に関する言及のほかにも、「1940年に始まった源泉徴収など日本では今でも戦時の制度が残っているが、当時の政府では革新官僚とコミンテルンが同居していた」などと、意図を測りかねる意見を開陳していました。

そしていちばん感心したのは、小西洋之氏(立憲)の発言でした。以下、その後半部分を立憲民主党のホームページから転載させていただきます。改憲手続法改正案の欠陥と憲法審査会での改憲論議の不急不要性がとてもわかりやすくまとめられています。

【参院憲法審査会】小西洋之議員「『不要不急の改憲論議』よりも、国難から国民を救う立法の実現を」憲法審査会で意見表明『立憲民主党』2021年4月28日

参院憲法審査会で28日、「憲法に対する考え方について」、各会派による意見表明と意見交換が行われました。「立憲民主・社民」共同会派を代表して、小西洋之議員が意見を表明しました。
(中略)
小西議員の意見表明全文は以下のとおりです。
(中略)

与党の国民投票改正案について
平成19年、26年の本審査会の附帯決議では「CM規制はメディア関係者の自主的な努力を尊重する」とあります。すなわち、国民投票法の立法者である船田元先生が先週22日に「CMの自主規制を条件に法案を作った」と発言されているように、わが参院憲法審査会でも自主規制を前提に繰り返し法案が審議・可決されているのであります。その前提が根底から覆るのであれば、インターネットも含めCM規制のあり方を議論し必要な措置を講じることが必要不可欠であり、これを放置しての国民投票法改正は許されません。さらに、両附帯決議には重要な複数の宿題事項があることを付言します。

また、平成28年の公選法改正を単純に並行移入した与党案は、国民の投票環境を後退させる欠陥法というべき問題があります。繰り延べ投票の告知期限の短縮では「台風襲来の日曜日の翌日の、月曜日の国民投票実施の周知を全主権者に徹底できる。場合によっては平日に国民投票を実施する」との誠に苦しい説明がなされ、期日前投票所開設の規制緩和では現にその後の各地の国政選挙で投票機会の減少が見られるところです。本法案は撤回修正を行う必要があることを良識の府の存立に懸けて強く申し上げる次第です。

結びに
国難のコロナ禍において、憲法13条の尊厳尊重、25条の生存権確保がなされず、今日明日の衣食住に事欠く国民、必要な検査・医療等が受けられない国民、自宅療養等で投票権が行使できない国民等が多数生じています。国難下の国会議員の役割は、必要火急の「改憲の立法事実」が認められない「不要不急の改憲論議」を行うことではなく、憲法の理念、規範を具現化し、国民を救う立法の実現等に全力を挙げることであることを申し上げ、私からの意見表明をさせて頂きます。
*引用、ここまで。

いま、メディアの報道は、改憲手続法改正案の採決をめぐる自民、立憲の駆け引きなど「政局」に焦点が当てられていて、改正案自体の欠陥でさえまともに報じられていません。

私たちは憲法審査会の傍聴を続け(本当は憲法審が開催されないこと=傍聴する必要がなくなることが望ましいのですが)、マスメディアが伝えない改憲勢力の策動を暴露し批判することを通じて、明文改憲の阻止に尽力していきたいと思います。(銀)

↑このページのトップヘ