とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

2017年05月

5月25日(木)9時から、今国会6回目(実質的な審議は5回目)の衆議院憲法審査会が開催されました。安倍改憲メッセージの波紋が広がり、加計学園問題があらためてクローズアップされる中、そして何よりもほかならぬ衆議院本会議で共謀罪が強行採決された直後の、まさかの2週連続開催でした(野党はなぜ開催を受け入れたのでしょうか?)。

今回のテーマは「新しい人権等」で、これには「教育を受ける権利」や(言及する委員はほとんどいませんでしたが)「婚姻制度(同性婚)」も含まれます。この日は自由討論として、各会派の代表者からの意見表明と委員からの発言が行われ、最近の情勢からして必然的に、設定されたテーマに関わらない議論も交わされることになりました。
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さて、今回もまず、『産経ニュース』の記事を紹介します。書き方にバイアスがかかっていて、改憲派へのシンパシーが節々ににじみ出ていますが(*カッコ内に私の感想を記します)、この日の議場の雰囲気が巧みに捉えられていると思います。
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衆院憲法審 民共、「人権」よりも首相・統幕長批判 自民も応酬 「政局を離れ」は有名無実化

民進党などの野党は25日の衆院憲法審査会で、本来のテーマの「新しい人権」を離れ、憲法改正への意欲を表明した安倍晋三首相(自民党総裁)や自衛隊トップの発言への批判が目立った。自民党も応戦し、審査会の共通認識であるはずの「政局から離れた静かな環境での議論」は有名無実化した。(沢田大典)

「テーマでやれ!!」
審査会が行われた衆院第18委員室に、日本維新の会の足立康史氏の怒号が響いた(*「ヤジ」でなく「怒号」と書いたのは的確な表現だと感心しました)。民進党の山尾志桜里氏が冒頭から憲法9条の1、2項を残し自衛隊の存在を明記するとの首相提案をやり玉に挙げたためだ。

山尾氏は「自衛隊を合憲化することが使命ではないか」との首相の発言を紹介し、「首相は自衛隊違憲論に立った。合憲の自衛隊を合憲化する必要はない。首相は違憲と認識している組織の予算の承認を求め執行している。憲法尊重擁護義務違反だ」と訴えた。

これに対し、自民党の古屋圭司氏は「『風が吹けば桶屋がもうかる』よりも論理の飛躍だ。自民党は一貫して自衛隊は合憲との立場だ」と一笑に付した(*「一笑に付す」だなんて、よほど山尾氏が気に食わないのでしょうか)。

共産党の大平喜信氏がターゲットにしたのは自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長だ。「個人の見解」と断った上で9条への自衛隊明記を「ありがたい」と述べた河野氏を批判し、「憲法尊重擁護義務に反し、文民統制の原則を侵す。罷免を要求する」と述べた。

審査会で政府側の出席はなく、誰に罷免を求めたのか不明だが(*罷免できるのは首相だけであり、「不明」なんてことはありません)、前防衛相の自民党の中谷元氏は「自衛官も国民の一人で、言論の自由がある。一部の憲法学者や政党から憲法違反といわれ、否定され続けてきた。現場で仕事をしている人として適切な発言で、何ら問題はない」と代弁した(*菅官房長官の口癖「問題ない」が自民党の委員の間にはびこっています)。

民進党の辻元清美氏は、学校法人「加計学園」の大学獣医学部新設計画に関し「総理の意向だ」との記載があったとされる記録文書を取り上げた。菅義偉官房長官は「怪文書のようなもの」と存在を否定した文書だが、辻元氏もまた政府不在の中で「国民の知る権利以前に、政府が物事を隠蔽している」と批判した。

この応酬に加わらなかった公明党の太田昭宏氏は「重厚な議論を強く望む」と牽制(*牽制したようには聞こえませんでした)。自民党の山田賢司氏は「新しい人権がテーマなのに、9条改正はいかんといわれたら反論せざるを得ない。次回は9条をテーマに」と提案したが、応じる野党議員は皆無だった(*与党議員も皆無でした)。

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驚愕の自衛隊北朝鮮派兵論

ところで、この記事の最後に登場する山田賢司氏は、上記の「提案」のあと、次のような驚愕すべき意見を開陳しました。

とくに必要がなければ新しい人権の規定を憲法に入れる必要はないが、犯罪被害者の人権については考慮する必要がある。最大の犯罪被害者は拉致被害者であり、生命・身体の自由、そして幸福追求の権利が今現在も奪われていて、第13条違反のど真ん中だ。何の罪もない中学生の女の子が帰宅途中に身体を拘束され、海外に連れていかれ、今も監禁されている。これを救えなくて何の人権なのか。

平和安全法制が成立しても(自衛隊は)救出に行ってはいけないというのが政府の解釈で、在外邦人の保護、救出は領域国の同意が前提となっているが、人の国の国民を勝手に連れ去っていく人間が同意するわけがない。誘拐犯が被害者をアジトにかくまっているなら、犯人の同意が要るなどという発想は出てこないだろう。国家犯罪により他国に連れ去られて監禁されている人をなぜ救ってはいけないのか。

自衛権として整理するか否かは別として、拉致被害者に限定して当該国の同意なく救出しにいっていいということを、解釈(の変更)でも結構だし、ダメだということなら明文の規定で救出できるようにする。これこそが真の人権侵害の救済ではないか。
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本当にビックリ仰天しました。山田氏は、自衛隊を北朝鮮に派兵して拉致被害者を救出できるようにすべきだ、そのために必要なら改憲せよと主張しているのです。

ちなみに、山田氏については、過去にこんな発言も報じられています(『リテラ』2014年9月22日)。

【安倍首相にも「在特会」との親密写真が! 自民党とヘイト団体の蜜月】

(前略)9月22日発売の「サンデー毎日」(毎日新聞社)によると、ヘイトスピーチの法規制を検討する自民党PTで、メンバーの一人で安倍チルドレンでもある山田賢司衆院議員がこう言い放ったという。

「国連に“チンコロ”しているのはどんな団体か。ネットで調べると、ほとんどが朝鮮総連など朝鮮系の団体だ」
「人権をうたう団体は日本をおとしめるために人権団体と言っているだけ」(後略)

なお、「チンコロ」というのは犬種の「狆(ちん)」のことで、そこから小型犬を指すようになり、さらに戦国時代に間者として働いた前田犬千代(後の前田利家)の通称「イヌ」から「密告」または「密告者」という意味も持つようになったそうです。

自衛隊トップの9条改憲歓迎発言の波紋

この日の議論で驚いたことをもう一つ挙げると、上掲の『産経ニュース』で紹介されている中谷元氏をはじめ自民党の複数の委員たちが、自衛隊の制服組トップ、河野克俊統合幕僚長の「9条への自衛隊明記『ありがたい』発言」を躍起になって擁護したことです(同日の参議院外交防衛委員会でも同様のやりとりがあったそうです)。

この自衛隊法(政治的行為の制限)違反、憲法(公務員の憲法尊重擁護義務)違反の問題発言は23日に外国特派員協会で行われた講演で飛び出したものですが、そのきっかけとなったのは言うまでもなく安倍首相の9条改憲メッセージであり、河野発言擁護すなわち安倍メッセージ擁護にほかなりません。

下記の『産経ニュース』の記事に見るように、安倍首相は性懲りもなくラジオ番組でも改憲発言を繰り返しており(『読売新聞』の次はフジサンケイグループのニッポン放送でと考えたのかもしれません)、確信犯的に憲法尊重擁護義務を無視しています。事態はきわめて深刻だと言わなければなりません。
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【安倍晋三首相「自民党で年内にまとめ、案を示したい」「民進党は提案を。国会議員としての責任」】

安倍晋三首相(自民党総裁)は21日のニッポン放送の番組収録で、自身が意欲を示した憲法9条改正に関し「自民党内でしっかり議論し、年内に案をまとめ、国民に示せればと思う」と述べ、党内の議論加速に期待感を示した。首相が党改憲案をまとめる時期に言及したのは初めて。

また、9条の1、2項を維持した上で自衛隊の存在を明記した条文を追加する考えを示したことについて「合憲か違憲かの議論の余地を一切なくすためだ。国民に判断してほしい」と訴えた。同時に「違憲かどうかの議論に終止符を打つのは、私たちの世代の責任ではないか」と強調した。

憲法記念日の3日の改憲派集会に寄せたビデオメッセージで、9条への自衛隊明記や2020年の改正憲法施行を提案した。首相は21日の番組収録で「(党総裁としての)私の発言は国会における議論の活性化、国民的な議論の深まりを期待したものだ」と説明した。

そして「議論を収斂させていくためにも責任を持って各党が案を出していくべきだ。民進党も批判するだけでなく提案をする。国会議員としての責任だろう」と述べ、民進党などにも改憲案を示すよう求めた。(後略)

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蹂躙されている沖縄の人々の人権

さて、この日も沖縄選出の委員から重要な指摘がありましたので、紹介しておきます。

照屋寛徳氏(社民):沖縄では、天然記念物ヤンバルクイナや絶滅危惧種ジュゴンなど991種の野生生物が(日米)安全保障体制を維持するために絶滅に追いやられようとしているという環境権の問題がある。

赤嶺政賢氏(共産):基地が集中する沖縄では、米兵による殺人やレイプ・強盗、米軍機の墜落・爆音、実弾射撃訓練による流弾・原野火災、土壌や水質汚染など、度重なる事件、事故が県民の命と暮らしを脅かしている。2004年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落、昨年のオスプレイ墜落など、基地外の住民の生活の場で事故が起きても、地位協定に阻まれ地元の市長や知事さえ現場に入れない。県警や海保も現場に入って捜査できず、事故原因が不明なまま米軍の運用優先で飛行が再開され、住民の不安は解消されない。

上掲の『産経ニュース』にあったように山田賢司氏(自民)は「次回は9条をテーマに」と提案しましたが、私は憲法について本質的な議論を深めていくためには、まずはあらゆる憲法問題が集中的に現出している沖縄の状況から出発すべきではないかと考えます。

「新しい人権」をめぐる各党の意見

最後になりましたが、この日のテーマであった「新しい人権」について、『朝日新聞デジタル』の記事「教育無償化、自公に温度差 衆院憲法審、各党が意見」から、各会派代表者の意見を引用します。
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自民(船田元氏):社会の劇的な変化で新たに保障されるべき人権分野が広がりを見せている。環境権、ネット時代のプライバシー権や知る権利、犯罪被害者の権利、知的財産権などを憲法上明記することは検討に値する。憲法には「等しく教育を受ける権利」が規定されているが、所得格差の拡大で十分保障されないケースが増えている。(憲法に)教育の無償化を明記することで、政府に実現を促す大きな力になる。

民進(山尾志桜里氏):憲法における人権保障は、時代の多数派でも侵せない少数者の普遍的な権利保障で(あるべきで)、時代の要請にこたえる権利の実現は、法律で対応すべき場合が多い。私たちが提案する教育無償化は、法律として範囲や財源論を深めていくことが適切なスタートラインだ。憲法で規定されていても保障が十分でない権利もある。憲法裁判所の創設や裁判官の身分保障の改革を検討すべきだ。

公明(斉藤鉄夫氏):高等教育の無償化には、莫大な財源が必要だ。財源の裏付けがなければ、目標を示すような規定しか置けない。一律的に高等教育の無償化が適切かどうかは慎重な議論が必要だ。環境権について、我が党には、憲法13条の解釈で実現できるとの意見もあれば、基本的人権として憲法に明記すべきだとの強い意見がある。「国の環境保全の責務」を明記する可能性も含め、議論が続いている。

共産(大平喜信氏):そもそも安倍首相は、憲法96条を変えようとし、次に緊急事態条項が必要だと言い出した。批判が起こり、これまで一言も触れてこなかった教育無償化を持ち出した。首相の目的は改憲ありき、なんとか9条を変えようというものなのは明らかだ。憲法には30カ条にもなる人権条項がある。いま求められているのは、暮らしのあらゆる場面で憲法を実現させる政治を行うことであり、改憲ではない。

維新(足立康史氏):教育無償化を憲法で定めれば、国と地方に予算措置を義務づけ、時の政権の政策変更の影響を受けずにすむ。政策の優先順位が上がり、恒久的な無償化の実現が容易になる。無償化の財源は、行財政改革で生み出すのが基本だが、足らざる部分は現役世代ではなく、資産形成に成功した高齢者から徴収する。こども保険は反対だ。負担が現役に集中し、税を保険と偽って徴収するのは詐欺だ。

社民(照屋寛徳氏):高等教育の無償化は改憲によらなくても、法律と予算措置で可能だ。憲法は教育無償化の範囲を広げることを禁じていない。民主党政権下で高校授業料の無償化が実現した。それを「ばらまきだ」と批判したのは安倍政権だ。国民が求めているのは、早期の高等教育無償化の政策実現で、高等教育無償化を口実とした改憲ではない。環境権も改憲せずとも幸福追求権や生存権で解決できる。

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委員の出席状況は、最初は40人前後、途中から30人台で推移しました(定数は50)。傍聴者は12~14人ほどで今国会で最も少なく、私たち百万人署名運動は3名で傍聴しました。この日の審査会の開催がホームページで告知されたのが前日の午後4時過ぎでしたから、その影響があったのかもしれません。

記者は10~13人ほどでやや少なく、カメラマンが5~6人(徐々に減っていきました)、テレビカメラは途中20分ほどだったでしょうか、テレビ朝日の1台だけが入って撮影していました。

次回は来週、6月1日(木)午前9時~、同じテーマで参考人を招いての質疑が予定されています。参議院での共謀罪審議やモリカケ(森友・加計)問題等の波乱要因の中で与党の思惑どおりに進むのかどうか、注目したいと思います。(G)

5月18日(木)9時から、今国会5回目(実質的な審議は4回目)の衆議院憲法審査会が開催されました。テーマは前回、4週間前の4月20日と同じ「国と地方の在り方(地方自治等)」でしたが、実は、今回の審査会はその1週間前、4月13日(1か月以上も前!)に開かれる予定でした。

つまり、「地方自治等」についてまずは13日に会派間、委員同士で意見を交わし、引き続き20日には参考人を招いて議論を深めようという段取りを立てていたところ、12日の衆議院厚生労働委員会における強行採決をめぐって与野党が対立したあおりを食って13日の審査会は参考人招致を決定するだけで終わり、予定されていた審議は27日に持ち越されました。

ところが、27日は今村雅弘前復興担当大臣の失言・暴言で国会が空転、5月4日は休日、11日は安倍首相のトンデモ改憲発言の影響で見送られ、結局、当初予定の5週間後にようやく開催の運びとなったというわけです。

この日の委員の出席状況はというと、途中まで40人前後で推移していましたが、後半はずっと30人台でした(定数は50)。傍聴者は今国会では最も少なく20人ほどで、この日も闘われた共謀罪反対行動の準備等で参加できなかった方が多かったのかもしれません。百万人署名運動の仲間は4名で傍聴しました。

報道陣は、記者は15~20人で通常より多く(安倍発言が審査会でどのように受け止められ、今後の審議にどう影響するのかを取材したかったのでしょう)、カメラマンが6~7人(いつものように、出入りを繰り返しながら徐々に減っていきました)、テレビカメラはゼロでしたが途中数分間だけテレビ朝日のカメラが入りました。
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今回は、まず、当日18日に発信され、この日の議論が簡潔に整理されている『産経ニュース』の記事2本を紹介します。(なお、『産経ニュース』では、各委員が西暦で発言しているにもかかわらず、また、現天皇が退位すれば「平成」は消滅するというのに、それがいちいち元号に書き換えられていますので、引用に当たっては西暦に戻しました)。
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安倍晋三首相の改憲提案めぐり与野党激突、対立鮮明に 衆院憲法審

安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法9条改正と2020年の施行への意欲を表明してから初めての衆院憲法審査会が18日、開かれた。民進党などは猛批判した一方、自民党は停滞する改憲議論に一石を投じた首相を評価。与野党がさっそく激突し、改憲をめぐる対立の構図が鮮明になった。

この日のテーマは「国と地方のあり方」に関する意見表明と自由討議だったが、野党が主眼に置いたのは首相の提案だった。口火を切ったのは民進党の中川正春氏だった。
「国会の立法権を著しく侵害すると同時に議事の混乱を引き起こす行為だ」
こう訴えるとともに、首相への厳重抗議と発言撤回要求を審査会として決議するよう提案した。共産、社民両党も首相を批判した。

民進党の辻元清美氏は「首相は自衛隊が違憲といわれる余地をなくすべきだというが、安全保障法制のときに9割の憲法学者が憲法違反と言ったのに強行採決した。都合のいいときに立憲主義を持ち出すのはご都合主義だ。改憲を論じる資格はない」と反発した。

これに対し、自民党の古屋圭司氏は「党総裁としての発言だ。何も問題ない」と反論。中川氏の提案については「必要ない」と一蹴した。また、審査会に出席した民進党の細野豪志氏が発表した改憲私案について「傾聴に値する」と持ち上げ、改憲をめぐる見解がまとまっていない民進党を揺さぶった。公明党からは首相発言への意見は出ず、賛否が定まっていない複雑な党内情勢をうかがわせた。

日本維新の会の足立康史氏は、今村雅弘前復興相の辞任などに民進党が反発して審査会が約1カ月開かれていなかったことを念頭に「憲法審査会の政局化を主導したい民進党に苦言を呈したい」と訴えた。(沢田大典)

安倍晋三首相の改憲表明に関する衆院憲法審査会のやり取り要旨

衆院憲法審査会で18日、与野党議員は安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法改正に意欲を表明したことをめぐり、賛成、反対の立場からそれぞれの意見を表明した。主なやり取りは以下の通り。

民進・中川正春氏「国会の立法権を著しく侵害すると同時に、議事の混乱を引き起こす行為だ。首相への厳重抗議と発言撤回要求を審査会として決議すべきだ」

共産・赤嶺政賢氏「9条に手を加えることは憲法を根底から覆すことになりかねない」

社民・照屋寛徳氏「首相は国会答弁で『(自身のインタビューを掲載した)読売新聞を熟読せよ』と強弁した。全く不誠実で国会軽視だ」

民進・辻元清美氏「憲法改正には3つの原則がある。国民主権を実現する。法律で対応できることは法律で対応する。国論が二分されている課題はなじまない。首相は立憲主義をわきまえているのか。首相が自衛隊が違憲かもしれないなどの議論が生まれる余地をなくすべきだというが、安全保障法制のときに9割近くの憲法学者が憲法違反だと言ったのに強行採決した。ご都合主義だ」

自民・船田元氏「憲法改正は国会議員が議論して成案を得て国民に発議する。行政の長や内閣に籍を置くものは抑制的であるべきだという私の心は微動だにしていない。しかし、総裁に言われるまでもなく自主的に判断し、議論を前に進めようという点では私の考えは前に進んでいる」

自民・平沢勝栄氏「党総裁として党に向けて述べたもので、何が問題かさっぱり理解に苦しむ」

自民・古屋圭司氏「首相は党総裁として発言した。憲法改正するか否かは国民投票で主権者の国民が決める。発議は国会がする。だからこそ国会議員は大きな責任をかみしめるべきだ。何も問題ない。民進党の細野豪志氏の憲法改正の考え方は傾聴に値する。審査会を活性化する意味では、いい発言だ」

自民・山田賢司氏「スケジュールを決めずに仕事をやることは理解できない。期限を明示したことが問題となっているが、2018年でも遅い。ここにいる衆院議員の任期は2018年で、それまでにわれわれが責任をもって発議するか、発議しないなら『しない』との結論を出すべきだ」

自民・中谷元氏「2020年施行に言及しているが、自民党だけではできない。国会で3分の2の議席を得るということで、各党の理解を得ないといけないし、国論を二分することのないように野党の賛同を目指している」

維新・足立康史氏「安倍総裁の発言に言いがかりをつけて憲法審査会長発言を求め、何かを取ったかのように胸を張るのはマッチポンプだ。お芝居はやめてほしい。憲法審査会の政局化を主導した民進党に苦言を呈したい。辻元氏は『法律でできることは法律で』というが、憲法には法律でできる義務教育無償化が書かれている。『辻元原則』は現行憲法を否定しているので反立憲主義だ」

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この記事からもわかるように、この日の審議でとくに目立ったのは、自民党の委員たちが何度も「安倍発言は問題ない」との趣旨の発言を繰り返したことで、想定外の事態に内心では動揺しながらも、むしろこれを奇貨として改憲に突き進もうとの意思を確認し合っている(=共謀している)のではないかと感じました。
以下の『朝日新聞デジタル』の記事(5月19日付)が、そのあたりの事情をつまびらかにしています。

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自民改憲推進本部、役員体制を拡充へ 憲法審は首相発言で応酬

自民党は18日、安倍晋三首相(党総裁)が指示した憲法改正の原案づくりのため、党憲法改正推進本部の役員体制を拡充する方針を決めた。安倍首相は高村正彦副総裁と会談し、取りまとめへの協力を求めた。

一方、首相の改憲発言後、初めて開いた衆院憲法審査会は、与野党が応酬し、対立が深まっている。
自民党の二階俊博幹事長はこの日、党本部で党改憲推進本部の保岡興治本部長と会談した。幹事長室と推進本部の役員メンバーが同席。原案取りまとめに向けて挙党態勢をつくるため、推進本部の役員を増やすことを確認した。二階氏らの就任も想定している。党幹部が検討していた推進本部の下部組織としての委員会設置は当面、見送った。

保岡氏は会談後、記者団に「具体案をできる限り早くまとめ、国民に提示したい」と述べた。議論する改正項目としては、9条改正や教育無償化、緊急事態における国会議員の任期延長の3点を例示した。

また、安倍首相は国会内で高村氏と会談し、原案をとりまとめる保岡氏の「相談に乗ってあげてほしい」と要請した。原案について、公明党と水面下で調整することを想定しているものとみられる。

衆院憲法審査会は、憲法9条に自衛隊を明記する改正や2020年施行に言及した安倍首相の発言をめぐり、民進、共産、社民の委員から「行政府の長の不当な介入」といった厳しい意見が続出。自民の委員は「問題ない」と反論するなど応酬が続き、対立が鮮明になった。(藤原慎一)
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改憲派の本命はやはり国会議員の任期延長か?

さて、上記の保岡興治氏(自民党改憲推進本部長、憲法審査会委員)の記者団への説明の内容や、この日の審査会で細野豪志氏(民進)の改憲試案をことさらに「よいしょ」した古屋圭司氏(自民)の発言を見ると、安倍首相の9条改憲発言にもかかわらず、現段階で改憲派の主だったメンバーが思い描いている改憲項目の第一弾、本命は、緊急事態時における国会議員の任期延長であるように思われます。

ちなみに、古屋氏の名前は、安倍改憲発言をめぐって5月9日に開催された参議院予算委員会での民進党代表・蓮舫氏と安倍氏との質疑において次のような形で登場しました。蓮舫氏が「衆院憲法審査会の議事録を読んでますか」と質したのに対して、安倍氏は「読んでます」と見え透いたウソをつくことは避けて、「古屋圭司幹事から話は聞いているところでございます」と答えたのです。安倍氏と古屋氏との間でどこまで詳細なやりとりがあったのかなかったのか、想像するに難くないと思います。

霞んでしまった地方分権の議論

こうしたやり取りの中で、地方自治の議論はすっかり霞んでしまいました。この日のテーマでしたからもちろん多くの発言があったのですが、メディア各紙、各局はそれをほとんど伝えませんでした。

以下、沖縄について触れた赤嶺政賢委員(共産)と、参議院の合区問題について述べた北側一雄委員(公明)の発言を紹介しておきたいと思います。

北側氏の指摘など「まことにごもっとも」という内容で、どうしてこういう人物が、公明党が9条の解釈を捻じ曲げて集団的自衛権を容認し、安保法制・戦争法の制定に突き進むうえで主導的な役割を担えたのか、氏が心中でどういうふうに折り合いを付けているのか、不思議に思えてなりません。

赤嶺政賢氏
沖縄は、今月15日で、平和憲法のもとに帰るということで復帰して45年が経った。しかし、今なお沖縄では憲法の上に安保が置かれている。政府は、米軍基地のために法律の恣意的な運用を重ね、地方のあらゆる権限を蹂躙し、地方自治も民主主義も踏みにじっている。

こうした沖縄の現状に対して、先日(前回、4月20日の審査会を指しています)、参考人4人全員が国策によって民意が一顧だにされない現状への批判を示したことはきわめて重要であり、歴代の自民党、安倍政権の責任が問われている。

9条とともに日本国憲法で初めて位置づけられた地方自治は、憲法の基本原則を地方政治においても貫くことを求めていることを指摘しておきたい。

北側一雄氏
今日の委員のご意見の中に、参議院選挙制度に関連して合区の解消の話が多く出ていた。なぜこんな問題が起こっているかと言うと、一票の価値の平等の問題から出ているわけで、憲法43条では「両議院は、全国民を代表する選挙された議員で組織する」と規定されており、全国民の代表だから一票の価値は2倍未満におさめないといけないという考えが出てくる。

憲法14条のもとで、一票の価値は平等でなければいけないということが出てくる。したがって、参議院において各県から代表を出すんだという選挙制度をとった場合は、おそらく43条の全国民の代表と規定されているところを改正しないといけないという問題がある。

それとともに、参議院を地域代表にするということは、単に43条を変えればいいというだけでなく、衆参の役割についても変えていかないといけないのだろうと思う。現行の憲法上は、若干衆議院が優越されるところはあるが、衆議院も参議院もほぼ同じ権能を持っている。

もし参議院を地域代表の性格を強くしていくというなら、憲法59条は法律案、60条は予算案、61条が条約、これらはそれぞれ両議院の議決になっているが、おそらくここの見直しも避けて通れないと思う。

参議院の緊急集会規定、これも地域代表の参議院で緊急集会ができるとも思えない。

さらに言えば、内閣総理大臣は国会議員から選ぶと書いてあるが、地域代表の中から選ぶわけにはいかないから、憲法の67条の規定についても見直しが必要かもしれない。

68条では国務大臣の過半数は国会議員でなければいけないという規定があるが、国務大臣は国を代表するわけだから、これもまた場合によっては衆参の役割の見直しが必要ではないか。

というふうに、合区の解消の問題というのはひじょうに難しく、二院制の意義、両議院の役割の見直し、こういう問題に直結するということもぜひご理解いただいて、今後議論を進めていく必要があると私は思っている。

これから憲法審査会はどのように進められていくのか。
改憲に向けた策動、その兆候をいち早くつかむためにも、まだ今国会で一度も開かれていない参議院の審査会を含めて、傍聴を続けたいと思います。(G)

19日(金)午後1時過ぎ、国会前での抗議行動の最中、「採決強行」が伝えられた。
くり返される光景。
何かおかしい。こんなことでいいのか!
17日に衆議院の法務委員会で、金田法相への不信任案が提出されてからの国会の様子を見ながらずっと感じていたことだ。(下の写真は18日の国会前行動)
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というのは、私は法務委員会が止まった翌日(18日)の国会審議は「空転する」と思っていたからだ。
国会前での野党議員らの「戦争のための共謀罪」「現代の治安維持法」を葬り去ろうという発言を聞いていて、傍聴体制をとっていた18日に予定されていた衆議院・憲法審査会もきっとまた「流れる」だろうと思っていた。
でも、現実には何事も起こらなかった。
憲法審査会は予定通り開催された。ほかの委員会も予定通り行われた。

何かおかしい、こんなことでいいのか。
これでは、委員会採決を止めることなどできないではないか。採決を強行するための「審議」の法務委員会としか思えないのに。

安倍内閣は、不遜にも「19日の法務委員会で採決強行、23日の本会議で衆議院を通す」と豪語しているのだ。

これに抗議し、「野党は共闘」して、18日の全ての審議を拒否して、国民にこの事態の重大性を訴えるべきではないのか。
19日も、委員長が職権で法務委員会開催を強行するなら、これに抗議して出席拒否をして闘うべきではないのか。

そうしても、採決は強行されたかもしれない。しかし、全マスコミは取り上げるだろうし、日本中で大騒ぎになり、労働者民衆の大きな怒りが引き出され、共謀罪廃案への道が開けるのではないだろうか。

いま進んでいる戦争への道を止めるためには、安倍に負けないくらいのなりふりかまわぬ決起が必要なのではないだろうか。

19日夕方からのクレオでの共謀罪反対集会(主催:現代の治安維持法と闘う会ほか)で、講師の荻野富士夫さん(小樽商科大学)は、「私は2~3年前から、いまの日本は日中戦争前夜の時代と同じだと感じている」と言われた。戦前の治安維持法研究の第一人者である荻野さんの言葉はずっしりと重い。
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荻野さんのお話を聞いて、私たちは、いま安倍政権が戦争反対の声を根絶やしにしようとしていること、職場や地域で「おかしい」という声を根絶やしにしようとしていること、そのための共謀罪なんだということをもっとはっきりさせなくてはならないと思った。

戦前の治安維持法は結局、戦争を賛美することしか認めないところまで行きついた。そうした戦争体制を完成させないために、共謀罪法案の廃案へ、全力をあげよう!(S)

呼びかけられている今後の国会行動

5月22日(月)          午後6時30分~7時30分   議員会館前
5月23日(火)衆議院本会議     正午~午後1時    議員会館前 
                     午後                                座り込み
                  午後6時30分~7時30分     議員会館前
5月24日(水)参議院本会議    昼12時30分~午後1時30分 議員会館前
                 午後6時30分~  日比谷野音集会&デモ
5月25日(木)           午後6時30分~7時30分  議員会館前 
 ★議員会館前行動は、総がかり行動などの呼びかけ。
 ★23日は現代の治安維持法と闘う会も正午から国会前行動を呼びかけている。

集会&デモ
5月31日(水)共謀罪廃案!安倍内閣は退陣せよ、集会&デモ
            
午後6時30分~、日比谷野外音楽堂
 ★主催:共謀罪NO!実行委・総がかり行動
6月10日(土)止めよう!辺野古埋立て、共謀罪法案は廃案に6.10国会大包囲 
            午後2時~3時30分  国会周辺 
 ★主催:基地の県内移設に反対する県民会議/「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委/総がかり行動
6月11日(日)現在の治安維持法・共謀罪をとめろ銀座デモ
          午前10時30分、桜田公園(JR新橋駅烏森口すぐ)
 ★主催:国鉄分割民営化に反対し。1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動

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5月16日(火)夜、日比谷野音で「共謀罪廃案・安倍政権の改憲暴走を止めよう5・16大集会」が開催されました。マスコミの注目も高く、主催者発表で4200人が集まりました。集会では、共謀罪廃案は改憲と戦争をさせないための絶対的課題だ、明日17日、18日の採決強行をみんなの力で阻止しようと訴えられました。参加者は真剣に発言に耳を傾け、呼応していました。
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宗教者が登壇。代表して発言された方は、「創価学会の創設者が治安維持法で獄死した。共謀罪を推進する公明党はそのことを知らないのか!」と厳しく弾劾さえれました。また、創価学会の有志が学会旗を持って登壇しました。
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集会後は銀座をデモ行進。デモへの注目は高かったと思います。20170516-7
呼びかけられている主な集会、行動

5月17日(水)昼(12時~13時)議員会館前行動
 ★審議日 午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
        夕方(18時30分~19時30分)議員会館前行動

5月18日(木)昼(12時~13時)議員会館前行動
        午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
        夕方(18時30分~19時30分)議員会館前行動
「市民の人権・自由を広く侵害する共謀罪創設に反対する集会」 18時30分~20時30分:イイノホール

5月19日(金)昼(12時~13時)議員会館前行動
  ★審議日   午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
        夕方(18時30分~)国会正門前行動
「共謀罪と戦争に反対する大集会」18時30分~20時30分:弁護士会館クレオ

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5月11日(木)正午、「共謀罪」法案の阻止を訴えてJR御茶ノ水駅前で街頭宣伝を行いました。弁護士の武内更一さんや森川文人(上写真)「さんもかけつけ、20分ずつマイクを握ってくれました。

街宣では、5月19日の「戦争と共謀罪に反対する大集会(弁護士会館クレオ)」のビラと、百万人署名運動事務局が作成した「つぶせ!共謀罪」リーフをセットにして配りました。
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署名机に駆け寄って署名に応じてくれた人は、「安倍はひどすぎる」「読売新聞を読めって、あれは何なの」「共謀罪だけじゃやなく、全体が問題なのよね」「辺野古の闘いも支援してほしい」などと言っていました。
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報道によれば、安倍政権は17日に衆院法務委員会で、18日に衆院本会議での採決を強行する構えです

14~15日は沖縄現地闘争、そして沖縄の闘いと連帯して全国で共謀罪阻止を訴えましょう。

16日(火)からは連日の国会行動に立ち上がりましょう。
*16(火)12~13時、議員会館前集会(主催:共謀罪NO!実行委・総がかり行動)
*同日夜6時半~、日比谷野音で集会と銀座デモ(主催:同上)
*17(水)~19(金)12~13時、議員会館前集会(主催:同上)
*19(金)夜6時半~、「戦争と共謀罪に反対する大集会」(弁護士会館クレオ、主催:憲法と人権の日弁連をめざす会ほか)
*同日夜6時半~、国会正門前行動(主催:共謀罪NO!実行委・総がかり行動)も予定されています。

共謀罪に対する危機感、怒りをさらに組織していきましょう。


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