とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

2014年05月

衆議院をなぞるかのような審議日程
5月26日(月)13時から16時まで、参議院憲法審査会が開かれ参考人質疑が行われました。趣旨説明〔14日(水)〕、発議者に対する質疑〔21日(水)〕に続いて、定例日(参院の憲法審査会は水曜日に開催されるのが通例です)以外の日に参考人質疑が行われるというのは、衆議院憲法審査会と全く同じパターンです。

参院の審査会はこの後も28日(水)、6月2日(月)、4日(水)に開かれる予定になっており、2週続けて週2回開催という異例の日程が組まれるのも、衆院と同様です。

この日の審議は、まず4人の参考人が15分ずつ意見を述べ、その後8会派各1人の委員が15分ずつ質疑を行うという形で行われましたが、この進め方も衆議院と寸分たがわないものでした。

この日は委員(定数45名)の出席率がかなり高く、最初と最後は40人以上、他の時間帯も35人以上が着席していました。傍聴者は15人ほど、記者は5人以下で、ともにいつもより少なめ、百万人署名運動は3人で傍聴してきました。

参考人の意見

まず、各参考人の意見の概要を、『NHK NEWSWEB』と『東京新聞』、『しんぶん赤旗』のウェブサイトから引用しておきます。

自民党と公明党が推薦した山口県の徳山工業高等専門学校准教授の小川仁志氏は、改正案が国民投票の投票年齢を改正法の施行から4年後に18歳以上に引き下げるとしていることに関連して「憲法改正の是非を判断する力を養うために教育の改革が必要であり、高校3年生になる前に公民教育などを十分に行うべきだ」と述べました。(『NHK』)

徳山工業高専(山口県)の小川仁志准教授は、国民投票の投票年齢が改正法の施行4年後に「18歳以上」へ引き下げられることに関し「公職選挙法の選挙権年齢も速やかに同じにしなければ違憲訴訟もあり得る」と、早期の引き下げを訴えた。(『東京新聞』)

民主党が推薦した慶応大学名誉教授の小林節氏は、国民投票の対象を拡大することについて「政策課題は政治家が責任を持って判断すべきであり、国民投票を多用すると議会制民主主義の放棄につながっていくので賛成できない」と述べました。(『NHK』)

小林節慶応大名誉教授は「憲法9条が海外で戦うことを予定していないのは明らかだ。明確な憲法違反だ」と強調、解釈変更の余地はないとの考えを示した。(『東京新聞』)

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共産党が推薦した東京慈恵会医科大学教授の小澤隆一氏は「国民投票の投票年齢と選挙権が得られる年齢は一致させるべきだが、改正案は選挙権が得られる年齢の引き下げを担保しておらず、薦められない」と述べました。(『NHK』)

小沢隆一東京慈恵医大教授も「60年間培ってきた政府の憲法解釈変更は一政権のできることではない」と、慎重な議論を求めた。(『東京新聞』)

東京慈恵医科大学の小澤隆一教授は、「憲法改正国民投票の判断能力があると立法府が判断した人たちが、普通選挙についての判断能力がないとする根拠はない。投票権年齢を18歳にするならば、選挙権年齢も一緒に18歳にしなければならない」と強調。「現行法の憲法改正手続き法にはさまざまな問題点が含まれている」と述べつつ、投票権年齢と選挙権年齢の不一致を許す改定案は「違憲訴訟を誘発しかねない立法だ」と指摘しました。(『しんぶん赤旗』)

社民党が推薦した愛媛大学教授の井口秀作氏は、公務員の運動について「改正案では、『純粋な運動は許される』としているが、何が許されないかを明確にしなければ公務員が萎縮してしまう」と述べました。(『NHK』)

井口秀作愛媛大教授は「憲法改正手続きの議論が進んでいるのに、解釈改憲が進むのは理解しがたい」と非難し、行使を認めるなら改憲を目指すべきだと指摘した。(『東京新聞』)

愛媛大学の井口秀作教授は「改定案では(公務員の政治的行為を広範に規制する)公務員法等の適用を完全排除していないので、本来、公務員であっても許される(国民投票にかかわる)意見表明が、罰則付きで(規制)適用される危険性がある」と答えました。(『しんぶん赤旗』)

改憲派小林節氏の安倍批判

この日、質疑に立ったのは、発言順に北村経夫氏(自民)、有田芳生氏(民主)、佐々木さやか氏(公明)、川田龍平氏(維新・結い)、和田政宗氏(みんな)、吉良よし子氏(共産)、福島みずほ氏(社民)、浜田和幸氏(改革)の8氏でした。

このうち有田氏は、「小林参考人に絞って何点かお聞きしたい」として、下記のように、9条改憲論者として著名な憲法学者、小林節氏から手厳しい安倍批判を引き出しました。この日の審議のハイライトだったと思います。

▽ 有田:小林参考人は一貫した改憲論者だと思います。その立場から、国民投票法の改正が国民主権の実効化と評価されていることは今日のレジュメにも明らかだと思います。こうした環境が整いつつあるときに、安倍政権は憲法96条の先行的な改定を目指しました。そのとき、小林参考人は「裏口入学」と否定的な判断をなされました。その理由は何でしょうか。

▽ 小林: 私は安倍総理が9条の改正に堂々と打って出るのかと期待していたのですけれども、去年突然96条はたかが手続じゃないかという乗りでキャンペーンが始まった。私にしてみれば手続じゃなくて本質、憲法が硬性憲法でなくなったら憲法じゃなくなっちゃうというびっくりするような話でした。それで、どこぞの新聞社のインタビューでこれって「裏口入学」ですねと言ったら、それが全国的に流れてしまって非常に恥ずかしい思いをいたしました。

▽ 有田:憲法第99条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあります。憲法9条という現行憲法の精神的核心部分を閣議決定による解釈改憲で進めるというのは、憲法99条に違反しないものなんでしょうか。

▽ 小林:私の認識では明確な憲法違反だと思います。つまり、9条というのは、その文言とその作られた歴史的背景からいって、専守防衛、つまり日本の自衛隊は外へ打って出ないという枠組みははっきりしておると思うんです。賛否がどうであれ、「敗戦ごめんなさい憲法」であることは間違いない。

それから、9条の1項でまず戦争を放棄し、2項で軍隊と交戦権を否定しているということは、外へ出て戦う道具立てがないということですよね。外で戦うことは予定されていないんです。だからこそ、法制局がずっと専守防衛、海外派兵の禁止を言ってきたじゃないですか。これを踏み越えるなんていうことはできないはずなんですけど、本当にびっくりしています。

▽ 有田:防衛大学名誉教授の佐瀬昌盛先生、今から13年前に「集団的自衛権」という新書を出されまして、安保法制懇のメンバーの一人でいらっしゃいます。この佐瀬さんがある週刊誌で、集団的自衛権とは何ぞやという基本的な認識の共有を目指した議論はありませんでした、我々は言わば安倍さんの隠れ蓑に使われることになります、国民にとって集団的自衛権はえたいの知れない怪物のようなもので、国民には全くと言っていいほど理解されていないことを政府は前提にしなければなりませんと語っているんですよね。

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国民的合意がない現状で解釈変更を閣議決定し、憲法を実質的に変えようとする安倍政権について、小林参考人はある雑誌で「憲法泥棒」という表現をされておりますが、一体どういうことなんでしょうか。

▽ 小林:憲法というのは、本来、主権者国民が一時的に権力をお預けする人々を、権力の濫用をさせないために管理する道具なはずなのですが、この間の安保法制懇の報告書は、何度読んでも、安全保障について憲法は何も書いていないから政府が必要と思うことを書き込んで、これを国民にこれぞ憲法であるといって下げ渡してよろしいというふうに読めちゃうんですね。

つまり、国民の持ち物の憲法を国民の持ち物によって管理されるべき権力者がひょいと取り上げて、これが憲法だ、おまえたちに下げ渡す、これって持ち主が逆転しちゃっているじゃないですか。だからそれを「泥棒」だと言ったんで、別の表現としては「ハイジャック」と言ったんですけれども、その思いは変わりありません。

一般国民にしてみれば、集団的自衛権という概念は分かりづらい話題ですよね。国民、大衆が理解していないときに、尖閣諸島って危ないじゃないですか、何とかしないとアメリカと手切られたら困るじゃないですか、これ一種の強迫ですよね、「オオカミ少年」ですよ。

▽ 有田:5月28日、2人の元内閣法制局長官を含めて憲法学、国際法、それから安保外交の専門家の方々が「国民安保法制懇」、これはまだ仮称だそうですけれども、設立されると聞いております。先生もそのメンバーに入っていらっしゃいますけれども、この懇談会の目的はどこにあり、これから何をなされるんでしょうか。

▽ 小林:安倍総理の私的懇談会が、我々、学識経験者としては聞くに堪えないような内容のものを世の中に公表してくださったので、ずっとその過程で反論してきて無視された人間としては、きちんと責任ある学識経験者が語るとこうなるんだよということを、どういう形になるかまだ決まっていません、一番いいのは逐条反論みたいにすると、何か、お利口とおばかみたいで分かっていいじゃないですか。
そういう文章を作って国民を啓蒙することによって、あの最大政党の自民党の中にそれを良心的に理解してくれる人をつくりたいというのが、私がそれに参加した思いです。

もちろん、他の2人の憲法学者、小澤隆一氏と井口秀作氏も、最初の意見陳述や福島みずほ氏(社民)との質疑等の中で、安倍政権の解釈改憲路線を徹底的に非難されていました。

みんなの党・和田氏のトンデモ発言

さて、この日の審議の中で私がいちばん驚いたのは、みんなの党の和田政宗氏の下記のような発言でした。みんなの党の改憲論に復古的な色彩のあることは承知していましたが、その主眼は一院制、首相公選制、道州制等の新自由主義的な制度の実現にあると理解していましたので、ほんとうにびっくりしました。
少し長くなりますが、紹介します。

▽ 和田:私は、憲法改正の実質的な第一歩となるこの法案が審議入りしたことを大変喜ばしく感じております。現行憲法はGHQ草案を基に作られ、占領国の圧力の下、被占領国が制定せざるを得なかった憲法で、本来であれば無効であり、サンフランシスコ講和条約発効により主権回復がなされた時点で日本人の手により作り替えられるべきであったと考えています。

日本人の手で自主憲法を制定することは、日本国と日本人の悲願であると考えております。みんなの党と日本維新の会の有志で、今週、自主憲法制定に向けて考える「自主憲法研究会」が発足することは、極めて真っ当な議論が政党の枠を超えて始まる大変喜ばしいことであると思っております。そして、今回の法案の審議や成立により、憲法への国民的関心がさらに高まることはとても良いことであると考えます。

現行憲法に比べ、大日本帝国憲法は日本人の手によって考え抜かれて作られたという部分ですばらしい憲法でありました。日本国の歴史、伝統、文化にのっとり、諸外国の憲法や法律を研究しつくし、我が国のありようを示したまさに宝と言っても過言ではないものでありました。当時の国際社会や学者からも大いに称賛された憲法でした。

大日本帝国憲法を現在の社会にそのまま用いることは現在の社会情勢等を考慮して修正が必要であると考えますが、今こそ日本人の手で、大日本帝国憲法の精神に基づきながら自主憲法を制定することが急務であると考えます。

現行憲法の前文はすばらしいという議論がありますが、恥ずかしい内容であるということを認識しなくてはなりません。その文章は、アメリカの政治文書の継ぎはぎと言える内容です。アメリカ憲法や独立宣言、大西洋憲章やテヘラン宣言などから引用したと思われ、およそ日本国の憲法の前文としては立派でない恥ずかしい内容となっております。

さらに、日本国の平和を将来にわたって守っていくためにも、憲法改正、自主憲法の制定は急務であると考えます。

私は、戦争は起こしてはならないものであると考えます。これは、何も罪のない人々の命が失われるということはあってはならないと思うからです。しかしながら、憲法9条があったから平和が守れているという虚偽の主張に惑わされてはならないと考えます。

はたして9条があったから日本の平和は守れたのか。事実は違うと思います。北朝鮮による拉致被害者は、憲法の制約でいかなる状況であっても奪還することができず、軍事上はアメリカの保護下にあるとも言える状況で、ベトナム戦争などにおいては、日本の米軍基地から飛び立った軍用機によって攻撃が行われ、日本国はこれらの戦争の実質的な参戦国になったわけです。

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また、憲法9条に対する誤った説明も繰り返されています。憲法9条は、戦争放棄をうたった世界にただ一つの平和憲法で、ノーベル賞に値するという間違った主張をする人もいます。世界にも戦争放棄をうたった憲法は幾つもあり、イタリア、エクアドルなどにおいては徴兵制を憲法に定め、軍隊の保持を明記しています。

わが国におきましても、憲法に明確に国防軍の保持を明記するとともに、不当に拉致をされた国民を奪還できるようにしなくてはなりません。そして、この憲法9条があることが先日の中国軍戦闘機による自衛隊機への挑発行為にもつながっていると言えます。日本側が撃ってこない、撃てないと高をくくってあのような攻撃をしたとも言えるわけです。

実は、憲法9条に対しては、現行憲法の制定に関する昭和21年の衆議院本会議において、共産党の野坂参三議員が共産党を代表して反対をしております。野坂議員は、我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある、それゆえに我が党は民族独立のためにこの憲法に反対しなければならないと述べているわけです。

和田氏は、持ち時間のほぼ半分を上記のような珍説の開陳に費やしました。私たち傍聴者も大いに閉口しましたが、参考人の方々、とりわけ3人の憲法学者がいかに辟易されたか、お気の毒だったとしか言いようがありません。

今国会の参議院憲法審査会では、2月26日にも赤池正章氏(自民)のとんでも発言(http://million.at.webry.info/201403/article_1.html)を聞かされましたが、国会にはこういう議員もいるのだということを承知したうえで、傍聴と報告を続けたいと思います。(G)
















5月23日(金)午後3時から6時前まで、衆議院第一議員会館大会議室で、大飯原発再稼働差し止め判決(5月21日)についての「ついに勝った!脱原発への大きな一歩」の報告集会が開かれた。

差し止め訴訟団から中嶌哲演さん、笠原弁護士、松田事務局長、奥出さんらが上京参加された。また、東京からも河合弁護士、海渡弁護士他、裁判で証言をした後藤さん、木田節子さんなど多数が参加し、勝利判決を確認し、上告審に備える集会となった。

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集会は、国会議員の発言に続いて、原告団から中嶌哲演さんが発言した。
「このすばらしい判決は、樋口裁判長や福井地裁の裁判官による判決にとどまらず、とくに福島3.11以降、広範な人々の思いや願い、運動、それらが一丸となって結晶したアマルガムのような判決だと思う、私たちの共有財産だ。」と述べられた。

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そして、裁判の陳述の中で、「この半世紀近く国策として推進されてきた原発問題をめぐっては民主憲法の根幹たる立法、行政、司法の三権分立が機能してこなかった。それどころか三権は巨大な経済的利害関係に取り囲まれて追認・追従してきたと言える。先般の大阪地裁の判決に至っては旧態依然。関西電力や国の主張を鵜呑みにしただけ。原告側の憂慮や主張をことごとくと退けたもの」と述べ、「裁判長、願わくば、福井地裁の本訴訟の判決が3.11以後の画期的な判決となりますよう、原告・被告ともどもに努力しようではありませんか、と呼びかけた」と言われた。

また、松田事務局長は、「この判決は福島の犠牲あったから勝ち取れた。健康被害があって、それが放射能によるものではないかと言うことすら中傷されるようなそんなに社会に対して、この判決ははっきりと『人間の生命を尊重するそのことが一番大事な社会の根幹である。これなくしてこれからの日本も成り立たない』とはっきり言っている。これは道義の問題であり、倫理の問題です。」と判決の核心を指摘した。

原告の奥出さんは「最初は事務局体制も弱かったが頑張ってきたかいがあった。関電は控訴したが、これからも気持ちを奮い立たせて事務局とし闘いを組み立てていきたい」と決意を語った。

木田節子さんは福島原発の被害者として証言したことを述べた。「3.11があって、それ以後、私は集会やデモで教えられた。そこでつかんだことと樋口裁判長の判決理由の一言一言がぜんぶ重なった。」と判決の正しさを言った。

そのあと、原子力規制庁の役人3人を呼んで、原発の「非安全性」に関わることについての質疑をしたが、割愛します。

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休憩後、東京の河合弁護士が発言、「今回の樋口裁判長は難しい議論をやってない。判決にはこう書いてある。全国で20ヶ所にも満たない4つの原発で、5回にわたる想定外の地震が、この10年足らずのうちに起こっている事実を重視すべきは当然である。いままでの基準でいいわけはない。また、使用済み燃料プールも堅い殻で覆われてないと危険だ、いまの屋根は強化しないといけないのにそれをしないで再稼働はだめだ。そういう常識的なことをいろいろあげている」と。

その後、鎌田慧さんやレッドウルフ・ミサオさん、などもこの裁判の意義を語った。

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最後に川島弁護士は「すごい判決ではない。普通の判決だ。手堅い、被告が争えない事実を取り上げている。争いがない事実なので控訴審で負けることはない。」と決意を語った。

また、笠原弁護士は判決文の「はじめに」の部分と最後の「結論」を紹介して(下記に紹介)、この判決の当たり前の重要性を提起した。そして、控訴審でも弁護団は平易な言葉で争っていきたい。様々意見があろうが、安倍政権の原発再稼働に反対して闘っていきましょう、と結んだ。(T)

●大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決(部分)

1.はじめに
 ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基盤とする人格権の公法、私法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。
 個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。

10.結論
 以上の次第であり、原告らのうち、大飯原発から250キロメートル圏内に居住する(別紙原告目録1記載の各原告)は本件運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから、これらの原告らの請求を認容すべきである。

裁判長裁判官 樋口英明
裁判官  石田明彦
裁判官  三宅由子


●尚、集会の様子は下記に録画があります。
http://www.youtube.com/watch?v=46T9I5lxPvk&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

















参議院では、5月14日(水)に憲法審査会が開かれて衆議院で可決された国民投票法改定案の趣旨説明が行われ、21日(水)15時過ぎからの審査会で実質的な審議が始まりました。この日の審議時間は3時間弱、百万人署名運動では3名で傍聴してきました。

この日は、改定案の発議者である7党、8名の衆議院議員に対する質疑が行われました。委員は30~40人が出席していましたが(定数は45名)、発議者は開会時には8人全員が着席していたものの最後は3人だけになってしまい、ずっと出席していたのは船田元氏(自民)ひとりでした。最初は20人近くいた傍聴者は、閉会時には10人そこそこに減っていました。

質疑に立ったのは、発言順に藤末健三氏(民主)、仁比聡平氏(共産)、福島みずほ氏(社民)、中川雅治氏(自民)、西田実仁氏(公明)、清水貴之氏(維新・結い:両党は参議院で統一会派を組んでいます)、松田公太氏(みんな)の7氏でした。
事情は分かりませんが新党改革の質疑はなく、同党の委員である浜田和幸氏は一度も議場に姿を見せませんでした。生活の党は参院の審査会に委員を出していませんが、発議者の一人として鈴木克昌衆院議員が出席していて、答弁という形で発言する機会がありました。
質疑の持ち時間は、改定案に反対している仁比氏(共産)が45分、福島氏(社民)が30分で、発議者と同じ会派に属する他の委員は20分ずつでした。

各党の主張

『NHK NEWSWEB』で各会派の発言者の意見がまんべんなく紹介されていましたので、まず、その記事を引用しておきます。

▽ 自民党の中川雅治氏は、国民投票の投票年齢を引き下げることと民法の成人年齢との関係について「与野党8党の合意では民法の成人年齢をどうするかは触れていない。成人年齢の引き下げは、国民の意識や環境整備が重要であり慎重な検討が必要だ」と述べました。

▽ 民主党の藤末健三氏は、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更について「憲法の基本原理に関わる問題から国民投票を回避しようとするものだ。国民主権、立憲主義の否定であり、国民投票の制度を整備する意味が失われつつある」と述べました。

▽ 公明党の西田実仁氏は、公務員が賛否を知人に働きかける勧誘運動の在り方などを巡って、「憲法改正は、国民が直接制定に関わる最高法規の改正だ。公務員も国の構成員なので、市民的、政治的な権利を拡大する方向で議論すべきだ」と述べました。

▽ みんなの党の松田公太氏は、国民投票法の改正案について「憲法改正に必要なもので、とても重要だ。投票年齢を18歳以上に引き下げることになっているが、世界のすう勢だ」と述べました。

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▽ 共産党の仁比聡平氏は、国民投票法の改正案について「選挙権が得られる年齢などの引き下げを棚上げし、国民投票の投票年齢だけを確定させるものだ。欠陥をそのままにすることは許されず、徹底した審議が必要だ」と述べました。

▽ 日本維新の会の清水貴之氏は、公務員が賛否を知人に働きかける勧誘運動の在り方に関連して「当初の与党案では、組織による勧誘運動は禁止されていたが、民主党との交渉のなかで、明記されずに検討課題として付則に盛り込まれた。われわれは一定の制限は必要だと考えている」と述べました。

▽ 社民党の福島みずほ氏は、国民投票法の改正案について「付則で、公務員の政治的行為の規制の在り方や選挙権が得られる年齢の引き下げを今後検討するとなっていて、未完成だ。成立しても国民投票を実施できる状況ではない」と述べました。

▽ 答弁者として出席した結いの党の畠中光成衆議院議員は、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更について「個別的自衛権の範囲でどの程度対応できるのかをしっかりと検討し、どうしても集団的自衛権が必要だということならば排除しないが、行使できる範囲は極めて狭い」と述べました。

▽ 答弁者として出席した生活の党の鈴木克昌衆議院議員は、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更について「憲法9条の解釈は、国会と政府の共同作業で練り上げられてきたものであり、国会審議を経ることなく、一内閣が閣議決定によって軽々に変更することは許されない」と述べました。

改定案の問題点

次に、『しんぶん赤旗』のウェブサイトから、仁比聡平氏(共産)の発言の要旨を紹介します。今回の改定案の問題点が簡潔に整理されていると思います。

自民、民主などが共同提出した改憲手続き法(国民投票法)改定案の質疑が21日、参院憲法審査会で始まりました。日本共産党の仁比聡平議員は、同改定案が憲法に照らして根本的欠陥をもつ現行法の問題をそのままにし、かえって逆行する中身となっており、「背理に背理を重ねるものだ」と批判しました。

仁比氏は、同改定案発議者が「憲法改正には時間がかかる」と解釈改憲を容認しながら、「憲法改正の動きにブレーキがかかってはならない」と、ともかく改憲手続きを動かそうとしている姿勢をただしました。

発議者の船田元議員(自民党)は「憲法の重大な事項を国会の議論だけで変更することには疑問がある」といいながら、「総選挙で解釈改憲の是非を問うことを国民投票にかえて採用することは荒唐無稽ではない」と弁明しました。

仁比氏が「憲法の根幹をなす9条を解釈で変えられるとなれば、権力への歯止めがなくなる」と批判すると、発議者はまともに答えられませんでした。

仁比氏は、同改定案が現行法の根本的欠陥を放置したまま、改憲手続きを動かそうとしていると批判。選挙権年齢などを18歳へ引き下げることを棚上げにしていることや、国民投票運動の自由に新たな規制を加えていることについて、「立法時の発議者の意思にも反する」と指摘しました。

「組織」による国民投票運動への規制を検討条項に盛り込んでいる改定案では、労働組合やNPO(非政府組織)、宗教団体の国民投票運動も「組織」として規制対象にしようとしていることが、仁比氏の追及で明らかになりました。

本心では解釈改憲に反対?船田元氏の発言

社民党の福島みずほ氏も、国民投票法改定案を批判するとともに、安倍政権が進めようとしている解釈改憲に対する反対論を展開しました。その中から、次のようなやりとりを紹介したいと思います。

▽ 福島みずほ氏:衆議院でこの法案が可決された後、安保法制懇の報告書と総理の記者会見がありました。明文改憲、解釈改憲、立憲主義をどう考えるか、きわめて重要な問題です。

船田さんは3月13日の自民党総務会で、集団的自衛権の行使容認のために拡大解釈を自由にやるなら憲法改正は必要ないと述べ、解釈改憲で明文改憲の機運がしぼむことを懸念されています。だったら解釈改憲なんかやるべきじゃないですよね。

▽ 船田元氏:私の総務会での発言は、あくまで一般論で申し上げたものです。憲法解釈が時の政府あるいは為政者によって自由に行われるということであれば、憲法改正の必要もないしその機会も与えられなくなるという一般論を申し上げた次第です。これは、私自身今でもそう思っております。

しかしながら、今回の集団的自衛権の行使に係る憲法解釈の変更については、これはあくまで憲法の解釈を変えるということで、必ずしも憲法改正そのものの議論を「でっちあげ」て、あのー、それを棚上げにしてやってしまおうということではけっしてないと思っています。

私が言いたかったのは、憲法解釈の変更ではあるけれども、これは重大な変更である。だから、その意味では、「国民に信を問う」ほどの心構え、そして覚悟、そういうものがなければこの議論というのはなかなか前に進みませんよということを申し上げたかったわけです。

▽ 福島みずほ氏:国民の信を問うのであれば国民投票じゃないですか。国政選挙なんかじゃないですよね。
憲法9条に関する集団的自衛権の行使を容認するかどうかはきわめて重要なテーマです。だとすれば信を問え、国民投票でやれ、総理の解釈改憲は許せないということに論理的になりませんか。

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いかがでしょうか。上記の船田氏の発言中の「でっちあげ」という言葉、氏はすぐに「棚上げ」と言い換えましたが、これは船田氏が思わず本心を吐露してしまったものだと感じました(もちろん後日公開される「会議録」にこの言葉は残されないでしょう)。

「国民に信を問う」という表現からも、氏が内閣の憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に批判的な考えを持っていることは明らかだと思います。

船田氏は今回の改定案の発議者の中心人物で、憲法調査会、憲法調査特別委員会でも、会長、委員長であった中山太郎氏の下で実務を取り仕切っていました。改定案の審議では、反対派の委員から過去の調査会、特別委員会での発言と現在の立場との食い違いをしばしば指摘され、苦心しながら答弁を重ねていますが、今安倍政権が進めようとしている解釈改憲は、改憲問題に精通している船田氏をもってしてもどうにも取り繕いようのないほどデタラメだということだと思います。


あまりにも低レベルな改憲派の議論

さて、本レポートの最後に、馬場伸幸氏(維新の衆院議員、発議者として出席)の驚くべき発言を紹介して、改憲勢力の議論の水準を明らかにしておきましょう。

▽ 馬場伸幸氏:(憲法教育の重要性について)大切なのは、本当に実を伴った内容の憲法教育がなされているかどうかという点であると思います。
18歳投票権を機として、児童・生徒が日本国憲法に関する正確な知識を得、その前提として憲法に対する興味をかき立てられるよう、我々としても関係法制の整備に向けて積極的に提案していくことも含め努力していきたいと考えています。

氏は、「児童・生徒が日本国憲法に関する正確な知識を得」れば、その多数が改憲派の主張に賛成するようになると確信しているようですが、いったいどのような憲法教育をイメージしているのでしょうか?

今後参議院の憲法審査会は急ピッチで開催され、5月26日に参考人質疑、28日に発議者に対する質疑、6月2日に政府に対する質疑、4日に2回目の参考人質疑が行われることになっています。
安倍政権は今国会で何としても国民投票法を動かせるようにしようと必死です。
私たちとしては、こうした現状を暴露しながら、解釈改憲絶対阻止、安倍政権打倒の運動を一層盛り上げていかなければならないと思います。(G)

●憲法審査会の傍聴を希望の方は、前日の昼までに百万人署名運動事務局までご連絡下さい。

T/F 03-5211-5415
メール million@mqc.biglobe.ne.jp

●審議の様子は、参議院インターネットテレビで見ることができます。
次の参議院憲法審査会ホームページの右下の「インターネット審議中継」をクリックして下さい。

→http://www.kenpoushinsa.sangiin.go.jp/index.html

















安倍首相が臨時の記者会見を行った5月15日、東京の百万人署名運動の仲間は『集団的自衛権反対ニュース』の第1号を配り、JR御茶ノ水駅前で「集団的自衛権に反対する署名」活動を行いました。2時間で120筆の署名、5000円のカンパが寄せられました。

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その日、首相の私的な諮問機関である「安保法制懇」が長大な報告書を政府に提出しました。それを受け取った首相は、その数時間後には記者会見をやって政府の解釈改憲方針を国民に説明するという離れ業をやったのですが、週末には与党の一員である公明党の支持母体が「解釈改憲に反対」を表明、翌週の新聞(5月20日)では「集団的自衛権の国会審議は来春以降に先送り」などと報道され、早くも破たん性が露わとなっています。

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しかし安倍首相のやろうとしていることは、本当に戦争です。原発をあくまで推進し、改憲・戦争に突進し、労働者に総非正規化攻撃をしかけている安倍政権を、みんなの力で打倒しよう! 懸命に訴えました。

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ビラを意識的に受け取っていく人も多く、若い人も進んで署名に応じてくれました。「全国通信」や「ニュース」を送ってほしいと言う人も複数いました。闘いはこれからです。

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配ったニュース第1号はこれ↑です。
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http://www2u.biglobe.ne.jp/~hyakuman/bira.htm









安倍首相が「集団的自衛権行使容認」に突き進む中、これに抗議して5月13日昼に国会包囲行動が行われた。主催は、「集団的自衛権の行使」は海外で戦争をすることー解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会。当初、この日にも安保法制懇の報告書が出されると言われていて、集団的自衛権行使容認を政府に求めるような報告書はいらない!と呼びかけられたものだ。
約2500人がつながって、「解釈で憲法9条を壊すな!」と国会を包囲した。

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昼前から危機感と怒りを持った人々が国会前に集まり、12時から抗議集会。

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主権者と国会の間には機動隊の車両の列が。

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国会見学の中学生たち、この光景をしっかり見ていってほしい。

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順々と国会を包囲、首相官邸前でも抗議集会。

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15日に安保法制懇の報告書が出され、国家安全保障会議(日本版NSC)の4大臣会議が開かれ、「政府の基本的方向性」を決めるという。公明党の太田国土交通相が加わらなくていいようにとのことだが、こういう形で公明党も協力しているのが見え見えの茶番としか言いようがない。
政治のデタラメさに「ふざけるな!」と叫びたくなる。

こんな形で、戦争への決定的な踏み込みをさせてはならない!

国会包囲行動には韓国のマスコミも取材にきていた。韓国の労働者民衆も日本の労働者民衆の闘いに注目している。
安倍政権のマスコミ等を使っての、集団的自衛権行使や、いわゆる「グレーゾーン事態」での武力行使の必要性の宣伝を許さず、私たちも、本気になって「戦争絶対反対!」を呼びかけていこう。(S)



























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