とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

2013年05月

5月23日(木)、今国会9回目の衆議院憲法審査会が開催されました。前日の参議院の審査会が3回目だったことと比べると、昨年末の(全国の高等裁判所で違憲とされた)総選挙で過半数を大きく上回る議席を獲得し政権を奪還した自民党、そして今のところ高支持率を維持している安倍政権の高揚ぶりがうかがわれます。
しかし、自民党委員の出席率の低さは相変わらずで、ほとんどの時間にわたって15~20人(定数は31人)にとどまっていたため、笠井亮氏(共産)からは「いいかげんにしていただきたい」、山口壯氏(民主)からも「きわめて不愉快だ」という苦言を呈されていました。そして、船田元氏(自民)が「他の委員会等との兼ね合いもあって厳しい状況だ」というとんでもない言い訳をしたときには、多くの野党委員が一斉にヤジを飛ばしていました。他の委員会等と日程が重なっているのはどの党も同じであり、そんなに出席が厳しいなら審査会を延期すれば済むのですから、当然の反発だったと思います。ヤジの類は公式の会議録にはほとんど記載されませんので、ここに報告しておきます。

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テーマ設定そのものに疑義が
今回のテーマは「緊急事態と憲法をめぐる諸問題」と「国会と司法の関係をめぐる諸問題(裁判官弾劾裁判所及び裁判官訴追委員会等)そのほか」でしたが、そもそも緊急事態をテーマとしたこと自体に問題があることが笠井亮氏(共産)から指摘されました。
それは、「昨年来審査会で行ってきたのは憲法の各条章の検証で、現行憲法に緊急事態についての章立てはない。したがって、このテーマ設定は本来の検証の趣旨を逸脱しているし、緊急事態については第4章の検証の際にさまざまな意見が表明されているのだから、今回それを改めて扱うべきではない」ということです。
私も当ブログに掲載した前回の衆院審査会傍聴記の最後に同趣旨のことを書きましたが、あらためて本当にそのとおりだと思いました。

緊急事態についての各会派の主張
「緊急事態と憲法をめぐる諸問題」については、今回も衆議院法制局からの説明、各会派代表者の意見表明、自由討議の順に議論が行われましたが、このうち各会派代表者の主張を、私の見た限りでいちばんていねいに伝えていた『NHK NEWS WEB』の記事を引用してご紹介すると、下記のとおりです(発言者名は筆者が付け加えたものです)。

衆議院の憲法審査会で、今の憲法で規定されていない「緊急事態」をめぐって、与野党7党が意見を表明し、自民党や民主党、日本維新の会などが大規模災害などに備えるために憲法で規定すべきだと主張したのに対し、公明党は慎重な検討を求め、共産党は反対しました。

このうち、自民党(中谷元氏)は「わが党の憲法改正草案では、東日本大震災の反省を踏まえて、緊急事態に対処する仕組みを独立の章として規定した。いざというときに、超法規で対応するのではなく、平素から権限と義務を整備しておくべきで、国民の生命・身体・財産という大きな人権を守るために、やむなく他の人権が制限されることもありうる」と述べました。

民主党(山口壯氏)は「党としては、通常の体制では機動的に対処できない場合に備え、緊急事態に関する規定を置く方向だが、国民主権や基本的人権の尊重といった憲法の原理は維持すべきだ。非常事態であっても、基本的人権の制限に歯止めをかけて立憲主義を貫くべきだ」と述べました。

日本維新の会(小熊慎司氏)は「政府には緊急事態の対応を平素から検討する組織がなく、緊急事態のたびに各省庁の寄り合いの対策本部が設置されている。その背景には、緊急事態に関する規定が欠落しているという憲法上の欠陥があるので、規定をしっかりと憲法に明記すべきだ」と述べました。

公明党(斉藤鉄夫氏)は「党内には両論がある。ミサイルやテロなどに対処するための規定を新たに盛り込むべきだという意見がある一方で、憲法に緊急事態の規定を入れてしまうと、ギリギリの段階まで通常の法律にのっとって対応する努力を放棄してしまうのではないかと危惧する意見もある」と述べました。

みんなの党(畠中光成氏)は「憲法は自由と人権を守る最後のとりでとして機能しなければならず、緊急事態の規定を追加するのはそれを機能させるためだ。人権を制限する規定の追加は本来は望ましくないので、いかに抑制的なものにするかを第一に考えるべきだ」と述べました。

共産党(笠井亮氏)は「外部からの武力攻撃に対処するために緊急事態の規定が必要だという主張もあるが、そうした事態を起こさせないために憲法があるのであり、憲法を生かす政治こそ求められている。大規模災害にあたっても緊急事態の規定ではなく、今の憲法を文字どおり生かすべきだ」と述べました。

生活の党(鈴木克昌氏)は「時代の要請を踏まえ、国連の平和活動や緊急事態に関する条文を『加憲』することが基本的な考えだ。従来の法制度では、大規模テロなどで総理大臣を含むすべての大臣が欠けた場合も想定しておらず、そうした場合の臨時代理について憲法上の根拠規定を置くべきだ」と述べました。

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改憲派から「すり替え」論が続出
上記の要約では触れていませんが、小熊慎司氏(維新)の発言には、許しがたい「すり替え」論がありました。それは「私は福島県出身だ」としたうえで、「原発事故の起きた福島県において、20キロ圏内の家族の捜索に自衛隊が入ったのは5月の連休から」だったが、「福島県の警察の皆さんは、装備がない中でも20キロ圏内の家族を捜索された」、「宮城県や岩手県で1週間後、10日後に助かった命のことを考えれば、20キロ圏内でも助けられた命があった。緊急事態に対する規定がなかったことで失われた命もあった」というものでした。
何を言いたいのかよくわからない意見でしたが、自衛隊に原発事故に対処できる装備等の備えが不十分であったことが問題だということなら、それは憲法における緊急事態条項の有無には全く無関係な話であり、こんな低レベルの議論に福島で落命された方々のことを持ち出すのは不謹慎のそしりをまぬかれないのではないでしょうか。

自由討議に入ると、さらに多くの改憲派の委員から、根拠のない緊急事態規定の必要論が続出しました。たとえば、高鳥修一氏(自民)は、災害情報、避難情報の伝達にきわめて有効なFM局の開局手続きに時間がかかること、外国で使用できるガソリンでも国内での成分調整に時間をとられること、ツイッターやフェイスブックの普及により携帯機器を充電するテーブルタップが大量に必要になること等を挙げて、「包括的な緊急事態宣言を規定し、手続きを簡略化しなければ被災者を迅速に救出できない」と述べましたが、この議論のどこが憲法の問題につながるのか、意味不明というしかありません。
トンデモ論の常連である中谷元氏にいたっては、緊急事態に際して私権の制限が必要になる理由として、「飛行機に乗っても、緊急事態では機長の指示に従ってください」ということになるという、あきれはてて反論する気にもならないようなたとえ話を持ち出す始末でした。

辻元清美氏(民主)が指摘したように、緊急事態について議論する際には、「この大きな災害を経たうえで、今の憲法下で本当にできなかったことは何なのかということを突き詰めて考えていく必要がある」のであって、「もっと具体的な根拠をもって発言していただかないと説得力を欠くし、権利の制限というところだけが独り歩きしかねない」のではないでしょうか(辻元氏は、本当は罵倒したい気持ちを抑えて、言葉を選び控えめに発言したのではないかと私は思いました)。

国民投票法に関して警戒すべき発言が
この日のもうひとつのテーマ、「国会と司法の関係をめぐる諸問題(裁判官弾劾裁判所及び裁判官訴追委員会等)そのほか」をめぐっては、「国会と司法の関係をめぐる諸問題」については大した議論がありませんでしたが、「そのほか」として、いつも会派の代表者の意見表明の場面以外ではだんまりを決め込んでいる維新の委員(馬場伸幸氏)から、注目すべき発言がありました。
それは、国民投票法の「3つの宿題」に関連して、「わが党は、国民投票法の改正案をすでに国会に提出させていただいている」ので、「いっときも早くこの憲法審査会の場で議論することを進めていただきたい」というものでした。報道によれば、その内容は「国民投票の投票年齢を20歳以上とする経過措置の規定を削除し、本則通り18歳以上とする。公務員の政治的行為も一部容認する」(『日本経済新聞電子版』による)というもので、改憲を手続き面からも推進しようとする動きとして警戒しなければならないと思います。

自民党委員の思惑が外れた調査結果の報告
この日は、もうひとつ、以前の審査会で自民党の委員から衆議院法制局に対して提起されながら、その場では資料がなく回答されなかった質問についての調査結果が報告されるということがありました。
その質問とは、土屋正忠氏(自民)の「諸外国の憲法前文において神に言及した事例はどのぐらいあるか」というものと、上杉光弘氏(自民)の「主権制限がなされていた占領下などにおいて憲法が制定された事例は日本以外にあるのか」というものでした。

このうち後者については、「米英仏3か国の直接統治下にあった西側ドイツにおいて、占領軍政府が直接憲法の草案を作成することはなかったが、憲法の大枠を指示したり、審議の各過程でも積極的な介入を続けた」事例、「米英による連合軍が、一部地域での施政権を完全には返還せず、たびたびの軍事的な影響力によって制憲議会を威嚇した」イタリアの事例、「1935年のフィリピン憲法の制定に当たって、憲法制定権に一定の枠をはめ、共和政体をとることや権利章典を掲げることを求めていた」事例、「1918年のハイチ憲法の制定にあたって、占領によって獲得された利益を確保するため、憲法改正案がアメリカ人によって詳細に検討され修正されていった」事例が紹介されました。おそらく上杉氏は占領下で進められた日本国憲法の制定過程が世界史的に見て特殊例外的なものであったと報告してほしかったのだと思いますが、そうであるとすればその思惑は完全に外れたかっこうになったわけです。(G)












■映画「100年の谺(こだま) -大逆事件は生きている-」上映
とき◆5月25日(土)~6月7日(金)上映時間は問合せを
ところ◆ シアターセブン(大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ5F)
問合せ◆シアターセブン(tel.06-4862-7733)

■ストップ!改憲6・1集会
とき◆6月1日(土)午後6時30分~
ところ◆杉並産業商工会館(JR「阿佐ヶ谷」南8分)
講演◆大内裕和さん(中京大教授)「改憲と教育再生実行会議の危険性」
闘う現場から◆石橋新一さん(破防法・組対法に反対する共同行動)他/資料代500円
主催◆集会実行委員会(tel.090-5415-9194)

■反原発国会大包囲行動
とき◆6月2日(日)午後4時~国会包囲、5時~7時国会前大集会
ところ◆国会正門前
主催◆首都圏反原発連合(http://coalitionagainstnukes.jp)、協力:さようなら原発1000万人アクション、原発をなくす全国連絡会、経産省前テントひろば他
【関連企画】
①6.2つながろうフクシマ!さようなら原発集会
とき◆6月2日(日)午後0時30分~集会、2時15分~パレード(日比谷公園まで)
発言◆大江健三郎さん他
ところ◆芝公園23号地(地下鉄「御成門」「芝公園」2分)
主催◆「さようなら原発一千万人署名」市民の会(tel.03-5289-8224原水禁内)
②原発ゼロをめざす中央集会
とき◆6月2日(日)午後1時~集会、2時~デモ
ところ◆明治公園(JR「千駄ヶ谷」5分)
主催◆原発をなくす全国連絡会(tel.03-5842-5611全労連内)

■脱原発テント裁判を考える講演会
とき◆6月3日(月)午後6時30分開会
ところ◆明治大学リバティホール(JR御茶ノ水駅3分)
講演◆落合恵子さん、鎌田慧さん、中嶌哲演さん他/資料代500円
主催◆現代史研究会
共催◆経産省前テントひろば応援団(tel.070-6473-1947)

■国鉄闘争全国運動6・9全国集会
とき◆6月9日(日)午後1時開会
ところ◆文京シビックホール(地下鉄「後楽園」「春日」直結)
呼びかけ◆国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動(tel.043-222-7207動労千葉)

■ピースリーディング「いま、憲法のはなし―戦争を放棄する意志」
とき◆①6月11日(火)午後7時~、②12日(水)午後2時~
ところ◆全労済ホール/スペース・ゼロ(渋谷区代々木2-12-10)
内容◆第1部:朗読劇、第2部:トーク
チケット◆全席指定、一般1500円(チケットぴあ、Pコード428-659)
主催◆非戦を選ぶ演劇人の会(tel.070-5457-2003)

■星野再審・全証拠開示大運動 第3回学習会
とき◆6月12日(水)午後6時~
ところ◆弁護士会館10階・1003A~C会議室(丸ノ内線「霞ヶ関」B1-b)
講師◆客野美喜子さん(無実のゴビンダさんを支える会事務局長)
主催◆星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議(tel.03-3591-8224)

■星野文昭 絵画展
とき◆6月13日(木)~15日(土)午前10時~午後7時(15日は5時まで)
ところ◆札幌エルプラザ4階フリースペース(JR「札幌」北口5分)
主催◆北海道 星野文昭さんを救う会(tel.011-664-7503伊藤)

■柏崎刈羽原発再稼働反対!NAZEN学習会
とき◆6月16日(日)午後1時30分~
ところ◆ほんぽーと・研修室2(新潟市中央区明石2-1-10)
講演◆深澤大輔さん(新潟工科大学教授)「原発事故に伴う放射性物質の飛散の実態と予想される健康被害」
主催◆NAZENにいがた(tel.080-2093-5244白石)

■第6回大間原発反対現地集会
とき◆6月16日(日)午前11時30分~、集会後デモ
ところ◆青森県大間町大間原発に反対する地主の会・所有地
主催◆集会実行委員会(呼びかけ:核燃料廃棄物搬入阻止実行委、ストップ大間原発道南の会、PEACE LAND、連絡先tel.080-6041-5089阻止実・中道)
【関連企画】大MAGROCK VOL6
とき◆6月15日~16日
ところ◆大間原発に反対する地主の会・所有地
問合せ◆PEACE LAND(tel.090-8613-3269)

■阿佐ヶ谷市民講座~徹底追及!「TPPとアベノミクスの本質」
とき◆6月20日(木)午後6時30分~
ところ◆劇団展望(杉並区阿佐ヶ谷南3-3-32)
講師◆田中宏治さん(元日本経済新聞社記者)/1000円
主催◆講座実行委(tel.090-8080-6860)

■重慶大爆撃―戦略爆撃の思想を問う―連続学習講座
とき◆6月20日(木)午後6時30分~
ところ◆港区立商工会館6F(港区海岸1-7-8東京産業貿易会館)
講演◆田中宏さん(一橋大学名誉教授)「戦後補償と日中関係の今を考える」
主催◆重慶大爆撃の被害者と連帯する会・東京(tel.042-574-9210)

■東京北部連絡会講演会&総会
とき◆6月22日(土)午後1時15分~
ところ◆豊島区勤労福祉会館4階(豊島区西池袋2-37-4)
講師◆足立昌勝さん(関東学院大学教授)
主催◆東京北部連絡会(tel.080-1003-0058)

■星野文昭 絵画展
とき◆6月23日(日)~7月7日(日)
ところ◆元気茶屋ラダック(鳥取市弥生町178-1)
主催◆元気茶屋ラダック(tel.080-2935-4820)
■フクシマとヒロシマをつなぐ反戦・反核・反原発集会
とき◆7月7日(日)午後1時~
ところ◆岡山市民会館・305会議室(岡山市北区丸の内2-1-1、JR「岡山」5分)
主催◆NAZEN岡山(tel.090-1325-0414山田)

■靖国神社法案第1回国会提出44年!公開学習会
とき◆6月28日(金)午後6時30分~礼拝、7時~講演、8時~報告
ところ◆OCC地下1階・アイリーンホール(千代田区神田駿河台2-1、JR「御茶ノ水」お茶の水橋口1分)
講演◆西川重則さん
主催◆靖国の集い(tel.048-666-5674吉村)

■獄中38年、無実の星野文昭さんを取り戻そう6・30全国集会
とき◆6月30日(日)午後1時開始
ところ◆大田区民ホール・アプリコ(JR「蒲田」東口3分)
主催◆星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議(tel.03-3591-8224)










参院憲法審査会、久しぶりに開催
5月22日(水)13時から、参議院憲法審査会が行われました。今国会3回目で、4月3日(水)以来7週間ぶりの開催でした。久しぶりだったためか傍聴者はわずか15人ほどで、最後には9人になってしまいました(何人かの方が途中で退場し、15時から開催された「橋下発言に抗議する緊急院内集会」に向かわれたようです)。そうした中で、百万人署名運動は4人で最後まで傍聴してきました。

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「二院制」について3度目の質疑
この日のテーマは前々回、前回に引き続き「二院制」で、2人の参考人(大山礼子氏、只野雅人氏)からの意見聴取、それに対する質疑が行われた後、3回にわたった審査の締めくくりとして、各会派の代表者からの意見表明がありました(参院の審査会では10もの会派が委員を出しています)。委員の出席者は今回も30人前後と少なく(定数は45人。自民党の出席率が低いことは衆院と同様ですが、参院では民主党も多くの委員が欠席しています)、3時間の審議が予定されていましたが、2時間10分ほどで終了してしまいました。

今回の審査会の概要を、『朝日新聞デジタル』から引用すると、以下のとおりです。
参院の憲法審査会は22日、「二院制」に関連し、参院の独自性をどう発揮するかについて参考人から意見を聴取した。各党の意見表明では自民党など8党が二院制維持を、みんなの党と日本維新の会は一院制への移行を重ねて主張した。
駒沢大学の大山礼子教授(政治制度)は参院について「長期的な視野をもった議論がなされている長所を伸ばし、存在感を高めていく選択をしていい」と指摘。一橋大学院の只野雅人教授(憲法)も「審議の中で多様な意見の反映を考える意義は小さくない」と参院の役割を強めることを提言した。

また、『MSN産経ニュース』では、何人かの委員の発言が次のように紹介されていました。
民主党の松井孝治氏は「予算は衆院、決算と行政監視は参院といった役割分担を明らかにすべきだ」と主張。自民党の野上浩太郎氏は「国民の多様な意見を細やかに代表できる」と二院制の利点を強調した。みどりの風の亀井亜紀子氏は「参院は党議拘束がなくてよい。政治権力から一線を画す意味で閣僚を出さないことも提案したい」と語った。
一院制を提唱するみんなの党の江口克彦氏は「衆参両院が同じことをやっていて無駄だ」と主張。維新の水戸将史氏も「決められない政治の脱却が最大のテーマだ」と同調した。

参議院の委員会室にはこの参議院通用門から入ります。
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クォータ制について興味深い発言が
「二院制」の議論は3回目でしたので、各会派がこれまでの主張を繰り返すのを聞かされただけで、ちょっと退屈だったなあという印象が否めませんでした。そんな中で私が大いに共感したのは、大山礼子氏の「以前クォータ制についてどう思われるかと聞かれたときに、それに頼らずに女性が増えればそれに越したことはないとお答えしたが、近年はクォータ制を採用した方がいいと考えるに至っている」という発言でした。と言うのも、憲法審査会の傍聴に通うようになって、いつもあまりにも女性の委員が少ないなと感じているからです。
なお、参院の憲法審査会では、次回から「新しい人権」について議論するとのことです。(G)

*クォータ制
広義では、競争制を前提としつつ、特定の社会集団、中でもマイノリティー(少数者、社会的弱者)に一定の参加権を割り当てる制度を意味する。通常は女性への議席の割当てを意味するが、それはクォータ制の中でも実際の導入例が突出して多いためである。性別以外にも人種、宗教などのクォータがある。性別クォータは北欧から導入が進んでおり、男女いずれも議席獲得が規制値を下回らないように調整される。(『現代用語の基礎知識2012年版』による)


尚、今回から参議院の方も衆議院同様、憲法審査会が週1回のペースで入ってきました。要注意です。「充分審議しました。さあ、採決を!」というための、憲法改悪に向かった危険な過程そのもの。憲法審査会解体!職場・学園・地域で抗議の声をつくりましょう。
そのためにも、一度ぜひ傍聴を!

●次回の参院・憲法審査会開催予定
①5月29日(水)13時00分 第41委員会室(分館4階)
 【内容】日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
    (新しい人権)
     ・憲法調査会報告書について事務局の報告
    (「新しい人権」のうち、基本的人権全般について)
     ・参考人の意見陳述及び質疑

▲傍聴希望者は、5月28日(火)昼までに百万人署名運動事務局までご連絡ください。(T/F03-5211-5415)
  当日は、参議院議員面会所に12時30分集合です。





















5月16日(木)、今国会8回目の衆議院憲法審査会が開催されました。今回のテーマは「第10章 最高法規」、「第11章 補則」と「前文」で、衆議院法制局からの説明、各会派代表者の意見表明、自由討議の順に、朝9時すぎから12時10分頃まで、予定の時間をやや超過して3時間強の審議が行われました(なお、憲法施行時の経過規定等を定めた11章についての議論はありませんでした)。

衆院の審査会は木曜日の午前中に開かれていますが、今国会では初回の3月14日からほぼ休みなく開催され(この間、審査会が開かれなかったのは、予算委員会の開かれた3月28日とゴールデンウィーク中の5月2日だけでした)、わずか2か月あまりの猛スピードで憲法の全条章の審議がひととおり終わった形になってしまいました。

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常態に戻った審査会の様子
96条がテーマとなった前回はこれまでになく多くの委員(定数の9割に当たる45人前後)が出席し、記者席は満杯、傍聴者は席が足りずに立ち見が出るという大盛況でしたが、この日は通常の様子に戻った感じでした。

まず、委員については、初めのうちはだいたい35人以上が出席していましたが自由討議が始まる頃からおおむね30人台前半となり、12時が近づくと30人を割り込んで定足数ぎりぎりの25人となった時間帯もありました。
議場を出入りする者が多く、とりわけ自民党の委員にその傾向が目立つという点でもいつもの状態が復活し、とくに鳩山邦夫氏(自民)はこの日も何度も入退室を繰り返していました(ずっと観察していたわけではありませんが5回以上は出入りし、少なくとも2回は退出時に携帯端末を手にしていました)。
この日は何と保利耕輔会長(自民)が一時退室し、武正公一氏(民主)が代理で議長役を務めるということがありました。いつもは出席率の高い公明党の委員が3人中1人、民主党が6人中3人になる時間帯があり、みんなの党はほとんどの時間が2人中1人の出席でしたので、おそらく他の委員会等との兼ね合いで途中で退席せざるを得なかったり、出席できなかった委員がいたのだと思います。もしそうであったとすれば、この日は憲法審査会の開催を見送るべきだったのではないでしょうか。

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記者も出入りすることが多いので人数が増減するのですが、少ないときでも12~13人はいたと思います。ただ、前回は6台も入っていたテレビカメラは2台だけで、すぐに姿を消してしまいました。傍聴者は30人ほどで、今回は全員着席することができ(途中から十数人で入ってきて間もなく出て行かれた国会見学と思われる高齢者のグループがあり、その方々は立ち見でした)、百万人署名運動は4人で傍聴してきました。なお、この日、中山太郎氏は姿を見せませんでした。

「国民の憲法尊重義務」をめぐる論戦
第10章については、自民党が改憲草案で「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」という項目を付け加えた第99条(自民党案では102条)をめぐって多くの発言があり、自民党以外の6会派は現行の条文を維持すべきだとの立場を明らかにしました。

自民党の主張は、「憲法制定権者である国民も憲法を尊重するのは当然のことだ」(保岡興治氏)とか、「国家としての目標の設定、国民の行為規範を一定程度明記することも憲法の役割である」から「国民が憲法を尊重しようということを記載することは必要なことだ」(船田元氏)というもので、憲法は国家権力を縛るためにあるという立憲主義の本質を知ってか知らずか、相変わらずの暴論が開陳されました(あの維新の会でさえ「基本的には現行のままでよい」(伊東信久氏)と述べたのですから、ここで「暴論」という言葉を使っても言い過ぎではないと考えます)。
さらに船田元氏は、「これを書いたからといって、国民が新たな義務を負うということではない」とも述べましたが、これまでの審査会で「新たな義務」を並べた改憲草案の内容をさんざん言い立ててきた同じ人物がこんな物言いをするとは、厚顔無恥もはなはだしいと思いました。

また、99条に関しては、安倍晋三首相が国会の場で憲法改正を訴えたり、多くの閣僚が改憲を目指す議連に所属して重要なポストに着いていること自体が公務員の憲法尊重擁護義務に違反していると指摘する笠井亮氏(共産)や辻元清美氏(民主)の発言もありました。
これに対して、土屋正忠氏(自民)などが99条は職務権限を行使する際に憲法を尊重せよという規定であり、改憲の要件を定めた96条がある以上、政治家として意見を述べるのは何ら問題ないはずだと反論していましたが、どちらの意見に理があるのかは別として、そもそも憲法の何たるかを十分に理解しているとは思えない首相以下の閣僚たちが本当の意味で憲法を尊重して職務に当たっているのかと問われれば、「否」と答えざるを得ないのではないでしょうか。もしそうであるとすれば、土屋氏などの立論の前提自体が成立しないことになってしまうでしょう。

なぜ自民党は97条を削除しようとするのか
第10章についてはもう一つ、「基本的人権の本質」を規定した第97条をめぐる議論がありました。97条は「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」というもので、あまり注目されていませんが、自民党の改憲草案ではこれがまるごと削除されているのです。

保岡興治氏(自民党)は、その理由を「第11条の後段(「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」)と内容が重複している」からだと説明しましたが、一読して明らかなように日本国憲法が保障する基本的人権が「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」で「過去幾多の試錬に堪えてきた」というくだりは重複などしていません。
したがって、自民党以外に97条の削除を主張した会派はなく、「最高法規」の章に97条が置かれていることの意義を積極的に評価する意見が大勢を占めました。

よく考えれば、97条を堅持したままでは、自民党のもくろんでいる「第3章 国民の権利及び義務」の改憲草案の内容はことごとく憲法違反となって改憲が不可能になるわけですから、どんなに根拠が薄弱であっても何とか屁理屈をひねり出して97条を削除しなければならないというのが、自民党の本音なのではないでしょうか。

     国会の外では、共謀罪に反対する人々らが座り込みを
行っていました。
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自民党の本質が集約された前文をめぐる議論
この日のもう一つのテーマ、前文については、民主党、共産党を除く会派が、それぞれニュアンスは異なるものの、見直しに積極的、あるいは肯定的な見解を提示しました。

まず、保岡興治氏(自民)は、「とくに問題なのは『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようとした。』という部分で、ユートピア的発想による自衛権の放棄にほかならない」と述べました。
これはまさしく想定内の発言でしたが、私が驚いたのは、氏が「憲法の三大原則のうち基本的人権の尊重について直接的な記述がないことは疑問であると言わざるを得ない」と指摘したことです。「為にする」という言葉の意味をこれほど的確に示す発言には滅多にお目にかかれるものではありません。

また、伊東信久氏(維新)は「他国に自国の生存を委ねる趣旨を改め、国家の自立を目指す趣旨に基本骨格を改正すべきだ」、小池政就氏(みんな)も「わが国が置かれた状況に対して理想主義的観点が強すぎるのではという印象が残る」と述べ、自民党と同様の認識を示しました。

一方、この3党とは別の立場から、大口善徳氏(公明)は「基本的人権の尊重を加えることは考えられる」、鈴木克昌氏(生活)は「国際平和のためにわが国が積極的に貢献していくという観点を記すことを検討してもよい」と発言しました。

これらに対して、笠井亮氏(共産)は「前文から侵略戦争への反省と不戦の誓いを削除することは、戦後の出発点を自ら否定するだけでなく、アジアや世界の中で日本の孤立を招き、国際社会の中で生きていく道を失うことになりかねない」と明確に見直し反対を表明。
三日月大造氏(民主)は「歴史、伝統、文化を盛り込むべきだという意見自体に反対するものではない」が、「それは国民全体が共有できるものなのか。それらを盛り込んだ場合、特定の人々や集団の歴史観や価値観を押しつけることにならないか」と指摘し、「慎重な議論が必要ではないか」と述べていました。

さて、自民党の前文改憲論の論拠には、上記の国際関係の認識があまりにユートピア的で現実から乖離しているということのほかにも、わが国の国柄(天皇を戴いてきた長い歴史、和を貴ぶ精神など)が表現されていないこと、翻訳調の悪文であることなどがあり、この日も多くの委員がそれらの点を言い募っていました。
いつもながら驚くべき認識を連発したのがこの傍聴記ではおなじみの西川京子氏(自民)で、「戦勝国が敗戦国の憲法をつくるという行為は国際法上明らかに違反している」、「日本人の精神性をだめにすることが占領国の最大目的であった」、「東京裁判以前に侵略戦争という概念はなく、侵略という定義も学説ではしっかりしていない」などという珍説を開陳し、笠井亮氏(共産)から「ぜひその発言をアジア諸国に行って、あるいは国連の場でしていただきたい。どういう反響があるかをよく体験していただきたい」とたしなめられる始末でした。

次回審査会では自民党改憲草案がテーマに
最後に指摘しておきたいのが、次回、5月23日(木)に行われる憲法審査会のテーマの一つが「緊急事態と憲法をめぐる諸問題」とされていることの問題性です。
あらためて言うまでもなく、日本国憲法に緊急事態に関する規定はありません。つまり、緊急事態の問題をこれまで審議されてきた憲法の各条章と同様に取り上げて議論するということは、それに一つの章を充てている自民党の改憲草案の存在を前提にしているということであり、憲法審査会が実質的にはすでに改憲審査会になっているということだと思います。
このように、改憲情勢は本当に緊迫しています。国会の動向をしっかり監視して、効果的な運動を組み立てていけるようがんばっていきましょう。(G)


●次回の衆議院・憲法審査会の予定
とき◆5月23日(木)午前9時開会
ところ◆国会内
内容◆①緊急事態と憲法をめぐる諸問題
    ②国会と司法の関係をめぐる諸問題(裁判官弾劾裁判所及び裁判官訴追委員会等)
    *それぞれ、法制局説明、各派意見表明、自由討議

●審議状況は衆議院インターネットテレビで見ることができます。
→http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=42759&media_type=fp












経産省、財務省など国は「経産省まえテントひろば」に対して、テント撤去と土地明け渡し請求の裁判を申し立てました。「テントひろば」は訴訟の取り下げを要求して、5月16日(木)午前10時~5月22日(水)正午まで抗議のハンストに入りました。

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5月16日10時、テント前に勢ぞろいしたハンスト参加者は「ハンスト実行式」を行いました。まず、ハンスト宣言が読み上げられ、続いて勢揃いした人たちがそれぞれ発言しました。

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国から「被告」とされた渕上さん(下写真左)は次のように言いました。
「福島の原発事故から2年、なにも解決してないのに、もう終わったんだ、復興なんだという状況だ。デタラメだ。除染した、帰還しよう、というキャンペーンには福島の人たち自身が到底納得できないと思う。補償も生活の取り戻し方もなにも方策が示されてない。そういう状況なのに、このテントの撤去が訴えられた。
規制委員会が出来たが、彼らも再稼働に動いている。例えば、敦賀の活断層の指摘を免罪符にして他の原発の再稼働はいいとなりかねない。テント撤去と闘いますが、再稼働させない闘いもやっていかなければならない。
去年の8月からそこに監視カメラがつけられたが、5月10日の金曜行動の日にそのカメラの下の台に座っていたAさんが不当逮捕された。経産省の役人が「座るな!」と言いながらAさんの顔写真をしつこく撮ったので、Aさんが抗議したところ、手が当たって彼らのカメラを壊したと言いがかりをつけ逮捕していった。本当に許せない。このハンストはテント撤去に対してと、大事な仲間を取り戻すためのものでもある。」

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また、この日朝、郡山から来た黒田節子さん(上写真右)は次のように訴えました。
「郡山は新緑でまぶしいほどに美しい。でも、市内中心部の公園などは0.6~1.0マイクロシーベルト/hを越える。除染したあとでも1.0をこえるところはそこらじゅうにあります。“除染前は2.0以上だったが下がった”と立て札を建てているが、その数値をそのまま信用している人少ない。
このテントで、私たち福島の者は原発事故後、全国に散らばった人たちとつながりました。福島に残らざるを得なかったものにとっては、ここは本当に活動を保障してくれる場でもあります。2011年10月末、原発いらない福島の女たちはここで3日間の座り込みをすることができました。その後、とつきとおか、ダイイン、リレーハンストとさまざまなことをここを拠点にしてやることができました。ここはいろんな情報交換の場であり、世界中の人々との出会いの場でもありました。いろんな活動の仕方を学ぶ場でもありました。ここは訴えられた2人の占有場所ではありません。ここをむりやり撤去指させようとする、そんなことは断じて許されることではないと思っています。
福島現地ではますます大変さが増してきています。いろんなレベルで私たちの分断が図られてきています。ここの場で、訴えたり、泣いたり、叫んだりしていきたいと思います。」

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その後、ハンスト者たちは集まった支援の人々と交流しました。郡山の橋本あきさん、双葉町から東京に避難してきている亀屋幸子さん、いわき市で被災し今は東京に住む高橋幸子さんらも加わり、一時は20数人がテント前に勢揃いしました。
午後7時にこの日の行動を終わり、それ以降は、身体を休めたり、家に帰ったりしました。

ハンストは「テント前でハンスト どこでもハンスト」と呼びかけたので、「ギニアでハンスト」の連絡があったり、「よそものネット・フランス」(外国に住む日本人たちの脱原発ネットワーク・フランス部)からメッセージが届いたりしました。

この日の夜は隔週木曜日に行われている「霞ヶ関から愛を叫ぼう」のロックコンサートが小雨の中で行われました。第一日が終わりました。(T)

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