『百万人署名運動全国通信』2015年1月号に寄せられた「怒りの島・沖縄レポート④」を紹介します。
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退任4日前の2014年12月5日、仲井真知事は名護市辺野古の新基地建設に向けた埋め立て工事の変更申請3件のうち、2件を承認した。
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辺野古新基地反対の県庁包囲行動(12月4日)

約3週間前、県民から10万票差で辺野古「NO」を突きつけられても、居直り、この姑息なやり方こそ、日本政府・安倍の方針であろう。案の定、県民は12月14日の衆院選で1区~4区すべての自民党候補者を全滅させた。安倍の先兵・仲井真は12月9日、県民から方言で「ハジチラー」(恥知らず)など怒号の中、県庁から叩き出された。これが沖縄の怒りであり、安倍に対する沖縄県民の回答だ。

だが、日本政府は姑息にも、「翁長新知事」に配慮すると見せかけ「12月の辺野古沿岸の埋め立て作業を見送る」と語り、この新年から「埋め立ての調査作業」を強行しようとしている。

一方、前号で報告した東村の高江では、「ヘリパッド」の工事で工事車両の集落の通行を認めない。体を張っても阻止すると、村が表明した。高江もまた激突は不可避である。


「アベノミクス」と沖縄

本土の大手マスコミは「アベノミクス」とかで安倍首相を持ち上げているが、沖縄の現状は基地があるがゆえの、いびつな産業構造になっている。

内閣府によると、2011年度の沖縄県の県民所得は全国で最下位の年202万円。ちなみに全国平均は291万円で、1位は東京の437万円である。

復帰後42年間で10兆8千億円の国の振興予算が投入されてきたが、格差は依然として解消されていない。14年10月に沖縄県の最低賃金が改正されたが、それでも時給677円である。沖縄県の雇用者に占める非正規の比率は、各種統計によるとおおむね40%台前半とみられ、全国一高い。
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県内で働く若者の2人に1人は非正規雇用であり、その大半が最低賃金すれすれの状態で雇用されている。筆者の知人の若夫婦は2人とも契約社員で、2人合わせて手取り25万円。その中からアパート代(6万円)と保育料(2万円)を出費すると、生活するのがやっとだという。

政府は、辺野古の埋め立てに伴う漁業補償金30億円(1人当たり3200万円)を払いながら(私たちの税金だが)、沖縄の失業率の改善や若者の労働条件の改善にはなんら取り組もうとしない。「アベノミクス」どころか、「基地の強制と貧困の連鎖」がここにはある。

この矛盾とカオスの中で2015年を迎える。安倍首相は「戦後70年」を意識して、憲法改悪・戦争政策を推し進めてくるだろう。だが沖縄にとっては「沖縄戦から70年」であり、戦(いくさ)世(ゆう)は終わっていない。

(百万人署名運動・沖縄の会 金城)