2009年の卒業式・入学式を目前に控えて、都教委の「10.23通達」撤回をたたかう教職員・市民の集会が、2月8日(日)午後、東京の全電通会館で開かれました。毎年この時期に開かれている「石原・大原都教委の暴走をとめよう!都教委包囲・首都圏ネット」主催の集会です。280名が参加し、改悪教育基本法の実働化阻止のため、「日の丸・君が代」不起立を含む様々な戦術を駆使して闘おうと誓い合いました。
 3時間で発言者24名、しかも北海道・宮城・新潟・東京・神奈川・三重・愛知・京都・大阪・福岡と全国各地からの報告と中味の濃い集会でした。
 いくつか印象に残った発言内容を紹介します。

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●都高教のNさん…「主任教諭」問題について
 「昨年暮れ、給与問題に絡んで都から新たな主任制度導入が強要された。都高教は反対してきたが、都労連が妥結をしてしまった翌朝から職場の雰囲気はガラッと変わってしまった。それまではストを構えて、こんなの飲めるかと反対していたのに、一夜明けたら、今度はどうやって主任になるかという流れに変わってしまった。」とのこと。
 この制度は、賃金格差をつけて教育労働者を分断し、校長の指示に従順に従わない教員を排除していくことに使われる攻撃だというのに、組合の指導部が絶対反対で闘い抜けなかったということです。闘わないことで、さらに学校内のあり方が根本から崩される。Nさんの憤りを感じました。

●町田教組のKさん…「分限指針」について
 昨今の分限処分指針は公務員バッシングと相まって“何でもあり”になっている。休暇の取り方一つでも処分の対象になる。今職場にはいろんな労働形態の人がたくさん入ってきているが、安い賃金で安上がりに教育を済ませようという考え方だ。使い捨てでドンドン首を切りそういう人で穴埋めをしていこうとしている。それに分限指針が使われる。
 そして、一番は「君が代」不起立者への適用が狙われているということ。事実この分限指針は昨年7月15日の「君が代」不起立者の強制研修で初めて読み上げられたのだ。昨年の根津さんへの「君が代」解雇は阻止できたが、今年はこの分限指針による可能性が高い。全公務員にかけられた攻撃だがその一発目を阻止すれば空文化できる。何としても根津さんへの分限解雇を阻止しよう。

●大阪教育合同労組のTさん
 橋下府政は、府立高校で働く非常勤の教務事務補助員等を09年3月末で雇い止めにし、約340人全員を解雇する決定を行った。さらに非常勤の職員の賃下げなどを言ってきた。それらの撤回を求めて昨年7月15日にストライキで闘った。大阪府教委に対するストライキとしては29年ぶりだ。当日は当該20名と支援200名で府庁前で座り込み、集会を行った。自らが作ってきた財政難のツケを府民・労働者に押しつけることなど許されない。管理職手当など無くして解雇をやめろと闘っていく。

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そして、今年の卒・入学式に向けて、被処分者の教員たちの決意表明がありました。
●根津公子さん
 私は今年も起立はしません。それは子どもたちへの教員としての責任と考えているからです。子どもたちにウソはつけない。また、若い教員たちに対する私たちの年代の責任ということ、その一つに「日の丸・君が代」問題をどう考えるかということがある。都教委は不起立ゼロにしようとしているわけだから、いや私は反対だよということをしっかり示していきたい。
 今年は、私に対して都教委は分限免職ということを一番考えていると思う。皆さんにお願いしたい。そんなことはおかしい、やめろとぜひ都教委に声を集中してください。都教委は最初、3回不起立をしたら免職だと言った。でもそれをはね返してきた。去年は停職6ヶ月の次はもうないのと言ってきた。累積加重処分なので次は免職しかなかった。でも、クビを阻止することができた。これは大勢の人達が立ちあがったからです。その力が都教委にストップをかけた。今年、分限免職処分を使わせなかったら、他で使えないと思う。都教委に今回使わせないために力を貸してください。一緒に都教委の暴走をとめましょう。

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●河原井純子さん
 養護学校義務化でそれまで働いていた施設が閉院され、教員になった。その時、口先だけの教員にはなるまいと決意した。主任制攻撃と闘いながら、命令・強制・差別のない教育をめざしてきた。学校現場は反権力・反差別であるべきという確認があった。都教委は言うとおりの教員づくりの総仕上げをしたかもしれない、しかし、“あきらめない”という教員が多くいる。
 そして、自作の「雑木林の決意」を朗読されました。「…社会・学校は雑木林でありたい。多種多様な雑木が共存できる雑木林。…私たちは決してあきらめない。トコトン対話する。…雑木林は戦争への道を拒否する。10.23通達に服従しない。雑木林が雑木林であり続けるために。…私が私で生き続けるために。…」

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●Wさん
 ちょっとのことでもおかしいということを見過ごさずに闘っていきたい。いろんな形で闘い続けることが大事と思う。私は、職場基盤を失わない、この闘いを教員だけの闘いにしない、不起立を自己目的化はしない、ということを肝に命じ悩みながらやってきた。不当な処分には地域に見える形で反撃していきたい。地道にあきらめず闘い状況を変えるためにがんばろう。

●Kさん
 裁判での準備書面を読むと都教委がいかに憲法をねじ曲げて引用しているかがわかる。彼らは処分は合憲・合法と言っている。憲法前文、憲法1条、国旗国歌法を使って。まず(前文)「われらの安全と生存を保持しようと決意し、…国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。」、それのためには、日本人としての自覚、国を愛する心を持つこと、これが大事だと言っている。そして(第1条)「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴である」と、だから、学校の中で入学式・卒業式で「日の丸」を掲げ「君が代」を斉唱することは、これにかなっているんだと言っている。2003年12月にイラクのサマーワに自衛隊を派遣するときも、政府は憲法前文を引用していた。「自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって…」(前文)と。これに対し並み居る新聞記者は何の反論もしなかった。
 憲法99条で公務員は憲法を擁護する義務がある。私たちが不起立を続けていくということは、都教委が憲法を遵守しているのか、私たちが憲法を遵守しているのかを天下に明らかにすることだと思う。そういう点で重要なことだ。
 06年教育基本法の改悪では、国民に対して私たちが直接責任を負って教育を行うんだということと、憲法の理想というものは教育の力に待つべきものだ、という点が削除された。憲法と国民から遮断された教育が、教員免許の更新制等によって作られようとしている。これに対して全面的に対抗していかなくてはならないと思う。なにより学校現場が都教委の言いなりになっていてはいけない。現場の教員こそが責任を持って行動していくべきだ。