自衛隊の武器使用のエスカレート、実質9条改憲を狙う「海賊対処法案」が、今日(23日)の昼、衆議院特別委員会で採決強行され、直ちに午後の衆院本会議で採決、自民・公明両党の賛成多数で可決されました。こんなに早い審議で衆議院を通過したのは、政府案に反対したとはいえ、この海賊対処問題に民主党も積極的に賛成しているからです。本当に怒りが沸いてきます。日本の国会を占めている大多数の国会議員が、9条を破壊しようとする法案の成立に喜々として賛成している。恐るべき光景です。
 午前中の「海賊対処・テロ防止特別委員会」で、民主党の長島議員は「より良い法案を作り自衛隊を海外に送り出していきたい」と言い、「海賊行為」と認定しきれない段階から武器を使った「警告射撃」「停船命令」「立ち入り検査」があり得ると言い、結果「海賊」でなく反政府組織の一員(テロリスト)だったとしても、それまでの行為は9条違反にはならないか、と質問しました。これに対し、宮崎内閣法制局長官は「合理的に判断したのなら、さかのぼって違法性・違憲性が生じることはない」と答えたのです!麻生首相も「それに至る過程で十分にあぶないとかあれば、9条違反にはならない」と。こういう形で、ペテン的なやり方で、実質的な9条改憲が進んでいます。ここと対決していかなければならない。
 また、海賊対処と言いながら、初めから対テロ戦争の「テロリスト」も念頭に置いているのだと気づかされました。私たちはリアルなイメージが弱いですが、ソマリア沖アデン湾は、米海軍第五艦隊配属の「合同任務部隊150」(対テロ戦争「不朽の自由作戦」の一部)が展開している地域なのです。そこに、自衛隊が、この海賊対処法案で「武器の先制使用」のお墨付きを得て展開することになる。想像しただけでも恐ろしいことです。
 同じ委員会の中で、中谷元・元防衛庁長官は「世界が混迷になれば、日本も混迷になって身を滅ぼしてしまう。単にコストとかお金を負担するだけでは、国際社会の中で日本は存在感を持ち得ない。リスクを共有して初めて発言権を得られる」と言っていました。「リスク」とは、「自衛官の死」ということでしょうか。「国際社会」とは、世界大恐慌の中で労働者民衆を犠牲にして生き延びていこうとしている資本主義・帝国主義社会のことです。
 翼賛国会を弾劾しぬき、職場・地域・学園で、資本の反動と悪政をはねのける闘いを強めましょう!裁判員制度をひっくり返す闘いも、既成政党の外から始まったのです。(事務局S)