6月13日(日)、東京・文京シビックホールで「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動」のスタート集会が開かれました。全国の職場・学園から1635人が参加し、解雇撤回なき政治和解を拒否した国労闘争団員、動労千葉争議団を守り抜き、国鉄分割・民営化反対の新たな全国運動を闘い抜こう!と確認しました。
 1987年4月に強行された「国鉄分割・民営化」は、首切りと労組つぶし攻撃そのものでした。それが悪名高い「国鉄改革法23条」で合法的に行われたのです。国鉄(日本国有鉄道)を、6つの地域別の旅客鉄道会社と1つの貨物鉄道会社に分割して民営化する。国鉄が採用名簿を作り、それに基づいてJRが採用する。約27万7000人の国鉄職員のうちJRに再就職できるのは約20万人であり、その過程で徹底的な組合差別、不当労働行為が公然と行われたのです。約200人もの自殺者がでたという痛ましい現実が、その非人間的な攻撃内容を突きだしています。分割民営化に賛成した元動労本部(現JR総連)派の卑劣ないやがらせもありました。後日、中曽根康弘元首相は「(分割・民営化は)国労が崩壊すれば、総評も崩壊すると明確に意識してやった」と豪語しています。
 1990年3月31日に最終的に解雇された1047名の国鉄労働者は各地で闘争団を作り、「解雇撤回・現職復帰」を求めて闘いを開始しました。以来24年、JR資本と国を相手にした長期にわたる闘いとなりました。争議団9名をかかえる動労千葉は、この過程で鉄道業務の外注化攻撃を第2の国鉄分割民営化ととらえ、ストライキを配して闘い抜き打ち破ってきました。
 ところが数年前から、この原則的に闘う動労千葉を排除した4者4団体(国労闘争団裁判の原告団と支援共闘団体など)がつくられ、急速に政治和解路線が進められてきました。結果、今年4月9日に4党(民主・社民・国民新・公明)と政府間で「合意」が成立しましたが、その内容は解雇撤回も謝罪もないひどいものでした。闘争主体である闘争団員一人一人にとって決して「納得のいく解決」ではなかったはずです。しかし、3日後、4者4団体はこの「解決案」の受け入れを表明し、闘争団員一人一人に、すべての訴訟を取り下げる、不当労働行為や雇用の存在を二度と争わない、雇用については努力するが保証できないという条件付きの「解決案」受け入れの署名を求めました。

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  「こんなものは認められない!」と署名を拒否した6名の国労闘争団員のうち4名が、13日の集会に参加、闘いへの決意を述べました。九州・小倉闘争団の羽廣憲さんは「解雇撤回がなければハンを押す必要はない。」と明快でした。秋田闘争団の小玉忠憲さんは「分割・民営化で徹底的に人を減らし、乗客を殺してきたJR体制をぶっ飛ばすのが1047名闘争だ!」と闘いへの確信を力強く語りました。みんな「自分たちには信頼できる仲間と展望がある」と明るかったのが印象的でした。
 「解決案」から外された動労千葉争議団も登壇し3名が決意表明。中村仁さんは「一人の労働者の首切りも許さないと闘って解雇された。その魂が資本により崩されようとしている。私たち労働者は資本と非和解の存在だ。原則を曲げないで闘おう」と訴えました。

 集会の司会は、中村吉政さん(全国金属機械労組港合同副委員長)と長田敏之さん(動労千葉書記長)。新たな全国運動―「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動」の呼びかけ人を中心に進められました。伊藤晃さん(日本近代史研究者)、宇都宮理さん(愛媛県職員労組委員長)、金元重さん(韓国労働運動史研究家)、鈴木達夫さん(弁護士)、高山俊吉さん(弁護士)から決意が述べられ、北原鉱治さん(三里塚芝山連合空港反対同盟事務局長)からのメッセージが紹介されました。また、葉山岳夫さん(弁護士)が開会のあいさつで、入江史郎さん(スタンダード・ヴァキューム石油自主労組委員長)がカンパアピールで、高英男さん(全日本建設運輸連帯労組関西生コン支部副委員長)が閉会のあいさつで決意を述べました。そして、山本弘行さん(動労千葉を支援する会事務局長)から全国運動の趣旨・目的などが提起されました。呼びかけ人には、海外からも、ジャック・へイマンさん(国際港湾倉庫労組ローカル10執行委員)、韓国・民主労総傘下の主要な労組代表32人が名前を連ねています。

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 集会冒頭で、動労千葉の田中康広委員長から新たな闘いに向けての訴えがありました。田中さんは「中曽根がよくやったという和解、今回の和解は間違っている。闘争団を責める気は全くないが、国労本部、幹部は本当にこれでよかったのか。尼崎(事故問題)について口をつぐんでいる。労働組合とはいったい何なのか。自分たちだけでいいんだとなるのはおかしい。労働組合の決定的な変質につながる。」「労働組合が何をするのか。新しい運動をするしかない。団結を守っていく道をさぐろう。怒りの声を国鉄闘争を中心に集めよう!」と全国の労働者に呼びかけました。
 全国の職場・学園で闘う仲間からも元気な決意の表明がありました。西川重則さん(百万人署名運動事務局長)も教会から駆けつけ連帯のアピールに立ちました。

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