8月2日(月)、就任後8月15日に靖国神社への参拝を繰り返している石原慎太郎都知事に対し、「今年こそ中止するように」と要請する行動がありました。「政教分離の侵害を監視する全国会議」「日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会」「平和遺族会全国連絡会」の3団体が呼びかけて毎年行われているものです。今年はこの趣旨に45団体が賛同(百万人署名運動も賛同)、当日都庁内で集会と申し入れを行いました。

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 集会には約40名ほどが参加、呼びかけ団体や賛同団体からのアピールがありました。政教分離の会常任幹事の権田一正さんは「憲法20条3項で国及びその機関はいかなる宗教的活動もしてはならないと明記されている。1300万人代表の都知事として靖国神社を参拝することは憲法違反、石原知事はそれを承知の上で参拝をくり返しており許せない」と弾劾。平和遺族会全国連絡会代表の西川重則さんは「1985年に中曽根元首相が全閣僚と共に靖国参拝をやったが、公に携わるすべての人は憲法尊重の義務があり(憲法99条)、国と宗教を分離して政治を行うべきだ」と厳しく批判。

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 NCC靖国神社問題委員会委員長の辻子実さんからは「砂川政教分離訴訟の最高裁での違憲判決以降、北海道だけでも神社に無償で公有地を貸しているところが200カ所以上あることが判明している。東京都有地においての詳細を求める要望をしたい」と提案がありました。
 申し入れには、都側からは昨年と同じ、知事本局・総務部・知事秘書課の豊田さんという若い男性が対応しました。各団体が改めて要請内容を述べ、西川さんも「靖国神社は都知事の認証行為によって宗教法人とされているが、宗教法人法はアジアへの侵略・加害の歴史の事実に基づいて作られたものだ」と指摘。要望書や声明を手渡し、ぜひ文書での回答がほしいと申し入れました。

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 しかし、豊田秘書は「日々多くいただいていて、すべてにわたっての回答は難しく、お約束しかねます」と固辞。ちなみに昨年石原都知事に要望内容を伝えてもらった時の都知事の反応を聞いたところ、豊田秘書は「とくにコメントはありませんでした」と、極めてクールな対応でした。
 靖国神社問題は、過去の戦争をどう観るかということであり、新たに起きている問題はこれからの戦争体制づくりと直結しています。反戦をたたかう私たちにとっても重要な課題、共に抗議の声をあげていきましょう。下記に石原都知事宛に提出した声明文を添付しておきます。(事務局 S)

●石原都知事の靖国神社参拝に反対し、中止を求める声明

 石原慎太郎都知事は就任以来、毎年8月15日に、宗教法人靖国神社に参拝をくり返して、今年で10回になります(昨年はオリンピック関連の欧州視察で参拝せず)。この行為は、日本国憲法第20条(政教分離原則)に違反するものであり、私たちはそのつど都知事に対して強く反対し、中止を求めてきました。
 私たちは、改めて以下の理由によって、都知事の参拝に断固反対し、強く中止を求めまます。

1、都知事が靖国神社に参拝をする理由として、戦没者遺族の要請をあげ、参拝に賛成する都議会議員や都民の存在があることも挙げています。
 しかしそれは、同じ戦没者遺族でも参拝に反対する戦没者遺族がおり、同様に都議会議員や都民の中にも参拝に反対する人々がいることを無視するものです。

 2、私たちは、このような現状を都知事が認識することをまず求めます。さらに、「宗教事項は多数決になじまない」と言われています。参拝を求める者が多い、少ないといったことではなく、日本国憲法第20条(政教分離原則)に明記されるに至った「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」という国家と宗教の不関与の原則を正しく解釈し、正しく適用することこそ、都知事に強く求められていることを改めて要望します。
 一方靖国神社は、都知事の重要な職務である宗教法人としての「認証」の手続きを経て、神社神道としての宗教活動を行い、現在に至っていることを、私たちは毎回確認しています。したがって、都知事が靖国神社に参拝をくり返すことは、憲法の「政教分離原則」違反であるだけでなく、「認証」の手続きに責任を持つ都知事として自己矛盾以外の何ものでもありません。

 3、靖国神社は今なお、かつての侵略・加害の戦争に際し、「軍国主義の精神的支柱」としての役割を担った「負」の遺産を清算することなく、空しく尊い生命を奪われた戦死・戦病死者を「英霊」(祭神)とたたえ、「慰霊」と顕彰の対象として合祀しています。しかも、合祀を拒否する日本人及び旧植民地出身の戦没者遺族や遺児の願いを無視し続けていることは、到底看過できません。
 同様に、多くの外国人が共に生活する1300万人を超える巨大国際都市・東京の知事が、A級戦争犯罪人を「神」として祀り、アジアヘの侵略戦争を「自衛」の戦争として美化し続けている靖国神社に参拝をくり返すことの影響は大きく、戦争被害者を悼(いた)む方々の悲しみ・憤りの心をさらに傷つけ、和解と共生に逆行していることは明らかです。
 鳩山前首相及び全閣僚が在任中に靖国神社参拝をしなかったこと、さらに菅現首相が参拝しないと国会で答弁したのはむしろ当然と言うべきでしょう。

 4、各地で起こされた小泉首相(当村)の靖国参拝の違憲性を問う訴訟で、憲法判断に踏み込んだ判決(福岡地裁、大阪高裁)はいずれも「継続したら違憲」「参拝は憲法違反」と断じ、確定しています。これは、自治体の長である石原都知事の靖国参拝も違憲とされたに等しいものです。
 アジアの中の日本のあり方が厳しく問われている時に、都知事が上記のことを心に刻み、憲法第99条「憲法尊重擁護義務」を再確認し、靖国神社参拝を中止されるよう強く求めてやみません。
 
                                2010年8月2日
  東京都知事 石原慎太郎殿