2月9日(木)、東京北部連絡会は賛同人3名で、地域内の都立高校11校を訪問し、卒業式・入学式で「日の丸・君が代」を強制しないよう校長に申し入れ、あわせて労働組合を激励する活動を行いました。
残念ながら、校長に直接「申し入れ書」を手渡せた高校はゼロ、分会員とお話しできたのも11校中3校だけで、多くの高校では事務室(都教委では数年前から「経営企画室」と称しています)に資料を預け、校長及び分会に届けてもらうよう依頼する形になりました。
事務室の窓口を訪ねて取り次ぎを依頼すると、事務職員が手の空いている教員を探してくれるのですが、それでもなかなか面会できないのは、教員があまりにも多忙であることが大きな要因だと思います。こうした傾向は年々ひどくなるように感じています。

2月5日(日)には、都教委包囲ネットが主催した『10・23通達撤回!「君が代」処分撤回!総決起集会』に参加し、全国各地でけっしてあきらめることなく闘いを続けてこられた教職員の皆さんの報告・発言を聞きました。

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私たちの高校キャラバン活動は連絡会結成直後の08年から実施しています。この間、情勢がなかなか好転しないことに意気消沈しそうになることもないとは言えませんが、私たちは、理不尽な強制・処分が無くならない限り、闘う教職員の方々とともに断固それに反対するのだという意思を表明しつづけることが重要であると考えています。
特に今回は最高裁で河原井さん・根津さんの06年停職裁判等の不当判決があった直後であり、また、やはり最高裁で予防訴訟の不当判決が言い渡されたまさにその日の活動となっただけに、その意味は大きかったのではないかと思います。今後残り14校にも訪問し、申し入れをしていくつもりです。(東京北部連絡会 G)

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東京都立高等学校校長殿
            申し入れ書

 私たちは、「日の丸・君が代」の強制に反対する、労働運動や市民運動を行っている東京北部地域の団体です。
 東京都教育委員会は、2003年10月23日付の「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」において、「実施指針」として、「日の丸」を舞台壇上正面に掲げること、ピアノ伴奏等により「君が代」を「起立」して斉唱すること等を示すとともに、この通達に基づく校長の「職務命令」に従わない場合は「服務上の責任」を問われることを教職員に周知すること等を学校長に命じました。
 私たちは、この通達の発出とそれによる卒業式・入学式での「日の丸・君が代」の強制は、当時の小泉政権が民営化・労組破壊と規制緩和によって資本主義体制の危機と矛盾を労働者に転化しようとして推し進めた「新自由主義政策」を教育現場にまで適用しようとしたものであり、石原都知事と都教育委員会が、「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンの下で築かれてきた戦後日本の教育労働運動を破壊しようとして強行したものにほかならないと考えています。
 実際にその後の8年間で、「職務命令」に従わなかったとして450人近くもの教職員が、職場を奪われ、職場を飛ばされ、あるいは減給などの処分によって生活を脅かされています。私たちはこのような事態を看過することは断じてできません。
 アメリカ発の金融大恐慌の爆発に直撃された大資本を救済するため、世界中の国々で膨大な国家資金が投入されましたが、その結果、欧州危機をはじめとして各国は軒並み国家財政の破綻をきたし、新たな経済対策を打てないどころか国家破産の危機に陥っており、今や世界経済は大恐慌のさらなる激化・深化の真只中に入っています。
 しかも日本では昨年の3・11大震災と福島第一原発の大事故によって多くの人々が被災し、避難生活を余儀なくされています。この大震災の被害と原発大事故は、「新自由主義政策」の下での野放図な開発と事業展開の中で引き起こされた人災であり、まさに新自由主義の破産そのものです。
 この中でエジプト・中東を先頭に全世界で膨大な労働者・民衆が新自由主義に反対して決起を開始しています。ここに資本主義の延命策である「新自由主義政策」は完全に破綻しました。
 今、私たちはこのように大きな歴史の転換点に立たされており、大恐慌から戦争への道に陥ってしまうのか、それとも、これを阻止するための抜本的な社会変革を行うのかの選択を迫られています。
 こうした情勢の下、日本の教育をめぐって今、何が起きているのでしょうか。労働者の所得は大幅に減少し、職場を失う者も少なくありません。多くの子どもたちが経済的な理由から充分な教育を受けられない時代が始まっており、「貧困の連鎖」が重大な社会問題になっています。
 こうした中、教育には競争や選別ではなく真の意味での平等が求められています。教員が人間としての誇りと尊厳を持ち、心のゆとりを持って活き活きと子供たちと向き合うことなしに、本当の教育は成り立ちません。管理や強制で教育できるなどという考えは権力者や管理者の思い上がりです。

 今年も卒業式・入学式の時期が目前に迫ってきました。この時にあたり、私たちは、すべての学校長殿に以下の3点を申し入れ、その実行を要求します。
一、「日の丸・君が代」強制の職務命令を出さないで(撤回して)ください。
教職員の声に耳を傾け、話し合ってください。
一、卒業式・入学式で、教職員、生徒、保護者に対して、「日の丸・君が代」を強制しないでください。
一、処分を導く、都教委への報告とそのための監視をしないでください。
「日の丸・君が代」の強制を拒否した教職員への処分に協力しないでください。
以上

2012年2月9日
とめよう戦争への道!百万人署名運動・東京北部連絡会