3月22日(木)朝10時から、衆議院で今国会3回目の憲法審査会が開催されました。
今回は、19日(月)には衆院憲法審査会のホームページで開催日時が告知されていたためか、前々回、前回を上回る20人以上の傍聴者が集まり、百万人署名運動では西川事務局長をはじめ4名が参加しました。
しかし、委員の出席状況は憲法審査会としてはこれまでで最悪で、常時3割ほどの空席がありました。特にひどかったのは自民党で、11時過ぎには、13名の委員中2~3名しか出席していないという状態になりました。1999年から国会傍聴を続けている西川さんによれば、自民党には興味・関心のない会議には参加しない議員が多いそうで(採決のあるときには大挙して出席するそうですが)、これが国会の常態であるとのことです。

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今回のテーマは、前々回に引き続き「選挙権年齢・成年年齢の18歳への引下げに係る課題」でしたが、今回は特に「教育問題」を中心に議論が行われました。
最初に、「小中高校の教育課程における憲法教育等」について文部科学省、「若年者に対する法教育」について法務省(大臣官房)、「若年者に対する消費者教育」について消費者庁の幹部がそれぞれの実施状況等を、続いて「少年法の適用対象年齢」について法務省(刑事局)の幹部が省内での検討状況を説明し、その後、自由討議(質疑、意見表明)が行われました。

自由討議では、前々回と同様に、選挙権年齢の引下げについては賛成の立場からの意見が大勢を占め、例えば笠井亮氏(共産党)は、選挙権年齢が20歳以上というのは世界の潮流に大きく立ち後れており、この問題は改憲の議論とは切り離して別の場できちんと検討すべきだと主張しました。ただひとり懐疑的な見解を披瀝したのが自民党で憲法改正推進本部長を務めている保利耕輔氏で、彼は「18歳で憲法についてどのくらいの咀嚼(そしゃく)力があるのか」と述べ、さらに憲法教育において「中立性」が成立するのかにも疑問を呈して、「例えば憲法前文の『日本国民は……平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』という一文がどういう意味かと生徒に問われたら先生はどう答えるのか」と発言しました。
国民投票法成立時の宿題のひとつである選挙権年齢の引下げについて改憲派の中心人物のひとりが消極的で、改憲反対派の方が積極的であるというのは、皮肉な巡り合わせだと感じました。

一方、成人年齢の引下げについては賛否両論があり、特に少年法の適用対象年齢の引下げについて照屋寛徳氏(社民党)が、少年の健全な育成という法の目的に照らして明確な反対意見を表明したことが印象に残りました。この点については、法務省も上記の説明の中で「現段階において、少年法の適用対象年齢を引き下げる積極的な必要性までは認められない」との立場を明らかにしました。
そのほかにも様々な議論が交わされ、今回の審査会は予定時間の12時に終了しました。(G)

●3.22衆議院憲法審査会ビデオライブラリー
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