10月7日の日曜日、三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかけた成田現地集会に参加しました。京成「成田」駅から一日に3~4本しかないコミュニティバスに乗って行きました。バスは15分ほどで空港建設予定地内・天神峰で唯一居住し営農を続ける市東孝雄さん宅前を通ります。
こんもりとした木々に囲まれて市東さん宅があります。

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成田空港建設は「国策」として暴力的に強行されました。政府は、反対する農民の農地を土地収用法で国家暴力をフル動員して奪い、農民の生活と営農を破壊したのです。しかし、三里塚芝山連合空港反対同盟は健在で、現在なおこの不当な空港建設、農民殺し政策に反対し闘い続けています。
反対同盟の原則は「農地死守・実力闘争・いっさいの話し合い拒否」ですが、孝雄さんのお父さん(東市さん)はこれを貫いた方でした。東市さんの遺志を引き継いで孝雄さんが、いま天神峰に住み農業を続けています。この孝雄さんの生きる権利を国は奪うことはできません。
空港建設に関わる土地収用法の収用期限はもうとっくに切れています。しかし、国・成田空港会社は市東さんを追い出そうと、あの手この手と卑劣なやり方で襲いかかってきており、ついには第3誘導路なるものを建設して、市東さん宅を空港の中に強制的に取り込んでしまおうとしています。許せません。

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「天神峰」の次のバス停「東峰」で降りて、歩いて集会会場へ。バス停から会場までは5分くらいでした。会場は反対同盟農民の畑です。そこに現地の人たちが「仮設トイレ」も作ってくれていて助かります。
集会の途中、ひっきりなしに上空を大きなジェット機が飛び、その騒音で発言者の声が聞こえなくなります。こうした騒音下で生活する市東さんは本当に大変なことです。

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この日、市東孝雄さんは怒りをあらわにしていました。
「毎日重機が動いているが、工事の認可のとり方は法律的にデタラメ。裁判所もグルで、はらわたが煮えくり返ることが一日中行われている。私は祖先からの土地を守り営農していく。こうした自分に何の不当性があるのか!」と。そして、「沖縄、反原発の闘いと連なって多くの人々の力で軍事空港をとめたい。その日まで私は闘う」と不屈の決意を述べられました。

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集会で開会挨拶をされた森田恒一さんは96歳。そして、主催者挨拶に立った北原鉱治事務局長も90歳です。御2人の力強い声と戦闘精神にはただただ感服でした。北原さんは(写真下)47年の三里塚闘争を振り返り、改めて、「みんな、生きる人間として貴重な存在だ。自分の人生を自分でつくろう」「声あるものは声をもって、勇気あるものは勇気をもって、闘っていこう」と呼びかけました。そして、「空港敷地内にまだ100ヶ所以上の闘う土地を持っている。1万年でも続くぞ」と三里塚闘争の展望を語りました。

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10月1日~5日まで、構内検修外注化反対のストライキを闘いぬいた動労千葉を代表して田中委員長から特別報告がありました。動労千葉はこの1ヶ月間、断続的な指名ストなど組合員の総決起で闘ってきました。本当に感動的な力強い歴史的な闘いでしたが、既成労働団体はこれを無視しマスコミも全く報じませんでした。
ところが、海を越えた韓国でこの動労千葉の闘いを支持する連帯行動が闘われたのです。民主労総ソウル本部が日本大使館前で支持の記者会見、連日の「一人デモ」に立つなど、動労千葉の労働者に激励のエールを!「労働者に国境はない」ということが熱く感じられました。
発言に立った田中委員長は「国鉄分割民営化以降、労働者が非正規に突き落とされ、生活も家族もめちゃくちゃにされてきた。新自由主義的な政策によるものだ。しかし、ほとんどの労働組合が、これを容認し、手先となってきた。本当にくやしい。労働組合はこれをあいまいにしてはいけないんだ。自らの職場で民営化・外注化と真正面から闘おう。労働者は闘う力を持っている。そして無数の職場で闘えば粉砕できる」と訴えました。

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集会では、沖縄から、福島から、全国各地からの報告や決意表明がありました。
福島から参加された椎名千恵子さんは、子どもたちへの被曝を強制する復興キャンペーンへの怒りと生命への思いを語りました。「三里塚では命をはぐくむ大地が奪われ、沖縄では空が奪われ、福島では小さな生命が奪われようとしている」と。また渡辺馨さんは、山下俊一らの安全デマ・子どもをモルモットにしている福島の医療実態を弾劾し、生き抜くための診療所が必要と、協力を訴えました。
また、「全国農民会議」からの農民アピールもありました。

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さあデモに出発です。デモは、会場を出て東峰地区を回り、市東さん宅前を通って市東さんの畑まで、約50分くらいのコースです。

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東峰地区に入るとすぐ、直近をジェット機が通過していきました。ここにもまだ生活している人たちがいるのです!

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このトンネルも、上は滑走路か?先のほうのトンネルの上にゆっくり移動するジェット機が見えます。

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デモの解散地点です。市東さんの畑のすぐ向こうをジェット機が移動していました。
「命よりも金」という資本主義社会の本性、暴力性を体現する警察権力・資本・裁判所・行政と今も真っ向から闘いぬいている三里塚現地。行く度に地形は変わっていくけれど、不屈の闘魂は全く変わらず、いつも元気をもらいます。

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帰りは、バスに間に合うようにと急いでバス停へ向かいました。今度は「市内循環バス」で成田駅へ。これはいろんなホテルを巡っていくものでした。また来たときに乗った「コミュニティバス」もバス停は別でしたが、ちょうどよい時刻のものがありました。でもこれに乗り遅れると次は3時間後ですから、ドキドキものです。でもその時はその時で、何とかなるでしょう。
次の現地集会は3月24日(日)と呼びかけられました。みなさんぜひ参加しましょう!(S)