(前回のつづき)
第4章では二院制の是非や1票の格差が議論に
第4章について多くの議論がなされたのは、二院制の是非と衆院の選挙制度、特に高裁で違憲判決が相次いでいる1票の格差の問題でした。
前者については、一院制を主張した維新とみんな以外の党派は二院制を維持すべきとの立場でしたが、自民には一院制支持の意見を表明した委員もおり、衛藤征士郎氏は「ねじれ国会で何も決められない現状を踏まえて、速やかに一院にすべきだ」と述べて、昨年4月に国会を定数500人以下の一院制とする改憲案を超党派の議員130名で衆院議長に提出したことを紹介しました。

維新、みんなによる一院制採用の主張も、迅速な審議・意思決定の実現や議員定数の削減によるコストの圧縮を理由とするものでしたが、維新の提案は「首相公選制の導入」、みんなのそれは「地域分権と道州制の推進による国会の立法事項の限定」とセットになっています。特に公選された首相の下で少数の議員でどんどん結論を出していくことをよしとする維新の論理を突き詰めていけば、国会はいらないということになるのではないかと思いました。

この点に関連して、山口壯氏(民主)は、「イギリスの面積は日本の7割くらいだが小選挙区は625あって、本当の意味での小選挙区だと思う。サッチャーは、父親は乾物商だったが、選挙区を1軒1軒歩いて3度目の選挙でやっと当選した。メージャーも、曲芸師の息子で中学も中退したけれども、1軒1軒歩いて通っていった」と指摘し、議員は少ないほどいいという単純な議論に苦言を呈しました。

国会正門前
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1票の格差については、選挙区の設定にあたっては面積など「人口以外の要素も認めるべきだ」との高鳥修一委員(自民)の発言を皮切りにして、西川京子氏(自民)、篠原孝氏(民主)、泉原保二氏(自民)から、これに賛同する意見が相次ぎました。
1票の格差を容認する議員がたくさんいること自体憂慮すべきことだと思いますが、さらに驚かされたのは、中谷元氏(自民)の「三権分立上、民意の汲み上げ方に対して最高裁が違憲とか無効とか判定する権利があるのか疑問がある」という発言です。この人物は「とんでも論」の常連の一人ですが、ここまで非常識な言説となると滅多にお目にかかれるものではありません。

これに対して、畠中光成氏(みんな)は「国会議員は全国民の代表である」と反論し、西野弘一氏(維新)もこれに同調、笠井亮氏(共産)は「小選挙区制は民意をゆがめる非民主的な制度であり、比例代表制などへの抜本的な改革が必要だ」と述べました。
なお、畠中光成氏(みんな)は、第3章の審議の際にも「法の下の平等」の観点から「全国集計の比例代表制」の採用を主張しました。また、濵地雅一氏(公明)は、「選挙区では人口以外の面積や地域性をある程度勘案すべき」だが、「定数削減を含む選挙制度改革においては、比例代表制度の割合を維持すべきだ」という、どっちつかずの発言でお茶を濁していました。

そのほか、第4章をめぐっては、本会議の定足数の規定や国務大臣の出席義務を緩和すべきだ、衆参両院の役割分担を明確にするべきだ、衆参両院の選挙制度を異なるものとするべきだ、衆議院の優越性を広げるべきだ、会期のしばりを緩和して実質的な通年国会を実現すべきだ、自治体による条例の上書き権を認めるべきだ、少数会派でも国政調査権を発動できるようにするべきだ等の意見が出され、緊急事態についての規定が必要か否か、政党についての規定を加えるべきか否か等が議論されました。
また、笠井亮氏(共産)がこの国会で衆議院に設置された原子力問題調査特別委員会がまだ開催されていないことを指摘して、「国会の監視機能を強化し、遺憾なく発揮すべきだ」と述べたことが印象に残りました。(G)

●次回の衆議院・憲法審査会の予定

 とき:4月4日(木)午前9時開始
 ところ:国会内衆議院・委員会室
 内容: 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件
(日本国憲法の各条章のうち、第五章の論点)
 *傍聴希望者は、前日までに百万人署名運動事務局までご連絡ください。(T/F03-5211-5415)

●審議状況は衆議院インターネットテレビで見ることができます。
→http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=42541&media_type=fp