2014年8月15日午前、平和遺族会全国連絡会の8.15集会に参加するため、9時20分ごろ地下鉄九段下駅を下車した。会場の日本基督教団九段教会までは、靖国神社の大鳥居前を通って歩いて5分くらい。しかし、その間の光景は私にはとても「異様」だった。

この道で、さまざまなチラシを受け取った。
「安倍総理、靖国神社参拝を継続して下さい!」「『靖国神社』は国の心」と書かれた<英霊にこたえる会>のチラシと、櫻井よしこ氏の講演内容が載った同会の「たより」。
「憲法改正の国民的論議を!」という見出しの<日本会議>のチラシ。

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さらに、
「『南京大虐殺』はなかった!」という<幸福実現党>のマンガリーフ。
「すべての拉致被害者を救出するまで全力を尽くします!」という<特定失踪者問題調査会>チラシ。
「70年前の戦争は、日本の自衛の戦いで『大東亜戦争』といいます」と書かれた<新しい歴史教科書をつくる会>のチラシ。
「私たちは世界の平和のため集団的自衛権に賛成です」という見出しの<オンナが支える日本の会>のチラシ
「自治基本条例を断固、粉砕、撤廃へ追い込もう!」と書かれた<自治基本条例に反対する市民の会>のチラシ
「国民みんなが領土を守る意識を持ちましょう!」と書かれた<県土・領土を守る会>のチラシ
「中共の臓器狩り停止にご協力下さい!」という<NPO法人日本法輪大法学会>のチラシ。
「朝日新聞不買運動」「籾井会長に期待!」と書かれた<頑張れ日本!全国行動委員会>のチラシ。
「朝鮮人碑を完全撤去を求めます!」という<群馬の森の朝鮮人碑の撤去を求める県民の会>のチラシ、等々

次々と手渡されるチラシの見出しに、気分が悪くなりながら靖国神社の大鳥居の前に出たら、この光景。

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この4~5分間で、靖国の思想なるものを全身で浴びたような思いだった。


西川重則さんらは戦没者遺族の立場から、この靖国の思想と対決して「平和遺族会全国連絡会」を立ち上げられた(1986年7月7日)。以来、毎年敗戦の日に8.15集会を開いている。立ち上げからもうすぐ30年が経とうとしているが、今年は集団的自衛権容認の閣議決定直後の8.15集会であり、会場を埋め尽くす人々が参加した。

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この日は、代表の西川重則さんの講演が行われた。演題は「アジアは日本の侵略・加害の事実を忘れない~安倍政権と私たちの課題」。

西川さんは約1時間半、静かに、しかし断乎として、「戦争ではなく平和の道を進もう」と話された。西川さんは最愛のお兄さんをビルマでの戦病死で失い、「どうして兄がこんな形で若い命を奪われなくてはならなかったのか!」と、怒りを持って歴史を勉強されてきた。歴史の事実を共有しなければならないと、この日も、「対華21ヶ条の要求」、「満州事変」、「支那事変」、「重慶大爆撃」、その他の歴史の出来事についてその内容に触れながら、日本の侵略・加害の事実を明らかにした。また、今問題になっている領土問題についても、戦争との関係として論じられた。

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また、西川さんは、歴史の節々における昭和天皇の戦争責任を曖昧にせず、「兄を殺したのは天皇だ」と弾劾。そして、「『憲法の前文』には天皇という言葉は一切出てこない。主権在民だ」と指摘して、「象徴でしかない」とされた天皇を「元首」にとする動きはとんでもないこと、前文に基づいて書かれた個の尊厳、信教の自由等、現憲法を学習・習熟して、自民党案を徹底的に批判しなくてはならないと訴えた。

特に、国会議員やすべての公務員の憲法尊重擁護の義務(99条)について強調された。「これはすべての公務員が憲法に書かれている内容に習熟する義務があるというものだ」と指摘し、「いま、安倍内閣はじめ、国会としても、地方自治体としても、歴史認識が問われている。とりわけ地方自治の本旨(92条)が問われている」と訴えた。

最後に、私たちの課題として、戦争絶対反対!とは世界の平和を創り出すためではないか、では平和とは何か?と問い、「ある平和学の学者が<平和とは共に生きること>と書かれたが、私はそれに足して、加害の立場の人と、被害の立場の人が一緒になって共に生きるために努力することだと思う」と述べられ、そうやって、社会、世界をつくっていくことが、平和を創り出すことだと考えていると締めくくられた。(S)