10月22日(水)13時から参議院憲法審査会が開かれました。今国会2度目の開催でしたが、初回(9月29日)は会長、幹事の選任を行っただけでしたので、実質的にはこの日が今国会初めての審議となりました。なお、審査会の発足以来会長を務めていた小坂憲次氏(自民)が退任し、新たに柳本卓治氏(自民)が会長に就任しました。そのほか幹事も11名中7名が交代し、特に自民党は5名全員が入れ替わりました。ただし、小坂氏も前幹事の多くも引き続き審査会のメンバーには残っています。

この日は前半は40人以上、後半になっても35人以上の委員が出席しており(定数は45人)、前週に開かれた衆院の審査会と比較すると目覚ましい出席率でした。記者は6~8人程度が議論に聞き入り、傍聴者は15名ほど(散会間近になって議員の後援会のメンバーと思われる20~30名のグループが入場してきました)、私たち百万人署名運動は2人で傍聴してきました。

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附帯決議違反の7.1閣議決定

この日の憲法審査会では、「憲法に対する認識」について意見交換が行われました。まず委員を出している9会派から1人ずつ各5分間の発言があり、その後自由討議となりました。テーマが漠然としていましたので好き勝手に持論を開陳する委員が多かったのですが(押し付け論をはじめ、一度も改定されていないのは異常だ、前文は翻訳調で日本語としてこなれていない、選挙区は人口以外の要素も加味して決めるべきだなど今回も「定番」の議論が持ち出され、大いに辟易させられました)、集団的自衛権の行使を容認した7月1日の閣議決定後初めての審査会でしたので、もちろんこれを非難する発言も目立ちました。

まず、小西洋之氏(民主、審査会幹事)の見解表明の最後の部分を紹介しておきたいと思います(氏の公式ウェブサイトから引用:http://konishi-hiroyuki.jp/wp-content/uploads/2014/10/141021F.pdf)。

○ 実は、我が参議院憲法審査会においては、主権者国民のために、閣議決定の強行を阻止するための強力な措置が講じられていました。
それは、6 月 11 日 改正国民投票法附帯決議 第4項から第6項であり、そこには、「政府が、憲法解釈の変更を行う際には、事前に、「解釈の変更の案」、すなわち、7.1 閣議決定の最終案そのものについて、その論理的整合性等につき、十分な国会審議を受けること」が明記されていました。

○ この国権の最高機関の委員会決議を、安倍内閣は真っ正面から否定し、閣議決定を強行したことは誰の目にも明らかな、厳然たる事実であります。
もし、事前の国会審議があったならば、我々立法府の力により、閣議決定は法令解釈の名にすら値しない、暴挙として、これを阻止することができたものと確信致します。

○ この点、7.1 閣議決定に対し、本附帯決議 第1項及び第2項より「立憲主義及び恒久平和主義等の基本原理に基づいて、今後、徹底的に審議を尽くすこと」こそが、まさに「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行う」ことを任務とする我が審査会が国民のために自ら担った崇高なる使命であって、この全うこそが、我が憲法審査会が、立法府における「立憲主義と法の支配の砦」としてその権威を保持していく唯一の道であることを、会長及び同僚委員の皆様に心よりお訴えをさせて頂き、私からの見解の表明とさせて頂きます。


福島みずほ氏(社民)も、下記のとおり同様の意見を表明しました(氏の公式ウェブサイトから引用:http://www.mizuhoto.org/policy/2014/10/20141022.html)。

○ 憲法改正の国民投票法の改正法が可決をされたときに、参議院の憲法審査会は附帯決議を付けました。6項、「本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第4項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること。」。

○ 安倍内閣が7月1日、全く国会にかけることなく憲法解釈を明確に変えたことは、この附帯決議を真っ正面から踏みにじるものです。参議院の憲法審査会は極めて重いものです。しかし、安倍内閣が国会の憲法審査会を全く顧みず憲法解釈の変更をしたことは、国権の最高機関たる国会を踏みにじるものです。参議院の憲法審査会はこのことから議論しなければなりません。

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小西氏が「暴挙」と言い、福島氏が繰り返し「踏みにじる」と述べたように、7.1閣議決定はその内容はもちろん手続きにもけっして看過できない重大な問題があります。両氏が言及した附帯決議は自民党の委員たちも賛成して採択されたものであり、仮に今後も憲法審査会での審議を続けるのであれば、まずは国会の意思を無視した安倍政権のやり口を厳しく追及し、閣議決定の撤回を要求することから始めなければならないはずです。

ただし、残念ながらこの日の審議で7.1閣議決定を批判する発言を行ったのは、両氏のほか民主党の牧山ひろえ氏、共産党の仁比聡平氏と吉良よし子氏のみであったことを報告しなければなりません。

なお、国民投票法改定時の経緯については、附帯決議の内容を含めて当ブログの過去の記事で詳しく説明していますので、興味のある方はこちらを参照してください(http://million.at.webry.info/201406/article_11.html)。

『赤旗』の記事

上記のような重要な論点があったにもかかわらず、今回の憲法審査会についての報道は少なかったのですが、『赤旗』のウェブ版に掲載された記事を紹介しておきます(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-23/2014102302_01_1.html)。

○ 解釈改憲の暴走批判 参院憲法審査会 仁比・吉良氏発言
参院の憲法審査会が22日、開かれました。日本国憲法について各党が見解を表明し、日本共産党から仁比聡平議員と吉良よし子議員が発言しました。

仁比氏は改めて、「憲法審査会は動かすべきでない」と主張しました。日米軍事協力の指針(ガイドライン)の再改定に向けた「中間報告」について、「(集団的自衛権行使容認の)閣議決定の具体化を国会審議もまともにやらず、何ら国内法の土台もないもとで、日米両政府間の協議を先行させ、『海外で戦争をする国』づくりのレールを敷くやり方は、憲法の上に日米同盟を置き、国民も国会もそっちのけに憲法を二重三重に踏みにじる暴挙だ」と批判しました。

そのうえで、多くの国民が解釈改憲の暴走に反対の声を上げていると強調。閣議決定を「国会の多数を獲得すれば時の政権の判断次第という憲法破壊宣言だ」と批判し、撤回を求めました。日米ガイドライン再改定に向けた作業を直ちに中止するよう求めました。

吉良氏は、現憲法が戦争への反省から出発し、戦争で殺し殺されなかった67年間の実績を強調し、「現憲法の歴史そのものに誇りを持ち、守り抜くことが重要だ」と述べました。

また、国民の暮らしと権利を保障する規定を定めながら、若者の半数が非正規雇用などで苦しむ現状を告発し、「歴代政権によって働く権利を踏みにじる改悪が続けられてきたからだ」と指摘。「憲法を語るなら、改悪によって現行憲法の掲げる理想を壊している政府のやり方こそ、最も真剣に語られなければならない」と述べました。

このほか、『朝日新聞』が「いま国会で 論ずべきは憲法の価値」と題した社説を10月26日に掲載しました。文字どおり煮え切らない内容でがっかりする(あるいは腹が立つ)可能性大ですが、時間のある方はお読みください(http://digital.asahi.com/articles/DA3S11422238.html?ref=editorial_backnumber)。 (G)