解散の2日前、11月19日(水)の9時30分から、衆議院憲法審査会が行われました。定例日(木曜日の午後)ではない水曜日午前中の開催でした。この日の議題は17日(月)に盛岡市で開かれた地方公聴会の報告のみで、配布されたA4版3ページの『派遣報告』を武正公一氏(民主)が読み上げただけで、10分もかからずに散会となりました。

開会時には空席が目立ちましたが、すぐに出席者は40人以上となり、散会時にはほぼ全員、47人が着席していました(定数は50人)。記者は3人で他にカメラマンが2人、傍聴者は私たち百万人署名運動の2人だけでした。

この日の開催は、いつも傍聴券の手配でお世話になっている議員の秘書さんから18日の夕方に教えていただきました。衆議院憲法審査会のホームページには18日に「今後の開会予定を更新しました」と記載されていますが、私がチェックした21時すぎにはまだ告知されていませんでした。もし連絡がなければ傍聴できないところでした。いつもながら国会の広報のあり方にはほんとうに腹が立ちます。

この日の審査会では、散会後に保利耕輔会長(自民)の短い挨拶がありました。氏は次回の総選挙には立候補しないことを明らかにし、委員の面々に対してこれまでの審査会での協力に謝意を表するとともに今後も憲法改正に向けて着実に検討を進めてほしい旨を述べて、大きな拍手を受けていました(この発言を『衆議院インターネット審議中継』の『ビデオライブラリ』から起こして正確にご紹介したいと考えていたのですが、残念ながら散会後の音声がカットされていました。後日公表される『会議録』にも記載されないと思います)。

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さて、17日の盛岡地方公聴会ですが、さすがに盛岡まで傍聴に行く時間はとれなかったので(と言うより、交通費の負担が大きすぎるので)、私は『衆議院インターネット審議中継』で視聴するつもりでした。ところが、公聴会の模様は中継されなかったのです。
会場の都合などで同時中継が難しかったとしても『ビデオライブラリ』に録画をアップしてほしかったのですが、それもありません。つまり、私たちが公聴会の様子を映像で確認する手段はないということです。解散総選挙にはおよそ700億円の国費が投入されると報じられていますが、大した費用が掛かるとは思えない録画とその公開くらいは行ってしかるべきだったのではないでしょうか。

報道もあまりなかったのですが、私がチェックした中ではいちばん詳しかった『NHK NEWSWEB』の記事を掲げておきます(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141117/k10013264431000.html)。

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衆院憲法審査会 初の地方公聴会(11月17日16時19分)

衆議院憲法審査会は憲法改正を巡る国民の意見を幅広く聞くため、初めての地方公聴会を盛岡市で開き、憲法改正に向けた審査を急ぐべきだという意見が出る一方、拙速に進めるべきではないという慎重な意見も出されました。

衆議院憲法審査会が盛岡市で初めて開いた公聴会では「これからの憲法審査会に望むこと」をテーマに、大学教授や弁護士ら5人が意見を陳述しました。

このうち東北大学大学院教授の糠塚康江氏は先の国会で成立した改正国民投票法に関連して、「国民投票の投票率が極めて低い場合、ごく少数の賛成で憲法改正が実現し、正当性に疑義が生じる。国民投票の成立に一定の投票率を満たすことを条件とする『最低投票率』制度を設けるべきではないか」と述べました。

岩手弁護士会所属の弁護士、小笠原基也氏は「被災地で暮らしている多くの人たちは、いまだに仕事もなく家を建てる場所もない。なぜ国民の生活が尊重される世の中ができないのかをきちんと見たうえで、憲法改正の必要があるかどうか、地に足の着いた審議をしてほしい」と述べました。

宮城県議会議員の相沢光哉氏は「衆参両院に憲法審査会が設置されてすでに7年が経過しており、機は熟し切っている。いまの憲法はGHQ=連合国軍総司令部の占領下に制定されたもので、独立国にふさわしい自主憲法の制定に向けて憲法審査を急ぐべきだ」と述べました。

岩手県生活協同組合連合会会長理事の加藤善正氏は「憲法改正は主権者である国民から声が上がって初めて国会で議論を始めるのが立憲主義の建て前だ。政治不信が広がっているなか、憲法改正を主張する国民の声は少数であり、あまり拙速に進めるべきではない」と述べました。

日本大学名誉教授の小林宏晨氏は、集団的自衛権の行使容認に関連して、「集団的自衛権は主権国家の固有の権利だ。安倍内閣による閣議決定で行使が容認されたことは方向付けとして非常によく、この方向付けを継続して、積極的に平和に関与してほしい」と述べました。

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なお、もっと詳しくお知りになりたい方は、上述の『派遣報告』が衆議院憲法審査会のホームページにアップされていますので、そちらをご覧ください(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/187-11-19.htm)。

こうして今国会の憲法審査会は幕を閉じたわけですが、与党、そして野党の半分くらいを含む改憲勢力が絶対多数を占める中で、7.1閣議決定の内容や手続きについて突っ込んだ議論が行われることなく、明文改憲に向けた準備が着々と進められている状況にあります。
総選挙の結果がどうなろうと、私たちは憲法改悪絶対阻止の声を上げ続け、国民の過半数の共感、支持を取り付けなければなりません。厳しい情勢ですが、ともに闘っていきましょう。(G)